JP3985284B2 - 熱処理炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱処理炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、セラミック電子部品を製造する工程において、セラミック材料からなる円板状の被熱処理物(以下、ワークとする)を加熱処理するために、熱処理炉が用いられている。
【0003】
この熱処理炉としては、特開平5−346288号に開示の縦型炉がある。図5に示すように、この縦型炉20は、高温状態に維持された高温ゾーン27aと、高温ゾーン近傍に設置される加熱手段25と、高温ゾーン27aを取り囲んで配設されている炉壁23と、炉壁23を貫通して高温ゾーン27aに連通接続された熱処理ゾーン27と、その熱処理ゾーン27内を移動してワーク28を高温ゾーン27aに対して遠近動作させる移動手段29とからなるものが用いられている。
【0004】
ワーク28は、移動手段29により低温ゾーン27bを通過する際には、加熱手段25によって加熱された高温ゾーン27aの炉壁23からの輻射熱と高温ゾーン27aからの熱対流によって低温焼成され、しかるのちに、移動手段29により高温ゾーン27aへ搬送され、そこで本格的に加熱手段25により高温で焼成するという方法で加熱処理が行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の熱処理炉には、以下のような問題点があった。
高温ゾーンにおいて、加熱手段によって加熱された高温ゾーンの炉壁からの発熱の影響が強く、所望の焼成温度に設定されている載置台の中央部に比べ載置台の端部の温度が若干高くなり、ワークの載置されている箇所により加熱温度にバラツキが生じるため、均一な条件でのワークの熱処理が困難であった。
【0006】
本発明の目的は、高温ゾーンにおいて、各ワーク間の加熱温度差を低減することのできる熱処理炉を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような目的に鑑みてなされたものである。本発明の熱処理炉は、低温ゾーンと高温ゾーンとからなる熱処理ゾーンを有する炉本体と、前記高温ゾーンの周囲に設けられるとともに被熱処理物を加熱する加熱手段と、前記被熱処理物を前記挿入口を介して、低温ゾーンから高温ゾーンに進入可能な前記炉本体内に沿って前記炉本体の内部に出し入れする移動手段とを備えてなり、前記炉本体は、前記移動手段の進行方向に対して直行する断面において、前記低温ゾーンの断面積よりも前記高温ゾーンの断面積の方が大きく、かつ、前記低温ゾーンから前記高温ゾーンに向かうにしたがって次第に大きくなることを特徴とする。
【0008】
【0009】
また、本発明の熱処理炉においては、前記熱処理ゾーンの断面形状において、前記低温ゾーンの炉壁は前記移動手段の進入方向に対して直交する断面積が等しい筒状部を有し、かつ、前記高温ゾーンの炉壁は前記挿入口に向かって前記断面積が小さくなるようなテーパ部を有することが好ましい。
【0010】
また、本発明の熱処理炉においては、前記熱処理ゾーンの断面形状において、前記低温ゾーンの炉壁および前記高温ゾーンの炉壁はともに前記移動手段の進入方向に対して直交する断面積が等しい筒状部を有することが好ましい。
【0011】
また、本発明の熱処理炉においては、前記熱処理ゾーンの断面形状において、前記低温ゾーンの炉壁および前記高温ゾーンの炉壁はともに前記挿入口に向かって前記断面積が小さくなるようなテーパ部を有することが好ましい。
【0012】
