JP3983577B2 - 推定装置を用いた制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、推定装置を用いた制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周波数ωで変動する外乱を受ける制御対象において、外乱を推定する推定装置として周期外乱推定オブザーバが用いられている。従来の周期外乱推定オブザーバは、ビルなどの構造物を対象に適用が行われている。ここで、周期外乱推定オブザーバの構造物への適用とは、構造物の固有振動による外乱を周期外乱推定オブザーバにより推定するものである。この際、構造物の外乱は基本的に固有振動周波数の外乱しか存在しないため、周期外乱推定オブザーバによって推定可能であり、他の周波数の外乱に対する影響はほとんど考えられなかった。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】
上述した周期外乱推定オブザーバは、駆動装置への適用がほとんどなされていなかった。この理由として、駆動装置では、特定の周波数の外乱とは別に、他の様々な周波数の外乱も併せて存在するためである。即ち、従来の周期外乱推定オブザーバでは、特定周波数の外乱を推定するのに特化した構造を持つため、駆動装置に適用すると、他の周波数の外乱に対して影響を与えてしまう。
【0004】
例えば、図5は、特定の外乱周波数ωに対して、周期外乱推定オブザーバの極を0.1ωの重根で与えたときの外乱に対する推定値のゲイン線図である。図5に示すように、周波数ωでは外乱と推定値のゲインは一致しているが、低周波数では大きく推定してしまう。また、極をさらに下げると、低周波数でのゲインは大きくなり、低周波の外乱に影響を与えることになる。
【0005】
また、図6は、極を10ωの重根で与えたときのゲイン線図である。図5と同様に、図6に示すように、周波数がωでは外乱と推定値のゲインは一致しているが、高周波では大きく推定してしまう。また、極をさらにあげると、高周波でのゲインは大きくなり、高周波の外乱に影響を与えることになる。
【0006】
具体例として、ウィービング周波数でトーチを揺動させるウィービング動作を行う溶接ロボットを制御対象として考えると、このウィービング動作におけるトーチの揺動振幅は溶接ビートの品質を左右するため、高い精度を確保する必要がある。従来、フィードフォワード制御が通常の周期外乱推定オブザーバ等によって、精度確保を実現しようとしているが、機差や摩擦などの外乱要因による精度の劣化や、固有振動の励起などによる振動発生など、十分な精度を確保できていない。また、ウィービング動作に伴う外乱は、ウィービング周波数が速い場合、慣性力のモデル化誤差などが支配的になり、外乱の周波数成分のほとんどがウィービング周波数の周波数で占められる。従って、高いウィービング周波数で変動する外乱を抑制するためには、通常、制御帯域を高周波に広げる必要があるが、その場合、外乱とは別に、機構部の固有振動を励起させ振動が発生してしまう。
【0007】
なお、溶接ロボットである駆動装置のウィービング動作に周期外乱推定オブザーバを適用した従来技術として、特開平7−185817号公報がある。しかし、特開平7−185817号公報では、他の周波数の外乱への影響が配慮されておらず、実用上十分とはいえない。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてされたものであり、他の周波数の外乱に対して影響が少なく、制御対象に係る外乱の多くを相殺することができる推定装置を用いた制御装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の推定装置を用いた制御装置は、制御対象に係る外乱を推定して、フィードバック制御を行う推定装置を用いた制御装置であって、前記制御対象は、周波数ωで変動する外乱を受ける駆動装置であって、前記推定装置は、外乱動特性として、外乱変動周波数ωで振動する振動特性を与え、該外乱動特性に基づいて外乱を推定し、前記推定装置の外乱推定特性として、外乱変動周波数ωを通過させるバンドパス特性を含めるように前記外乱動特性を変更するためのパラメータを変更することによって前記推定装置の極を指定していることを特徴とする。
【0010】
この請求項1の構成によると、外乱推定特性が周波数ωを中心周波数とするバンドパス特性となり、周波数ωの外乱だけでなく、その周辺の周波数の外乱も併せて推定することが可能になる。
【0011】
