JP3984681B2 - ボンド磁石、磁石部品およびその製造方法 - Google Patents

ボンド磁石、磁石部品およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボンド磁石と、このボンド磁石と軸やヨーク等の金属部品とが組み合わされた磁石部品と、この磁石部品の製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
ボンド磁石は、磁石粉末を樹脂や低融点金属等のバインダにより結合したものである。ボンド磁石の製造方法には、
1)ゴム系樹脂と磁石粉末とを混合した後、押し出し成形によりシート状や棒状とし、その後、切断加工する方法、
2)熱可塑性樹脂と磁石粉末とを混練した後、射出成形する方法、
3)熱硬化性樹脂と磁石粉末とを混合した後、圧縮成形し、次いで樹脂を硬化する方法、
4)低融点金属粉末と磁石粉末とを混合した後、温間または冷間で圧縮成形し、得られた成形体に必要に応じて熱処理を施す方法(特開平5−6814号公報)
などがある。
【0003】
焼結磁石では、焼結工程で生じる反り等の変形により焼結後の加工が必要となるが、ボンド磁石は、圧縮成形、射出成形、押し出し成形などにより任意の形状にでき、少ない工程で寸法精度の高い磁石が得られる。また、粉末状態でしか得られないような磁石材料、例えば高速急冷法により製造されるNd−Fe−B系等方性磁石材料や、Sm2Fe17x系異方性磁石材料などは、通常、ボンド磁石として利用することになる。
【0004】
ボンド磁石は、通常、ヨークや軸等の固定部材に取り付けられて磁石部品とされ、モータ等に用いられる。固定部材にボンド磁石を固定するためには、通常、接着剤が用いられる。接着剤を用いる場合、磁石または固定部材に接着剤を塗布する工程が必要であるが、磁石や固定部材の寸法が小さい場合、塗布が困難である。また、樹脂系の接着剤は耐熱性が低いため、問題がある。
【0005】
接着剤を用いない方法としては、圧入法がある。圧入法は、通常、比較的展延性のある材料、例えば鉄基、Al基、Cu基材料等に適用されるが、これらの材料を用いた場合と同等の圧入代(例えば軸挿入の場合には径の重なり幅)をボンド磁石に対する圧入に適用すると、ボンド磁石は展延性が低いため割れや欠けが生じてしまう。圧入代を小さくすれば割れや欠けは発生しないが、その場合には十分な固定強度が得られない。
【0006】
これに対し特開平8−78228号公報では、磁石粉末とバインダとからなるリング状または円筒状のボンド磁石に、磁石内径の圧入代が2%以上、圧入トルクが250g・cmで圧入可能な可撓性をもたせて、これにシャフトやピンを圧入することを提案している。ボンド磁石に可撓性をもたせる方法としては、ゴムやシリコンなどのエラストマーで変成したエポキシ樹脂などをバインダに用いることが記載されている。しかし、この方法では、樹脂バインダの可撓性だけによってシャフトやピンを固定しているため、固定強度が不十分である。
【0007】
特開平2−66904号公報には、磁性体粉末を含有する樹脂組成物からなる磁石と芯材とを、テフロン系またはシリコン系樹脂層を介して一体化したプラスチック磁石成形品が記載されている。同公報には、収縮性チューブを芯材にはめて加熱収縮させることにより芯材に密着させるか、樹脂層を焼き付けて芯材へ密着させた後、芯材を金型に設置し、射出成形または圧縮成形によって一体化する製造方法が記載されている。しかし、この方法では、芯材の形状が制限され、また、芯材を金型に設置する工程が複雑であるという問題がある。また、この方法においてもボンド磁石と芯材との固定は樹脂層が担うため、固定強度および耐熱性が不十分である。
【0008】
