JP3985794B2 - コネクタ及びコネクタの製造方法 - Google Patents

コネクタ及びコネクタの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、コネクタ及びコネクタの製造方法に関するものである。
雄形の端子金具をハウジング内に挿入するようにしたコネクタとして、特許文献1に記載されているものがある。端子金具は、角筒部と、角筒部の前端から前方に向かって幅狭となるように連なるテーパ部と、テーパ部の前端から前方へ突出するタブとを有する。ハウジング内には、端子金具を後方から挿入するためのキャビティが形成され、キャビティの左右両側面の前端部はテーパ部と対応するテーパ面となっている。テーパ面にテーパ部が当接することで、端子金具が前止まりされるとともに、左右方向への振れが防止される。また、図7に示すように、キャビティ101には、その底壁に沿って前方へ片持ち状に延出するランス102が形成されており、ランス102の上面には、端子金具の角筒部に係止して端子金具を抜け止めする抜止め突起103が形成されている。また、ハウジング100には、キャビティ101の前端からハウジング100の前端面に連通する貫通孔104が形成されている。
この種のコネクタにおいてキャビティ101を金型成型する場合は、図8に示すように、ランス102の前面と貫通孔104を形成する第1の金型105と、ランス102の両側面とキャビティ101の両側面とテーパ面107とを形成する左右一対の第2の金型106とを用い、第1金型105の左右両側面と第2金型106のランス102側の側面とを密着させた状態で溶融樹脂を注入して固化させる。そして、型開きの際には、第1金型105と第2金型106を側面同士において摺接させつつ、図8(B)に示すように、第1金型105を前方に型抜きするとともに、第2金型106を後方へ型抜きする。
特開2003−45555公報
上記コネクタにおいて、ランス102の幅と貫通孔104の幅が同じ寸法である場合、第2金型106の前端部106Fは、テーパ面107を形成するために型抜き方向に対して斜めをなす外側の側面と、第1金型105に摺接されて型抜き方向と平行をなす内側の側面とによって楔状に尖った形態となる。このような尖った部分は摩滅し易く、その摩滅によって形成されたスペースに樹脂が入り込み、これが、テーパ面107の前端部から突出する不必要な突起となる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、キャビティを成形するための金型に尖った部位が存在しないようにすることを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、雄形の端子金具をハウジング内に挿入するようにしたコネクタであって、前記端子金具は、角筒部と、前記角筒部の前端から前方に向かって幅狭となるように連なるテーパ部と、前記テーパ部の前端から前方へ突出するタブとを有し、前記ハウジング内には、前記端子金具を後方から挿入するためのキャビティと、前記キャビティの左右両側面の前端部に前記テーパ部と対応するように形成されたテーパ面と、前記キャビティの底壁に沿って前方へ片持ち状に延出するランスと、ランスの上面に形成されて前記角筒部に係止することで前記端子金具を抜け止めする抜止め突起と、前記キャビティの前端から前記ハウジングの前端面に連通する貫通孔とが形成されているコネクタにおいて、前記キャビティの前記テーパ面のうち高さ方向において抜止め突起と対応する領域には、前記貫通孔の内壁に対して概ね段差状に凹んだ形態で連なる逃がし部が形成されているところに特徴を有する。
請求項2の発明は、雄形の端子金具をハウジング内に挿入して構成され、前記端子金具は、角筒部と、前記角筒部の前端から前方に向かって幅狭となるように連なるテーパ部と、前記テーパ部の前端から前方へ突出するタブとを有し、前記ハウジング内には、前記端子金具を後方から挿入するためのキャビティと、前記キャビティの左右両側面の前端部に前記テーパ部と対応するように形成されたテーパ面と、前記キャビティの底壁に沿って前方へ片持ち状に延出するランスと、ランスの上面に形成されて前記角筒部に係止することで前記端子金具を抜け止めする抜止め突起と、前記キャビティの前端から前記ハウジングの前端面に連通する貫通孔とが形成された形態のコネクタを製造する方法であって、前記キャビティの前記テーパ面のうち高さ方向において抜止め突起と対応する領域に、前記貫通孔の内壁に対して概ね段差状に凹んだ形態で連なる逃がし部を形成した上で、前記キャビティのうち高さ方向において前記抜止め突起と対応する領域の成形に際しては、前記貫通孔及び前記抜止め突起の前面を形成する第1金型と、前記抜止め突起の側面及び前記逃がし部の側面を形成する第2金型とを用い、前記第1金型と前記第2金型を摺接させつつ、前記第1金型を前方へ型抜きするとともに前記第2金型を後方へ型抜きし、前記キャビティのうち高さ方向において前記抜止め突起と対応しない非対応領域の成形に際しては、前記貫通孔と前記テーパ面のうち前記逃がし部以外の領域とを形成する第3金型を用い、その第3金型を後方へ型抜きするところに特徴を有する。
<請求項1の発明>
キャビティのうち高さ方向において抜止め突起と対応する領域については、貫通孔及び抜止め突起の前面を形成する第1金型と、抜止め突起の側面及び逃がし部の側面を形成する第2金型とを用い、両金型を摺接させつつ、第1金型を前方へ型抜きするとともに第2金型を後方へ型抜きすることによって成形することができる。
一方、キャビティのうち高さ方向において抜止め突起と対応しない非対応領域については、貫通孔とテーパ面のうち逃がし部以外の領域を形成する第3金型を用い、その第3金型を後方へ型抜きすることによって成形することができる。
第2金型の前端部によって成形される逃がし部は、第1金型によって成形される貫通孔の内壁に対して段差状に凹んだ形態であるから、第2金型の前端部は、尖らずに済む。また、テーパ部を面接触状態で当接させるテーパ面が残されているので、端子金具の前止まり機能と、端子金具の左右方向への振れ止め機能が損なわれることはない。
<請求項2の発明>
第2金型の前端部によって成形される逃がし部は、第1金型によって成形される貫通孔の内壁に対して段差状に凹んだ形態であるから、第2金型の前端部は、尖らずに済む。また、テーパ部を面接触状態で当接させるテーパ面が残されているので、端子金具の前止まり機能と、端子金具の左右方向への振れ止め機能が損なわれることはない。
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図6を参照して説明する。
本実施形態のコネクタMは、雄形の端子金具10をハウジング20内に挿入したものである。尚、以下の説明において、前後方向については図における右方を前方ということにする。
端子金具10は、所定形状に打ち抜いた金属板材を曲げ加工したものであり、全体として前後方向に細長い形態とされている。端子金具10は、角筒部11と、角筒部11の前端から前方に向かって幅狭となるように連なるテーパ部12と、テーパ部12の前端から前方へ突出する細長いタブ13とを有している。角筒部11の下面板の後端縁は、ランス26に係止される係止部14となっている。かかる端子金具10の後端部に形成された電線接続部15には、電線16が圧着により接続されている。
ハウジング20は、合成樹脂製であって、後述する金型30A,30B,30Cによって成形される。ハウジング20の内部には、端子金具10を後方から挿入するためのキャビティ21が形成されている。キャビティ21はハウジング20を前後方向に貫通する形態であって、キャビティ21の後端部は、端子挿入口22としてハウジング20の後端面に開口されている。キャビティ21の前端部は、キャビティ21の前面壁を貫通する貫通孔23を介してハウジング20の前端面に連通されている。貫通孔23は、幅方向においてキャビティ21の中央位置に配置されている。
キャビティ21の前端部においては、その左右両側面が、端子金具10のテーパ部12の左右両側面と対応する左右対称なテーパ面24となっている。左右両テーパ面24の間隔は前方に向かって次第に狭まった形態とされている。即ち、前後方向(端子金具10の長さ方向であり、金型30A,30B,30Cの型開き方向)に対してテーパ面24は斜めに形成されており、その傾き角度は、テーパ部12の左右両側面の傾き角度とほぼ同じ角度とされている。このテーパ面24の前端は、貫通孔23の内壁に対して滑らかに連なっている。尚、キャビティ21の前端部における天井面は、前方に向かって下り勾配となったテーパ状上面25とされており、このテーパ状上面25は、端子金具10のテーパ部12の傾斜した上面と対応するようになっている。
