JP3985188B2 - スピーカ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種音響機器に使用されるスピーカにおいて再生音域特性の改善を図る一つの手段として、半頂角の広い低域再生用の第1の振動板(所謂、メインコーン)の開放前面側に、半頂角が狭い高域補正用の補正用振動板(所謂、サブコーン)を設けることが行われている。このようなスピーカは、デュアルコーン(またはダブルコーン)型スピーカと称されており、半頂角が狭いサブコーンを設けることにより、再生周波数帯域が増加して高域まで再生が可能となる。
【0003】
デュアルコーン型スピーカの一例を、図8を参照しながら説明する。この図8に示すスピーカ101は、外磁型のフルレンジ型デュアルコーンスピーカであり、ヨーク111、プレート110及びマグネット112とで磁気回路部を構成している。プレート110の上面側には、フレーム105が取り付けられている。また、プレート110の径方向中央部分の挿通孔に、ヨーク中心軸111aの先端部が位置する。さらに、プレート110の内周壁面とヨーク中心軸111aの先端部外周壁面との間の隙間114には、ボイスコイルボビン104に取付固定されたボイスコイル107が配置されている。
【0004】
ボイスコイルボビン104は、ダンパ106及びエッジ108を介してフレーム105に取付固定されており、ボイスコイル107をヨーク中心軸111aの中心軸線に沿って駆動可能かつ弾性的に支持している。また、ボイスコイルボビン104には、メインコーン102の内端部が接着剤等によって固定されていて、ボイスコイル107が駆動した場合に、メインコーン102を振動可能な構成としている。
【0005】
メインコーン102は、例えば所定の肉厚のコーン紙等を材質としており、これが略漏斗状(または円錐状)に形成されており、その外端側は、エッジ108を介してフレーム105に取付固定されている。ボイスコイルボビン104の先端部には、有底のサブコーン103が、例えば接着剤等で取付固定される。それにより、メインコーン102の開放前面側にサブコーン103が配置される構成である。
【0006】
この構成により、ボイスコイル107の振動は、低域から中域ではメインコーン102とサブコーン103と両方に伝わって両者が一緒に振動することとなり、メインコーン102では振動が伝わり難い高域は、振動板の半頂角が狭く小さいため全体に振動が伝わり易いサブコーン103によって効率よく再生されることとなる。
【0007】
なお、図示しないが、デュアルコーン型スピーカでの再生音域特性の改善は、上述した外磁型のものに限定されるものではなく、内部に空間部を有するヨーク内の中心部に円柱形をしたマグネットが収納された状態で取付固定されている内磁型とすることも出来る。
【0008】
また、再生音域特性の改善を図る他の手段として、振動板の大きい低域再生用とする第1のスピーカ(所謂、ウーハ)の振動板の前面側に、別途振動板の小さい高域再生用とする第2の振動板を備える第2のスピーカ(所謂、ツイータ)を取り付けたりすることも行われている。このようなスピーカは、コアキシャル型スピーカと称されており、振動板の小さいツイータを取り付けることにより、高い周波数を受け持って高域の再生を可能とする。
【0009】
また、ここで、コアキシャル型スピーカの一例を、図9を参照しながら説明する。この図9に示すスピーカ121は、支柱形式の支持形態を有するスピーカであり、第1のスピーカであり低音用スピーカとしてのウーハ122の磁気回路部から立設した取付支柱124の先端部124aに、第2のスピーカであり高音用スピーカとしてのツイータ123を、固定ネジ129等によって取り付けることによりウーハ122の前面側に配置するようにしている。
【0010】
このスピーカ121のウーハ122は、上述のスピーカ101における構成と同様の構成であり、同一符号を用いているボイスコイルボビン104、フレーム105、ダンパ106、ボイスコイル107、振動板108、プレート110、ヨーク111、マグネット112、隙間114の詳細についての説明は省略する。
【0011】
