JP3987605B2 - 発声補助用人工喉頭 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発声器官である喉頭摘出等により発声が不自由な者に、代用となる励振音源を提供し、発声を補助する発声補助用人工喉頭に関し、特に自然な韻律(イントネーション)での発話を可能とする人工喉頭に関する。
【0002】
【従来の技術】
喉頭癌等のために喉頭を摘出した人は発声器官をなす声帯を失い、発声することができなくなる。しかし、調音器官である舌、唇、口腔などの機能は残っているので、擬似的な声帯振動音を口腔に送り込むことによって不自由ながらも発声することが可能となる。
【0003】
こうした人のための代用発声装置の一つとして、発声補助用の人工喉頭が存在する。発声補助用の人工喉頭は、振動板を棒などで叩いて振動を発生する振動子部を有する。この振動子部は使用者の頸部に押し当てられ、その振動により咽喉内に空気振動が発生する。これが擬似的な声帯振動音として口腔内に送り込まれ、使用者は発声することができるようになる。ちなみに、振動子部の棒は、人工喉頭の駆動信号である方形波列によって振動板に対して垂直方向にピストン運動する。なお、上述の人工喉頭は、喉頭を摘出された人だけでなく、呼吸障害を有する者、大手術後の一時的な発声困難状態にある人などの発声を補助するためにも使用されうる。
【0004】
従来の発声補助用の人工喉頭は、発声中においてピッチ周波数が一定である方形波列を振動子の駆動信号として用いているものが一般的であった。そのような人工喉頭を用いて発声された音声は、ピッチ変化がなく、抑揚のない不自然な声となる。
【0005】
特開平8−265891号公報、特公平8−24688号公報に開示された電気人工喉頭は、この不自然さを緩和するため、方形波列の周波数を変化させて発声音声のピッチ周波数に変化を与えることを提案したものである。これらの従来装置は、使用者の呼吸、筋電位、関節角度、運動といった生体情報や、使用者によるスイッチの押圧に応じてピッチ周波数を変調するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、ピッチ周波数を変化させない人工喉頭は抑揚がなく不自然な音声となる。そのため、そのような人工喉頭を使用しても会話による情報伝達が円滑に行えず、使用者の発声意欲が減退したり、精神的ストレスを生じるといった問題があった。すなわち、そのような従来装置の効果は、発声面での不自由のない日常生活を実現するという、人工喉頭の本来の目的から見ると不十分であるという問題があった。
【0007】
これに対し、ピッチ周波数の変調を図った上記従来装置は、その目的に一歩近づいたといえる。しかし、スイッチの押圧は使用者が任意に調節するものであり、それによってピッチ周波数を調整する装置は、自然なアクセント、イントネーションを実現するためには、かなりの習熟を要するという問題がある。また、生体情報は自然なピッチ周波数の変化と相関を有することが想像されるが、その相関は必ずしも十分に自然な音声を生成できるほどのものではないという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題点を解消するためになされたもので、より確実に一層自然なアクセント、イントネーションの発声が実現され、しかもその自然な音声を容易な操作で実現する発声補助用人工喉頭を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明に係る発声補助用人工喉頭は、ピッチパタン生成部が、使用者の操作による外部指示を取得するスイッチであって、取得された外部指示に応じて前記ピッチパタン信号の生成動作を使用者が制御するための動作コントロール手段と、極大点に達したのち基準ピッチレベルまで下降する滑らかな山型の山型ピッチパタンを生成する山型パタン生成手段とを有するものである。
【0010】
本発明に係る発声補助用人工喉頭によれば、動作コントロール手段の操作によって、山型パタン生成手段が山型のピッチパタン信号を生成する。この山型ピッチパタンは、ピッチが低いピッチレベルから上昇し、極大点を経て減少に転じ基準ピッチレベルまで下降するパタンである。この上昇から下降の間において、当該山型ピッチパタンは滑らかに変化する。
【0011】
第2の本発明に係る発声補助用人工喉頭は、第1の本発明の発声補助用人工喉頭において、前記ピッチパタン生成部がさらに、下向きに凸の曲線形状であって基準ピッチレベルまで単調減少する下降ピッチパタンを生成する下降パタン生成手段を有し、前記動作コントロール手段が外部指示に応じて、前記山型ピッチパタンと前記下降ピッチパタンとのいずれかの生成を新たに開始させるパタン切替手段を有するというものである。
【0012】
本発明に係る発声補助用人工喉頭によれば、ピッチパタン生成部は、山型ピッチパタンと下降ピッチパタンとを生成することができる。本装置では外部操作に応じて、ピッチパタン信号を山型ピッチパタンと下降ピッチパタンとのいずれでも開始することができる。また、生成中の山型ピッチパタン、下降ピッチパタンの途中で、パタン切替手段によって新たに山型ピッチパタン、下降ピッチパタンの生成を開始させることができ、例えば、山型ピッチパタンの下降期間に再び山型ピッチパタンを開始させ、ピッチを上昇に転じることもできるし、また山型ピッチパタンの下降期間でそれと異なる減少率を有する下降ピッチパタンを開始させ、ピッチの下降速度を途中から切り替えることもできる。
【0013】
本発明の好適な態様は、前記下降ピッチパタンが前記山型ピッチパタンの下降部分よりも大きな減少率を有するものである。これにより、山型ピッチパタンの下降期間途中からピッチの減少が加速され、ピッチパタン信号においてアクセントに対応する特徴を与えることができる。
【0014】
第3の本発明に係る発声補助用人工喉頭においては、第2の本発明の発声補助用人工喉頭の前記パタン切替手段が前記山型パタン生成手段及び前記下降パタン生成手段を交互に起動することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る発声補助用人工喉頭によれば、ピッチパタン信号に複数の山を設けるため山型パタン生成手段を複数回起動する場合、ピッチパタン切替手段が山型パタン生成手段と下降パタン生成手段とを交互に起動させるので、山型ピッチパタン相互間に下降ピッチパタンが挿入される。つまりある山に先行する山型ピッチパタンは一旦下降ピッチパタンによりピッチ減少を加速されることによってアクセントが形成され、その後、後続の山型ピッチパタンが開始される。
【0016】
第4の本発明に係る発声補助用人工喉頭においては、前記山型パタン生成手段が2つ目以降の前記山型ピッチパタンのピーク値を、先行する山型ピッチパタンのピーク値以下とすることを特徴とする。これにより、人工喉頭が口腔内に発生する空気振動において、アクセント核が順次小さくなるという自然な日本語発声におけるピッチパタンの特徴が、使用者の操作によることなく自動的に付与される。
【0017】
第5の本発明に係る発声補助用人工喉頭は、前記ピッチパタン生成部が、ピッチパタンの前記基準ピッチレベルより小さい値まで単調減少する文末ピッチパタンを生成する文末パタン生成手段を有し、前記動作コントロール手段が、前記外部指示に応じて前記文末ピッチパタンの生成を開始する文末パタン開始手段を有するものである。