本発明の請求項2に記載の推定装置を用いた制御装置は、請求項1に記載の推定装置を用いた制御装置であって、前記バンドパス特性は、前記外乱と前記外乱を推定した推定値とのゲインを±10db以内とする外乱変動周波数ωを中心とした周波数帯があり、該周波数帯以外の周波数での該ゲインはマイナスであり、該周波数帯は、外乱とは別に、制御に伴い励起される制御対象の機構部固有振動の周波数を含まない、ことを特徴とする。
【0012】
この請求項2の構成によると、周波数帯は、外乱とは別に、制御に伴い励起される制御対象の機構部固有振動の周波数を含まないことから、機構部固有振動の周波数に対してほとんど影響を与えることなく、制御対象に係る外乱の多くを相殺することができる。
【0013】
本発明の請求項3に記載の推定装置を用いた制御装置は、制御対象に係る外乱を推定して、フィードバック制御を行う推定装置を用いた制御装置であって、前記制御対象は、周波数ωで変動する外乱を受ける駆動装置であって、前記推定装置は、外乱動特性として、外乱変動周波数ωで振動する振動特性を与え、該外乱動特性に基づいて外乱を推定し、前記推定装置の外乱推定特性として、外乱変動周波数ωを通過させる減衰振動特性を含めるように前記外乱動特性を変更するためのパラメータを変更することによって前記推定装置の極を指定していることを特徴とする。
【0014】
この請求項3の構成によると、外乱推定特性が周波数ωのみを推定する減衰振動特性となり、周波数ωの外乱のみを推定することが可能になる。
【0015】
本発明の請求項4に記載の推定装置を用いた制御装置は、請求項3に記載の推定装置を用いた制御装置であって、前記減衰振動特性は、前記外乱と前記外乱を推定した推定値とのゲインを±10db以内とする外乱変動周波数ωを中心とした逆ノッチ型の周波数帯があり、該周波数帯以外の周波数での該ゲインはマイナスであり、該周波数帯は、外乱とは別に、制御に伴い励起される制御対象の機構部固有振動の周波数を含まない、ことを特徴とする。
【0016】
この請求項4の構成によると、周波数帯は、外乱とは別に、制御に伴い励起される制御対象の機構部固有振動の周波数を含まない。従って、周波数ωの外乱のみを推定することにより、機構部固有振動の周波数の近傍に外乱の周波数がある場合でも対応が可能となる。
【0017】
本発明の請求項5に記載の推定装置を用いた制御装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の推定装置を用いた制御装置であって、前記推定装置は、周波数n×ωで振動する外乱を推定することを特徴とする。
【0018】
この請求項5の構成によると、外乱の周波数ωに対して、周波数n×ωの外乱を推定することとなり、より高精度な制御を実現することができる。
【0019】
本発明の請求項6に記載の推定装置を用いた制御装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の推定装置を用いた制御装置であって、前記駆動装置は、減速機を介してアクチュエータの駆動力が被駆動体に伝達され、該減速機がバネ要素として作用する駆動装置であり、前記推定装置は、アクチュエータとアクチュエータに付随した慣性部分と、被駆動体と被駆動体に付随した慣性部分とで構成される2慣性系モデルを制御対象の動特性モデルとして推定に用いることを特徴とする。
【0020】
この請求項6の構成によると、減速機などのバネ要素の弾性変形による影響をモデルとして取り込むことが可能となり、より高精度に外乱を推定し、補償することができる。
【0021】
本発明の請求項7に記載の推定装置を用いた制御装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載の推定装置を用いた制御装置であって、前記駆動装置は、溶接ロボットであり、前記外乱は、溶接ロボットのウィービング動作に伴う外乱であり、前記推定装置は、ウィービング周波数を外乱変動周波数ωとして与えることを特徴とする。
【0022】
この請求項7の構成によると、ウィービング周波数が速い場合には、外乱の周波数成分は、ウィービング周波数ωの外乱成分がほとんどを占めるため、周波数ωの外乱を推定する推定装置を構成することにより、他の周波数成分に悪影響を与えることなく、完全に相殺することが可能であり、高いウィービング振幅を実現することができる。また、ウィービング周波数が遅い場合には、外乱の周波数成分は、ウィービング周波数ωに加えて周波数n×ωの外乱成分も多く存在するため、周波数n×ωの外乱を推定する推定装置を構成することにより、より高精度な制御を実現することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明における推定装置を用いた制御装置について説明する。なお、本発明に係る推定装置を用いた制御装置の実施形態は、下記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな設計変更が可能である。
【0024】
[実施形態1]
本発明の第1の実施形態を以下に説明する。第1の実施形態においては、制御対象として剛体のロボットを想定し、制御対象の動特性モデルとして、次式(数1)であらわされる制御対象への適用例を示す。
【0025】
【数1】
Figure 0003983577
【0026】
ここで、Jはロボットの慣性、τは入力トルク、θはロボットの位置、dは外乱である。
【0027】
また、外乱変動周波数ωで変動する振動特性として、次式(数2)で表される動特性モデルを外乱dに仮定し、外乱dを推定するオブザーバ(推定装置)を構成する。
【0028】
【数2】
Figure 0003983577
【0029】
ここで、上記外乱dの動特性モデルに基づいて構成されたオブザーバのことを、外乱を推定する推定装置とする。具体的には、上記制御対象のモデル(数1)と、上記外乱の動特性モデル(数2)と、を用いてオブザーバ構成条件を満たすようにオブザーバを設計する。例えば、オブザーバの極を次式(数3)で指定する。
【0030】
【数3】
Figure 0003983577
【0031】
即ち、オブザーバの動特性を次式(数4)で与える。ここで、Ωは外乱の動特性を変更するためのパラメータである。
【0032】
【数4】
Figure 0003983577
【0033】
以上から、このオブザーバの実際の外乱dから外乱推定値d’までの動特性が次式(数5)となる。
【0034】
【数5】
Figure 0003983577
【0035】
また、このオブザーバの実際の外乱dから外乱推定値d’までのゲイン線図を図1に示す。なお、図1において、×線はパラメータΩを20ωとして与えた場合であり、○線はパラメータΩを2ωとして与えた場合であり、−線はパラメータΩを0.2ωとして与えた場合である。
【0036】
従って、上記の動特性(数5)において、Ω≧ωの場合には、ゲインが実質ゼロである(ゲインが±10db以内)、通過させる帯域は2ω−ΩからΩまでの周波数帯となり、バンドパス(帯域通過)特性が得られる。例えば、パラメータΩを20ωと与えると、そのゲイン線図は図1の×線に示される通りとなり、外乱推定動特性(外乱から推定値までの動特性)は周波数ωを中心周波数とするバンドパス特性で得られる。また、図1に示すように、ゲイン実質ゼロの周波数帯以外の周波数では、ゲインがマイナスとなっている。更に、図1に示すように、ゲイン実質ゼロの周波数帯には、機構部固有振動の周波数を含んでいない。ここで、機構部固有振動とは、外乱とは異なるものであり、高周波ウィービング動作時に制御帯域を高周波に広げて制御した場合等に、機構部の固有振動を励起させて発生する振動のことをいう。
【0037】
また、上記の動特性(数5)において、Ω<ωの場合には、周波数ωのみを通過させる減衰振動特性となり、Ωを小さくするにつれて、ゲインが実質ゼロである(ゲインが±10db以内)、通過させる帯域が狭い逆ノッチ型となり、ω以外の周波数帯の遮断特性が高くなる。例えば、パラメータΩを0.2ωとして与えると、そのゲイン線図は図1の−線に示される通りとなり、外乱推定動特性は周波数ωのみを推定可能な減衰振動特性で得られる。また、図1に示すように、ゲイン実質ゼロの周波数帯(周波数ω)以外の周波数では、ゲインがマイナスとなっている。更に、図1に示すように、ゲイン実質ゼロの周波数帯(周波数ω)は、機構部固有振動の周波数を含んでいない。
【0038】
なお、上述の実施形態においては、オブザーバの極を指定してオブザーバを設計しているが、オブザーバの設計はそれに限られない。一般的なバンドパスフィルタの設計手法は、様々な手法が存在する。例えば、他の方法として、制御対象の動特性モデルから、次式(数6)が得られる。
【0039】
【数6】
Figure 0003983577
【0040】
この数6によってdを算出し、離散系での一般的なバンドパスフィルタBd(z)、或いは、連続系での一般的なバンドパスフィルタBc(s)を用いて推定値d’を、次式の数7或いは数8により推定することができる。
【0041】
【数7】
Figure 0003983577
【0042】
【数8】
Figure 0003983577
【0043】
