JP3984118B2 - 電磁式ダイヤフラムポンプ - Google Patents
電磁式ダイヤフラムポンプ Download PDFInfo
- Publication number
- JP3984118B2 JP3984118B2 JP2002217567A JP2002217567A JP3984118B2 JP 3984118 B2 JP3984118 B2 JP 3984118B2 JP 2002217567 A JP2002217567 A JP 2002217567A JP 2002217567 A JP2002217567 A JP 2002217567A JP 3984118 B2 JP3984118 B2 JP 3984118B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- discharge port
- seal
- discharge
- switching valve
- diaphragm pump
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Compressor (AREA)
- Reciprocating Pumps (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイヤフラムの変形を利用し、ダイヤフラムで仕切られるケース内の容積変化と、弁の作用により圧縮気体を連続的に吐出させる電磁式ダイヤフラムポンプに関する。このような電磁式ダイヤフラムポンプは、例えば、曝気式浄化槽の曝気用、養魚の酸素補給用、泡風呂等のエアー噴気用、小型コンプレッサー等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、浄化槽の曝気用や養魚の酸素補給用のポンプの一つとして、電磁式ダイヤフラムポンプが使用されている。
【0003】
電磁式ダイヤフラムポンプは、通常、箱状の電磁石ケースと、この電磁石ケースの中に対向するように配置され固着された一対の電磁石と、この一対の電磁石の対向面の間に介在され電磁石の極性変化に伴い往復運動する振動子を備えており、さらに、該振動子の両端部には、対向するように配置された一対のダイヤフラムが形成された構造を備えている。
【0004】
そして、電磁式ダイヤフラムポンプは、電磁石の極性変化に伴い振動子が往復運動し、この振動子に連結されたダイヤフラムを振動させることによって、外部空気の圧縮室内への吸入、および吸入した空気の圧縮吐出という動作が連続的に繰り返されるように作用する。外部に空気を吐出させる際には、一般に電磁式ダイヤフラムポンプの下部に設けられたバッファ的機能を果たすタンク容器を介して実際の吐出操作が行われる。
【0005】
このような電磁式ダイヤフラムポンプを、例えば浄化槽に利用する場合、タンク容器の吐出口を2つ設けて、制御装置等で時間的に吐出操作する吐出口を切り換える仕様が要望されることがある。この仕様のもとに、例えば、一方の吐出口は好気処理を行う好気濾床槽への暴気操作ができるように好気濾床槽に連通され、他方の吐出口は濾床の閉塞を防止するために、濾床の下方に設けられた吐出管から定期的に空気を吐出させる、いわゆる逆洗操作ができるように槽下部に連通される。
【0006】
上記の要望に応じるべく、特開平10−238473号公報には、空気流路切換装置を有するエアタンクを備えたダイアフラム型エアーポンプが提案されている。空気流路切換装置は、空気流路を塞ぐ分岐口と弁体をそなえ、空気流路の切換はコントロール装置を介して弁体の動作によって制御されるとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に提案のものは、例えば、当該公報の図1(a),(b)に示されように直接、吐出口を弁で塞ぐ構成を採択していない。すなわち、シリンダ内のピストン移動位置により、流路を分岐させており、分岐口から吐出口までは空気室で連通されており、吐出口は直接、弁で塞がれていない。そのため空気室の密封が部分的に不十分な場合には、流路の切り換え時に汚水が逆流するおそれがある(逆流した場合、空気流路切換装置の駆動系がダメージをうける)。
【0008】
また、分岐口にて途中で流路を分岐させる方法では、所定個数の空気室を区分して設ける必要があり、エアタンクの仕切り構造が複雑になってしまう。
【0009】