【0018】
本発明に係る発声補助用人工喉頭で用いられる文末ピッチパタンは、単調減少するピッチパタンであり、その意味で一種の下降ピッチパタンであると見ることができる。ただし、その単調減少の結果到達する最終のピッチレベルは上記山型ピッチパタンの基準ピッチレベル及び下降ピッチパタンの基準ピッチレベルのいずれよりも小さい値である。使用者が動作コントロール手段に外部指示を与え、文末パタン開始手段を起動すると、文末パタン生成手段がピッチパタン信号として、文末ピッチパタンを出力し始める。つまり、使用者は文末パタン開始手段の起動を行うだけで、文末においてピッチが先行する部分より低いレベルまで迅速に降下するという自然な日本語の特徴が、自動的にピッチパタン信号に付与される。
【0019】
第6の本発明に係る発声補助用人工喉頭は、第1の本発明の発声補助用人工喉頭において、前記山型パタン生成手段に、一連の時刻でのサンプリング値で表された前記山型ピッチパタンを記憶した山型パタン記憶手段と、前記動作コントロール手段からの指示に基づいて、前記山型パタン記憶手段に記憶された前記サンプリング値を順次読み出す山型パタン読み出し手段とを備えたものである。また第7の本発明に係る発声補助用人工喉頭は、第2の本発明の発声補助用人工喉頭において、前記山型パタン生成手段を、一連の時刻でのサンプリング値で表された前記山型ピッチパタンを記憶した山型パタン記憶手段と、前記動作コントロール手段からの指示に基づいて、前記山型パタン記憶手段に記憶された前記サンプリング値を順次読み出す山型パタン読み出し手段とを含んで構成し、前記下降パタン生成手段を、一連の時刻でのサンプリング値で表された前記下降ピッチパタンを記憶した下降パタン記憶手段と、前記動作コントロール手段からの指示に基づいて、前記下降パタン記憶手段に記憶された前記サンプリング値を順次読み出す下降パタン読み出し手段とを含んで構成したものである。
【0020】
これら本発明に係る発声補助用人工喉頭では、山型ピッチパタンや下降ピッチパタンは、一連の時刻でサンプリングされた一群の値で表され、それらはそれぞれ記憶手段に記憶される。ピッチパタン信号は、この記憶された一群の値をサンプリングの時刻順に従って読み出して生成される。
【0021】
第8の本発明に係る発声補助用人工喉頭は、第2の本発明の発声補助用人工喉頭において、前記山型パタン生成手段を、一連の時刻でのサンプリング値で表された前記山型ピッチパタンを記憶した山型パタン記憶手段と、前記動作コントロール手段からの指示に基づいて、前記山型パタン記憶手段に記憶された前記サンプリング値を順次読み出す山型パタン読み出し手段とを含んで構成し、前記下降パタン生成手段を、前記山型パタン記憶手段に記憶された前記山型ピッチパタンの前記極大点以降の前記サンプリング値を順次読み出す下降パタン読み出し手段を含んで構成したものである。
【0022】
本発明に係る発声補助用人工喉頭では、下降ピッチパタンを別途記憶する必要がない。山型ピッチパタンの極大点以降の部分は滑らかに下降するパタンであり、本発明ではこの部分を下降ピッチパタンとして利用する。つまり、山型パタン記憶手段に記憶されたサンプリング値のうち極大点以降の部分を読み出して下降ピッチパタンとして使用する。
【0023】
第9の本発明に係る発声補助用人工喉頭においては、前記ピッチパタン生成部は、前記下降ピッチパタン生成手段により生成される前記下降ピッチパタンをそのダイナミックレンジが拡大するようにスケーリングして、前記文末ピッチパタンを生成する文末パタン生成手段を有し、前記動作コントロール手段は、前記外部指示に応じて前記文末ピッチパタンの生成を開始する文末パタン開始手段を有する。
【0024】
文末ピッチパタンは、上述したように一種の下降ピッチパタンとみることができるが、一般の下降ピッチパタンより低い値にまで減少する点で相違する。つまり文末ピッチパタンは、一般の下降ピッチパタンよりもダイナミックレンジが大きい。そこで、本発明に係る発声補助用人工喉頭では、下降パタン記憶手段に記憶された下降ピッチパタンまたは山型パタン記憶手段に記憶された山型ピッチパタンの下降部分のデータから生成される下降ピッチパタンをそのピッチ方向へのスケーリングを行ってそのダイナミックレンジを拡大し、文末ピッチパタンを生成する。
【0025】
第10の本発明に係る発声補助用人工喉頭は、前記山型パタン記憶手段が、ピーク値の異なる複数の前記山型ピッチパタンを記憶し、前記山型パタン読み出し手段が、2度目以降の前記山型ピッチパタンの生成では、先行する山型ピッチパタンのピーク値以下の前記ピーク値を有する前記山型ピッチパタンの読み出しを行うというものである。
【0026】
本発明に係る発声補助用人工喉頭では、山型パタン記憶手段がピーク値の異なる複数の山型ピッチパタンを記憶する。そして、複数の山を有するピッチパタン信号を生成する場合には、それら山型ピッチパタンのうちピーク値の大きいものから順に読み出される。これにより、アクセント核が順次小さくなるという自然な日本語発生におけるピッチパタンの特徴が、使用者の操作によることなく自動的に付与される。
【0027】
上記本発明の好適な態様は、前記ピッチパタン生成部が、先行ピッチパタンに後続ピッチパタンを続ける際、前記後続ピッチパタンの開始時のサンプリング値が前記先行ピッチパタンの終了時のサンプリング値に応じた値となるように、前記後続ピッチパタンの各時刻のサンプリング値をスケーリングするスケーリング手段を有するものである。これにより、2つのピッチパタンの接続点のピッチレベルが合わせられるので、自然なピッチパタンが得られる。
【0028】
第11の本発明に係る発声補助用人工喉頭は、前記動作コントロール手段が、発話速度を入力する発話速度入力手段を有し、前記ピッチパタン生成部が、前記発話速度入力手段からの速度制御信号に基づいて、ピッチパタンを記憶した前記記憶手段からの前記サンプリング値の読み出し時間間隔を制御する読み出しクロック制御手段を有するというものである。
【0029】
本発明に係る発声補助用人工喉頭では、ピッチパタンを表すサンプリング値の読み出し速度を調整することによって、ピッチパタン信号の時間的な伸張または圧縮の変換が行われる。この読み出し速度の調整によるピッチパタン信号の時間軸方向の変換は、ピッチレベルには影響を与えないので、よって声の高さには影響を与えることなく発話速度のみを緩やかにしたり、速くしたりすることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施形態である発生補助用人工喉頭の概略のブロック構成図である。本装置は、大きくはピッチパタン生成部1と振動子部2とで構成される。
【0032】
ピッチパタン生成部1は、そのピッチパタン信号の生成動作を使用者が制御するための動作コントロール手段として、3つのスイッチSW1、SW2、SW3を有する。スイッチSW1は、そのON/OFFによって方形波信号の開始と終了、すなわち発声の開始と終了を制御するためのものである。またスイッチSW2は、基本的にはそのON/OFFによって方形波信号のピッチの再立ち上げ及び下降を切り替えるパタン切替手段としての機能を有し、後述するようにこのスイッチによりピッチパタンのアクセント核の制御が行われる。スイッチSW3は、文末パタン開始手段であって、これをONすることによって文末におけるピッチの迅速な下降を生じさせることができる。