このスピーカ121において、ウーハ122の磁気回路におけるヨーク111のヨーク中心軸111aの先端部には、ツイータ123を支持する厚肉円筒状の支柱124が設置されている。支柱124の内部には、ツイータ123を該支柱124の先端部124aに支持させるための固定ネジ129用のネジ孔路が設けられている。
【0012】
この構成により、ボイスコイル127の振動は、低域から中域ではウーハ122が担当して再生し、高域ではツイータ123が担当して再生することで、効率よく再生されることとなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、スピーカの再生音域特性の一層の改善のために、上述した二つの再生音域特性改善手段を共に講じることが考えられるが、その場合、ツイータ123を必要以上に開放前面側に移動させなければならない。
【0014】
すなわち、例えば、図9に示すスピーカ121のウーハ122(振動板108)の開放側であって、且つ、ツイータ123の背面側に、図8に示すサブコーン103を取り付けようとすると、図10に示すように、頂半角が狭く高さのあるサブコーン103の開放側先端部が、ツイータ123の背面にぶつかってしまう。
【0015】
また、図示しないが、サブコーン103の開放側先端部が、ツイータ123の背面にぶつかってしまわなくても、サブコーン103の開放側表面を、ツイータ123の背面が必要以上に覆ってしまい、サブコーン103からの出力を損なわせてしまう等の恐れがある。
【0016】
したがって、サブコーン103が有する補正用振動板としての機能を確保するためには、サブコーン103からの出力を損なわせることの無いよう、ツイータ123を必要以上に開放前面側(図10において、ウーハ122から突出する上方側)に移動させて、サブコーン103を取り付けるためのスペースを作り出さなければならない。
【0017】
しかしながら、ツイータ123を必要以上に移動させるということは、スピーカ中心部の高さ(厚み)が大きく出っ張った形状となり、取り付けのためにスピーカ全体として大きな奥行きを有する収納スペースが必要となる。
【0018】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、必要以上に大きな取り付け奥行き収納スペースを要すること無くスピーカの再生音域特性の改善を図るスピーカを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、ボイスコイルを取り付けているボイスコイルボビンと、ボイスコイルボビンの外周面に取り付けられると共に、このボイスコイルボビンの外周面よりも該ボイスコイルボビンの径方向の中心からの距離が離間して設けられる支持手段と、支持手段に接合される第1の振動板を備えるウーハと、第1の振動板の開放側に設けられると共に、第2の振動板を備え、ボイスコイルボビンを挿通する取付部材によって支持されるツイータと、ボイスコイルボビンを挿通させる挿通孔、および該挿通孔の周囲に存すると共に支持手段に直接的又は間接的に接合される接合手段を具備し、かつ第1の振動板と第2の振動板の間に位置する補正用振動板と、を具備するものである。
【0020】
また、他の発明は、上述の補正用振動板の取付構造の発明に加えて更に、支持手段は、ボイスコイルボビンを弾性支持する弾性部材の内端側を利用して構成されるものである。
【0021】
さらに、他の発明は、上述の補正用振動板の取付構造の発明に加えて更に、支持手段は、ボイスコイルボビンの外周面に嵌め込まれる環状部材を利用して構成されるものである。
【0022】
また、他の発明は、上述の補正用振動板の取付構造の発明に加えて更に、環状部材は、その半断面の形状がL字型の形状に形成されているものである。
【0023】
さらに、他の発明は、上述の補正用振動板の取付構造の各発明に加えて更に、環状部材は、その半断面の形状が矩形状に形成されているものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態について、第一の実施の形態から第三の実施の形態まで、順次説明する。なお、各実施の形態の説明の順序は、サブコーン6付近を三重に重ねて接合する場合を第一の実施の形態とし、四重に重ねて接合する場合を第二の実施の形態、及び第三の実施の形態として説明する。
【0026】