キャビティ21には、その底壁に沿って前方へ片持ち状に延出する形態のランス26がハウジング20と一体に形成されている。ランス26は左右方向においてキャビティ21の中央位置に配置されている。ランス26の上面には、角筒部11の係止部14に対して後方から係止可能とされた抜止め突起27が形成されている。このランス26と抜止め突起27の幅寸法は貫通孔23の幅寸法と同じであり、左右方向(幅方向)においてランス26と貫通孔23とは対応する位置関係とされている。
キャビティ21には端子金具10が後方から挿入される。端子金具10が正規位置まで挿入されると、テーパ部12の左右両側面が左右一対のテーパ面24に当接するとともにテーパ部12の上面がテーパ状上面25に当接することによって端子金具10が前止まりされ、これと同時に、ランス26の抜止め突起27が係止部14に係止することによって端子金具10が後方への変位を規制された抜止め状態に保持される。また、タブ13は、貫通孔23を上下左右方向への大きなガタ付きなく貫通し、ハウジング20の前方のフード部27内へ突出した状態となる。端子金具10が正規挿入された状態では、テーパ部12の左右両側面がテーパ面24に当接することにより、端子金具10の左右へ方向への振れ(姿勢の変化)が規制され、タブ13の向きと姿勢が安定する。
さて、上記ハウジング20は金型30A,30B,30Cによって成形されるのであるが、この成形用の金型30A,30B,30Cに尖った部分が存在しないようにする手段として、次のような手段が講じられている。
即ち、キャビティ21の左右両テーパ面24(端子金具10のテーパ部12の左右両側面と対応する領域)のうち、高さ方向(上下方向)において抜止め突起27の上端部と対応する下端側領域(即ち、図1において境界線Lよりも下方の領域)には、前後方向(キャビティ21の長さ方向と平行であって、金型30A,30B,30Cの型抜き方向と平行な方向)に細長く延びた形態で凹んだ形態の逃がし部28が左右対称に形成されている。逃がし部28の上縁は抜止め突起27の最上端よりも高い位置(境界線Lと同じ高さ)に設定され、逃がし部28の下縁は抜止め突起27の抜止め突起27の最下端(ランス26の上面)よりも高い位置に設定されている。また、逃がし部28の前端は、貫通孔23の内壁に対して概ね段差状に凹んだ形態で連なっている。逃がし部28の前端面は型抜き方向に対して略直角な平坦面となっており、この前端面と側面は弧状面を介して連なっている。一方、逃がし部28の後端は、キャビティ21の左右両内側面におけるテーパ面24よりも後方の位置であって、ランス26よりも前方の位置に対し滑らかに連なっている。
次に、金型30A,30B,30Cについて説明する。キャビティ21のうち高さ方向において前記抜止め突起27と対応する領域(即ち、図1において境界線Lよりも下方の領域)の成形に際しては、第1金型30Aと第2金型30Bとが用いられる。第1金型30Aは、貫通孔23の略下半分領域の内壁面と抜止め突起27の前面を形成し、第2金型30Bは、抜止め突起27の左右両側面及び逃がし部28の内面(上面、側面及び下面)を形成する。型締め状態では、図5(A)に示すように、第1金型30Aの左右両側面に一対の第2金型30Bが接触した状態で配置される。
一方、キャビティ21のうち高さ方向において抜止め突起27と対応しない非対応領域(即ち、図1において境界線Lよりも上方の領域)の成形に際しては、図6(A)に示すように、貫通孔23の略上半分領域とテーパ面24のうち逃がし部28以外の領域とを形成する第3金型30Cが用いられる。この第3金型30Cはキャビティ21の全幅に亘って配される。型締め状態では、第3金型30Cは第1金型30Aと第2金型30Bの上面に接した状態となる。
かかる型締め状態で溶融樹脂(図示せず)を金型30A,30B,30C内に注入し、硬化させる。硬化後は型開きする。型開きに際しては、図5(B)に示すように、第1金型30Aと第2金型30Bを側面同士において互いに摺接させつつ、第1金型30Aを前方へ型抜きするとともに第2金型30Bを後方へ型抜きする。また、図6(B)に示すように、第3金型30Cを後方へ型抜きする。以上のようにして型開きした後、成形済みのハウジング20を取り出す。
