JP3987196B2 - 有機ケイ素重合体エマルジョンの製造方法 - Google Patents

有機ケイ素重合体エマルジョンの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シロキサン結合とシルアルキレン結合を有する有機ケイ素重合体が水中に乳化してなる有機ケイ素重合体エマルジョンの製造方法に関し、詳しくは、水中に乳化してなる有機ケイ素重合体の粒径が小さく、優れた安定性を有する有機ケイ素重合体エマルジョンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シロキサン結合とシルアルキレン結合を有する有機ケイ素重合体は、シロキサン結合のみからなるジオルガノポリシロキサンと同様に離型性や撥水性を有することから種々の分野での利用が検討されており、特に、酸やアルカリに対する耐性がジオルガノポリシロキサンより良好であることから、耐アルカリ性の消泡剤として利用の検討もなされている(特開平7−60008号公報参照)。
【0003】
このような有機ケイ素重合体を製造する方法としては、分子鎖両末端のみにケイ素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンと分子鎖両末端のみにビニル基を有するジオレフィンをヒドロシリル化反応用触媒により付加重合する方法(特開平1−217040号公報参照)、分子鎖両末端のみにケイ素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンと分子鎖両末端のみにケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンをヒドロシリル化反応用触媒により付加重合する方法(特開平7−82379号公報参照)が知られている。
【0004】
しかしながら、この付加重合においては、有機ケイ素重合体がゲル化したり、比較的高重合度の有機ケイ素重合体が得られなかったり、また、このようにして調製された有機ケイ素重合体を水中に乳化してなるエマルジョンにおいては、この有機ケイ素重合体の粒径を小さくすることが困難であり、また、この安定性が乏しいという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記の課題について鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の目的は、シロキサン結合とシルアルキレン結合を有する有機ケイ素重合体が水中に乳化してなる、この粒径が小さく、優れた安定性を有する有機ケイ素重合体エマルジョンの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、分子鎖両末端のみにケイ素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンと分子鎖両末端のみにケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンを水中に乳化状態でヒドロシリル化反応用触媒により付加重合させる有機ケイ素重合体エマルジョンの製造方法であって、前記ヒドロシリル化反応用触媒として、白金−アルケニルシロキサン錯体を主成分とする液状触媒を水中に乳化してなるエマルジョンを用いることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の有機ケイ素重合体エマルジョンの製造方法を詳細に説明する。
本発明の製造方法において、分子鎖両末端のみにケイ素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンにおいて、ケイ素原子に結合する水素原子以外の基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。このジオルガノポリシロキサンの分子構造は実質的に直鎖状であるが、分子鎖の一部が分岐していてもよい。このジオルガノポリシロキサンの粘度は限定されないが、これを水中に乳化しなければならないことから、25℃における粘度は100,000mPa・s以下であることが好ましく、特に、1,000mPa・s以下であることが好ましい。このようなジオルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、このジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をエチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等に置換したジオルガノポリシロキサンが例示される。
【0008】
本発明の製造方法において、分子鎖両末端のみにケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノシロキサンにおいて、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基が例示され、好ましくは、ビニル基、アリル基である。また、このジオルガノポリシロキサンにおいて、ケイ素原子に結合するアルケニル基以外の基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。このジオルガノポリシロキサンの分子構造は実質的に直鎖状であるが、分子鎖の一部が分岐していてもよい。このジオルガノポリシロキサンの粘度は限定されないが、これを水中に乳化しなければならないことから、25℃における粘度が100,000mPa・s以下であることが好ましく、特に、10,000mPa・s以下であることが好ましい。このようなジオルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、このジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をエチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等に置換したジオルガノポリシロキサン、これらのジオルガノポリシロキサンのビニル基をアリル基、ヘキセニル基等に置換したジオルガノポリシロキサンが例示される。
【0009】
