JP3981003B2 - ゴルフボールのリサイクル方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はゴルフボールのリサイクル法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフボールは、古くは糸巻き構造であったが、最近はナイロン、ウレタン、ポリエステルなどの樹脂やゴムなどの3ピース、4ピース構造のものが多用されている。
【0003】
ゴルフボールの組成は例えば、アイオノマー、熱可塑性エラストマー、酸化チタン、硫酸バリウムなどであり(特許文献1)、有機高分子や無機化合物からなるが、主成分はゴム、プラスチックなどの有機高分子である。
【0004】
プラスチックのリサイクルは一般に、材料リサイクル、熱リサイクル及び化学リサイクルに大別される(非特許文献1、第1006〜1009頁)。
【0005】
本出願人の関連会社は非特許文献1の第1117〜1118頁で概要が紹介された焼却炉を用いて、廃油及び再生重油を主燃料として廃プラスチック、汚泥などのリサイクルを行っている。その中で50〜60個の廃棄すべきゴルフボールを廃プラスチックと混合して焼却炉に投入したところ、投入直後の炉底部の温度が急上昇した。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−28258
【0007】
【特許文献2】
実用新案登録第3046166号公報
【0008】
【非特許文献1】
資源・素材学会誌「資源と素材」1997,Vo.113(No.12)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
廃棄すべきゴルフボールのリサイクルについて従来提案されたものはなかったので、本出願人はプラスチックの熱リサイクル技術を適用して廃プラスチックと混合してリサイクルを試行した。
【0010】
廃プラチック類は嵩密度が低いために、焼却炉の炉頂から投入しても炉内温度の上昇は比較的少ない。ところが、一般に外径が約40mm、比重が1強のゴルフボールを50〜60個一挙に投入すると温度が著しく上昇した。また、廃プラスチック類と混合されたゴルフボールは比重が大であるため、また寸法が小さく、転がり易いためにプラスチック類よりも炉底に落下し易く、このことが局部的温度上昇を一層促進することになる。この結果、炉底部の耐火物が損傷して、効率的リサイクルが不可能になった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の問題点に鑑み、廃プラスチックを縦型廃棄物焼却炉炉頂から投入するとともに、ゴルフボールを、廃プラスチック類とは別に、焼却炉下部の燃焼領域に逐次投入することを特徴とするゴルフボールのリサイクル法を提供するものである。
従来の廃プラスチック類とゴルフボールを混合投入する方法で起こる、局部的温度上昇を防止すべく、鋭意現場実験を行い、次の手段が有効であることを解明した。
(イ)ゴルフボールは、OA機器、家庭電器、自動車などから生じる廃プラスチックとは別に投入する。これらは大きさや比重が異なるから、混合すると降下速度が異なり燃焼状況が不安定になる。すなわち、装入材中のゴルフボールが一挙に下降し、残りの廃プラスチックがゆっくり下降し、この状況が何回も繰り返される結果、温度が脈動的に変動する。
(ロ)多量のゴルフボールを一挙に投入するのではなく、逐次投入することにより、急激な温度上昇を抑える。
(ハ)炉頂から投入するのではなく、焼却炉下部の燃焼領域に投入することにより、燃焼促進することができる。すなわち、燃焼領域はガスが占める体積が多いので、投入されるゴルフボールの移動を妨げるものは少ない。燃焼領域とは温度が最も高くなる領域であり、一般には1000〜1200℃の温度を有する。
以下、本発明の好ましい実施態様を説明する。
【0012】
ゴルフボールを、縦型廃棄物焼却炉の側壁を貫通し、かつゴルフボールの直径大の内径を有する管により投入すると、管を介してゴルフボールが1個づつ炉内に投入することができ、燃焼状況を安定させることができる。