【0033】
メモリ4、8はそれぞれ山型のピッチパタン(山型ピッチパタン)、下向きに凸である単調減少曲線のピッチパタン(下降ピッチパタン)を格納する。具体的には、メモリ4、8はそれぞれ連続的な曲線である山型ピッチパタン、下降ピッチパタンを一定時間間隔でサンプリングした一群のサンプリング値を、メモリアドレスが連続した領域に時刻順に格納している。
【0034】
図2は、メモリ8に格納される山型ピッチパタンを示す模式図である。図の横軸がメモリのアドレス順に対応し、縦軸がメモリの各ビットに格納されるサンプリング値の大きさに対応する。メモリ8は、ピーク値すなわちダイナミックレンジの異なる3つの山型ピッチパタン19a〜19cを格納している。各山型ピッチパタン19a〜19cの先頭アドレスは、A、B、C(A<B<C)であり、山型ピッチパタン19cの最後のアドレスがDである。山型ピッチパタン19a〜19cは、この順にピーク値が小さくなるように配列されている。また、それぞれのパタン形状は、滑らか、つまりその各点での傾きが連続に変化するような形状である。極大点の水平方向の位置は、各パタンの前方寄りである。また、ピッチの値はそれぞれ極大点を過ぎると指数関数的に減少し、共通の基準ピッチレベル20に漸近する。山型ピッチパタン19a〜19cのそれぞれの形状は、本来的には自然音声についての研究に基づいて、自然な音声を表現するのに適したように定められる。さらに本装置では、山型ピッチパタンを関数を用いて演算により生成するのではなく、メモリに各時刻での値を格納する構成である。よって、その形状は、必ずしも単純な数式で表されるようなものである必要はないが、概念的には、関数P(t)=αEt・exp(−βEt)+Lの形状に近いものである。ここで、P(t)はピッチの値、tは時間、またαE、βE、Lはパラメータであり、特にLは基準ピッチレベルに相当する。なお、図において山型ピッチパタン19aの極大点のアドレスがA’で示されており、このアドレスは上記関数モデルにおいては、t=1/βEに対応する。
【0035】
一方、下降ピッチパタンは、指数関数的に単調にかつ滑らかに減少し、最終的には所定の基準ピッチレベルに漸近する形状である。よって例えば単純なモデル化として、関数P(t)=αD・exp(−βDt)+Lで表される形状を採用することも可能である。ここで、αD、βD、Lはパラメータである。特にLは基準ピッチレベルに相当し、本装置では、例えば山型ピッチパタンのそれと同じに設定される。また、下降ピッチパタンは、その減少率が、山型ピッチパタンの下降部分のそれよりも大きいことを特徴とする。例えば、それぞれの上記関数モデルによれば、βE<βDなる関係がある。
【0036】
もちろん、下降ピッチパタンは、山型ピッチパタン同様、本来的には自然音声についての研究に基づいて、自然な音声を表現するのに適したように定められるべきものである。よって、その形状は、関数で表される必要はなく上記関数モデルに限定されるものではないし、一方、他の関数モデルを用いることも可能である。ちなみに、メモリ8に格納される下降ピッチパタンの各サンプリング値は、後述の処理の便宜上、基準ピッチレベルが0、かつ先頭の値(P(t=0))が1となるような正規化を行ったものである。
【0037】
メモリアクセス装置24、26は、それぞれメモリ4、8のアドレスを指定してメモリ4とデータの入出力を行うものである。なお、ここでは、説明の都合上、メモリ4、8を別個のものとして示したが、これらは同一のメモリの異なる領域を用いて実現することができ、その場合、メモリアクセス装置も一つに統合される。
【0038】
カウンタ部28は、ピッチパタン信号の生成が開始されてからのスイッチSW2の「ON」の回数をカウントする。オフセット減算装置30、オフセット加算装置32及び乗算器34は、メモリ4、8から読み出されたサンプリング値に対し所定の演算を行って、ピッチパタン信号を生成する。
【0039】
一方、振動子部2には、ピッチパタン生成部1で生成されたピッチパタン信号40が入力される。このピッチパタン信号40はデジタル信号である。このデジタル信号は、デジタル/アナログ変換機能と低周波フィルタ機能を有したD/A&LPF部50によって高周波成分を除去された滑らかなアナログ電圧信号に変換される。V−Fコンバータ52は、D/A&LPF部50からのアナログ電圧信号を、その電圧値に応じた周波数を有する方形波列に変換する。すなわち、V−Fコンバータ52からの方形波列の周波数は、アナログ電圧信号の電圧値に応じて変化し、一般には電圧値が高い程、高い周波数の信号が生成されるように構成される。
【0040】
電力増幅器54は、V−Fコンバータ52から出力される振動子駆動信号を、人工喉頭振動子56を駆動するのに十分な電力にまで増幅する。人工喉頭振動子56は、この増幅された方形波列によって振動板を棒で叩き、振動を起こす。使用者は人工喉頭振動子56を自分の頸部に押し当てて振動を起こすと、その振動が咽喉内の空気を振動させ擬似的な声帯振動音が得られる。そして、この擬似的な声帯振動音を用いて発話することができる。
【0041】
図3は、本装置の動作を説明するフロー図である。以下、図3の流れに沿いながら本装置の動作を詳しく説明する。
【0042】
まず1つ目のアクセント核を生成する動作を説明する。スイッチSW2のOFF状態においてスイッチSW1をONする(ステップS10)。すると、メモリアクセス装置24が、スイッチSW2の状態がOFFであることを判別して(ステップS20)、メモリ4に記録された第1の山型ピッチパタン19aの値をサンプリング周期ごとにアドレスAから順次読み出し始める(ステップS30)。ちなみに、この読み出し動作は、スイッチSW1をOFFするか、スイッチSW2をOFFすると中止される。図4は、スイッチSW1のONにより生成されるピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図である。図において、ピッチパタン信号100は、図2に示した山型ピッチパタン19aである。ここではステップS30が途中で中止されることなく、山型ピッチパタン19aの最後まで読み出され、そしてスイッチSW1がOFFされた場合が示されている。よって、この場合は、読み出し対象メモリは、SW1のONからOFFまでの期間102において継続してメモリ4である。
【0043】
なお、スイッチSW2をON状態としてからスイッチSW1をONすると(ステップS20)、メモリアクセス装置24は頭高パタン生成処理をスタートする(ステップS40)。この頭高パタン生成処理は、メモリ4に記録された山型ピッチパタン19aのうち極大点に対応するアドレスA’以降の値を、サンプリング周期ごとに順次読み出すものである。図5は、この頭高パタン生成処理により生成されるピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図である。メモリ4へのアクセスはSW1のONからOFFまでの期間120において行われ、山型ピッチパタン19aの極大点以降の部分に相当する単調に減少する頭高のピッチパタン信号122が生成される。このように本装置では、スイッチSW1をON状態とする前から、スイッチSW2をON状態にした場合、発声の先頭部分におけるピッチパタンを山型でなく一種の下降型にすることができる。なお、この頭高パタン生成で生成されるパタンは山型ピッチパタンの下降部分を利用したものであるので、メモリ8に記憶された下降ピッチパタンよりもピッチの減少率が緩やかである。