また、本発明の製造方法においては、分子鎖両末端のみにケイ素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンと分子鎖両末端のみにケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンの他に、分子鎖片末端のみにケイ素原子結合水素原子もしくはケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンを添加して、得られる有機ケイ素重体の分子量を調節したり、分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子もしくはケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンを添加して、得られる有機ケイ素重合体の分子構造中に分岐を形成したりすることができる。また、その他に分子鎖中にケイ素原子結合水素原子およびケイ素原子結合アルケニル基を有しないジオルガノポリシロキサンを添加することもできる。これらの成分の添加量は、得られる有機ケイ素重合体が架橋して、もはや有機溶剤に対して不溶とならないような量であることが必要である。このアルケニル基含有ジオルガノシロキサンにおいて、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基が例示され、好ましくは、ビニル基、アリル基である。また、これらのジオルガノポリシロキサンにおいて、ケイ素原子に結合する水素原子もしくはアルケニル基以外の基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。これらのジオルガノポリシロキサンの分子構造は実質的に直鎖状であるが、分子鎖の一部が分岐していてもよい。これらのジオルガノポリシロキサンの粘度は限定されないが、これを水中に乳化しなければならないことから、25℃における粘度は100,000mPa・s以下であることが好ましく、特に、1,000mPa・s以下であることが好ましい。このようなジオルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、これらのジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体のメチル基の一部をエチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等に置換したジオルガノポリシロキサン;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、これらのジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体のメチル基の一部をエチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基に置換したジオルガノポリシロキサン;分子鎖片末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖され、他方の分子鎖末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、分子鎖片末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖され、他方の分子鎖末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、これらのジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をエチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等に置換したジオルガノポリシロキサン、これらのジメチルポリシロキサンのビニル基をアリル基、ヘキセニル基に置換したジオルガノポリシロキサンが例示される。
【0010】
本発明の製造方法において、ケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンに対するケイ素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンの量は限定されないが、前者のジオルガノポリシロキサン1.0モルに対して、後者のジオルガノポリシロキサンが0.5〜1.5モルの範囲内であることが好ましく、特に、高分子量の有機ケイ素重合体を調製できることから、このモル数がほぼ1.0であることが好ましい。
【0011】
分子鎖両末端のみにケイ素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンと分子鎖両末端のみにケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサン、さらにはその他のジオルガノポリシロキサンを水中に乳化する方法としては、これらのジオルガノポリシロキサンの混合物をホモミキサー、パドルミキサー、ヘンシェルミキサー、ホモディスパー、コロイドミキサー、プロペラ攪拌機、ホモディスパー、ホモジナイザー、インライン式連続乳化機、超音波乳化機、真空式練合機等の公知の撹拌・混合装置により水中に分散させる方法、および、それぞれのジオルガノポリシロキサンを公知の撹拌・混合装置により水中に分散させたエマルジョンを混合する方法が例示される。
【0012】
これらのジオルガノポリシロキサンエマルジョンの安定性を向上させるために、界面活性剤を用いることが好ましい。この界面活性剤としては、ヘキシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、セチルベンゼンスルホン酸、ミリスチルベンゼンスルホン酸やそのナトリウム塩等のアニオン系界面活性剤;オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、デシルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、牛脂トリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヤシ油トリメチルアンモニウムヒドロキシド等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンソルビタンエステル、ポリエチレングライコール、ポリプロピレングライコール、ジエチレングライコールトリメチルノナノールのエチレンオキサイド付加物やポリエステル系のノニオン系界面活性剤、これらの界面活性剤の二種以上の混合物が例示され、特に、この付加重合への影響が少ないことから、ノニオン系の界面活性剤であることが好ましい。この界面活性剤の添加量は限定されないが、上記のジオルガノポリシロキサンの合計100重量部に対して0.01〜50重量部の範囲内であることが好ましく、特に、0.1〜20重量部の範囲内であることが好ましい。また、水の添加量は限定されないが、上記のジオルガノポリシロキサンの合計100重量部に対して10〜200重量部の範囲内であることが好ましい。