特開昭64−89417号公報には、磁石素材と結合剤との複合物を金型内で圧縮すると同時に、樹脂製の結合膜を密着した支持部材と一体化し、その後、結合剤を重合硬化する樹脂磁石構造体の製造方法が記載されている。この方法では、まず、金型内に上記複合物を充填する。次いで、結合膜を密着させた支持部材を下フロートコアと上フロートコアとに挟み、これを複合物内に挿入した後、上パンチと下パンチとにより複合物を圧縮する。しかし、この方法では、金型内に挿入する支持部材の形状が棒状に限られてしまう。また、この方法では、磁石と支持部材とが樹脂製の結合膜によって接着されるため、接着強度および耐熱性が不十分である。
【0009】
ところで、低融点金属をバインダとして用いるメタルボンド磁石の場合には、金属バインダの融点以上までボンド磁石を昇温し、溶融した金属バインダの接着力によって軸やヨーク等を接着する方法も考えられる。しかし、この方法は、ボンド磁石全体を金属バインダの融点以上まで昇温するため、金属バインダが接着面以外でも溶出してしまい、寸法精度の低下を招く。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、接着剤や樹脂層等の樹脂を介することなく、また、圧入を利用することなく、ボンド磁石に軸やヨーク等の部品を強固に固定し、しかも、ボンド磁石の寸法精度を低下させないことである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(7)のいずれかの構成により達成される。
(1)ボンド磁石であって、磁石粉末と熱硬化性樹脂とハンダ粉末とを含有し、前記磁石粉末および前記ハンダ粉末を構成する各粒子が前記熱硬化性樹脂により結合されており、前記熱硬化性樹脂の硬化温度が前記ハンダ粉末の融点よりも低く、固定部材に接触する部分の前記ハンダ粉末が溶融することで、前記ボンド磁石を前記固定部材に一体化することを特徴とするボンド磁石。
(2)前記熱硬化性樹脂の含有量が1.5〜4重量%であり、前記ハンダ粉末の含有量が1〜40重量%である上記(1)のボンド磁石。
(3)前記磁石粉末が、少なくともNd、FeおよびBを含有する磁石粒子を含むか、少なくともSm、FeおよびNを含有する磁石粒子を含むか、少なくともSmおよびCoを含有する磁石粒子を含む上記(1)または(2)のボンド磁石。
(4)磁石粉末と熱硬化性樹脂とハンダ粉末とを含有し、前記磁石粉末および前記ハンダ粉末を構成する各粒子が前記熱硬化性樹脂により結合されており、前記熱硬化性樹脂の硬化温度が前記ハンダ粉末の融点よりも低いものであるボンド磁石と、このボンド磁石と一体化された固定部材とを有する磁石部品であって、前記固定部材の前記ボンド磁石との接触面の少なくとも一部が金属から構成されており、前記ボンド磁石が含有する前記ハンダ粉末により前記ボンド磁石と前記固定部材とが接着されている磁石部品。
(5)磁石粉末と熱硬化性樹脂とハンダ粉末とを含有し、前記磁石粉末および前記ハンダ粉末を構成する各粒子が前記熱硬化性樹脂により結合されており、前記熱硬化性樹脂の硬化温度が前記ハンダ粉末の融点よりも低いものであるボンド磁石と、このボンド磁石と一体化された固定部材とを有する磁石部品を製造するに際し、前記ボンド磁石と前記固定部材とを接触させ、前記ボンド磁石が含有する前記ハンダ粉末を溶融させることにより接着を行う磁石部品の製造方法。
(6)前記固定部材だけを加熱することにより、前記ボンド磁石の前記固定部材との接触面付近に存在するハンダ粉末だけを溶融させる上記(5)の磁石部品の製造方法。
(7)前記ボンド磁石と前記固定部材とをハンダ付け用フラックスを介して接触させた状態で、前記接着を行う上記(5)または(6)の磁石部品の製造方法。
【0012】
【作用および効果】
従来のボンド磁石には、樹脂バインダを用いる樹脂ボンド磁石と、ハンダ等の低融点金属からなるバインダを用いるメタルボンド磁石とがあった。しかし、これらのボンド磁石に軸やヨーク等の固定部材を固定する場合には、前述したような問題が生じていた。
【0013】