本発明者らが炉況を目視及び光高温計で観察したところ、投入されたゴルフボールが未燃焼物の上に滞留してゴルフボールの直径の3倍程度の高温域が暫く発生していたので、ここにゴルフボールが集中的に投入されると、炉温度が著しく上昇することを見出した。よって、2個以上のゴルフボールを同時に投入するときは上記した領域を避けるように散開して投入することが好ましく、一方1個づつ投入する場合は上記領域内の実質的同一箇所に前後して継続的に投入してもよい。
【0013】
廃プラスチックの時間当たり投入重量はゴルフボールの1.5倍以上であることが好ましい。ゴルフボールの相対量が多くなると焼却炉の耐火物寿命が短くなる。
【0014】
ゴルフボールを炉側壁の1箇所以上から投入することが好ましい。大量処理が可能となるためである。ただゴルフボールが、炉内において分散するように配慮することが望ましい。局所が高温に成ることを避けるためである。
【0015】
前記燃焼領域を、廃油もしくは再生重油の1種又は2種を1個又は2個以上のバーナーにより炉内下部に噴射すると、これらの油の有効活用も同時に達成することができる。
【0016】
大量無人処理のためには、多数のゴルフボールを一旦ホッパーに入れ、その後前記管を経て1個以上づつ一定量投入することが好ましい。
この場合1個づつ投入するためには、ホッパーと管との間にゴルフボールを1個づつ管に送り出す送出手段を設けることが好ましい。この手段としてはボールミルにボールを送るために提案された特許文献2の装置を使用することができる。しかしながら、この装置は構造が複雑であり、しかも高温で粉塵が多い環境で使用するには難があるので、本発明者らは、ホッパーの下端に位置しかつ1個のゴルフボール大の開口を有すターンテーブルと、1個のゴルフボール大の開口を前記シュートの位置に有しかつターンテーブルの底部を塞ぐ底板とを有する装置を考案して、実機に使用した。また、送出手段が、底板を回転自在に貫通する回転軸により前記ターンテーブルを回転させる駆動手段を有し、ターンテーブルが1回転する間に1回2つの透孔が連通してゴルフボールを送り出す。
【0017】
2個以上を同時投入するためには、上記した装置を2基以上設置してもよい。この場合は管の出口方向を調整して散開した位置にゴルフボールが落下するようにする。
また、上記した装置を1基だけ設置し、ゴルフボール大の直径を有する管を2個以上ターンテーブルに開口させ、かつターンテーブルにも2個以上の透孔を形成し、ターンテーブルが所定角度の回転をした時これらの透孔と管が連通するようにする。
【0018】
ターンテーブルに上向きに設けた突起によりホッパー内のゴルフボールを攪拌することにより、ホッパーからターンテーブルへの移動を円滑にすることができる。
さらに、必要により、駆動手段を正転・逆転させるとホッパー内でゴルフボールが絶えず振動、揺動され、ターンテーブルへの移動が円滑になり目詰まりが防止される。駆動手段の逆転は過負荷のときのみに行うようにしてもよい。
【0019】
【作用】
本発明においては、大きさや比重が異なるゴルフボールと廃プラスチックは別々に投入して、装入材の降下を安定させる。多量のゴルフボールを一挙に投入するのではなく、逐次投入することにより、急激な温度上昇を抑えるとともに、一方では、ゴルフボールを焼却炉下部の燃焼領域に投入することにより、直ちに燃焼させる。このように、焼却炉内の材料の下降を安定させ、かつ燃焼を促進する手段と抑制する手段を併用する。
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。
【0020】
【実施例】
縦型焼却炉は高さが約10mであり、次の原単位で操業されている。
廃液(廃酸+廃アルカリ) 3300リットル/h
廃油 200リットル/h
廃プラスチック 100kg/h
汚泥 290/h
再生重油 330kg/h
ゴルフボール 60kg/h
【0021】
廃プラスチック類は炉頂より定量切出スクリューにより投入し、廃液・廃油はポンプにて送液し、空気・液体2流体噴霧ノズルより炉底から約4mの高さから下向きに45°の角度で噴射した。汚泥は汚泥ポンプにて炉頂に送り、空気にて炉内に噴霧した。再生重油はギヤ‐ポンプにて送油し、バーナーで廃液・廃油と同じ位置で噴射した。ゴルフボールの投入は廃液・廃油ノズル投入レベルから45°下向きに2.5秒当り1個を投入した。