また、本発明の熱処理炉においては、前記熱処理ゾーンの断面形状において、前記低温ゾーンの炉壁は前記移動手段の進入方向に対して直交する断面積が等しい筒状部および前記挿入口に向かって前記断面積が小さくなるようなテーパ部の組み合わせであり、かつ、前記高温ゾーンの炉壁は前記筒状部および前記テーパ部の組み合わせであることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の熱処理炉は、低温ゾーンと高温ゾーンとからなる熱処理ゾーンを有する炉本体と、前記高温ゾーンの周囲近傍に設けられるとともにワークを加熱する加熱手段と、ワークを移動させる移動手段とを備えてなり、熱処理ゾーンの断面積に着目するならば、低温ゾーンの断面積よりも高温ゾーンの断面積の方が大きいという構成になっている。
【0014】
そうすれば、高温ゾーンにおいて、ワークの加熱温度のバラツキを抑えることができる。
【0015】
すなわち、低温ゾーンの断面積より高温ゾーンの断面積の方を大きくすることにより、低温ゾーンでは、ワークは高温ゾーンからの輻射熱および熱対流のみによって熱処理されることになるので、加熱手段を有する高温ゾーンに比べ低温焼成が可能となる。また、高温ゾーンでは、断面積が大きくなることにより、ワークと加熱手段との距離が大きくなる。このため、炉壁近傍にある加熱手段からの加熱力が抑えられる。よって、加熱手段近傍に載置されたワークが必要以上に加熱されることを防ぎ、高温ゾーンの周囲にあるワークと中央にあるワークの加熱温度のバラツキを防止することができる。
【0016】
また、上記熱処理ゾーンの断面積は、上記低温ゾーンから上記高温ゾーンに向かうにしたがって次第に大きくなることが好ましい。
【0017】
そうすれば、熱処理ゾーンの断面積の急激な変化によるワークの熱処理条件の急激な変化を防止することができるので、ワークの加熱温度のバラツキの防止に有効である。
なお、ここでいう次第に大きくなるとは、連続的または段階的に大きくなるという意味である。
【0018】
また、本発明の熱処理炉は、低温ゾーンと高温ゾーンとからなる熱処理ゾーンを有する炉本体と、高温ゾーンの周囲近傍に設けられるとともにワークを加熱する加熱手段と、ワークを載置する載置台と、載置台上のワークを移動させる移動手段とを備えてなり、載置台と炉壁との距離に着目するならば、載置台と炉本体の炉壁との距離は、低温ゾーンよりも高温ゾーンの方が大きいという構成になっている。
【0019】
そうすれば、高温ゾーンにおいて、ワークの加熱温度のバラツキを抑えることができる。
【0020】
すなわち、載置台と炉壁との距離を低温ゾーンより高温ゾーンの方を大きくすることにより、低温ゾーンでは、ワークは高温ゾーンからの輻射熱および熱対流のみによって熱処理されることになるので、加熱手段を有する高温ゾーンに比べ低温焼成が可能となる。また、高温ゾーンでは、ワークと加熱手段との距離が大きくなるため、炉壁近傍にある加熱手段からの加熱力が抑えられる。よって、加熱手段近傍に載置されたワークが必要以上に加熱されることを防ぎ、高温ゾーンの周囲にあるワークと中央にあるワークの加熱温度のバラツキを防止することができる。
【0021】
また、上記載置台と上記炉本体の炉壁との距離は、低温ゾーンから高温ゾーンに向かうにしたがって次第に大きくなることが好ましい。
【0022】
そうすれば、載置台と炉壁との距離の急激な変化によるワークの熱処理条件の急激な変化を防止することができるので、ワークの加熱温度のバラツキの防止に有効である。なお、ここでいう次第に大きくなるとは、連続的または段階的に大きくなるという意味である。
【0023】
また、本発明の熱処理炉は、低温ゾーンと高温ゾーンとからなる熱処理ゾーンを有する炉本体と、高温ゾーンの周囲近傍に設けられるとともにワークを加熱する加熱手段と、ワークを載置する載置台と、載置台上のワークを前記炉本体内で移動させる移動手段とを備えてなり、熱処理ゾーンの熱処理状態に着目するならば、載置台に載置されたワークは移動手段の移動方向からの輻射熱によって熱処理されるという構成になっている。