【0013】
本発明の製造方法において、ヒドロシリル化反応用触媒は、付加重合を促進して、シロキサン結合とシルアルキレン結合を有する有機ケイ素重合体を調製するための触媒であり、白金−アルケニルシロキサン錯体である。このアルケニルシロキサンとしては、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、これらのアルケニルシロキサンのメチル基の一部をエチル基、フェニル基等に置換したアルケニルシロキサン、これらのアルケニルシロキサンのビニル基をアリル基、ヘキシニル基等に置換したアルケニルシロキサンが例示され、この白金−アルケニルシロキサン錯体としての安定性が良好であることから、1,3−ジビニル−1,1,3,3−トテラメチルジシロキサンであることが好ましい。また、この白金−アルケニルシロキサン錯体の安定性を向上させることができることから、この錯体に1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジアリル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,3−ジメチル−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン等のアルケニルシロキサンやジメチルシロキサンオリゴマー等のオルガノシロキサンオリゴマーを添加することが好ましく、特に、アルケニルシロキサンを添加することが好ましい。
【0014】
本発明の製造方法において、このようなヒドロシリル化反応用触媒として、白金−アルケニルシロキサン錯体を主成分とする液状触媒を水中に乳化してなるエマルジョンを用いる。また、このエマルジョンにおいて、この液体粒子状に分散している液状触媒の体積平均粒径、すなわち、体積粒径分布における平均粒径が1μm以下であることが好ましく、さらに、この平均粒径が0.8μm以下であることが好ましく、特に、この平均粒径が0.5μm以下であることが好ましい。さらに、水中に液体粒子状に分散している触媒の体積粒径分布において、この粒径が1μm以下である触媒の比率が40重量%以上でることが好ましい。このような白金−アルケニルシロキサン錯体を主成分とする液状触媒を水中に乳化してなるエマルジョンを調製する方法としては、この白金−アルケニルシロキサン錯体を主成分とする液状触媒を公知の撹拌・混合装置により水中に分散させる方法が例示され、この際、得られるエマルジョンの安定性を向上させるため前記と同様の界面活性剤を用いることが好ましい。また、この白金−アルケニルシロキサン錯体を主成分とする液状触媒を界面活性剤に分散させたものを予め調製し、これを上記のジオルガノポリシロキサンのエマルジョン中に添加して、水中に分散させる方法も例示される。この界面活性剤としては、前記と同様のものが例示され、特に、ヒドロシリル化反応への影響が少ないことから、ノニオン系の界面活性剤であることが好ましい。この界面活性剤の添加量は、この白金−アルケニルシロキサン錯体を主成分とする液状触媒100重量部に対して0.01〜1000重量部の範囲内であることが好ましい。
【0015】
本発明の製造方法において、上記のヒドロシリル化反応用触媒の添加量は限定されないが、上記の付加重合を効率よく促進することができることから、上記のジオルガノポリシロキサンの合計重量に対して、この触媒中の白金金属の重量が0.1〜1,000ppmとなる範囲内の量であればよく、さらには、これが0.1〜500ppmとなる範囲内の量であることが好ましく、特には、これが1〜50ppmとなる範囲内の量であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の製造方法では、分子鎖両末端のみにケイ素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンと分子鎖両末端のみにケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンのエマルジョンに、ヒドロシリル化反応用触媒を添加し、これを均一に混合した後、そのまま静置しておいてもよく、また、付加重合を促進するため、100℃以下で加熱してもよく、特に70℃以下に加熱することが好ましい。
【0017】
本発明の製造方法で得られる、シロキサン結合とシルアルキレン結合を有する有機ケイ素重合体は、室温で粘性のある溶剤可溶性の液体ないしはガム状、あるいは溶剤可溶性のゲル状である。この溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系溶剤;その他、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤が例示される。このような有機ケイ素重合体は表面張力が低く、また酸、アルカリ等のイオン性物質による分子鎖の切断を生じにくいので、耐酸・アルカリ性オイルとして利用することができる。本発明の製造方法では、このような有機ケイ素重合体を水中に乳化してなるエマルジョンとして得られるので、これを塗料、化粧料等の添加剤として利用したり、有機樹脂成形用離型剤として利用することもできる。また、本発明の製造方法では、このような有機ケイ素重合体をゲル化させることもなく、比較的高重合度で得ることができるという特徴がある。このような有機ケイ素重合体の粘度は限定されないが、25℃において下限は10mPa・sのものから、上限は100,000,000mPa・sのものまで、特には、下限は50mPa・sのものから、上限は50,000,000mPa・sのものまで得ることができる。このような有機ケイ素重合体を単体で取り出そうとするには、このエマルジョンを風乾、熱風乾燥、真空乾燥、加熱乾燥等の手段により水を除去する方法が例示される。
【0018】
【実施例】
本発明の有機ケイ素重合体エマルジョンの製造方法を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の粘度は25℃における値である。また、水中に乳化してなる白金−アルケニルシロキサン錯体を主成分とする液状触媒の体積粒径分布、有機ケイ素重合体エマルジョンの平均粒径と安定性、および有機ケイ素重合体の粘度と分子量は次のようにして測定した。
[水中に乳化してなる液状触媒の体積粒径分布]
水中に乳化してなる白金−アルケニルシロキサン錯体を主成分とする液状触媒の体積粒径分布における、体積平均粒径、および粒径1μm以下の触媒の含有率(体積%)を、レーザー散乱式サブミクロン粒子分析装置(コールターエレクトロニクス社製のCOULTER N4型)により求めた。
