JP3982780B2 - マグネシウム合金製鍛造薄肉筐体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はマグネシウム合金に係り、特に鍛造成形された薄肉筐体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
マグネシウムは現在実用化されている金属材料の中で最も比重が小さく、アルミニウムの2.7と比較してマグネシウムは1.8であり、軽量化材料として期待され、また普及しつつある。マグネシウム合金のほとんどは鋳造材として使用されている。マグネシウム合金の合金元素としては、主元素のマグネシウムの他に、基本元素のアルミニウム、亜鉛が強度と鋳造性を得るため、また強度と靱性を付与するジルコニウム、耐熱性付与に希土類元素、銀がある。マグネシウム合金の用途としては、航空・宇宙機器部品、原子力被覆材、陸上輸送機器、荷役機器、工業機械・工具類、電気・通信機器、農林鉱業機械、事務機器、光学用機器、スポーツ用品等広く利用されている。
【0003】
従来技術として、たとえば特開平6−172949号公報には、自動車のホイール等の部材をマグネシウム合金で構成するようなマグネシウム合金製部材およびその製造方法を開示している。すなわち、この開示されたマグネシウム合金製部材の製造方法は、「▲1▼ マグネシウム合金製鋳造素材を、鍛造成形して平均結晶粒径100μm以下の部材とした後、T6熱処理(溶体化処理及び人工時効処理)を施す。▲2▼ 鍛造成形温度を300〜420℃の範囲内に設定する。▲3▼ マグネシウム合金製部材を自動車用ホイールに設定する。」とするものである。
また、マグネシウム合金製部材は、「鋳造鍛造後にT6熱処理(溶体化処理及び人工時効処理)を施して形成されたマグネシウム合金製部材であって、上記部材の少なくとも表面部は、アルミニウムを6〜12重量パーセント含有し、かつ上記T6熱処理(溶体化処理及び人工時効処理)時にマグネシウムとアルミニウムとの金属間化合物とα相の共晶組織を有すると共に、上記鍛造時の塑性加工により平均結晶粒径が200μm以下で、かつ上記共晶組成が連鎖状に分散されたマグネシウム合金製部材。」とするものである。
【0004】
また、マグネシウム合金については、マグネシウム合金溶湯を高圧鋳造した成形品をT6熱処理(溶体化処理及び人工時効処理)する技術、あるいは鋳造成形品を鍛造成形する、いわゆる鋳造鍛造法も知られている。
また、最近では固液共存域で行う半溶融成形加工法として、射出成形法を応用した新成形法が注目されている。この成形方法で得られた成形品は一般鋳造品に見られるデンドライトがなく、微細な組織が得られ、ダイカスト法で得られた成形品と比較しても気孔が少なく高密度で、成形後の熱処理が可能であるので注目され、各方面で研究開発が進められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平6−172949号公報に開示された技術は、自動車のホイール等の大型部品を対象としたものであり、生産するにはかなりの設備費用を要し、またT6熱処理(溶体化処理及び人工時効処理)には長時間を要するという課題がある。
また、半溶融成形加工法によるマグネシウム合金成形品は、製造過程中に鋳造欠陥や酸化物を内部および表面に介在するおそれがある。これらが介在していると、その部品表面にメッキ処理を施しても、メッキ面の耐食性は改善できず外観から見た商品価値も低下する。そこで表面塗装により耐食性を向上させる方策がとられるが、この場合は金属光沢を出しにくく美観性に問題が残る。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、鍛造により軽量且つ高品質であるマグネシウム合金製薄肉筐体およびその製造方法を提供することにある。なお、本発明における「主要部の肉厚」とは、図5に示す筐体6の底部7及び側部8の大部分を占める均一肉厚を意味する。ただし、所定の記号用凹部20により形成される突出高さを含めないものとすると共に、図示していないが局部的ボスや更なる局部的薄肉部が存在する場合には、これら局部的ボスや更なる局部的薄肉部の肉厚は勘案しないものとする。