JP3980811B2 - 電磁界強度算出装置、電磁界強度算出方法およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、モーメント法に基づいて対象装置を複数のパッチに分割し、各パッチ間の相互インピーダンスまたは相互アドミッタンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出装置、電磁界強度算出方法およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、特に、パッチ間の相互インピーダンスまたは相互アドミッタンスを高速かつ効率良く算定することができる電磁界強度算出装置、電磁界強度算出方法および記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、物体の放射する電磁波強度のシミュレーションをおこなう際に、マックスウェルの電磁波方程式から導かれる積分方程式の解法の一つで、物体を小さな要素に分割して電流や磁流を計算するモーメント法が用いられることが多い。
【0003】
図1は、このモーメント法による電磁界強度の算定概念を説明するための説明図である。同図に示すように、かかるモーメント法を用いて電磁界強度を計算する際には、対象装置を微少ダイポールの集合としてモデル化し、一対のダイポール間の相互インピーダンスを計算して電磁界を算出する。
【0004】
具体的には、一対のダイポール間の相互インピーダンスZdipoleは、
Zdipole=Z00+Z01+Z10+Z11
の算定式によって算定されるため、かかるダイポール間の相互インピーダンスを求めるためには、モノポール間の相互インピーダンスを求める必要がある。
【0005】
図2は、従来の相互インピーダンス算定概念を説明するための説明図であり、同図に示すように、従来は、パッチを直線状導体(モノポール)の集合と考え、各モノポール間の相互インピーダンスZijを算定していた。
【0006】
ここで、このZijには、パッチ1およびパッチ2に隣接するパッチの位置に対応してZij 00、Zij 01、Zij 10およびZij 11という4種類の相互インピーダンスが存在するため、モノポール間の相互インピーダンスは、次式で示すように各モノポールに沿った二重積分で表される。
【0007】
Zij=∬{(μ/4π)IiIj+(1/4πε)qiqj}e-jkt/rdxdX・・・(1)
ただし、Ii、Ij、qiおよびqjは、モノポールi,jに流れる電流および電荷分布を示すものとし、∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分する2重積分を示すものとする。また、Iiおよびqiはxの関数となり、IjおよびqjはXの関数となる。
【0008】
そして、上式の二重積分を指数積分法または特開平11−15184号公報などに開示される高速リアクションマッチングモーメント法(以下「FRM法」と言う)により計算し、つぎに、ガウス積分法によって、各パッチごとにパッチを形成するモノポールの並んでいる方向に沿って積分をおこなう。なお、このガウス積分法は、積分区間を分割し、各分割要素ごとに適当な重みを掛けて足し合わせる数値積分法の一種である。
【0009】
パッチ間の相互インピーダンスを計算する場合に、分割数はパッチを構成するモノポールの個数に相当し、パッチの形状およびパッチ間の距離によって定められる。この際、分割数が増えれば増えるほど計算の精度は向上するが、モノポール間の相互インピーダンスを足し合わせる回数が増えるために、計算に要する時間が長くなる。
【0010】
たとえば、図2に示す場合には、パッチ1およびパッチ2の間の相互インピーダンスは、
Zij=∬∬{(μ/4π)IiIj+(1/4πε)qiqj}dxdXdydY・・・(2)
なる算定式により算定される。ただし、∬∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分し、これをy0〜y1の範囲で積分した結果をさらにY0〜Y1の範囲で積分した四重積分を示すものとする。
【0011】
このように、パッチを形成するモノポール間の相互インピーダンスの和を求めることにより、パッチ間の相互インピーダンスを算出し、もって電磁界強度を算出することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術を用いてモデルから放射される電磁波の電磁界を精度良く求めようとすると、モデルを構成するパッチ数が多くなり、時間を要する数値積分(ガウス積分)を繰り返しおこなわねばならず、結果的に膨大な処理時間を要するという問題がある。
【0013】
特に、実際の状況に近い大規模なモデルを想定した場合には、このモデルを構成するパッチ数が大幅に累増し、ガウス積分に膨大な時間を要するので、実用的ではない。
【0014】
これらのことから、モーメント法を用いて電磁界を算定する場合に、パッチ間の相互インピーダンスをいかに高速かつ効率良く算定するかが極めて重要な課題となっている。
【0015】
また、金属パッチではなく誘電体パッチを用いた場合には、誘電体表面の磁流と電流の相互アドミッタンスを計算する必要が生ずるため、電磁界の計算時間が累増するため、相互アドミッタンスをいかに高速かつ効率良く算定するかが極めて重要な課題となる。
【0016】
この発明は、上記問題(課題)に鑑みてなされたものであり、モーメント法を用いて電磁界を算定する場合に、パッチ間の相互インピーダンスまたは相互アドミッタンスを高速かつ効率良く算定することができる電磁界強度算出装置、電磁界強度算出方法およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明にかかる電磁界強度算出装置は、モーメント法に基づいて対象装置を複数のパッチに分割し、各パッチ間の相互インピーダンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出装置において、前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定する相互インピーダンス算定手段(図3に示す相互インピーダンス算出部102に対応する)と、前記相互インピーダンス算定手段により算定された相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出手段(図3に示す電磁界強度算出部103に対応する)と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定し、算定した相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出することとしたので、パッチ間の相互インピーダンスを高速かつ効率良く算定することができる。
【0019】
また、本発明にかかる電磁界強度算出装置は、モーメント法に基づいて対象装置を複数の誘電体のパッチに分割し、各パッチ間の相互アドミッタンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出装置において、前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互アドミッタンスを算定する相互アドミッタンス算定手段(図11に示す相互アドミッタンス算出部111に対応する)と、前記相互アドミッタンス算定手段により算定された相互アドミッタンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出手段(図11に示す電磁界強度算出部103に対応する)と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいてパッチ間の相互アドミッタンスを算定し、算定した相互アドミッタンスに基づいて電磁界強度を算出することとしたので、パッチ間の相互アドミッタンスを高速かつ効率良く算定することができる。
【0021】
また、本発明にかかる電磁界強度算出方法は、モーメント法に基づいて対象装置を複数のパッチに分割し、各パッチ間の相互インピーダンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出方法において、前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定する相互インピーダンス算定工程と、前記相互インピーダンス算定工程により算定された相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出工程と、を含んだことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定し、算定した相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出することとしたので、パッチ間の相互インピーダンスを高速かつ効率良く算定することができる。
【0023】
また、本発明にかかる電磁界強度算出方法は、モーメント法に基づいて対象装置を複数の誘電体のパッチに分割し、各パッチ間の相互アドミッタンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出方法において、前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互アドミッタンスを算定する相互アドミッタンス算定工程と、前記相互アドミッタンス算定工程により算定された相互アドミッタンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出工程と、を含んだことを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいてパッチ間の相互アドミッタンスを算定し、算定した相互アドミッタンスに基づいて電磁界強度を算出することとしたので、パッチ間の相互アドミッタンスを高速かつ効率良く算定することができる。
【0025】
また、本発明にかかる記録媒体は、モーメント法に基づいて対象装置を複数のパッチに分割し、各パッチ間の相互インピーダンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定する相互インピーダンス算定工程と、前記相互インピーダンス算定工程により算定された相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出工程と、を実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいてパッチ間の相互インピーダンスを算定し、算定した相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出する動作をコンピュータによって実現することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電磁界強度算出装置、電磁界強度算出方法およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明を上記FRM法に適用した場合について説明することとし、実施の形態1では相互インピーダンスを算定する場合を示し、実施の形態2では相互アドミッタンスを算定する場合を示すこととする。
【0028】
(実施の形態1)
図3は、本実施の形態1で用いる電磁界強度算出装置の装置構成を示すブロック図である。同図に示す電磁界強度算出装置10は、モーメント法を用いて解析対象となる電子機器から放射される電磁界強度をシミュレーションする装置であり、処理時間を要する数値積分法(ガウス積分法)ではなく、四重積分の解析解を用いてパッチ間の相互インピーダンスを高速に計算することとしている。
【0029】
また、この電磁界強度算出装置10は、図3に示すように、メッシュ化処理部101、相互インピーダンス算出部102、電磁界強度算出部103、入力データファイル20および出力データファイル30とからなる。
【0030】
入力データファイル20は、解析対象となる電子機器の構造情報を格納したファイルであり、出力データファイル30は、シミュレーション結果の電磁界強度を格納するファイルである。
【0031】
メッシュ化処理部101は、入力データファイル20に格納した解析対象となる電子機器を複数のパッチ要素に分割する処理部である。相互インピーダンス算出部102は、FRM法を用いてパッチ相互間の相互インピーダンスを算出する処理部であり、ここでは四重積分の解析解を用いて相互インピーダンスを高速に算定する。
【0032】
電磁界強度算出部103は、相互インピーダンス算出部102により算出されたダイポールアンテナ間の相互インピーダンスおよび該アンテナに印加される電圧の関係を示す複数の連立方程式を解くことにより各要素に流れる電流を求め、これらの電流から放射電磁界を算出する処理部である。
【0033】
なお、かかるメッシュ化処理部101、相互インピーダンス算出部102および電磁界強度算出部103は、電磁界強度算出プログラムとして電磁界強度算出装置10にインストールすることができる。
【0034】
つぎに、図3に示した相互インピーダンス算出部102による相互インピーダンスの算出について説明する。なお、ここではモノポールを流れる電流分布については、図4に示すように、直線状に増加または減少するランプ型であると仮定するものとする。
【0035】
図4に示すようなランプ型の電流分布を有する場合には、(2)式に示した相互インピーダンスZijは、
Zij=j(μ/ε)0.5(4πlilj)-1∬∬{(xi-xj)(Xi-Xj)cosφ+k-2}e-jkt/rdxdXdydY ・・・(3)
のようになる。なお、liおよびljはモノポールの長さを示し、φはモノポールiとモノポールjのなす角を示すものとする。また、∬∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分し、これをy0〜y1の範囲で積分した結果をさらにY0〜Y1の範囲で積分した四重積分を示すものとする。
【0036】
ここで、相互インピーダンスを求めようとする金属パッチが2枚とも長方形であり、かつ、2枚のパッチの位置関係が平行または直交である場合には、座標系を変更することによって(3)式を解析的に求めることができる。
【0037】
図5は、2枚の長方形金属パッチの位置関係のパターンを示す図である。同図(a)は、2枚の金属パッチが平行でφ=180°の場合を示しており、同図(b)は、2枚の金属パッチが平行でφ=90°の場合を示している。また、同図(c)は、2枚の金属パッチが垂直でφ=180°の場合を示しており、同図(d)および(e)は、2枚の金属パッチが垂直でφ=90°の場合を示している。
【0038】
図5(a)に示す場合において、相互インピーダンスZ00、Z01、Z10およびZ11の計算式は下記のようになる。ただし、ξ=x−X、η=y−Y、h=z0−Z0、r=(ξ2+η2+h2)1/2とする。
【0039】
Z00については、
となる。
【0040】
また、Z01については、
となる。
【0041】
また、Z10については、
となる。
【0042】
また、Z11については、
となる。
【0043】
ただし、∬∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分し、これをy0〜y1の範囲で積分した結果をさらにY0〜Y1の範囲で積分した四重積分を示すものとする。
【0044】
つぎに、図5(b)に示す場合において、相互インピーダンスZ00、Z01、Z10およびZ11の計算式は下記のようになる。ただし、ξ=x−X、η=y−Y、h=z0−Z0、r=(ξ2+η2+h2)1/2とする。
【0045】
Z00については、
となる。
【0046】
また、Z01については、
となる。
【0047】
また、Z10については、
となる。
【0048】
また、Z11については、
となる。
【0049】
ただし、∬∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分し、これをy0〜y1の範囲で積分した結果をさらにY0〜Y1の範囲で積分した四重積分を示すものとする。
【0050】
つぎに、図5(c)に示す場合において、相互インピーダンスZ00、Z01、Z10およびZ11の計算式は下記のようになる。ただし、ξ=x−X、y=y−Y、Z=Z−z、r=(ξ2+y2+Z2)1/2とする。
【0051】
Z00については、
