JP3982745B2 - ワイパピボット装置の防水構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ワイパモータの動力によりワイパを払拭動させるワイパピボット装置の防水構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、ワイパピボット装置は、車体内装パネルに固定されるピボットホルダと、このピボットホルダに形成された貫通するシャフト挿通孔に回動自在に支持され、該ピボットホルダを貫通して配置されるピボットシャフトとを備えている。このピボットシャフトの先端部は、車体外装パネルに開設した開口から外方に突出している。また、上記ピボットホルダと上記ピボットシャフト間をシールするシャフトシール体と、上記ピボットシャフトに一端部が固定され、他端部がリンクジョイント部を介してリンクコンロッドの一端部に連結されるピボットアームとを備えている。該リンクコンロッドの他端部は他のリンク機構を介してワイパモータの出力軸に連結されている。上記リンクジョイント部は、上記ピボットアームの他端部に固定され外表面にメッキが施されたボールピンと、上記リンクコンロッドの一端部に設けた開口に嵌着され該ボールピンに球面対偶で連結された樹脂製のボールリテーナと、上記ボールピンと上記ボールリテーナの内部をシールする弾性材のジョイントシール部とからなる。
【0003】
このように構成されてなるワイパピボット装置は、上記ワイパモータが作動すると、該ワイパモータの出力軸の回転運動が、上記リンクコンロッドを含むリンク機構により上記ピボットアームの往復回動運動に変換され、上記ピボットシャフトが往復回動されることにより、上記車体外装パネルに開設した開口から外方に突出する該ピボットシャフトの先端部に一端を固定されたワイパアームの他端に装着されたワイパブレードで払拭面を拭うように作用する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のワイパピボット装置にあっては、雨天走行時や洗車時に、車体外装パネルの開口から流入した水(雨水)が、上記ピボットシャフト、上記シャフトシール体、および上記ピボットアームを伝って上記リンクジョイント部に流れ込み、ワイパ作動により上記ジョイントシール部に生じる若干の隙間から水の一部が上記ボールピンと上記樹脂製のボールリテーナとの間に吸い込まれ、その結果、該ボールリテーナは水を吸って膨潤してしまい、上記ボールピンとの連結が緩くなって、ボールピンからボールリテーナが脱落すること、即ち、上記リンクコンロッドが脱落することがあった。また、この吸い込まれた水には塵埃が含有していることがあり、この塵埃による研磨作用により互いに摺動するボールピンとボールリテーナとの摺動面が異常摩耗し、該ボールピンからボールリテーナがよりいっそう脱落し易くなったり、この研磨作用によりボールピンのメッキが剥がれ、その部分から発錆することがある等、多くの課題を有していた。
【0005】
この発明は、かかる現状に鑑み草案されたものであって、その目的とするところは、雨天走行時や洗車時に水(雨水)が上記リンクジョイント部に流れ込むのを有効に防止することで、上記リンクコンロッドの脱落や該リンクジョイント部の発錆を有効に防止することができるワイパピボット装置の防水構造を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1のワイパピボット装置の防水構造に関する発明は、車体内装パネルに固定されるピボットホルダと、上記ピペットホルダに回動自在に支持され車体外装パネルに開設した開口から先端部が外方に突出するピボットシャフトと、上記ピボットホルダと上記ピボットシャフト間をシールするシャフトシール体と、上記ピボットシャフトに一端部が固定されるピボットアームと、上記ピボットアームの他端部にリンクジョイント部を介して連結されるリンクコンロッドとを備えたワイパピボット装置において、上記ピボットホルダの上端面から外方に突出する上記ピボットシャフトの中間部分に、上記ピボットアームの一端部を固定し、上記シャフトシール体を上記ピボットアームの一端部上面に冠着するとともに、該シャフトシール体の一端部に上記ピボットシャフトを挿通させるシャフト挿通孔を開設し、更に上記シャフトシール体の他端部上面には、該シャフトシール体の他端部上面から立ち上がり上記リンクジョイント部を囲うように幅方向に緩やかに湾曲して形成された垂直辺部と、この垂直辺部の上端部から上記リンクジョイント部の上方を覆うように延設された水平辺部とからなり、上記車体外装パネルの開口から流入し上記リンクジョイント部側へと流れる水を堰き止める側面形状が略逆L字状の突片を形成するとともに、上記シャフトシール体の両側面部の他端部下縁には、上記ピボットアームの一端部上面にそれぞれ冠着される係止片部を形成したことを特徴とするものである。
【0007】
このワイパピボット装置の防水構造によれば、雨天走行時や洗車時に、車体外装パネルの開口から流入した水が、ピボットシャフトの外周面およびシャフトシール体の上面を伝ってきても、該シャフトシール体の他端部上面に形成した側面形状が略逆L字状の突片によりリンクジョイント部への流れ込みが有効に阻止される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態例に基づきこの発明を詳細に説明する。
【0011】
図1乃至図4は、この発明の実施の形態例が適用されたワイパピボット装置Wを示しており、該ワイパピボット装置Wは、ピボットホルダ1の車体取付部1aが図示しない車体内装パネルに固定され、このピボットホルダ1に形成された貫通孔であるシャフト挿入孔1Aに圧入された2つの軸受1B,1Bを介してピボットシャフト2が回動自在に支持される。このピボットシャフト2は、上記ピボットホルダ1のシャフト挿入孔1Aを貫通して図示しない車体外装パネルに開設した開口から、その先端部が外方に突出している。上記車体外装パネルの内側で上記ピボットホルダ1の上端面1Cから外方に突出する上記ピボットシャフト2の部分に、リンク機構の一部を構成するピボットアーム9の一端部を固定し、該ピボットアーム9の他端部にリンクジョイント部Aを介してリンクコンロッド6の先端部6Aが連結される。この先端部6Aは、圧潰されて平板状に形成されている。上記ピボットアーム9の一端部上面9aには、上記ピボットホルダ1と上記ピボットシャフト2間をシールするシャフトシール体3が嵌着されている。
【0012】
このシャフトシール体3は、図2乃至図4に示すように、ピボットアーム9の一端部上面9aに冠着される形状を有して形成されており、該シャフトシール体3の一端部には、上記ピボットシャフト2が挿通されるシャフト挿通孔3bが開設されており、また、該シャフトシール体3の他端部上面3aには、側面形状が略逆L字状に形成され、シャフトシール体3の他端部上面3aから立上がりリンクジョイント部Aの上方を覆う突片21が形成してある。更に上記シャフトシール体3の両側面部3c,3cの他端部下縁には、係止片部3d,3dが延設されており、該シャフトシール体3は、この係止片部3d,3dにより上記ピボットアーム9の一端部上面9aに冠着される。
【0013】
上記突片21は、上記シャフトシール体3の他端部(リンクジョイント部A側)上面から立ち上がり形成され、かつ、上記リンクジョイント部Aを構成する後述するジョイントシール部10を囲うように幅方向に緩やかに湾曲して形成された垂直辺部21aと、この垂直辺部21の上端部から上記リンクジョイント部Aを構成する後述するボールリテーナ5の上方を覆うように延設された水平辺部21bとで側面形状が略逆L字状に形成されている。
【0014】
ここで、上記リンクジョイント部Aは、特に図3に示すように、上記ピボットアーム9の他端部に固定され外表面にメッキが施されたボールピン4と、上記リンクコンロッド6の先端部6Aに設けた開口6Bに嵌着され該ボールピン4に球面対偶で連結された樹脂製ボールリテーナ5と、上記ボールピン4と上記ボールリテーナ5の内部をシールする弾性材のジョイントシール部10とからなる。このリンクジョイント部Aにより、リンクコンロッド6とピボットアーム9は回動自在に連結される。尚、互いに摺動するボールピン4とボールリテーナ5の摺動面にはグリースが充填されている。
【0015】
さらに、上記リンクコンロッド6の他端部は、図示しない他のリンク機構を介してワイパモータの出力軸に連結されている。
【0016】
このように構成されてなるワイパピボット装置Wは、上記ワイパモータが作動すると、該ワイパモータの出力軸の回転運動が、上記リンクコンロッド6を含む図示しないリンク機構により上記ピボットアームの往復回動運動に変換され、上記ピボットシャフト2が往復回動されることにより、上記車体外装パネルに開設した開口から外方に突出する該ピボットシャフト2の先端部に一端を固定されたワイパアーム7の他端に装着されたワイパブレード8で払拭面を拭うように作用する。
【0021】
このように突片21を構成することで、このワイパピボット装置Wにおいては、雨天走行時や洗車時に、上記車体外装パネルの開口から流入した水は、上記ピボットシャフト2、上記シャフトシール体3の上面3aを伝って流れてくるが、この水は、上記突片21により堰き止められシャフトシール体3の幅方向へと排出されるので、上記リンクジョイント部Aへは流れ込まない。そのため、該リンクジョイント部A内に水が吸い込まれることがなくなり、従来のように、ボールリテーナ5が脱落すること、即ち、リンクコンロッド6が脱落する不具合がなくなる。また、従来のように、水に含有されている塵埃による研磨作用により互いに摺動するボールピン4とボールリテーナ5の摺動面が異常摩耗し該ボールピン4からボールリテーナ5がより一層脱落し易くなったり、この研磨作用によりボールピン4のメッキが剥がれ、その部分から発錆するといった不具合もなくなり、この種のワイパピボット装置Wの作動品質を経時安定化させることができる。特に水量や水圧に関係なく、垂直辺部21aによって確実にピボットシャフト2を伝ってリンクジョイントA側へと流れる水を堰き止めることができ、しかも、水平辺部21bが庇として作用するので、例え水が飛散してリンクジョイントボール部Aの上方から降り注いでも、ボールリテーナ5及びその周辺に飛散した水が付着するのを確実に防止することもできるため、ワイパピボット装置Wの作動品質をより経時安定化させることが可能となる。
【0022】
【発明の効果】
この発明に係るワイパピボット装置の防水構造にあっては、上記説明したように構成されているので、雨天走行時や洗車時に水がリンクジョイント部に流れ込むのを有効に防止することができる。その結果、リンクコンロッドの脱落や該リンクジョイント部の発錆を有効に防止することができ、ワイパピボット装置の作動品質を経時安定化させることができるという優れた効果を奏する。特に水量や水圧に関係なく、垂直辺部によって確実にピボットシャフトを伝ってリンクジョイント側へと流れる水を堰き止めることができ、しかも、水平辺部が庇として作用するので、例え水が飛散してリンクジョイントボール部の上方から降り注いでも、ボールリテーナ及びその周辺に飛散した水が付着するのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係るワイパピボット装置の防水構造が適用されたワイパ装置の取付状態を示す概略説明図である。
【図2】 この発明の実施の形態例に係るワイパピボット装置の防水構造の斜視図である。
【図3】 同ワイパピボット装置の防水構造の一部を切断して示す縦断面図である。
【図4】 同ワイパピボット装置の防水構造に用いられるシャフトシール体の平面図である。
【符号の説明】
A リンクジョイント部
W ワイパピボット装置
1 ピボットホルダ
1C 上端面
2 ピボットシャフト
3 シャフトシール体
3a 上面
3b シャフト挿通孔
3c 側面部
3d 係止片部
4 ボールピン
5 ボールリテーナ
6 リンクコンロッド
9 ピボットアーム
9a 上面
10 ジョイントシール部
21 突片
21a 垂直辺部
21b 水平辺部
Claims (1)
- 車体内装パネルに固定されるピボットホルダと、上記ピペットホルダに回動自在に支持され車体外装パネルに開設した開口から先端部が外方に突出するピボットシャフトと、上記ピボットホルダと上記ピボットシャフト間をシールするシャフトシール体と、上記ピボットシャフトに一端部が固定されるピボットアームと、上記ピボットアームの他端部にリンクジョイント部を介して連結されるリンクコンロッドとを備えたワイパピボット装置において、
上記ピボットホルダの上端面から外方に突出する上記ピボットシャフトの中間部分に、上記ピボットアームの一端部を固定し、上記シャフトシール体を上記ピボットアームの一端部上面に冠着するとともに、該シャフトシール体の一端部に上記ピボットシャフトを挿通させるシャフト挿通孔を開設し、更に上記シャフトシール体の他端部上面には、該シャフトシール体の他端部上面から立ち上がり上記リンクジョイント部を囲うように幅方向に緩やかに湾曲して形成された垂直辺部と、この垂直辺部の上端部から上記リンクジョイント部の上方を覆うように延設された水平辺部とからなり、上記車体外装パネルの開口から流入し上記リンクジョイント部側へと流れる水を堰き止める側面形状が略逆L字状の突片を形成するとともに、上記シャフトシール体の両側面部の他端部下縁には、上記ピボットアームの一端部上面にそれぞれ冠着される係止片部を形成したことを特徴とするワイパピボット装置の防水構造。
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