また、「所定の記号」とは、図5において、所定の記号用凹部20により外面より突出して形成される文字、数字、マーク等の記号を意味する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を解決するために種々のマグネシウム合金について種々検討を重ねた結果、重量比率で、Al:1〜6%、Zn:0〜2%、Mn:0.5%以下、微量元素0.2%以下、残部Mg及び不可避的不純物よりなる組成のマグネシウム合金、例えばASTM規格のAM20合金やAZ31合金が鍛造性に優れることを知見し、粗鍛造及び仕上鍛造の複数工程の鍛造を行うことによる本発明のマグネシウム合金製鍛造薄肉筐体およびその製造方法の発明をなした。
【0009】
本発明のマグネシウム合金製鍛造薄肉筐体の製造方法は、マグネシウム合金素材の温度を350〜550℃、鍛造に供する金型温度を350〜450℃とし、3〜30ton/cm 2 の成形荷重を負荷しながら10〜500mm/秒の鍛造速度により粗鍛造を行い、次いで粗鍛造した成形筐体を300〜500℃、鍛造に供する金型温度を300〜400℃とし、1〜20ton/cm 2 の成形荷重を負荷しながら1〜200mm/秒の鍛造速度により仕上鍛造することにより主要部の肉厚がほぼ1.0mm以下の筐体に成形し、前記筐体にトリミング及び機械加工を施し、その後前記筐体の全面に特殊複合陽極酸化皮膜処理を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明のマグネシウム合金製鍛造薄肉筐体の製造方法は、粗鍛造工程で粗形状に成形し、次いで仕上鍛造工程で筐体内側の隅部を小半径を有する曲面に形成すると共に、前記筐体の底部および側部を目標寸法肉厚に形成し、さらに前記筐体の外側の面上に所定の記号を外面より突出させて一体的に形成することを特徴とする。
【0012】
得られたるマグネシウム合金製鍛造薄肉筐体の表面には、特殊複合陽極酸化皮膜処理を施すことにより、塗装では得られない優れた防食性およびマグネシウム合金素地を生かした金属光沢を有するマグネシウム合金製鍛造薄肉筐体の製造方法であることを特徴とする。
【0013】
また、マグネシウム合金製鍛造薄肉筐体の製造方法におけるマグネシウム合金素材の組成が、重量比率で、Al:1〜6%、Zn:0〜2%、Mn:0.5%以下、微量元素0.2%以下、残部Mg及び不可避的不純物よりなることを特徴とする。
【0014】
以下、本発明に係わる諸条件の適用及び限定理由について説明する。
1)鍛造用マグネシウム合金素材:
マグネシウム合金素材を鍛造して、薄肉筐体を成形するに際し、鍛造性に優れたマグネシウム合金である必要がある。そこで、重量比率で、Al:1〜6%、Zn:0〜2%、Mn:0.5%以下、微量元素0.2%以下、残部Mg及び不可避的不純物よりなるマグネシウム合金素材を選定する。アルミニウムが低いと鍛造性は良いが、剛性が悪くなるので、少なくともアルミニウム1%以上必要である。アルミニウム含有量が高くなると鍛造性、耐食性が低下するので、アルミニウム含有量を最大6%に限定する。亜鉛も同様な影響があり、鍛造性と、剛性のかねあいから0〜2%に限定する。例えば、ASTM規格のAZ31合金、AM20合金である。なお、微量元素としては希土類元素、リチウム、ジルコニウム等である。
【0015】
2)鍛造用マグネシウム合金素材の加熱:
マグネシウム合金素材を加熱する際に、大気中で行うと表面が酸化し、鍛造性、耐食性、外観に悪影響を及ぼすので、マグネシウム合金素材の加熱はアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気を有する電気式加熱炉にて行う。マグネシウム合金素材の加熱温度は鍛造温度より若干高い温度の350〜550℃(炉内雰囲気温度)で均一加熱する。なお、例えば素材の大きさ30mmφ×10〜30mm長さでは、加熱時間は10〜20分程度である。また、仕上鍛造前の粗形状筐体の加熱温度は300〜500℃とする。
【0016】
3)鍛造温度(鍛造時のマグネシウム合金素材の温度):
鍛造時のマグネシウム合金素材の温度を350〜550℃とする。350℃未満の温度では鍛造時のマグネシウム合金の金属の流れ(以下「メタルフロー」という。)が円滑に得られず、薄肉化が困難である。一方、550℃を超えると結晶粒の粗大化を招くので、550℃を上限温度とする。仕上鍛造は粗鍛造に続いて実施するが、マグネシウム合金素材の温度は粗鍛造時より若干低く、300〜500℃とする。
【0017】
4)金型温度:
マグネシウム合金素材の鍛造時の温度低下を防止するために、マグネシウム合金素材温度より若干低い温度で、粗鍛造時は350〜450℃に、仕上鍛造時は300〜400℃に保温保持する。なお、金型材質は高温強度を有するものが好ましい。
【0018】
5)鍛造速度:
鍛造速度が速過ぎるとメタルフローが円滑に行われず、一方遅過ぎると生産性の低下を招く。500mm/秒を超える鍛造速度では、メタルフローが鍛造速度に円滑に追随できなくなりメタルフローが乱れを生じる。したがって、鍛造速度の上限を500mm/秒とする。1mm/秒未満の鍛造速度では、生産性の低下を招くので、鍛造速度の下限を1mm/秒とする。特に生産性を重視する粗鍛造においては10〜500mm/秒、成形性を重視する仕上鍛造においては1〜200mm/秒とする。
【0019】
6)成形荷重:
特に生産性を重視する粗鍛造においては、30ton/cm2を超える成形荷重では製品および金型への負荷が過大となるので、成形荷重の上限を30ton/cm2とする。一方、1ton/cm2未満の成形荷重では成形しにくくなるため、成形荷重の下限を1ton/cm2とする。特に成形荷重が必要となる粗鍛造では3〜30ton/cm2、成形荷重が小さくても十分である仕上鍛造では1〜20ton/cm2とする。
【0020】
7)表面処理(特殊複合陽極酸化皮膜の形成):
酸化皮膜の形成は、JIS H 8651が基本の特殊複合陽極酸化処理方法により行う。液は重クロム酸ナトリウム、酸性ふっ化ナトリウムか酸性ふっ化カリウムまたは酸性ふっ化アンモニウム、硝酸アンモニウム、第1リン酸ナトリウム、アンモニア水などをマグネシウム素材組成、希望する色調などにより複数適量混合し、一定の温度、時間、電流値で処理する。
この特殊複合陽極酸化皮膜処理により、塗装では得られない優れた防食性およびマグネシウム合金素地を生かした金属光沢を有する鍛造製薄肉筐体を得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本願発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態)
図1は本発明の鍛造工程を示す図である。また、図2は鍛造用素材を載置して鍛造を行う上下金型の概略縦断面図である。また図3は鍛造機の概略側面図である。本発明は、 図1に示すように、重量比率で、Al:1〜6%、Zn:0〜2%、Mn:0.5%以下、微量元素0.2%以下、残部Mg及び不可避的不純物よりなるマグネシウム合金素材、例えばASTM規格のAZ31合金(Al約3%、Zn約1%、その他)やAM20合金(Al約2%、Mn約0.5%、その他)の30〜40mmφ×10〜30mm長さの鍛造用素材をアルゴンガスで充満した電気式加熱炉内に装入し、350〜550℃に均一加熱する。次いで、鍛造用素材を電気式加熱炉内から取り出し、図2に示す下金型2上に載置し、図3に示す鍛造機を用いて粗鍛造を行い、次いで仕上鍛造を行う。なお、図2において、4はヒーター、5は熱電対を示す。
【0022】
なお、鍛造機9は図3に示す如く、フライホイール11の回転力を応用する機械式鍛造機で、力を連結桿12に伝え、連結桿12の先端には連結具を介して上金型3が取外し自在に連結されている。上金型3は矢印Lの方向へ移動し、下金型2上に載置された鍛造用素材1に一定間隔で成形荷重を負荷する。粗形状成形の粗鍛造には鍛造速度が速い機械式鍛造機を使用し、最終製品寸法を成形する仕上鍛造には鍛造速度が比較的遅い油圧式鍛造機を使用する。10は偏心軸、13はフレームを示す。
【0023】
本発明に供する金型の実施の形態の概略縦断面図を図4(粗鍛造用金型)と図5(仕上鍛造用金型)に示す。粗鍛造に供する図4に示す上金型3は、その凸部下端隅部14を2〜7mmの半径に形成する。粗鍛造において、上金型3の凸部下端隅部14で鍛造形成される部位は、筐体6の内側の隅部となる。粗鍛造において、筐体6の内側の隅部はやや厚肉に成形される。両金型3、2により押圧されて鍛造成形される筐体6の底部7および側部8の肉厚部位も最終厚さと同等かやや厚い0.5〜1.5mmに形成される。また、下金型2は図4に示すように、その凹部隅部15を0.5〜1.5mmの半径に形成する。粗鍛造において、下金型2の凹部隅部15で鍛造形成される部位は、筐体6の外側の隅部となるので、当初から最終形状目標寸法に成形したほうが好ましい。