【0044】
上述のように、スイッチSW2は、ピッチパタンの開始時の山型/頭高を切り替える機能においては、ピッチパタン信号を頭高とする場合にONするという動作を必要とし、山型とする場合にはOFFのままでよくその操作を必要としない。つまり、本装置では、通常はスイッチSW2を操作することなくスイッチSW1をONするだけで自動的に山型ピッチパタンがスタートするように構成されている。これは、一般の会話においてはピッチパタンは山型で開始されることが多いからであり、その利用度の高い場合には1つのスイッチのみで発話開始を可能として操作の容易化に配慮したものである。
【0045】
一方、ピッチパタン信号の生成期間中におけるスイッチSW2の操作、つまりスイッチSW1がON状態におけるスイッチSW2の操作には、ピッチを再び立ち上げるか、アクセント核形成のためピッチを下降させるかを切り替えるパタン切替手段としての機能を割り当てている。
【0046】
ここで、ピッチの再立ち上げとは、一旦、メモリ8の下降ピッチパタンの読み出しが開始された後、再び山型ピッチパタンの読み出しを開始することをいう。一方、ここでのピッチの下降は、メモリ4の山型ピッチパタンの読み出しが開始された後、メモリ8の下降ピッチパタンの読み出しを開始することをいう。ここでのピッチの下降は、メモリ8の下降ピッチパタンを用いるものであり、山型ピッチパタンのピッチ下降部分を用いるステップS40の頭高パタン生成処理でのピッチの下降とは異なり、よってスイッチSW2の、ここで述べたピッチパタン信号の生成期間中でのピッチの再立ち上げ/下降を切り替える機能と、前述したピッチパタンの開始時の山型/頭高を切り替える機能とは区別されるべきものである。
【0047】
さて、本装置では、スイッチSW1がONの期間中において、スイッチSW2がONするとピッチの再立ち上げ処理を行い、逆にスイッチSW2をOFFするとピッチの下降処理を行うように構成している。より詳細に述べれば、メモリアクセス装置24は、カウンタ部28の値に基づいてスイッチSW2による動作を制御する。カウンタ部28は、スイッチSW1がONの期間中でのスイッチSW2のON状態の回数をカウントする。つまり山型パタン生成処理(ステップS30)では、カウンタ部28の値は「0回」であり、頭高パタン生成処理(ステップS40)では「1回」である。メモリアクセス装置24は、この回数が「1回」であるときにはピッチパタンの再立ち上げ処理を行わない。
【0048】
よって、ステップS30に続いてスイッチSW2をONにする操作(ステップS50)はカウンタ部28の値を「1回」とするものであるので、メモリアクセス装置24はこのステップS50でのスイッチSW2のON操作を無視する。これにより、既に山型ピッチパタンに山型ピッチパタンが接続されることが防止され、上述した一旦、下降ピッチパタンとしてから再び山型ピッチパタンとするという再立ち上げ処理が確保される。
【0049】
山型パタン生成処理におけるステップS50に続いてスイッチSW2をOFFすると(ステップS60)、ピッチパタン信号は下降ピッチパタンに切り替わる(ステップS80)。なお、ここではスイッチSW3は操作されずOFF状態のままであるとする(ステップS70)。図6は、スイッチSW2の1回目のOFF操作により、山型ピッチパタンから下降ピッチパタンへの切り替えが行われた場合のピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図である。
【0050】
図において、ピッチパタン信号130は、スイッチSW1のONからスイッチSW2をOFFするまでの期間132においてメモリ4から読み出された山型ピッチパタン19aであり、図4に示したピッチパタン信号100と同じ値をとる。スイッチSW2がONからOFFへの1回目の切り替え操作を行われると、メモリ4からの山型ピッチパタン19aのデータ読み出しが中止され、メモリアクセス装置26がメモリ8のアドレスaからデータをサンプリング周期ごとに読み出し始める。この動作は、スイッチSW2をONしてからスイッチSW1をONした場合、つまり頭高パタン生成処理を行った場合も同じである。すなわち、いずれの場合にも、スイッチSW2の1回目のOFFで、メモリ8のアドレスaからのデータ読み出しが開始される。
【0051】
なお、図6には、スイッチSW2の1回目のOFF操作が行われた後、下降ピッチパタンが最後まで読み出され、基準ピッチレベルLに達した後、スイッチSW1がOFFされる様子が示されている。つまり、読み出し対象メモリは、スイッチSW2のOFFからスイッチSW1のOFFまでの期間134において、継続してメモリ8である。
【0052】
さて、正確に述べれば、期間134においてステップS80の処理によりピッチパタン生成部1から出力されるピッチパタン信号40は、メモリ8から読み出された正規化された下降ピッチパタンの値そのものではなく、オフセット減算装置30、オフセット加算装置32及び乗算器34を用いてスケーリングが行われた値である。このスケーリング処理を以下に説明する。既に述べたように、メモリ8に記憶される下降ピッチパタンは、基準ピッチレベルを0とし、またアドレスaに格納された値をP(a)と表すとP(a)=1となるような正規化を行われている。そのため、一般に、スイッチSW2をOFFした時点での山型ピッチパタン19aの値とP(a)とは一致しない。本スケーリング処理は、スイッチSW2をOFFした時点でのピッチパタン信号を連続とするように、下降ピッチパタンのダイナミックレンジを拡大又は圧縮する処理であり、これによりスイッチSW2の切り替え時点においてデータがスムーズにつながる。
【0053】
まず、オフセット減算装置30が、中止したメモリ4の最終データから基準ピッチレベルLを減算し、その結果を乗算係数として乗算器34にセットする。メモリ8から読み出されるデータにはすべてこの乗算係数が掛け合わされ、ダイナミックレンジの拡大/圧縮が行われる。オフセット加算装置32は、この乗算結果に基準ピッチレベルLを加算して、ピッチパタン信号にオフセットを与える。
【0054】
以上の処理によりオフセット加算装置32から出力されるP(a)に対応する値は、期間132の最終値と等しい値にスケーリングされ、それに応じて、下降ピッチパタン全体がダイナミックレンジを拡大又は圧縮される。
【0055】
なお、既に述べたように下降ピッチパタンは、山型ピッチパタンの下降部分よりも大きな減少率を有し、スイッチSW2のOFF以降、ピッチパタン信号は急峻に下降する。このことがわかりやすいように図6において、比較となる山型ピッチパタン19aの値を点線136で示している。
【0056】
自然音声についての研究から、人間は、山型ピッチパタン19のようななだらかなピッチの増減ではアクセントを感じにくいことが知られている。つまりアクセントが存在するアクセント核においては、ピッチを上げた後、ある程度急峻に下げる必要がある。本装置では、スイッチSW2をON状態からOFFすることにより、山型ピッチパタンの下降部分より急峻なピッチ減少を下降ピッチパタンによって実現する。これによりアクセント核が形成され、人工喉頭を用いて発せられる音声の自然さを向上させることができる。
【0057】
本装置では、複数のアクセント核に対応するピッチパタン信号も容易に生成することができる。以下、図6に示す1つのアクセント核を有したピッチパタン信号に、2つ目のアクセント核を生じさせる処理を説明する。
【0058】
2つ目のアクセント核を生成するためには、使用者はまず、スイッチSW2を再びONにする(ステップS90)。これはスイッチSW2の2度目のONであり、カウンタ部28のカウント値は「2回」に更新される。このスイッチSW2のONにより、メモリ8からのデータ読み出しが中止され、メモリ4の読み出しが再び開始される。このときメモリアクセス装置24は、カウンタ部28のカウント値が「2回」であることに基づいて、メモリ4に格納された2番目の山型ピッチパタン19bの読み出しを開始する(ステップS100)。具体的には、メモリアクセス装置24は、山型ピッチパタン19bの立ち上がり部分において、つまり先頭アドレスBからその極大点に対応するアドレスまでの間において、2度目のスイッチSW2のON操作の時点でのピッチパタン信号130の値に一致する(又は一致とみなせる)値が格納されているアドレスB’を探索する。そしてメモリアクセス装置24は、山型ピッチパタン19bのデータをアドレスB’からサンプリング周期ごとに読み出し始める。
【0059】
図7は、スイッチSW2の2回目のON操作により、下降ピッチパタンから山型ピッチパタンへの切り替えが行われた場合のピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図であり、上述の説明を図示するものである。図において、ピッチパタン信号150は、スイッチSW1のONからスイッチSW2の2度目のONまでの期間132及び期間152において図6に示すピッチパタン信号130である。スイッチSW2が2度目のON操作をされると、このピッチパタン信号130に、メモリ4からの山型ピッチパタン19bが接続され出力される。なお、図7には、スイッチSW2の2回目のON操作が行われた後、山型ピッチパタン19bが最後まで読み出され、基準ピッチレベルLに達した後、スイッチSW1がOFFされる様子が示されている。つまり、読み出し対象メモリは、スイッチSW2の2度目のONからスイッチSW1のOFFまでの期間154において、継続してメモリ4である。
【0060】
次に、使用者は、スイッチSW2を再びOFFする(ステップS60)。これはスイッチSW2の2度目のOFFである。このスイッチSW2のOFFにより、メモリ4からのデータ読み出しが中止され、メモリ8に格納された下降ピッチパタンの先頭からの読み出しが再び開始される。なお、ここではスイッチSW3は操作されずOFF状態のままであるとする(ステップS70)。メモリ8から下降ピッチパタンを読み出してピッチパタン信号40を生成する処理(ステップS80)は、期間134での処理と同様である。つまり、スケーリング手段であるオフセット減算装置30、オフセット加算装置32及び乗算器34が、メモリ8内の正規化されている下降ピッチパタンを、スイッチSW2のOFF時点でのピッチパタン信号150の値にスムーズに接続するためスケーリング処理を行う。なお、以上のスイッチSW2の2度目のON/OFF操作が行われる間、スイッチSW1はON状態に保たれている。
【0061】
図8は、スイッチSW2の2回目のOFF操作により、2番目の山型ピッチパタンから再度、下降ピッチパタンへの切り替えが行われた場合のピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図であり、上述の説明を図示するものである。図において、ピッチパタン信号170は、スイッチSW1のONからスイッチSW2の2度目のOFFまでの期間132、152及び172において図7に示すピッチパタン信号150である。スイッチSW2が2度目のOFF操作をされると、このピッチパタン信号150に、メモリ8からの下降ピッチパタンがスケーリングされて接続されピッチパタン信号170が生成される。なお、図8には、スイッチSW2の2回目のOFF操作が行われた後、下降ピッチパタンが最後まで読み出され、基準ピッチレベルLに達した後、スイッチSW1がOFFされる様子が示されている。つまり、読み出し対象メモリは、スイッチSW2の2度目のOFFからスイッチSW1のOFFまでの期間174において、継続してメモリ8である。
【0062】
以上のようにして2つ目のアクセント核が形成される。つまり、山型ピッチパタン19bの読み出しは、その極大点以前のアドレスB’から開始されているので、この期間172においてピッチパタン信号170は2つ目の極大点を有する。そしてこの2番目の山型ピッチパタン19bに下降ピッチパタンを接続することにより、前述した期間132及び152に生じる1つ目の山と同様、2つ目のピッチの山もその後部傾斜が急峻にされ、これにより2つ目のアクセント核が形成される。
【0063】
ここで、山型ピッチパタン19bは山型ピッチパタン19aよりも小さいピーク値を有するように構成されているので、ピッチパタン信号170の2つ目のアクセント核のピーク値は、期間132において生じる1つ目のアクセント核のピーク値よりも必ず低くなる。本装置が生成するピッチパタン信号におけるこのアクセント核のピーク値の漸次低下という特徴は自然音声のピッチパタンの性質に適しており、人工喉頭を用いた発声に自然な感じが表現される。
【0064】
3つ目のアクセント核を生じさせる処理は上述した2つ目のアクセント核を生成する処理と同様であるが簡単に説明しておく。
【0065】
2つ目のアクセント核生成に続いて3つ目のアクセント核を生成するためには、使用者は、2つ目のアクセント核生成によりOFF状態とされたスイッチSW2を再びONにし(ステップS90)、そして再びOFFする(ステップS60)。ステップS90のスイッチSW2のON操作によりメモリ8からのデータ読み出しが中止される。そしてメモリアクセス装置24は、このON操作が3度目であることをカウンタ部28から検知し、メモリ4に格納された3番目の山型ピッチパタン19cの読み出しを開始する(ステップS100)。このとき、山型ピッチパタン19cの立ち上がり部分のうち、3度目のスイッチSW2のON操作時点でのピッチパタン信号170の値に一致する(又は一致とみなせる)値が格納されているアドレスC’が探索され、そこから読み出しが開始される。
【0066】
図9は、スイッチSW2の3回目のON操作により、下降ピッチパタンから山型ピッチパタンへの切り替えが行われた場合のピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図であり、上述の説明を図示するものである。下降ピッチパタンの期間174がスイッチSW2のON操作により中断されて生じた期間192に、山型ピッチパタン19cが出力される期間194が継続する。
【0067】
一方、図10は、ステップS60でのスイッチSW2の3回目のOFF操作により、山型ピッチパタン19cの出力期間194が中断され下降ピッチパタンへの切り替えが行われた場合のピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図である。この操作により生じるピッチパタン信号210は、山型ピッチパタン19cの出力期間194が中断されて生じた期間212に下降ピッチパタンを先頭から順に読み出す期間214が継続されたものである。期間212の山型ピッチパタン19cに下降ピッチパタンを接続する際には、上述のスケーリング処理が行われる(ステップS80)。なお、この場合においても文末処理を起動するスイッチSW3は操作されずOFF状態のままであるとする(ステップS70)。
【0068】
以上のようにして、期間212に山型ピッチパタン19cの極大点が位置し、その後方に急峻なピッチの減少が設けられ、3つ目のアクセント核が形成される。
【0069】
ここで、山型ピッチパタン19cは山型ピッチパタン19bよりも小さいピーク値を有するように構成されているので、ピッチパタン信号210の3つ目のアクセント核のピーク値は、期間172において生じる2つ目のアクセント核のピーク値よりも必ず低くなる。つまり、アクセント核のピーク値は1つ目、2つ目、3つ目と順に低減し、自然音声のピッチパタンにおける性質を備えたピッチパタン信号210が生成される。
【0070】
以降、同様にスイッチSW2のON操作、OFF操作を行うごとに4つ目以降のアクセント核が順に生成される。本装置では、スイッチSW2のON操作が4回目以上である場合には、スイッチSW2のON操作が3回目である場合の上述した処理が繰り返される。つまり、メモリアクセス装置24は、カウンタ部28の格納内容が「4回」以上である場合には、上記「3回目」に用いたのと同じメモリ4に記憶された3番目の山型ピッチパタン19である山型ピッチパタン19cを用いて、アクセント核の生成を行う。
【0071】
そのため、4つ目以降のアクセント核のピーク値は3つ目のアクセント核のピーク値と同じとなる。しかし、ピーク値の低減は3つ目まで行えば、不自然さが生じないことが合成音声に関する研究から明らかになっており、また、普通、自然発声では4つ以上のアクセント核を有するフレーズはない。
【0072】
次に、スイッチSW3が操作された場合に行われる文末処理について説明する。文末処理は、スイッチSW3をONした後、上述したスイッチSW2のOFF操作を行うことにより起動される(ステップS110)。文末処理の内容を以下に説明する。
【0073】
使用者がスイッチSW1をONにしたまま、スイッチSW3を一度ONにしてからスイッチSW2をOFFにした場合、メモリ4からの山型ピッチパタンのデータ読み出しが中止され、メモリアクセス装置26がメモリ8のアドレスaから下降ピッチパタンのデータを読み出し始める。このとき、文末処理では、ステップS80でのスケーリング処理とは異なるスケーリング処理が行われる。この文末処理時のスケーリング処理は、オフセット値として基準ピッチレベルLの代わりに文末処理用オフセットX(X<L)を用いる点が、ステップS80と異なる。つまり、オフセット減算装置30及びオフセット加算装置32は、スイッチSW3からそれがONされたという制御信号をそれぞれ受け、オフセット値としてLの代わりにXを用いるように処理を切り替える。これによりオフセット減算装置30は、メモリ4が読み出し中止された時点の最終データから、文末処理用オフセットXを減算し、これを乗算係数とする処理を行う。そして乗算器34は、メモリ8から読み出される正規化された下降ピッチパタンの各データにこの乗算係数を掛け合わせる。最後にオフセット加算装置32が、乗算器34の出力に文末処理用オフセットXを加算して、文末ピッチパタンが生成され、これがピッチパタン信号40としてピッチパタン生成部1から出力される。
【0074】
この文末処理でのスケーリング処理により、中止したメモリ4の最終データと、メモリ8からの最初のデータは同じ大きさになり、スムーズにデータがつながるようになる。また、スイッチSW3をONした後のスイッチSW2のOFF操作によるピッチの下降は急になり、かつ最終的な到達ピッチが小さくなる。
【0075】
図11は、スイッチSW3のON操作により文末処理が起動された場合のピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図である。図において、3つ目の山型ピッチパタンの期間212は、スイッチSW3を一旦ONした後のスイッチSW2のOFF操作により終了する。ここでスイッチSW3をONされたことにより、ピッチパタン信号230における期間212に継続する期間232には、メモリ8から読み出された下降ピッチパタンに基づいて文末ピッチパタンが生成され出力される。この文末ピッチパタンは、上述した文末処理用オフセットXを漸近線として有する。この文末処理用オフセットXはLより小さく定められるので、よって文末ピッチパタンは、図10に示すような通常の下降ピッチパタンを用いたフレーズの場合のピッチパタン信号と異なり、一段低いレベルまでピッチが低下する。
【0076】
このように本装置では、使用者は発話センテンスを終了しようとするときに文末パタン開始手段であるスイッチSW3を操作することにより、メモリ8、メモリアクセス装置26、オフセット減算装置30、オフセット加算装置32及び乗算器34が文末パタン生成手段としての機能を発揮する。スイッチSW3の操作を行うだけで、ピッチが先行する部分より低いレベルまで迅速に降下するという自然な日本語文末の特徴が自動的にピッチパタン信号に付与される。
【0077】
なお、メモリ4に記録される山型ピッチパタン19a〜19cの最小値はその漸近する値L(>X)であるので、文末処理を行なった場合もオフセット加算装置32からの出力はマイナス値にならない。
【0078】
本装置は、以上のような動作により、1又は複数のアクセント核を有するピッチパタン信号、また文末のフレーズ、非文末のフレーズに対応するピッチパタン信号を、それぞれ使用者による簡単な操作で生成することができる。生成されたピッチパタン信号40はピッチパタン生成部1から振動子部2へ出力される。
【0079】
振動子部2においては、まずD/A&LPF部50がピッチパタン信号40をアナログの電気信号にD/A変換する。なお、メモリ4、メモリ8がアナログメモリである場合はD/A変換の必要はない。
【0080】
D/A&LPF部50からの出力はピッチパタンに応じて変化する電圧信号であり、この電圧信号はV−Fコンバータ52で方形波列に変換される。この方形波列は人工喉頭振動子56を振動させるのに十分なパワーがとれるように電力増幅器54で増幅された後、人工喉頭振動子56に出力される。
【0081】
なお、カウンタ部28のスイッチSW2のカウント数、オフセット減算装置30及びオフセット加算装置32に保持されるスイッチSW3がONになったという情報は、スイッチSW1のOFF、すなわち発声の終了時にリセットされる。
【0082】
本装置は、上述のような自然音声の特徴を良好に実現するピッチパタンを、ON/OFFスイッチを3つという簡単なユーザインタフェースによって生成することができる。つまり使用者は、スイッチSW1によって発声の開始/終了を制御し、スイッチSW2によってピーク値が順次低減する特徴を有した複数のアクセント核の形成を制御し、また、スイッチSW3によって文末時の急なピッチ低下の形成を実現することができる。また、スイッチSW1とスイッチSW2の操作順序によって頭高処理を起動し、開始ピッチパタンを山型でなく下降型にすることもできる。これら3つのスイッチSW1〜SW3は、使用者が本装置を片手で頸部にあてがいながら、本装置を把持した当該片手の指によってすべて行うことができるように、本装置筐体に配置される。
【0083】
また、圧力センサを用いて、指による押圧に応じて本装置の動作を制御する動作コントロール手段を設けてもよい。例えば、圧力センサに対する押圧の有無に応じてスイッチSW1を切り替える。つまり、押圧が検知されたときはスイッチSW1をONとし、圧力センサから指が離れ押圧が検知されなくなったときスイッチSW1をOFFとするような制御回路を設ける。さらにその制御回路は、圧力センサの押圧が所定値以上でスイッチSW2をONし、所定値未満でスイッチSW2をOFFするようにすれば、スイッチSW1及びSW2の機能を1本の指で操作することができる。このように、3つのスイッチ動作の操作には必ずしも3本の指を必要とするものではなく、より操作の容易なユーザインターフェースを有した動作コントロール手段の構成が可能である。もちろん、本装置が提供するピッチパタンでの自然な音声の様々な特徴を限定して、スイッチ数を少なくし、使用者の操作を単純にすることもできる。
【0084】
また、クロック制御手段(図示せず)を備えて、メモリ4又はメモリ8の読み出しサンプリング周波数を使用者自身が可変調整できるようにすることもできる。使用者は、クロック制御手段を操作して、メモリからの読み出し速度を遅くすると、ピッチパタン信号40の大きさは変えずにそれを時間軸方向に伸張することができる。これにより、声の高さを変えることなく発話速度をゆっくりにすることができる。逆に、メモリからの読み出し速度を速くすると、声の高さを変えずに発話速度を速くすることができる。例えばクロック制御手段のユーザインターフェース部分は、ボリュームなどのように連続的な調整が可能なものを用いると、発話速度の連続調整が可能となって好ましい。
【0085】
また、本装置では、山型ピッチパタンや下降ピッチパタンをメモリ4、メモリ8に格納し、それを必要に応じて読み出してピッチパタン信号40を生成した。しかし、CPU(Central Processing Unit)などの演算手段を備えた構成として、はじめに触れたようないくつかのパラメータを用いて表される数式に基づいて各時刻でのピッチパタン信号40を逐一算出する構成とすることもできる。
【0086】
なお、単純なピッチパタン形状であればアナログ回路を用い、例えばコンデンサの充放電の時定数を調整するなどしてピッチパタン信号40を生成することもできる。
【0087】
また、本装置では、メモリ8に記憶された下降ピッチパタンを用いて文末ピッチパタンを生成したが、例えば文末特有のピッチ減少の特徴がある場合などには、文末ピッチパタンを別途、メモリに格納しておく構成とすることができる。また、メモリ4には、ピッチの値を格納するのではなく、人工喉頭振動子56の振動に用いる発振信号をサンプリングしたデータを格納するようにすれば、メモリ4の読み出しによって生成される信号が直接に方形波列となるので、V−Fコンバータ52を不要とし小型化に資する構成が可能となる。
【0088】
【発明の効果】
本発明に係る発声補助用人工喉頭によれば、山型パタン生成手段、下降パタン生成手段は起動されると自動的に滑らかな曲線形状を有するピッチパタンを生成する。例えば特にその下降部分を指数関数的に変化するピッチパタンを生成するように構成することができる。このようにピッチを直線的ではなく滑らかな曲線に従って変化させることにより、人工喉頭により補助された音声が自然なピッチ変化を伴い、耳障りでない音声が実現されるという効果が得られる。
【0089】
また、本発明に係る発声補助用人工喉頭によれば、アクセント核は、山型ピッチパタンによってピッチパタンの極大を形成した後、そのピッチパタンに山型ピッチパタンより迅速な減少率を有する下降ピッチパタンを接続することによって形成される。使用者は山型パタン生成手段から下降パタン生成手段への切り替えを行うだけで、本発明に係る発声補助用人工喉頭は、滑らかでかつピッチが急峻に減少するという、自然音声におけるアクセント核でのピッチ変化に則したピッチパタンを生成する。これにより、アクセント核を含んだフレーズの自然なイントネーションが実現されるという効果が得られる。
【0090】
また、フレーズが複数のアクセント核を有する場合には、山型パタン生成手段は自動的に、アクセント核それぞれのピーク値が、先頭から順次低減するという自然音声に則したピッチパタンを生成する。これにより、複数のアクセント核を含むフレーズのイントネーションが自然となるという効果が得られる。
【0091】
さらに本発明に係る発声補助用人工喉頭によれば、ピッチが一段と低いレベルまで低下する文末パタン生成手段を備えたことにより、文末において自然なイントネーションの音声を生成することができる効果が得られる。
【0092】
また、本発明に係る発声補助用人工喉頭によれば、ピッチパタンのサンプリング値をメモリに格納し、その読み出し速度を制御するクロック制御手段を設けることにより、ピッチパタンの高さはそのままに時間軸方向の圧縮/伸張を行うことができる。これにより、声の全体的な高さを変えることなく、発話速度を変化させることができるという効果が得られる。つまり、使用者は自分の意志に応じて発話速度を変えることができ、よって本発明によれば意志・感情表現手段、コミュニケーション手段としてのより高い次元での発話が支援されるという効果がある。
【0093】
以上のように、本発明に係る発声補助用人工喉頭によれば、自然な発声を可能とするピッチ変化が生成される効果があるが、このピッチ変化は、動作コントロール手段によるピッチパタンに開始/終了と、パタン切替手段による山型ピッチパタンと下降ピッチパタンとの切り替えと、文末パタン開始手段による文末ピッチパタンへの切り替えとにより行われる。つまり、本発明に係る発声補助用人工喉頭によれば、使用者が行う操作は基本的には3つの切り替え操作だけであり、微妙なもしくは習熟を要する操作が不要で、操作が極めて容易であるという効果が得られる。
【0094】
このように、本発明に係る発声補助用人工喉頭によれば、簡単な操作で、自然なアクセント、イントネーションの発声を確実に実現することができるので、人工喉頭を用いた会話であっても、情報伝達が円滑に行われ、使用者の発声意欲の向上、精神的なストレスからの解放が図られるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態である発生補助用人工喉頭の概略のブロック構成図である。
【図2】 メモリに格納される山型ピッチパタンを示す模式図である。
【図3】 本装置の動作を説明するフロー図である。
【図4】 スイッチSW1のONにより生成されるピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図である。
【図5】 頭高パタン生成処理により生成されるピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図である。
【図6】 スイッチSW2の1回目のOFF操作により、山型ピッチパタンから下降ピッチパタンへの切り替えが行われた場合のピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図である。