なお、これから以下に説明する各実施の形態においては、スピーカとして支柱形式のコアキシャルスピーカを採用している。しかしながら、後述する第1のスピーカ部材であり低音用スピーカであるウーハ2の開放側に、第2のスピーカ部材であり高音用スピーカとしてのツイータ3が取り付けられる形式のスピーカであれば、ブリッジ形式のコアキシャルスピーカや他の形式のスピーカとしても良い。
【0027】
(第一の実施の形態)
図1は、左側半分しか示されていないが、本発明の第一の実施の形態に係る複合スピーカの構造を説明する図であり、(a)はスピーカの半側断面図、(b)はサブコーン6の取付状態を示す部分拡大断面図である。この実施の形態の複合スピーカ1は、図1に示すように、環状のマグネット12がその外側面に露出した状態で、マグネットを取り付ける取付部としてのプレート10とヨーク11との間に固定され磁気回路部を構成する外磁型の同軸スピーカである。
【0028】
プレート10は、鉄等のマグネット12が吸着可能な材質によって形成されており、その上面側にはフレーム13が取り付けられる。
【0029】
ヨーク11の中心部に形成された凸状のヨーク中心軸11aの先端部には取付部材としての取付支柱9が立設され、この取付支柱9の先端部9aに、第2の振動板3aを供える第2のスピーカ部材としてのツイータ3が固定ネジ19を用いて取り付けられ、第1のスピーカ部材としてのウーハ2の前面側に配置される。
【0030】
フレーム13は、大径の上端側(ツイータ3が設けられる前面側)が開放して設けられると共に、小径の下端側の径方向中心側に中心孔18が形成されており、この中心孔18にはボイスコイル7が位置する構成となる。なお、このフレーム13は、プレート10に対して、例えば不図示のボルト(又はネジ)により取付固定される。
【0031】
また、プレート10の径方向中央部分にも穴部15が形成されており、この穴部15にヨーク中心軸11aの先端部が位置する。それによって、プレート10の穴部15の側壁面とこの先端部の外周面との間に所定幅の隙間が形成され、この隙間にボイスコイル7が配置されることとなる。そのため、ボイスコイル7への通電時には、該ボイスコイル7が取付固定されているボイスコイルボビン8が、ヨーク中心軸11aの中心軸線に沿って駆動可能となる。
【0032】
このボイスコイルボビン8は、弾性部材としてのダンパ4を介してフレーム13に取付固定されている。このように、ボイスコイル7は、ダンパ4によって弾性的に支持され、ヨーク中心軸11aの中心軸線に沿って駆動可能となる構成である。
【0033】
ダンパ4の内側端部付近には、該ダンパ4の径方向に沿うように平坦を為す支持手段としての支持部4bが形成されており、その内端部4aは支持部4bが存する平面と略垂直を為すように折れ曲がっている。そして、この内端部4aは、ボイスコイル7が取り付けられたボイスコイルボビン8の外周面に接着剤等により固定される。
【0034】
また、ダンパ4の内側端部付近に形成された平坦な支持部4bの上には、低域から中域の範囲を再生するのに適した振動板である、第1の振動板としてのメインコーン5の内端部5aが接着剤等により固定されている。それにより、ボイスコイル7が駆動した場合に、このボイスコイル7と一体的なメインコーン5を振動可能な構成としている。
【0035】
また、メインコーン5は、例えば所定の肉厚のコーン紙等を材質として、なだらかな傾斜を有する略漏斗状(または円錐状)に形成されており、その内端部5aは、取り付けるダンパ4の支持部4b上面と略平行となるよう内方に向って折曲され、その外端側は、エッジ16を介してフレーム13に取り付け固定されている。
【0036】
なお、メインコーン5の内端部5aは、エッジ16によってメインコーン5が支持された場合に、プレート10や支持部4bと略平行を為すように形成されている。それによって、内端部5aと支持部4bとは、接触面積が大きくなり、両者を良好に接着することが可能となる。
【0037】
さらに、ダンパ4の内側の支持部4bの上に固定されたメインコーン5の内端部5aの上には、補正用振動板としてのサブコーン6の内端部6aが取付固定されている。サブコーン6は、中域から高域の範囲の音を再生するのに適している、円形の底部に挿通孔17が形成された略カップ状の外観を呈するものである。このサブコーン6の円形の底部には、径方向に沿って挿通孔17と該挿通孔17を囲むように、接合手段としての内端部6aが設けられている。そして、この内端部6aによって、サブコーン6は支持部4bに例えば接着剤等を介して取付固定されている。