【0024】
次に、仕上鍛造に供する上金型16は、図5に示すように、その凸部下端隅部18を0.5〜1.5mmの半径に形成する。この凸部下端隅部18の形状により、粗鍛造でやや厚肉の2〜7mmの半径に成形された隅部を0.5〜1.5mmの半径に成形すると共に、図4に示す両金型3、2により押圧されて粗鍛造成形された筐体6の肉厚部位の一部は、仕上鍛造により下金型17の内側に所定の記号用に刻印された凹部20にメタルフローを生じ、筐体6の底部7の内側面21は平坦に、且つ目的の最終肉厚に鍛造成形される。なお、所定の記号は、筐体6の外表面上に一体的に突出して形成される。Aは筐体寸法80mm角の例示である。なお、鍛造条件は、粗鍛造では鍛造温度350〜550℃、金型温度350〜450℃、鍛造速度10〜500mm/秒、及び成形荷重3〜30ton/cm2とし、仕上鍛造では鍛造温度300〜500℃、金型温度300〜400℃、鍛造速度1〜200mm/秒、及び成形荷重1〜20ton/cm2とする。
【0025】
本発明においては、粗鍛造及び仕上鍛造で前述の鍛造条件により目標の主要部の肉厚0.5〜1.0mmを得ることができる。実験した中から代表的例を以下に実施例として記述する。
(実施例1)
30〜40mmφ×10〜40mm長さの鍛造用マグネシウム合金素材(10個)を 鍛造温度(鍛造時のマグネシウム合金素材の温度)500℃、金型温度400℃、鍛造速度200mm/秒、成形荷重20ton/cm2の鍛造条件で粗鍛造を行ったところ、主要部の肉厚が0.8〜1.0mmのものが得られた。
次いで、鍛造温度400℃、金型温度350℃、鍛造速度50mm/秒、成形荷重10ton/cm2 の鍛造条件で仕上鍛造を行った結果、主要部の肉厚は目標通りの0.6〜0.8mm厚さの範囲のものに成形することができた。
【0026】
(実施例2)
金型温度を300℃とした以外は実施例1と同様の粗鍛造条件で粗鍛造を行ったところ、主要部の肉厚は1.6mm以上となった。次いで、実施例1と同様の仕上鍛造条件により仕上鍛造を行った結果、主要部の肉厚は1.5mmであった。このように、金型温度を300℃と低い温度で粗鍛造した場合には、低温の金型に熱を奪われて素材温度が低下するため、塑性流動(メタルフロー)しにくく、その後に行う仕上鍛造では薄肉成形が困難であることがわかった。
【0027】
(実施例3)
鍛造温度(鍛造時のマグネシウム合金素材の温度)を340℃、成形荷重30ton/cm2とした以外は実施例1と同様の粗鍛造条件で粗鍛造を行ったところ、主要部の肉厚は1.8mm以上となった。次いで、実施例1と同様の仕上鍛造条件により仕上鍛造を行った結果、主要部の肉厚は1.6mm以上であった。
このことは、鍛造時での素材温度が低温であるため、成形荷重を30ton/cm2と負荷を増大させても、塑性流動(メタルフロー)しにくく、その後に行う仕上鍛造では薄肉成形が困難であることがわかった。
【0028】
(実施例4)
鍛造温度(鍛造時のマグネシウム合金素材の温度)を560℃、金型温度460℃とした以外は実施例1と同様の粗鍛造条件で粗鍛造を行ったところ、主要部の肉厚は1.0mm以下に成形することができたが、素材温度が高過たために塑性流動(メタルフロー)が激しく、表面にメタルフローの波状痕跡が残存していあ。次いで、仕上鍛造条件を種々変えて仕上鍛造を行ったが、メタルフローの波状痕跡を均一平坦な見栄え良くすることはできなかった。この結果から、鍛造温度が高過ぎては良くないことが確認できた。
【0029】
(実施例5)
成形荷重0.8ton/cm2とした以外は実施例1と同様の粗鍛造条件で粗鍛造を行ったところ、主要部の肉厚は2.0mm以上となった。次いで、仕上鍛造条件を種々変えて、特に成形荷重を30ton/cm2あるいは40ton/cm2と高くして、仕上鍛造を行った結果、主要部の肉厚1.0mmまでは薄肉成形できたが、厚さの不均一が生じ成形性が良好でなかった。