【0024】
そうすれば、高温ゾーンにおいて、ワークの加熱温度のバラツキを抑えることができる。
【0025】
すなわち、発熱している炉壁をワークより離すことにより、少なくともワークの進行方向からの輻射熱の熱量と同等もしくはそれ以下となるようにワークに対する炉壁からの熱量を軽減してワークを熱処理することにより、加熱手段近傍に載置されたワークが必要以上に加熱されることを防ぎ、高温ゾーンの周囲にあるワークと中央にあるワークの加熱温度のバラツキを防止することができる。
【0026】
また、本発明の熱処理ゾーンの断面形状においては、低温ゾーンの炉壁は移動手段の進入方向に対して直交する断面積が等しい筒状部を有し、かつ、高温ゾーンの炉壁は挿入口に向かって断面積が小さくなるようなテーパ部を有することが好ましい。
【0027】
そうすれば、低温ゾーンにおいては、熱処理ゾーンの断面積または載置台と炉本体の炉壁との距離を一定にすることができ、高温ゾーンにおいては、熱処理ゾーンの断面積または載置台と炉本体の炉壁との距離がワークの移動方向に向かって徐々に大きくなるように変化させることができる。
【0028】
また、本発明の熱処理ゾーンの断面形状においては、低温ゾーンの炉壁および高温ゾーンの炉壁はともに移動手段の進入方向に対して直交する断面積が等しい筒状部を有することが好ましい。
【0029】
そうすれば、低温ゾーンと高温ゾーンとを通して熱処理ゾーンの断面積または載置台と炉本体の炉壁との距離を複数段階で変化させることができる。
【0030】
なお、ここで言う複数段階とは、1箇所だけ変化させるもの(2段階変化)のものから、複数箇所で変化させるもの(多段階変化)までを含むが、好ましくは緩やかに変化させるためにも多段階変化である。
【0031】
また、本発明の熱処理ゾーンの断面形状においては、低温ゾーンの炉壁および高温ゾーンの炉壁はともに挿入口に向かって断面積が小さくなるようなテーパ部を有することが好ましい。
【0032】
そうすれば、低温ゾーンと高温ゾーンとを通して熱処理ゾーンの断面積または載置台と炉本体の炉壁との距離を一定の割合で変化させることができる。
【0033】
また、熱処理ゾーンの断面形状において、低温ゾーンの炉壁は移動手段の進入方向に対して直交する断面積が等しい筒状部および挿入口に向かって断面積が小さくなるようなテーパ部の組み合わせであり、かつ、高温ゾーンの炉壁は筒状部およびテーパ部の組み合わせであることが好ましい。
【0034】
そうすれば、低温ゾーンの炉壁および高温ゾーンの炉壁はともに筒状である場合に比べ、低温ゾーンと高温ゾーンとを通して熱処理ゾーンの断面積または載置台と炉本体の炉壁との距離を複数段階で変化させる際の変化の度合いを緩やかにすることができる。
【0035】
なお、ここでいう筒状部とは、断面積が必ずしも数学的に言う等しいものでなくてもよく、概ね等しいものであればよい。ただし、いわゆるテーパ状のものとは区別したものと考える。
【0036】
また、ここでいう断面積とは、移動手段の進行方向に対して直交する断面のことである。
【0037】
ここで、本発明の熱処理炉の種類は、特に限定するものではないが、熱対流の方向などから縦型のバッチ式熱処理炉であることが好ましい。
また、炉本体の外部の形状は、炉壁の形状に沿ったものであってもよいし、それ以外のものでもよい。
【0038】
また、本発明で用いられる炉本体の材質は特に限定するものではない。具体的には、内部に断熱材を有しSS鋼やステンレス等の金属からなるものなどが挙げられる。
【0039】
また、本発明で用いられる加熱手段は、金属ヒータ系、セラミックヒータ系等のヒータが挙げられるが、特に高温仕様の場合は炭化珪素や二珪化モリブデン等であることが好ましい。なお、加熱手段は、高温ゾーンの炉壁内部に凹部を設けて埋め込み、露出させるように設けてもよいし、高温ゾーンの炉壁近傍に支持部などを介して設置してもよい。