【0038】
このサブコーン6は、図2に示すように、開放側に向うにつれて径大となる環状の側面6bが一体的に形成されていると共に、内方に上記ボイスコイルボビン8の挿通が可能な大きさの挿通孔17が設けられており、その挿通孔17側と側面6bとの間の内端部6aは、やはり取り付けるメインコーン5の内端部5a(すなわち、ダンパ4の支持部4b)上面と略平行となるよう内方に向って折曲されている。この際、このサブコーン6の他端側である外端部への広がり具合や形状は、所望の周波数特性を得るために任意に設計変更して調整し得るものである。なお、図2は、本発明に用いるサブコーンの構造を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は側断面図である。
【0039】
そして、サブコーン6の内端部6aは、サブコーン6に形成された挿通孔17にボイスコイルボビン8を挿通させた後に、ダンパ4の支持部4b取り付けられる。したがって、ダンパ4の支持部4bとメインコーン5の内端部5aとサブコーン6の内端部6aは、三重に重なり合って取り付けられている。
【0040】
これにより、ウーハ2の開放側(振動により音を出力する側)であって、ツイータ3の背面側に、中域から高域の範囲の音を再生し、その周波数の補正を行うための補正用振動板としてのサブコーン6が配置される。
【0041】
このように、本実施の形態においては、ボイスコイルボビン8の外周側に設けた支持部、すなわち、ダンパ4の内側端部付近を平坦とすることにより形成した支持部4bに、メインコーン5の内端部5aを介してサブコーン6の内端部6aを取り付けるものとすることにより、その取り付け位置はボイスコイルボビンの外周面より外方へ位置ずれすることとなり、取り付けるサブコーン6の内径も大きくなる。そして、サブコーン6の内径が大きくなることにより、同じ半頂角であってもツイータ3に対しての距離が拡がり、十分な取り付けスペースが確保される。
【0042】
すなわち、従来の技術で説明した図10に示す、従来のサブコーン103と比較して、サブコーン6はその内径が大きくなるように設けられている。そのため、該サブコーン6の開放側の内径も大きくなり、そのサブコーン6の開放側においてツイータ3を設置するためのスペースを確保することが可能となる。
【0043】
しかも、サブコーン6の取り付け位置は、ダンパ4やボイスコイルボビン8に対する取り付け位置とほぼ同一の高さとなり、高さ方向においてもツイータ3に対しての距離が拡がり、十分な取り付けスペースが確保される。すなわち、サブコーン6の取り付け位置をダンパ4等と略同一とすることで、図8や図10の場合と比較してサブコーン6を下方(プレート10側)に位置させることが可能となり、サブコーン6とツイータ3とがぶつかって干渉しなくなる。したがって、補正用振動板としてのサブコーン6を取りつける場合に、ツイータ3を必要以上に移動させる必要がない。
【0044】
(第二の実施の形態)
続いて、本発明の第二の実施の形態について図3に基づいて説明する。図3は、本発明の第二の実施の形態に係る複合スピーカの構造を説明する図であり、(a)はスピーカの半側断面図、(b)はサブコーンの取付状態を示す部分拡大断面図である。
【0045】
なお、本実施の形態では、図3(a)に示すように、補正用振動板としてのサブコーン6の取り付け方以外は全て上述の第一の実施の形態と同じ構成である。このため、図中の符号は第一の実施の形態における説明において用いた図1での符号と同じ符合を用いることとし、さらに、必要以外その説明は省略することとした。また、第二の実施の形態に続いて述べる他の実施の形態においても、前記第一の実施の形態と同じ構成とした箇所は図1での符号と同じ符合を用いることとし、その説明は省略することとした。
【0046】
図3に示すように、第二の実施の形態での補正用振動板としてのサブコーン6の取り付け方は、ボイスコイルボビン8の外周面に、ボイスコイルボビン8の外周面と略垂直をなして外方に突出するように形成された庇(ひさし)状の支持部20aを有する断面L字状の、支持手段としての環状部材20を取り付け、この支持部20aにサブコーン6の内端部6aを取付固定するように変更を加えたものである。
