JP3981617B2 - 非直線歪補償の負帰還ループを有するディジタル無線機 - Google Patents

非直線歪補償の負帰還ループを有するディジタル無線機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、負帰還により電力増幅器の非線形歪を補償するように構成した無線機に係り、特に、同相信号と直交信号を用いて負帰還を行なうカーテシアン型の帰還ループを備えた、線形ディジタル変調方式を使用するディジタル無線機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、QPSK(Quadri Phase Shift Keying)や多値QAM(Quadrature Amplitude Modulation)のような線形ディジタル変調方式を使用するディジタル無線機、特に移動通信用においては、電力増幅器の非線形歪によって隣接チャネルへの妨害が発生するため、電力増幅器の出力が線形化するように歪補償を行なうことが必須となる。
【0003】
同相信号と直交信号に分けた送信データに直交変調を施し、得られた直交変調信号即ち線形ディジタル変調信号を増幅器で電力増幅してアンテナから送信するディジタル無線機の従来例(例えば、公開特許文献1参照)を図4に示す。このディジタル無線機においては、増幅器の出力の一部を直交復調して得られた同相信号と直交信号を入力側に負帰還することによってカーテシアン型の負帰還ループが形成され、非線形歪補償が行なわれる。
【0004】
図4に示すように、同相入力端子1より入力されたベースバンドの入力同相信号Iは、加算器2と誤差増幅器3を経由し変調器4に入力され、同様に、直交入力端子5より入力されたベースバンドの入力直交信号Qは、加算器6と誤差増幅器7を経由し変調器8に入力される。
【0005】
直交変調器9は、変調器4、変調器8、0゜/90゜移相器10、及び加算器11によって構成される。発振器12で作られた搬送波Loは、0゜/90゜移相器10により同相搬送波LoIと直交搬送波LoQに分けられ、それぞれ変調器4、変調器8に入力される。それらの出力が加算器11で加算され、直交変調信号即ち線形ディジタル変調信号が得られる。直交変調信号は、フィルタ13にて不要成分を除去された後、電力増幅器14により所要電力まで増幅され、方向性結合器15を経てアンテナ16から出力される。
【0006】
方向性結合器15からは、送信する直交変調信号の一部が帰還直交変調信号として取り出される。帰還直交変調信号は、直交復調器17に入力される。
【0007】
直交復調器17は、復調器18、復調器19、及び0゜/90゜移相器20で構成される。発振器12で生成され、可変移相器21を経た復調用搬送波Lodは、0゜/90゜移相器20により、同相搬送波LodIと直交搬送波LodQに分けられ、それぞれ復調器18、復調器19に入力される。その結果、ベースバンドの同相信号と直交信号、即ち帰還同相信号Irと帰還直交信号Qrが、直交復調器17から出力される。
【0008】
加算器2に帰還同相信号Irが入力されると、同相信号Iは、信号Irだけ減算されてから誤差増幅器3に出力される。同様に加算器6に帰還直交信号Qrが入力されると、直交信号Qは、信号Qrだけ減算されてから誤差増幅器7に出力される。
【0009】
これにより、カーテシアン型の負帰還ループが形成され、電力増幅器14で生じる歪みの補正が行なわれる。ここで、順方向利得をA、帰還方向利得をβとすると、歪改善量は1+Aβ≒Aβとなる。
【0010】
このとき、加算器2、加算器6に入力される順方向信号I,Qとそれぞれの帰還信号Ir,Qrとの間の位相差Φが、負帰還ループの位相余裕を超えたものであると、負帰還が正帰還に転じ、発振が起こる。この発振によって出力レベルが規定値以上となり、不法電波が発射されるだけでなく、長時間の過入力が電力増幅器の破壊を招く。
【0011】
この位相差Φは、主に、直交変調器9から直交復調器17に至る間での、フィルタ13、電力増幅器14、方向性結合器15における処理の遅延により生じる。位相差Φを無くすために、まず、位相差検出器22が順方向信号I,Qと帰還信号Ir,Qrを入力して位相差Φを検出し、その値を位相補正量として記憶する。次に、可変移相器21が、その位相補正量を入力して、搬送波Loを位相差Φだけ移相させて搬送波Lodとし、直交復調器17内部の0゜/90゜位相器20に出力する。これにより、直交復調器17が出力する帰還信号Ir,Qrの位相が補正される。
【0012】
ところで、電源投入直後の初期状態では、位相差Φが確定するまでの間、負帰還ループが不安定となり、場合によっては発振を起こすことがあり得る。そのような場合、アンテナ16から、周辺に妨害を与える不法の電波が発射されることとなる。これを避けるため、通常は予めアンテナ16の代わりに終端器を接続して電波の発射を止め、その状態で、位相差Φを検出することが行なわれる。適切な位相差Φが確定してから、その値が位相差検出器22に記憶され、以降、記憶された位相差Φを位相補正量として使う位相補正が行なわれる。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−285387号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来のディジタル無線機においては、搬送波Loから同相搬送波LoIと直交搬送波LoQを生成する変調側の過程、及び搬送波Loから同相搬送波LodIと直交搬送波LodQを生成する復調側の過程の双方で、安価で流通量の多いフリップフロップによる0゜/90゜位相器を用いた場合に、以下の問題が生じる。そのような場合として、変調側の0゜/90゜位相器10と復調側の0゜/90゜位相器20とにフリップフロップを用いた第1の場合があり、その他に、可変移相器21に後で述べるように0゜/90゜位相器を使い、そこにフリップフロップを用い、同時に変調側の0゜/90゜位相器10にフリップフロップを用いた第2の場合がある。
【0015】
フリップフロップを用いた0゜/90゜移相器の構成例を図5に示す。移相器は、2逓倍器24、フリップフロップ25及びフリップフロップ26で構成される。搬送波Loを2逓倍器24で2逓倍した後、フリップフロップ25及びフリップフロップ26により構成されるマスタースレイブ型フリップフロップ27で2分周することにより、互いに位相差が90゜である搬送波LoI、搬送波LoQを得る。
【0016】
入力の搬送波Loに対する2逓倍器24の出力位相、及び搬送波LoI、搬送波LoQの出力位相のタイミングを図6に示す。図6に示す通り、搬送波LoIの位相は、搬送波Loの位相と同じ場合(同相)と、180゜ずれる場合(逆相)があり、不確定である。この不確定な状態は、ディジタル無線機の電源を投入して、送信を行なう度に発生する。
【0017】
そのような位相ずれにより、上記の第1の場合に、0゜/90゜位相器10の出力と0゜/90゜位相器20の出力とが相互に180゜ずれることが起こり得る。そのときは、位相差検出器22に記憶された位相差Φで補正を行なっても、負帰還ループの位相が位相余裕を超えることによって負帰還ループが発振してしまうことが起こり得、その場合には不法電波が発射されることとなり、更には電力増幅器14の破壊が起こることがあり得ることとなる。
【0018】
このような不都合を回避するためには、送信を行なう度に、アンテナ16を終端器に付け替える作業を行なった上で位相補正量の補正を行なうか、或いは、スイッチを設けてアンテナ16を終端器に切り換える動作を行なった上で位相補正量の補正を行なうなどの対策が必要になる。付け替え作業は、面倒で煩雑であり、無線機の実用性を著しく落とす。また、スイッチは、高周波電力を扱うものになるので、高価で大型になり、また、スイッチの損失も無視できない。
【0019】
次に、第2の場合に関わる、フリップフロップを用いた可変移相器の構成例を図7に示す。可変移相器は、直交変調器を使用した移相器であり、サイン・コサインROM(Read Only Memory)71、二つのD/A(ディジタル/アナログ)変換器72,73及び直交変調器74で構成される。
【0020】
位相差検出器22から送られる位相補正量を表すディジタルの補正位相情報Cがサイン成分とコサイン成分とに分けられて書換え可能なサイン・コサインROM(Read Only Memory)71に記憶され、それぞれの成分がD/A変換器72,73でアナログ信号に変換されてから直交変調器74に入力される。直交変調器74の作用により、搬送波Loが位相補正量を補正された搬送波Lodとなって出力される。この例では、搬送波Loを同相搬送波と直交搬送波に分ける0゜/90゜移相器に、図5に示したフリップフロップによる移相器が用いられる。
【0021】
従って、搬送波Lodが搬送波Loに対して180゜ずれる位相ずれが起こり得る。そのため、可変移相器21にこのような移相器を用いる上記の第2の場合も第1の場合と同様に、0゜/90゜位相器10の出力と0゜/90゜位相器20の出力とが相互に180゜ずれる位相ずれが起こり得、同様の不都合が起こり得る。
【0022】
本発明の目的は、直交変調側と直交復調側とで搬送波に180゜の位相ずれがあってもアンテナを終端抵抗に付け替えることなく適正な位相補正を行なうことが可能な新規のディジタル無線機を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記課題は、直交変調器に供給する互いに直交する直交変調用搬送波及び直交復調器に供給する互いに直交する直交復調変調用搬送波の間の位相ずれを送信に先立って検出する位相差検出手段を設け、互いに直交する入力信号及び互いに直交する帰還信号の間の位相差を低減する位相補正手段が、位相差検出手段の検出結果を用いて送信時の位相補正量を設定することにより効果的に解決することができる。
【0024】
そのような手法を更に具体的に述べれば、一例として、直交変調器が出力する直交変調信号を増幅器へ送らずに直接に直交変調器に入力するスイッチを設け、予め設定しておいた位相補正量と該位相補正量の設定時の位相ずれを記憶しておき、送信の度に前以てスイッチを直交変調器への直接入力の方に切り替えて直交変調側と直交復調側の間の搬送波の位相ずれと、記憶している位相ずれとの差を記憶している位相補正量に加えて送信時の位相補正量とすることがある。
【0025】
そのような手法の他の具体例として、直交変調器と増幅器の間に可変減衰器を更に配置し、送信を行なう度に前以て可変減衰器の減衰量を所定の値にして送信が行なわれないようにしたときに検出した位相ずれを記憶しておき、可変減衰器の減衰量を上記所定の値よりも小さくして送信を行なうときに、記憶している位相ずれを含めて位相補正量を設定することがある。
【0026】
送信を行なう度に前以て検出される位相ずれは0゜又は180゜のいずれかであり、180゜のときにそれに応じて送信時の位相補正量が修正されるので、送信の度にアンテナを終端抵抗に付け替えることなく適正な位相補正を得ることができる。
【0027】
このように、直交変調側の搬送波と直交復調側の搬送波の間に180゜の位相ずれがあっても適正な位相補正を行なうことが可能になるため、フリップフロップによる0゜/90゜位相器を用いることが可能になる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るディジタル無線機を図面に示した発明の実施の形態を参照して更に詳細に説明する。なお、図1、図3及び図4における同一の符号は、同一物又は類似物を表示するものとする。
【0029】
図1に本発明のディジタル無線機の第1の実施形態を示す。図1ではディジタル無線機の送信部を示しており、1は同相信号入力端子、5は直交信号入力端子、2は、入力端子1から入力したベースバンドの入力同相信号Iから帰還同相信号Irを減算する加算器、6は、入力端子5から入力したベースバンドの入力直交信号Qから帰還直交信号Qrを減算する加算器、3は、加算器2が出力する加算補正された同相信号を増幅する誤差増幅器、7は、加算器6が出力する加算補正された直交信号を増幅する誤差増幅器、4は同相信号で搬送波を変調する変調器、8は直交信号で搬送波を変調する変調器、10は搬送波の位相を0°及び90°移相する0°/90°移相器、11は、変調器4、8からの変調信号を加算して直交変調信号即ち線形ディジタル変調信号を出力する加算器、9は、変調器4,8と0°/90°移相器10と加算器11とからなる直交変調器、13は、直交変調器9が出力する直交変調信号の不要成分を除去するフィルタ、14は、フィルタ13が出力する直交変調信号を所要電力まで増幅する電力増幅器、16は、電力増幅器14が出力する直交変調信号即ち送信信号を送信するアンテナ、12は、0°/90°移相器10に供給する搬送波Loを生成する搬送波発振器(局部発振器)を示す。
【0030】
更に続けて図1において、15は、電力増幅器14が出力する送信信号の一部を帰還直交変調信号として取り出すための方向性結合器、18は、方向性結合器15が出力する帰還直交変調信号を復調してベースバンドの帰還同相信号Irを出力する復調器、19は、該帰還直交変調信号を復調してベースバンドの帰還直交信号Qrを復調する復調器、20は搬送波の位相を0°及び90°移相する0°/90°移相器、17は、復調器18,19と0°/90°移相器20とからなる直交復調器、22は、入力信号I,Qと帰還信号Ir,Qrとの位相差を検出し、検出結果を位相補正量として記憶して出力する位相差検出器、21は、位相差検出器22が出力する位相補正量を用いて搬送波発振器12からの搬送波Loの位相を変化させ、搬送波Lodを出力する可変移相器、23は、直交変調器9が出力する直交変調信号の供給先をフィルタ13を経由した増幅器14から直交復調器17に切り替える切替スイッチを示す。
【0031】
0°/90°移相器10は、図5に示すフリップフロップを用いた回路で構成され、搬送波Loを同相成分LoIと直交成分LoQに分け、変調器4,8にそれぞれを供給する。0°/90°移相器20も同様、フリップフロップを用いて構成され、搬送波Lodを同相成分LodIと直交成分LodQに分け、変調器18,19にそれぞれ供給する。
【0032】
上記の構成において、加算器2で同相信号Iから帰還同相信号Irが減算され、加算器6で直交信号Qから帰還直交信号Qrが減算されることにより、負帰還ループが形成され、電力増幅器13の非直線性によって生じる歪を低減する非直線歪補償が行なわれる。
【0033】
ディジタル無線機を実際に使用するのに先立って、初期設定が行なわれる。先ず、アンテナ16の代わりに終端器が接続され、アンテナ16からの電波放射が阻止される。その状態で、位相差検出器22は、順方向ベースバンドの信号I,Qと帰還方向ベースバンドの信号Ir,Qrとの間の位相差Φを検出し、その値を初期位相補正量として記憶する。
【0034】
続いて、搬送波Loを変化させないまま、直交変調器9と電力増幅器14の間に設けた切替スイッチ23が操作され、電力増幅器14を経由せずに直交復調器17に直交変調信号を入力する第2負帰還ループが形成される。その状態で、同様に位相差検出器22は、順方向ベースバンドの信号I,Qと帰還方向ベースバンドの信号Ir,Qrとの間の位相差Φoを検出して記憶する。なお、切替スイッチ23を電力増幅器14への接続を選択するように操作して形成される帰還ループを第1負帰還ループと言うこととする。
【0035】
位相差Φoは、初期位相補正量の設定時の初期位相ずれとなるものであり、0°又は180°のいずれかである。従って、位相差Φは、初期位相ずれのそれぞれに応じて位相差Φoが0°のときの初期位相補正量又は位相差Φoが180°のときの初期位相補正量のいずれかとなる。
【0036】
以降の送信開始時には、先ず、送信に先立って切替スイッチ23が操作され、第2負帰還ループが形成される。このとき位相差検出器22が検出した位相差が位相差Φo即ち初期位相ずれと比較して所定量以下(例えば10゜以下)である場合、位相差検出器22は、記憶している位相差Φによる初期位相補正量を送信時の位相補正量として可変移相器21に供給する。可変移相器21は、該位相補正量を基に搬送波Loを位相差Φだけ移相させた搬送波Lodを出力する。続いて、切換スイッチ23の切替えによって第1負帰還ループが形成され、送信が行なわれる。
【0037】
第2負帰還ループが形成されたときの位相差検出器22が検出した位相差が、位相差Φo即ち初期位相ずれと比較して所定量以上(例えば170゜以上)である場合は、位相差検出器22は、記憶している位相差Φによる初期位相補正量に180゜を加えて送信時の位相補正量とし、それを可変移相器21に供給する。可変移相器21は、該位相補正量を基に搬送波Loを位相差Φ+180゜だけ移相させた搬送波Lodを出力する。続いて、切換スイッチ23の切替えによって第1負帰還ループが形成され、送信が行なわれる。
【0038】
ここで、上記の位相差Φoを検出する際に、フリップフロップを用いた0°/90°移相器10,20の搬送波LoI,LodIの位相がいずれも入力する搬送波Loの位相と一致している即ち位相差が0°の場合の位相補正量(補正すべき位相値)を一例として図2に示す。送信時に、変調側と復調側で180°の位相ずれがあった場合にのみ、位相差Φに180゜を加える修正が行なわれる。なお、180゜を加えることは、180゜を減ずることと同等であるので、図2はそのような表示とした。
【0039】
本実施形態により、0°/90°移相器10,20にフリップフロップを用いたときに起こる、通信の都度位相が不確定になることによる問題が解消され、送信の度にアンテナを終端抵抗に付け替えることなく常に適正な位相補正を行なうことが可能になる。それにより、安定なカーテシアン型の負帰還ループが形成され、歪のない線形ディジタル変調信号がアンテナ16より送信される。
【0040】
図3に本発明のディジタル無線機の第2の実施形態を示す。図3ではディジタル無線機の送信部を示しており、24は、直交変調器9からの直交変調信号に減衰を与える可変減衰器、25は、方向性結合器15からの帰還直交変調信号に減衰を与える可変減衰器、26は、直交変調器9が出力する直交変調信号と可変移相器21が出力する搬送波Lodとの間の位相差を検出する位相差検出器を示す。
【0041】
0°/90°移相器20は、図示していないが、フリップフロップを用いず、通信の都度位相が確定する回路で構成される。また、可変移相器21は、図7に示す、0°/90°移相器75にフリップフロップを用いた回路で構成され、位相差検出器22からの位相補正情報Cに従って搬送波Loの位相をずらした搬送波Lodを直交変調器75の出力信号として出力する。位相差検出器22は、位相差検出器26の検出結果を入力し、それを含めて位相差Φtを検出して、記憶する。記憶データがディジタルの位相補正情報Cとして出力される。
【0042】
本実施形態が第1の実施形態と構成で異なる点は、上記の他、スイッチ23を用いず、従って第2負帰還ループを形成しないことである。それ以外については、本実施形態は第1の実施形態と共通するので説明を省略する。また、以下の動作の説明においても、第1の実施形態と共通する点については説明を省略する。
【0043】
本実施形態の動作を説明する。まず、可変減衰器24,25の減衰量を所定の大きい減衰量にして電源を投入することにより、無線機は、アンテナ13からの電波発射が阻止され、更に負帰還ループを形成しないように設定される。続いて、直交変調器9及び可変移相器21の直交変調器74にそれぞれ同じ直流電圧が与えられ、位相差検出器26が、変調用の直交変調器9の出力信号と可変移相器21を構成する直交変調器74の出力信号の位相差を検出する。このときの位相差は、直交変調器9と可変移相器21を構成する直交変調器74の各0°/90°移相器がフリップフロップを用いて構成されているので、0°又は180°である。この位相差Φp(0°又は180°)即ち位相ずれが位相差検出器22に送られ、位相差検出器22において記憶される。
【0044】
次に、搬送波Loを変化させないまま、可変減衰器24、25が所定の小さい減衰量に設定され、それによってアンテナ13から電波が発射され、更に負帰還ループが形成される。
【0045】
この状態で、位相差検出器22は、入力した同相信号I及び直交信号Qと帰還同相信号Ir及び帰還直交信号Qrとにより、同相信号I及び直交信号Qと帰還同相信号Ir及び帰還直交信号Qrとの間の位相差Φtを位相ずれである位相差Φpを含めて検出して記憶し、可変位相器21へ補正位相情報Cを出力する。
【0046】
位相差Φtは、直交変調器9から直交復調器17までの可変減衰器24,25、フィルタ13、電力増幅器14、方向性結合器15等により発生する位相差を表すものである。可変位相器21は、この位相差が最適位相差値0°になるように、即ち、直交復調器17から加算器3,7へ正しい帰還が行なわれるように、位相差Φtによって作成された補正位相情報Cに従って搬送波Loの位相を補正し、搬送波Lodを出力する。
【0047】
このように、位相差検出器22は、位相差検出器26からの位相差Φpを含んで位相差Φtを検出する。それにより、直交変調信号に対する帰還直交変調信号の最適位相差値を0°とし、直交変調信号と帰還直交変調信号との間に発生している最適位相差値0°との位相差を位相差Φ1とすると、位相差Φpが0°のときにΦt=Φ1となり、一方、位相差Φpが180°のときにΦt=Φ1+180°となり、位相差Φpが0°又は180°のいずれの場合も最適な位相補正を行なうための位相補正量を得ることができる。
【0048】
以上により、0°/90°移相器10,75にフリップフロップを用いたときに起こる、通信の都度位相が不確定になることによる問題が解消され、送信の度にアンテナを終端抵抗に付け替えることなく常に適正な位相補正を行なうことが可能になる。それにより、安定なカーテシアン型の負帰還ループが形成され、歪のない線形ディジタル変調信号がアンテナ16より送信される。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、カーテシアンループ方式の負帰還を用いた歪補償において、直交変調側と直交復調側とで用いる搬送波に180°の位相ずれが生じても、送信の度に、負帰還の位相補正がその位相ずれを含んで行なわれるようになり、それにより、常に安定した負帰還が可能になり、安定な歪補償を行なうことが可能になる。従って、直交変調側及び直交復調側のそれぞれに用いる0゜/90゜移相器を、安価で流通量の多いフリップフロップを用いて構成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るディジタル無線機の第1の発明の実施の形態を説明するためのブロック図。
【図2】直交変調側及び直交復調側で用いる搬送波の位相のずれを考慮して設定する位相補正量を説明するための図。
【図3】第2の発明の実施の形態を説明するためのブロック図。
【図4】従来のディジタル無線機の例を説明するためのブロック図。
【図5】フリップフロップ型の0゜/90゜位相器を説明するためのブロック図。
【図6】フリップフロップ型の0゜/90゜位相器のタイミングを示す図。
【図7】可変移相器の例を説明するためのブロック図。
【符号の説明】
1…同相信号入力端子、2,6,11…加算器、3,7…誤差増幅器、4,8,18,19…変調器、5…直交信号入力端子、9…直交変調器、10,20…0゜/90゜移相器、12…発振器、13…フィルタ、14…電力増幅器、15…方向性結合器、16…アンテナ、17…直交復調器、21…可変移相器、22,26…位相差検出器、23…切替スイッチ、24,25…可変減衰器。

Claims (5)

  1. 互いに直交する入力信号から互いに直交する帰還信号を同じ直交性を有する信号同士で減算する加算器と、
    該加算器の出力信号を直交変調する直交変調器と、
    該直交変調器が出力する直交変調信号を増幅して送信信号を出力する増幅器と、