これに対し本発明では、バインダとして熱硬化性樹脂を用い、かつボンド磁石中にハンダ粉末を存在させる。この組み合わせによって、樹脂バインダまたは金属バインダ単独では得られなかった効果が得られる。本発明では、まず、磁石粉末と熱硬化性樹脂とハンダ粉末とを含む混合物を圧縮成形して成形体を得、この成形体を熱処理して熱硬化性樹脂を硬化させる。熱硬化性樹脂には硬化温度がハンダの融点よりも十分に低いものを用い、ハンダの融点未満で樹脂を硬化させる。したがって、樹脂硬化の際にハンダ粉末は溶融しないため、樹脂硬化に伴う寸法変化および形状変化は、通常の樹脂ボンド磁石と同様にごくわずかである。
【0014】
このようにして得たボンド磁石に固定部材を接着して磁石部品とする場合には、ボンド磁石と固定部材とを接触させた状態で、ボンド磁石中のハンダ粉末を溶融させる。これにより、ボンド磁石と固定部材とをハンダにより接着できるので、接着強度が極めて大きくなり、耐熱性も樹脂系接着剤に比べ良好となる。本発明のボンド磁石では、ハンダ粉末はバインダではなく樹脂がバインダであるため、メタルボンド磁石に比べてハンダ含有量が少ない。このため、接着の際にハンダが溶融するにもかかわらず、形状および寸法の変化は少ない。そして、接着の際にボンド磁石全体を加熱せずに固定部材だけを加熱すれば、ボンド磁石と固定部材との接触面付近に存在するハンダ粉末だけを溶融させることができるため、ボンド磁石表面に溶融したハンダがしみ出すことがなく、形状および寸法の変化は生じない。
【0015】
また、ボンド磁石と固定部材とをハンダ付け用フラックスを介して接触させた状態でハンダ粉末を溶融させれば、接着強度をより高くすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
ボンド磁石
磁石粉末
磁石粉末は、少なくともNd、FeおよびBを含有する磁石粒子を含むか、少なくともSm、FeおよびNを含有する磁石粒子を含むか、少なくともSmおよびCoを含有する磁石粒子を含むものであることが好ましい。
【0017】
少なくともNd、FeおよびBを含有する磁石は、いわゆるNd2Fe14B系磁石である。この磁石では、Ndの一部を他の希土類元素で置換したり、Feの一部をCo等の他の遷移元素で置換してもよい。
【0018】
少なくともSm、FeおよびNを含有する磁石は、いわゆるSm2Fe17x系磁石であり、xは3程度である。この磁石では、Smの一部を他の希土類元素で置換したり、Feの一部をCo等の他の遷移元素で置換してもよい。この組成系では、希土類元素を4〜8原子%、Nを10〜20原子%含有し、さらに元素M(Mは、Zrであるか、Zrの一部をTi、V、Cr、Nb、Hf、Ta、Mo、W、Al、CおよびPの少なくとも1種で置換したもの)を2〜10原子%含有し、TbCu7型、Th2Zn17型およびTh2Ni17型から選択される少なくとも1種の結晶相を含む硬質磁性相と、bcc構造のα−Fe相(FeとCoとの混合物相を含む)からなる軟質磁性相とを有し、軟質磁性相の平均結晶粒径が5〜60nmであり、軟質磁性相の割合が10〜60体積%であるものが好ましく、特に、硬質磁性相がTbCu7型からなるものが好ましい。このようなSm2Fe17x系磁石は、本出願人による特願平7−197001号にその詳細が記載されている。
【0019】
少なくともSmおよびCoを含有する磁石は、いわゆるSmCo5系またはSm2Fe17系の磁石である。この磁石では、Smの一部を他の希土類元素で置換したり、Coの一部を他の遷移元素で置換してもよい。
【0020】
磁石粉末の好ましい平均粒径は、磁石粉末の組成やその製造方法などによっても異なるので特に限定されず、通常の樹脂ボンド磁石の場合と同等、例えば、10〜500μm程度、好ましくは15〜250μmとすればよい。
【0021】
熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂は、ボンド磁石に共に含有されるハンダ粉末の融点よりも低い硬化温度をもつものであれば、特に制限なく使用可能である。好ましい硬化温度は、共にボンド磁石に含有されるハンダ粉末の融点によっても異なるが、好ましくは後述する範囲の熱処理温度で硬化できるものを選択する。具体的には、例えば、フェノール系、不飽和ポリエステル系、メラミン系、エポキシ系等の各種熱硬化性樹脂から適宜選択して用いればよい。
【0022】
ボンド磁石中における熱硬化性樹脂の含有量は、好ましくは1.5〜4重量%、より好ましくは2.5〜3.5重量%である。熱硬化性樹脂の含有量が少なすぎると、ボンド磁石の強度を十分に高くすることが難しくなり、含有量が多すぎると、ボンド磁石中の磁石粉末の比率が小さくなって高い磁気特性が得られにくくなる。
【0023】
ハンダ粉末
ハンダ粉末の組成は特に限定されず、低融点、具体的には融点が450℃以下の金属または合金であればよい。ただし、ボンド磁石と固定部材とを一体化する際に、加熱してハンダ粉末を溶融させる必要があるため、この加熱により磁気特性の著しい劣化が生じないように、用いる磁石粉末に応じた適当な融点をもつハンダ粉末を選択する。また、熱硬化性樹脂は高温加熱により劣化して脆くなるので、樹脂劣化を避けるためには、融点が好ましくは300℃以下、より好ましくは220℃以下のハンダ粉末を用いる。また、ハンダ粉末の融点が低すぎると熱安定性が不十分となるため、ハンダ粉末の融点は100℃以上であることが好ましい。好ましいハンダ粉末組成としては、例えば、Pb−Sn、Pb−Ag、Bi−Sn、Zn−Cd、Pb−Sn−Sb、Pb−Sn−Cd、Pb−Sn−In、Bi−Sn−Sb、Pb−Sn−Gaなどが挙げられるが、これらのうちではPbおよびSnを含有するか、BiおよびSnを含有するもの、特にSnを62重量%含有するPb−Snが好ましい。
【0024】
ハンダ粉末の平均粒径は特に限定されないが、好ましくは5〜200μm、より好ましくは20〜180μmである。ハンダ粉末の平均粒径が小さすぎると、成形時の金型のかじりの原因となり、また、酸化されやすくなってしまう。一方、ハンダ粉末の平均粒径が大きすぎると、磁石粉末との混合の際に均一に混合することが難しくなり、また、成形空間の入口が狭い金型を用いる場合に充填が困難となる。
【0025】
ボンド磁石中におけるハンダ粉末の含有量は、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは5〜35重量%である。ハンダ粉末の含有量が少なすぎると、固定部材との間で十分な接着強度を得ることが難しくなり、含有量が多すぎると、ボンド磁石中の磁石粉末の比率が小さくなって高い磁気特性が得られにくくなる。
【0026】
製造方法
本発明のボンド磁石は、磁石粉末と熱硬化性樹脂とハンダ粉末との混合物を圧縮成形した後、熱硬化性樹脂を硬化して、磁石粉末およびハンダ粉末を構成する各粒子を結合することにより得られる。
【0027】
磁石粉末と熱硬化性樹脂とハンダ粉末とを混合する方法は特に限定されない。例えば、樹脂でコーティングした磁石粒子および/または樹脂でコーティングしたハンダ粒子を用いてもよく、3者をミキサー等で直接混合してもよい。
【0028】
成形圧力は特に限定されないが、4〜15t/cm2 とすることが好ましい。成形圧力が低すぎると良好な磁気特性が得られなくなり、成形圧力が高すぎると金型の破損などの不具合が生じやすい。なお、必要に応じ、磁場中で成形してもよい。
【0029】
熱硬化性樹脂の硬化は、樹脂の硬化温度以上かつ成形体が含有するハンダの融点未満の温度で成形体を熱処理することにより行う。具体的な熱処理温度は用いる樹脂およびハンダの種類によって異なるが、通常、80〜200℃、好ましくは90〜180℃である。熱処理の際の温度保持時間は、通常、0.5〜7時間程度とすればよい。
【0030】
磁石部品