本実施形態によれば、第2金型30Bの前端部によって成形される逃がし部28が、第1金型30Aによって成形される貫通孔23の内壁に対して段差状に凹んだ形態であるから、第2金型30Bの前端部は、尖らずに済む。また、テーパ部12を面接触状態で当接させるテーパ面24が残されているので、端子金具10の前止まり機能と、端子金具10の左右方向への振れ止め機能が損なわれることはない。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)逃がし部の側面は、型抜き方向に対して斜め方向であってもよい。
(2)逃がし部の前端面は、平坦な面に限らず、弧状面(湾曲面)や凹凸面等としてもよい。
(3)逃がし部の前端面は、型抜き方向に対して直角な面に限らず、型抜き方向に対して直角に近い斜めの面でもよい。
(4)抜止め突起を角筒部の後端縁に係止させず、角筒部に形成したランス孔に抜止め突起を係止させてもよい
(5)本発明は、ランスの幅が貫通孔よりも狭いコネクタにも適用できる。
ハウジングの縦断面図 縦断面図 ハウジングの一部切欠斜視図 ハウジングの水平断面図 (A)第1金型と第2金型を型締めした状態をあらわす水平断面図 (B)第1金型と第2金型を型開きした状態をあらわす水平断面図 (A)第3金型を型締めした状態をあらわす水平断面図 (B)第3金型を型開きした状態をあらわす水平断面図 従来例のハウジングの縦断面図 (A)従来例において第1の金型と第2の金型を型締めした状態をあらわす水平断面図 (B)従来例において第1の金型と第2の金型を型開きした状態をあらわす水平断面図
符号の説明
M…コネクタ
10…端子金具
11…角筒部
12…テーパ部
13…タブ
20…ハウジング
21…キャビティ
23…貫通孔
24…テーパ面
26…ランス
27…抜止め突起
28…逃がし部
30A…第1金型
30B…第2金型
30C…第3金型

Claims (2)

  1. 雄形の端子金具をハウジング内に挿入するようにしたコネクタであって、
    前記端子金具は、角筒部と、前記角筒部の前端から前方に向かって幅狭となるように連なるテーパ部と、前記テーパ部の前端から前方へ突出するタブとを有し、
    前記ハウジング内には、前記端子金具を後方から挿入するためのキャビティと、前記キャビティの左右両側面の前端部に前記テーパ部と対応するように形成されたテーパ面と、前記キャビティの底壁に沿って前方へ片持ち状に延出するランスと、ランスの上面に形成されて前記角筒部に係止することで前記端子金具を抜け止めする抜止め突起と、前記キャビティの前端から前記ハウジングの前端面に連通する貫通孔とが形成されているコネクタにおいて、
    前記キャビティの前記テーパ面のうち高さ方向において抜止め突起と対応する領域には、前記貫通孔の内壁に対して概ね段差状に凹んだ形態で連なる逃がし部が形成されていることを特徴とするコネクタ。
  2. 雄形の端子金具をハウジング内に挿入して構成され、
    前記端子金具は、角筒部と、前記角筒部の前端から前方に向かって幅狭となるように連なるテーパ部と、前記テーパ部の前端から前方へ突出するタブとを有し、
    前記ハウジング内には、前記端子金具を後方から挿入するためのキャビティと、前記キャビティの左右両側面の前端部に前記テーパ部と対応するように形成されたテーパ面と、前記キャビティの底壁に沿って前方へ片持ち状に延出するランスと、ランスの上面に形成されて前記角筒部に係止することで前記端子金具を抜け止めする抜止め突起と、前記キャビティの前端から前記ハウジングの前端面に連通する貫通孔とが形成された形態のコネクタを製造する方法であって、
    前記キャビティの前記テーパ面のうち高さ方向において抜止め突起と対応する領域に、前記貫通孔の内壁に対して概ね段差状に凹んだ形態で連なる逃がし部を形成した上で、
    前記キャビティのうち高さ方向において前記抜止め突起と対応する領域の成形に際しては、前記貫通孔及び前記抜止め突起の前面を形成する第1金型と、前記抜止め突起の側面及び前記逃がし部の側面を形成する第2金型とを用い、前記第1金型と前記第2金型を摺接させつつ、前記第1金型を前方へ型抜きするとともに前記第2金型を後方へ型抜きし、
    前記キャビティのうち高さ方向において前記抜止め突起と対応しない非対応領域の成形に際しては、前記貫通孔と前記テーパ面のうち前記逃がし部以外の領域とを形成する第3金型を用い、その第3金型を後方へ型抜きすることを特徴とするコネクタの製造方法。
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