JP3984333B2 - 無機質板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメント系の生板をプレス成形機によりプレスして模様付けする無機質板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からセメントを主原料とし、これに繊維等を混入した成形材料を押出成形機により押出成形し、これを一定長さに切断して得た生板を、ロール成形機や、高圧のプレス成形機等により表面に模様付けをし、その後養生して表面に模様を有する繊維補強セメント板を製造することが行われている。
【0003】
ところが、セメント系の生板に模様付けをするに当たって、従来のようにロール成形機や、プレス成形機等により模様付けするものにおいては、寸法精度が悪くて模様のシャープさを出せないという問題があった。また、高圧のプレス成形機においては更に中空を有する生板に対しては模様付けができないという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、中空形状、中実形状にかかわらず低圧でシャープな模様付けができる無機質板の製造方法を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の無機質板の製造方法は、押出成形された中空を有するセメント系の生板1をプレス成形機2によりプレスして模様付けするに当たり、プレス最下限位置まで下降した時点で0.10MPa以下の真空圧で生板1に形成される模様部分3を真空吸引するものであって、プレスを行う際にプレスされる生板1の弾性限界応力が0.10MPa以下となるように振動エネルギーを与えることを特徴とするものである。このような方法を採用することで、型2aに設けた模様付け用凹凸部4により押圧されて生板1に模様部分3が形成される際、該模様部分3が真空吸引されることで、シャープな模様付けがなされることになり、また、プレスされる生板1の弾性限界応力が0.10MPa以下であるので、生板1が中空形状であっても低圧でシャープな模様付けができるものである。
【0006】
また、プレスを行う際に押出成形された生板1の弾性限界応力が0.10MPa以下となるように振動エネルギーを与えることで、材料の流動性を確保することができるものである。
【0007】
また、押出成形された中空5を有する生板1をプレスすることで、表面にシャープな模様付けがされた中空5を有する無機質板を製造することができる。
【0008】
また、中空1を有する生板1の上面側に模様付けがなされるものであって、生板1の中空5部分の上部がアーチ状をしていることが好ましい。このような構成とすることで、上面に模様付けをするためにプレス成形する際に、アーチ状の部分が圧縮に対して強い形状であるため、深い模様付けを可能とするものである。
【0009】
また、中空の生板1の上面側に模様付けがなされるものであって、生板1の中空5部分が下方に凸となった下向き凸中空部5aを備えていることが好ましい。このようにすることで、プレスにより中空5部分が一部潰れるような場合があっても、下向き凸中空部5aが残って、該凸中空部5aを通気通路として残すことがでるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明を以下添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1には無機質板を製造するラインの概略説明図が示してある。すなわち、押出成形機10により押し出された生板1は適当なサイズに切断され、トレーに載置した状態でプレス成形機2に運ばれ、プレス成形機2によりプレス成形されて表面に模様付けがなされ、その後、プレス成形が完了した生板1をトレー11に載置したものを多数移動台車12に積載し、これを養生装置13に入れて養生することで無機質板を製造するようになっている。
【0011】
そして、本発明においては、上記生板1をプレス成形機2によりプレスする工程に特徴がある。図2(a)乃至(d)にはプレス成形の順序が示してある。すなわち、プレス成形機2は真空ボックス付の型2aの外周部に枠型2bを取付けて構成してあり、真空ボックス付の型2aの下面部には模様付け用凹凸部4が設けてあり、また、該模様付け用凹凸部4のうち模様付け用凸部4a部分の側部には真空吸引用の吸引口14が設けてある。そして、セメント系の生板1をプレス成形機2によりプレスして生板1の表面に模様付けをするのであるが、この際、型2aを下降させて生板1の上面をプレスするに当たり、型2aが最下限位置まで下降した時点で吸引口14から真空吸引するものである。