【0047】
なお、環状部材20のうち、ボイスコイルボビン8の外周面に取り付けられる部分は、円筒状のボビン接合部20bである。環状部材20は、このボビン接合部20bと支持部20aとによって構成されている。
【0048】
ボイスコイルボビン8の外周面に接着剤等により固定された断面L字状の環状部材20に形成された平坦な庇状の支持部20aの上面には、ダンパ14の内端部14aが接着剤等により取り付けられている。また、上記環状部材20の支持部20aの上面に取り付けられたダンパ14の内端部14aの上には、この支持部20aと略平行となるよう内方に向って折曲されたメインコーン5の内端部5aが取り付けられている。
【0049】
さらに、ダンパ14の内端部14aを介して環状部材20の支持部20aの上面に取り付けられたメインコーン5の内端部5aの上には、上述の第一の実施の形態と同様に、サブコーン6に形成された挿通孔17にボイスコイルボビン8を挿通させた後のサブコーン6の内端部6aが、例えば接着剤等により取り付け固定されている。
【0050】
したがって、環状部材20の支持部20aとダンパ14の内端部14aとメインコーン5の内端部5aとサブコーン6の内端部6aは、四重に重なり合って取り付けられている。
【0051】
これによっても、第1のスピーカ部材としてのウーハ2の開放側(振動により音を出力する側)であって、第2のスピーカ部材としてのツイータ3の背面側に、中域から高域の範囲の音を再生し、その周波数の補正を行うための補正用振動板としてのサブコーン6が配置される。
【0052】
このように、本実施の形態においては、ボイスコイルボビン8の外周側に取り付けた断面L字状の環状部材20、詳しくは、環状部材20においてボイスコイルボビン8の外周面と略垂直をなして外方に突出するように形成された庇状の支持部20aに、ダンパ14の内端部14a及びメインコーン5の内端部5aを介してサブコーン6の内端部6aを取り付けている。そのため、サブコーン6の取り付け位置は、ボイスコイルボビン8の外周面より外方へ位置ずれすることとなり、取り付けるサブコーン6の内径も大きくなる。
【0053】
そして、サブコーン6の内径が大きくなることにより、同じ半頂角であってもツイータ3に対しての距離が拡がり、十分な取付スペースが確保される。
【0054】
また、この実施の形態においても、サブコーン6の取り付け位置は、ダンパ4やボイスコイルボビン8に対する取り付け位置とほぼ同一の高さとなり、高さ方向においてもツイータ3に対しての距離が拡がり、十分な取り付けスペースが確保される。そのため、従来の図8や図10の場合と比較して、サブコーン6を下方(プレート10側)に位置させることが可能となり、サブコーン6とツイータ3とがぶつかって干渉しなくなる。
【0055】
したがって、サブコーン6を取りつける場合に、ツイータ3を必要以上に移動させることなく、サブコーン6を取りつけるための十分な取付スペースの確保が出来ることとなる。しかも、サブコーン6の内方穴部側端部の取り付けは、スピーカ部材の駆動体を弾性支持する弾性部材等に影響されること無く、任意の位置(高さ)に調整することが出来るものとなる。
【0056】
また、環状部材20を介してサブコーン6やメインコーン5を取付固定することにより、サブコーン6やメインコーン5の取付固定箇所が変形せず、安定化なものとなる。それによって、サブコーン6やメインコーン5を直接ボイスコイルボビン8に取付固定した場合と同様の音質の音を出力することが可能となる。
【0057】
なお、断面L字状の環状部材20を用いた場合のサブコーン6の取り付け方はこれに限定されるものではなく、本発明の第二の実施の形態の応用例として、図4に示すように、変更を加えるようにしても良い。図4は、本発明の第二の実施の形態に係る複合スピーカの構造の応用例を説明する図であり、(a)はスピーカの半側断面図、(b)はサブコーンの取付状態を示す部分拡大断面図である。
【0058】
すなわち、まず、ボイスコイルボビン8の外周面に、ダンパ24の内端部24aを取り付け固定する。そして、内端部24aよりも上方(メインコーン5の開放側)に位置するボイスコイルボビン8の外周面に、環状部材20のボビン接合部20bを、該ダンパ24(内端部24a)とは別体的に取り付ける。さらに、支持部20aにメインコーン5の内端部5aを介してサブコーン6の内端部6aを取付固定する。