このような問題点を解決するために本出願人は、すでに、特願2001−218975号として2つの吐出口を交互に直接塞ぐことのできる吐出口封止切り換え機構部を有する電磁式ダイヤフラムポンプの提案を行なっている。この提案により使用する吐出口の切り換えに際して、逆流が生じるおそれがなく、しかも空気室の設定の制約が少なく構造のシンプル化を図ることが可能となった。
【0010】
本発明は、上記提案のさらなる改良であり、その目的は、2つの吐出口の切り換え操作において、いわゆる切換弁のシール位置合わせの設定が容易であり、しかも吐出口のシールの確実性を長期間の稼動においても担保することができる電磁式ダイヤフラムポンプを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の電磁式ダイヤフラムポンプは、ダイヤフラムの変形を利用し、ダイヤフラムで仕切られるケース内の容積変化と、弁の作用により圧縮気体を連続的に吐出させるポンプ本体と、該ポンプ本体より連続的に吐出される圧縮気体を通過させるとともにバッファ的機能を果たすタンク容器を備え、前記タンク容器は少なくとも2つの吐出口を有しており、当該少なくとも2つの吐出口を交互に直接塞ぐことのできる吐出口封止切り換え機構部が設けられており、前記吐出口封止切り換え機構部は、吐出口を直接塞ぐことができるシール突起部を吐出口の数にあわせて備える切り換え弁プレートと、切り換え弁プレートの回動運動の支軸となるプレート支持部材を有し、当該プレート支持部材によって区分される切り換え弁プレートの一方の片側ウイングには、当該ウイングを吐出口から引き離すように作用する第1のバネ部材が連結されており、切り換え弁プレートの他方の片側ウイングには、第2のバネ部材を介してストローク装置が連結されているように構成される。
【0012】
また、本発明における前記切り換え弁プレートのシール突起部は、吐出口に実質的に対向するように配置され、かつ回動運動の支軸となるプレート支持部材の両側にそれぞれ配置されてなるように構成される。
【0013】
また、本発明の好ましい態様として、前記ストローク装置は、ソレノイドを有し構成される。
【0014】
また、本発明の好ましい態様として、前記吐出口には、前記シール突起部とのシールを確実にするためのゴムシール部が形成される。
【0015】
また、本発明の好ましい態様として、吐出口封止切り換えのための制御装置がさらに組み込まれてなるように構成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の電磁式ダイヤフラムポンプの必要箇所を断面で示した半片正面図、図2は、本発明の電磁式ダイヤフラムポンプの主としてポンプ本体の必要箇所を断面で示した半片平面図である。図3は、本発明の要部であるタンク容器の概略斜視図である。図4(a),(b)はそれぞれ本発明の電磁式ダイヤフラムポンプの動作を説明するための模式図である。
【0018】
本発明の電磁式ダイヤフラムポンプは、ダイヤフラムの変形を利用し、ダイヤフラムで仕切られるケース内の容積変化と弁の作用により圧縮気体を連続的に吐出させるポンプ本体2と、該ポンプ本体2より連続的に吐出される圧縮気体を通過させるとともにバッファ的機能を果たすタンク容器200とを主要構成部材として備えている。本発明の要部は、タンク容器200の構成に係るものではあるが、この説明をする前に本質的なポンプ機能を果たすポンプ本体2の好適な一例を最初に簡単に説明しておく。
【0019】
(ポンプ本体2の構成説明)
図1に示されるようにタンク容器200の上面には、板状の底部基台プレート7が、密封状態となるように被着固定される。この板状の底部基台プレート7の略中央付近の上に、電磁石ケース10が設置されている。電磁石ケース10は、一般に、底部基台プレート7の上に直接載置されるのではなく、実質的にクッション作用が働くように、例えば、防振ゴム9を介して設置されている。
【0020】
電磁石ケース10は、本実施の形態の場合、開口部を有する有底容器状の電磁石ケース本体11と、通常、この開口部を覆うための板状の電磁石ケース蓋体(図示していない)を有し構成される。
【0021】
電磁石ケース10の中には、図2に示されるように対向するように配置された一対の電磁石21,25と、この一対の電磁石21,25の対向面の間に介在され、電磁石の極性変化に伴い、電磁石の対向方向に対して直角方向に往復運動する振動子30が挿着される。さらに、振動子30は、その両端部に連結用シャフト31が固定配置されており、これにより振動子30の両端部に対向する一対のダイヤフラム40が配置される。