【0030】
(実施例6)
鍛造速度500mm/秒とした以外は実施例1と同様の粗鍛造条件で粗鍛造を行ったところ、塑性流動(メタルフロー)に乱れが生じ、金型内への充填が悪く、正確な形状に成形することができなかった。また、 鍛造速度に関しては粗鍛造で10mm/秒以下になると加圧時間が遅くなり素材の温度が下がるので薄くならず、5mm/秒では2.5mmであった。
【0031】
このようにして得られたマグネシウム合金製鍛造薄肉筐体には、その上端部の周囲に鍛造バリが発生しているので、パンチにより鍛造バリを除去するトリミングを行う。次いで、必要部位を機械加工する。マグネシウム合金は鍛造後においても酸化して金属光沢を失うおそれがあるので、特殊複合陽極酸化皮膜処理により酸化皮膜を形成し、塗装では得られない優れた防食性およびマグネシウム合金素地を生かした金属光沢を有するマグネシウム合金製鍛造薄肉筐体とする。
【0032】
【発明の効果】
本発明のマグネシウム合金製鍛造薄肉筐体は、アルミニウム合金製部品よりもさらに軽量で、剛性もあり、その外表面に所定の記号を有すると共に、全面に優れた防食性及び特殊複合陽極酸化皮膜が形成されてマグネシウム合金素地を生かした金属光沢があり、各種機器の軽量化を目的とする薄肉筐体として、その適用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鍛造作業工程を示す工程図である。
【図2】本発明に係り、鍛造用素材を載置して鍛造成形を行う上下金型の概略縦断面図である。
【図3】本発明に係る鍛造機の概略側面図である。
【図4】本発明に係り、粗鍛造に供する上下金型の概略縦断面図である。
【図5】本発明に係り、仕上鍛造に供する上下金型の概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 鍛造用素材
2 下金型
3 上金型
4 ヒーター
5 熱電対
6 筐体
7 筐体の底部
8 筐体の側部
9 鍛造機
10 偏心軸
11 フライホイール
12 連結桿
13 フレーム
L 成形荷重方向
14 粗鍛造用上金型の凸部下端隅部
15 粗鍛造用下金型の凹部隅部
16 仕上鍛造用上金型
17 仕上鍛造用下金型
18 仕上鍛造用上金型の凸部下端隅部
19 仕上鍛造用下金型の凹部隅部
20 所定の記号用凹部
21 筐体の底部の内側面
Claims (4)
- マグネシウム合金素材の温度を350〜550℃、鍛造に供する金型温度を350〜450℃とし、3〜30ton/cm 2 の成形荷重を負荷しながら10〜500mm/秒の鍛造速度により粗鍛造を行い、次いで粗鍛造した成形筐体を300〜500℃、鍛造に供する金型温度を300〜400℃とし、1〜20ton/cm 2 の成形荷重を負荷しながら1〜200mm/秒の鍛造速度により仕上鍛造することにより主要部の肉厚がほぼ1.0mm以下の筐体に成形し、前記筐体にトリミング及び機械加工を施し、その後前記筐体の全面に特殊複合陽極酸化皮膜処理を行うことを特徴とするマグネシウム合金製鍛造薄肉筐体の製造方法。
- 粗鍛造工程で粗形状に成形し、次いで仕上鍛造工程で筐体内側の隅部を小半径を有する曲面に形成すると共に、前記筐体の底部および側部を目標寸法肉厚に形成し、さらに前記筐体の外側の面上に所定の記号を外面より突出させて一体的に形成することを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金製鍛造薄肉筐体の製造方法。
- 特殊複合陽極酸化皮膜処理を施すことにより、塗装では得られない優れた防食性およびマグネシウム合金素地を生かした金属光沢を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマグネシウム合金製鍛造薄肉筐体の製造方法。
- マグネシウム合金素材の組成が、重量比率で、Al:1〜6%、Zn:0〜2%、Mn:0.5%以下、微量元素0.2%以下、残部Mg及び不可避的不純物よりなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のマグネシウム合金製鍛造薄肉筐体の製造方法。
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