【0059】
このようにしても、ウーハ2の開放側(振動により音を出力する側)であって、ツイータ3の背面側に、中域から高域の範囲の音を再生し、さらに周波数の補正を行うためのサブコーン6を配置することが出来る。
【0060】
さらに、図示しない別の変更例としては、ボイスコイルボビン8の外周面に、ダンパ24の内端部24a及びメインコーン5の内端部5aをそれぞれ取付固定する。そして、このダンパ24の内端部24a及びメインコーン5の内端部5aの上方(メインコーン5の開放側)に、上述と同様の環状部材20を取り付け、この環状部材20の支持部20aにサブコーン6の内端部6aだけを単独で取り付け固定するように変更を加えるものとすることも考えられる。
【0061】
(第三の実施の形態)
続いて、本発明の第三の実施の形態について図5に基づいて説明する。図5は、本発明の第三の実施の形態に係る複合スピーカの構造を説明する図であり、(a)はスピーカの半側断面図、(b)はサブコーンの取付状態を示す部分拡大断面図である。なお、本実施の形態もまた、図5(a)に示すように、補正用振動板としてのサブコーン6の取り付け方以外は全て上述の第一の実施の形態もしくは第二の実施の形態(応用例も含む)と同じ構成である。
【0062】
図5に示すように、第三の実施の形態での補正用振動板としてのサブコーン6の取り付け方は、ボイスコイルボビン8の外周面に、ボイスコイルボビン8の外周面より外方に突出して形成された二つ以上の支持部30a、30bを有する断面□状(矩形状)をした肉厚状の環状部材30を取り付け、ボイスコイルボビン8の外周面と略垂直をなして外方に突出するように形成された支持部30aにサブコーン6の内端部6aを取り付け固定するように変更を加えたものである。
【0063】
なお、かかる肉厚の環状部材30は、ボイスコイル7及びボイスコイルボビン8の駆動性に影響を与えないよう、その重量設定が為されている。
【0064】
ボイスコイルボビン8の外周面に接着剤等により固定された支持手段としての環状部材30に形成された平坦な突出支持部30aの上面には、ダンパ14の内端部14aが接着剤等により取り付けられている。
【0065】
また、上記環状部材30の支持部30aの上面に取り付けられたダンパ14の内端部14aの上には、この支持部20aと略平行となるよう内方に向って折曲されたメインコーン5の内端部5aが取り付けられる。さらに、その上には、上述の第二の実施の形態と同様に、サブコーン6に形成された挿通孔17にボイスコイルボビン8を挿通させた後のサブコーン6の内端部6aが、例えば接着剤等により取付固定されている。
【0066】
したがって、環状部材30の支持部30aとダンパ14の内端部14aとメインコーン5の内端部5aとサブコーン6の内端部6aとは、四重に重なり合って取り付けられている。これによっても、ウーハ2の開放側(振動により音を出力する側)であって、ツイータ3の背面側に、中域から高域の範囲の音を再生し、その周波数の補正を行うためのサブコーン6が配置される。
【0067】
このように、本実施の形態においては、ボイスコイルボビン8の外周側に取り付けた断面□状の環状部材30(支持部30a)に、ダンパ14の内端部14a及びメインコーン5の内端部5aを介してサブコーン6の内端部6aを取り付けている。このため、その取り付け位置はボイスコイルボビン8の外周面より外方へ位置ずれすることとなり、取り付けるサブコーン6の内径も大きくなる。そして、サブコーン6の内径が大きくなることにより、同じ半頂角であってもツイータ3に対しての距離が拡がり、十分な取付スペースが確保される。
【0068】
また、この実施の形態においても、サブコーン6の取り付け位置は、ダンパ4等とほぼ同一の高さとなり、十分な取り付けスペースが確保される。そのため、サブコーン6とツイータ3とがぶつかって干渉しなくなる。これと共に、環状部材30を用いることで、サブコーン6等の取付固定箇所が変形せず、安定化なものとなる。それによって、サブコーン6やメインコーン5を直接ボイスコイルボビン8に取付固定した場合と同様の音質の音を出力可能となる。
【0069】
また、サブコーン6の挿通孔17側端部の取り付けは、スピーカ部材の駆動体を弾性支持する弾性部材等に影響されること無く、任意の位置(高さ)に調整することが出来るものとなる。
【0070】
なお、断面□状の環状部材30を用いた場合のサブコーン6の取り付け方の応用例として、図6や図7に示すように、変更を加えるようにしても良い。図6は、本発明の第三の実施の形態の応用例に係る複合スピーカの構造の応用例を説明する図であり、(a)はスピーカの半側断面図、(b)はサブコーンの取付状態を示す部分拡大断面図である。
【0071】
図6に示す応用例では、ボイスコイルボビン8の外周面に、ダンパ24の内端部24aを取付固定する。そして、このダンパ24の内端部24aの上方(振動板の開放側)に、上述の環状部材30を取り付け、環状部材の支持部30aにメインコーン5の内端部5aを介してサブコーン6の内端部6aを取付固定する。
【0072】
このようにしても、ウーハ2の開放側(振動により音を出力する側)であって、ツイータ3の背面側に、中域から高域の範囲の音を再生して周波数の補正を行うサブコーン6を配置することが出来る。
【0073】
また、図7は、本発明の第三の実施の形態の他の応用例を説明する図であり、(a)はスピーカの半側断面図、(b)はサブコーンの取付状態を示す部分拡大断面図である。図7に示す応用例では、ボイスコイルボビン8の外周面に、ダンパ24の内端部24aを取付固定する。そして、このダンパ24の内端部24aの上方(振動板の開放側)に位置するボイスコイルボビン8の外周面に、環状部材30を取り付け、これにサブコーン6の内端部6aとメインコーン5の内端部5aを取付固定する。
【0074】
すなわち、この環状部材30は断面□状であるから、ボイスコイルボビン8の外周面と略垂直をなして外方に突出する支持部30aと、ボイスコイルボビン8の外周面と略平行を為す支持部30bといった二つの取り付け部が設けられている。そして、支持部30bにメインコーン5の内端部5aを取付固定し、支持部30aにサブコーン6の内端部6aを取付固定する。
【0075】
このようにしても、ウーハ2の開放側(振動により音を出力する側)であって、ツイータ3の背面側に、中域から高域の範囲の音を再生し、その周波数の補正を行うサブコーン6を配置することが出来る。
【0076】
さらに、図示しないが、ボイスコイルボビン8の外周面に、ダンパ24の内端部24a及びメインコーン5の内端部5aをそれぞれ取付固定する。そして、このダンパ24の内端部24a及びメインコーン5の内端部5aの上方(メインコーン5の開放側)に位置するボイスコイルボビン8の外周面に、支持部30a及び支持部30を有する環状部材30を取り付ける。その後、支持部30aまたは支持部30bの何れかにサブコーン6の内端部6aだけを単独で取付固定するように変更を加えるものとすることも考えられる。
【0077】
このような本実施の形態における応用例においても、サブコーン6の内端部6aの取り付け位置はボイスコイルボビン8の外周面より外方へ位置ずれすることとなり、サブコーン6を取り付けるための十分な取付スペースの確保ができる。しかも、サブコーン6の挿通孔17側の取り付け部が二つ以上形成されるので、取付位置や取付向きが限定されることなく、取り付けし易い任意の位置や向きを選択することができる。また、サブコーン6に内端部6aが設けられていない場合でも、支持部30bにそのサブコーン6を取付固定することが可能となる。
【0078】
さらに、本実施の形態(すなわち、第三の実施の形態)のように、取り付け部が二つ以上形成される肉厚状の環状部材30の応用例としては、断面形状を凹状やH字状、三角状(直角三角状も含む)等に変更することも考えられる。
【0079】
以上、本発明の第一から第三の実施の形態について応用例も含めて述べたが、本発明は図面等に基づいて説明した実施の形態のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でこれ以外にも種々変形可能であることは言うまでも無い。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、必要以上に大きな取り付け奥行き収納スペースを要すること無くスピーカの再生音域特性の改善を図る補正用振動板を取り付けることができ、スピーカの再生音域特性を一層改善して高域特性の補正をすることができる。それにより、第2のスピーカ部材を必要以上に開放前面側に移動させる必要がない。
【0081】
しかも、スピーカの再生音域特性の改善を図る補正用振動板を取り付けることにより、スピーカの中央付近から出てはいたが、第2のスピーカ部材により遮断されていた高域成分が、補正用振動板を伝わって出力させることが出来るものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る複合スピーカの構造を説明する図であり、(a)はスピーカの半側断面図、(b)はサブコーンの取付状態を示す部分拡大断面図である。
【図2】本発明に用いるサブコーンの構造を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は側断面図。
【図3】本発明の第二の実施の形態に係る複合スピーカの構造を説明する図であり、(a)はスピーカの半側断面図、(b)はサブコーンの取付状態を示す部分拡大断面図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態に係る複合スピーカの構造の応用例を説明する図であり、(a)はスピーカの半側断面図、(b)はサブコーンの取付状態を示す部分拡大断面図である。
【図5】本発明の第三の実施の形態に係る複合スピーカの構造を説明する図であり、(a)はスピーカの半側断面図、(b)はサブコーンの取付状態を示す部分拡大断面図である。
【図6】本発明の第三の実施の形態に係る複合スピーカの構造の応用例を説明する図であり、(a)はスピーカの半側断面図、(b)はサブコーンの取付状態を示す部分拡大断面図である。
【図7】本発明の第三の実施の形態に係る複合スピーカの構造の他の応用例を説明する図であり、(a)はスピーカの半側断面図、(b)はサブコーンの取付状態を示す部分拡大断面図である。
【図8】従来のフルレンジ型のデュアルコーンスピーカの構造を説明する半側断面図である。
【図9】従来の支柱形式のコアキシャルスピーカの構造を説明する半側断面図である。
【図10】従来の支柱形式のコアキシャルスピーカに、従来のデュアルコーンスピーカに用いられているサブコーンを取り付けた場合の構造を想定し説明する半側断面図である。
【符号の説明】
1,21,31,41,51,61…複合スピーカ
2…ウーハ(第1のスピーカ部材、低音用スピーカ)
3…ツイータ(第2のスピーカ部材、高音用スピーカ)
4,14,24…ダンパ(弾性部材)
4b…支持部(支持手段)
5…メインコーン(第1の振動板)
5a…内端部
6…サブコーン(補正用振動板)
6a…内端部(接合手段)
7…ボイスコイル
8…ボイスコイルボビン
9…取付支柱
9a…先端部
13…フレーム
14a,24a…内端部
15…穴部
17…挿通孔
20…環状部材(支持手段)
20a…庇状支持部
30…環状部材
30a,30b…突出支持部
Claims (5)
- ボイスコイルを取り付けているボイスコイルボビンと、
上記ボイスコイルボビンの外周面に取り付けられると共に、このボイスコイルボビンの外周面よりも該ボイスコイルボビンの径方向の中心からの距離が離間して設けられる支持手段と、
上記支持手段に接合される第1の振動板を備えるウーハと、
上記第1の振動板の開放側に設けられると共に、第2の振動板を備え、上記ボイスコイルボビンを挿通する取付部材によって支持されるツイータと、
上記ボイスコイルボビンを挿通させる挿通孔、および該挿通孔の周囲に存すると共に上記支持手段に直接的又は間接的に接合される接合手段を具備し、かつ上記第1の振動板と上記第2の振動板の間に位置する補正用振動板と、
を具備することを特徴とするスピーカ。 - 前記支持手段は、前記ボイスコイルボビンを弾性支持する弾性部材の内端側を利用して構成されることを特徴とする請求項1記載のスピーカ。
- 前記支持手段は、前記ボイスコイルボビンの外周面に嵌め込まれる環状部材を利用して構成されることを特徴とする請求項1記載のスピーカ。
- 前記環状部材は、その半断面の形状がL字型の形状に形成されていることを特徴とする請求項3記載のスピーカ。
- 前記環状部材は、その半断面の形状が矩形状に形成されていることを特徴とする請求項3記載のスピーカ。
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