【図7】 スイッチSW2の2回目のON操作により、下降ピッチパタンから山型ピッチパタンへの切り替えが行われた場合のピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図である。
【図8】 スイッチSW2の2回目のOFF操作により、2番目の山型ピッチパタンから再度、下降ピッチパタンへの切り替えが行われた場合のピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図である。
【図9】 スイッチSW2の3回目のON操作により、下降ピッチパタンから山型ピッチパタンへの切り替えが行われた場合のピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図である。
【図10】 スイッチSW2の3回目のOFF操作により、山型ピッチパタンから下降ピッチパタンへの切り替えが行われた場合のピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図である。
【図11】 スイッチSW3のON操作により文末処理が起動された場合のピッチパタン信号、スイッチ操作、及びメモリアクセス状況を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ピッチパタン生成部、2 振動子部、4,8 メモリ、24,26 メモリアクセス装置、28 カウンタ部、30 オフセット減算装置、32 オフセット加算装置、34 乗算器、40 ピッチパタン信号、50 D/A&LPF部、52 V−Fコンバータ、54 電力増幅器、56 人工喉頭振動子。
Claims (13)
- ピッチパタン信号を生成するピッチパタン生成部と、前記ピッチパタン信号に応じた基本周波数の空気振動を口腔内に発生させる振動子部とを含み発声を補助する発声補助用人工喉頭において、
前記ピッチパタン生成部は、
使用者の操作による外部指示を取得するスイッチであって、取得された外部指示に応じて前記ピッチパタン信号の生成動作を使用者が制御するための動作コントロール手段と、
極大点に達したのち基準ピッチレベルまで下降する滑らかな山型の山型ピッチパタンを生成する山型パタン生成手段と、
を有することを特徴とする発声補助用人工喉頭。 - 請求項1記載の発声補助用人工喉頭において、
前記ピッチパタン生成部は、下向きに凸の曲線形状であって基準ピッチレベルまで単調減少する下降ピッチパタンを生成する下降パタン生成手段を有し、
前記動作コントロール手段は、前記外部指示に応じて、前記山型ピッチパタンと前記下降ピッチパタンとのいずれかの生成を新たに開始させるパタン切替手段を有すること、
を特徴とする発声補助用人工喉頭。 - 請求項2記載の発声補助用人工喉頭において、
前記下降ピッチパタンは、前記山型ピッチパタンの下降部分よりも大きな減少率を有すること、
を特徴とする発声補助用人工喉頭。 - 請求項2記載の発声補助用人工喉頭において、
前記パタン切替手段は、前記山型パタン生成手段及び前記下降パタン生成手段を交互に起動すること、
を特徴とする発声補助用人工喉頭。 - 請求項1または請求項2に記載の発声補助用人工喉頭において、
前記山型パタン生成手段は、2つ目以降の前記山型ピッチパタンのピーク値を、先行する山型ピッチパタンのピーク値以下とすること、
を特徴とする発声補助用人工喉頭。 - 請求項1または請求項2に記載の発声補助用人工喉頭において、
前記ピッチパタン生成部は、ピッチパタンの前記基準ピッチレベルより小さい値まで単調減少する文末ピッチパタンを生成する文末パタン生成手段を有し、
前記動作コントロール手段は、前記外部指示に応じて前記文末ピッチパタンの生成を開始する文末パタン開始手段を有すること、
を特徴とする発声補助用人工喉頭。 - 請求項1記載の発声補助用人工喉頭において、
前記山型パタン生成手段は、
一連の時刻でのサンプリング値で表された前記山型ピッチパタンを記憶した山型パタン記憶手段と、
前記動作コントロール手段からの指示に基づいて、前記山型パタン記憶手段に記憶された前記サンプリング値を順次読み出す山型パタン読み出し手段と、
を有することを特徴とする発声補助用人工喉頭。 - 請求項2記載の発声補助用人工喉頭において、
前記山型パタン生成手段は、
一連の時刻でのサンプリング値で表された前記山型ピッチパタンを記憶した山型パタン記憶手段と、
前記動作コントロール手段からの指示に基づいて、前記山型パタン記憶手段に記憶された前記サンプリング値を順次読み出す山型パタン読み出し手段と、
を有し、
前記下降パタン生成手段は、
一連の時刻でのサンプリング値で表された前記下降ピッチパタンを記憶した下降パタン記憶手段と、
前記動作コントロール手段からの指示に基づいて、前記下降パタン記憶手段に記憶された前記サンプリング値を順次読み出す下降パタン読み出し手段と、
を有することを特徴とする発声補助用人工喉頭。 - 請求項2記載の発声補助用人工喉頭において、
前記山型パタン生成手段は、
一連の時刻でのサンプリング値で表された前記山型ピッチパタンを記憶した山型パタン記憶手段と、
前記動作コントロール手段からの指示に基づいて、前記山型パタン記憶手段に記憶された前記サンプリング値を順次読み出す山型パタン読み出し手段と、
を有し、
前記下降パタン生成手段は、前記山型パタン記憶手段に記憶された前記山型ピッチパタンの前記極大点以降の前記サンプリング値を順次読み出す下降パタン読み出し手段を有すること、
を特徴とする発声補助用人工喉頭。 - 請求項8または請求項9に記載の発声補助用人工喉頭において、
前記ピッチパタン生成部は、前記下降ピッチパタン生成手段により生成される前記下降ピッチパタンをそのダイナミックレンジが拡大するようにスケーリングして、前記文末ピッチパタンを生成する文末パタン生成手段を有し、
前記動作コントロール手段は、前記外部指示に応じて前記文末ピッチパタンの生成を開始する文末パタン開始手段を有すること、
を特徴とする発声補助用人工喉頭。 - 請求項7から請求項10のいずれか1に記載の発声補助用人工喉頭において、
前記山型パタン記憶手段は、ピーク値の異なる複数の前記山型ピッチパタンを記憶し、
前記山型パタン読み出し手段は、2度目以降の前記山型ピッチパタンの生成では、先行する山型ピッチパタンのピーク値以下の前記ピーク値を有する前記山型ピッチパタンの読み出しを行うこと、
を特徴とする発声補助用人工喉頭。 - 請求項7から請求項11のいずれか1に記載の発声補助用人工喉頭において、
前記ピッチパタン生成部は、先行ピッチパタンに後続ピッチパタンを続ける際、前記後続ピッチパタンの開始時のサンプリング値が前記先行ピッチパタンの終了時のサンプリング値に応じた値となるように、前記後続ピッチパタンの各時刻のサンプリング値をスケーリングするスケーリング手段を有すること、
を特徴とする発声補助用人工喉頭。 - 請求項7から請求項12のいずれか1に記載の発声補助用人工喉頭において、
前記動作コントロール手段は、発話速度を入力する発話速度入力手段を有し、
前記ピッチパタン生成部は、前記発話速度入力手段からの速度制御信号に基づいて、ピッチパタンを記憶した前記記憶手段からの前記サンプリング値の読み出し時間間隔を制御する読み出しクロック制御手段を有すること、
を特徴とする発声補助用人工喉頭。
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