JP3983401B2 - C/c材からなる成形体の製造方法 - Google Patents
C/c材からなる成形体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3983401B2 JP3983401B2 JP35426698A JP35426698A JP3983401B2 JP 3983401 B2 JP3983401 B2 JP 3983401B2 JP 35426698 A JP35426698 A JP 35426698A JP 35426698 A JP35426698 A JP 35426698A JP 3983401 B2 JP3983401 B2 JP 3983401B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- molded body
- crucible
- cured
- prepreg sheet
- core
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Ceramic Products (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、C/C材(炭素繊維強化炭素複合材)からなる円筒形状やルツボ形状などの成形体、例えばCZ法(チョクラルスキー法)による半導体製造時に用いられる炭素ルツボ、金属の溶解や熱処理時に用いられる容器、などのC/C材からなる成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
C/C材は、高い比強度、比弾性率を有する炭素繊維の複合化により優れた強度特性を備え、また耐熱性や化学的安定性なども優れているところから、CZ法による単結晶引き上げ用のルツボ、ヒータなどの半導体製造用の各種部材をはじめ航空・宇宙機用の構造部材や高温用部材など高温苛酷な条件下で使用される広い用途分野で有用されている。
【0003】
例えば、実開昭63−7174号公報には少なくとも側壁部分が一体のC/C材により構成されてなる単結晶引き上げ用ルツボが、また特開平9−263482号公報にはC/C材のシリコン単結晶引き上げ用ルツボであって、ルツボ内側を炭素繊維クロス積層体または炭素繊維フェルト積層体を用いたC/C材とし、ルツボ外側をフィラメントワインディング法により成形したC/C材で構成した二層よりなるシリコン単結晶引き上げ用炭素繊維強化炭素ルツボが開示されている。
【0004】
このC/C材を製造する代表的な技術としては、(1) マトリックスとなる熱硬化性樹脂液を含浸した炭素繊維の織布を積層し、プレスなどで所定形状に圧縮成形したのちプリプレグ成形体を非酸化性雰囲気下で焼成炭化する方法、(2) 熱硬化性樹脂液を含浸した炭素繊維のトウをフィラメントワインディング法で所定形状に成形し、このプリプレグ成形体を同様に焼成炭化する方法、などが知られている。
【0005】
しかしながら、これらの方法によりC/C材を作製する場合にC/C材の形状が複雑異形な場合にはその作製が困難となり、更に比較的に簡単な中空円筒形状やルツボなどの容器形状でも成形体の作製は必ずしも容易ではない。
【0006】
そこで、本出願人は炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸または塗布して形成したプリプレグを成形型内に引張りながら積層して貼りつけ、1〜30kg/cm2に加圧した状態で50〜100℃の温度に加熱硬化して容器状に成形し、成形型から離型後さらに150〜300℃の範囲で硬化処理したのち非酸化性雰囲気中で焼成することを特徴とする炭素容器の製造方法(特許第 2762300号)を開発した。
【0007】
また、特開平10−130067号公報には炭素繊維強化炭素複合材料を全部または一部に含んで形成される単結晶引き上げ用ルツボの製造方法であって、短炭素繊維を樹脂を含んでなる溶液中に分散させ前記短炭素繊維を含む混合液を得る工程と、前記混合液をルツボの形状からなる型に被せて液体成分を除去することにより前記短炭素繊維からなるルツボの形状体を得る工程と、前記ルツボの形状体を熱圧処理することにより、炭素繊維強化複合材料のルツボの成形体を得る工程と、前記ルツボの成形体を炭化および緻密化する工程とを含んでなる単結晶引き上げ用ルツボの製造方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法では加圧プレス成形により成形体を作製するので全ての方向から均等に加圧することができないために、加圧時に成形体組織に方向性が生じ易い難点がある。また、特開平10−130067号公報の方法では短炭素繊維を用いる関係で強度的に充分でないという問題点もある。
【0009】
そこで、本発明者は上記問題点を解消するために鋭意検討した結果、簡易な方法によりC/C材からなる成形体の作製に成功したものであって、その目的とするところは簡便な手法により円筒形状やルツボ形状などの容器形状のC/C材からなる成形体の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明によるC/C材からなる成形体の製造方法は、炭素繊維クロスに熱硬化性樹脂を含浸し半硬化したプリプレグシートを中子の表面に敷設するのに適した形状のプリプレグシート片に裁断し、裁断したプリプレグシート片を組み合わせて所望形状の型に作製した中子の表面に敷設して貼着し、所定の厚さに積層したのち多数の細孔を有する離型紙を包着し、次いで弾性体の袋に入れて真空引きしながら等方加圧成形して予備硬化し、成形体を弾性体の袋から取り出して硬化したのち非酸化性雰囲気中で熱処理して焼成炭化することを構成上の特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
炭素繊維としてはポリアクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系などの各種原料から製造されたものが用いられ、これらの炭素繊維を平織り、綾織り、朱子織りなどの織物としたクロスが使用される。熱硬化性樹脂にはフェノール系やフラン系など常用の樹脂が用いられ、C/C材の強度を高位に保持させるために残炭率50%以上のものが好ましく用いられる。
【0012】
炭素繊維クロスに熱硬化性樹脂を含浸する際、例えばアセトン、エタノールなどの揮発性溶媒に熱硬化性樹脂を適宜濃度に溶解して低粘度の熱硬化性樹脂溶液を調製して、炭素繊維クロスを浸漬する、あるいは炭素繊維クロスに塗布する、などの手段により含浸することが好ましい。このようにして熱硬化性樹脂を含浸した炭素繊維クロスは、風乾して揮発性溶媒を除去したのち60〜90℃の温度に加熱し、半硬化してプリプレグシートが作製される。
【0013】
プリプレグシートは所望する形状、例えばルツボなどの容器形状に合わせて作製した中子の表面に敷設するのに適した形状に裁断し、裁断したプリプレグのシート片を組み合わせて中子の表面に敷設する。中子の材質にはプリプレグシートとのなじみが良好な木材、金属材、や黒鉛材が用いられ、耐熱性が必要な場合には黒鉛材が好適であり、また中子に離型紙を張付けておくと型抜きを容易に行うことができるので好ましい。このようにしてプリプレグを裁断したシート片を中子の表面に1層敷設して貼着したのち、前記の熱硬化性樹脂溶液を塗布して乾燥後、その上に再びプリプレグシート片を組み合わせて敷設するという操作を繰り返して所定の厚さに積層する。
【0014】
このようにして、中子の表面にプリプレグシート片を敷設し、貼着して所定の厚さに積層したのち多数の細孔を有する離型紙を包着してゴムや繊維強化ゴム複合体や充填材を添加したゴム複合体などの材質からなる弾性体の袋に入れ、真空引きして揮発性成分を揮散除去する。更に、真空引きしながら弾性体の袋を冷間静水圧成形法(CIP)などの等方加圧成形法により等方的に加圧して成形する。等方加圧成形は、例えば1〜5トン/cm2 の水圧で1時間程度加圧成形し、この際、樹脂の種類により異なるが概ね10〜80℃程度に温度調整して含浸する熱硬化性樹脂の流動性を保持させることが望ましく、フェノール樹脂の場合には30〜50℃に加温することが好ましい。
【0015】
等方加圧成形したのち、弾性体の袋のまま50〜100℃の温度に適宜時間加熱して予備硬化し、次いで弾性体の袋から中子とともに予備硬化した半硬化成形体を取り出す。この予備硬化反応時に発生する縮合水や低沸点生成物などは、包着した離型紙の細孔を通って効率よく排出除去される。
【0016】
半硬化した成形体は、常法に従い150〜300℃の温度に加熱して硬化したのち、窒素ガス、アルゴンガスなどの非酸化性雰囲気中800〜2000℃の温度に加熱して樹脂成分を焼成炭化し、中子を取り外すことによりルツボ形状のC/C材からなる成形体が製造される。この場合、中子に離型紙を張付けておくと容易に離型できるので好ましい。このようにして製造された成形体は、プリプレグシートが中子とよくなじむので表面にしわやボイドの発生が少なく、表面平滑で緻密、かつ層間剥離もないC/C材から構成されているので、CZ法の炭素ルツボなどとして好適に用いることができる。
【0017】
実施例
ポリアクリロニトリル系の炭素繊維クロスに、フェノール樹脂をアセトンに溶解したフェノール樹脂溶液(濃度20wt%)を塗布し、70℃で1時間処理して半硬化し、プリプレグシートを形成した。外径300mm、高さ200mmの黒鉛製の中子を作製し、中子表面に離型紙を張り付け、その上に中子に添った形状に裁断したプリプレグシートのシート片を組み合わせて、へらで賦型しながら敷設し、加熱乾燥して貼着した。次いで、前記のフェノール樹脂溶液を塗布し、再びプリプレグシート片をへらで賦型しながら敷設し、加熱乾燥して貼着した。この操作を繰り返し行ってシート片を10層積層し、その上に多数の細孔を有する離型紙を包着してゴム袋に入れ、真空引きして揮発性成分を揮散除去した。
【0018】
その後、真空引きしながらゴム袋をCIP装置に入れ、水温を40℃に調節して1トン/cm2 の圧力で1時間等方加圧成形した。CIP装置からゴム袋を取り出し、90℃の温度で4時間加熱して予備硬化したのち、ゴム袋から予備硬化積層体を取り出して包着した離型紙を取り外し、240℃の温度で硬化した。次いで、不活性雰囲気中で10℃/hrの昇温速度で1000℃の温度により焼成炭化した後、中子を取り外して、内径300mm、高さ204mm、厚さ4mmのルツボ状の炭素容器を製造した。このようにして得られた炭素容器の内面ならびに外面にはしわやボイドなどが認められず、平滑で層間剥離なども観察されなかった。
【0019】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明のC/C材からなる成形体の製造方法によれば、簡便な方法により円筒形状やルツボ形状などの容器形状を有するC/C材からなる成形体を製造することが可能となる。したがって、CZ法に用いられる炭素ルツボや金属溶解などの熱処理容器に用いられるC/C材からなる成形体の製造方法として有用である。
Claims (1)
- 炭素繊維クロスに熱硬化性樹脂を含浸し半硬化したプリプレグシートを中子の表面に敷設するのに適した形状のプリプレグシート片に裁断し、裁断したプリプレグシート片を組み合わせて所望形状の型に作製した中子の表面に敷設して貼着し、所定の厚さに積層したのち多数の細孔を有する離型紙を包着し、次いで弾性体の袋に入れて真空引きしながら等方加圧成形して予備硬化し、成形体を弾性体の袋から取り出して硬化したのち非酸化性雰囲気中で熱処理して焼成炭化することを特徴とするC/C材からなる成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35426698A JP3983401B2 (ja) | 1998-12-14 | 1998-12-14 | C/c材からなる成形体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35426698A JP3983401B2 (ja) | 1998-12-14 | 1998-12-14 | C/c材からなる成形体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000178077A JP2000178077A (ja) | 2000-06-27 |