【0022】
ダイヤフラム40の中央部には、ダイヤフラム電磁石側センタープレート70と、ダイヤフラム弁ケース側センタープレート80とが挟持された状態で固定されており、これらの結合プレート70,80に実質的に振動子30(連結用シャフト3)が固定される。
【0023】
ダイヤフラム40の外周面は電磁石ケース10の側面に固定され、このダイヤフラム40を押しつけるように弁ケース本体50および弁ケース蓋体60が、電磁石ケース10の両側に固着される。
【0024】
弁ケース蓋体60は、外部に突出したホース連結部61を備え、この連結部61にL型ゴムホース90の上部口91が挿着され、L型ゴムホース90の下部口95は、底部基台プレート7の孔部7aに挿着される。
【0025】
このようにして底部基台プレート7の上に、配置された電磁石ケース10およびそれに固着される上記の主要部材は、通常、外包ケース(図示していない)によってすっぽりと覆われ、外包ケースの底部は、通常、下部のタンク容器200の周縁あるいは底部基台プレート7の周縁と当接しつつ密封状態に固着される。
【0026】
図1および図2に基づき、本発明の電磁式ダイヤフラムポンプの基本的構造をさらに詳細に説明する。
【0027】
図1および図2に示されるように、対向して配置される一対の電磁石21,25は、それぞれ、E型の電磁石コア22,26と、電磁石コイル23,27が巻かれた電磁石ボビン24,28とを備えている。電磁石ボビン24,28はそれぞれ、両端にフランジ部24aおよび28aを有する筒状形態をなし、これらの電磁石ボビン24,28は、それぞれ、E型の電磁石コア22,26の中央コア22a,26aに挿入された形態で組み立てられる。電磁石21,25の電磁石コイル23,27には交流電源が接続され、交流電源の周波数と同一回数の磁極の変化(極性変化)が生じるようになっている。
【0028】
このような一対の電磁石21,25の対向面の間隙には、電磁石21,25の極性変化に伴い往復運動する振動子30が電磁石と接触しないように装着されている。振動子30は、本実施の形態の場合、プレート本体部35と、その両端に形成される連結用シャフト31を有し、プレート本体部35には、四角状の4つの極性の異なる永久磁石、すなわち永久磁石37,37(例えばS極)、および中心線を基準に永久磁石37,37と鏡像関係に位置する図示していない永久磁石(例えばN極)が埋設されている
【0029】
振動子30の両端部には、一対の中央穴あき円盤状の弾性体(例えばゴム)ダイヤフラム40が対向するように配置されており、一対のダイヤフラム40の外周フランジ部41は、電磁石ケース10と、弁ケース本体50により挟持固定されている。ダイヤフラム40の内周部45は、ダイヤフラム電磁石側センタープレート70と、ダイヤフラム弁ケース側センタープレート80とによって挟持された状態で固定されており、これらの結合プレート70,80に振動子30が固定されている(連結用シャフト31の先端部で螺子止めされている)。
【0030】
図2に示されるように、電磁石ケース10に固着される弁ケース本体50および弁ケース蓋体60により、吸気室150が形成され、この吸気室150は、連通孔59で電磁石ケース10内部に連通している。吸気室150を区画する弁ケース本体50の吸気側外側壁51には、吸入弁120が内側から装着されている。この吸入弁120の弁作用により、外側壁51に形成された弁通気孔121を通して、空気がダイヤフラム室160に吸入される。ダイヤフラム室160は、ダイヤフラム40と、弁ケース本体50の吸気側外側壁51と吐出側外側壁55とによって区画されており、吐出側外側壁55には吐出弁130が外側から装着されている。この吐出弁130の弁作用により、吐出側外側壁55に形成された弁通気孔131を通して、ダイヤフラム室160の空気は、吐出室170に吐出されるようになっている。吐出室170に吐出された空気は、L型ゴムホース90内を通過して、下部に位置するタンク容器200内に入り、タンク容器200に形成された吐出口(後述する)を通して吐出される。
【0031】