このように、本実施形態によると、Ωを大きく与えた場合は、推定特性がバンドパス特性となり、周波数ωの外乱だけではなく、その周辺の周波数の外乱も併せて推定することが可能となる。また、Ωを小さく与えた場合は、推定特性が減衰振動特性となり、周波数ωの外乱だけを推定することが可能となる。
【0044】
一方、周波数ωの外乱に着目すれば、実際の外乱の振幅に対する推定値の振幅の寄り付き、即ち外乱の振幅を推定するのに必要な時間は、Ωを大きくすることによって速くなり、Ωを小さくすることによって遅くなる。即ち、Ωを大きくすると、ゲイン実質ゼロの周波数帯が広くなり、複数の外乱がある場合でも対応でき、振幅の推定が短時間でできる。また、Ωを小さくすると、ゲイン実質ゼロの周波数帯が狭くなり、機構部固有振動の周波数の近傍に外乱の周波数がある場合でも対応が可能であるが、振幅の推定に時間がかかる。
【0045】
[実施形態2]
本発明の第2の実施形態を以下に説明する。なお、第1の実施形態と同一の数式については、その説明を省略する。
【0046】
第2の実施形態においては、制御対象として、図2に示すような、アクチュエータ部(モータ)2と被駆動体部(アーム)3が減速機(バネ)4等のバネ要素に連結される駆動装置(ロボット)1を想定する。そして、制御対象の動特性モデルとして、アクチュエータ部の慣性(アクチュエータとアクチュエータに付随した慣性)と、被駆動体部の慣性(被駆動体と被駆動体に付随した慣性)の2つの慣性からなる2慣性系でモデル化した次式(数9)であらわされる制御対象への適用例を示す。
【0047】
【数9】
Figure 0003983577
【0048】
ここで、Jlは被駆動体部(アーム)の慣性であり、Jmはアクチュエータ部(モータ)の慣性である。また、θlは被駆動体部の位置であり、θmはアクチュエータ部の位置である。更に、kはバネ要素のバネ定数である。cは外部から被駆動体部に作用する力であり、ロボットの各軸での干渉や重力項などを示し、対象とする制御対象に応じて、変更・削除する。
【0049】
この数9と数2とに基づき、実施形態1と同様に、数3のオブザーバの極、即ち数4のオブザーバの動特性を与えて、オブザーバ構成条件を満たすようにオブザーバを設計する。
【0050】
このように、本実施形態によると、2慣性系の動特性モデルとして置き換えることにより、減速機などのバネ要素の弾性変形による影響をモデルとして取り込むことが可能となり、より高精度に外乱を推定し、補償することが可能となる。
【0051】
[実施形態3]
本発明の第3の実施形態を以下に説明する。なお、第1の実施形態と同一の数式については、その説明を省略する。
【0052】
実施形態3においては、制御対象として、ウィービング周波数でトーチを揺動させるウィービング動作を行う溶接ロボットを想定する。図3は、推定装置を用いた制御装置のブロック線図である。また、図4は、推定装置を用いた制御装置のフローチャートである。
【0053】
まず、推定装置を用いた制御装置のブロック線図について、図3に基づいて、説明する。図3に示すように、制御装置11は、制御対象であるロボット12を制御する装置であり、位置・速度制御部13と、動力学補償部14と、弾性変形補償部15と、周期外乱推定オブザーバ(推定装置)16とから構成されている。
【0054】
位置・速度制御部13では、例えばPID制御を行うものであり、位置・速度の誤差に基づいて目標値としてのトルクを計算する。動力学補償部14では、位置・速度制御部13の応答の遅れを補償するためのものであり、動力学モデルに基づいて必要値としてのトルクを計算する。また、弾性変形補償部15では、バネがある場合にバネにかかるトルクを計算する。周期外乱推定オブザーバ16は、前記実施形態1または実施形態2に記載した方法により設計されており、ロボット12の速度、及び外乱変動周波数であるウィービング周期ωと、ウィービング周期ωから算出したパラメータΩとにより、外乱推定値としてのトルクを算出する。なお、周期外乱推定オブザーバ16は、実施形態1または実施形態2と同様に、制御対象の動特性モデルと数2とに基づき、数3のオブザーバの極、即ち数4のオブザーバの動特性を与えて、オブザーバ構成条件を満たすように設計する。
【0055】
次に、推定装置を用いた制御装置の作用について、図4のフローチャートについて、説明する。
【0056】
まず、制御が開始されると、ステップS1において、ウィービング周期ω及びパラメータΩの設定を行う。また、周期外乱推定オブザーバの状態変数を初期化する。
【0057】
次に、ステップS2において、周期外乱推定オブザーバにより外乱推定値(トルク)を計算し、ステップS3において、外乱推定値をトルクに加算する。そして、ステップS4において、制御を停止するか否かを確認する。
【0058】
制御を続ける場合は(ステップS4:NO)、ステップS5において、外乱周期を変更するか否かを確認する。外乱周期を変更する場合は(ステップS5:YES)、ステップS1に戻り、ウィービング周期ω及びパラメータΩの設定を行う。また、周期外乱推定オブザーバの状態変数を初期化する。一方、外乱周期を変更しない場合は(ステップS5:NO)、ステップS2に戻り、周期外乱推定オブザーバにより外乱推定値を計算する。
【0059】
制御を停止する場合は(ステップS4:YES)、ステップS6において、ウィービング周期ω及びパラメータΩの設定をクリアする。そして、周期外乱推定オブザーバの状態変数を初期化して、制御を停止する。
【0060】
このように、本実施形態によると、ウィービング周波数に応じて外乱の動特性を変更し、また必要であれば周期外乱推定オブザーバの動特性もウィービング周波数に応じて変更し、外乱を推定するとともに、その推定値をフィードバックすることによって、他の周波数の外乱に悪影響を与えることなしに、周波数ωの外乱を完全に相殺することができる。
【0061】
また、ウィービング周波数が速い場合、ウィービング動作に伴う外乱は、慣性力のモデル化誤差などが支配的となり、外乱の周波数成分のほとんどがウィービング周波数の周波数で占められる。従って、外乱の周波数成分のほとんどを占めるウィービング周波数の外乱を、他の周波数に悪影響を与えることなく、完全に相殺することが可能であり、高いウィービング振幅を実現することが可能となる。
【0062】
なお、ウィービング周波数が遅い場合、ウィービング動作に伴う外乱は、摩擦などの影響が支配的となり、外乱の周波数成分は、ウィービング周波数ωに加えて、周波数n×ω(n=2,3,・・・)の外乱成分も多く存在する。このため、外乱変動周波数ωに対して、周波数n×ωの外乱を推定する周期外乱推定オブザーバ16を上述と同様に構成すれば、より高精度な制御を実現することができる。
【0063】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の推定装置を用いた制御装置によると、推定装置の動特性にバンドパス特性を含めるにより、周波数ωの外乱だけでなく、その周辺の周波数の外乱も合わせて推定することが可能となる。本発明の請求項2に記載の推定装置を用いた制御装置によると、周波数帯は、外乱とは別に、制御に伴い励起される制御対象の機構部固有振動の周波数を含まないことから、機構部固有振動の周波数に対してほとんど影響を与えることなく、制御対象に係る多くの外乱を相殺することができる。
【0064】
本発明の請求項3に記載の推定装置を用いた制御装置によると、推定装置の動特性に減衰振動特性を含めることにより、周波数ωの外乱だけを推定することができ、機構部固有振動の周波数の近傍に外乱の周波数がある場合でも対応が可能となる。本発明の請求項4に記載の推定装置を用いた制御装置によると、周波数帯は、外乱とは別に、制御に伴い励起される制御対象の機構部固有振動の周波数を含まない。従って、周波数ωの外乱のみを推定することにより、機構部固有振動の周波数の近傍に外乱の周波数がある場合でも対応が可能となる。
【0065】
本発明の請求項5に記載の推定装置を用いた制御装置によると、外乱の周波数ωに対して、周波数n×ωの外乱を推定するように推定装置を構成することにより、より高精度な制御を実現することができる。
【0066】
本発明の請求項6に記載の推定装置を用いた制御装置によると、減速機を介してアクチュエータの駆動力が被駆動体に伝達され、該減速機がバネ要素として作用する駆動装置に対して、アクチュエータとアクチュエータに付随した慣性部分と、被駆動体と被駆動体に付随した慣性部分とで構成される2慣性系モデルを制御対象の動特性モデルとして推定装置の推定に用いることにより、減速機などのバネ要素の弾性変形による影響をモデルとして取り込むことが可能となり、より高精度に外乱を推定し、補償することができる。
【0067】
本発明の請求項7に記載の推定装置を用いた制御装置によると、駆動装置である溶接ロボットのウィービング動作に伴う外乱について、ウィービング周波数を外乱変動周波数ωとして推定装置の推定に用いることにより、ウィービング周波数が速い場合には、外乱の周波数成分は、ウィービング周波数ωの外乱成分がほとんどを占めるため、周波数ωの外乱を推定する推定装置を構成することにより、他の周波数成分に悪影響を与えることなく、完全に相殺することが可能であり、高いウィービング振幅を実現することができる。また、ウィービング周波数が遅い場合には、外乱の周波数成分は、ウィービング周波数ωに加えて周波数n×ωの外乱成分も多く存在するため、周波数n×ωの外乱を推定する推定装置を構成することにより、より高精度な制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るオブザーバ(推定装置)の実際の外乱dから外乱推定値d’までのゲイン線図である。
【図2】第2の実施形態に係るアクチュエータ部(モータ)と被駆動体部(アーム)が減速機(バネ)等のバネ要素に連結される駆動装置(ロボット)の概略図である。
【図3】第3の実施形態に係る推定装置を用いた制御装置のブロック線図である。
【図4】第3の実施形態に係る推定装置を用いた制御装置のフローチャートである。
【図5】従来の周期外乱推定オブザーバにおいて、周期外乱推定オブザーバの極を0.1ωの重根で与えたときの外乱に対する推定値のゲイン線図である。
【図6】従来の周期外乱推定オブザーバにおいて、周期外乱推定オブザーバの極を10ωの重根で与えたときのゲイン線図である。
【符号の説明】
1 駆動装置
2 アクチュエータ部
3 被駆動体部
4 減速機
11 制御装置
12 ロボット(駆動装置)
16 周期外乱推定オブザーバ(推定装置)

Claims (7)

  1. 制御対象に係る外乱を推定して、フィードバック制御を行う推定装置を用いた制御装置であって、
    前記制御対象は、周波数ωで変動する外乱を受ける駆動装置であって、
    前記推定装置は、外乱動特性として、外乱変動周波数ωで振動する振動特性を与え、該外乱動特性に基づいて外乱を推定し、
    前記推定装置の外乱推定特性として、外乱変動周波数ωを通過させるバンドパス特性を含めるように前記外乱動特性を変更するためのパラメータを変更することによって前記推定装置の極を指定していることを特徴とする推定装置を用いた制御装置。
  2. 前記バンドパス特性は、
    前記外乱と前記外乱を推定した推定値とのゲインを±10db以内とする外乱変動周波数ωを中心とした周波数帯があり、
    該周波数帯以外の周波数での該ゲインはマイナスであり、
    該周波数帯は、外乱とは別に、制御に伴い励起される制御対象の機構部固有振動の周波数を含まない、ことを特徴とする請求項1に記載の推定装置を用いた制御装置。
  3. 制御対象に係る外乱を推定して、フィードバック制御を行う推定装置を用いた制御装置であって、
    前記制御対象は、周波数ωで変動する外乱を受ける駆動装置であって、
    前記推定装置は、外乱動特性として、外乱変動周波数ωで振動する振動特性を与え、該外乱動特性に基づいて外乱を推定し、
    前記推定装置の外乱推定特性として、外乱変動周波数ωを通過させる減衰振動特性を含めるように前記外乱動特性を変更するためのパラメータを変更することによって前記推定装置の極を指定していることを特徴とする推定装置を用いた制御装置。
  4. 前記減衰振動特性は、前記外乱と前記外乱を推定した推定値とのゲインを±10db以内とする外乱変動周波数ωを中心とした逆ノッチ型の周波数帯があり、該周波数帯以外の周波数での該ゲインはマイナスであり、該周波数帯は、外乱とは別に、制御に伴い励起される制御対象の機構部固有振動の周波数を含まない、ことを特徴とする請求項3に記載の推定装置を用いた制御装置。
  5. 前記推定装置は、周波数n×ωで振動する外乱を推定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の推定装置を用いた制御装置。
  6. 前記駆動装置は、減速機を介してアクチュエータの駆動力が被駆動体に伝達され、該減速機がバネ要素として作用する駆動装置であり、
    前記推定装置は、アクチュエータとアクチュエータに付随した慣性部分と、被駆動体と被駆動体に付随した慣性部分とで構成される2慣性系モデルを制御対象の動特性モデルとして推定に用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の推定装置を用いた制御装置。
  7. 前記駆動装置は、溶接ロボットであり、
    前記外乱は、溶接ロボットのウィービング動作に伴う外乱であり、
    前記推定装置は、ウィービング周波数を外乱変動周波数ωとして与えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の推定装置を用いた制御装置。
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