    該送信信号の一部を直交復調して上記帰還信号を出力する直交復調器と、
    上記入力信号及び該帰還信号の間の位相差を低減する位相補正手段と、
    上記直交変調器に供給する互いに直交する直交変調用搬送波及び上記直交復調器に供給する互いに直交する直交復調変調用搬送波の間の位相ずれを送信に先立って検出する位相差検出手段とを有し、
    上記入力信号から増幅及び直交復調を経た上記帰還信号を減算することによって負帰還ループが形成されており、
    上記位相補正手段は、該位相差検出手段の検出結果を用いて、送信時に位相補正を行なうための位相補正量を設定し、
    上記直交変調器と前記増幅器の間に、該直交変調器が出力する上記直交変調信号の供給先を該増幅器から該直交復調器に切り替える切替スイッチを更に有し、
    上記位相差検出手段は、該切替スイッチによって該直交変調信号の供給先が該直交復調器に切り替えられているときの上記入力信号及び上記帰還信号の間の位相差を上記位相ずれとして検出するものであり、
    上記位相補正手段は、負帰還ループにおいて予め設定した位相補正量である初期位相補正量と、前記位相差検出手段によって検出された、該初期位相補正量の設定時の位相ずれである初期位相ずれとを記憶しており、
    上記位相補正手段は、送信を行なう度に前以て検出した位相ずれと、記憶している該初期位相ずれとの差を上記初期位相補正量に加えて送信時の上記位相補正量とすることを特徴とするディジタル無線機。
  2. 上記直交変調用搬送波を生成する0°/90°移相器と上記直交復調変調用搬送波を生成する別の0°/90°移相器とは、フリップフロップを用いて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のディジタル無線機。
  3. 互いに直交する入力信号から互いに直交する帰還信号を同じ直交性を有する信号同士で減算する加算器と、
    該加算器の出力信号を直交変調する直交変調器と、
    該直交変調器が出力する直交変調信号を増幅して送信信号を出力する増幅器と、
    該送信信号の一部を直交復調して上記帰還信号を出力する直交復調器と、
    上記入力信号及び該帰還信号の間の位相差を低減する位相補正手段と、
    上記直交変調器に供給する互いに直交する直交変調用搬送波及び上記直交復調器に供給する互いに直交する直交復調変調用搬送波の間の位相ずれを送信に先立って検出する位相差検出手段とを有し、
    上記入力信号から増幅及び直交復調を経た上記帰還信号を減算することによって負帰還ループが形成されており、
    上記位相補正手段は、該位相差検出手段の検出結果を用いて、送信時に位相補正を行なうための位相補正量を設定し、
    上記直交変調器と上記増幅器の間に配置した可変減衰器を更に有し、
    上記位相補正手段は、送信を行なう度に前以って該可変減衰器の減衰量を所定の値にして送信が行なわれないようにしたときに上記位相差検出手段が検出した位相ずれを記憶しており、更に該位相補正手段は、該可変減衰器の減衰量を上記所定の値よりも小さくして送信を行なうときに、記憶している該位相ずれを含めて位相補正量を設定することを特徴とするディジタル無線機。
  4. 上記直交変調用搬送波に対して上記直交復調変調用搬送波の位相を変化させる可変移相器を更に有し、
    該可変移相器は、入力する搬送波の位相を変化させるための別の直交変調器を有しており、上記位相差検出手段は、上記直交変調器が出力する直交変調信号と該別の直交変調器の出力信号との間の位相差を検出するものであることを特徴とする請求項3に記載のディジタル無線機。
  5. 上記直交変調用搬送波を生成する0°/90°移相器と、上記別の直交変調器に供給する互いに直交する別の直交変調用搬送波を生成する0°/90°移相器とは、フリップフロップを用いて構成されていることを特徴とする請求項4に記載のディジタル無線機。
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