いずれにしても、高温ゾーンの周囲近傍であれば特に限定されない。
【0040】
また、載置台の材質としては、セラミックや耐熱金属等が挙げられるが、耐酸化性、耐還元性等の理由からセラミックが好ましい。また、載置台上に載置されたワークに対して下方からも充分な雰囲気ガスを供給することができるものであれば、より好ましい。
【0041】
次に、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0042】
【実施例】
本発明の一実施例である熱処理炉について説明する。
図1から図4は本発明の熱処理炉の概略断面図を示す。
【0043】
なお、図1から図4中の二点鎖線は高温ゾーン7aと低温ゾーン7bとの境界線を示している。
【0044】
(実施例1)本発明の熱処理炉1は、図1に示すような構成になっている。すなわち、低温ゾーン7bと高温ゾーン7aとからなる熱処理ゾーン7を有する炉本体2と、ヒータ5(加熱手段)と、移動手段9とを備えており、この熱処理ゾーン7は、低温ゾーン7bの断面積よりも高温ゾーン7aの断面積の方が大きくなるように形成されている。
【0045】
さらに詳しく説明すると、炉本体2は、SS鋼やステンレスからなり、内部に熱処理ゾーン7を有する円柱形状であり、炉壁部および炉天井部には内部にセラミックファイバーやセラミックからなる断熱材が設けられている。また、炉本体2の底部にはワーク13や移動手段9を挿入するための挿入口2aが設けられている。
【0046】
炉本体2のうち、熱処理ゾーン7の断面形状においては、低温ゾーン7bの炉壁4は断面積が変化しない筒状部4aを有し、かつ、高温ゾーン7bの炉壁3は断面積が徐々に変化するテーパ部3bを有している。すなわち、低温ゾーン7bでは、断面積は変化せず、かつ、載置台9aと炉壁4との距離も変化しない。そして、高温ゾーン7aでは断面積が移動手段9の上昇方向に垂直な方向に連続的に大きくなるとともに、載置台9aと炉壁3との距離が大きくなるように設けられている。
【0047】
また、ヒータ5は、高温仕様にするという理由から二珪化モリブデンからなるものを使用し、高温ゾーン7aの炉壁3の上部を取り囲むように設けられる。なお、ヒータ5は、1本のヒータ5を高温ゾーン7aの周囲に取り巻くように設けて構成してもよいし、複数本のヒータ5を高温ゾーン7aの周囲に取り囲むように設けて構成してもよい。
【0048】
また、移動手段9は、ワーク13を炉本体2内に投入するおよび炉本体2外へ取り出しするもので、炉本体2の下方に設けられた駆動機構9cと、下端が駆動機構9cに係合している円柱形状の棒状部9bと、棒状部9bの上端に設けられている載置台9aとからなる。
【0049】
移動手段9のうち、載置台9aは、その上端側にワーク13を載置するための円形状の載置面9dを設けているとともに、載置面9dの直径はより多くのワーク13を載置するために棒状部9bの直径よりも大きくなっており、その上にほぼ同一直径の匣11が設置されている。また、載置台9aには温度センサ(図示しない)が設置されており、熱処理ゾーン7内での熱処理温度を検知できるようになっている。
【0050】
移動手段9のうち、棒状部9bは、耐熱金属や緻密なセラミック等からなり、外部から雰囲気ガス供給手段(図示しない)によって雰囲気ガスを供給することができるように中空状となっている。また、棒状部9bを介して供給される雰囲気ガスをワーク13に供給するために、載置台9aの材質はポーラスなもの、いわゆる多孔質材料を用いている。また、多孔質材料を使用する代わりに細孔を多数設けたものを使用してもよい。また、雰囲気ガスの供給管を別に設けて、棒状部9bを中空でない部材から構成してもよい。また、棒状部9bには、雰囲気ガスの種別や濃度などを検出するガスセンサを設けてあり、雰囲気ガスの転換ならびにガス濃度の調整をする機能を有している。
【0051】
移動手段9のうち、駆動機構9cは、モータ(図示しない)を動力とし、リニアガイド(図示しない)によって上下方向の駆動力となるものである。また、駆動機構9cには、載置台9aに設置している温度センサからの情報を計算し、所望の熱処理が行えるように移動速度の調整・制御を行う機能を有している。
【0052】
(実施例2)本発明の熱処理炉1は図2のような構成になっている。すなわち、低温ゾーン7bと高温ゾーン7aとからなる熱処理ゾーン7を有する炉本体2と、ヒータ5(加熱手段)と、移動手段9とを備えており、この熱処理ゾーン7は、低温ゾーン7bの断面積よりも高温ゾーン7aの断面積の方が大きくなるように形成されている。
【0053】
さらに詳しく説明すると、炉本体2は、熱処理ゾーン7の形状に概ね合わせて異なる直径の円柱形状を組み合わせた形状になっている。
【0054】
また、熱処理ゾーン7の断面形状においては、低温ゾーン7bの炉壁4および高温ゾーン7aの炉壁3はともに断面積が変化しない筒状部3a、4aを有している。すなわち、低温ゾーン7bから高温ゾーン7aにかけて、断面積が段階的に大きくなり、かつ、載置台9aと炉壁3、4との距離とが段階的に大きくなるという構成になっている。
【0055】
なお、その他の構成は実施例1と同様である。
【0056】
(実施例3)本発明の熱処理炉1は図3のような構成になっている(ただし、この図3においては、高温ゾーン7aと低温ゾーン7bとが一体形状となっているため明確な境界線ではない)。すなわち、低温ゾーン7bと高温ゾーン7aとからなる熱処理ゾーン7を有する炉本体2と、ヒータ5と、移動手段9とを備えており、この熱処理ゾーン7は、低温ゾーン7bの断面積よりも高温ゾーン7aの断面積の方が大きくなるように形成されている。
【0057】
さらに詳しく説明すると、炉本体2は、熱処理ゾーン7の形状に合わせて台円錐形状となっている。
【0058】
また、熱処理ゾーン7の断面形状においては、低温ゾーン7bの炉壁4および高温ゾーン7aの炉壁3はともにテーパ部3b、4bを有している。すなわち、熱処理ゾーン7を形成する炉壁3、4は、低温ゾーン7bから高温ゾーン7aにかけて、連続的に断面積が大きくなり、載置台9aと炉壁3、4との距離が連続的に大きくなるという構成になっている。
【0059】
なお、その他の構成は実施例1と同様である。
【0060】
(実施例4)本発明の熱処理炉は図4のような構成になっている。
すなわち、低温ゾーン7bと高温ゾーン7aとからなる熱処理ゾーン7を有する炉本体2と、ヒータ5(加熱手段)と、移動手段9とを備えており、この熱処理ゾーン7は、低温ゾーン7bの断面積よりも高温ゾーン7aの断面積の方が大きくなるように形成されている。
【0061】
さらに詳しく説明すると、炉本体2は、熱処理ゾーン7の形状に合わせて異なる直径の円柱形状を組み合わせた形状になっている。
【0062】
また、熱処理ゾーン7の断面形状においては、低温ゾーン7bの炉壁4は筒状部4aおよびテーパ部4bの組み合わせであり、かつ、高温ゾーン7aの炉壁3は筒状部3aおよびテーパ部3bの組み合わせである。
つまり、断面積を変化させないときは筒状部3a、4aを有し、断面積を変化させるときはテーパ部3b、4bを有している。すなわち、熱処理ゾーン7を形成する炉壁3、4は、高温ゾーン7aから低温ゾーン7bにかけて、炉壁3、4の断面積が変化しない箇所と、炉壁3の断面積が連続的に変化する箇所が交互に設けられて断面積が段階的にまたは連続的に変化し、かつ、載置台9aと炉壁3、4との距離が段階的にまたは連続的に変化しているという構成になっている。
【0063】
なお、その他の構成は実施例1と同様である。
【0064】
ここで、本発明の熱処理炉1の熱処理工程について説明する。