[有機ケイ素重合体エマルジョンの平均粒径]
有機ケイ素重合体エマルジョンをレ−ザ−回折式粒度分布測定器(堀場製作所製のLA−500)により測定したメジアン径(累積分布の50%に相当する粒径)から平均粒径を求めた。
[有機ケイ素重合体エマルジョンの安定性]
有機ケイ素重合体エマルジョンを225mlのガラス瓶(深さ105mm、口径50mm)に180ml入れ、密閉した状態で室温で1週間静置した。静置後の有機ケイ素重合体エマルジョンの外観を観察し、ビン底部に分離した水層の厚さ測定し、この厚さが5mm未満である場合を○、この厚さが5mm以上で20mm未満である場合を△、この厚さが20mm以上である場合を×とした。
[有機ケイ素重合体の粘度および分子量]
有機ケイ素重合体エマルジョンを室温下、ドラフト中で1週間風乾した後、重量減少で水分が除去されたことを確認した有機ケイ素重合体を、DigitalViscometer(トキメック社製のDV−U−EII型粘度計)で、0.5rpm、5分、25℃の条件で測定した。また、この有機ケイ素重合体をトルエンに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフによりトップピークのポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
【0019】
[実施例1]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48重量%)57.1重量部、粘度130mPa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.025重量%)42.9重量部を混合し、これを3重量%−ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=13.1)水溶液50重量部により乳化した後、純水50重量部を加えてエマルジョンを調製した。次に、このエマルジョンとは別に調製した、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる液状触媒エマルジョン(液状触媒の体積平均粒径=0.05μm、1μm以下の触媒の比率=95重量%、白金金属濃度=0.04重量%)を、上記のエマルジョン中のジオルガノポリシロキサンの合計重量に対して、この白金金属が重量単位で20ppmとなる量を均一に混合した。このエマルジョンを室温で1日間静置することにより付加重合させて、シロキサン結合とシルエチレン結合を有する有機ケイ素重合体エマルジョンを調製した。
この有機ケイ素重合体エマルジョンの平均粒径と安定性、およびこの有機ケイ素重合体の粘度と分子量を測定し、これらを表1に示した。
【0020】
[実施例2]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48重量%)89.1重量部、粘度10mPa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.15重量%)10.9重量部を混合し、これを3重量%−ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=13.1)水溶液50重量部により乳化した後、純水50重量部を加えてエマルジョンを調製した。次に、このエマルジョンとは別に調製した、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる液状触媒のエマルジョン(液状触媒の体積平均粒径=0.20μm、粒径1μm以下の触媒の比率=80重量%、白金金属濃度=0.04重量%)を、上記のエマルジョン中のジオルガノポリシロキサンの合計重量に対して、この白金金属が重量単位で20ppmとなる量を均一に混合した。このエマルジョンを室温で1日間静置することにより付加重合させて、シロキサン結合とシルエチレン結合を有する有機ケイ素重合体エマルジョンを調製した。
この有機ケイ素重合体エマルジョンの平均粒径と安定性、およびこの有機ケイ素重合体の粘度と分子量を測定し、これらを表1に示した。
【0021】
[実施例3]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48重量%)88.2重量部、粘度10mPa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.15重量%)10.9重量部、粘度75mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.053重量%)1.6重量部を混合し、これを3重量%−ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=13.1)水溶液50重量部により乳化した後、純水50重量部を加えてエマルジョンを調製した。次に、このエマルジョンとは別に調製した、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる液状触媒のエマルジョン(液状触媒の体積平均粒径=0.20μm、粒径1μm以下の液状触媒の比率=80重量%、白金金属濃度=0.04重量%)を、上記のエマルジョン中のジオルガノポリシロキサンの合計重量に対して、この白金金属が重量単位で20ppmとなる量を均一に混合した。このエマルジョンを室温で1日間静置することにより付加重合させて、シロキサン結合とシルエチレン結合を有する有機ケイ素重合体エマルジョンを調製した。
この有機ケイ素重合体エマルジョンの平均粒径と安定性、およびこの有機ケイ素重合体の粘度と分子量を測定し、これらを表1に示した。
【0022】
[実施例4]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48重量%)60.8重量部、粘度130mPa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.025重量%)39.0重量部、および粘度25mPa・sの分子鎖片末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖され、他方の分子鎖末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.05重量%)1.0重量部を混合し、これを3重量%−ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=13.1)水溶液50重量部により乳化した後、純水50重量部を加えてエマルジョンを調製した。次に、このエマルジョンとは別に調製した、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる液状触媒エマルジョン(液状触媒の体積平均粒径=0.05μm、1μm以下の触媒の比率=95重量%、白金金属濃度=0.04重量%)を、上記のエマルジョン中のジオルガノポリシロキサンの合計重量に対して、この白金金属が重量単位で20ppmとなる量を均一に混合した。このエマルジョンを室温で1日間静置することにより付加重合させて、シロキサン結合とシルエチレン結合を有する有機ケイ素重合体エマルジョンを調製した。
この有機ケイ素重合体エマルジョンの平均粒径と安定性、およびこの有機ケイ素重合体の粘度と分子量を測定し、これらを表1に示した。
【0023】
[比較例1]
−5℃に冷却した粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48重量%)57.1重量部、マイナス5℃に冷却した粘度130mPa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.025重量%)42.9重量部をすばやく混合し、これに白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる液状触媒(白金金属濃度=0.04重量%)を、上記のジオルガノポリシロキサンの合計重量に対して、この白金金属が重量単位で20ppmとなる量を均一にすばやく混合した後、150℃で1時間加熱することにより付加重合させて、シロキサン結合とシルエチレン結合を有する有機ケイ素重合体を調製した。
この有機ケイ素重合体はゲル状であり、トルエンには不溶であった。
【0024】
[比較例2]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48重量%)89.1重量部、粘度10mPa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.15重量%)10.9重量部、反応抑制剤としてテトラメチルテトラビニルテトラシロキサン0.2重量部を混合し、これに白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる液状触媒(白金金属濃度=0.04重量%)を、上記のジオルガノポリシロキサンの合計重量に対して、この白金金属が重量単位で20ppmとなる量を均一に混合した後、150℃で1時間加熱することにより付加重合させて、シロキサン結合とシルエチレン結合を有する有機ケイ素重合体を調製した。
この有機ケイ素重合体の粘度と分子量を測定し、これらを表1に示した。
次に、この有機ケイ素重合体100重量部を、3重量%−ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=13.1)水溶液50重量部により乳化した後、純水50重量部を加えて、有機ケイ素重合体エマルジョンを調製した。
この有機ケイ素重合体エマルジョンの平均粒径と安定性を測定し、これらを表1に示した。
【0025】
【表1】
Figure 0003987196
【0026】
[実施例5]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48重量%)60.6重量部、粘度130mPa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.025重量%)39.4重量部を混合し、これを4重量%−ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=13.1)水溶液30重量部により乳化した後、純水20重量部を加えてエマルジョンを調製した。次に、このエマルジョンとは別に調製した、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる液状触媒エマルジョン(液状触媒の体積平均粒径=0.05μm、1μm以下の触媒の比率=95重量%、白金金属濃度=0.04重量%)を、上記のエマルジョン中のジオルガノポリシロキサンの合計重量に対して、この白金金属が重量単位で20ppmとなる量を均一に混合した。このエマルジョンを室温で1日間静置することにより付加重合させて、シロキサン結合とシルエチレン結合を有する有機ケイ素重合体エマルジョンを調製した。
この有機ケイ素重合体エマルジョンの平均粒径と安定性、およびこの有機ケイ素重合体の粘度と分子量を測定し、これらを表2に示した。
【0027】
[実施例6]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48重量%)60.8重量部、粘度130mPa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.025重量%)39.0重量部、粘度20mPa・sの分子鎖片末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖され、他方の分子鎖末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.054重量%)1.0重量部を混合し、これを4重量%−ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=13.1)水溶液30重量部により乳化した後、純水20重量部を加えてエマルジョンを調製した。次に、このエマルジョンとは別に調製した、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる液状触媒エマルジョン(液状触媒の体積平均粒径=0.05μm、1μm以下の触媒の比率=95重量%、白金金属濃度=0.04重量%)を、上記のエマルジョン中のジオルガノポリシロキサンの合計重量に対して、この白金金属が重量単位で20ppmとなる量を均一に混合した。このエマルジョンを室温で1日間静置することにより付加重合させて、シロキサン結合とシルエチレン結合を有する有機ケイ素重合体エマルジョンを調製した。
この有機ケイ素重合体エマルジョンの平均粒径と安定性、およびこの有機ケイ素重合体の粘度と分子量を測定し、これらを表2に示した。
【0028】
[実施例7]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48重量%)60.9重量部、粘度130mPa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.025重量%)38.5重量部、粘度20mPa・sの分子鎖片末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖され、他方の分子鎖末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.054重量%)2.0重量部を混合し、これを4重量%−ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=13.1)水溶液30重量部により乳化した後、純水20重量部を加えてエマルジョンを調製した。次に、このエマルジョンとは別に調製した、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる液状触媒エマルジョン(液状触媒の体積平均粒径=0.05μm、1μm以下の触媒の比率=95重量%、白金金属濃度=0.04重量%)を、上記のエマルジョン中のジオルガノポリシロキサンの合計重量に対して、この白金金属が重量単位で20ppmとなる量を均一に混合した。このエマルジョンを室温で1日間静置することにより付加重合させて、シロキサン結合とシルエチレン結合を有する有機ケイ素重合体エマルジョンを調製した。
この有機ケイ素重合体エマルジョンの平均粒径と安定性、およびこの有機ケイ素重合体の粘度と分子量を測定し、これらを表2に示した。
【0029】
【表2】
Figure 0003987196
【0030】
[実施例8]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48重量%)57重量部、粘度130mPa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.025重量%)42重量部、粘度20mPa・sの分子鎖片末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖され、他方の分子鎖末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=1.43重量%)1.0重量部を混合し、これを4重量%−ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=13.1)水溶液30重量部により乳化した後、純水20重量部を加えてエマルジョンを調製した。次に、このエマルジョンとは別に調製した、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる液状触媒エマルジョン(液状触媒の体積平均粒径=0.05μm、1μm以下の触媒の比率=95重量%、白金金属濃度=0.04重量%)を、上記のエマルジョン中のジオルガノポリシロキサンの合計重量に対して、この白金金属が重量単位で20ppmとなる量を均一に混合した。このエマルジョンを室温で1日間静置することにより付加重合させて、シロキサン結合とシルエチレン結合を有する有機ケイ素重合体エマルジョンを調製した。
この有機ケイ素重合体エマルジョンの平均粒径と安定性、およびこの有機ケイ素重合体の粘度と分子量を測定し、これらを表3に示した。
【0031】
[実施例9]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48重量%)55.2重量部、粘度130mPa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.025重量%)42.8重量部、粘度20mPa・sの分子鎖片末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖され、他方の分子鎖末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=1.43重量%)2.0重量部を混合し、これを4重量%−ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=13.1)水溶液30重量部により乳化した後、純水20重量部を加えてエマルジョンを調製した。次に、このエマルジョンとは別に調製した、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる液状触媒エマルジョン(液状触媒の体積平均粒径=0.05μm、1μm以下の触媒の比率=95重量%、白金金属濃度=0.04重量%)を、上記のエマルジョン中のジオルガノポリシロキサンの合計重量に対して、この白金金属が重量単位で20ppmとなる量を均一に混合した。このエマルジョンを室温で1日間静置することにより付加重合させて、シロキサン結合とシルエチレン結合を有する有機ケイ素重合体エマルジョンを調製した。
この有機ケイ素重合体エマルジョンの平均粒径と安定性、およびこの有機ケイ素重合体の粘度と分子量を測定し、これらを表3に示した。
【0032】
【表3】
Figure 0003987196
【0033】
【発明の効果】
本発明の製造方法によると、シロキサン結合とシルアルキレン結合を有する有機ケイ素重合体が水中に乳化してなる、この粒径が小さく、優れた安定性を有する有機ケイ素重合体エマルジョンを効率よく製造できるという特徴がある。

Claims (4)

  1. 分子鎖両末端のみにケイ素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンと分子鎖両末端のみにケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンを水中に乳化状態でヒドロシリル化反応用触媒により付加重合させる有機ケイ素重合体エマルジョンの製造方法であって、前記ヒドロシリル化反応用触媒として、白金−アルケニルシロキサン錯体を主成分とする液状触媒を水中に乳化してなるエマルジョンを用いることを特徴とする有機ケイ素重合体エマルジョンの製造方法。
  2. 水中に液体粒子状に乳化してなる白金−アルケニルシロキサン錯体を主成分とする液状触媒の体積平均粒径が1μm以下であることを特徴とする、請求項記載の有機ケイ素重合体エマルジョンの製造方法。
  3. 水中に液体粒子状に乳化してなる白金−アルケニルシロキサン錯体を主成分とする液状触媒の体積粒径分布において、この粒径が1μm以下である触媒の比率が40重量%以上であることを特徴とする、請求項記載の有機ケイ素重合体エマルジョンの製造方法。
  4. アルケニルシロキサンが1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンであることを特徴とする、請求項のいずれか1項記載の有機ケイ素重合体エマルジョンの製造方法。
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