本発明における磁石部品とは、ボンド磁石と、このボンド磁石と一体化された固定部材とを有するものである。この場合の固定部材とは、ボンド磁石に固定される部材のことであり、例えば、ボンド磁石が装着されるリング状やカップ状、円板状のヨーク、円筒形ボンド磁石の中心孔に固定される軸などである。なお、上記軸は、歯車等の他の部材が、接着、圧入、一体成形、削り出し等の形状加工などにより一体化されているものを含む。
【0031】
本発明で用いる固定部材は、ボンド磁石との接触面の少なくとも一部、好ましくは接触面全面、より好ましくは部材全体が金属から構成されているものである。固定部材に用いる金属は、磁性体であっても非磁性体であってもよい。
【0032】
ボンド磁石と固定部材との接着は、両者を接触させた状態、例えばヨークにボンド磁石をはめ込んだ状態や、ボンド磁石の中心孔に軸を通した状態として、ボンド磁石中のハンダ粉末が溶融する温度で熱処理を施すことにより行う。図1に、リング状のボンド磁石1aに軸1bを挿入した状態を示す。
【0033】
固定部材とボンド磁石とは接触しているだけでよく、一方を他方に圧入する必要はない。なお、圧入してもよいが、その場合には、ボンド磁石に割れや欠けが生じず、かつ、要求される範囲内にボンド磁石の寸法変化が収まるように、圧入代を決定する。
【0034】
この熱処理は、ボンド磁石全体を加熱するものであってもよいが、好ましくは固定部材だけを加熱することにより、ボンド磁石の固定部材との接触面付近のハンダ粉末だけを溶融させる。固定部材だけを加熱するための手段は特に限定されず、例えば固定部材だけにヒータを接触させたり、固定部材だけをレーザ加熱したり、凹面鏡により固定部材だけを放射加熱したり、固定部材に通電してジュール熱を利用した加熱を行ったりすればよい。図1は、ボンド磁石1aに軸1bを挿入した磁石部品1について、治具2を介して軸1bだけをホットプレート3により加熱する場合を示したものである。熱処理温度は、ボンド磁石が含有するハンダ粉末の融点以上であればよく、特に上限はないが、磁石粉末を高温にさらすことによる磁気特性劣化は避ける必要がある。
【0035】
なお、接着強度を高めるために、ボンド磁石の固定部材との接触面および/または固定部材のボンド磁石との接触面に、ハンダ付け用フラックスの膜を形成しておいてもよい。膜形成方法は特に限定されず、例えば、フラックスを含んだ溶液を塗布したり、フラックスを含んだ溶液に浸漬したりした後に乾燥する方法などを用いればよい。
【0036】
ボンド磁石の寸法および固定部材の寸法は特に限定されないが、本発明ではボンド磁石や固定部材に接着剤を塗布したり、固定部材を樹脂チューブに挿入したりする必要がないので、ボンド磁石と固定部材とが小さい場合に有利である。例えば、リング状や円板状のボンド磁石に本発明を適用する場合、外径が4mm程度以下、特に3mm程度以下、特に2mm程度以下であって、厚さ/外径が30〜120%程度、内径/外径が15〜80%程度のものに対し、本発明は特に有効である。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0038】
実施例1
Arガス雰囲気中において単ロールを用いた高速急冷法によりSm−Fe−Zr−Co合金の溶湯を冷却して、微細結晶を有する比較的短い合金薄帯を得た。これを機械的に粉砕した後、105μmのオープニングの篩を通過させて分級した。次いで、結晶化のためにAr雰囲気中において700℃で1時間の熱処理を施し、続いて大気圧の窒素フロー雰囲気中において400℃で20時間の窒化処理を施し、平均粒径60μmの希土類窒化磁石粉末を得た。この磁石粉末の組成は、
Sm=7.1原子%、
Zr=2.8原子%、
Co=4.3原子%、
N=15.0原子%、
残部Fe
であった。X線回折と透過型電子顕微鏡観察とから、この磁石粉末はSm:Fe=1:7よりもSmリッチであるSmFe7金属間化合物相とα−Fe相とを含むことがわかった。α−Fe相の比率は約25体積%であった。この磁石粉末の磁気特性は、
Br=9.5kG、
HcJ=9.8kOe、
(BH)max=16.5MGOe
であった。
【0039】
この磁石粉末に、ビスフェノール型エポキシ樹脂粉末と、平均粒径50μmの共晶ハンダ(Snを62重量%含有するPb−Sn、融点183℃)粉末とを混合した。混合物中の樹脂粉末量は2.5重量%、共晶ハンダ粉末量は20重量%であった。
【0040】
この混合物を10t/cm2の圧力で圧縮成形し、リング状の成形体を得た。この成形体は、外径約3mm、内径約1mm、高さ約2mmであった。
【0041】
次いで、大気中において150℃で4時間の熱処理を施して樹脂を硬化し、ボンド磁石を得た。このボンド磁石の磁気特性は、
Br=5.5kG、
HcJ=9.8kOe、
(BH)max=5.5MGOe
であった。
【0042】
比較例1
樹脂を混合しない代わりに共晶ハンダ粉末量を30重量%とし、かつ、樹脂硬化のための熱処理を行わなかったほかは実施例1と同様にしてボンド磁石を作製した。このボンド磁石の磁気特性は、
Br=5.7kG、
HcJ=9.8kOe、
(BH)max=5.8MGOe
であった。
【0043】
比較例2
比較例1で作製したボンド磁石を250℃で5分間熱処理してハンダ粉末を溶融し、放冷してメタルボンド磁石を得た。
【0044】
上記実施例および比較例で作製したボンド磁石の中心孔に、軸を挿入した。この軸は、SUS303の表面に厚さ2μmのNi無電解めっき膜を形成したものであり、長さは5mmである。軸の外径からボンド磁石の内径を減じた値(圧入代)を表1に示すものとし、ボンド磁石の破損を調べた。また、軸挿入前に、各ボンド磁石の外径をレーザ光を利用して測定し、外径のばらつき(最大径と最小径との差)を求めた。これらの結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003984681
【0046】
表1から、実施例1のボンド磁石は、通常の樹脂ボンド磁石と同様に機械的強度が高く、寸法精度が高いことがわかる。これに対し、圧縮成形後、ハンダ粉末を溶融しなかった比較例1のボンド磁石は、寸法精度は高いが機械的強度が不十分である。また、圧縮成形後、ハンダ粉末を溶融した比較例2のボンド磁石は、機械的強度は高いが、溶融したハンダ粉末が磁石表面にしみ出したため、真円度が低下してしまった。
【0047】
次に、実施例1のボンド磁石に挿入した軸を加熱することによりボンド磁石と軸とを接着し、磁石部品を得た。具体的には、図1に示すように、径1.1mmの穴部2aを有する真鍮製の治具2を、ホットプレート3により300℃に加熱した後、穴部2aに軸1bを30秒間挿入した。なお、このとき、ボンド磁石1aを治具2に接触させず、軸1bだけが加熱されるようにした。接着後、磁石部品1を十分に放冷した。
【0048】
次いで、ボンド磁石と軸との間の接着強度を測定した。具体的には、ボンド磁石を治具に固定し、軸をその長さ方向に押して、軸が抜けたときの荷重を接着強度とした。
【0049】
また、ハンダ粉末含有量を表2に示すものとしたほかは実施例1と同様にして実施例2〜4のボンド磁石を作製した。そして、これらのボンド磁石についても、実施例1のボンド磁石と同様に軸を挿入して加熱を行った後、接着強度を測定した。また、ハンダ付け用フラックスを溶剤に溶かしたものを上記軸に塗布して乾燥し、この軸を上記各実施例のボンド磁石に挿入し、上記のようにして軸だけを加熱した後、接着強度を測定した。また、各実施例のボンド磁石のBrを測定した。
【0050】
これらの測定結果を表2に示す。なお、表2に示す結果は、圧入代を10μmとした場合のものである。
【0051】
【表2】
Figure 0003984681
【0052】
表2から、ハンダ粉末含有量が増えるにしたがって接着強度が増大し、一方、Brは低下することがわかる。また、ハンダ付け用フラックスの使用により、接着強度が増大することがわかる。
【0053】
なお、実施例1のボンド磁石に軸を挿入し、上記のようにして軸だけを加熱した後、ボンド磁石の外径のばらつき(最大径と最小径との差)を調べたところ、12μmであった。一方、実施例1のボンド磁石に軸を挿入した後、250℃の恒温槽を用いてボンド磁石と軸とを5分間加熱して両者を接着したところ、ボンド磁石外周面付近のハンダが溶融してしみ出してしまい、ボンド磁石の外径のばらつきは230μmと大きくなった。
【0054】
実施例5
平均粒径180μmのNd−Fe−Co−B系急冷磁石粉末[マグネクエンチ社製の商品名MQP−B粉]をピンミルで粉砕して平均粒径100μmの磁石粉末を得、この磁石粉末を用いたほかは実施例1と同様にしてボンド磁石を作製した。このボンド磁石の磁気特性は、
Br=5.0kG、
HcJ=9.0kOe、
(BH)max=4.3MGOe
であった。
【0055】
このボンド磁石に、実施例1のボンド磁石と同様に軸を挿入し、軸だけを加熱することにより接着した後、接着強度を測定したところ、実施例1のボンド磁石を用いた場合と同等の接着強度が得られた。
【0056】
以上の結果から、本発明の効果が明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】軸を挿入したボンド磁石について、軸だけを加熱することによりボンド磁石と軸とを接着する方法を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 磁石部品
1a ボンド磁石
1b 軸
2 治具
2a 穴部
3 ホットプレート

Claims (7)

  1. ボンド磁石であって、磁石粉末と熱硬化性樹脂とハンダ粉末とを含有し、前記磁石粉末および前記ハンダ粉末を構成する各粒子が前記熱硬化性樹脂により結合されており、前記熱硬化性樹脂の硬化温度が前記ハンダ粉末の融点よりも低く、
    固定部材に接触する部分の前記ハンダ粉末が溶融することで、前記ボンド磁石を前記固定部材に一体化することを特徴とするボンド磁石。
  2. 前記熱硬化性樹脂の含有量が1.5〜4重量%であり、前記ハンダ粉末の含有量が1〜40重量%である請求項1のボンド磁石。
  3. 前記磁石粉末が、少なくともNd、FeおよびBを含有する磁石粒子を含むか、少なくともSm、FeおよびNを含有する磁石粒子を含むか、少なくともSmおよびCoを含有する磁石粒子を含む請求項1または2のボンド磁石。
  4. 磁石粉末と熱硬化性樹脂とハンダ粉末とを含有し、前記磁石粉末および前記ハンダ粉末を構成する各粒子が前記熱硬化性樹脂により結合されており、前記熱硬化性樹脂の硬化温度が前記ハンダ粉末の融点よりも低いものであるボンド磁石と、このボンド磁石と一体化された固定部材とを有する磁石部品であって、
    前記固定部材の前記ボンド磁石との接触面の少なくとも一部が金属から構成されており、
    前記ボンド磁石が含有する前記ハンダ粉末により前記ボンド磁石と前記固定部材とが接着されている磁石部品。
  5. 磁石粉末と熱硬化性樹脂とハンダ粉末とを含有し、前記磁石粉末および前記ハンダ粉末を構成する各粒子が前記熱硬化性樹脂により結合されており、前記熱硬化性樹脂の硬化温度が前記ハンダ粉末の融点よりも低いものであるボンド磁石と、このボンド磁石と一体化された固定部材とを有する磁石部品を製造するに際し、前記ボンド磁石と前記固定部材とを接触させ、前記ボンド磁石が含有する前記ハンダ粉末を溶融させることにより接着を行う磁石部品の製造方法。
  6. 前記固定部材だけを加熱することにより、前記ボンド磁石の前記固定部材との接触面付近に存在するハンダ粉末だけを溶融させる請求項5の磁石部品の製造方法。
  7. 前記ボンド磁石と前記固定部材とをハンダ付け用フラックスを介して接触させた状態で、前記接着を行う請求項5または6の磁石部品の製造方法。
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