1.ワーク13を収容した匣11を載置台9a上に載置する。
【0065】
2.移動手段9によって炉外から低温ゾーン7bに載置台9aを移動し、高温ゾーン7aからの輻射熱による低温(約50℃〜約500℃)での熱処理を行う。
【0066】
3.移動手段9によって高温ゾーン7aに載置台9aを上昇させて、高温(900℃〜1400℃)での熱処理を行う。
【0067】
4.移動手段9によって高温ゾーン7aから低温ゾーン7bへ下降させつつ冷却を行う。
【0068】
5.載置台9aを炉本体3の下に出し、焼成したワーク13を取り出す。
【0069】
以上のような工程を繰り返すことにより、多くのワーク13を一度に速やかに熱処理することが可能となる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の熱処理炉を用いれば、高温ゾーンにおいて、各ワーク間の加熱温度差を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である熱処理炉の概略断面図。
【図2】 本発明の他の実施例である熱処理炉の概略断面図。
【図3】 本発明の他の実施例である熱処理炉の概略断面図。
【図4】 本発明の他の実施例である熱処理炉の概略断面図。
【図5】 従来の熱処理炉の概略断面図。
【符号の説明】
1 熱処理炉
2 炉本体
2a 挿入口
3 高温ゾーンの炉壁
3a 筒状部
3b テーパ部
4 低温ゾーンの炉壁
4a 筒状部
4b テーパ部
5 ヒータ(加熱手段)
7 熱処理ゾーン
7a 高温ゾーン
7b 低温ゾーン
9 移動手段
9a 載置台
9b 棒状部
9c 駆動機構
9d 載置面
11 匣
13 ワーク(被熱処理物)
Claims (5)
- 挿入口を有する低温ゾーンと高温ゾーンとからなる熱処理ゾーンを有する炉本体と、前記高温ゾーンの周囲に設けられるとともに被熱処理物を加熱する加熱手段と、前記被熱処理物を前記挿入口を介して、低温ゾーンから高温ゾーンに進入可能な前記炉本体内に沿って前記炉本体の内部に出し入れする移動手段とを備えてなり、
前記炉本体は、前記移動手段の進行方向に対して直行する断面において、前記低温ゾーンの断面積よりも前記高温ゾーンの断面積の方が大きく、かつ、前記低温ゾーンから前記高温ゾーンに向かうにしたがって次第に大きくなることを特徴とする熱処理炉。 - 前記熱処理ゾーンの断面形状において、前記低温ゾーンの炉壁は前記移動手段の進入方向に対して直交する断面積が等しい筒状部を有し、かつ、前記高温ゾーンの炉壁は前記挿入口に向かって前記断面積が小さくなるようなテーパ部を有することを特徴とする請求項1に記載の熱処理炉。
- 前記熱処理ゾーンの断面形状において、前記低温ゾーンの炉壁および前記高温ゾーンの炉壁はそれぞれ前記移動手段の進入方向に対して直交する断面積が等しい筒状部の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の熱処理炉。
- 前記熱処理ゾーンの断面形状において、前記低温ゾーンの炉壁および前記高温ゾーンの炉壁はともに前記挿入口に向かって前記移動手段の進入方向に対して直交する断面積が小さくなるようなテーパ部を有することを特徴とする請求項1に記載の熱処理炉。
- 前記熱処理ゾーンの断面形状において、前記低温ゾーンの炉壁は前記移動手段の進入方向に対して直交する断面積が等しい筒状部および前記挿入口に向かって前記断面積が小さくなるようなテーパ部の組み合わせであり、かつ、前記高温ゾーンの炉壁は前記筒状部および前記テーパ部の組み合わせであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱処理炉。
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