【0022】
図1及び図2にゴルフボール投入装置の実施例を示す。
ホッパー1には多数のゴルフボール2を入れ、漏斗状に絞られたホッパー1の下端には若干の隙間を隔ててターンテーブル3を配置している。ターンテーブル3はゴルフボール大の透孔3aを有する円盤であって、偏心位置にて回転軸4に固着されている。ターンテーブル3の下端には底板5が設けられており、底板5もゴルフボール大の透孔5aを有し、それ以外の箇所ではターンテーブル3を回転可能に下側から塞いでおり、かつ回転軸4を貫通させている。6はゴルフボールを焼却炉に落下させる管であり、透孔5aと常時連通している。7は減速機、8はモーターである。
9はターンテーブルに固着された突起であって、ゴルフボール2の位置を絶えず微調整することにより、ゴルフボールがからみ合わないようにしている。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により次の効果が達成される。
(イ)ゴルフボール投入装置を使用し、少量づつ一定量のボール投入を可能とし、同時に無人投入を可能とした。
(ロ)焼却炉底部の耐火物を急激なゴルフボールの燃焼により損傷防止することができる。
(ハ)ゴルフボールを熱リサイクルすることにより焼却炉の燃料費を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴルフボール投入装置の縦断面図である。
【図2】ゴルフボール投入装置の平面図である。
【符号の説明】
1−ホッパー
2−ゴルフボール
3−ターンテーブル
Claims (12)
- 廃プラスチック類を縦型廃棄物焼却炉の炉頂から投入するとともに、ゴルフボールを、前記廃プラスチック類とは別に、焼却炉下部の燃焼領域に逐次投入することを特徴とするゴルフボールのリサイクル法。
- 前記ゴルフボールを、前記縦型廃棄物焼却炉の側壁を貫通し、かつゴルフボールの直径大の内径を有する管により投入することを特徴とする請求項1記載のゴルフボールのリサイクル法。
- 前記廃プラスチック類の時間当たり投入重量は前記ゴルフボールの1.5倍以上である請求項2記載のゴルフボールのリサイクル法。
- 前記ゴルフボールを炉側壁を1箇所以上で貫通する管から投入することを特徴とする請求項1から3までの何れか1項記載のゴルフボールのリサイクル法。
- 前記燃焼領域を、廃油もしくは再生重油の1種又は2種を1個又は2個以上のノズルから炉内下部に噴射することにより形成する請求項1から4までの何れか1項記載のゴルフボールのリサイクル法。
- 多数のゴルフボールを一旦ホッパーに入れ、その後前記管を経て2個以上同時に散開して投入するかあるいは1個づつ実質的に同じ箇所に投入する請求項2から5まで何れか1項記載のゴルフボールのリサイクル法。
- 前記ホッパーと前記管の間にゴルフボールを前記管に送り出す送出手段を設けたことを特徴とする請求項6記載のゴルフボールのリサイクル法。
- 前記送出手段が、前記ホッパーの下端に位置しかつ1個のゴルフボール大の開口を有すターンテーブルと、1個のゴルフボール大の開口を前記管の位置に有しかつ前記ターンテーブルの底部を塞ぐ底板とを含んでなることを特徴とする請求項7記載のゴルフボールのリサイクル法。
- 前記管が燃焼領域内の散開位置を指向するように2本以上設けられ、前記送出手段が、前記ホッパーの下端に位置しかつ1個のゴルフボール大の開口を2個以上有するターンテーブルと、1個以上のゴルフボール大の開口を前記管のそれぞれの位置に有し、かつ前記ターンテーブルの底部を塞ぐ底板とを含んでなることを特徴とする請求項7記載のゴルフボールのリサイクル法。
- 前記送出手段が、前記底板を回転自在に貫通する回転軸により前記ターンテーブルを回転させる駆動手段をさらに含んでなる請求項8又は9記載のゴルフボールのリサイクル方法。
- 前記ターンテーブルに上向きに設けた突起によりホッパー内のゴルフボールの目詰まり防止することを特徴とする請求項8から10までの何れか1項記載のゴルフボールのリサイクル法。
- 前記駆動手段を正転・逆転可能としたことを特徴とする請求項10記載のゴルフボールのリサイクル法。
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