となる。
【0052】
また、Z01については、
となる。
【0053】
また、Z10については、
となる。
【0054】
また、Z11については、
となる。
【0055】
ただし、∬∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分し、これをy0−Y0〜y1−Y0の範囲で積分した結果をさらにZ0−z0〜Z1−z0の範囲で積分した四重積分を示すものとする。
【0056】
つぎに、図5(d)に示す場合において、相互インピーダンスZ00、Z01、Z10およびZ11の計算式は下記のようになる。ただし、ξ=x−X、y=y−Y、Z=Z−z、r=(ξ2+y2+Z2)1/2とする。
【0057】
Z00については、
となる。
【0058】
また、Z01については、
となる。
【0059】
また、Z10については、
となる。
【0060】
また、Z11については、
となる。
【0061】
ただし、∬∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分し、これをy0−Y0〜y1−Y0の範囲で積分した結果をさらにZ0−z0〜Z1−z0の範囲で積分した四重積分を示すものとする。
【0062】
つぎに、図5(e)に示す場合において、相互インピーダンスZ00、Z01、Z10およびZ11の計算式は下記のようになる。ただし、ξ=x−X、y=y−Y、Z=Z−z、r=(ξ2+y2+Z2)1/2とする。
【0063】
Z00については、
となる。
【0064】
また、Z01については、
となる。
【0065】
また、Z10については、
となる。
【0066】
また、Z11については、
となる。
【0067】
ただし、∬∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分し、これをy0−Y0〜y1−Y0の範囲で積分した結果をさらにZ0−z0〜Z1−z0の範囲で積分した四重積分を示すものとする。
【0068】
このように、2枚の金属パッチが長方形であり、かつ、2枚の金属パッチの位置関係が平行または直交の場合には、上記の算定式を用いることによって相互インピーダンスを求めることになる。
【0069】
しかしながら、図3に示した相互インピーダンス算出部102がかかる計算をその都度おこなっていたのでは膨大な処理時間を要し、実用的な時間内にシミュレーション結果を得ることができない。
【0070】
このため、この相互インピーダンス算出部102では、上記相互インピーダンスZの算定式で共通に現れる四重積分の項を抽出し、この四重積分の解析解を用いて迅速に相互インピーダンスを求めている。
【0071】
具体的には、図5(a)〜(b)に示すように、2枚の金属パッチが平行な場合には、
∬∬(1/r)dxdXdydY ・・・(4)
∬∬(x/r)dxdXdydY ・・・(5)
∬∬(X/r)dxdXdydY ・・・(6)
∬∬(xX/r)dxdXdydY ・・・(7)
∬∬rdxdXdydY ・・・(8)
という5つの四重積分の解析解を用いる。ただし、ξ=x−X、η=y−Y、h=z0−Z0、r=(ξ2+η2+h2)1/2であるものとする。なお、∬∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分し、これをy0〜y1の範囲で積分した結果をさらにY0〜Y1の範囲で積分した四重積分を示すものとする。
【0072】
また、図5(c)〜(e)に示すように、2枚の金属パッチが垂直である場合には、
∬∬(1/r)dxdXdydZ ・・・(9)
∬∬(x/r)dxdXdydZ ・・・(10)
∬∬(X/r)dxdXdydZ ・・・(11)
∬∬(xX/r)dxdXdydZ ・・・(12)
∬∬rdxdXdydZ ・・・(13)
という5つの四重積分の解析解を用いる。ただし、ξ=x−X、y=y−Y、Z=Z−z、r=(ξ2+y2+Z2)1/2であるものとする。なお、∬∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分し、これをy0〜y1の範囲で積分した結果をさらにZ0〜Z1の範囲で積分した四重積分を示すものとする。
【0073】
したがって、上記(4)式〜(13)式の四重積分の解析解をあらかじめ求めてさえおけば、金属パッチ間の相互インピーダンスを迅速に求めることができることとなる。なお、実際の計算においては、(4)式〜(13)式の解析解中に共通の因子が存在するため、これらの共通因子をあらかじめ算定しておくことにより、さらに高速化を図ることができる。
【0074】
なお、上記(4)式についての解析解は図6に示すようになり、基本的にはr、ξ、ηの関数として表現することができる。このため、この(4)式についての解析解は比較的容易に求めることができる。また、ここでは説明の便宜上その詳細な説明を省略するが、(5)式〜(13)式の解析解についても同様のものとなる。
【0075】
つぎに、上記(4)式〜(13)式の解析解を用いた相互インピーダンスの算定について説明する。ただし、ここでは説明の便宜上、図5(a)における相互インピーダンスZ00を(4)式〜(8)式を用いて算定する場合を示すこととする。
【0076】
この場合の相互インピーダンスZ00は、すでに説明したように、
となる。
【0077】
ここで、上記(4)式〜(8)式を
A=∬∬(1/r)dxdXdydY
B=∬∬(x/r)dxdXdydY
C=∬∬(X/r)dxdXdydY
D=∬∬(xX/r)dxdXdydY
E=∬∬rdxdXdydY
とおく。
【0078】
すると、この(14)式は、
と変形することができる。このため、上述したように(4)式〜(8)式の解析解A〜Dさえ求めておけば、相互インピーダンスZ00を迅速に算定することが可能となる。
【0079】
上述してきたように、本実施の形態1では、メッシュ化処理部101が、対象装置を複数のパッチに分割し、相互インピーダンス算出部102が、パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいてパッチ間の相互インピーダンスを算定し、電磁界強度算出部103が、算定された相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出するよう構成したので、パッチ間の相互インピーダンスを高速に算定し、もって大規模な装置を対象とする場合であっても実用的な時間内に電磁界強度を算出することができる。なお、図7に示すシールドボックスモデルについて解析をおこなったところ、従来の方法に比べて約2倍の速度で計算することができた。
【0080】
(実施の形態2)
ところで、上記実施の形態1では、金属パッチ間の相互インピーダンスを求める場合を示したが、誘電体パッチを用いた場合には、誘電体表面に電流(J)以外に磁流(M)を仮定し、磁流と電流の間の相互アドミッタンスを計算する必要がある。
【0081】
図8は、誘電体パッチからの放射される電磁波の算定概念を説明するための説明図である。同図(a)に示すような比誘電率εrを有する誘電体が存在モデルを考えた場合に、従来技術(IEEE TRANSACTION ON ANTENNAS AND PROPAGATION,VOL.AP-34,NO.8,AUGUST 1986,p969)によれば、表面等価定理から同図(b)に示す行列式を解くと、モデル上に流れる電流Iおよび磁流Mが得られるので、これらを用いてモデルから放射される電磁波を算定することが可能となる。ここで、Zは電流間の相互インピーダンスを示し、Yは磁流と電流との間の相互アドミッタンスを示している。
【0082】
ここで、電流パッチと磁流パッチとの間の相互アドミッタンスを算定する。まず最初に図9に示すような座標系では、モノポール間の相互アドミッタンスは、
となる。ただし、モノポールi上に磁流Mが流れ、モノポールj上に電流Jが流れているものとし、上式のHはモノポールjに流れる電流がモノポールiの位置に発生する磁界を示し、rはモノポール間の距離を示している。このように、モノポール間の相互アドミッタンスは、各モノポールに沿った2重積分で表される。
【0083】
次に、ガウス積分法によって各パッチごとにパッチを構成するモノポールの並び方向に沿って積分をおこなう。たとえば、図10に示す場合には、パッチ1〜2間の相互アドミッタンスは、