なお、吸入弁120および吐出弁130の弁作用は、以下の動作に基づき行われる。すなわち、交流電源に接続された電磁石21,25の極性変化に伴い振動子30は、交流電源と同じ周波数で図面の矢印(イ)および矢印(ロ)方向に往復運動する。この振動子30の動きに同期して振動子30の両端部に配置されたダイヤフラム40は、そのダイヤフラム40の中央部を中心にして振動子30のストロークと同じ変位量で変形する。これにより、ダイヤフラム室160の容量の変化が生じ、図2の右方向側のダイヤフラム室160に注目すると、ダイヤフラム40が矢印(イ)方向に変形した場合、ダイヤフラム室160は膨張して負圧になり、吸入弁120は開いて、空気がダイヤフラム室160内に吸入される。この逆に、ダイヤフラム40が矢印(ロ)方向に変形した場合、ダイヤフラム室160は圧縮され正圧になり、吐出弁130は開いて、空気がダイヤフラム室160内から吐出室170に吐出される。これらの動作が交互に連続的に行われ、圧縮空気が連続的に吐出される。なお、このような弁機構を含む基本的な動作原理そのものは、すでに公知の技術となっている。また、上述してきたポンプ本体2の構成は好適な一例を例示したものであり、上記構成に限定されるものではない。
【0032】
(タンク容器200の構成説明)
図3には、本発明の要部であるタンク容器200の概略斜視図が示されている。タンク容器200は、前述したようにタンク容器200の上部に位置するポンプ本体2から連続的に送り出される圧縮気体を通過させるとともに一時的に吐出すべき圧縮空気を滞留させて流体の流れを安定化させるバッファ的機能を果たし、最終的にタンク容器200から外部に圧縮空気が吐出されるようになっている。
【0033】
図3に示されるようにタンク容器200は、外部に通じる2つの吐出口211,215を有している。3つ以上の吐出口を備える場合にも本発明の適用は可能であるが、ここでは発明の理解が容易となり、かつ実施の可能性の高い2つの吐出口の場合を例にとって説明している。タンク容器200内には、吐出口封止切り換え機構部300がタンク内に設置されており、これにより、2つの吐出口211,215を交互に直接塞ぐことができるようになっている。
【0034】
吐出口封止切り換え機構部300は、吐出口211,215をそれぞれ交互に直接塞ぐことができるシール突起部311,315を備える切り換え弁プレート310と、この切り換え弁プレート310の回動運動の支軸となるプレート支持部材320と、プレート支持部材320を支軸として回動運動させるために切り換え弁プレート310の片端に実質的に連接されるストローク装置350を有し構成されている。
【0035】
本発明における吐出口封止切り換え機構部300の要部についてさらに詳細に説明すると、前記プレート支持部材320によって区分される切り換え弁プレート310の一方の片側ウイング310a(図3において右側に視認できる片側ウイング310a)には、当該ウイング310aを対向する吐出口215から引き離すように作用する第1のバネ部材360(図示の例では引っ張りバネ360)を有する連結部材361が連結されている。すなわち、第1のバネ部材360により片側ウイング310aは、常に、矢印(ハ)方向に引っ張られる力を受けている。なお符号390の部材は、第1のバネ部材360(連結部材361)の他端を固定するための固定部材である。第1のバネ部材360は吐出口215の封止に直接作用するばかりでなく、封止の際のいわゆる緩衝作用も併せ持っている。
【0036】
この一方で、前記プレート支持部材320によって区分される切り換え弁プレート310の他方の片側ウイング310b(図3において左側に視認できる片側ウイング310b)には、第2のバネ部材370を有する連結部材371を介してストローク装置350が連結されている。第2のバネ部材370の主たる設置目的は、吐出口215を封止する際の緩衝作用およびストローク装置350の位置合わせ緩衝作用にある。これについては後述する。
【0037】
切り換え弁プレート310の所定位置に突出して形成されるシール突起部311,315は、吐出口211,215に実質的に略対向するように配置され、かつ回動運動の支軸となるプレート支持部材320を境にしてその両側にそれぞれ配置されている。そして、プレート支持部材320を支軸として切り換え弁プレート310を交互に逆方向に回動運動させる(揺動運動させる)ことにより、シール突起部311と吐出口211との嵌合による吐出口211の封止、あるいはシール突起部315と吐出口215との嵌合による吐出口215の封止が行われるようになっている。
【0038】
ストローク装置350は、ソレノイド351を有し構成される。本発明においては前述したように、ソレノイド351と切り換え弁プレート310(片側ウイング310b)とは、緩衝効果を有する第2のバネ部材370を備える連結部材371により連結されている。
【0039】
なお、ソレノイド351に関しては、それ単独で矢印(α)方向および(β)方向の両方に可動できる機構のものを用いても良いし、また、ソレノイド単独では(α)方向のみの可動ができ、(β)方向への可動はソレノイド351の後部にリターンばねを設け、このリターンばねで(β)方向への移動を可能にするようにしてもよい。
【0040】
前記吐出口211,215の実質的なシール部分には、前記シール突起部311,315とのシールを確実にするためのゴムシール部211a,215aを形成しておくことが好ましい。
【0041】
なお、図面では図示していないが、吐出口封止切り換えのための制御装置を本発明の電磁式ダイヤフラムポンプに組み込んで一体化しておくことが好ましい。装置のコンパクト化を図るためである。
【0042】
上述してきた本発明におけるタンク容器200の吐出口封止切り換え機構の動作について、図3および図4(a),(b)を参照しつつ説明する。
【0043】
図3および図4(a)の状態は、2つの吐出口のうち、一方の吐出口211が開放されている状態にあり、他方の吐出口215は、シール突起部315により封止されている状態にある。すなわち、ソレノイド351は、スイッチONの状態であり、(α)方向に移動(後退)した状態にある。この移動動作により、第2のバネ部材370を備える連結部材371は、矢印(α)方向に引っ張られ、切り換え弁プレート310はプレート支持部材320を支軸として回動運動し、シール突起部315を備えるプレート(片側ウイング310a)は前進して吐出口215と嵌合して吐出口215が封止された状態となる。もちろん、ソレノイド351のON状態における駆動力は、第1のバネ部材の矢印(ハ)方向の引張力に打ち勝つように設定されている。
【0044】
この際、第2のバネ部材370は、以下の緩衝作用を発揮できるように仕様設定されている。つまり、シール突起部315が直接当接する箇所(例えば、ゴムシール部215aが摩耗して当接すべき基準面が位置ずれをおこしたとしても、第2のバネ部材370の存在により位置ずれを吸収して十分なシール押圧力が維持できるように仕様設定されている。
【0045】
ここで図4(a)に示される状態から、図4(b)に示されるように吐出口を変える場合、ソレノイド351は、スイッチOFFの状態となり、(β)方向に移動(前進)する。この前進移動動作に伴い、第1のバネ部材360を備える連結部材361には、矢印(ハ)方向に引っ張る力が発生し、切り換え弁プレート310はプレート支持部材320を支軸として回動運動し、シール突起部311を備えるプレート(片側ウイング310b)は前進して吐出口211と嵌合して吐出口211が封止される。この一方で、シール突起部315を備える片側ウイング310aは後退して吐出口215との嵌合が外れ、吐出口215が開放の状態になり、流路が切り替わる。第1のバネ部材360は、吐出口211の封止に際して前述した第2のバネ部材370と同様な緩衝作用を発揮する。
【0046】
ところで、前記第2のバネ部材370は、上述した吐出口215側の基準面の位置ずれの緩衝作用に加えて、さらにソレノイド351の設置位置の調整の自由度を高める緩衝作用がある。すなわち、第2のバネ部材370の緩衝作用により、第2のバネ部材370を介して片側ウイング310bと連結されているソレノイド351の設置位置の調整(いわゆる芯出し)に、ある程度の自由度が付加される。ソレノイドの位置調整に自由度がなくクリティカルな場合には、調整に多大の時間を要する。また、位置ずれが生じた場合には、ソレノイド自体が騒音を発生させる原因ともなり得る。さらに、第2のバネ部材370および第1のバネ部材360のバネ仕様の設定により、シール突起部311,315による吐出口211,215のシール押圧力をほぼ同じにすることができる。
【0047】
本発明においては、このような緩衝作用を発揮させつつ、吐出口の切り換え動作が可能となるようにソレノイド351の矢印(α)方向の電磁力Fm、第1のバネ部材360の仕様(バネ定数、自由長等)、および第2のバネ部材370の仕様(バネ定数、自由長等)を適宜、設定すればよい。
【0048】
【実施例】
以下に、具体的詳細設計の一例を示しながら本発明をさらに詳細に説明する。
【0049】
具体的詳細設計例
1)切換弁への押圧の算出
・各吐出口の直径:φ1.4〔cm〕
・上記からの受圧面積:1.54〔cm2〕
・仕様書のスペック:0.25〔kgf/cm2〕の差圧で漏れ無きように設計
【0050】
上記要件より算出される吐出口にかかる圧力(絶対値)は、1.54×0.25=0.385〔kgf〕となる。従って、理論的には、切換弁を0.385〔kgf〕の力で押せば、0.25〔kgf/cm2〕の圧力に耐えることとなる。
ここで、安全率を1.3とすると、約0.50〔kgf〕となる。
【0051】
この値をもとに、引き続き以下の設計を行なった。
【0052】
2)シールゴム(ゴムシール部211a,215a)の変形量の測定
実際のパーツを使用して、0.50〔kgf〕の荷重でシールゴムを押した際に、何mmゴムが変形するかを実測した。実測された変形量は約0.70mmであった。
【0053】
3)バネの選定
3−i)第1のバネ部材360について
(a)吐出口215からの吐出(図4(b)の状況)
バネ固定部から切換弁までの距離は、例えば図5に示されるように44.28〔mm〕である。これに、荷重0.50〔kgf〕時の圧縮量を加えると、44.28〔mm〕−0.70〔mm〕=43.58〔mm〕となる。
【0054】
第1のバネ部材は、以下の設計とした。
・初応力:0.62〔kgf〕
・バネ定数:0.043〔kgf/mm〕
・自由長:40.4〔mm〕
【0055】
よって、43.58〔mm〕延伸のバネ応力は、0.62〔kgf〕+0.043〔kgf/mm〕×(43.58〔mm〕−40.4〔mm〕)=0.757〔kgf〕となる。ここで、切換弁のセンターからの距離が異なるのでそれを考慮に入れて計算すると、シール突起部311と当接するシールゴムにかかる荷重は、以下の通りとなる。
【0056】
0.75〔kgf〕×(15.5〔mm〕÷24.5〔mm〕)=0.479〔kgf〕
安全率は(0.479/0.385)=1.24である。
【0057】
(b)吐出口211からの吐出(図4(a)の状況)
図6に示されるようにバネ固定部から切換弁までの距離48.58mm
【0058】
ゴムの圧縮力0.7〔mm〕を加えると、バネ長は49.28〔mm〕となる。49.28〔mm〕延伸時のバネの応力は、0.62〔kgf〕+0.043〔kgf/mm〕×(49.28〔mm〕−40.4〔mm〕)=1.002〔kgf〕となる。ここで、切換弁のセンターからの距離が異なるのでそれを考慮にいれて計算すると、シール突起部315と当接するシールゴムにかかる荷重は、以下の通りとなる。
【0059】
1.002〔kgf〕×(15.5〔mm〕÷24.5〔mm〕)=0.634〔kgf〕
よって、この荷重+0.50〔kgf〕=1.134〔kgf〕で第2のバネ部材370(図5および図6は記載を省略)を引っ張ればよいことがわかる。
【0060】
3− ii )第2バネ部材370について
(a)吐出口215からの吐出(図4(b)の状況)
この状況において、例えば第2バネ部材370はフリーな状態になるように設定した。
【0061】
(b)吐出口211からの吐出(図4(a)の状況)
第2バネ部材370は、以下の設計とした。
・初応力:0.67〔kgf〕
・バネ定数:0.28〔kgf/mm〕
【0062】
前記の1.134〔kgf〕から逆算、すなわち、1.134〔kgf〕=0.67〔kgf〕+X〔mm〕)×0.28〔kgf/mm〕の式より、X=1.66〔mm〕となる。
【0063】
ソレノイドをONにした際、この伸ばし量が確保できる位置になるように、バネの長さを設定した。
【0064】
4)ソレノイドの駆動力
図4(a)の状態において、ソレノイドはONとなり、バネを引っ張る。ソレノイド351のON状態における駆動力は、第1のバネ部材の矢印(ハ)方向の引張力に打ち勝つように設定される。ソレノイドのストロークは設計仕様に応じ適宜、決定すればよい。
【0065】
【発明の効果】
上述してきたように、本発明の電磁式ダイヤフラムポンプは、ダイヤフラムの変形を利用し、ダイヤフラムで仕切られるケース内の容積変化と、弁の作用により圧縮気体を連続的に吐出させるポンプ本体と、該ポンプ本体より連続的に吐出される圧縮気体を通過させるとともにバッファ的機能を果たすタンク容器を備え、前記タンク容器は少なくとも2つの吐出口を有しており、当該少なくとも2つの吐出口を交互に直接塞ぐことのできる吐出口封止切り換え機構部が設けられており、前記吐出口封止切り換え機構部は、吐出口を直接塞ぐことができるシール突起部を吐出口の数にあわせて備える切り換え弁プレートと、切り換え弁プレートの回動運動の支軸となるプレート支持部材を有し、当該プレート支持部材によって区分される切り換え弁プレートの一方の片側ウイングには、当該ウイングを吐出口から引き離すように作用する第1のバネ部材が連結されており、切り換え弁プレートの他方の片側ウイングには、第2のバネ部材を介してストローク装置が連結されているように構成されているので、2つの吐出口の切り換え操作において、いわゆる切換弁のシール位置合わせの設定が容易であり、しかも吐出口のシールの確実性を長期間の稼動においても担保することができる(シール口の摩耗によりシール位置ずれが生じてもシール性に問題がない)という極めて優れた効果が発現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁式ダイヤフラムポンプの必要箇所を断面で示した半片正面図である。
【図2】本発明の電磁式ダイヤフラムポンプの主としてポンプ本体の必要箇所を、断面で示した半片平面図である。
【図3】本発明の要部であるタンク容器の概略斜視図である。
【図4】図4(a),(b)はそれぞれ本発明の電磁式ダイヤフラムポンプの動作を説明するための模式図である。
【図5】具体的設計例を説明するための2つの吐出口の切り換え操作を模式的に示した図面である。
【図6】具体的設計例を説明するための2つの吐出口の切り換え操作を模式的に示した図面である。
【符号の説明】
1…電磁式ダイヤフラムポンプ
2…ポンプ本体
200…タンク容器
211,215…吐出口
310…切り換え弁プレート
310a,310b…片側ウイング
311,315…シール突起部
320…プレート支持部材
350…ストローク装置
360…第1のバネ部材
370…第2のバネ部材
Claims (5)
- ダイヤフラムの変形を利用し、ダイヤフラムで仕切られるケース内の容積変化と、弁の作用により圧縮気体を連続的に吐出させるポンプ本体と、
該ポンプ本体より連続的に吐出される圧縮気体を通過させるとともにバッファ的機能を果たすタンク容器を備え、
前記タンク容器は少なくとも2つの吐出口を有しており、当該少なくとも2つの吐出口を交互に直接塞ぐことのできる吐出口封止切り換え機構部が設けられており、
前記吐出口封止切り換え機構部は、吐出口を直接塞ぐことができるシール突起部を吐出口の数にあわせて備える切り換え弁プレートと、切り換え弁プレートの回動運動の支軸となるプレート支持部材を有し、当該プレート支持部材によって区分される切り換え弁プレートの一方の片側ウイングには、当該ウイングを吐出口から引き離すように作用する第1のバネ部材が連結されており、切り換え弁プレートの他方の片側ウイングには、第2のバネ部材を介してストローク装置が連結されていることを特徴とする電磁式ダイヤフラムポンプ。 - 前記切り換え弁プレートのシール突起部は、吐出口に実質的に対向するように配置され、かつ回動運動の支軸となるプレート支持部材の両側にそれぞれ配置されてなる請求項1に記載の電磁式ダイヤフラムポンプ。
- 前記ストローク装置は、ソレノイドを有し構成される請求項1または請求項2に記載の電磁式ダイヤフラムポンプ。
- 前記吐出口には、前記シール突起部とのシールを確実にするためのゴムシール部が形成される請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電磁式ダイヤフラムポンプ。
- 吐出口封止切り換えのための制御装置がさらに組み込まれてなる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電磁式ダイヤフラムポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002217567A JP3984118B2 (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 電磁式ダイヤフラムポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002217567A JP3984118B2 (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 電磁式ダイヤフラムポンプ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004060487A JP2004060487A (ja) | 2004-02-26 |
JP3984118B2 true JP3984118B2 (ja) | 2007-10-03 |
Family
ID=31938981
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002217567A Expired - Fee Related JP3984118B2 (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 電磁式ダイヤフラムポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3984118B2 (ja) |
-
2002
- 2002-07-26 JP JP2002217567A patent/JP3984118B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004060487A (ja) | 2004-02-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3415489B2 (ja) | エアポンプ装置 | |
US20020094285A1 (en) | Pump and diaphragm for use therein | |
CN1908431A (zh) | 超磁致伸缩棒驱动的膜式微泵 | |
JP3984118B2 (ja) | 電磁式ダイヤフラムポンプ | |
JP3706316B2 (ja) | 電磁式ダイヤフラムポンプ | |
JP3103722B2 (ja) | 流体ポンプ | |
JP4405171B2 (ja) | エア供給装置 | |
JP2002130137A (ja) | 圧電ポンプ | |
JPH09144662A (ja) | 流体ポンプ | |
JP2005220769A (ja) | 電磁式ポンプ | |
JP2004092588A (ja) | ポンプ | |
JP2000130335A (ja) | 電磁式ダイヤフラムポンプ | |
CN216342702U (zh) | 一种隔膜式电磁泵及使用该泵的装置 | |
JP2514774Y2 (ja) | 往復動ポンプ | |
JP2001090665A (ja) | 電磁式ダイヤフラムポンプ | |
CN110966167B (zh) | 一种压电微泵 | |
JP4163797B2 (ja) | 電磁式ダイヤフラムポンプ | |
KR200196593Y1 (ko) | 솔레노이드식 다이아프램 펌프 | |
JP2001050164A (ja) | 電磁式ダイヤフラムポンプ | |
JPH0797981A (ja) | ダイヤフラム式冷媒ポンプ | |
KR100533799B1 (ko) | 펌프 | |
JP2000130343A (ja) | 電磁式ダイヤフラムポンプ | |
JP2000170660A (ja) | 電磁式ダイヤフラムポンプ | |
JP4564817B2 (ja) | 電磁式ポンプ | |
JP2000130337A (ja) | 電磁式ダイヤフラムポンプ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050324 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070608 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070626 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070705 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100713 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100713 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110713 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110713 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120713 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130713 Year of fee payment: 6 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |