JP3981603B2 - 内燃機関の燃料供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に燃料を噴射供給する燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液化石油ガス(LPG)を燃料とする内燃機関が実用化されているが、その燃料供給装置としての構成は、ガソリンを燃料とする内燃機関の燃料供給装置と基本的にほぼ同様である。即ち、燃料タンクに貯留されている燃料を燃料ポンプによってデリバリパイプに圧送し、このデリバリパイプに圧送された燃料を燃料噴射機構を通じて内燃機関の吸気通路等に噴射供給する構成となっている。
【0003】
ところで、ガソリンを燃料とする内燃機関の燃料供給装置においては、通常、図33に模式的に示すフューエルリターン式と呼ばれる燃料の循環方式が採用されている。
【0004】
即ち、この燃料循環方式では、図33に示されるように、燃料タンク101に貯留された燃料は、その液相部が燃料ポンプ102により汲み取られ、供給経路R10を介して燃料噴射機構を構成するデリバリパイプ103に圧送される。そして、このデリバリパイプ103に圧送供給された燃料のうち、同じく燃料噴射機構を構成する燃料噴射弁104から内燃機関への噴射供給に使用されなかった燃料は、デリバリパイプ103の下流部に接続された還流経路R11を介して、燃料タンク101に還流される。なお、この還流経路R11には、その経路途中にプレッシャレギュレータ105が設けられており、上記デリバリパイプ103に圧送供給される燃料の圧力は、このプレッシャレギュレータ105によって一定の値に調圧されている。
【0005】
そして従来、上記液化石油ガスを燃料とする内燃機関の燃料供給装置においても、基本的にはこうした燃料の循環方式が採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記液化石油ガスは通常、加圧され、液相と気相が共存した状態で燃料タンクに貯留されており、そのうちの液相燃料が燃料ポンプによって燃料噴射機構へ圧送される。しかし、内燃機関の停止時には、燃料タンクに貯留されている燃料(液化石油ガス)が燃料ポンプにより圧送されず、燃料供給装置内を循環しなくなるため、上記燃料タンクに貯留されている比較的温度の低い燃料により燃料噴射機構が冷却されないようになる。また、上記燃料噴射機構が高温の状態にある機関各部からの熱を受けることもあわせて、上記燃料が気化してベーパ(気化燃料)が発生するようになる。このため、内燃機関の始動直後に燃料噴射機構からベーパを含む燃料が噴射されるといった事態が起こることもあり、こうした場合に、同燃料が液相であるという前提のもとに燃料噴射が行われると、実際には密度の低い燃料が噴射されるために必要とされる燃料量が確保できず、機関始動性の悪化をまねきかねない。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料噴射機構での燃料の液相状態を好適に維持することのできる内燃機関の燃料供給装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、燃料タンクに貯留された燃料を燃料ポンプにより燃料噴射機構に圧送し、この圧送された燃料の圧力を調圧設定値が可変である可変調圧機構により調圧しつつ、前記燃料噴射機構を介して内燃機関に対する燃料の噴射供給を行う内燃機関の燃料供給装置において、前記内燃機関の停止直後、前記可変調圧機構による調圧設定値を同内燃機関の運転中における調圧設定値よりも高い値に設定維持するとともに、前記内燃機関の停止直前の前記燃料噴射機構における前記燃料の温度とこの燃料の飽和蒸気温度との差に基づいて前記燃料ポンプの駆動を継続させる所定の期間を決定し、前記内燃機関の停止から同所定の期間だけ前記燃料ポンプの駆動を継続させる制御手段を備えることを要旨としている。
【0009】
上記構成によれば、燃料ポンプにより燃料噴射機構に圧送された燃料は、調圧設定値が可変である可変調圧機構によりその圧力が調圧されつつ、内燃機関に対して噴射供給される。また、内燃機関の停止後は、可変調圧機構による調圧設定値として同内燃機関の運転中における調圧設定値よりも高い値に設定維持される。ちなみに、一般の燃料供給装置においては、調圧機構(プレッシャレギュレータ等)により燃料噴射機構に圧送された燃料の圧力を一定に維持しつつ、内燃機関に対しての噴射供給を行っている。このように、上記圧送された燃料が調圧機構により一定の加圧状態に維持されることにより、同燃料が燃焼室等からの熱を受けた場合であってもその気化が抑制されるようになる。即ち、調圧機構による調圧設定値が高い値となるほど、燃料の受熱に起因する気化抑制の効果が高められるようになる。一方、調圧機構による調圧設定値が高い値となるほど、燃料ポンプによる燃料の圧送に際して圧送抵抗が増大するため、同燃料ポンプにかかる負荷が大きくなる。即ち、調圧機構による調圧設定値が低くなるほど、燃料ポンプの負荷が軽減されるようになる。このように、燃料の気化抑制と燃料ポンプの負荷軽減とは互いに相反するトレードオフ関係にあり、通常はこうした事態をふまえ両者のバランスを考慮して、調圧機構による調圧設定値が設定される。換言すれば、調圧機構による調圧設定値は、燃料が気化すると想定される種々の状況に対応できるように設定されるものではないということである。従って、例えば内燃機関の停止直後のように、
・機関各部が高温の状態であるため、燃料噴射機構の温度が上昇しやすい。
・燃料が循環されていないため、燃料の循環による燃料噴射機構の冷却作用がない。
といった場合には、上記通常の調圧機構により燃料噴射機構の圧力が一定に維持されたところで、燃料が気化してしまう場合もある。そして、こうした問題は特に液化石油ガスを燃料とする内燃機関において顕著である。この点、上記構成においては、内燃機関の停止直後、調圧機構による調圧設定値として同内燃機関の運転中の調圧設定値よりも高い値に設定するようにしているため、機関停止中に燃料噴射機構の圧力がより高い圧力に維持されるようになる。これにより、機関停止中における燃料の気化を好適に抑制することができるようになり、ひいては機関始動性が好適に確保されるようにもなる。また、内燃機関の停止直後に、同機関が停止されることのみに基づいて調圧設定値の設定を行うようにしているため、例えば燃料噴射機構の温度をモニタする等の制御が不要となり、上記調圧設定値の設定に関する制御性が良好となる。
また上記構成によれば、内燃機関の停止から所定の期間は、燃料ポンプの駆動が継続される。こうした構成によっても、燃料噴射機構の圧力が内燃機関の停止直後に設定される調圧設定値に達するまでの時間を短縮することができるようになる。これにより、機関停止中における燃料の気化をより好適に抑制することができるようになり、ひいては機関始動性が好適に確保されるようにもなる。また、この場合は、予め定められた所定の期間に基づいて燃料ポンプの駆動を継続するようにしているため、例えば機関停止中の燃料噴射機構の圧力をモニタする等の制御が不要となり、同燃料ポンプの駆動の継続に関する制御性が良好となる。ちなみに、上記所定の期間は、内燃機関の停止直後における燃料噴射機構の圧力を、同内燃機関の停止直後に設定される調圧設定値まで昇圧するために必要とされる燃料ポンプの駆動時間として設定することができる。
さらに上記構成によれば、内燃機関の停止直前の燃料噴射機構における燃料の温度と、この燃料の飽和蒸気温度との差に基づいて、燃料ポンプの駆動を継続する所定の期間が決定される。ちなみに、飽和蒸気温度とは、任意の圧力である流体が液相あるいは気相(気液2相を含む)のいずれであるかを示す流体の温度の閾値温度である。即ち、任意の圧力である流体の温度が飽和蒸気温度以上であれば、その流体は気相状態にあり、一方、同流体の温度が飽和蒸気温度未満であれば、その流体は液相状態にあるといえる。ここで、燃料噴射機構の燃料が液相状態にある場合に、燃料ポンプにより同燃料噴射機構の圧力を所定圧力PAだけ昇圧させるために要する時間をT1とする。また、燃料噴射機構の燃料にベーパが含まれている場合に、燃料ポンプにより同燃料噴射機構の圧力を所定圧力PAだけ昇圧させるために要する時間をT2とすると、ベーパが含まれる燃料は液相燃料よりも 圧縮性が高いため、T2はT1よりも長い時間となる。さらには、この時間(T2)はベーパの含まれる度合いにより変化する。そこで上記構成のように、内燃機関の停止直前の燃料噴射機構における燃料の温度と、この燃料の飽和蒸気温度との差に基づいて、燃料ポンプの駆動を継続させる所定の期間を決定することにより、機関停止後における同燃料ポンプの駆動の継続がより的確に行われるようになる。また、燃料ポンプの駆動が継続される所定の期間が過度に長いことに起因して、同燃料ポンプに過大な負荷がかかるといった事態が好適に回避されるようにもなる。
【0010】
(2)請求項2に記載の発明は、燃料タンクに貯留された燃料を燃料ポンプにより燃料噴射機構に圧送し、この圧送された燃料の圧力を調圧設定値が可変である可変調圧機構により調圧しつつ、前記燃料噴射機構を介して内燃機関に対する燃料の噴射供給を行う内燃機関の燃料供給装置において、前記内燃機関の停止直後、及び始動後の所定期間、前記可変調圧機構による調圧設定値を同内燃機関の運転中における調圧設定値よりも高い値に設定維持するとともに、前記内燃機関の停止直前の前記燃料噴射機構における前記燃料の温度とこの燃料の飽和蒸気温度との差に基づいて前記燃料ポンプの駆動を継続させる所定の期間を決定し、前記内燃機関の停止から同所定の期間だけ前記燃料ポンプの駆動を継続させる制御手段を備えることを要旨としている。
【0011】
上記構成によれば、燃料ポンプにより燃料噴射機構に圧送された燃料は、調圧設定値が可変である可変調圧機構によりその圧力が調圧されつつ、内燃機関に対して噴射供給される。また、内燃機関の停止後、及び始動後の所定期間は、可変調圧機構による調圧設定値として同内燃機関の運転中における調圧設定値よりも高い値に設定維持される。こうした構成によっても、請求項1記載の発明と同様に、機関停止中における燃料の気化を好適に抑制することができるようになり、ひいては機関始動性が好適に確保されるようにもなる。また、内燃機関の始動後の所定期間においても、調圧機構による調圧設定値として同内燃機関の運転中の調圧設定値よりも高い値に設定するようにしているため、同所定期間も燃料噴射機構の圧力がより高い圧力に維持されるようになる。これにより、例えば、内燃機関の運転が停止された後から十分な期間が経過しておらず、同内燃機関の各部が高温である状態から再度機関を始動するいわゆる高温再始動が行われるような場合であっても、燃料の気化を好適に抑制することができるようになる。さらに、予め設定されている所定期間に基づいて、可変調圧機構による調圧設定値を内燃機関の運転中における調圧設定値よりも高い値に設定するようにしているため、例えば燃料噴射機構の温度をモニタする等の制御が不要となり、上記調圧設定値の設定に関する制御性が良好となる。
また上記構成によれば、上記制御手段を備えるようにしているため、これによっても上記請求項1に記載の発明の作用効果に準じた作用効果を奏することができるようになる。
【0012】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記制御手段は、少なくとも前記内燃機関の停止直後、前記可変調圧機構による調圧設定値をその最大値に設定維持することを要旨としている。
【0013】
上記構成によれば、内燃機関の停止にともない、可変調圧機構による調圧設定値がその最大値に設定される。こうした構成の採用により、内燃機関の停止中における燃料噴射機構の燃料の圧力がより高い圧力に維持されるようになる。これにより、機関停止中における燃料の気化をより好適に抑制することができるようになり、ひいては機関始動性が好適に確保されるようにもなる。
【0014】
なお、上記可変調圧機構による調圧設定値の最大値は、内燃機関の停止中において、燃料噴射機構が受熱してその温度が上昇した場合に、そうした温度上昇において予測される平均的な上昇後の温度あるいは最も高い上昇後の温度に対して、燃料噴射機構の燃料の飽和蒸気温度がそれら各温度のいずれかを上回るように同燃料の圧力を維持すべく設定される調圧設定値である。
【0015】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記制御手段は、前記内燃機関の停止後、前記燃料噴射機構における燃料の圧力が、前記可変調圧機構に対して設定した調圧設定値に達するまで、前記燃料ポンプの駆動を継続させることを要旨としている。
【0016】
上記構成によれば、内燃機関の停止後における燃料噴射機構の圧力が、内燃機関の停止直後に設定された可変調圧機構による調圧設定値に達するまでは、燃料ポンプの駆動が継続される。ここで、内燃機関の停止直後、可変調圧機構による調圧設定値が同内燃機関の運転中における調圧設定値より高い値に設定されたことを想定すると、この調圧設定値が設定された直後における燃料噴射機構の圧力は、内燃機関の運転中における調圧設定値にほぼ等しい。このとき、内燃機関の各部は高温の状態であるため、燃料噴射機構はそうした高温状態にある機関各部からの熱を受けることになる。従って、燃料ポンプによる燃料の加圧を行わずとも、上記燃料噴射機構の圧力は燃料の膨張により除々に上昇し、最終的には機関停止中における調圧設定値に達するようになる。しかし、このように受熱により燃料噴射機構の圧力が昇圧されることには、次のような懸念がある。即ち、燃料噴射機構の圧力が内燃機関の運転中における調圧設定値から同機関停止中における調圧設定値に達するまでの期間は、燃料噴射機構が受熱により昇圧されると同時に、受熱により燃料が気化するおそれもある。従って、内燃機関の停止直後、可変調圧機構による調圧設定値が同内燃機関の運転中における調圧設定値より高い値に設定されたとしても、燃料噴射機構の受熱によりその圧力が昇圧されるような場合には、燃料の気化が十分に抑制されるとは言い難く、機関始動性の悪化もまねきかねない。この点、上記構成においては、機関停止後も燃料ポンプの駆動を継続し、燃料噴射機構の圧力を積極的に昇圧するようにしているため、その圧力が内燃機関の運転中における調圧設定値から同機関停中における調圧設定値に達するまでの時間が短縮されるようになる。これにより、機関停止中における燃料の気化をより好適に抑制することができるようになり、ひいては機関始動性が好適に確保されるようにもなる。
【0020】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記制御手段は、前記内燃機関の停止直前の前記可変調圧機構による調圧設定値と前記内燃機関の停止直後に設定する前記可変調圧機構による調圧設定値との差に基づいて前記燃料ポンプの駆動を継続させる所定の期間を決定することを要旨としている。
【0021】
上記構成によれば、内燃機関の停止直前の可変調圧機構による調圧設定値と、同内燃機関の停止直後に設定される可変調圧機構による調圧設定値との差に基づいて、燃料ポンプの駆動を継続する所定の期間が決定される。ちなみに、燃料供給装置に備えられる燃料ポンプは、基本的にはその吐出量が一定であるため、所定容積下における圧力を任意の目標圧力まで昇圧させるために要する時間は、同目標圧力と現在の圧力との差に応じたものとなる。そこで上記構成のように、上記各調圧設定値の差に基づいて燃料ポンプの駆動を継続する所定の期間を決定することにより、機関停止後における同燃料ポンプの駆動の継続が的確に行われるようになる。
【0024】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記燃料を前記燃料噴射機構を介して前記燃料タンクに還流させる主還流経路を備え、前記可変調圧機構は前記主還流経路に備えられることを要旨としている。
【0025】
上記構成によれば、燃料ポンプにより圧送された燃料は、燃料噴射機構及び主還流経路を介して燃料タンクに還流され、その圧力は同主還流経路に備えられるに可変調圧機構により調圧される。このように、燃料ポンプにより圧送された燃料が燃料噴射機構を介して燃料タンクに還流されることにより、同燃料噴射機構が圧送された燃料により冷却されるとともに、ベーパを含む燃料が同燃料噴射機構の下流から燃料タンクに還流されるようにもなる。これにより、内燃機関の停止中には上記請求項1〜5のいずれかに記載の発明と同様の効果が得られるとともに、同機関運転中において燃料の液相状態の好適な維持が図られるようにもなる。
【0026】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記可変調圧機構は、前記主還流経路に設けられるプライマリプレッシャレギュレータと、前記主還流経路の前記プライマリプレッシャレギュレータより上流もしくは下流に設けられる電磁弁と、前記主還流経路の前記電磁弁の上流と下流とを前記電磁弁を迂回する態様で連通し経路途中にセカンダリプレッシャレギュレータが設けられる補助還流経路とを備えて構成されることを要旨としている。
【0027】
上記構成によれば、燃料ポンプにより圧送された燃料は、電磁弁の開閉操作を通じて、
・電磁弁が開弁状態にある場合は、プライマリプレッシャレギュレータによる調圧を通じて燃料タンクに還流される。即ち、燃料の圧力は、プライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値に維持される。
・電磁弁が閉弁状態にある場合は、セカンダリプレッシャレギュレータ及びプライマリプレッシャレギュレータによる調圧を通じて燃料タンクに還流される。即ち、燃料の圧力は、プライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値とセカンダリプレッシャレギュレータによる調圧設定値との加算値に維持される。
といった態様をもって調圧されるようになる。そして、こうした構成においても、内燃機関の停止直後に電磁弁を閉弁する、即ち上記各プレッシャレギュレータの調圧機能をともに能動とすることにより、同機関停止中における燃料噴射機構の圧力が高められるようになるため、燃料の気化が好適に抑制されるようになる。
【0028】
(8)請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記可変調圧機構は、前記主還流経路に設けられるプライマリプレッシャレギュレータと、前記主還流経路の前記プライマリプレッシャレギュレータより上流もしくは下流に設けられる電磁弁と、前記主還流経路の前記電磁弁の上流と前記燃料タンクとを連通し経路途中に前記プライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値よりも高い値を有するハイプレッシャレギュレータが設けられる補助還流経路とを備えて構成されることを要旨としている。
【0029】
上記構成によれば、燃料ポンプにより圧送された燃料は、電磁弁の開閉操作を通じて、
・電磁弁が開弁状態にある場合は、プライマリプレッシャレギュレータによる調圧を通じて燃料タンクに還流される。即ち、燃料の圧力は、プライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値に維持される。
・電磁弁が閉弁状態にある場合は、ハイプレッシャレギュレータによる調圧を通じて燃料タンクに還流される。即ち、燃料の圧力は、ハイプレッシャレギュレータによる調圧設定値に維持される。
といった態様をもって調圧されるようになる。そして、こうした構成においても、内燃機関の停止直後に電磁弁を閉弁する、即ち上記ハイプレッシャレギュレータの調圧機能を能動とすることにより、同機関停止中における燃料噴射機構の圧力が高められるようになるため、燃料の気化が好適に抑制されるようになる。
【0030】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項6に記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記可変調圧機構は、前記主還流経路に設けられるプライマリプレッシャレギュレータと、前記主還流経路の前記プライマリプレッシャレギュレータより上流もしくは下流に設けられる電磁弁と、前記主還流経路の前記プライマリプレッシャレギュレータ及び前記電磁弁から構成される直列部の上流と下流とを連通し経路途中に前記プライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値よりも高い値を有するハイプレッシャレギュレータが設けられる補助還流経路とを備えて構成されることを要旨としている。
【0031】
上記構成によれば、燃料ポンプにより圧送された燃料は、電磁弁の開閉操作を通じて、
・電磁弁が開弁状態にある場合は、プライマリプレッシャレギュレータによる調圧を通じて燃料タンクに還流される。即ち、燃料の圧力は、プライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値に維持される。
・電磁弁が閉弁状態にある場合は、ハイプレッシャレギュレータによる調圧を通じて燃料タンクに還流される。即ち、燃料の圧力は、ハイプレッシャレギュレータによる調圧設定値に維持される。
といった態様をもって調圧されるようになる。そして、こうした構成においても、内燃機関の停止直後に電磁弁を閉弁する、即ち上記ハイプレッシャレギュレータの調圧機能を能動とすることにより、同機関停止中における燃料噴射機構の圧力が高められるようになるため、燃料の気化が好適に抑制されるようになる。
【0032】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項6に記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記可変調圧機構は、前記主還流経路に設けられる少なくとも2段階の調圧設定値を有する可変プレッシャレギュレータであることを要旨としている。
【0033】
上記構成によれば、燃料ポンプにより圧送された燃料は、燃料噴射機構を介し可変プレッシャレギュレータによる調圧を通じて燃料タンクに還流される、即ちその圧力が可変プレッシャレギュレータによる調圧設定値に維持される。そして、こうした構成においても、内燃機関が停止されることに基づいて、可変プレッシャレギュレータによる調圧設定値を同機関運転中における調圧設定値よりも高い値に設定することにより、同機関停止中における燃料噴射機構の圧力が高められるようになるため、燃料の気化が好適に抑制されるようになる。
【0034】
(11)請求項11に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記燃料を前記燃料噴射機構の上流から前記燃料タンクに還流させる主迂回経路を備え、前記可変調圧機構は前記主迂回経路に備えられることを要旨としている。
【0035】
上記構成によれば、燃料ポンプにより圧送された燃料は、燃料噴射機構の上流から主迂回経路を介して燃料タンクに還流され、その圧力は同主迂回経路に備えられるに可変調圧機構により調圧される。このように、燃料ポンプにより圧送された燃料が燃料噴射機構の上流から燃料タンクに還流されることにより、内燃機関の運転中は、燃料噴射機構にはそこから噴射供給される燃料量のみが供給される。換言すれば、燃焼室からの熱を受けやすい燃料噴射機構に供給される燃料量が減量されるということになる。これにより、内燃機関の停止中には上記請求項1〜5のいずれかに記載の発明と同様の効果が得られるとともに、同機関運転中においては燃料タンクの温度上昇の好適な抑制が図られるようにもなる。
【0036】
(12)請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記可変調圧機構は、前記主迂回経路に設けられるプライマリプレッシャレギュレータと、前記主迂回経路の前記プライマリプレッシャレギュレータより上流もしくは下流に設けられる電磁弁と、前記主迂回経路の前記電磁弁の上流と下流とを前記電磁弁を迂回する態様で連通し経路途中にセカンダリプレッシャレギュレータが設けられる補助迂回経路とを備えて構成されることを要旨としている。
【0037】
上記構成によれば、燃料ポンプにより圧送された燃料は、電磁弁の開閉操作を通じて、
・電磁弁が開弁状態にある場合は、プライマリプレッシャレギュレータによる調圧を通じて燃料タンクに還流される。即ち、燃料の圧力はプライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値に維持される。
・電磁弁が閉弁状態にある場合は、セカンダリプレッシャレギュレータ及びプライマリプレッシャレギュレータによる調圧を通じて燃料タンクに還流される。即ち、燃料の圧力はプライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値とセカンダリプレッシャレギュレータによる調圧設定値との加算値に維持される。
といった態様をもって調圧されるようになる。そして、こうした構成においても、内燃機関の停止直後に電磁弁を閉弁する、即ち上記各プレッシャレギュレータの調圧機能をともに能動とすることにより、同機関停止中における燃料噴射機構の圧力が高められるようになるため、燃料の気化が好適に抑制されるようになる。
【0038】
(13)請求項13に記載の発明は、請求項11に記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記可変調圧機構は、前記主迂回経路に設けられるプライマリプレッシャレギュレータと、前記主迂回経路の前記プライマリプレッシャレギュレータより上流もしくは下流に設けられる電磁弁と、前記主迂回経路の前記電磁弁の上流と前記燃料タンクとを連通し経路途中に前記プライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値よりも高い値を有するハイプレッシャレギュレータが設けられる補助迂回経路とを備えて構成されることを要旨としている。
【0039】
上記構成によれば、燃料ポンプにより圧送された燃料は、電磁弁の開閉操作を通じて、
・電磁弁が開弁状態にある場合は、プライマリプレッシャレギュレータによる調圧を通じて燃料タンクに還流される。即ち、燃料の圧力はプライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値に維持される。
・電磁弁が閉弁状態にある場合は、ハイプレッシャレギュレータによる調圧を通じて燃料タンクに還流される。即ち、燃料の圧力はハイプレッシャレギュレータによる調圧設定値に維持される。
といった態様をもって調圧されるようになる。そして、こうした構成においても、内燃機関の停止直後に電磁弁を閉弁する、即ち上記ハイプレッシャレギュレータの調圧機能を能動とすることにより、同機関停止中における燃料噴射機構の圧力が高められるようになるため、燃料の気化が好適に抑制されるようになる。
【0040】
(14)請求項14に記載の発明は、請求項11に記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記可変調圧機構は、前記主迂回経路に設けられるプライマリプレッシャレギュレータと、前記主迂回経路の前記プライマリプレッシャレギュレータより上流もしくは下流に設けられる電磁弁と、前記主迂回経路の前記プライマリプレッシャレギュレータ及び前記電磁弁から構成される直列部の上流と下流とを連通し経路途中に前記プライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値よりも高い値を有するハイプレッシャレギュレータが設けられる補助迂回経路とを備えて構成されることを要旨としている。
【0041】
上記構成によれば、燃料ポンプにより圧送された燃料は、電磁弁の開閉操作を通じて、
・電磁弁が開弁状態にある場合は、プライマリプレッシャレギュレータによる調圧を通じて燃料タンクに還流される。即ち、燃料の圧力はプライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値に維持される。
・電磁弁が閉弁状態にある場合は、ハイプレッシャレギュレータによる調圧を通じて燃料タンクに還流される。即ち、燃料の圧力はハイプレッシャレギュレータによる調圧設定値に維持される。
といった態様をもって調圧されるようになる。そして、こうした構成においても、内燃機関の停止直後に電磁弁を閉弁する、即ち上記ハイプレッシャレギュレータの調圧機能を能動とすることにより、同機関停止中における燃料噴射機構の圧力が高められるようになるため、燃料の気化が好適に抑制されるようになる。
【0042】
(15)請求項15に記載の発明は、請求項11に記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記可変調圧機構は、前記主迂回経路に設けられる少なくとも2段階の調圧設定値を有する可変プレッシャレギュレータであることを要旨としている。
【0043】
上記構成によれば、燃料ポンプにより圧送された燃料は、燃料噴射機構の上流から可変プレッシャレギュレータによる調圧を通じて燃料タンクに還流される、即ちその圧力が可変プレッシャレギュレータによる調圧設定値に維持される。そして、こうした構成においても、内燃機関の停止直後に、可変プレッシャレギュレータによる調圧設定値を同機関運転中における調圧設定値よりも高い値に設定することにより、同機関停止中における燃料噴射機構の圧力が高められるようになるため、燃料の気化が好適に抑制されるようになる。
【0044】
(16)請求項16に記載の発明は、請求項1〜15のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記制御手段は、前記内燃機関の運転中、前記燃料噴射機構における前記燃料の飽和蒸気圧力に応じて、同飽和蒸気圧力以上で且つ、同飽和蒸気圧力に最も近い調圧設定値となるように、前記可変調圧機構による調圧設定値を設定することを要旨としている。
【0045】
上記構成によれば、内燃機関の運転中において、可変調圧機構による調圧設定値は、燃料噴射機構内の燃料の飽和蒸気圧力に応じて、同飽和蒸気圧力以上で且つ、同飽和蒸気圧力に最も近い調圧設定値となるように設定される。即ち、例えば、第1の調圧設定値及び第2の調圧設定値を有する調圧機構においては(第1の調圧設定値>第2の調圧設定値)、
・燃料噴射機構内の燃料の飽和蒸気圧力が第2の調圧設定値未満であるときには、第2の調圧設定値が有効とされる。
・燃料噴射機構内の燃料の飽和蒸気圧力が第2の調圧設定値以上であるときには、第1の調圧設定値が有効とされる。
といった態様をもって調圧設定値が設定される。ちなみに、燃料噴射機構内の燃料の飽和蒸気圧力が調圧設定値(燃料噴射機構の圧力)未満、即ち燃料噴射機構の圧力が飽和蒸気圧力以上である場合には燃料が気化するおそれはない。そこで上記構成のように、可変調圧機構による調圧設定値を上述の条件のもとに設定することにより、内燃機関の運転中において、燃料ポンプへ過度に負荷をかけることなく燃料の気化を抑制することができるようになる。
【0046】
(17)請求項17に記載の発明は、請求項1〜16のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量以上となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する調圧設定値低減手段をさらに備えることを要旨としている。
【0047】
上記構成によれば、内燃機関の運転に要求される燃料量が燃料ポンプの燃料吐出量以上となるとき、可変調圧機構の調圧設定値がより低い調圧設定値に変更される。ちなみに、内燃機関の運転に要求される燃料量、即ち燃料噴射機構を通じて内燃機関に噴射供給される燃料量が燃料ポンプの燃料吐出量以上となるときには、同噴射供給される燃料量が燃料噴射機構内に供給される燃料量を上回っていることになるため、同燃料噴射機構内の燃料の圧力が次第に調圧機構の調圧設定値に応じた圧力に維持されなくなることが考えられる。そして、この場合、燃料噴射機構内の燃料の圧力が不安定な状態となり、同燃料噴射機構を通じて内燃機関の運転に要求される燃料量を適切に噴射することが困難となることに起因して運転性の悪化をまねくようになる。一方で、燃料ポンプの燃料吐出量は、燃料ポンプの下流側の圧力が低くなるほど増量する傾向にある。そこで、上記構成においては、上記態様をもって可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更することで、燃料ポンプの下流側の圧力が低くされることにともなって同燃料ポンプの燃料吐出量が増量されるようにしている。これにより、燃料噴射機構内に供給される燃料量が増量されて同燃料噴射機構内の燃料の圧力が可変調圧機構の調圧設定値に応じた圧力に維持される、即ち同燃料噴射機構内の燃料の圧力が安定した状態に維持されるようになるため、内燃機関の運転性の悪化を好適に抑制することができるようになる。
【0048】
(18)請求項18に記載の発明は、請求項1〜16のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量以上となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更し、前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量よりも小さく設定される所定の燃料吐出量未満となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する処理を停止する調圧設定値低減手段をさらに備えることを要旨としている。
【0049】
上記構成によれば、内燃機関の運転に要求される燃料量が燃料ポンプの燃料吐出量以上となるとき、可変調圧機構の調圧設定値がより低い調圧設定値に変更され、上記燃料量が上記燃料吐出量よりも小さく設定される所定の燃料吐出量未満となるとき、上記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する処理が停止される。これにより、上記請求項17に記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになるとともに、制御ハンチングを好適に抑制することができるようになる。
【0050】
(19)請求項19に記載の発明は、請求項1〜16のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量よりも小さく設定される所定の燃料吐出量以上となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する調圧設定値低減手段をさらに備えることを要旨としている。
【0051】
上記構成によれば、内燃機関の運転に要求される燃料量が燃料ポンプの燃料吐出量よりも小さく設定される所定の燃料吐出量以上となるとき、可変調圧機構の調圧設定値がより低い調圧設定値に変更される。これにより、上記請求項17に記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになるとともに、燃料噴射機構内の燃料の圧力が不安定な状態となることに起因する内燃機関の運転性の悪化をより好適に抑制することができるようになる。
【0052】
(20)請求項20に記載の発明は、請求項1〜16のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量よりも小さく設定される所定の燃料吐出量以上となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更し、前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記所定の燃料吐出量よりも小さく設定される燃料吐出量未満となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する処理を停止する調圧設定値低減手段をさらに備えることを要旨としている。
【0053】
上記構成によれば、内燃機関の運転に要求される燃料量が燃料ポンプの燃料吐出量よりも小さく設定される所定の燃料吐出量未満となるとき、可変調圧機構の調圧設定値がより低い調圧設定値に変更され、上記燃料量が上記所定の燃料吐出量よりも小さく設定される燃料吐出量未満となるとき、上記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する処理が停止される。これにより、上記請求項17に記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになるとともに、燃料噴射機構内の燃料の圧力が不安定な状態となることに起因する内燃機関の運転性の悪化をより好適に抑制することができるようになる。また、制御ハンチングを好適に抑制することができるようにもなる。
【0054】
(21)請求項21に記載の発明は、請求項1〜20のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記内燃機関が液化ガス燃料を燃料とする液化ガス内燃機関であることを要旨としている。
【0055】
上記構成によれば、例えば液化石油ガス(LPG)といった液化ガス燃料を燃料とする内燃機関に対して上記請求項1〜20のいずれかに記載の発明が適用される。これにより、液化ガス燃料を燃料とする内燃機関において、上記請求項1〜20のいずれかに記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになるため、同内燃機関の実用性がより高いものとされるようになる。
【0056】
(22)請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記燃料噴射機構内の燃料の圧力と前記内燃機関の吸気通路の圧力とを監視し、それら圧力差が所定の圧力差未満となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより高い調圧設定値に変更する調圧設定値増大手段をさらに備えることを要旨としている。
【0057】
上記構成によれば、燃料噴射機構内の燃料の圧力と内燃機関の吸気通路の圧力との圧力差が所定の圧力差未満となるとき、可変調圧機構の調圧設定値がより高い調圧設定値に変更される。ちなみに、従来の液化石油ガス(LPG)を燃料とする内燃機関の燃料供給装置にあっては、次のような構成が一般的に採用されている。即ち、従来の燃料供給装置にあっては、燃料タンク内の液相燃料を燃料ポンプにより燃料供給経路へ圧送して、燃料噴射弁とともに燃料噴射機構を構成するデリバリパイプ内に供給する。そして、圧力センサを通じて検出されるデリバリパイプ内の燃料の圧力と、例えば吸入空気量等を通じて推定される内燃機関の吸気通路の圧力との圧力差等に基づいて燃料噴射弁の開弁時間を決定するとともに、同開弁時間だけ燃料噴射弁を開弁してデリバリパイプ内の燃料を内燃機関に噴射供給する一方で、燃料噴射弁により噴射供給されない燃料を還流経路を介して燃料タンクに還流する構成となっている。また、上記燃料供給装置においては、還流経路に調圧機構を備えることで、デリバリパイプ(燃料噴射機構)内の燃料の圧力が燃料タンク内の燃料の圧力を基準として設定される調圧機構の調圧設定値に応じた圧力に維持されるようにしている。即ち、調圧機構の背圧室に燃料タンク内の燃料の圧力が導入される構成とすることで、燃料噴射機構内の燃料の圧力が燃料タンク内の燃料の圧力よりも一定の値だけ高い圧力(調圧機構の調圧設定値)に維持されるようにしている。これにより、燃料噴射機構が内燃機関から受熱するような場合にあっても、同燃料噴射機構内の燃料の液相状態が維持されるようになる。一方で、LPGは加圧されて液化した状態で燃料タンク内に貯留される液化ガス燃料であるため、燃料タンク内に貯留されているLPGの圧力は外気温度や燃料の組成によって大きく異なる値を示す傾向にある。従って、例えば外気温度等の影響により燃料タンク内の燃料の温度が過度に低いときには、それに応じて同燃料タンク内の燃料の圧力も低くなっているため、調圧機構の調圧設定値が低い値に設定されて燃料噴射機構内の燃料の圧力もそれに応じた圧力に維持されることになる。そして、この場合、燃料噴射機構内の燃料の圧力と内燃機関の吸気通路の圧力との圧力差が小さくなることにより、同圧力差に占める圧力センサの検出誤差の割合が大きくなるため、燃料噴射弁の開弁時間が適切に算出されなくなるとともに同燃料噴射弁による燃料噴射量のばらつきが増大するようになる。このように、上記燃料供給装置にあっては、燃料タンク内の燃料の圧力(温度)が過度に低いとき、圧力センサの検出誤差等に起因する運転性の悪化が懸念される。また、LPGを燃料とする内燃機関の燃料供給装置でなくとも、常温・常圧のとき気相状態にあり加圧により液化された状態で燃料タンク内に貯留される液化ガス燃料を燃料として用いる液化ガス内燃機関の燃料供給装置であれば、上記同様の問題をまねくことが考えられる。そこで、上記構成においては、燃料噴射機構内の燃料の圧力と内燃機関の吸気通路の圧力との圧力差が所定の圧力差未満となるとき、可変調圧機構の調圧設定値をより高い調圧設定値に変更することで、上記圧力差が大きくなるようにしている。これにより、上記各圧力を監視する場合であれ、それら圧力差に占める圧力監視誤差の割合が小さくされて同圧力監視誤差等に起因する燃料噴射量のばらつきが抑制されるため、燃料噴射機構の燃料噴射精度の低下を好適に回避することができるようになる。
【0058】
(23)請求項23に記載の発明は、請求項22に記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記調圧設定値増大手段は、前記燃料噴射機構内の燃料の圧力が所定の圧力未満となることに基づいて、前記圧力差が所定の圧力差未満である旨判定することを要旨としている。
【0059】
上記構成によれば、燃料噴射機構内の燃料の圧力が所定の圧力未満となることに基づいて、燃料噴射機構内の燃料の圧力と内燃機関の吸気通路の圧力との圧力差が所定の圧力差未満である旨判定される。ちなみに、内燃機関の吸気通路の圧力が変動する領域は、燃料噴射機構内の燃料の圧力が変動する領域に比べて十分に小さいため、上記圧力差を簡易的に燃料噴射機構内の燃料の圧力のみに基づいて推定することも可能となる。そこで、上記態様をもって上記圧力差が所定の圧力差未満である旨判定することによっても、上記請求項22に記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0060】
(24)請求項24に記載の発明は、請求項22に記載の内燃機関の燃料供給装置において、前記調圧設定値増大手段は、前記燃料タンク内の燃料の圧力が所定の圧力未満となることに基づいて、前記圧力差が所定の圧力差未満である旨判定することを要旨としている。
【0061】
上記構成によれば、燃料タンク内の燃料の圧力が所定の圧力未満となることに基づいて、燃料噴射機構内の燃料の圧力と内燃機関の吸気通路の圧力との圧力差が所定の圧力差未満である旨判定される。ちなみに、内燃機関の吸気通路の圧力が変動する領域は、燃料噴射機構内の燃料の圧力が変動する領域に比べて十分に小さいため、上記圧力差を簡易的に燃料噴射機構内の燃料の圧力のみに基づいて推定することも可能となる。また、燃料噴射機構内の燃料の圧力は、基本的には調圧機構の調圧設定値に応じた圧力に維持されており、この調圧設定値は燃料タンク内の燃料の圧力に応じて決定されるため、上記燃料噴射機構内の燃料の圧力の相当値として燃料タンク内の燃料の圧力を採用することもできる。そこで、上記態様をもって上記圧力差が所定の圧力差未満であることを判定することによっても、上記請求項22に記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0062】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明を具体化した第1の実施の形態について、図1〜図9を参照して説明する。
【0063】
なお、この実施の形態にかかる内燃機関の燃料供給装置は、液化石油ガス(LPG)を内燃機関に噴射供給する燃料供給装置である。
まず、図1を参照して、同実施の形態にかかる内燃機関の燃料供給装置についてその概要を説明する。なお、図1は、内燃機関とともに燃料供給装置の全体構成の概略を模式的に示している。
【0064】
図1に示されるように、この実施の形態の装置は、混合気の燃焼を通じて出力を得る内燃機関1に対して燃料を噴射供給する燃料供給装置3、及び内燃機関1をはじめとして、この燃料供給装置3等の制御を統括して実行する電子制御装置(ECU)4を備えている。なお、このECU4には、内燃機関1の運転状態、及び燃料供給装置3の動作状態を示す各種検出データが、検出系5を通じて入力される。また、上記燃料供給装置3、ECU4を含め内燃機関1の始動及び停止は、「オフ」「アクセサリ」「オン」「スタート」の4つの位置に切り替えが可能であるイグニッションスイッチSWの切替操作を通じて行われる。
【0065】
ここで、内燃機関1にあって、そのシリンダブロック11には、混合気の燃焼がその内部で行われるシリンダ12が複数備えられ、それら各シリンダ12の上部には、混合気の点火を行うイグニッションプラグ13や、吸気を行う吸気弁14及び排気を行う排気弁15等を備えるシリンダヘッド16が配設されている。また、上記シリンダ12内には、内燃機関1の出力軸であるクランクシャフト17にコネクティングロッド18を介して連結されるピストン19が摺動可能に収容されている。そして、このピストン19と上記シリンダヘッド16とが対峙してなす燃焼室20において混合気が燃焼され、これによる同ピストン19の往復運動が上記コネクティングロッド18により回転運動に変換された後、クランクシャフト17へ伝達される。なお、上記シリンダ12の周囲に設けられるウォータージャケット12a内を循環する冷却水により、各シリンダ12及びシリンダヘッド16等の冷却が行われる。
【0066】
また、上記燃焼室20には、吸入空気の浄化装置であるエアクリーナ21、及び吸入空気の調量機構であるスロットルバルブ22等を備える吸気通路23が接続されており、吸入空気は同エアクリーナ21による浄化、及び同スロットルバルブ22による調量を通じて燃焼室20へ供給される。また、上記スロットルバルブ22は、その開度が図示しないアクセルペダルの踏み込み量等に応じたものとなるように開閉駆動される。
【0067】
ここで、上記燃料供給装置3は、同装置3に備えられる燃料噴射弁INJを通じて上記吸気通路23に対して燃料の噴射供給を行い、この噴射供給された燃料と吸入空気との混合気が燃焼室20に供給される。そして、上記供給された混合気がピストン19により圧縮され高圧となった後に、イグニッションプラグ13による点火を通じて燃焼され、このときに生じた燃焼エネルギによりクランクシャフト17が回転される。また、燃焼後の排気ガスは、排気弁15の開弁にともない、燃焼室20に接続される排気通路24に排出され、触媒装置25により浄化された後、内燃機関1の外部へ排出される。
【0068】
次に、上記燃料供給装置3について、その構成をより詳細に説明する。
この燃料供給装置3に備えられる燃料タンク31に貯留された燃料は、その液相部が燃料ポンプ32により汲み取られ、フィルタ33が設けられた供給経路R1を介して燃料噴射弁INJとともに燃料噴射機構34を構成するデリバリパイプ35に圧送される。そして、このデリバリパイプ35に供給された燃料は、燃料噴射弁INJがECU4からの信号に応じて所定時間開弁されることにより、この開弁時間に対応した量だけ、各対応するシリンダに噴射供給される。また、上記デリバリパイプ35の下流側と上記燃料タンク31の気相部とは還流経路R2により接続されており、同還流経路R2には、燃料の調圧機構であるプライマリプレッシャレギュレータ36、及びその上流にセカンダリプレッシャレギュレータ37が設けられている。なお、本実施の形態においては、上記各プレッシャレギュレータ36,37として、背圧室(図示略)に燃料タンク31の燃料の圧力が導入されるとともに同じ性能を有するものが採用されているものとする。また、還流経路R2のセカンダリプレッシャレギュレータ37の上流と下流とは、その経路途中に電磁弁38が設けられている補助還流経路R3により連通されており、この補助還流経路R3は上記電磁弁38の開閉状態により能動あるいは非能動とされる。これにより、燃料ポンプ32により圧送された燃料は電磁弁38の開閉状態に応じて、プライマリプレッシャレギュレータ36のみ、あるいは各プレッシャレギュレータ36,37によりその圧力が所定に維持されつつ、デリバリパイプ35に供給される。そして、燃料噴射機構34に供給された燃料のうち、噴射供給に使用されなかった分は還流経路R2を介して燃料タンク31に還流される。なお、本実施の形態においては、上記電磁弁38として、常時閉弁、即ち非通電時には閉弁されており、通電によって開弁されるものが採用されている。そして実際には、電磁弁38は、
・ECU4を通じてデリバリパイプ35内の燃料が気化している旨判定されたとき。
・イグニッションスイッチSWが「オン」から「オフ(アクセサリ)」に切り替えられたとき。
といった条件のもとにECU4からの指令信号に応じて閉弁される。
【0069】
また、本実施の形態にあって、検出系5は、燃料の状態を検出するためのタンク燃温センサ51、タンク燃圧センサ52、パイプ燃温センサ53及びパイプ燃圧センサ54等を備える構成となっている。
【0070】
ここで、タンク燃温センサ51及びタンク燃圧センサ52は、それぞれ上記燃料タンク31に設けられて、同燃料タンク31内における燃料の温度及び圧力(タンク燃温Tt及びタンク燃圧Pt)を検出するセンサである。また、パイプ燃温センサ53及びパイプ燃圧センサ54は、それぞれ上記デリバリパイプ35に設けられて、同デリバリパイプ35内の燃料の温度及び圧力(パイプ燃温Tp及びパイプ燃圧Pp)を検出するセンサである。ECU4は、これら各センサ51,52,53,54により検出されたデータに基づいてデリバリパイプ35内における燃料の相状態を判定する。そして、この判定の結果に基づいて上述した電磁弁38の開閉操作を行い、以下に説明する各燃料経路のいずれかを能動とする。また、ECU4は、上記パイプ燃圧センサ54を通じて検出されるデリバリパイプ35内の燃料の圧力(パイプ燃圧Pp)と、エアフローメータ(図示略)の検出値等を通じて推定される吸気通路23の圧力との差(圧力差DfP)に基づいて、上記燃料噴射弁INJの開弁時間、即ち燃料噴射量Qiを決定する。
【0071】
次に、電磁弁38の開閉操作を通じて選択的に切り替えられる各燃料経路について、図2及び図3を参照して説明する。なお、以降では、電磁弁38が開弁されているときの燃料経路を第1の経路、同電磁弁38が閉弁されているときの燃料経路を第2の経路とする。ちなみに、図2は燃料供給装置3の第1の経路が能動とされている場合を示し、図3は燃料供給装置3の第2の経路が能動とされている場合を示している。また、これら図2及び図3において、破線で図示する経路(還流経路R2及び補助還流経路R3の一部)は、燃料の流れが遮断された状態を示している。
【0072】
まず、燃料経路の第1の経路が能動とされている場合(図2)について説明する。
この場合は、電磁弁38が開弁されているため、プライマリプレッシャレギュレータ36による燃料の調圧機能のみが働く。このため、燃料ポンプ32により圧送される燃料は、その圧力が上記プライマリプレッシャレギュレータ36による第1の調圧値Pst(調圧設定値)に維持されつつデリバリパイプ35に供給される。そして、上記供給された燃料のうち燃料噴射弁INJにより噴射供給されなかった燃料は、開弁されている電磁弁38(補助還流経路R3)を介して燃料タンク31に還流される。
【0073】
次に、燃料経路の第2の経路が能動とされている場合(図3)について説明する。
この場合は、電磁弁38が閉弁されているため、プライマリプレッシャレギュレータ36及びセカンダリプレッシャレギュレータ37による燃料の調圧機能がともに働く。このため、燃料ポンプ32により圧送される燃料は、その圧力が上記プライマリプレッシャレギュレータ36及びセカンダリプレッシャレギュレータ37による第2の調圧値Pnd(調圧設定値)に維持されつつデリバリパイプ35に供給される。そして、上記供給された燃料のうち燃料噴射弁INJにより噴射供給されなかった燃料は、還流経路R2のみを介して燃料タンク31に還流される。
【0074】
なお、本実施の形態において、上記第1の調圧値Pstは一般に採用される調圧設定値に相当する。また、上記各プレッシャレギュレータ36,37として同じ性能を有するものが採用されているため、上記第2の調圧値Pndは、燃料タンク31内の燃料の圧力を基準として上記第1の調圧値Pstの2倍に相当する値となる。
【0075】
ここで、図4に、燃料の相状態の判定に用いられる飽和蒸気圧曲線とともに、上記第1の調圧値Pstと第2の調圧値Pndとの関係を示す。以下、図4を参照して、この飽和蒸気圧曲線による燃料の相状態の判定について説明する。
【0076】
まず、電磁弁38の開閉操作を通じて、
・上記第1の経路が能動とされている場合は、デリバリパイプ35の圧力(パイプ燃圧Pp)は、ほぼ上記第1の調圧値Pstに維持される。
・上記第2の経路が能動とされている場合は、デリバリパイプ35の圧力(パイプ燃圧Pp)は、ほぼ上記第2の調圧値Pndに維持される。
といった態様をもって燃料の調圧状態が設定される。
【0077】
ここで、図4に示すように、第1の調圧値Pstに対応する燃料の飽和蒸気温度を第1の飽和温度Tst、上記第2の調圧値Pndに対応する燃料の飽和蒸気温度を第2の飽和温度Tndとする。ちなみに、飽和蒸気温度とは、任意の圧力である流体が液相あるいは気相(気液2相を含む)のいずれであるかを示す流体の温度の閾値温度である。即ち、任意の圧力である流体の温度が飽和蒸気温度以上であれば、その流体は気相状態にあり、一方、同流体の温度が飽和蒸気温度未満であれば、その流体は液相状態にあるといえる。
【0078】
従って、図4に示されるように、例えばデリバリパイプ35の圧力(パイプ燃圧Pp)が、それぞれ第1の調圧値Pstあるいは第2の調圧値Pndに維持されている場合において、同デリバリパイプ35の温度(パイプ燃温Tp)が燃焼室20等からの受熱により温度Tpa(図4:点A1、点A2)から温度Tpb(図4:点B1、点B2)に上昇したことを想定すると、
・上記第1の経路が能動とされている場合は、点B1の状態において温度Tpbが第1の飽和温度Tst以上であるため燃料は気化する。
・上記第2の経路が能動とされている場合は、点B2の状態において温度Tpbが第2の飽和温度Tnd未満であるため燃料は気化しない。
といったように、能動とされている燃料経路に応じて燃料の気化態様が異なったものとなる。即ち、上記第2の経路が能動とされる(電磁弁38が閉弁される)ということは、燃料の温度上昇による気化に対しての耐性が高められることに相当する。そして、本実施の形態においては、以下に示す処理に基づいて、こうした各燃料経路の選択的な切り替えを行うようにしている。
【0079】
次に、電磁弁38の開閉制御について図5〜図7を参照して説明する。なお、図5は、機関の始動処理を示し、図6は、機関運転中の電磁弁開閉処理(制御手段)を示し、図7は、機関停止時の電磁弁開閉処理(制御手段)を示している。
【0080】
最初に、図5を参照して機関の始動処理について説明する。ちなみに、本処理は、ECU4の機能が能動とされている期間において内燃機関1の運転が開始されるまで、所定の時間周期をもって繰り返し行われるものである。
【0081】
まずステップS101では、イグニッションスイッチSWが「オン」位置にあることを示すイグニッション信号IGがオンであるか否かが判断される。イグニッション信号IGがオンである旨判断された場合は、ステップS102へ移り、一方、イグニッション信号IGがオフである旨判断された場合は、本処理を一旦終了する。
【0082】
次にステップS102では、燃料ポンプ32を駆動し、ステップS103へ移る。
次にステップS103では、イグニッションスイッチSWが「スタート」位置にあることを示すスタータ信号STAがオンであるか否かが判断される。スタータ信号STAがオンである旨判断された場合は、ステップS104へ移り、一方、スタータ信号STAがオフである旨判断された場合は、本処理を一旦終了する。
【0083】
次にステップS104では、内燃機関1の運転を開始し、本処理を終了する。
即ち、この機関の始動処理(図5)を通じて、イグニッションスイッチSWが「オン」にされると燃料ポンプ32による燃料の圧送が開始され、イグニッションスイッチSWが「スタート」とされると内燃機関1の運転が開始される。
【0084】
次に、図6を参照して機関運転中の電磁弁開閉処理について説明する。ちなみに、本処理は、内燃機関1の運転中において、所定の時間周期をもって繰り返し行われるものである。
【0085】
次にステップS201では、タンク燃温Tt、タンク燃圧Pt、パイプ燃温Tp、パイプ燃圧Ppをそれぞれ読み込み、ステップS202へ移る。
次にステップS202では、これら各検出データに基づいて現在の燃料の状態に応じた飽和蒸気圧曲線を決定し、この決定された飽和蒸気圧曲線から飽和蒸気圧力PVPを算出して、ステップS203へ移る。
【0086】
そしてステップS203では、飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst未満であるか否かが判断される。飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst未満である旨判断された場合は、ステップS204へ移り、電磁弁38を開弁し、本処理を一旦終了する。一方、飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst未満でない旨判断された場合は、ステップS205へ移り、電磁弁38を閉弁し、本処理を一旦終了する。
【0087】
即ち、この機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)を通じて、各センサ51,52,53,54による検出データに基づいて飽和蒸気圧力PVPが算出され、この算出された飽和蒸気圧力PVPとプライマリプレッシャレギュレータ36による第1の調圧値Pstとの対比のもとに、電磁弁38の開閉制御が行われる。
【0088】
次に、図7を参照して機関停止時の電磁弁開閉処理について説明する。ちなみに、本処理は、内燃機関1の停止後においても燃料ポンプ32の駆動が停止されるまで、所定の時間周期をもって繰り返し行われるものである。
【0089】
まずステップS301では、イグニッションスイッチSWが「オン」位置にあることを示すイグニッション信号IGがオンからオフにされたか否かが判断される。イグニッション信号IGがオンからオフにされた旨判断された場合は、ステップS302へ移り、一方、イグニッション信号IGがオンからオフにされてない旨判断された場合は、本処理を一旦終了する。
【0090】
次にステップS302では、電磁弁38を閉弁し、ステップS303へ移る。
そしてステップS303では、内燃機関1の停止直後からの経過時間が所定継続時間TdrvA未満である否かが判断される。経過時間が所定継続時間TdrvA未満である旨判断された場合は、ステップS304へ移って、燃料ポンプ32の駆動を継続し、本処理を一旦終了する(再度、本処理を実行する)。一方、経過時間が所定継続時間TdrvA未満でない旨判断された場合は、本処理を終了する(通常の機関停止状態へ移行する)。
【0091】
即ち、この機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)を通じて、内燃機関1の停止にともない電磁弁38が閉弁され、同内燃機関1の停止直後から所定継続時間TdrvAが経過するまでは燃料ポンプ32の駆動が継続される。
【0092】
ここで、上記各電磁弁開閉処理(図6及び図7)について総括すると、
(A)内燃機関1の停止にともなう電磁弁38の閉弁操作(図7)。
(B)内燃機関1の停止後における燃料ポンプ32の駆動継続操作(図7)。
(C)内燃機関1の運転中における電磁弁38の開閉操作(図6)。
といった各操作が上述した所定の条件のもとに行われる。なお、上記(A)を換言すれば、デリバリパイプ35の圧力を第2の調圧値Pndに維持するということであり、上記(C)を換言すれば、デリバリパイプ35の圧力を適宜、第1の調圧値Pstあるいは第2の調圧値Pndのいずれかに維持するということである。
【0093】
以下、上記(A)〜(C)の操作を通じて奏される効果について、一般に想定される所定の状況に基づいてそれぞれ詳細な説明をする。
まず、上記(A)の操作を通じて奏される効果について説明する。
【0094】
一般に、液化石油ガスを燃料とする内燃機関は、燃料の気化に起因する運転性の悪化といった問題を抱えているため、燃料の気化が抑制されることが望ましいが、
・プレッシャレギュレータによる調圧設定値が高くなるほど、燃料の飽和蒸気温度も高い値に維持されるようになるため、燃料の気化が抑制されるようになる。
・プレッシャレギュレータによる調圧設定値が高くなるほど、燃料ポンプによる燃料の圧送に際して圧送抵抗が増大するため、同燃料ポンプにかかる負荷が大きくなる。
といったように、燃料の気化抑制と燃料ポンプの負荷軽減とは互いに相反するトレードオフ関係にあり、通常はこうした事態をふまえ両者のバランスを考慮して、プレッシャレギュレータによる調圧設定値が設定される。従って、例えば内燃機関の停止直後のように、
・機関各部が高温の状態であるため、燃料噴射機構の温度が上昇しやすい。
・燃料が循環されていないため、燃料の循環による燃料噴射機構の冷却作用がない。
といった場合には、燃料噴射機構の圧力が上記通常の調圧設定値に維持されたとしても、燃料が気化することも考えられる。
【0095】
この点、本実施の形態では、内燃機関1が停止されることに基づいてプライマリプレッシャレギュレータ36及びセカンダリプレッシャレギュレータ37の調圧機能をともに能動とする(電磁弁38を閉弁する)、即ちデリバリパイプ35の圧力を第2の調圧値Pndに維持するようにしている。このため、機関停止中におけるデリバリパイプ35の圧力が、第1の調圧値Pst(一般に採用される調圧設定値)よりも十分に高い圧力に維持され、機関停止中における燃料の気化が抑制されるようになる。また、これにともない機関始動性が確保されるようにもなる。さらには、内燃機関1が停止されることのみに基づいてデリバリパイプ35の圧力を第2の調圧値Pndに維持するようにしているため(図7:ステップS301及びS302)、例えば同デリバリパイプ35の温度をモニタする等の制御が不要となり、調圧設定値の設定に関する制御性が良好となる。
【0096】
次に、上記(B)の操作を通じて奏される効果について説明する。
ここで、内燃機関1の停止直後、デリバリパイプ35の圧力を維持する調圧設定値が第1の調圧値Pstから第2の調圧値Pndへ切り替えられたことを想定する。図8を参照すると、この調圧設定値が切り替えられた直後におけるデリバリパイプ35の圧力(パイプ燃圧Pp)は、ほぼ第1の調圧値Pstに等しい。このとき、内燃機関1の各部は高温の状態にあるため、デリバリパイプ35はそうした高温状態にある機関各部からの熱を受けることになる。従って、燃料ポンプ32による燃料の加圧を行わずとも、同デリバリパイプ35の圧力(パイプ燃圧Pp)は燃料の膨張により除々に上昇するようになり、最終的には第2の調圧値Pndに達するようになる。そして、以降、デリバリパイプ35の圧力はこの第2の調圧値Pndに維持されるようになるものの、このようにデリバリパイプ35の圧力が受熱により昇圧される場合には、以下に示すようなことが懸念される。
【0097】
例えば、内燃機関1の停止後、デリバリパイプ35内の燃料が受熱により点C1(図8:温度Tpc1、圧力Pst)から点C2(図8:温度Tpc2、圧力Pnd)、及び点C1(図8:温度Tpc1、圧力Pst)から点C3(図8:温度Tpc3、圧力Pnd)へそれぞれ移行したとする(点C1から点C2及び点C3への移行の経路は直線的でなくともよい)。このとき、
・上記燃料の状態が点C1から点C2に移行した場合には、燃料の温度が上昇しているものの、最終的な温度Tpc2が第2の飽和温度Tnd未満であるため、ベーパは発生しない。
・上記燃料の状態が点C1から点C3に移行した場合には、燃料の温度上昇により最終的な温度Tpc3が第2の飽和温度Tnd以上であるため、ベーパが発生する。
といったように、燃料の圧力は第1の調圧値Pstから第2の調圧値Pndへと昇圧されるものの、この昇圧されている期間にベーパが発生することもある。このように、内燃機関1の停止直後、調圧設定値が第1の調圧値Pstから第2の調圧値Pndへ切り替えられたとしても、デリバリパイプ35の受熱によりその圧力が昇圧されるような場合には、燃料の気化が十分に抑制されるとは言い難く、機関始動性の悪化もまねきかねない。この点、本実施の形態では、内燃機関1の停止後も燃料ポンプ32の駆動を継続し、デリバリパイプ35の圧力を積極的に昇圧するようにしているため、その圧力が第2の調圧値Pndに達するまでの時間が短縮されるようになる。これは、例えば図8に示すように、燃料が点C1から点C4(図8:温度Tpc1、圧力Pnd)へと移行することに相当する(実際には、移行の経路及び移行した後の燃料の温度がそれぞれ若干変動することもある)。これにより、内燃機関1の停止中における燃料の気化抑制、及び機関始動性の確保をより有効に行うことができるようになる。
【0098】
次に、上記(C)の操作を通じて奏される効果について説明する。
ここで、例えば図8に示すように、デリバリパイプ35内の燃料が点Xの状態(温度Tpx、圧力Pnd)であることを想定する。このとき、
・燃料の飽和蒸気圧力は飽和蒸気圧力PVPxである。
・この飽和蒸気圧力PVPxは第1の調圧値Pst未満である。
といった理由により、デリバリパイプ35の圧力を第1の調圧値Pstに維持しても燃料が気化するおそれはない。従って、デリバリパイプ35の温度が第1の飽和温度Tst未満であるにもかかわらず、デリバリパイプ35の圧力が第2の調圧値Pndに維持されている場合は(図8:点X)、燃料ポンプ32に余分な負荷がかかっている状態といえる。
【0099】
この点、本実施の形態では、内燃機関1の運転中において、
・飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst未満(デリバリパイプ35の温度が第1の飽和温度Tst未満)である場合には、デリバリパイプ35の圧力を第1の調圧値Pstに維持する(図6:ステップS203においてYes)。
・飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst以上(デリバリパイプ35の温度が第1の飽和温度Tst以上)である場合には、デリバリパイプ35の圧力を第2の調圧値Pndに維持する(図6:ステップS203においてNo)。
といった態様をもって燃料の調圧状態を切り替えるようにしているため、燃料ポンプ32に余分な負荷がかかるといった事態が回避されるようになる。
【0100】
次に、図9をあわせ参照して、上記各電磁弁開閉処理(図6及び図7)の態様についてさらに詳細に説明する。なお、この図9は、内燃機関1の運転が停止された後から十分な時間が経過しておらず、同内燃機関1の各部が高温である状態から再度機関を始動するいわゆる高温再始動、及びこの高温再始動以降の機関運転状態を想定し、そうした運転状態における各フラグ等((a)〜(g))の動作態様を示している。
【0101】
いま、イグニッションスイッチSWによるイグニッション信号IGがオンである旨検出されたとすると、時刻t1において燃料ポンプ32の駆動が開始される(図9(a),(b))。これにより、燃料タンク31内の比較的温度の低い燃料がデリバリパイプ35へ圧送されるようになるため、同デリバリパイプ35内が冷却され、それにともない飽和蒸気圧力PVPが徐々に下降しはじめる。そして、時刻t2においてイグニッションスイッチSWが「スタート」とされ、スタータ信号STAがオンである旨検出されたとすると、内燃機関1の運転が開始される(図9(c),(d))。そして、上記燃料ポンプ32の駆動にともない上記飽和蒸気圧力PVPがプライマリプレッシャレギュレータ36による第1の調圧値Pst未満となった旨が時刻t3において検出されたとすると、ECU4により電磁弁38が開弁され、セカンダリプレッシャレギュレータ37の調圧機能が非能動とされる(図9(g),(e),(f))。これにより、デリバリパイプ35に圧送される燃料がプライマリプレッシャレギュレータ36のみにより調圧されるようになる。即ち、デリバリパイプ35(正確には燃料ポンプ32からプライマリプレッシャレギュレータ36までの燃料経路内)の圧力は、第1の調圧値Pstに維持されるようになる。そして、時刻t3以降、例えば燃焼室20等からの受熱によるデリバリパイプ35の温度(パイプ燃温Pt)上昇に起因して、飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst以上となった旨が時刻t4において検出されたとすると、ECU4により電磁弁38が閉弁される(図9(g),(e))。これにより、セカンダリプレッシャレギュレータ37の調圧機能が能動とされ、デリバリパイプ35に圧送される燃料がプライマリプレッシャレギュレータ36及びセカンダリプレッシャレギュレータ37により調圧されるようになる(図9(f))。即ち、デリバリパイプ35の圧力は、第2の調圧値Pndに維持されるようになる。そして、デリバリパイプ35の温度(パイプ燃温Pt)の下降により、飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst未満となった旨が時刻t5において検出されたとすると、電磁弁38が開弁され、再度セカンダリプレッシャレギュレータ37の調圧機能が非能動とされる(図9(g),(e),(f))。そして、この時刻t5以降において、飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst以上となるようなことがあれば、そのたびに上記時刻t4から時刻t5までの処理が繰り返し行われる。また、飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst以上となるようなことがなければ、内燃機関1の運転が停止されるまでデリバリパイプ35の圧力が第1の調圧値Pstに維持される(図9(g))。そして、時刻t6においてイグニッションスイッチSWが「オフ」とされ、イグニッション信号IGがオフである旨検出されたとすると、内燃機関1の運転が停止されるとともに電磁弁38が閉弁される(図9(a),(d),(e))。これにより、デリバリパイプ35に圧送される燃料がプライマリプレッシャレギュレータ36及びセカンダリプレッシャレギュレータ37により調圧されるようになる(図9(f))。また、この時刻t6から予め設定されている所定継続時間TdrvAが経過するまでは、燃料ポンプ32の駆動が継続される(図9(b))。そして、燃料ポンプ32が所定継続時間TdrvA駆動された旨が時刻t7において検出されると、燃料ポンプ32の駆動が停止される(図9(b))。
【0102】
このように、デリバリパイプ35の圧力が第2の調圧値Pndに維持される、即ち燃料ポンプ32の負荷が増大される状況は、燃料の気化のおそれがある場合に限られるため、同燃料ポンプ32へ過度に負荷をかけることなく燃料の気化を抑制することができるようになる。
【0103】
以上詳述したように、この第1の実施の形態にかかる内燃機関の燃料供給装置によれば、以下に列記するような優れた効果が得られるようになる。
(1)内燃機関1の停止直後、プライマリプレッシャレギュレータ36及びセカンダリプレッシャレギュレータ37の調圧機能をともに能動とする(電磁弁38を閉弁する)、即ちデリバリパイプ35の圧力を第2の調圧値Pndに維持するようにしている。これにより、機関停止中において、デリバリパイプ35の圧力が第1の調圧値Pst(一般に採用される調圧設定値)よりも十分に高い圧力に維持されるようになるため、機関停止中における燃料の気化を好適に抑制することができるようになる。また、これにともない機関の始動性が確保されるようにもなる。
【0104】
(2)内燃機関1が停止されることにのみに基づいて、調圧設定値を第1の調圧値Pstから第2の調圧値Pndへ切り替えるようにしているため、例えば同デリバリパイプ35の温度をモニタする等の制御が不要となり、調圧設定値の設定に関する制御性が良好となる。
【0105】
(3)内燃機関1の停止後も燃料ポンプ32の駆動を継続し、デリバリパイプ35の圧力を積極的に昇圧するようにしているため、その圧力が第2の飽和温度Tndに達するまでの時間が短縮されるようになる。これにより、内燃機関1の停止中における燃料の気化抑制、及び機関始動性の確保をより好適に行うことができるようになる。
【0106】
(4)内燃機関1の運転中において、
・飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst未満である場合には、デリバリパイプ35の圧力を第1の調圧値Pstに維持する。
・飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst以上である場合には、デリバリパイプ35の圧力を第2の調圧値Pndに維持する。
といった態様をもって燃料の調圧状態を切り替えるようにしている。これにより、デリバリパイプ35の圧力が第2の調圧値Pndに維持される、即ち燃料ポンプ32の負荷が増大される状況は、燃料の気化のおそれがある場合に限られるようになり、燃料ポンプ32へ過度に負荷をかけることなく燃料の気化を抑制することができるようになる。
【0107】
なお、上記第1の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第1の実施の形態では、プライマリプレッシャレギュレータ36及びセカンダリプレッシャレギュレータ37として、同じ性能を有するものを採用するとしたが、例えば、次のように変更することもできる。即ち、セカンダリプレッシャレギュレータ37としてプライマリプレッシャレギュレータ36による調圧設定値(第1の調圧値Pst)よりも高い値を有するものを採用してもよく、これら各プレッシャレギュレータ36,37の調圧設定値を必ずしも同じ値とする必要はない。
【0108】
・上記第1の実施の形態では、還流経路R2のセカンダリプレッシャレギュレータ37の上流と下流とが、その経路途中に電磁弁38が設けられている補助還流経路R3により連通されている構成としたが、例えば、次のように変更することもできる。即ち、還流経路R2のプライマリプレッシャレギュレータ36の上流と下流とが、その経路途中に電磁弁38が設けられている補助還流経路R3により連通されている構成とすることもできる。
【0109】
・上記第1の実施の形態においては、プライマリプレッシャレギュレータ36、セカンダリプレッシャレギュレータ37及び電磁弁38(補助還流経路R3)により、デリバリパイプ35の圧力の調圧を可変で行うといった機能を実現する構成としたが、例えば、次のように変更することもできる。即ち、これら各構成に代えて、少なくとも2段階の調圧設定値を有する可変プレッシャレギュレータを還流経路R2に設ける構成としてもよい。
【0110】
・上記第1の実施の形態では、還流経路R2に対して2つのプレッシャレギュレータ(36,37)を直列に設ける構成としたが、例えば、さらにプレッシャレギュレータを設け、同還流経路R2に対して3つ以上のプレッシャレギュレータを直列に設ける構成としてもよい。また、こうした変更を加えた場合には、補助還流経路R3と同一構成の経路を、新たに追加されたプレッシャレギュレータを迂回する態様で上記還流経路R2に接続することもできる。こうした構成を採用した場合には、デリバリパイプ35に圧送される燃料の圧力をより多段階に渡って調圧することができるようになる。要するに、内燃機関1の運転中及び停止中において、デリバリパイプ35の圧力を要求される圧力に適宜維持することができる構成であれば、プレッシャレギュレータ及び電磁弁を設ける数や経路途中における配置場所は適宜変更可能である。
【0111】
(第2の実施の形態)
本発明を具体化した第2の実施の形態について、先の第1の実施の形態との相違点を中心に図1及び図10〜図12を参照して説明する。
【0112】
本実施の形態においては、装置全体の基本的な構成は前記第1の実施の形態(図1)と同様であるものの、図1における燃料供給装置3の構成が図10(図11)示すものに変更されている。
【0113】
以下、図10及び図11を参照して、前記第1の実施の形態における燃料経路と対比のもとに、燃料供給装置3の構成について説明する。なお、同図10及び図11は、同一構成の燃料経路を示しており、それぞれ能動とする燃料経路が異なる場合を示している。
【0114】
本実施の形態の装置においては、前記第1の実施の形態における還流経路R2からセカンダリプレッシャレギュレータ37及び補助還流経路R3が除外され、プライマリプレッシャレギュレータ36の上流に電磁弁38が設けられている。さらに、還流経路R2の電磁弁38より上流と燃料タンク31の気相部とが高圧還流経路R4により接続されており、この高圧還流経路R4には上記プライマリプレッシャレギュレータ36による調圧設定値より高い値を有するハイプレッシャレギュレータHPが設けられている。
【0115】
従って、電磁弁38の開閉操作を通じて、
・還流経路R2の電磁弁38より下流の経路が能動とされる燃料経路、即ちプライマリプレッシャレギュレータ36の調圧機能のみが能動とされる燃料経路。
・高圧還流経路R4が能動とされる燃料経路、即ちハイプレッシャレギュレータHPの調圧機能のみが能動とされる燃料経路。
のいずれかが選択される。そして、燃料ポンプ32から圧送された燃料は、各プレッシャレギュレータ36,HPのいずれか一方によりその圧力が維持されつつ、燃料噴射機構34に供給される。また、この供給された燃料のうち、噴射供給に使用されなかった分は還流経路R2のみを介して、あるいは高圧還流経路R4を介して燃料タンク31に還流される。
【0116】
なお、本実施の形態においても、前記検出系5を通じて検出されたデータに基づいて電磁弁38の開閉操作が行われ、以下に説明する各燃料経路のいずれかが能動とされる。
【0117】
次に、電磁弁38の開閉操作を通じて選択的に切り替えられる各燃料経路について説明する。なお、以降では、電磁弁38が開弁されているときの燃料経路を第1の経路、同電磁弁38が閉弁されているときの燃料経路を第2の経路とする。ちなみに、図10は燃料供給装置3の第1の経路が能動とされている場合を示し、図11は燃料供給装置3の第2の経路が能動とされている場合を示している。また、これら図10及び図11において、破線で図示する経路(高圧還流経路R4及び還流経路R2の一部)は、燃料の流れが遮断された状態を示している。
【0118】
まず、燃料経路の第1の経路が能動とされている場合(図10)について説明する。
この場合は、電磁弁38が開弁されているため、プライマリプレッシャレギュレータ36による燃料の調圧機能のみが働く。このため、燃料ポンプ32により圧送される燃料は、その圧力が上記プライマリプレッシャレギュレータ36による第1の調圧値Pst(調圧設定値)に維持されつつデリバリパイプ35に供給される。そして、上記供給された燃料のうち燃料噴射弁INJにより噴射供給されなかった燃料は、開弁されている電磁弁38を介して燃料タンク31に還流される。
【0119】
次に、燃料経路の第2の経路が能動とされている場合(図11)について説明する。
この場合は、電磁弁38が閉弁されているため、ハイプレッシャレギュレータHPによる燃料の調圧機能のみが働く。このため、燃料ポンプ32により圧送される燃料は、その圧力が上記ハイプレッシャレギュレータHPによる第3の調圧値Prd(調圧設定値)に維持されつつデリバリパイプ35に供給される。そして、上記供給された燃料のうち燃料噴射弁INJにより噴射供給されなかった燃料は、還流経路R2のみを介して燃料タンク31に還流される。
【0120】
そして、前記第1の実施の形態と同様に、前記機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)及び機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)を通じて、これら各燃料経路の選択的な切り替えが行われる。
【0121】
要するに、
・内燃機関1の停止直後、ハイプレッシャレギュレータHPの調圧機能を能動とする(電磁弁38を閉弁する)、即ちデリバリパイプ35の圧力を第3の調圧値Prdに維持する(図7:ステップS301及びS302)。
・内燃機関1の停止後も燃料ポンプ32の駆動を継続し、デリバリパイプ35の圧力を積極的に昇圧する(図7:ステップS303及びS304)。
・内燃機関1の運転中においては、飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst未満であれば、デリバリパイプ35の圧力を第1の調圧値Pstに維持し、また、飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst以上であれば、デリバリパイプ35の圧力を第3の調圧値Prdに維持する(図6:ステップS203〜S205)。
といった態様をもって燃料の調圧状態が切り替えられるということである。
【0122】
なお、上記第3の調圧値Prdは、前記第1の実施の形態における前記第2の調圧値Pndに相当する値、即ち上記第1の調圧値Pstよりも十分に高い値であるものとする。
【0123】
次に、図12をあわせ参照して、上記各電磁弁開閉処理(図6及び図7)の態様についてさらに詳細に説明する。なお、この図12も、前記第1の実施の形態と同様に、高温再始動、及びそれ以降の機関運転状態を想定し、そうした運転状態における各フラグ等((a)〜(g))の動作態様を示している。
【0124】
ここで、図12に示される(a)〜(e)及び(g)は、それぞれ前記第1の実施の形態(図9)と同じ態様をもって変化するため、重複する部分についてはその説明を割愛する。
【0125】
以下、図12に示される(f)プレッシャレギュレータの動作態様について説明する。
内燃機関1の始動後、飽和蒸気圧力PVPがプライマリプレッシャレギュレータ36による第1の調圧値Pst未満となった旨が時刻t3において検出されたとすると、電磁弁38が開弁される(図12(g),(e))。これにより、プライマリプレッシャレギュレータ36の調圧機能のみが能動とされ、デリバリパイプ35に圧送される燃料がプライマリプレッシャレギュレータ36により調圧されるようになる(図12(f))。即ち、デリバリパイプ35(正確には燃料ポンプ32からプライマリプレッシャレギュレータ36までの燃料経路内)の圧力は、第1の調圧値Pstに維持されるようになる。そして、時刻t3以降において、飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst以上となった旨が時刻t4において検出されたとすると、電磁弁38が閉弁され、ハイプレッシャレギュレータHPの調圧機能のみが能動とされる(図12(g),(e),(f))。即ち、デリバリパイプ35の圧力が第3の調圧値Prdに維持されるようになる。そして、飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst未満となった旨が時刻t5において検出されたとすると、電磁弁38が開弁され、再度プライマリプレッシャレギュレータ36の調圧機能のみが能動とされる(図12(g),(e),(f))。そして、この時刻t5以降から内燃機関1の運転が停止されるまでは、飽和蒸気圧力PVPと第1の調圧値Pstとの対比のもとに、上記時刻t4から時刻t5までの処理が繰り返し行われる。そして、時刻t6においてイグニッション信号IGがオフである旨検出されたとすると、内燃機関1の運転が停止されるとともに電磁弁38が閉弁され、ハイプレッシャレギュレータHPの調圧機能のみが能動とされる(図12(a),(d),(e),(f))。
【0126】
以上詳述したように、この第2の実施の形態にかかる内燃機関の燃料供給装置によっても、先の第1の実施の形態による前記(1)〜(4)に準じた効果が得られるようになる。
【0127】
なお、上記第2の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第2の実施の形態では、還流経路R2のプライマリプレッシャレギュレータ36より上流に電磁弁38が設けられている構成としたが、例えば次のように変更することもできる。即ち、還流経路R2のプライマリプレッシャレギュレータ36より下流に電磁弁38が設けられている構成とすることもできる。
【0128】
・上記第2の実施の形態では、還流経路R2及び高圧還流経路R4の下流部がそれぞれ燃料タンク31の気相部に接続されている構成としたが、例えば次のように変更することもできる。即ち、還流経路R2のプライマリプレッシャレギュレータ36及び電磁弁38から構成される直列部の上流と下流とが高圧還流経路R4により接続されている構成とすることもできる。
【0129】
・上記第2の実施の形態においては、プライマリプレッシャレギュレータ36、ハイプレッシャレギュレータHP及び電磁弁38により、デリバリパイプ35の圧力調圧を可変で行うといった機能を実現する構成としたが、例えば、次のように変更することもできる。即ち、これら各構成に代えて、少なくとも2段階の調圧設定値を有する可変プレッシャレギュレータを還流経路R2に設ける構成としてもよい。
【0130】
・上記第2の実施の形態では、還流経路R2に対してそれぞれ調圧設定値の異なる2つのプレッシャレギュレータ(36,HP)を並列に設ける構成としたが、例えば、次のように変更してもよい。即ち、還流経路R2に対してそれぞれ調圧設定値の異なる3つ以上のプレッシャレギュレータを並列に設け、これら各プレッシャレギュレータの調圧機能をそれぞれ能動、非能動とする電磁弁を上記各プレッシャレギュレータの上流に設ける構成としてもよい。こうした構成を採用した場合には、デリバリパイプ35に圧送される燃料の圧力をより多段階に渡って調圧することができるようになる。要するに、内燃機関1の運転中及び停止中において、デリバリパイプ35の圧力を要求される圧力に適宜維持することができる構成であれば、プレッシャレギュレータ及び電磁弁を設ける数や経路途中における配置場所は適宜変更可能である。
【0131】
(第3の実施の形態)
本発明を具体化した第3の実施の形態について、先の第1の実施の形態との相違点を中心に図1と図7及び図13に従って説明する。なお、本実施の形態においては、装置全体の基本的な構成は前記第1の実施の形態(図1)と同様であるため、その説明を省略する。
【0132】
ここで、本実施の形態にて行われる機関停止時の電磁弁開閉処理は、前記第1の実施の形態にて行われる機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)の前記ステップS303が、以下に示すような処理に変更されたものとなっている。
【0133】
以下、この変更された処理について、図13を参照して説明する。
まず、前記ステップS301(図7)にてイグニッション信号IGがオンからオフにされた旨判断された場合に、前記ステップS302(図7)にて電磁弁38を閉弁し、ステップS303(図13)へ移る。
【0134】
次にステップS303aでは、内燃機関1の停止直前におけるデリバリパイプ35の圧力(パイプ燃圧Pp)と第2の調圧値Pndとの差に基づいて燃料ポンプ32の駆動継続時間TdrvBを算出し、ステップS303bへ移る。なお、この駆動継続時間TdrvBは、パイプ燃圧Ppと第2の調圧値Pndと差が小さくなるほどその値も小さくなるといった傾向を示すものである。
【0135】
そしてステップS303bでは、内燃機関1の停止直後からの経過時間が駆動継続時間TdrvB未満である否かが判断される。経過時間が駆動継続時間TdrvB未満である旨判断された場合は、前記ステップS304(図7)へ移って、燃料ポンプ32の駆動を継続し、一方、経過時間が駆動継続時間TdrvB未満でない旨判断された場合は、機関停止時の電磁弁開閉処理を終了する。
【0136】
即ち、上記処理(図13)及び機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)を通じて、内燃機関1の停止にともない電磁弁38が閉弁され、同内燃機関1の停止から駆動継続時間TdrvBが経過するまでは燃料ポンプ32の駆動が継続される。
【0137】
ここで、例えば内燃機関1の停止前にすでにセカンダリプレッシャレギュレータ37の調圧機能が能動とされていた場合を想定すると、このとき、デリバリパイプ35の圧力はほぼ第2の調圧値Pndに等しい。そして、内燃機関1の停止直後から予め設定されている所定時間が経過するまで燃料ポンプ32の駆動を継続したとすると、デリバリパイプ35の圧力は第2の調圧値Pndに維持されているにもかかわらず、燃料ポンプ32により同圧力を昇圧しようとすることになる。即ち、燃料ポンプ32に余分な負荷がかかっている状態といえる。
【0138】
この点、本実施の形態では、内燃機関1の停止直前のデリバリパイプ35の圧力と第2の調圧値Pndとの差に基づいて駆動継続時間TdrvBを算出するようにしているため、燃料ポンプ32の駆動継続時間が適切に設定され、同燃料ポンプ32に余分な負荷がかかるといった事態が好適に回避されるようになる。
【0139】
以上詳述したように、この第3の実施の形態にかかる内燃機関の燃料供給装置によれば、先の第1の実施の形態による前記(1)〜(4)の効果に加えて、さらに以下に示すような効果が得られるようになる。
【0140】
(5)内燃機関1の停止後における燃料ポンプ32の駆動を駆動継続時間TdrvBに基づいて行うようにしているため、同燃料ポンプ32の駆動が的確に行われ、燃料ポンプ32に余分な負荷がかかるといった事態を好適に回避することができるようになる。
【0141】
なお、上記第3の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第3の実施の形態では、内燃機関1の停止直前におけるデリバリパイプ35の圧力(パイプ燃圧Pp)と第2の調圧値Pndとの差に基づいて燃料ポンプ32の駆動継続時間TdrvBを算出するとしたが(図13:ステップS303a)、例えば、次のように変更することもできる。即ち、内燃機関1の停止直前において能動とされているプレッシャレギュレータによる調圧設定値と、内燃機関1の停止直後に能動とするプレッシャレギュレータによる調圧設定値との差に基づいて燃料ポンプ32の駆動継続時間TdrvBを算出する構成とすることもできる。
【0142】
(第4の実施の形態)
本発明を具体化した第4の実施の形態について、図15〜図19を参照して説明する。
【0143】
本実施の形態において、装置全体の構成は前記第1の実施の形態(図1)の装置と同様であるが、内燃機関1の運転中、前記第1の実施の形態における機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)にあわせて、さらに以下に説明する処理を行う構成となっている。以下、図15及び図16を参照して機関運転中の電磁弁開閉処理にあわせて行われる第2の電磁弁開閉処理(調圧設定値低減手段)について説明する。
【0144】
同図15に示すように、この処理では、まずエアフローメータの検出データ等に基づいて算出された燃料噴射量Qi、即ち内燃機関1の運転に要求される燃料量を読み込む(ステップS401)。次に、この燃料噴射量Qiが、第2の調圧値Pndが有効とされているときの燃料ポンプ32の燃料吐出量(第2の燃料吐出量Qpnd)を基準として設定されている第1の判定流量Qhig以上であるか否かを判定する(ステップS402)。燃料噴射量Qiが第1の判定流量Qhig以上のとき(ステップS402:Yes)、図16に示すマップに基づいて電磁弁38の開閉操作を行う、即ち電磁弁38を開弁する(ステップS403)。一方、燃料噴射量Qiが第1の判定流量Qhig未満のとき(ステップS402:No)、調圧設定値として第2の調圧値Pndが有効とされているか否かを判定する(ステップS404)。第2の調圧値Pndが無効とされているときは本処理を一旦終了し(ステップS404:No)、第2の調圧値Pndが有効とされているときはさらに次の判定を行う(ステップS404:Yes)。即ち、燃料噴射量Qiが上記第1の判定流量Qhigよりも低く設定されている第2の判定流量Qlow未満であるか否かを判定する(ステップS405)。燃料噴射量Qiが第2の判定流量Qlow未満のとき(ステップS405:Yes)、図16に示されるマップに基づいて電磁弁38の開閉操作を行い、燃料噴射量Qiが第2の判定流量Qlow以上のときは(ステップS405:No)、本処理を一旦終了する。
【0145】
このように、上記処理によれば、燃料噴射量Qiが第1の判定流量Qhig以上のときは、先の電磁弁開閉処理(図6)の判定結果にかかわらず電磁弁38が開弁される。
【0146】
ここで、図17及び図18を参照して、上記各判定流量Qhig,Qlowの設定態様について説明する。
同図17に示すように、一般に燃料ポンプの燃料吐出量は同燃料ポンプの下流側の圧力、即ちプレッシャレギュレータの調圧設定値が高くなるにつれ減量する傾向にある。そして、本実施の形態にあって燃料ポンプ32は、基本的には第1の調圧値Pstに対応する第1の燃料吐出量Qpst及び第2の調圧値Pndに対応する第2の燃料吐出量Qpndのいずれかで駆動されるようになる。
【0147】
従って、図18に示すように上記第2の燃料吐出量Qpndよりも所定の流量だけ小さい値が第1の判定流量Qhigとして設定され、この第1の判定流量Qhigよりも所定の流量だけ小さい値が第2の判定流量Qlowとして設定されることになる。
【0148】
これにより、燃料ポンプ32が第2の燃料吐出量Qpndで駆動されているときにあって、燃料噴射量Qiが第1の判定流量Qhigを上回ったとすると(図18:時刻t181)、燃料ポンプ32は第1の燃料吐出量Qpstで駆動されるようになる。そして、燃料噴射量Qiが第2の判定流量Qlowを下回るとともに(図18:時刻t182)、飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst以上であったとすると(図6:ステップS203:NO)、燃料ポンプ32は再度、第2の燃料吐出量Qpndで駆動されるようになる。
【0149】
ところで、燃料噴射弁INJを通じて内燃機関1に噴射供給される燃料量が燃料ポンプ32の燃料吐出量以上となるときには、次のようなことが懸念される。
即ち、同噴射供給される燃料量がデリバリパイプ35(燃料噴射機構34)内に供給される燃料量を上回っていることになるため、同デリバリパイプ35内の燃料の圧力が次第にプレッシャレギュレータの調圧設定値に応じた圧力に維持されなくなることが考えられる。そして、この場合、デリバリパイプ35内の燃料の圧力が不安定な状態となることに起因して、燃料噴射弁INJを通じて内燃機関1から要求される燃料量を適切に噴射することが困難になるとともに運転性の悪化をまねくようになるといえる。一方で、燃料ポンプ32の燃料吐出量は、上述のように調圧設定値が低くなるほど増量する傾向にある。
【0150】
そこで、本実施の形態では、燃料噴射量Qiが第1の判定流量Qhig以上となるとき、第1の調圧値Pstを有効にすることで燃料ポンプ32が第1の燃料吐出量Qpstで駆動されるようにしている。これにより、デリバリパイプ35内に供給される燃料量が増量されて同デリバリパイプ35内の燃料の圧力が第1の調圧値Pstに応じた圧力に維持される、即ちデリバリパイプ35内の燃料の圧力が安定した状態に維持されるようになる。そして、デリバリパイプ35内の燃料の圧力が不安定な状態となることに起因する内燃機関1の運転性の悪化が好適に抑制されるようになる。
【0151】
次に、図19を参照して、第3の電磁弁開閉処理(図15)による調圧設定値の変更態様の一例を説明する。
例えば、時刻t191において燃料噴射量Qiが第1の判定流量Qhig以上である旨検出されたとすると、ECU4により電磁弁38が開弁されて、セカンダリプレッシャレギュレータ37が無効とされる(図19(a),(b),(f))。これにより、調圧設定値として第1の調圧値Pstが有効とされるとともに、燃料ポンプ32が第1の燃料吐出量Qpstで駆動されるようになる(図19(c),(d))。そして、時刻t192において燃料噴射量Qiが第2の判定流量Qlow未満、且つ飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst以上である旨検出されたとすると、電磁弁38が閉弁されてセカンダリプレッシャレギュレータ37が有効とされる(図19(a),(b),(e),(f))。これにより、調圧設定値として第2の調圧値Pndが有効となり、燃料ポンプ32が第2の燃料吐出量Qpndで駆動されるようになる(図19(c),(d))。そして、時刻t193において、飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst未満となった旨検出されたとすると、ECU4により電磁弁38が開弁されて、セカンダリプレッシャレギュレータ37が無効とされる(図19(a),(b),(f))。これにより、調圧設定値として第1の調圧値Pstが有効とされるとともに、燃料ポンプ32が第1の燃料吐出量Qpstで駆動されるようになる(図19(c),(d))。
【0152】
以上詳述したように、この第4の実施の形態にかかる内燃機関の燃料供給装置によれば、先の第1の実施の形態による前記(1)〜(4)の効果に準じた効果に加えて、さらに以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0153】
(5)本実施の形態では、燃料噴射量Qiが第1の判定流量Qhig以上となるとき、第1の調圧値Pstを有効にすることで燃料ポンプ32が第1の燃料吐出量Qpstで駆動されるようにしている。これにより、デリバリパイプ35内に供給される燃料が増量されるようになるため、同デリバリパイプ35内の燃料の圧力が不安定な状態となることに起因する内燃機関1の運転性の悪化を好適に抑制することができるようになる。
【0154】
(6)本実施の形態では、燃料噴射量Qiが燃料ポンプ32の第1の燃料吐出量Qpstよりも低く設定される第1の判定流量Qhig以上となること、及び同第1の判定流量Qhigよりも低く設定される第2の判定流量Qlow未満となることを電磁弁38の開閉操作を行うための条件としている。これにより、電磁弁38の開閉操作にかかる制御ハンチングを好適に回避することができるようになる。
【0155】
なお、上記第4の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第4の実施の形態では、予め設定されている第1の判定流量Qhig及び第2の判定流量Qlowに基づいて燃料吐出量の変更を行う構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、上記各判定流量Qhig,Qlowを内燃機関1の運転パラメータに基づいて補正しつつ燃料吐出量の変更を行うこともできる。
【0156】
・上記第4の実施の形態では、第2の電磁弁開閉処理(図15)を通じて電磁弁38の開閉操作を行う構成としたが、同処理に代えて以下に説明する処理(図20)を行う構成とすることもできる。
【0157】
同図20に示すように、この処理では、まずエアフローメータの検出データ等に基づいて算出された燃料噴射量Qiを読み込む(ステップS401a)。次に、この燃料噴射量Qiが、第1の判定流量Qhig以上であるか否かを判定し(ステップS402a)、燃料噴射量Qiが第1の判定流量Qhig以上のとき(ステップS402a:Yes)、図16に示すマップに基づいて電磁弁38の開閉操作を行う、即ち電磁弁38を開弁する(ステップS403a)。一方、燃料噴射量Qiが第1の判定流量Qhig未満のとき(ステップS402a:No)、図16に示すマップに基づいて電磁弁38の開閉操作を行う。
【0158】
・上記第4の実施の形態では、第2の電磁弁開閉処理(図15)を通じて電磁弁38の開閉操作を行う構成としたが、同処理に代えて以下に説明する処理(図21)を行う構成とすることもできる。
【0159】
同図21に示すように、この処理では、まずエアフローメータの検出データ等に基づいて算出された燃料噴射量Qiを読み込む(ステップS401b)。次に、この燃料噴射量Qiが、第2の燃料吐出量Qpnd以上であるか否かを判定し(ステップS402b)、燃料噴射量Qiが第2の燃料吐出量Qpnd以上のとき(ステップS402b:Yes)、図16に示すマップに基づいて電磁弁38の開閉操作を行う、即ち電磁弁38を開弁する(ステップS403b)。一方、燃料噴射量Qiが第2の燃料吐出量Qpnd未満のとき(ステップS402b:No)、図16に示すマップに基づいて電磁弁38の開閉操作を行う。
【0160】
・上記第4の実施の形態では、第2の電磁弁開閉処理(図15)を通じて電磁弁38の開閉操作を行う構成としたが、同処理に代えて以下に説明する処理(図22)を行う構成とすることもできる。
【0161】
同図22に示すように、この処理では、まずエアフローメータの検出データ等に基づいて算出された燃料噴射量Qiを読み込む(ステップS401c)。次に、この燃料噴射量Qiが第2の燃料吐出量Qpnd以上であるか否かを判定し(ステップS402c)、燃料噴射量Qiが第2の燃料吐出量Qpnd以上のとき(ステップS402c:Yes)、図16に示すマップに基づいて電磁弁38の開閉操作を行う、即ち電磁弁38を開弁する(ステップS403c)。一方、燃料噴射量Qiが第2の燃料吐出量Qpnd未満のとき(ステップS402c:No)、調圧設定値として第2の調圧値Pndが有効とされているか否かを判定する(ステップS404c)。第2の調圧値Pndが無効とされているときは本処理を一旦終了し(ステップS404c:No)、第2の調圧値Pndが有効とされているときはさらに次の判定を行う(ステップS404c:Yes)。即ち、燃料噴射量Qiが上記第1の判定流量Qhig未満であるか否かを判定する(ステップS405c)。燃料噴射量Qiが第1の判定流量Qhig未満のとき(ステップS405c:Yes)、図16に示されるマップに基づいて電磁弁38の開閉操作を行い、燃料噴射量Qiが第1の判定流量Qhig以上のときは(ステップS405c:No)、本処理を一旦終了する。
【0162】
・上記第4の実施の形態では、機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)及び機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)にあわせて第2の電磁弁開閉処理(図15)を行う構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)を行わない構成とすることもできる。
【0163】
・上記第4の実施の形態では、機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)及び機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)にあわせて第2の電磁弁開閉処理(図15)を行う構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)を行わない構成とすることもできる。なお、こうした構成を採用する場合には、第2の電磁弁開閉処理(図15)のステップS406において、電磁弁38の閉弁操作を行うものとする。
【0164】
・上記第4の実施の形態では、機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)及び機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)にあわせて第2の電磁弁開閉処理(図15)を行う構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)及び機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)を行わない構成とすることもできる。なお、こうした構成を採用する場合にも、第2の電磁弁開閉処理(図15)のステップS406において、電磁弁38の閉弁操作を行うものとする。
【0165】
(第5の実施の形態)
本発明を具体化した第5の実施の形態について、図23〜図25を参照して説明する。
【0166】
本実施の形態において、装置全体の構成は前記第1の実施の形態(図1)の装置と同様であるが、内燃機関1の運転中、前記第1の実施の形態における機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)に代えて、以下に説明する処理を行う構成となっている。以下、図23を参照して機関運転中の電磁弁開閉処理に代えて行われる第3の電磁弁開閉処理(調圧設定値増大手段)について説明する。
【0167】
同図23に示すように、この処理では、まずパイプ燃圧センサ54により検出されたパイプ燃圧Ppとエアフローメータの検出値を通じて推定された吸気通路23内の圧力との差である圧力差DfPを読み込む(ステップS501)。次に、この圧力差DfPが予め設定されている所定の圧力差DfPct未満であるか否かを判定する(ステップS502)。そして、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満のとき電磁弁38を閉弁し(ステップS503)、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満でないときは電磁弁38を開弁する(ステップS504)。
【0168】
このように、上記処理によれば、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満のとき、セカンダリプレッシャレギュレータ37の調圧機能が有効とされ、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct以上のときには同レギュレータ37の調圧機能が無効とされる。
【0169】
従って、調圧設定値は上記第3の電磁弁開閉処理(図23)を通じて図24に示すような態様をもって設定されることになる。
同図24に示すように、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満のとき、調圧設定値として第2の調圧値Pndが有効とされるため、デリバリパイプ35内の燃料の圧力はタンク燃圧Ptを基準として、第1の調圧値Pstが有効とされているときのほぼ2倍に相当する圧力に維持されることになる。ちなみに、上記第2の電磁弁開閉処理(図23)が行われない場合には、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満のとき、一点鎖線にて示すように調圧設定値として第1の調圧値Pstが有効とされるとともに、デリバリパイプ35内の燃料の圧力は同第1の調圧値Pstに応じた圧力に維持されることになる。
【0170】
一方、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct以上のとき、調圧設定値として第1の調圧値Pstが有効とされて、デリバリパイプ35内の燃料の圧力はこの第1の調圧値Pstに応じた圧力に維持されるようになる。
【0171】
ところで、従来のLPG機関の燃料供給装置、即ち圧力センサを通じて検出されるデリバリパイプ内の燃料の圧力と例えばエアフローメータの検出値から推定される吸気通路の圧力との圧力差に基づいて燃料噴射弁の開弁時間を決定する燃料供給装置にあっては次のようなことが懸念される。
【0172】
LPGは加圧されて液化した状態で燃料タンク内に貯留される液化ガス燃料であるため、燃料タンク内に貯留されているLPGの圧力は外気温度や燃料の組成によって大きく異なる値を示す傾向にある。従って、例えば外気温度等の影響により燃料タンク内の燃料の温度が過度に低いときには、それに応じて同燃料タンク内の燃料の圧力も低くなっているため、調圧機構(プレッシャレギュレータ)の調圧設定値が低い値に設定されてデリバリパイプ内の燃料の圧力もそれに応じた圧力に維持されることになる。
【0173】
そして、この場合、デリバリパイプ内の燃料の圧力と内燃機関の吸気通路の圧力との圧力差が小さくなることにより、同圧力差に占める圧力センサの検出誤差の割合が大きくなるため、燃料噴射弁の開弁時間が適切に算出されなくなるとともに同燃料噴射弁による燃料噴射量のばらつきが増大するようになる。
【0174】
このように、従来の燃料供給装置にあっては、燃料タンク内の燃料の圧力(温度)が過度に低いとき、圧力センサの検出誤差等に起因する運転性の悪化が懸念される。
【0175】
そこで、本実施の形態では、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満となるとき、パイプ燃圧センサ54の圧力測定誤差等の影響により燃料噴射弁INJを通じて適切な燃料噴射を行うことができない状況にあると判定して、第2の調圧値Pndを有効とするようにしている。これにより、デリバリパイプ35内の燃料の圧力が第2の調圧値Pndに応じた圧力に維持されるとともに、上記圧力差DfPが大きくされることになる。従って、同圧力差DfPに占める圧力センサ(パイプ燃圧センサ54)の検出誤差の割合が小さくされるため、同検出誤差等に起因する燃料噴射弁INJの燃料噴射量のばらつきが抑制されるとともに、燃料噴射弁INJの燃料噴射が適切に行われないことによる運転性の悪化が好適に回避されるようになる。
【0176】
次に、図25を参照して、第3の電磁弁開閉処理(図23)による調圧設定値の変更態様の一例を説明する。
例えば、時刻t251において圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満である旨検出されたとすると、ECU4により電磁弁38が閉弁されて、セカンダリプレッシャレギュレータ37が有効とされる(図25(a),(b),(d))。これにより、調圧設定値として第2の調圧値Pndが有効とされるとともに、デリバリパイプ35内の燃料の圧力が同第2の調圧値Pndに応じた圧力に維持されるようになる(図25(c))。そして、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct以上となったことが時刻t252において検出されたとすると、ECU4により電磁弁38が閉弁されて、セカンダリプレッシャレギュレータ37が無効とされる(図25(a),(b),(d))。これにより、調圧設定値として第1の調圧値Pstが有効とされるとともに、デリバリパイプ35内の燃料の圧力が同第1の調圧値Pstに応じた圧力に維持されるようになる(図25(c))。そして、時刻t253において、再度、圧力差DfPが所定の圧力DfPct未満となったことが検出されたとすると、上記同様の態様をもって調圧設定値の変更が行われ、以降も上記処理態様に準じた処理が継続される。
【0177】
以上詳述したように、この第5の実施の形態にかかる内燃機関の燃料供給装置によれば、先の第1の実施の形態による前記(1)〜(3)の効果に準じた効果に加えて、さらに以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0178】
(4)本実施の形態では、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満となるとき、セカンダリプレッシャレギュレータ37とともに第2の調圧値Pndを有効とするようにしている。これにより、デリバリパイプ35内の燃料の圧力と吸気通路23の圧力との圧力差DfPが大きくされるため、燃料噴射弁INJの燃料噴射量のばらつきを抑制して内燃機関1の運転性の悪化を好適に回避することができるようになる。
【0179】
(5)本実施の形態では、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満となるとき、第2の調圧値Pndを有効とし、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct以上となるときは第1の調圧値Pstを有効とするようにしている。これにより、第1の調圧値Pstが有効とされているときよりも燃料ポンプ32の負荷が増大する第2の調圧値Pndは、燃料噴射弁INJの燃料噴射量のばらつきが懸念されるときにのみ有効とされることになるため、燃料ポンプ32の寿命の低下や燃費の悪化等を好適に抑制することができるようになる。
【0180】
(6)本実施の形態では、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満となるとき、第2の調圧値Pndを有効とするようにしている。ちなみに、吸気通路23の圧力が変動する領域の大きさは、デリバリパイプ35内の燃料の圧力(パイプ燃圧Pp)が変動する領域の大きさに対して十分に小さい傾向にあるため、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満となるときは、基本的にはパイプ燃圧Ppが低いときに限られるようになる。従って、本実施の形態にあっては、パイプ燃圧Ppが低い領域において、第2の調圧値Pndが有効にされることによりパイプ燃圧Ppが本来の値(第2の調圧値Pndが有効とされないときの値)よりも高められることになる。これにより、調圧設定値として第1の調圧値Pstのみが有効とされる場合に比べてパイプ燃圧Ppの変動領域が小さくされるとともに、燃料噴射弁INJに要求されるダイナミックレンジが小さくされるようになる。そして、燃料噴射弁INJとしてより低い性能を有するものを採用することが可能となるため、燃料供給装置をより容易に実現することができるようになる。
【0181】
なお、上記第5の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第5の実施の形態では、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満となるとき、第2の調圧値Pndを有効にし、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct以上となるとき、第1の調圧値Pstを有効にする構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、圧力差DfPが所定の圧力差DfPctよりも大きく設定される第2の所定の圧力差となることに基づいて、調圧設定値を第2の調圧値Pndから第1の調圧値Pstへ変更する構成とすることもできる。
【0182】
・上記第5の実施の形態では、予め設定されている所定の圧力差DfPctに基づいて調圧設定値の変更を行う構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、上記所定の圧力差DfPctを内燃機関1の運転パラメータに基づいて補正しつつ調圧設定値の変更を行うこともできる。
【0183】
・上記第5の実施の形態では、機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)にあわせて第3の電磁弁開閉処理(図23)を行う構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)の処理を行わない構成とすることもできる。
【0184】
・上記第5の実施の形態では、機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)にあわせて第3の電磁弁開閉処理(図23)を行う構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、内燃機関1の運転中、さらに機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)を行う構成とすることもできる。なお、こうした構成を採用した場合には、機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)のステップS203の判定結果及び第3の電磁弁開閉処理(図23)のステップS502の判定結果から得られる以下の判定結果、即ち、
〔a〕飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst未満、且つ圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満。
〔b〕飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst未満、且つ圧力差DfPが所定の圧力差DfPct以上。
〔c〕飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst以上、且つ圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満。
〔d〕飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst以上、且つ圧力差DfPが所定の圧力差DfPct以上。
といった各判定結果に対してそれぞれ電磁弁38の開閉操作を設定した所定のマップに基づいて同電磁弁38の開閉操作を行うものとする。また、内燃機関1の運転中、同内燃機関1の運転パラメータ等に基づいて上記マップの内容を変更することもできる。
【0185】
・また、上記変更例において、機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)を行わない構成とすることも可能である。
(第6の実施の形態)
本発明を具体化した第6の実施の形態について、図26〜図29を参照して説明する。
【0186】
本実施の形態において、装置全体の構成は前記第1の実施の形態(図1)の装置と同様であるが、内燃機関1の運転中、前記第1の実施の形態における機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)に代えて、以下に説明する処理を行う構成となっている。以下、図26を参照して機関運転中の電磁弁開閉処理に代えて行われる第4の電磁弁開閉処理(調圧設定値増大手段)について説明する。
【0187】
同図26に示すように、この処理では、まずタンク燃圧センサ52により検出されたデータ(タンク燃圧Pt)を読み込む(ステップS601)。次に、タンク燃圧Ptが予め設定されている所定の圧力Pct未満であるか否かを判定する(ステップS602)。そして、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pct未満のとき電磁弁38を閉弁し(ステップS603)、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pct未満でないときは電磁弁38を開弁する(ステップS604)。
【0188】
このように、上記処理によれば、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pct未満のとき、セカンダリプレッシャレギュレータ37の調圧機能が有効とされ、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pct以上のときには同レギュレータ37の調圧機能が無効とされる。
【0189】
ここで、図27を参照して、燃料タンク31内の燃料の圧力(タンク燃圧Pt)と各調圧値Pst,Pndとの関係について説明する。
セカンダリプレッシャレギュレータ37の調圧機能が無効とされているとき、調圧設定値として第1の調圧値Pstが有効とされるとともに、この第1の調圧値Pstは一点鎖線にて示されるように燃料タンク31内の燃料の圧力よりも一定の値だけ高い圧力に設定される。
【0190】
一方、セカンダリプレッシャレギュレータ37の調圧機能が有効とされているとき、調圧設定値として第2の調圧値Pndが有効とされるとともに、この第2の調圧値Pndは二点鎖線にて示されるように燃料タンク31内の燃料の圧力よりも一定の値だけ高い圧力に設定される。
【0191】
従って、調圧設定値は、上記第4の電磁弁開閉処理(図26)を通じて図28に示すような態様をもって設定されることになる。
同図28に示されるように、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pct未満のときは第2の調圧値Pndが有効とされるため、デリバリパイプ35内の燃料の圧力はタンク燃圧Ptを基準として、第1の調圧値Pstが有効とされているときのほぼ2倍に相当する圧力に維持されるようになる。ちなみに、上記第4の電磁弁開閉処理(図26)が行われない場合には、一点鎖線にて示すように調圧設定値として第1の調圧値Pstが有効とされるとともに、デリバリパイプ35内の燃料の圧力は同第1の調圧値Pstに応じた圧力に維持されることになる。
【0192】
一方、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pct以上のときは第1の調圧値Pstが有効とされるため、デリバリパイプ35内の燃料の圧力はこの第1の調圧値Pstに応じた圧力に維持されるようになる。
【0193】
ところで、吸気通路23の圧力が変動する領域の大きさはデリバリパイプ35内の燃料の圧力(パイプ燃圧Pp)が変動する領域の大きさに対して十分に小さい傾向にある。このため、圧力差DfPが内燃機関1の運転性の悪化をまねくおそれがある圧力差(所定の圧力差DfPct)未満であることを、簡易的にデリバリパイプ35内の燃料の圧力のみに基づいて判定することもできる。また、デリバリパイプ35内の燃料の圧力は、基本的にはプレッシャレギュレータの調圧設定値に応じた圧力に維持されており、この調圧設定値は上述のように燃料タンク31内の燃料の圧力に応じて決定されるため、パイプ燃圧Ppの相当値としてタンク燃圧Ptを採用することも可能となる。なお、上記デリバリパイプ35内の燃料の圧力が変動する領域とは、以下のように説明される。即ち、例えばデリバリパイプ35内の燃料の圧力が第1の調圧値Pstのみに応じた圧力に維持される場合、そのときの最大圧力(図28:圧力Pmax)と最小圧力(図28:圧力Pmin)との差が上記圧力が変動する領域となる。
【0194】
こうしたことから、上記態様をもって調圧設定値の変更を行うことによっても、前記第5の実施の形態の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
次に、図29を参照して、第4の電磁弁開閉処理(図26)による調圧設定値の変更態様の一例を説明する。
【0195】
例えば、時刻t291においてタンク燃圧Ptが所定の圧力Pct未満である旨検出されたとすると、ECU4により電磁弁38が閉弁されて、セカンダリプレッシャレギュレータ37が有効とされる(図29(a),(b),(d))。これにより、調圧設定値として第2の調圧値Pndが有効とされるとともに、デリバリパイプ35内の燃料の圧力が同第2の調圧値Pndに応じた圧力に維持されるようになる(図29(c))。そして、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pct以上となったことが時刻t292において検出されたとすると、ECU4により電磁弁38が閉弁されて、セカンダリプレッシャレギュレータ37が無効とされる(図29(a),(b),(d))。これにより、調圧設定値として第1の調圧値Pstが有効とされるとともに、デリバリパイプ35内の燃料の圧力が同第1の調圧値Pstに応じた圧力に維持されるようになる(図29(c))。そして、時刻t292以降も上記処理態様に準じた処理が継続される。
【0196】
以上詳述したように、この第6の実施の形態にかかる内燃機関の燃料供給装置によれば、先の第1の実施の形態による前記(1)〜(3)の効果に準じた効果に加えて、さらに以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0197】
(4)本実施の形態では、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pct未満となるとき、セカンダリプレッシャレギュレータ37とともに第2の調圧値Pndを有効とするようにしている。これにより、デリバリパイプ35内の燃料の圧力と吸気通路23の圧力との圧力差DfPが大きくされるため、燃料噴射弁INJの燃料噴射量のばらつきを抑制して内燃機関1の運転性の悪化を好適に回避することができるようになる。
【0198】
(5)本実施の形態では、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pct未満となるとき、第2の調圧値Pndを有効とし、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pct以上となるときは第1の調圧値Pstを有効とするようにしている。これにより、第1の調圧値Pstが有効とされているときよりも燃料ポンプ32の負荷が増大する第2の調圧値Pndは、燃料噴射弁INJの燃料噴射量のばらつきが懸念されるときにのみ有効とされることになるため、燃料ポンプ32の寿命の低下や燃費の悪化等を好適に抑制することができるようになる。
【0199】
(6)本実施の形態では、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pct未満となるとき、第2の調圧値Pndを有効とするようにしている。ちなみに、例えば調圧設定値として第1の調圧値Pstのみが有効とされる場合には、図28に示されるデリバリパイプ35内の燃料の圧力(パイプ燃圧Pp)の変動領域(圧力Pmaxから圧力Pmin)に対応して適切な燃料噴射を行うことができる燃料噴射弁INJを備える必要が生じる。これに対して、本実施の形態では、上記態様をもって第2の調圧値Pndを有効とするようにしているため、パイプ燃圧Ppの変動領域が上記第1の調圧値Pstのみが有効とされる場合よりも小さくされる(圧力Pmaxから圧力Pct)。即ち、燃料タンク31内の燃料の圧力(タンク燃圧Pt)の変動に対してパイプ燃圧Ppの変動が小さくされるため、燃料噴射弁INJに要求されるダイナミックレンジが小さくされるようになる。このように、燃料噴射弁INJとしてより低い性能を有するものを採用することが可能となるため、燃料供給装置をより容易に実現することができるようになる。
【0200】
(7)本実施の形態では、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pct未満となるとき、第2の調圧値Pndを有効とするようにしている。ちなみに、燃料タンク内の燃料の圧力に応じて調圧設定値が設定されるプレッシャレギュレータが採用されている場合にあっては、次のようなことが懸念される。即ち、例えばタンク燃圧Ptが過度に低いことに起因して、調圧設定値とともにデリバリパイプ35内の燃料の圧力が吸気通路23の圧力よりも低くなるとき、燃料噴射弁INJによる燃料噴射を行うことができなくなることが考えられる。この点、本実施の形態では、上記態様をもって第2の調圧値Pndが有効とされてデリバリパイプ35内の燃料の圧力が高められるため、上記懸念を好適に回避することができるようになる。
【0201】
なお、上記第6の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第6の実施の形態では、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pct未満となるとき、第2の調圧値Pndを有効にし、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pct以上となるとき、第1の調圧値Pstを有効にする構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、タンク燃圧Ptが所定の圧力Pctよりも大きく設定される第2の所定の圧力となることに基づいて、調圧設定値を第2の調圧値Pndから第1の調圧値Pstへ変更する構成とすることもできる。
【0202】
・上記第6の実施の形態では、予め設定されている所定の圧力Pctに基づいて調圧設定値の変更を行う構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、上記所定の圧力Pctを内燃機関1の運転パラメータに基づいて補正しつつ調圧設定値の変更を行うこともできる。
【0203】
・上記第6の実施の形態では、機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)にあわせて第4の電磁弁開閉処理(図26)を行う構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)の処理を行わない構成とすることもできる。
【0204】
・上記第6の実施の形態では、機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)にあわせて第4の電磁弁開閉処理(図26)を行う構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、内燃機関1の運転中、さらに機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)を行う構成とすることもできる。なお、こうした構成を採用した場合、機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)のステップS203の判定結果及び第4の電磁弁開閉処理(図26)のステップS602の判定結果から得られる以下の判定結果、即ち、
〔a〕飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst未満、且つタンク燃圧Ptが所定の圧力Pct未満。
〔b〕飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst未満、且つタンク燃圧Ptが所定の圧力Pct以上。
〔c〕飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst以上、且つタンク燃圧Ptが所定の圧力Pct未満。
〔d〕飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst以上、且つタンク燃圧Ptが所定の圧力Pct以上。
といった各判定結果に対してそれぞれ電磁弁38の開閉操作を設定した所定のマップに基づいて同電磁弁38の開閉操作を行うものとする。また、内燃機関1の運転中、同内燃機関1の運転パラメータ等に基づいて上記マップの内容を変更することもできる。
【0205】
・また、上記変更例において、機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)を行わない構成とすることも可能である。
(その他の実施の形態)
その他、上記各実施の形態に共通に変更可能な要素としては、次のようなものがある。
【0206】
・上記第2の実施の形態に、上記第3の実施の形態にて例示した変更処理(図13)を適用する構成としてもよい。こうした構成を採用した場合にも、内燃機関1の停止後における燃料ポンプ32の駆動が的確に行われ、燃料ポンプ32に余分な負荷がかかるといった事態が好適に回避されるようになる。
【0207】
・上記第2の実施の形態に上記第4〜第6の実施の形態を適用することも可能である。
・上記第3の実施の形態に上記第4〜第6の実施の形態を適用することも可能である。
【0208】
・上記第4の実施の形態に上記第5あるいは第6の実施の形態を適用することも可能である。即ち、上記第4の実施の形態において、内燃機関1の運転中、さらに第3の電磁弁開閉処理(図23)あるいは第4の電磁弁開閉処理(図26)のいずれかを行う構成とすることもできる。なお、こうした構成を採用する場合、以下の各処理、即ち
〔a〕機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)
〔b〕第2の電磁弁開閉処理(図15)
〔c〕第3あるいは第4の電磁弁開閉処理(図23または図26)
といった各処理を通じて得られる電磁弁38の開閉操作にかかる判定結果の各組み合わせに対してそれぞれ電磁弁38の開閉操作を設定した所定のマップに基づいて同電磁弁38の開閉操作を行うものとする。
【0209】
・また、上記変更例において、機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)及び機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)の少なくとも一方を行わない構成とすることも可能である。
【0210】
・上記第5の実施の形態では、圧力差DfPが所定の圧力差DfPct未満である、上記第6の実施の形態ではタンク燃圧Ptが所定の圧力Pct未満であるといった条件に基づいて電磁弁38の閉弁操作を行う構成としたが、同条件を例えば次のように変更することも可能である。即ち、
〔a〕デリバリパイプ35内の燃料の圧力(パイプ燃圧Pp)が所定の圧力未満である。
〔b〕燃料タンク31内の燃料の温度(タンク燃温Tt)が所定の温度未満である。
〔c〕外気の温度が所定の温度未満である。
〔d〕吸入空気の温度が所定の温度未満である。
といった条件が満たされるときに、電磁弁38の閉弁操作を行う構成とすることもできる。
【0211】
・上記第1及び第3〜第6の実施の形態における可変調圧機構、即ち還流経路R2に設けられる各プレッシャレギュレータ36,37と電磁弁38が設けられている補助還流経路R3とから構成される可変調圧機構を、例えば次のように変更することも可能である。即ち、還流経路R2に設けられるとともに、背圧室に燃料タンク31内の燃料の圧力と同圧力よりも高い圧力とのいずれかを選択的に導入することができるプレッシャレギュレータを可変調圧機構として採用することもできる。
【0212】
・上記第2の実施の形態における可変調圧機構、即ちプライマリプレッシャレギュレータ36、その上流に設けられる電磁弁38及び高圧還流経路R4に設けられるハイプレッシャレギュレータHPから構成される可変調圧機構についても、上記変更例と同様に変更することができる。
【0213】
・上記各実施の形態では、第1の調圧値Pstとして一般に用いられる調圧設定値を採用する構成としたが、この調圧設定値をさらに低い値に変更することもできる。ちなみに、上記各実施の形態は、デリバリパイプ35の圧力が第1の調圧値Pstに維持されている場合であっても、飽和蒸気圧力PVPが同第1の調圧値Pst以上となった旨判断された場合には、デリバリパイプ35の圧力が第2の調圧値Pndに維持される構成となっている。即ち、内燃機関1の運転中において、燃料の気化抑制の効果をより高める必要がある場合には、デリバリパイプ35の圧力が通常よりも高い値に維持され、それ以外の場合には、燃料ポンプ32へ過度に負荷がかかることないようデリバリパイプ35の圧力が通常の値に維持される。従って、第1の調圧値Pstをさらに低い値として設定した場合には、この設定された第1の調圧値Pstに対応する燃料の飽和蒸気温度も低くなるものの、上述のように適宜、デリバリパイプ35の圧力が第2の調圧値Pndに維持されるため、燃料の気化が好適に抑制されるようになる。そして、このように第1の調圧値Pstをさらに低い値として設定することにより、内燃機関1の運転中において、デリバリパイプ35の圧力がより低い値に維持されるようになる。これにより、燃料ポンプ32の負荷を軽減することができるようになり、ひいては燃料の気化抑制と燃料ポンプ32の負荷軽減との好適な両立が図られるようにもなる。
【0214】
・また、上記第1の調圧値Pstを一般に用いられる調圧設定値よりもさらに低い値に変更する際には、燃料噴射弁INJからの燃料の噴射供給において必要とされる燃料の噴射圧力が得られる範囲内であれば、可能な限り低い値に設定することもできる。
【0215】
・上記各実施の形態では、第2の調圧値Pnd(第3の調圧値Prd)として、タンク燃圧Ptを基準として第1の調圧値Pstの2倍に相当する調圧設定値を採用する構成としたが、この第2の調圧値Pnd(第3の調圧値Prd)は上記各実施の形態にて設定される値に限られるものではない。要するに、内燃機関1の停止中において、デリバリパイプ35が受熱してその温度が上昇した場合に、そうした温度上昇において予測される平均的な上昇後の温度あるいは最も高い上昇後の温度に対して、デリバリパイプ35に圧送される燃料の飽和蒸気温度がそれら各温度のいずれかを上回るように同燃料の圧力を維持することができる値あれば、採用する調圧設定値は適宜変更可能である。
【0216】
・上記各実施の形態では、機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)において、飽和蒸気圧力PVPを算出し、この飽和蒸気圧力PVPが第1の調圧値Pst未満であるか否かを判断し、この判断結果に基づいて電磁弁38の開閉操作を行う構成としたが(図6:ステップS202〜S205)、例えば次のように変更することもできる。即ち、前記ステップS202による処理に代えて、第1の飽和温度Tstを算出する処理とし、前記ステップS203による判断に代えて、デリバリパイプ35の温度(パイプ燃温Tp)が第1の飽和温度Tst未満であるか否かを判断する処理とし、これら変更された処理を通じて、
[a1]デリバリパイプ35の温度が第1の飽和温度Tst未満である旨判断された場合には、電磁弁38を開弁する。
[a2]デリバリパイプ35の温度が第1の飽和温度Tst未満でない旨判断された場合には、電磁弁38を閉弁する。
といった態様をもって電磁弁38の開閉操作を行う構成としてもよい。
【0217】
・上記各実施の形態においては、機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)を通じて内燃機関1の停止後も燃料ポンプ32の駆動を継続する構成としたが(図7:ステップS303及びS304)、この機関停止後における燃料ポンプ32の駆動処理を行わない構成とすることもできる。こうした構成を採用した場合には、内燃機関1の停止後における燃料ポンプ32の駆動に関する制御を行う必要がなくなるため、制御性が良好となる。
【0218】
・上記各実施の形態においては、機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)を通じて、内燃機関1の運転中における電磁弁38の開閉処理を行う構成としたが、例えば、この処理に代えて、以下に示す処理を行うようにしてもよい。
【0219】
即ち、内燃機関1の始動後から予め設定されている所定時間が経過するまでは、デリバリパイプ35の圧力を第2の調圧値Pnd(第3の調圧値Prd)に維持し、同所定時間が経過した後に、第1の調圧値Pstを有効とする構成としてもよい。こうした構成を採用した場合には、内燃機関1の始動後における第2の調圧値Pndから第1の調圧値Pstへの切り替えに際して、デリバリパイプ35の温度をモニタする等の制御が不要となり、各センサ51〜54を備える必要がなくなる。これにより、装置の簡略化が図られるとともに、装置のコスト上昇が抑制されるようにもなる。また、こうした構成の採用により次のような効果が得られるようにもなる。即ち、一般に内燃機関1の始動時にあっては、燃料噴射量を増量するいわゆる始動時増量補正が行われるため、こうした補正により燃料噴射弁に対してはより多くの燃料を噴射することが要求されることになる。しかし、従来の燃料供給装置にあっては、燃料噴射弁の開弁時間の調整することでしか燃料噴射量を増量することができないため、十分な増量補正を行うことが困難となることも考えられる。この点、上記構成にあっては、内燃機関1の始動時、デリバリパイプ35内の燃料の圧力がより高い圧力に維持されるため、燃料噴射弁INJを通じてより多くの燃料を噴射供給することが可能となり上記懸念を好適に解消することができるようになる。
【0220】
・また、内燃機関1の始動後から予め設定されている所定時間が経過するまでは、デリバリパイプ35の圧力を第2の調圧値Pnd(第3の調圧値Prd)に維持し、同所定時間の経過にともない第1の調圧値Pstを有効とした後は、機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)を行う構成とすることもできる。
【0221】
・上記各実施の形態においては、機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)を通じて、内燃機関1の運転中における電磁弁38の開閉処理を行う構成としたが、例えば次のように変更してもよい。即ち、内燃機関1の始動後、最初に第1の調圧値Pstが有効とされた以降の機関運転中においては、上記機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)を行わず、デリバリパイプ35の圧力を第1の調圧値Pstに維持する構成としてもよい。こうした構成を採用した場合には、内燃機関1の運転中において電磁弁38の開閉操作、及びそれにともなう各処理が省略されるため、制御が簡略化されるようになる。
【0222】
・また、上述のように機関運転中の電磁弁開閉処理(図6)を省略する構成を採用した場合には、機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)を以下のように変更した構成とすることもできる。以下、機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)の変更例について、図14を参照して説明する。なお本処理は、前記第1の実施の形態にて行われる機関停止時の電磁弁開閉処理(図7)の前記ステップS303が、以下に示すような処理に変更されたものとなっている。
【0223】
まず、前記ステップS301(図7)にてイグニッション信号IGがオンからオフにされた旨判断された場合に、前記ステップS302(図7)にて電磁弁38を閉弁し、ステップS303(図14)へ移る。次にステップS303cでは、内燃機関1の停止直前におけるデリバリパイプ35の温度(パイプ燃温Tp)と第1の飽和温度Tstとの差に基づいて燃料ポンプ32の駆動継続時間TdrvBを算出し、ステップS303dへ移る。なお、この駆動継続時間TdrvBは、デリバリパイプ35の温度が第1の飽和温度Tst以上であるときに、両者の差が大きくなるほどその値も大きくなるといった傾向を示すものである。そしてステップS303dでは、内燃機関1の停止直後からの経過時間が駆動継続時間TdrvB未満であるか否かが判断される。経過時間が駆動継続時間TdrvB未満である旨判断された場合は、前記ステップS304(図7)へ移って、燃料ポンプ32の駆動を継続し、一方、経過時間が駆動継続時間TdrvB未満でない旨判断された場合は、機関停止時の電磁弁開閉処理を終了する。
【0224】
ここで、内燃機関1の運転中における電磁弁38の開閉処理が省略されている場合には、例えば図4に示されるように、燃料が点B1の状態にあったとしてもデリバリパイプ35の圧力は第1の調圧値Pstに維持されたままであるため、燃料は気化するようになる。また、この点B1における温度Tpbと第1の飽和温度Tstとの差が大きくなるほどベーパの発生量も多くなる。そして、内燃機関1の停止直前に、燃料が上述のような気化した状態にあると、同内燃機関1の停止後にデリバリパイプ35の圧力を第2の調圧値Pndまで昇圧するために必要とされる時間が気化の度合いに応じて異なったものとなる。そこで、上記にて例示した構成のように、内燃機関1の停止直前におけるデリバリパイプ35の温度と第1の飽和温度Tstとの差に基づいて駆動継続時間TdrvBを算出することにより、燃料ポンプ32の駆動の継続を的確に行うことができるようになる。
【0225】
・上記各実施の形態では、各センサ51〜54の検出データに基づいて、デリバリパイプ35内の燃料が液相であるか気相であるかを判定したが、例えばより簡易的に、パイプ燃温センサ53、パイプ燃圧センサ54による検出データのみに基づいて上記デリバリパイプ35内の燃料の相状態を判定することもできる。要するに、デリバリパイプ35における燃料の相状態を判定することができる方法であれば、その判定方法は適宜変更可能である。
【0226】
・上記各実施の形態では、エアフローメータ(図示略)の検出値等を通じて吸気通路23の圧力を推定する構成としたが、例えば吸気通路23の圧力をモニタするための吸気圧センサを通じて同圧力を検出する構成とすることもできる。
【0227】
・上記各実施の形態の燃料供給装置3の構成を、以下に例示する(イ)の燃料供給装置に変更することもできる。なお、以下の変更例の説明に際して、上記各実施の形態と同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0228】
(イ)変更可能な燃料供給装置の一例を、先の第1の実施の形態にかかる燃料供給装置との対比のもとに図1及び図30を参照して説明する。前記第1の実施の形態においては、還流経路R2の上流部がデリバリパイプ35の下流部と接続される構成であるのに対し(図1)、図30に示す燃料供給装置においては、還流経路R2の上流部がデリバリパイプ35の上流の燃料経路(供給経路R1)に接続される構成となっている。こうした構成によれば、燃料ポンプ32により圧送された燃料がデリバリパイプ35(燃料噴射機構34)の上流から燃料タンク31に還流されるようになる。これにより、燃焼室20等からの熱を受けやすいデリバリパイプ35に供給される燃料量が減量され、燃料タンク31の温度上昇を抑制することができるようになる。
【0229】
・また、上記(イ)の燃料供給装置においては、還流経路R2のセカンダリプレッシャレギュレータ37の上流と下流とが、その経路途中に電磁弁38が設けられている補助還流経路R3により連通されている構成としたが、例えば、次のように変更することもできる。即ち、還流経路R2のプライマリプレッシャレギュレータ36の上流と下流とが、その経路途中に電磁弁38が設けられている補助還流経路R3により連通されている構成とすることもできる。
【0230】
・上記各実施の形態の燃料供給装置3の構成を、以下に例示する(ロ)の燃料供給装置に変更することもできる。なお、以下の変更例の説明に際して、上記各実施の形態と同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0231】
(ロ)変更可能な燃料供給装置の一例を、先の第2の実施の形態にかかる燃料供給装置との対比のもとに図10(図11)及び図31を参照して説明する。前記第2の実施の形態においては、還流経路R2の上流端がデリバリパイプ35の下流部と接続される構成であるのに対し(図10)、図31に示す燃料供給装置においては、還流経路R2の上流端がデリバリパイプ35の上流の燃料経路(供給経路R1)に接続される構成となっている。こうした構成によっても、燃料タンク31の温度上昇を抑制することができるようになる。
【0232】
・また、上記(ロ)の燃料供給装置においては、還流経路R2のプライマリプレッシャレギュレータ36より上流に電磁弁38が設けられている構成としたが、例えば次のように変更することもできる。即ち、還流経路R2のプライマリプレッシャレギュレータ36より下流に電磁弁38が設けられている構成とすることもできる。
【0233】
・また、上記(ロ)の燃料供給装置においては、還流経路R2及び高圧還流経路R4の下流部がそれぞれ燃料タンク31の気相部に接続されている構成としたが、例えば次のように変更することもできる。即ち、還流経路R2のプライマリプレッシャレギュレータ36及び電磁弁38から構成される直列部の上流と下流とが高圧還流経路R4により接続されている構成とすることもできる。
【0234】
・上記各実施の形態の燃料供給装置3の構成を、以下に例示する(ハ)の燃料供給装置に変更することもできる。なお、以下の変更例の説明に際して、上記各実施の形態と同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0235】
(ハ)変更可能な燃料供給装置の一例を、先の第1の実施の形態にかかる燃料供給装置との対比のもとに図1及び図32を参照して説明する。同図32に示す燃料供給装置は、図1に示される燃料供給装置において、
[b1]還流経路R2からプライマリプレッシャレギュレータ36、セカンダリプレッシャレギュレータ37及び補助還流経路R3を除外し、新たにハイプレッシャレギュレータHPを設ける。
[b2]経路途中にプライマリプレッシャレギュレータ36及び電磁弁38(これらのうちいずれが上流側に配置されてもよい)が設けられている第2の還流経路R2aにより、デリバリパイプ35の上流と燃料タンク31の気相部と接続する。
といった変更が加えられた構成となっている。こうした構成によれば、電磁弁38の開閉操作を通じて、
[c1]電磁弁38を閉弁した場合には、還流経路R2及びハイプレッシャレギュレータHPの調圧機能が能動とされ、デリバリパイプ35の圧力が第3の調圧値Prdに維持されるとともに、燃料の循環により同デリバリパイプ35の冷却等が行われるようになる。
[c2]電磁弁38を開弁した場合には、第2の還流経路R2a及びプライマリプレッシャレギュレータ36の調圧機能が能動とされ、デリバリパイプ35の圧力が第1の調圧値Pstに維持されるとともに、燃料タンク31の温度上昇が抑制されるようになる。
といった効果が奏されるようになる。そして、これら各燃料経路のいずれかを選択的に能動とすることで、燃料の液相状態をより好適に確保することができるようにもなる。
【0236】
・上記各実施の形態では、同各実施の形態にてそれぞれ例示した燃料供給装置に本発明を適用する構成としたが、本発明の適用の対象とされる燃料供給装置は、上記各実施の形態及び(イ)〜(ハ)にて例示した燃料供給装置に限られるものではない。要するに、燃料ポンプにより燃料噴射機構(デリバリパイプ内)に圧送された燃料の圧力を、少なくとも2段階の調圧設定値を有する調圧機構により適宜の圧力に維持することができる燃料供給装置であればいずれの構成であっても本発明の適用は可能である。
【0237】
・上記第1〜第3及び第4の実施の形態では、液化石油ガス(LPG)を燃料とする内燃機関1を想定したが、本発明の適用は液化石油ガスを燃料とする内燃機関に限られるものではなく、例えば、ガソリン等を燃料とする内燃機関にも適用することができる。また、内燃機関としての構成も上記各実施の形態にて例示した構成に限られず、任意の構成を採用することができる。要するに、吸入空気と燃料との混合気を爆発、燃焼させて動力を得る内燃機関であれば本発明の適用は可能であり、そうした場合にも、上記各実施の形態に準じた効果を奏することができる。
【0238】
・上記第5及び第6の実施の形態では、液化石油ガス(LPG)を燃料とする内燃機関1を想定したが、本発明は次のような内燃機関の燃料供給装置であればいずれの燃料供給装置であっても適用可能である。即ち、例えば液化天然ガス(LNG)、液体水素及びジメチルエーテル等といった液化ガスを燃料とする内燃機関の燃料供給装置であれば本発明を適用することが可能であり、そうした燃料供給装置に本発明を適用した場合にあっても上記第5及び第6の実施の形態の作用効果に準じた作用効果が奏せられるようになる。
【0239】
以上の事項も含めて、最後に、この発明にかかる内燃機関の燃料供給装置は次のような技術思想を含むものであることを付記しておく。
(1)内燃機関に対して燃料を噴射供給する燃料噴射機構と、燃料タンク内に飽和状態で貯留されている液相燃料を前記燃料噴射機構に圧送供給する燃料ポンプと、同燃料ポンプにより圧送された燃料を前記燃料タンクに還流するための還流経路と、同還流経路に設けられて前記燃料噴射機構内の燃料の圧力を可変である調圧設定値に応じた圧力に維持する可変調圧機構とを備える内燃機関の燃料供給装置において、前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量以上となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する調圧設定値低減手段を備えることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
【0240】
(2)内燃機関に対して燃料を噴射供給する燃料噴射機構と、燃料タンク内に飽和状態で貯留されている液相燃料を前記燃料噴射機構に圧送供給する燃料ポンプと、同燃料ポンプにより圧送された燃料を前記燃料タンクに還流するための還流経路と、同還流経路に設けられて前記燃料噴射機構内の燃料の圧力を可変である調圧設定値に応じた圧力に維持する可変調圧機構とを備える内燃機関の燃料供給装置において、前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量以上となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更し、前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量よりも小さく設定される所定の燃料吐出量未満となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する処理を停止する調圧設定値低減手段を備えることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
【0241】
(3)内燃機関に対して燃料を噴射供給する燃料噴射機構と、燃料タンク内に飽和状態で貯留されている液相燃料を前記燃料噴射機構に圧送供給する燃料ポンプと、同燃料ポンプにより圧送された燃料を前記燃料タンクに還流するための還流経路と、同還流経路に設けられて前記燃料噴射機構内の燃料の圧力を可変である調圧設定値に応じた圧力に維持する可変調圧機構とを備える内燃機関の燃料供給装置において、前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量よりも小さく設定される所定の燃料吐出量以上となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する調圧設定値低減手段を備えることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
【0242】
(4)内燃機関に対して燃料を噴射供給する燃料噴射機構と、燃料タンク内に飽和状態で貯留されている液相燃料を前記燃料噴射機構に圧送供給する燃料ポンプと、同燃料ポンプにより圧送された燃料を前記燃料タンクに還流するための還流経路と、同還流経路に設けられて前記燃料噴射機構内の燃料の圧力を可変である調圧設定値に応じた圧力に維持する可変調圧機構とを備える内燃機関の燃料供給装置において、前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量よりも小さく設定される所定の燃料吐出量以上となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更し、前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記所定の燃料吐出量よりも小さく設定される燃料吐出量未満となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する処理を停止する調圧設定値低減手段を備えることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
【0243】
(5)前記可変調圧機構は、前記還流経路に設けられる複数の調圧機構と、前記還流経路内の燃料を該複数の調圧機構のうちの少なくとも1つを介することなく前記燃料タンクへ還流するための迂回還流経路と、同迂回還流経路を選択的に開閉する切替手段とを備えて構成され、前記調圧設定値低減手段は、該切替手段を通じて前記迂回経路を能動とすることで前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する前記(1)〜(4)のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置。
【0244】
(6)前記可変調圧機構は、前記還流経路に設けられて前記燃料噴射機構内の燃料の圧力を第1の調圧設定値に維持する第1の調圧機構と、前記還流経路から分岐して該還流経路内の燃料を前記第1の調圧機構を介することなく前記燃料タンクに還流するための副還流経路と、同副還流経路に設けられて前記燃料噴射機構内の燃料の圧力を前記第1の調圧機構による前記第1の調圧設定値よりも低い第2の調圧設定値に維持する第2の調圧機構と、前記副還流経路に設けられて同副還流経路を選択的に開閉する制御弁とを備えて構成され、前記調圧設定値低減手段は、該制御弁を開弁することで前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する前記(1)〜(4)のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置。
【0245】
(7)前記可変調圧機構は、該可変調圧機構の背圧室に前記燃料タンク内の燃料の圧力と同圧力よりも高い圧力とのいずれかを選択的に導入する背圧変更手段を備えて構成され、前記調圧設定値低減手段は、該背圧変更手段を通じて前記調圧機構の背圧室に前記燃料タンク内の燃料の圧力を導入することで前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する前記(1)〜(4)のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置。
【0246】
(8)液化ガス燃料を燃料とする液化ガス内燃機関に対して燃料を噴射供給する燃料噴射機構と、燃料タンク内に飽和状態で貯留されている液相燃料を前記燃料噴射機構に圧送供給する燃料ポンプと、同燃料ポンプにより圧送された燃料を前記燃料タンクに還流するための還流経路と、同還流経路に設けられて前記燃料噴射機構内の燃料の圧力を可変である調圧設定値に応じた圧力に維持する可変調圧機構とを備える液化ガス内燃機関の燃料供給装置において、前記燃料噴射機構内の燃料の圧力と前記内燃機関の吸気通路の圧力とを監視し、それら圧力差が所定の圧力差未満となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより高い調圧設定値に変更する調圧設定値増大手段を備えることを特徴とする液化ガス内燃機関の燃料供給装置。
【0247】
(9)前記可変調圧機構は、前記還流経路に設けられる複数の調圧機構と、前記還流経路内の燃料を該複数の調圧機構のうちの少なくとも1つを介することなく前記燃料タンクへ還流するための迂回還流経路と、同迂回還流経路を選択的に開閉する切替手段とを備えて構成され、前記調圧設定値増大手段は、該切替手段を通じて前記迂回経路を非能動とすることで前記可変調圧機構の調圧設定値をより高い調圧設定値に変更する前記(8)記載の液化ガス内燃機関の燃料供給装置。
【0248】
(10)前記可変調圧機構は、前記還流経路に設けられて前記燃料噴射機構内の燃料の圧力を第1の調圧設定値に維持する第1の調圧機構と、前記還流経路から分岐して該還流経路内の燃料を前記第1の調圧機構を介することなく前記燃料タンクに還流するための副還流経路と、同副還流経路に設けられて前記燃料噴射機構内の燃料の圧力を前記第1の調圧機構による前記第1の調圧設定値よりも低い第2の調圧設定値に維持する第2の調圧機構と、前記副還流経路に設けられて同副還流経路を選択的に開閉する制御弁とを備えて構成され、前記調圧設定値増大手段は、該制御弁を開弁することで前記可変調圧機構の調圧設定値をより高い調圧設定値に変更する前記(8)記載の液化ガス内燃機関の燃料供給装置。
【0249】
(11)前記可変調圧機構は、該可変調圧機構の背圧室に前記燃料タンク内の燃料の圧力と同圧力よりも高い圧力とのいずれかを選択的に導入する背圧変更手段を備えて構成され、前記調圧設定値増大手段は、該背圧変更手段を通じて前記調圧機構の背圧室に前記燃料タンク内の燃料の圧力を導入することで前記可変調圧機構の調圧設定値をより高い調圧設定値に変更する前記(8)記載の液化ガス内燃機関の燃料供給装置。
【0250】
(12)前記調圧設定値増大手段は、前記燃料タンク内の燃料の圧力が所定の圧力未満となることに基づいて、前記圧力差が所定の圧力差未満である旨判定する前記(8)〜(11)のいずれかに記載の液化ガス内燃機関の燃料供給装置。
【0251】
(13)前記調圧設定値増大手段は、前記燃料噴射機構内の燃料の圧力が所定の圧力未満となることに基づいて、前記圧力差が所定の圧力差未満である旨判定する前記(8)〜(11)のいずれかに記載の液化ガス内燃機関の燃料供給装置。
【0252】
(14)前記調圧設定値増大手段は、前記燃料タンク内の燃料の温度が所定の温度未満となることに基づいて、前記圧力差が所定の圧力差未満である旨判定する前記(8)〜(11)のいずれかに記載の液化ガス内燃機関の燃料供給装置。
【0253】
(15)前記調圧設定値増大手段は、外気の温度が所定の温度未満となることに基づいて、前記圧力差が所定の圧力差未満である旨判定する前記(8)〜(11)のいずれかに記載の液化ガス内燃機関の燃料供給装置。
【0254】
(16)前記調圧設定値増大手段は、前記内燃機関の吸入空気の温度が所定の温度未満となることに基づいて、前記圧力差が所定の圧力差未満である旨判定する前記(8)〜(11)のいずれかに記載の液化ガス内燃機関の燃料供給装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる内燃機関の燃料供給装置の第1の実施の形態についてその全体構成を模式的に示す概略図。
【図2】同実施の形態にかかる燃料経路の一切替状態を模式的に示す図。
【図3】同実施の形態にかかる燃料経路の一切替状態を模式的に示す図。
【図4】飽和蒸気圧曲線の一例を示す図。
【図5】同実施の形態にかかる機関の始動処理を示すフローチャート。
【図6】同実施の形態にかかる機関運転中の電磁弁開閉処理を示すフローチャート。
【図7】同実施の形態にかかる機関停止時の電磁弁開閉処理を示すフローチャート。
【図8】飽和蒸気圧曲線の一例を示す図。
【図9】同実施の形態にかかる機関運転中及び停止中の態様を示すタイミングチャート。
【図10】本発明にかかる内燃機関の燃料供給装置の第2の実施の形態について燃料経路の一切替状態を模式的に示す図。
【図11】同実施の形態にかかる燃料経路の一切替状態を模式的に示す図。
【図12】同実施の形態にかかる機関運転中及び停止中の態様を示すタイミングチャート。
【図13】本発明にかかる内燃機関の燃料供給装置の第3の実施の形態について機関停止時の電磁弁開閉処理の一部を示すフローチャート。
【図14】機関停止時の電磁弁開閉処理の一部を示すフローチャート。
【図15】本発明にかかる内燃機関の燃料供給装置の第4の実施の形態について第2の電磁弁開閉処理を示すフローチャート。
【図16】同実施の形態にかかる第2の電磁弁開閉処理にて用いられる電磁弁の開閉態様を示すマップ。
【図17】調圧機構の調圧設定値と燃料ポンプの燃料吐出量との関係を示すグラフ。
【図18】同実施の形態にかかる燃料吐出量と判定流量との関係を示すグラフ。
【図19】同実施の形態にかかる第2の電磁弁開閉処理による制御態様を示すタイミングチャート。
【図20】同実施の形態にかかる第2の電磁弁開閉処理の一変更例を示すフローチャート。
【図21】同実施の形態にかかる第2の電磁弁開閉処理の一変更例を示すフローチャート。
【図22】同実施の形態にかかる第2の電磁弁開閉処理の一変更例を示すフローチャート。
【図23】本発明にかかる内燃機関の燃料供給装置の第5の実施の形態について第3の電磁弁開閉処理を示すフローチャート。
【図24】同実施の形態にかかる圧力差と調圧設定値との関係を示すグラフ。
【図25】同実施の形態にかかる第3の電磁弁開閉処理による制御態様を示すタイミングチャート。
【図26】本発明にかかる内燃機関の燃料供給装置の第6の実施の形態について第4の電磁弁開閉処理を示すフローチャート。
【図27】同実施の形態にかかる燃料タンク圧力とデリバリパイプ圧力との関係を示すグラフ。
【図28】同実施の形態にかかる燃料タンク圧力と調圧設定値との関係を示すグラフ。
【図29】同実施の形態にかかる第4の電磁弁開閉処理による制御態様を示すタイミングチャート。
【図30】その他、変更可能な燃料経路の一例を模式的に示す図。
【図31】その他、変更可能な燃料経路の一例を模式的に示す図。
【図32】その他、変更可能な燃料経路の一例を模式的に示す図。
【図33】従来のフューエルリターン式の燃料経路を模式的に示す図。
【符号の説明】
1…内燃機関、3…燃料供給装置、4…電子制御装置(ECU)、5…検出系、SW…イグニッションスイッチ、11…シリンダブロック、12…シリンダ、12a…ウォータージャケット、13…イグニッションプラグ、14…吸気弁、15…排気弁、16…シリンダヘッド、17…クランクシャフト、18…コネクティングロッド、19…ピストン、20…燃焼室、21…エアクリーナ、22…スロットルバルブ、23…吸気通路、24…排気通路、25…触媒装置、INJ…燃料噴射弁、31…燃料タンク、32…燃料ポンプ、33…フィルタ、34…燃料噴射機構、35…デリバリパイプ、36…プライマリプレッシャレギュレータ、37…セカンダリプレッシャレギュレータ、38…電磁弁、51…タンク燃温センサ、52…タンク燃圧センサ、53…パイプ燃温センサ、54…パイプ燃圧センサ、R1…供給経路、R2…還流経路、R3…補助還流経路、R4…高圧還流経路、HP…ハイプレッシャレギュレータ。
Claims (24)
- 燃料タンクに貯留された燃料を燃料ポンプにより燃料噴射機構に圧送し、この圧送された燃料の圧力を調圧設定値が可変である可変調圧機構により調圧しつつ、前記燃料噴射機構を介して内燃機関に対する燃料の噴射供給を行う内燃機関の燃料供給装置において、
前記内燃機関の停止直後、前記可変調圧機構による調圧設定値を同内燃機関の運転中における調圧設定値よりも高い値に設定維持するとともに、前記内燃機関の停止直前の前記燃料噴射機構における前記燃料の温度とこの燃料の飽和蒸気温度との差に基づいて前記燃料ポンプの駆動を継続させる所定の期間を決定し、前記内燃機関の停止から同所定の期間だけ前記燃料ポンプの駆動を継続させる制御手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 燃料タンクに貯留された燃料を燃料ポンプにより燃料噴射機構に圧送し、この圧送された燃料の圧力を調圧設定値が可変である可変調圧機構により調圧しつつ、前記燃料噴射機構を介して内燃機関に対する燃料の噴射供給を行う内燃機関の燃料供給装置において、
前記内燃機関の停止直後、及び始動後の所定期間、前記可変調圧機構による調圧設定値を同内燃機関の運転中における調圧設定値よりも高い値に設定維持するとともに、前記内燃機関の停止直前の前記燃料噴射機構における前記燃料の温度とこの燃料の飽和蒸気温度との差に基づいて前記燃料ポンプの駆動を継続させる所定の期間を決定し、前記内燃機関の停止から同所定の期間だけ前記燃料ポンプの駆動を継続させる制御手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1または2に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記制御手段は、少なくとも前記内燃機関の停止直後、前記可変調圧機構による調圧設定値をその最大値に設定維持する
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記制御手段は、前記内燃機関の停止後、前記燃料噴射機構における燃料の圧力が、前記可変調圧機構に対して設定した調圧設定値に達するまで、前記燃料ポンプの駆動を継続させる
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記制御手段は、前記内燃機関の停止直前の前記可変調圧機構による調圧設定値と前記内燃機関の停止直後に設定する前記可変調圧機構による調圧設定値との差に基づいて前記燃料ポンプの駆動を継続させる所定の期間を決定する
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記燃料を前記燃料噴射機構を介して前記燃料タンクに還流させる主還流経路を備え、前記可変調圧機構は前記主還流経路に備えられる
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項6に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記可変調圧機構は、前記主還流経路に設けられるプライマリプレッシャレギュレータと、前記主還流経路の前記プライマリプレッシャレギュレータより上流もしくは下流に設けられる電磁弁と、前記主還流経路の前記電磁弁の上流と下流とを前記電磁弁を迂回する態様で連通し経路途中にセカンダリプレッシャレギュレータが設けられる補助還流経路とを備えて構成される
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項6に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記可変調圧機構は、前記主還流経路に設けられるプライマリプレッシャレギュレータと、前記主還流経路の前記プライマリプレッシャレギュレータより上流もしくは下流に設けられる電磁弁と、前記主還流経路の前記電磁弁の上流と前記燃料タンクとを連通し経路 途中に前記プライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値よりも高い値を有するハイプレッシャレギュレータが設けられる補助還流経路とを備えて構成される
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項6に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記可変調圧機構は、前記主還流経路に設けられるプライマリプレッシャレギュレータと、前記主還流経路の前記プライマリプレッシャレギュレータより上流もしくは下流に設けられる電磁弁と、前記主還流経路の前記プライマリプレッシャレギュレータ及び前記電磁弁から構成される直列部の上流と下流とを連通し経路途中に前記プライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値よりも高い値を有するハイプレッシャレギュレータが設けられる補助還流経路とを備えて構成される
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項6に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記可変調圧機構は、前記主還流経路に設けられる少なくとも2段階の調圧設定値を有する可変プレッシャレギュレータである
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記燃料を前記燃料噴射機構の上流から前記燃料タンクに還流させる主迂回経路を備え、前記可変調圧機構は前記主迂回経路に備えられる
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項11に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記可変調圧機構は、前記主迂回経路に設けられるプライマリプレッシャレギュレータと、前記主迂回経路の前記プライマリプレッシャレギュレータより上流もしくは下流に設けられる電磁弁と、前記主迂回経路の前記電磁弁の上流と下流とを前記電磁弁を迂回する態様で連通し経路途中にセカンダリプレッシャレギュレータが設けられる補助迂回経路とを備えて構成される
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項11に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記可変調圧機構は、前記主迂回経路に設けられるプライマリプレッシャレギュレータと、前記主迂回経路の前記プライマリプレッシャレギュレータより上流もしくは下流に設けられる電磁弁と、前記主迂回経路の前記電磁弁の上流と前記燃料タンクとを連通し経路途中に前記プライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値よりも高い値を有するハイプレッシャレギュレータが設けられる補助迂回経路とを備えて構成される
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項11に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記可変調圧機構は、前記主迂回経路に設けられるプライマリプレッシャレギュレータと、前記主迂回経路の前記プライマリプレッシャレギュレータより上流もしくは下流に設けられる電磁弁と、前記主迂回経路の前記プライマリプレッシャレギュレータ及び前記電磁弁から構成される直列部の上流と下流とを連通し経路途中に前記プライマリプレッシャレギュレータによる調圧設定値よりも高い値を有するハイプレッシャレギュレータが設けられる補助迂回経路とを備えて構成される
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項11に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記可変調圧機構は、前記主迂回経路に設けられる少なくとも2段階の調圧設定値を有する可変プレッシャレギュレータである
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1〜15のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記制御手段は、前記内燃機関の運転中、前記燃料噴射機構における前記燃料の飽和蒸気圧力に応じて、同飽和蒸気圧力以上で且つ、同飽和蒸気圧力に最も近い調圧設定値となるように、前記可変調圧機構による調圧設定値を設定する
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1〜16のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量以上となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する調圧設定値低減手段をさらに備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1〜16のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量以上となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更し、前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量よりも小さく設定される所定の燃料吐出量未満となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する処理を停止する調圧設定値低減手段をさらに備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1〜16のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量よりも小さく設定される所定の燃料吐出量以上となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する調圧設定値低減手段をさらに備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1〜16のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記燃料ポンプの燃料吐出量よりも小さく設定される所定の燃料吐出量以上となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更し、前記内燃機関の運転に要求される燃料量が前記所定の燃料吐出量よりも小さく設定される燃料吐出量未満となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより低い調圧設定値に変更する処理を停止する調圧設定値低減手段をさらに備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項1〜20のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記内燃機関が液化ガス燃料を燃料とする液化ガス内燃機関である
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項21記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記燃料噴射機構内の燃料の圧力と前記内燃機関の吸気通路の圧力とを監視し、それら圧力差が所定の圧力差未満となるとき、前記可変調圧機構の調圧設定値をより高い調圧設定値に変更する調圧設定値増大手段をさらに備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項22に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記調圧設定値増大手段は、前記燃料噴射機構内の燃料の圧力が所定の圧力未満となることに基づいて、前記圧力差が所定の圧力差未満である旨判定する
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。 - 請求項22に記載の内燃機関の燃料供給装置において、
前記調圧設定値増大手段は、前記燃料タンク内の燃料の圧力が所定の圧力未満となることに基づいて、前記圧力差が所定の圧力差未満である旨判定する
ことを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
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