Yij=(1/4π)∬∬M・∇×J・(e-jkr/r)dxdXdydz(15)
となる。
【0084】
ただし、図10においては、パッチm上に磁流Mを、パッチn上に電流Jを仮定し、各パッチを無限小間隔で並べたモノポールの集合であるとみなしている。また、∬∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分し、これをy0〜y1の範囲で積分した結果をさらにz0〜z1の範囲で積分した四重積分を示している。
【0085】
このように、パッチを構成するモノポール間の相互アドミッタンスの和をとることにより、パッチ間の相互アドミッタンスを算出できるわけであるが、大規模なモデルから放射される電磁波の電磁界を精度良く算定する場合には、モデルを構成するパッチの個数が多いために、上記ガウス積分を多数回繰り返しておこなう必要が生じ、膨大な計算時間を要することになり、実用的ではない。
【0086】
そこで、以下に示す本実施の形態2では、従来から用いられている数値積分法ではなく、四重積分の解析解を用いて電流パッチと磁流パッチとの間の相互アドミッタンスを求めるよう構成することにより、放射電界強度を高速に算定している。
【0087】
図11は、本実施の形態2で用いる電磁界強度算出装置の装置構成を示すブロック図である。同図に示す電磁界強度算出装置110は、モーメント法を用いて解析対象となる電子機器から放射される電磁界強度をシミュレーションする装置であり、処理時間を要する数値積分法(ガウス積分法)ではなく、四重積分の解析解を用いてパッチ間の相互アドミッタンスを高速に計算する。なお、図示していないが、パッチ間の相互インピーダンスは、実施の形態1と同様に四重積分の解析解を用いて計算することができる。
【0088】
また、この電磁界強度算出装置110は、図11に示すように、メッシュ化処理部101、相互アドミッタンス算出部111、電磁界強度算出部112、入力データファイル20および出力データファイル30とからなる。なお、メッシュ化処理部101、入力データファイル20および出力データファイル30は、図3に示す機能部と同様のものとなるので、ここでは同一符号を付すこととしてその詳細な説明を省略する。
【0089】
相互アドミッタンス算出部111は、FRM法を用いてパッチ相互間の相互アドミッタンスを算出する処理部であり、ここでは四重積分の解析解を用いて相互アドミッタンスを高速に算定する。
【0090】
電磁界強度算出部112は、相互アドミッタンス算出部110により算出されたダイポールアンテナ間の相互アドミッタンスなどに基づいて放射電磁界を算出する処理部である。
【0091】
なお、かかるメッシュ化処理部101、相互アドミッタンス算出部110および電磁界強度算出部111は、電磁界強度算出プログラムとして電磁界強度算出装置110にインストールすることができる。
【0092】
つぎに、図11に示した相互アドミッタンス算出部102による相互アドミッタンスの算出について説明する。なお、ここではモノポールを流れる電磁流分布については、図12に示すように、直線状に増加または減少するランプ型であると仮定するものとする。
【0093】
図12に示すようなランプ型の電流分布を有する場合には、(15)式に示した相互アドミッタンスYijは、
となる。なお、∬∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分し、これをy0〜y1の範囲で積分した結果をさらにY0〜Y1の範囲で積分した四重積分を示すものとする。
【0094】
ここで、パッチのサイズがパッチ間の距離rよりも十分小さい場合(たとえばパッチのサイズがパッチ間の距離rの1/10の場合)には、rをr0の周りでマクローリン展開することにより、上記(16)式は次式のように表すことができる。
【0095】
となる。なお、∬∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分し、これをy0〜y1の範囲で積分した結果をさらにY0〜Y1の範囲で積分した四重積分を示すものとする。また、φはパッチがなす角であり、図10に示す位置関係にある場合には「1」となる。
【0096】
このように、パッチが2枚とも長方形であり、かつ、2枚のパッチの位置関係が平行または直交の場合には、座標系を変更することにより、パッチ間の相互アドミッタンスを解析的に求めることができる。
【0097】
なお、かかるパッチの位置関係については、電磁流が流れる方向を考慮すると図13に示す3つの場合に分類される。ここで、相互アドミッタンスの計算において共通に現れる四重積分の項を抽出すると下記に示すようになるので、これらの四重積分の解析解を求めれば相互アドミッタンスが得られることになる。
【0098】
図13は、2枚の長方形誘電体パッチの位置関係のパターンを示す図である。同図(a)は、2枚の誘電体パッチが平行でφ=90°の場合を示しており、同図(b)および(c)は、2枚の金属パッチが垂直でφ=90°の場合を示している。
【0099】
図13(a)に示すようにパッチが平行であり、かつ、1/r3を含む四重積分については、
∬∬xY/r3dxdXdydY
∬∬x/r3dxdXdydY
∬∬Y/r3dxdXdydY
∬∬1/r3dxdXdydY
という4つの四重積分の解析解を用いることができる。
【0100】
また、図13(a)に示すようにパッチが平行であり、かつ、1/rを含む四重積分については、
∬∬xY/rdxdXdydY
∬∬x/rdxdXdydY
∬∬Y/rdxdXdydY
∬∬1/rdxdXdydY
という4つの四重積分の解析解を用いることができる。ただし、∬∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分し、これをy0〜y1の範囲で積分した結果をさらにY0〜Y1の範囲で積分した四重積分を示すものとする。また、ξ=x−X、η=y−Y、h=z0−Z0、r=(ξ2+η2+h2)1/2とする。
【0101】
これに対して、図13(b)および(c)に示すようにパッチが直交しており、かつ、1/r3を含む四重積分については、
∬∬xyZ/r3dxdXdydZ
∬∬xy/r3dxdXdydZ
∬∬xZ/r3dxdXdydZ
∬∬XyZ/r3dxdXdydZ
∬∬Xy/r3dxdXdydZ
∬∬XZ/r3dxdXdydZ
∬∬yZ/r3dxdXdydZ
∬∬x/r3dxdXdydZ
∬∬X/r3dxdXdydZ
∬∬y/r3dxdXdydZ
という10個の四重積分の解析解を用いることができる。
【0102】
また、図13(b)および(c)に示すようにパッチが直交しており、かつ、1/rを含む四重積分については、
∬∬xyZ/rdxdXdydZ
∬∬xy/rdxdXdydZ
∬∬xZ/rdxdXdydZ
∬∬XyZ/rdxdXdydZ
∬∬Xy/rdxdXdydZ
∬∬XZ/rdxdXdydZ
∬∬yZ/rdxdXdydZ
∬∬x/rdxdXdydZ
∬∬X/rdxdXdydZ
∬∬y/rdxdXdydZ
という10個の四重積分の解析解を用いることができる。ただし、∬∬は、x0〜x1の範囲で積分した結果をさらにX0〜X1の範囲で積分し、これをy0〜y1の範囲で積分した結果をさらにY0〜Y1の範囲で積分した四重積分を示すものとする。また、ξ=x−X、η=y−Y、h=z0−Z0、r=(ξ2+η2+h2)1/2とする。
【0103】
次に、上記四重積分の解析解の一例について説明する。∬∬(1/r3)dxdXdydYの解析解は図14に示すようになり、基本的にはr、ξ、ηの関数として解析解を表現できるため、この四重積分についての解析解を比較的容易に求めることができる。また、他の四重積分の解析解についても同様のものとなる。
【0104】
なお、実際の計算においては、四重積分の解析解中に共通因子が存在するため、これらをあらかじめ計算しておくことにより、さらに高速化を図ることができる。たとえば、∬∬(1/r3)dxdXdydYの解析解は図21に示すようになるので、この図21および図14の破線で囲まれた部分A〜Dは、2種類の解析解中に共通にあらわれることになる。このため、かかる共通部分をあらかじめ算定しておけば、計算の高速化を図ることが可能となる。
【0105】
このように、図11に示す相互アドミッタンス算出部111では、四重積分の解析解を用いて相互アドミッタンスを算出するわけであるが、すべての要素について常に解析解が存在するわけではない。たとえばパッチが直交する場合に、∬∬x/r3dxdXdydZや、∬∬X/r3dxdXdydZについては解析解が存在しない。このため、本実施の形態では、これらのものについて部分的に数値積分と組み合わせて解を求める。
【0106】
たとえば、∬∬xr-3dxdXdydZは、x−X=ξ、x+X=ζ、y−Y=y、Z−z=Zとおき、積分変数を変換すると、
∬∬xr-3dxdXdydZ
=1/2[∬∬1/2ξr-3dξdζdydZ+∬∬ζr-3dξdζdydZ]
となる。ここで、∬∬1/2ξr-3dξdζdydZについては解析解が存在するが、∬∬ζr-3dξdζdydZについては解析解が存在しない。
【0107】
このため、この∬∬ζr-3dξdζdydZを次式のように展開すると、破線で囲んだ部分以外は、解析解が存在する。
【数1】
【0108】
ここで、破線で囲んだ部分を計算するために不定積分を
∫1/r3dξdy=F(ξ,y,Z)
F=1/ztan-1(z/(r+ξ+y))−1/ztan-1(z/(r+ξ+y))
と定義すると、破線で囲んだ部分は、図15に示すようになる。この図15に示す要素のうち、∫z1/ztan-1(z/(r+ξ+y))dZについては解析解が存在しないため、たとえばガウス積分法などの数値積分を用いて計算する。
【0109】
このように、本実施の形態では、四重積分の解析解が存在しない場合には、部分的に数値積分を組み合わせて解を求めることとしているので、四重積分全体を数値積分を用いて解く場合に比べて高速に解を求めることができる。
【0110】
また、図11に示す相互アドミッタンス算出部111では、パッチが直交する場合に座標変換をおこなうことによりさらに計算を高速化している。図16は、パッチが直交する場合におこなう座標変換を説明するための説明図である。
【0111】
同図において、y/r3の四重積分を計算すると、
【数2】
のようになる。ただし、r=((x-X)2+(y-Y0)2+(z0-Z)2)1/2である。
【0112】
ここで、Y0/r3の四重積分には解析解が存在せず、上式の計算が複雑になるので、本実施の形態では、Y0=z0=0となるように座標変換をおこなうこととしている。
【0113】
すなわち、図16に示すパッチ160がx−y平面上に位置し、パッチ161がx−z平面上に位置するように平行移動をおこなうと、積分は次式に示すように簡略化される。
【数3】
【0114】
また、従来は、パッチ間の距離とパッチの大きさに基づいてガウス積分の分点数を決定しており、具体的には、パッチ間の距離がパッチの大きさに比べて長くなればなるほど分点数を少なくしている。このため、パッチ間の相互アドミッタンスを算出する場合に、ガウス積分の分点数は少なく、計算も短時間で済むようになる。そこで、分点数が少ない場合にはガウス積分によって相互アドミッタンスを計算し、分点数が多くなる場合には四重積分の解析解を用いることにより、全体の計算時間を最小化することもできる。
【0115】
次に、図11に示した電磁波強度算出装置110による電磁波強度算出手順について説明する。図17は、図11に示した電磁波強度算出装置110による電磁波強度算出手順を示すフローチャートである。
【0116】
同図に示すように、この電磁波強度算出装置110は、まず最初に入力データファイル20から構造情報を読み込み(ステップS1701)、解析情報をモデル化する(ステップS1702)。
【0117】
そして、周波数を一つ選択して(ステップS1703)全周波数を選択済みであるか否かを確認し(ステップS1704)、全ての周波数を選択したならば(ステップS1704肯定)処理を終了する。
【0118】
これに対して、全ての周波数を選択していない場合には(ステップS1704否定)、全ての微小要素について相互インピーダンスおよび相互アドミッタンスを計算し(ステップS1705)、モーメント法の連立方程式を解く(ステップS1706)。
【0119】
そして、観測点を一つ選択し(ステップS1707)、全観測点を選択したか否かを確認し(ステップS1708)、選択していない場合には(ステップS1708否定)電界、磁界を算出してこれを出力データファイル30に格納した後に(ステップS1709)、ステップS1907に移行する。一方、全観測点を選択したならば(ステップS1708肯定)、ステップS1703に移行して同様の処理を繰り返す。
【0120】
次に、図17のステップS1705に示した相互アドミッタンスの算定手順についてさらに具体的に説明する。図18は、図17のステップS1705に示した相互アドミッタンスの算定手順を示すフローチャートである。
【0121】
同図に示すように、図11に示した相互アドミッタンス算出部111は、まず最初にパッチデータ(パッチ座標,材質)を取得し(ステップS1801)、パッチ間距離が十分近いか否か(ガウス積分における分点数が2より大きいか否か)を調べる(ステップS1802)。
【0122】
その結果、パッチ間距離が遠い場合には(ステップS1802否定)、従来のガウス積分法などを用いてパッチ間の相互アドミッタンスを算出する(ステップS1810)。
【0123】
これに対して、パッチ間距離が十分近い場合には(ステップS1802肯定)、パッチが2枚とも金属であるかまたは金属と誘電体であるか否かを調べる(ステップS1803)。そして、この条件を満たす場合には(ステップS1803肯定)、さらにパッチが2枚とも長方形であるか否かを確認する(ステップS1804)。
【0124】
なお、パッチが2枚とも金属でない場合や(ステップS1803否定)、パッチのいずれかが長方形でない場合には(ステップS1804否定)、従来のガウス積分法などを用いてパッチ間の相互アドミッタンスを算出する(ステップS1810)。四重積分の解析解を用いることができないからである。
【0125】
その後、パッチの位置関係が平行であるか垂直であるか否かを調べ(ステップS1805〜S1806)、垂直である場合には座標変換をおこなった後に(ステップS1807)、四重積分の解析解を取得し(ステップS1808)、パッチ間相互アドミッタンスを算出する(ステップS1809)。
【0126】
なお、両パッチが平行であるか垂直であるかによって異なる解析解を用いるとともに、解析解が存在しない四重積分については部分的に数値積分を併用することになる。
【0127】
上述してきたように、本実施の形態2では、四重積分の解析解を用いてパッチ間の相互アドミッタンスを算出するよう構成したので、誘電体パッチを用いた場合であっても高速に電磁界強度を算出することができる。
【0128】
図19は、四重積分の計算速度を検証する際に用いたモデルを示す図であり、同図(a)には、本検証に用いたモデルを示しており、同図(b)はパターン端部の拡大図を示している。
【0129】
同図(a)に示すモデルは、50mm×80mm×1mmのプリント基板であり、幅1mm長さ70mmのパターンを有している。また、底面はべたグラウンドであり、基本周波数20MHz、デューティ49%、種別#ASの波源を使用し、負荷はショートまたはオープンである。なお、解析周波数は100kHz〜700kHzとする。
【0130】
そして、解析解を用いて四重積分を計算した場合とガウス積分(従来手法)を用いて四重積分を計算した場合とを比較すると図20に示すようになる。その結果、解析解を用いた場合にはガウス積分を用いた場合よりも、平均すると1.9倍高速化されていることが分かる。なお、同図に示すイミッタンス(immitance)とは、全微小要素間の相互イミッタンス算出に要した時間であり、カレント(current)とは、全微小要素に流れる電流の算出に要した時間である。
【0131】
(付記1)モーメント法に基づいて対象装置を複数のパッチに分割し、各パッチ間の相互インピーダンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出装置において、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定する相互インピーダンス算定手段と、
前記相互インピーダンス算定手段により算定された相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出手段と、
を備えたことを特徴とする電磁界強度算出装置。
【0132】
(付記2)前記相互インピーダンス算定手段は、各パッチ上に流れる電流方向を考慮して前記パッチの位置関係を複数のパターンに分類し、各パターンごとの相互インピーダンスの算定式に共通に現れる四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定することを特徴とする付記1に記載の電磁界強度算出装置。
【0133】
(付記3)前記相互インピーダンス算定手段は、パッチの位置関係が平行である場合には、
∬∬(1/r)dxdXdydY
∬∬(x/r)dxdXdydY
∬∬(X/r)dxdXdydY
∬∬(xX/r)dxdXdydY
∬∬rdxdXdydY
という5つの四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定することを特徴とする付記1に記載の電磁界強度算出装置。
【0134】
(付記4) 前記相互インピーダンス算定手段は、パッチの位置関係が垂直である場合には、
∬∬(1/r)dxdXdydZ
∬∬(x/r)dxdXdydZ
∬∬(X/r)dxdXdydZ
∬∬(xX/r)dxdXdydZ
∬∬rdxdXdydZ
という5つの四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定することを特徴とする付記1に記載の電磁界強度算出装置。
【0135】
(付記5)モーメント法に基づいて対象装置を複数の誘電体のパッチに分割し、各パッチ間の相互アドミッタンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出装置において、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互アドミッタンスを算定する相互アドミッタンス算定手段と、
前記相互アドミッタンス算定手段により算定された相互アドミッタンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出手段と、
を備えたことを特徴とする電磁界強度算出装置。
【0136】
(付記6)前記相互アドミッタンス算定手段は、パッチの位置関係が平行である場合には、
∬∬xY/r3dxdXdydY
∬∬x/r3dxdXdydY
∬∬Y/r3dxdXdydY
∬∬1/r3dxdXdydY
∬∬xY/rdxdXdydY
∬∬x/rdxdXdydY
∬∬Y/rdxdXdydY
∬∬1/rdxdXdydY
という8つの四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互アドミッタンスを算定することを特徴とする付記5に記載の電磁界強度算出装置。
【0137】
(付記7)前記相互アドミッタンス算定手段は、パッチの位置関係が垂直である場合には、
∬∬xyZ/r3dxdXdydZ
∬∬xy/r3dxdXdydZ
∬∬xZ/r3dxdXdydZ
∬∬XyZ/r3dxdXdydZ
∬∬Xy/r3dxdXdydZ
∬∬XZ/r3dxdXdydZ
∬∬yZ/r3dxdXdydZ
∬∬x/r3dxdXdydZ
∬∬X/r3dxdXdydZ
∬∬y/r3dxdXdydZ
という10個の四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互アドミッタンスを算定することを特徴とする付記5に記載の電磁界強度算出装置。
【0138】
(付記8)前記相互アドミッタンス算定手段は、長方形のパッチが平行または垂直の位置関係にある場合には解析解を用いて相互アドミッタンスを算定し、前記対象装置が長方形以外のパッチを含む場合若しくはパッチの位置関係が平行または垂直でない場合には、非解析的に相互アドミッタンスを算定することを特徴とする付記5、6または7に記載の電磁界強度算出装置。
【0139】
(付記9)前記相互アドミッタンス算定手段は、各解析解に共通に現れる共通項を算定する共通項算定手段と、前記共通項算定手段により算定された共通項を用いて前記解析解を算定する解析解算定手段と、を備えたことを特徴とする付記5〜8のいずれか一つに記載の電磁界強度算出装置。
【0140】
(付記10)前記相互アドミッタンス算定手段は、解析解が存在しない四重積分については、部分的に数値積分で演算しつつ他の部分を解析的に算定することを特徴とする付記5〜9のいずれか一つに記載の電磁界強度算出装置。
【0141】
(付記11)前記相互アドミッタンス算定手段は、2つのパッチが垂直の位置関係にある場合には、該パッチを座標軸平面上に座標変換をおこなった後に相互アドミッタンスを算定することを特徴とする付記5〜10のいずれか一つに記載の電磁界強度算出装置。
【0142】
(付記12)モーメント法に基づいて対象装置を複数のパッチに分割し、各パッチ間の相互インピーダンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出方法において、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定する相互インピーダンス算定工程と、
前記相互インピーダンス算定工程により算定された相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出工程と、
を含んだことを特徴とする電磁界強度算出方法。
【0143】
(付記13)前記相互インピーダンス算定工程は、各パッチ上に流れる電流方向を考慮して前記パッチの位置関係を複数のパターンに分類し、各パターンごとの相互インピーダンスの算定式に共通に現れる四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定することを特徴とする付記12に記載の電磁界強度算出方法。
【0144】
(付記14)前記相互インピーダンス算定工程は、パッチの位置関係が平行である場合には、
∬∬(1/r)dxdXdydY
∬∬(x/r)dxdXdydY
∬∬(X/r)dxdXdydY
∬∬(xX/r)dxdXdydY
∬∬rdxdXdydY
という5つの四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定することを特徴とする付記12に記載の電磁界強度算出方法。
【0145】
(付記15)前記相互インピーダンス算定工程は、パッチの位置関係が垂直である場合には、
∬∬(1/r)dxdXdydZ
∬∬(x/r)dxdXdydZ
∬∬(X/r)dxdXdydZ
∬∬(xX/r)dxdXdydZ
∬∬rdxdXdydZ
という5つの四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定することを特徴とする付記12に記載の電磁界強度算出方法。
【0146】
(付記16)モーメント法に基づいて対象装置を複数の誘電体のパッチに分割し、各パッチ間の相互アドミッタンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出方法において、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互アドミッタンスを算定する相互アドミッタンス算定工程と、
前記相互アドミッタンス算定工程により算定された相互アドミッタンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出工程と、
を含んだことを特徴とする電磁界強度算出方法。
【0147】
(付記17)前記相互アドミッタンス算定工程は、パッチの位置関係が平行である場合には、
∬∬xY/r3dxdXdydY
∬∬x/r3dxdXdydY
∬∬Y/r3dxdXdydY
∬∬1/r3dxdXdydY
∬∬xY/rdxdXdydY
∬∬x/rdxdXdydY
∬∬Y/rdxdXdydY
∬∬1/rdxdXdydY
という8つの四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互アドミッタンスを算定することを特徴とする付記16に記載の電磁界強度算出方法。
【0148】
(付記18)前記相互アドミッタンス算定工程は、パッチの位置関係が垂直である場合には、
∬∬xyZ/r3dxdXdydZ
∬∬xy/r3dxdXdydZ
∬∬xZ/r3dxdXdydZ
∬∬XyZ/r3dxdXdydZ
∬∬Xy/r3dxdXdydZ
∬∬XZ/r3dxdXdydZ
∬∬yZ/r3dxdXdydZ
∬∬x/r3dxdXdydZ
∬∬X/r3dxdXdydZ
∬∬y/r3dxdXdydZ
という10個の四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互アドミッタンスを算定することを特徴とする付記16に記載の電磁界強度算出方法。
【0149】
(付記19)前記相互アドミッタンス算定工程は、長方形のパッチが平行または垂直の位置関係にある場合には解析解を用いて相互アドミッタンスを算定し、前記対象装置が長方形以外のパッチを含む場合若しくはパッチの位置関係が平行または垂直でない場合には、非解析的に相互アドミッタンスを算定することを特徴とする付記16、17または18に記載の電磁界強度算出方法。
【0150】
(付記20)前記相互アドミッタンス算定工程は、各解析解に共通に現れる共通項を算定する共通項算定工程と、前記共通項算定工程により算定された共通項を用いて前記解析解を算定する解析解算定工程と、を含んだことを特徴とする付記16〜19のいずれか一つに記載の電磁界強度算出方法。
【0151】
(付記21)前記相互アドミッタンス算定工程は、解析解が存在しない四重積分については、部分的に数値積分で演算しつつ他の部分を解析的に算定することを特徴とする付記16〜20のいずれか一つに記載の電磁界強度算出方法。
【0152】
(付記22)前記相互アドミッタンス算定工程は、2つのパッチが垂直の位置関係にある場合には、該パッチを座標軸平面上に座標変換をおこなった後に相互アドミッタンスを算定することを特徴とする付記16〜21のいずれか一つに記載の電磁界強度算出方法。
【0153】
(付記23)モーメント法に基づいて対象装置を複数のパッチに分割し、各パッチ間の相互インピーダンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定する相互インピーダンス算定工程と、
前記相互インピーダンス算定工程により算定された相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出工程と、
を実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0154】
(付記24)モーメント法に基づいて対象装置を複数の誘電体のパッチに分割し、各パッチ間の相互アドミッタンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互アドミッタンスを算定する相互アドミッタンス算定工程と、
前記相互アドミッタンス算定工程により算定された相互アドミッタンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出工程と、
を実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0155】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定し、算定した相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出するよう構成したので、パッチ間の相互インピーダンスを高速かつ効率良く算定することが可能な電磁界強度算出装置が得られるという効果を奏する。
【0156】
また、本発明によれば、パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいてパッチ間の相互アドミッタンスを算定し、算定した相互アドミッタンスに基づいて電磁界強度を算出するよう構成したので、パッチ間の相互アドミッタンスを高速かつ効率良く算定することが可能な電磁界強度算出装置が得られるという効果を奏する。
【0157】
また、本発明によれば、パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定し、算定した相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出するよう構成したので、パッチ間の相互インピーダンスを高速かつ効率良く算定することが可能な電磁界強度算出方法が得られるという効果を奏する。
【0158】
また、本発明によれば、パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいてパッチ間の相互アドミッタンスを算定し、算定した相互アドミッタンスに基づいて電磁界強度を算出するよう構成したので、パッチ間の相互アドミッタンスを高速かつ効率良く算定することが可能な電磁界強度算出方法が得られるという効果を奏する。
【0159】
また、本発明によれば、パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行若しくは直交している場合に、あらかじめ算定した四重積分の解析解に基づいてパッチ間の相互インピーダンスを算定し、算定した相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出する動作をコンピュータによって実現することが可能な記録媒体が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】モーメント法による電磁界強度の算定概念を説明するための説明図である。
【図2】従来の相互インピーダンス算定概念を説明するための説明図である。
【図3】本実施の形態1で用いる電磁界強度算出装置の装置構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態1で前提とするモノポールを流れる電流分布を示す図である。
【図5】2枚の長方形金属パッチの位置関係のパターンを示す図である。
【図6】図5(a)に示す場合における相互インピーダンスの解析解の一例を示す図である。
【図7】シールドボックスモデルを示す図である。
【図8】誘電体パッチからの放射される電磁波の算定概念を説明するための説明図である。
【図9】モノポール間の相互アドミッタンスを算定するモデルを示す図である。
【図10】モノポールの並びが形成するパッチ間の相互アドミッタンスを説明するための説明図である。
【図11】本実施の形態2で用いる電磁界強度算出装置の装置構成を示すブロック図である。
【図12】本実施の形態2で前提とするモノポールを流れる電磁流分布を示す図である。
【図13】2枚の長方形パッチの位置関係のパターンを示す図である。
【図14】相互アドミッタンスの解析解の一例を示す図である。
【図15】部分的に数値積分を用いて展開した一例を示す図である。
【図16】パッチが直交する場合におこなう座標変換を説明するための説明図である。
【図17】図11に示した電磁波強度算出装置による電磁波強度算出手順を示すフローチャートである。
【図18】図17のステップS1705に示した相互アドミッタンスの算定手順を示すフローチャートである。
【図19】四重積分の計算速度を検証する際に用いたモデルを示す図である。
【図20】解析解を用いて四重積分を計算した場合とガウス積分(従来手法)を用いて四重積分を計算した場合との比較図である。
【図21】相互アドミッタンスの解析解の別の例を示す図である。
【符号の説明】
10 電磁界強度算出装置
20 入力データファイル
30 出力データファイル
101 メッシュ化処理部
102 相互インピーダンス算出部
103 電磁界強度算出部
110 電磁界強度算出装置
111 相互アドミッタンス算出部
Claims (5)
- モーメント法に基づいて対象装置を複数のパッチに分割し、各パッチ間の相互インピーダンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出装置において、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行である場合には、
∬∬(1/r)dxdXdydY
∬∬(x/r)dxdXdydY
∬∬(X/r)dxdXdydY
∬∬(xX/r)dxdXdydY
∬∬rdxdXdydY
という5つのあらかじめ算定した四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定し、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が垂直である場合には、
∬∬(1/r)dxdXdydZ
∬∬(x/r)dxdXdydZ
∬∬(X/r)dxdXdydZ
∬∬(xX/r)dxdXdydZ
∬∬rdxdXdydZ
という5つのあらかじめ算定した四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定する相互インピーダンス算定手段と、
前記相互インピーダンス算定手段により算定された相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出手段と、
を備えたことを特徴とする電磁界強度算出装置。 - モーメント法に基づいて対象装置を複数の誘電体のパッチに分割し、各パッチ間の相互アドミッタンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出装置において、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行である場合には、
∬∬xY/r3dxdXdydY
∬∬x/r3dxdXdydY
∬∬Y/r3dxdXdydY
∬∬1/r3dxdXdydY
∬∬xY/rdxdXdydY
∬∬x/rdxdXdydY
∬∬Y/rdxdXdydY
∬∬1/rdxdXdydY
という8つのあらかじめ算定した四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互アドミッタンスを算定し、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が垂直である場合には、
∬∬xyZ/r3dxdXdydZ
∬∬xy/r3dxdXdydZ
∬∬xZ/r3dxdXdydZ
∬∬XyZ/r3dxdXdydZ
∬∬Xy/r3dxdXdydZ
∬∬XZ/r3dxdXdydZ
∬∬yZ/r3dxdXdydZ
∬∬x/r3dxdXdydZ
∬∬X/r3dxdXdydZ
∬∬y/r3dxdXdydZ
∬∬xyZ/rdxdXdydZ
∬∬xy/rdxdXdydZ
∬∬xZ/rdxdXdydZ
∬∬XyZ/rdxdXdydZ
∬∬Xy/rdxdXdydZ
∬∬XZ/rdxdXdydZ
∬∬yZ/rdxdXdydZ
∬∬x/rdxdXdydZ
∬∬X/rdxdXdydZ
∬∬y/rdxdXdydZ
という20個のあらかじめ算定した四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互アドミッタンスを算定する相互アドミッタンス算定手段と、
前記相互アドミッタンス算定手段により算定された相互アドミッタンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出手段と、
を備えたことを特徴とする電磁界強度算出装置。 - モーメント法に基づいて対象装置を複数のパッチに分割し、各パッチ間の相互インピーダンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出方法において、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行である場合には、
∬∬(1/r)dxdXdydY
∬∬(x/r)dxdXdydY
∬∬(X/r)dxdXdydY
∬∬(xX/r)dxdXdydY
∬∬rdxdXdydY
という5つのあらかじめ算定した四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定し、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が垂直である場合には、
∬∬(1/r)dxdXdydZ
∬∬(x/r)dxdXdydZ
∬∬(X/r)dxdXdydZ
∬∬(xX/r)dxdXdydZ
∬∬rdxdXdydZ
という5つのあらかじめ算定した四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定する相互インピーダンス算定工程と、
前記相互インピーダンス算定工程により算定された相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出工程と、
を含んだことを特徴とする電磁界強度算出方法。 - モーメント法に基づいて対象装置を複数の誘電体のパッチに分割し、各パッチ間の相互アドミッタンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出方法において、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行である場合には、
∬∬xY/r3dxdXdydY
∬∬x/r3dxdXdydY
∬∬Y/r3dxdXdydY
∬∬1/r3dxdXdydY
∬∬xY/rdxdXdydY
∬∬x/rdxdXdydY
∬∬Y/rdxdXdydY
∬∬1/rdxdXdydY
という8つのあらかじめ算定した四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互アドミッタンスを算定し、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が垂直である場合には、
∬∬xyZ/r3dxdXdydZ
∬∬xy/r3dxdXdydZ
∬∬xZ/r3dxdXdydZ
∬∬XyZ/r3dxdXdydZ
∬∬Xy/r3dxdXdydZ
∬∬XZ/r3dxdXdydZ
∬∬yZ/r3dxdXdydZ
∬∬x/r3dxdXdydZ
∬∬X/r3dxdXdydZ
∬∬y/r3dxdXdydZ
∬∬xyZ/rdxdXdydZ
∬∬xy/rdxdXdydZ
∬∬xZ/rdxdXdydZ
∬∬XyZ/rdxdXdydZ
∬∬Xy/rdxdXdydZ
∬∬XZ/rdxdXdydZ
∬∬yZ/rdxdXdydZ
∬∬x/rdxdXdydZ
∬∬X/rdxdXdydZ
∬∬y/rdxdXdydZ
という20個のあらかじめ算定した四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互アドミッタンスを算定する相互アドミッタンス算定工程と、
前記相互アドミッタンス算定工程により算定された相互アドミッタンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出工程と、
を含んだことを特徴とする電磁界強度算出方法。 - モーメント法に基づいて対象装置を複数のパッチに分割し、各パッチ間の相互インピーダンスを利用して電磁界強度を算出する電磁界強度算出方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が平行である場合には、
∬∬(1/r)dxdXdydY
∬∬(x/r)dxdXdydY
∬∬(X/r)dxdXdydY
∬∬(xX/r)dxdXdydY
∬∬rdxdXdydY
という5つのあらかじめ算定した四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定し、
前記パッチが長方形であり、かつ、パッチの位置関係が垂直である場合には、
∬∬(1/r)dxdXdydZ
∬∬(x/r)dxdXdydZ
∬∬(X/r)dxdXdydZ
∬∬(xX/r)dxdXdydZ
∬∬rdxdXdydZ
という5つのあらかじめ算定した四重積分の解析解を用いて前記パッチ間の相互インピーダンスを算定する相互インピーダンス算定工程と、
前記相互インピーダンス算定工程により算定された相互インピーダンスに基づいて電磁界強度を算出する電磁界強度算出工程と、
を実行させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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