つまり、図2(b)のように型2aが最下限位置まで下降した時点で生板1のプレスされる部位においては応力集中部分から応力の少ない方に流れて表面に模様付けがなされるのであるが、この時、生板1に形成される模様部分3である凹み部においては図3(b)の矢印に示すように凹み部形成による引っ張り応力と、材料の反力とが釣り合って、凹み部の両内側面が弧状になってしまうが、本発明においては、このプレス最下限位置において図2(c)の矢印に示すように吸引口14から真空吸引することで、生板1に形成される模様部分3である凹み部を真空吸引することで、前記引っ張り応力が解除されて図3(b)のように模様付け用凹凸部4のコーナ部分に充填されるものであって、セメント系の生板1の表面にシャープな模様付けがなされるのである。プレス成形が終わると、吸引口14から図2(d)の矢印のようにエアーを吹き出してエアーノックアウト離型を行うものである。
【0012】
ここで、本発明に用いる生板の成形材料は、セメントを主原料とし、これに、シリカ、補強繊維、その他の混入物(例えば、増粘剤、軽量化材、粉体等)をブレンドし、これに水を混合したもので、これを押出成形機10により押出成形し、生板1の状態で上記のようにプレス成形機2によりプレス成形して表面に模様付けを行うものである。
【0013】
セメントとしては、ポルトランドセメント、高炉セメント、アルミナセメントなど公知のセメントが使用できるものである。また、セメントと混合するシリカ成分としては比表面積の大きい粉末シリカであることが硬化体の靱性向上の面で好ましく、具体的には4000cm2 /gであることが好ましい。また、その含有量としてはセメント100重量部に対してシリカが20〜120重量部の割合で含有されていることが好ましく、20重量部未満では得られるセメント硬化体(無機質板)の強度が低下し、120重量部を越えると、プレス成形に先立っての押出成形が困難となる。
【0014】
本発明に用いる補強繊維としては、L材、N材、ラミー、リンターなどのパルプ繊維、ビニロン、ポリプロピレン等が用いられる。この補強繊維の含有量はセメント100重量部に対して5〜25重量部が好ましく、5重量部未満ではセメント硬化体の強度が不十分となり、25重量部を越えると成形が困難となる。なお、本発明においては上記の補強繊維を併用することも可能である。
【0015】
本発明においては上記の原料の他にメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤や樹脂系の中空体、シラスバルーン、パーライト等の軽量化材、フライアッシュ等の粉体等を必要に応じて含有させることができるものである。そして、上記の材料をドライブレンドして、これにセメント100重量部に対して100〜150重量部の水を加えて混練機で混練して押出成形機10により加圧成形を行って生板1を成形し、この生板1を前述のようにプレス成形機2によりプレスして模様付けする(プレス最下限位置において生板1に形成される模様部分3を真空吸引する)ものである。
【0016】
ここで、プレスして模様付けする際の生板1の圧縮弾性限界応力が0.10MPa以下の状態であるようにするものであり、このように生板1の圧縮弾性限界応力を0.10MPa以下にするには押出成形により成形された段階で生板1の圧縮弾性限界応力が0.10MPaとなるように材料の配合を調整してもよく、また、押出成形により成形された段階では生板1の圧縮弾性限界応力が0.10MPa以上であっても、プレス成形時に生板1に振動を加えながらプレス成形することで、生板1の圧縮弾性限界応力が0.10MPa以下となるようにしてもよい。つまり、振動を加えることで、材料の粘性が低下して流動しやすい状態となり、弾性限界応力が低下し、伸びやすい材料となる。プレス成形時に加える振動は上下及び左右方向に振幅0.1〜0.2mm、周波数40〜80Hzの振動を付与することで圧縮限界応力を1/2〜1/4に低減できるものである。勿論、押出成形時の生板1の圧縮弾性限界応力が0.10MPa以下であっても、プレス成形時に振動を加えて更に圧縮弾性限界応力を低下させてもよい。
【0017】
このように生板1の圧縮弾性限界応力が0.10MPa以下の状態でプレス成形機2により成形することで、セメント系の生板1をプレス成形機2によりプレスして模様付けするに当たり、プレス最下限位置において生板1に形成される模様部分3を真空吸引する際に、材料を流動化させて確実に模様付け用凹凸部4のコーナ部分に充填することができて、シャープな模様付けができるのである。すなわち、セメント系の生板1の材料が流動化し始める弾性限界応力は0.12〜0.14MPaであり、圧縮弾性限界応力が0.10MPa以下の生板1を使用することで、低圧(例えば0.5MPa以下)でプレスし、0.10MPa以下の真空圧で吸引し、材料を流動化させて確実に模様付け用凹凸部4のコーナ部分に充填することができ、また、生板1に形成される模様部分3である凹み部の内側面の水平に対する角度を85°程度、目地深さも10mm程度まで深くできるものである。また、上記のように、0.10MPa以下の生板1を使用することにより、プレス圧が0.5MPa以下であっても模様付け用凹凸部4のコーナ部分に充填することができるので、中実の生板1はもちろん中空5を有する生板1であっても表面に模様付けができるものである。
【0018】
ところで、生板1として中空5を有する生板1をプレスする場合、上記のように、圧縮弾性限界応力が0.10MPa以下の生板1は低圧でプレスするといえども中空5部分が潰れるおそれがある。このため、中空1を有する生板1の上面側に模様付けをするものにおいて、図5のように生板1の中空5部分の上部をアーチ状に形成しておく。このように生板1の中空5部分の上部を圧縮に対して強いアーチ状とすることで、生板1の上面に模様付けをするために前述のようにプレス成形する際に、中空5部分の潰れを防止し、また、深い模様付けを可能とするものである。
【0019】
また、図5のように、生板1の中空5部分の下部を下方に凸となった下向き凸中空部5aとしておくと、プレスにより仮に中空5部分が一部潰れるような場合があっても、下向き凸中空部5aが残って、該凸中空部5aを通気通路として残すことができるものである。なお、本発明により製造された無機質板は例えば外壁材のような建材として使用されるものであるが、中空5を形成することで、軽量化が図れるのみならず、中空5を利用して外壁内の通気通路として利用することが可能となる。
【0020】
図2には型2aの外周部に枠型2bを一体に取付けてプレス成形機2を構成し、型2aと枠型2bとを一体として上下し、下方に下降させた状態で枠型2bにより生板1の外周部を囲むと共に型2aでプレス成形して表面に模様付けをするようになっているが、図5のように型2aと枠型2bとを分離し、生板1の外周を枠型2bで囲み、この状態で、型2aを下降させて型2aでプレス成形して表面に模様付けをするようにしてもよいものである。
【0021】
次に、参考例及び比較例を以下に述べる。
【0022】
(参考例1)
セメント、シリカ、補強繊維、増粘剤、軽量化剤を下記の表1に示す割合で配合したものをドライブレンドし、これに下記の表1に示す割合の水を加えて混合し、これを押出成形機10で押出成形して中実の生板1を成形し、この中実の生板1をプレス成形機2で平均プレス圧0.25MPaでプレスした。このプレス時に、プレス最下限位置において生板1に形成される模様部分3を0.06MPaで吸引した。プレス成形後、養生装置により養生し、表面に模様を有する無機質板を得た。得られた無機質板Aは図6に示す厚みTが21mm、模様の凹みの深さtが4mmである。また、押出成形して得られたプレスに使用する生板1の弾性限界応力は0.05MPaで、プレス成形時には振動は加えなかった。
【0023】
(参考例2)
セメント、シリカ、補強繊維、増粘剤、軽量化剤を下記の表1に示す割合で配合したものをドライブレンドし、これに下記の表1に示す割合の水を加えて混合し、これを押出成形機10で押出成形して中実の生板1を成形し、この中実の生板1をプレス成形機2で平均プレス圧0.45MPaでプレスした。このプレス時に、プレス最下限位置において生板1に形成される模様部分3を0.06MPaで吸引した。プレス成形後、養生装置により養生し、表面に模様を有する無機質板を得た。得られた無機質板Aは図6に示す厚みTが21mm、模様の凹みの深さtが4mmである。また、押出成形して得られたプレスに使用する生板1の弾性限界応力は0.07MPaで、プレス成形時には振動は加えなかった。
【0024】
(参考例3)
セメント、シリカ、補強繊維、増粘剤、軽量化剤を下記の表1に示す割合で配合したものをドライブレンドし、これに下記の表1に示す割合の水を加えて混合し、これを押出成形機10で押出成形して中実の生板1を成形し、この生板1をプレス成形機2で平均プレス圧0.20MPaでプレスした。このプレス時に、プレス最下限位置において生板1に形成される模様部分3を0.06MPaで吸引した。プレス成形後、養生装置により養生し、表面に模様を有する無機質板を得た。得られた無機質板Aは図6に示す厚みTが21mm、模様の凹みの深さtが4mmである。また、押出成形して得られたプレスに使用する生板1の弾性限界応力は0.04MPaで、プレス成形時には振動は加えなかった。
【0025】
(参考例4)
セメント、シリカ、補強繊維、増粘剤、軽量化剤を下記の表1に示す割合で配合したものをドライブレンドし、これに下記の表1に示す割合の水を加えて混合し、これを押出成形機10で押出成形して中実の生板1を成形し、この生板1をプレス成形機2で平均プレス圧0.50MPaでプレスした。このプレス時に、プレス最下限位置において生板1に形成される模様部分3を0.06MPaで吸引した。プレス成形後、養生装置により養生し、表面に模様を有する無機質板を得た。得られた無機質板Aは図6に示す厚みTが21mm、模様の凹みの深さtが4mmである。また、押出成形して得られたプレスに使用する生板1の弾性限界応力は0.09MPaで、プレス成形時には振動は加えなかった。
【0026】
(参考例5)
セメント、シリカ、補強繊維、増粘剤、軽量化剤を下記の表1に示す割合で配合したものをドライブレンドし、これに下記の表1に示す割合の水を加えて混合し、これを押出成形機10で押出成形して中空5を有する中板1を成形し、この生板1をプレス成形機2で平均プレス圧0.20MPaでプレスした。このプレス時に、プレス最下限位置において生板1に形成される模様部分3を0.06MPaで吸引した。プレス成形後、養生装置により養生し、表面に模様を有する無機質板を得た。得られた無機質板Aは図6に示す厚みTが21mm、模様の凹みの深さtが4mmである。また、押出成形して得られたプレスに使用する生板1の弾性限界応力は0.04MPaで、プレス成形時には振動は加えなかった。
【0027】
(参考例6)
セメント、シリカ、補強繊維、増粘剤、軽量化剤を下記の表1に示す割合で配合したものをドライブレンドし、これに下記の表1に示す割合の水を加えて混合し、これを押出成形機10で押出成形して中実の生板1を成形し、この生板1をプレス成形機2で平均プレス圧0.250MPaでプレスした。このプレス時に、振幅0.15mm、周波数60Hzの振動を与えながらプレスすることで、生板1の弾性限界応力を0.05MPaとした。また、プレス最下限位置において生板1に形成される模様部分3を0.06MPaで吸引した。プレス成形後、養生装置により養生し、表面に模様を有する無機質板を得た。得られた無機質板Aは図6に示す厚みTが21mm、模様の凹みの深さtが4mmである。
【0028】
(比較例1)
セメント、シリカ、補強繊維、増粘剤、軽量化剤を下記の表2に示す割合で配合したものをドライブレンドし、これに下記の表2に示す割合の水を加えて混合し、これを押出成形機10で押出成形して中実の生板1を成形し、この生板1をプレス成形機2で平均プレス圧0.50MPaでプレスした。このプレス時に、プレス最下限位置において真空吸引しなかった。プレス成形後、養生装置により養生し、表面に模様を有する無機質板を得た。得られた無機質板Aは図6に示す厚みTが21mm、模様の凹みの深さtが4mmである。また、押出成形して得られたプレスに使用する生板1の弾性限界応力は0.12MPaで、プレス成形時には振動は加えなかった。
【0029】
(比較例2)
セメント、シリカ、補強繊維、増粘剤、軽量化剤を下記の表2に示す割合で配合したものをドライブレンドし、これに下記の表2に示す割合の水を加えて混合し、これを押出成形機10で押出成形して中実の生板1を成形し、この生板1をプレス成形機2で平均プレス圧1.00MPaでプレスした。このプレス時に、プレス最下限位置において真空吸引しなかった。プレス成形後、養生装置により養生し、表面に模様を有する無機質板を得た。得られた無機質板Aは図6に示す厚みTが21mm、模様の凹みの深さtが4mmである。また、押出成形して得られたプレスに使用する生板1の弾性限界応力は0.12MPaで、プレス成形時には振動は加えなかった。
【0030】
(比較例3)
セメント、シリカ、補強繊維、増粘剤、軽量化剤を下記の表2に示す割合で配合したものをドライブレンドし、これに下記の表2に示す割合の水を加えて混合し、これを押出成形機10で押出成形して中実の生板1を成形し、この生板1をプレス成形機2で平均プレス圧0.50MPaでプレスした。このプレス時に、プレス最下限位置において真空吸引しなかった。プレス成形後、養生装置により養生し、表面に模様を有する無機質板を得た。得られた無機質板Aは図6に示す厚みTが21mm、模様の凹みの深さtが4mmである。また、押出成形して得られたプレスに使用する生板1の弾性限界応力は0.14MPaであった。
【0031】
(比較例4)
セメント、シリカ、補強繊維、増粘剤、軽量化剤を下記の表2に示す割合で配合したものをドライブレンドし、これに下記の表2に示す割合の水を加えて混合し、これを押出成形機10で押出成形して中空の生板1を成形し、この生板1をプレス成形機2で平均プレス圧1.00MPaでプレスした。このプレス時に、振幅0.15mm、周波数60Hzの振動を与えながらプレスすることで、生板1の弾性限界応力を0.12MPaとした。また、プレス最下限位置において真空吸引しなかった。プレス成形後、養生装置により養生し、表面に模様を有する無機質板を得た。得られた無機質板Aは図6に示す厚みTが21mm、模様の凹みの深さtが4mmである。
【0032】
なお、上記参考例1乃至参考例6、比較例1乃至比較例4において、弾性限界応力は100φの圧縮治具を用いてオートグラフにてS−Sカーブを取り、直線部分の最大荷重から計算した。この際初期のサンプルサイズは100mmφに調整した。また、増粘剤としては信越化学社製のMC(90SH100,000)を使用し、軽量化材としては松本油脂製のマイクロスフィアー(F30E)を使用した。
【0033】
そして、上記参考例1乃至参考例6において模様付け性と中空残存量の評価をした。結果は下記の表1、表2に示す通りである。ここで、模様付性は、金型の模様深さに対する転写性及びコーナ部のシャープさを目視により判定した。また、中空残存量は押出後の中空率とプレス後の中空率との割合で示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
上記表1、表2から明らかなように、参考例1乃至参考例6のものは平均プレス圧力が小さいにもかかわらず比較例に比べて模様付け性が良好であることが判る。ここで、比較例2においては模様付け性が良いがこのものにおいては参考例に比べてはるかに平均プレス圧力を大きくしなければならない。また、参考例5と比較例4とを比較した場合、中空を有する生板のプレス後における中空残存量は参考例5の方が比較例4に比べてはるかに大きいことが判る。
【0037】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、上述のように、押出成形された中空を有するセメント系の生板をプレス成形機によりプレスして模様付けするに当たり、プレス最下限位置まで下降した時点で0.10MPa以下の真空圧で生板に形成される模様部分を真空吸引するので、型に設けた模様付け用凹凸部により押圧されて生板に模様部分が形成される際、該模様部分が真空吸引されることで、シャープな模様付けがなされるものであり、また、プレスされる生板の弾性限界応力が0.10MPa以下であるので、生板が中空形 状であっても低圧でシャープな模様付けができるものである。
【0038】
また、プレスを行う際にプレスされる生板の弾性限界応力が0.10MPa以下となるように振動エネルギーを与えるで、材料の流動性を高めることができて中空形状、中実形状のいずれであっても低圧でシャープな模様付けができるものである。
【0039】
また、押出成形された中空を有する生板をプレスするので、表面にシャープな模様付けがされた中空を有する無機質板を製造することができるものである。
【0040】
また、請求項2記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、中空を有する生板の上面側に模様付けがなされるものであって、生板の中空部分の上部がアーチ状をしているので、上面に模様付けをするためにプレス成形する際に、アーチ状の部分が圧縮に対して強い形状であるため、中空を有する生板に中空を潰すことなく深い模様付けが可能となるものである。
【0041】
また、請求項3記載の発明にあっては、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、生板の中空部分が下方に凸となった下向き凸中空部を備えているので、仮にプレス時に中空部分が一部潰れても、下向き凸中空部が残って、外壁材等として使用する際にこの部分を通気通路として使用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の無機質板の製造順序を示す説明図である。
【図2】 (a)(b)(c)(d)はそれぞれ同上のプレス成形時の順序を示す説明図である。
【図3】 (a)(b)はそれぞれ真空吸引する前の状態及び真空吸引した状態の説明図である。
【図4】 (a)(b)はプレス成形時の順序を示す他の例の説明図である。
【図5】 (a)(b)は同上の中空を有する生板の各例を示す断面図である。
【図6】 参考例、比較例で形成する無機質板の厚み及び模様の凹み深さを示す説明図である。
【符号の説明】
1 生板
2 プレス成形機
2a 型
3 模様部分
4 模様付け用凹凸部
5 中空
5a 凸中空部
Claims (3)
- 押出成形された中空を有するセメント系の生板をプレス成形機によりプレスして模様付けするに当たり、プレス最下限位置まで下降した時点で0.10MPa以下の真空圧で生板に形成される模様部分を真空吸引するものであって、プレスを行う際にプレスされる生板の弾性限界応力が0.10MPa以下となるように振動エネルギーを与えることを特徴とする無機質板の製造方法。
- 中空を有する生板の上面側に模様付けがなされるものであって、生板の中空部分の上部がアーチ状をしていることを特徴とする請求項1記載の無機質板の製造方法。
- 生板の中空部分が下方に凸となった下向き凸中空部を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無機質板の製造方法。
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