JP3983401B2 true JP3983401B2 (ja) | 2007-09-26 |
Family
ID=18436398
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35426698A Expired - Lifetime JP3983401B2 (ja) | 1998-12-14 | 1998-12-14 | C/c材からなる成形体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3983401B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN116442560B (zh) * | 2023-06-13 | 2023-10-03 | 北京爱思达航天科技有限公司 | 一种连续纤维热塑性复合材料板材成型模具及方法 |
-
1998
- 1998-12-14 JP JP35426698A patent/JP3983401B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000178077A (ja) | 2000-06-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0714869B1 (en) | Carbon fiber-reinforced carbon composite material and process for the preparation thereof | |
US5061414A (en) | Method of making carbon-carbon composites | |
CN113072387A (zh) | 一种碳纤维缠绕坩埚及其制备方法 | |
US4101354A (en) | Coating for fibrous carbon material in boron containing composites | |
JP3983401B2 (ja) | C/c材からなる成形体の製造方法 | |
JP4049356B2 (ja) | C/c材からなる成形体の製造方法 | |
JPH069270A (ja) | メソフェーズ粉体を使用する炭素/炭素複合材料部品の製造方法 | |
GB2112827A (en) | Carbon fiber materials | |
US4164601A (en) | Coating for fibrous carbon material in boron containing composites | |
JP2002255664A (ja) | C/c複合材及びその製造方法 | |
JP3288433B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材料前駆体 | |
JP3109928B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法 | |
JP2001181062A (ja) | 樹脂含浸炭素繊維強化炭素複合材とその製造方法 | |
JP2579563B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理法 | |
JP4420371B2 (ja) | C/c材製ネジ部材の製造方法 | |
JPH0648830A (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材料前駆体 | |
JP3185309B2 (ja) | 筒状多孔質炭素成形体の製造方法 | |
JP5691409B2 (ja) | C/c複合材及びc/c複合材の製造方法 | |
JPH04160059A (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材料の製造法 | |
JPH03205360A (ja) | 高強度炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法 | |
JPS62212262A (ja) | 炭素繊維強化炭素材料の製造方法 | |
JP2762461B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材の製造方法 | |
JPH0517243A (ja) | 繊維強化セラミツクスの製造方法 | |
JP3004777B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材料用前駆成形体の製造方法 | |
JP2003012374A (ja) | 炭素繊維強化炭素材の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040630 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070104 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070323 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070518 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070703 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070704 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100713 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110713 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120713 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130713 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |