JP4920470B2 - 交番磁界解析方法、および交番磁界解析プログラム - Google Patents

交番磁界解析方法、および交番磁界解析プログラム Download PDF

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Description

本発明は、金属構造体により散乱される交番磁界を解析する交番磁界解析方法、および交番磁界解析プログラムに関する。
従来、物体から散乱される電磁界分布を解析する際に、マックスウェル方程式から導かれる積分方程式の解法の一つで、物体を小さなパッチ(要素)に分割して電流分布を計算する電界積分方程式モーメント法が用いられることが多い(例えば、特許文献1参照)。
図16は、この電界積分方程式モーメント法による電磁界分布を解析する従来の手順の概念を説明するためのフロー図である。なお、以下、符号Sは各処理ステップを意味する。
まず、金属構造体である散乱体表面を要素(パッチ)に分割する(S1)。次に、電磁波源が金属構造体上に作る電界を求め、この電界を元に電圧ベクトルが計算される(S2)。次に、各パッチ間の相互インピーダンス行列を算出し、行列方程式を生成する(S3)。この行列方程式を解くことによって電流分布を求まる(S4)。得られた電流分布より散乱される交番磁場の強度が計算される(S5)。
つまり、電界積分方程式モーメント法では、[Z]をインピーダンス行列、[I]を散乱導体上の未知数電流、[V]を電磁波源が散乱導体上に作る電界による電圧とすると、
[Z]・[I]=[V]
というインピーダンス行列方程式を解いて電流[I]を求め、この電流[I]から空間上の交番磁界Bを求める。
特開2001−188075号公報
いま、コイルアンテナより発生する比較的低周波(10kHz〜10MHz)の交番磁界が自動車等の金属構造体より散乱される場合、一般的な電界積分方程式モーメント法では、任意の周波数の任意形状のアンテナより放射される電磁界を求めることが可能である。
しかし、従来の方法は、電磁波源であるコイルアンテナのコイル導体を流れる電流によって生じる電界の影響も考慮してモデル化するため、計算処理の時間と手間とが膨大になる。また、磁性体コアにコイル導体を巻き付けてなるコイルアンテナ(磁性体バーアンテナ)については、電界積分方程式モーメント法で取り扱うことができなかった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、電界積分方程式モーメント法を用いてコイルアンテナとその近傍の金属構造体の交番磁界の強度分布を、従来よりも計算負荷を大幅に省きつつ、従来と同様の精度でもって解析することができる交番磁界解析方法、およびその解析プログラムを提供することを目的とする。
いま、電磁波源を比較的低周波帯のコイルアンテに限定し、しかも、そのコイルアンテナとその近傍の金属構造体の交番磁界分布のみを解析対象とすることを前提とした場合には、コイルアンテナやその近傍の金属構造体などを含む交流電界の影響を無視してもかまわない。そして、交流電界の影響を無視したモデル化を行えば、電磁波源が金属構造体上で散乱されて作る電界を元に電圧ベクトルを計算する際に要する負荷を大幅に軽減することができる。
本発明の交番磁界解析方法は、かかる知見に基づいてなされたもので、上記の目的を達成するために、コイルアンテナを交番磁界の発生源とし、金属構造体によって散乱される交番磁界を解析する際に、上記金属構造体である散乱体表面をパッチに分割する第1ステップと、上記交番磁界発生源が上記金属構造体上に作る電界を求めてこの電界を元に電圧ベクトルを計算する第2ステップと、各要素間の相互インピーダンス行列を算出して行列方程式を生成する第3ステップと、この行列方程式を解くことによって電流分布を求める第4ステップと、得られた電流分布より散乱される交番磁場の強度を計算する第5ステップとを含む交番磁界解析方法において、上記コイルアンテナが磁性体コアを有しない場合には、上記第1ステップと第2ステップとの間に、上記交番磁界発生源の電荷を無視して等価電流源に置き換え、この等価電流源が作る磁気ベクトルポテンシャルを求める第6ステップを追加したことを特徴としている。
なお、コイルアンテナが磁性体コアを有する場合には、上記の第6ステップとして、静磁界の計算手法を用いて磁化を求め、この磁化と等価の磁界を作る等価電流源に置き換え、この等価電流源が作る磁気ベクトルポテンシャルを求めるようにしてもよい。あるいは、第6ステップを設けず、上記第2ステップにおいて、静磁界の磁気モーメント法に基づく計算手法を用いて磁気ベクトルポテンシャルを直接に計算し、この磁気ベクトルポテンシャルを用いて上記交番磁界発生源が金属構造体上に作る電界を求め、この電界を元に電圧ベクトルを計算するようにしてもよい。
本発明によれば、コイルアンテナやその近傍の金属構造体の交番磁界の強度分布を解析する場合、交流磁界のみを考慮してコイルアンテナやその近傍の金属構造体などを含む交流電界の影響を無視した等価電流モデルを作成するので、少ない未知数で電磁波源であるアンテナをモデル化することができる。また、交番磁界発生源となるコイルアンテナが磁性体を含む場合には、磁化をループ状の等価電流で置き換える。このため、電界積分方程式モーメント法を用いてアンテナやその近傍の金属構造体の交番磁界の強度分布を、従来よりも計算処理の時間と手間を大幅に省きつつ、従来と同様の精度でもって解析することが可能となる。
コイルアンテナには、磁性体コアが無いものと、磁性体コアが存在するものの2種類がある。そこで、実施の形態1では、簡単な磁性体コアが無い場合について説明し、次に、実施の形態2,3では磁性体コアが存在する場合について説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における交番磁界解析方法の解析手順を示すフロー図である。
この実施の形態1の特徴は、図16に示した従来の電界積分方程式モーメント法と比較すると、金属構造体である散乱体表面を要素(パッチ)に分割する処理ステップ(S1)と、電磁波源が金属構造体上に作る電界を元に電圧ベクトルを計算する処理ステップ(S2)との間に、交番磁界発生源の電荷を無視して等価電流源のモデルに置き換え、この等価電流源が作る磁気ベクトルポテンシャルを求める処理ステップ(S6)が追加されていることである。
前述のように、電界積分方程式モーメント法では、
[Z]・[I]=[V]
というインピーダンス行列方程式を解いて未知の電流分布を算出し、得られた電流分布より散乱される交番磁場の強度を算出する。
ここで、いま図2に示すように、円形の1ループのコイル導体11に電源部12が設けられたコイルアンテナ10を考えると、このコイルアンテナ10が作る電界は、次のように計算される。
E=jωA−gradφ
ただし、Eは電界で、jは虚数単位、Aは磁気ベクトルポテンシャル、φは電気スカラーポテンシャルである。
また、ローレンツゲージを用いると、磁気ベクトルポテンシャルAと電気スカラーポテンシャルφは、それぞれ次の式(1)で求めることができる。
Figure 0004920470
ただし、kは波数、Jは電流密度ベクトル、ρは、電荷密度である。
このコイルアンテナ10では、電源部12に電荷が発生し、コイル導体11に電流が流れる。通常、電界積分方程式モーメント法を適用する際には、電磁波源が作る散乱導体上の電界を正しく計算するために、磁気ベクトルポテンシャルAと、電気スカラーポテンシャルφを考慮しなくてはならない。
ところが、磁界は、rotA=Bという式より導出されるため、磁界のみ正しく計算できればよいという立場を取ると、磁気ベクトルポテンシャルAさえ正確に求まればよいということになる。つまり、比較的低周波帯で磁界分布のみを解析対象としてコイルアンテナやその近傍の散乱導体となる金属構造体の交番磁界のみを解析するとすれば、計算の仮定で用いる電界については、必ずしも正しいものを用いる必要がない。したがって、上記のことから、電磁波源が散乱導体上に作る電界をE=jωAとして代用しても、最終的に得られる磁界は、同様のものが得られる。
そこで、コイル導体11に流れる電流のみを用いて、磁気ベクトルポテンシャルAを次式で求めて、E=jωAを用いて電界(実際の電界そのものは正確でない)の計算を行うことが可能である。
Figure 0004920470
また、解析する対象となる交番磁界は低周波であることを前提としているため、磁気ベクトルポテンシャルAはさらに簡単な式を用いることが可能である。すなわち、式(2)にk=0を代入することによって、次式(3)が得られる。
Figure 0004920470
このように、コイルアンテナ10の電源部12により生じる電界分布を無視して、コイル導体11に流れる電流のみを交番磁界発生源としてモデル化しても、電界積分方程式モーメント法によって得られる低周波散乱磁界分布を精度良く算出することができる。
特に、コイルアンテナに磁性体コアが存在しない場合で、かつ、コイルアンテナが複数ループのコイル導体で構成されている場合、電源部により生じる電界分布を無視するので、各コイル導体間に生じる静電容量の影響を考慮する必要がない。そのため、複数ループのコイルアンテナを1ループごとにリング状に輪切りされ仮想的なコイル導体としてモデル化することができ、しかも、その際、各ループのコイル導体に流れる電流の電流値は全て同じとして取り扱うことができる。
次に、具体例について、図3に示すモデルを例にとって説明する。この例のコイルアンテナ10は、半径0.1mの1ループのコイル導体11を備え、このコイル導体11のX軸方向の0.1mmの位置に給電点12があるものとする。また、このコイルアンテナ10から0.1m離れた位置に、半径0.1mの穴のあいた半径0.3mの円板形の金属構造体13が存在するものとする。そして、これらの近傍の交番磁界を解析するものとする。
まず、金属構造体13がない場合を考える。この場合、従来の電界積分方程式モーメント法では、給電点12とコイル導体11をモデル化してコイル導体11上の電流を未知変数として扱う。このときに得られるコイルアンテナが作る電磁界分布を計算した結果を図4に示す。また、本発明の等価電流源モデルを適用してコイルアンテナの電磁界分布を計算した結果を図5に示す。
図4と図5を比較すると、従来法のコイルアンテナが作る電界分布(図4(a))と、本発明の等価電流源モデルを適用したコイルアンテナが作る磁界分布(図5(a))とは一致するが、従来法のコイルアンテナが作る電界分布(図4(b))と、本発明の等価電流源モデルを適用した場合にコイルアンテナが作る電界分布(図5(b))とは全く異なることが確認できる。すなわち、従来法のコイルアンテナより発生する磁界は軸対称であるが、電界は軸対称にならない。
その原因は、給電点12において、給電に伴って発生する電荷を考慮するか、無視するかに起因する。すなわち、従来では給電に伴い発生する電荷を考慮して計算しているが、本発明の等価電流源モデルを用いた場合には、この電荷を無視して計算することになる。つまり、電荷は磁界を作らないため、交番磁界のみを解析する場合には電界の影響を無視して構わない。
次に、このコイルアンテナ10に対して金属構造体13が存在する場合において、図6に従来法によって求めた散乱電磁界の分布を、図7に等価電流源モデルを用いた場合の散乱電磁界の分布をそれぞれ示す。コイルアンテナ10が単体のときと同様に、従来法によって解析される散乱磁界分布(図6(a))と等価電流源モデルによって解析される散乱磁界分布(図7(a))は一致するが、従来法によって解析される散乱電界分布(図6(b))と等価電流源モデルを用いた場合の散乱電界分布(図7(b))とは一致しない。
これも同様に、給電に伴い発生する電荷を考慮するか、無視するかに起因する。すなわち、従来では給電に伴い発生する電荷を考慮して計算しているが、本発明の等価電流源モデルを用いた場合には、この電荷を無視して計算することになる。つまり、電荷は磁界を作らないため、交番磁界のみを解析する場合には電界の影響を無視して構わない。
このように、従来法では金属構造体13に誘起される電荷が発生するため、軸対称でない電界分布が解析される。これに対して、本発明の等価電流源モデルを用いた場合には、金属構造体13上に電荷が誘起されないため、軸対称な電界分布が解析される。この等価電流源モデルを用いる方法は、コイル上に未知数を設定しないため、従来法に比べて少ない未知数で解析を行うことができる。
そして、電界積分方程式モーメント法は、基本的には電磁波源が金属構造体上に作る電界を元に電圧ベクトルを計算する手順を踏むので(S2)、例えば図3に示したモデルの場合には、コイルアンテナ10を等価電流源としてモデル化し、この等価電流源が作る磁気ベクトルポテンシャルを求める。そして、次の処理ステップS2において、図7(b)に示すようなコイルアンテナ10および金属構造体13上に発生する電界を求めて電圧ベクトルが計算される。その後の図1における処理ステップS3〜S5は、図16に示した従来の処理ステップの内容と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
実施の形態2.
上記の実施の形態1ではコイルアンテナに磁性体コアが存在しない場合について説明したが、この実施の形態2では、磁性体コアが存在する場合について説明する。
いま、図8に示すように、フェライト等の棒状に形成された磁性体コア21の略中央部にコイル導体22が巻回されてなるコイルアンテナ(磁性体バーアンテナ)20について着目する。なお、23は給電点である。この場合も、前述の(1)の場合と同様の議論を適用することができる。すなわち、図9に示すように、磁性体コア21とコイル導体22の双方を含めて、磁性体コア21の半径と同じ半径を持つリング状に個々に輪切りされた仮想的なコイル導体25としてモデル化を行い、同等の磁化を持つ等価電流源に置き換えることが可能である。
ただし、上記の実施の形態1では、磁性体コア21が存在しない場合を前提としているので、仮想的な各コイル導体25に流れる電流の電流値は全て同じとして取り扱うことができるが、この実施の形態2では、磁性体コア21が存在するため、仮想的な各コイル導体25に流れる電流の電流値は、磁性体コア21の磁化の影響により磁性体コア21の軸方向の位置に応じて変化する。
そこで、ここでは、等価電流源としての仮想的な各コイル導体25の電流値を未知数として、最小自乗法などの最適化手法によって電流値を求める。すなわち、各コイル導体25間の距離は、そのブロックで一様な磁界を持つと近似すると、ヘルムホルツコイルの条件であるb=a(ただし、aはコイル導体の半径、bは各コイル導体間の距離)に近い値として設定することが可能である。
このように、静磁界の計算方法を用いて磁化を求め、それと同様の磁界を作る仮想的な各コイル導体25を等価電流源として置き換えることによって、各コイル導体25の各電流値を求めることができる。
図10に示すように、図8に示した磁性体バーアンテナ20の近傍に評価点pを設定した場合において、図9に示すようにモデル化して最適化方手法によって電流分布を求めた結果を図11に示す。この結果から分かるように、磁性体コア21の軸方向Zにおいてコイル導体22が存在する中央位置で最も電流値Iが大きく、磁性体コア21の端部に近づくにつれて電流値は小さくなっている。
このように、磁性体コア21が存在するコイルアンテナの場合であっても、最適化方手法による等価電流源を用いることにより、コイルアンテナが散乱導体上に作る磁気ベクトルポテンシャルは正しく求まるため、電界積分方程式モーメント法によって低周波散乱磁界分布を精度良く解析することができる。
実施の形態3.
上記の実施の形態2の場合は、磁性体コア21が存在する場合の電界分布を計算するに際して、最適化手法によって交番磁界発生源の等価電流源モデルを作成して得られ電流分布から電界分布を求めているが、電界分布は、電流分布を求めなくても、磁気モーメント法などの静磁界解析の方法で算出することもできる。すなわち、実施の形態2のように、処理ステップS6で等価電流源のモデルを作成しなくても、処理ステップ6を省いて処理ステップ2で電界分布を直接的に求めることが可能である。
すなわち、静磁界の計算方法に、磁気モーメント法という計算手法が既に存在する。この磁気モーメント法は、静磁界の計算手法であるため、電荷は考慮されないが、磁性体コア21の磁化を正確に求めることが可能である。そして、磁性体コア21の磁化が計算できると、散乱導体上での磁気ベクトルポテンシャルAを求めることが可能である。
したがって、磁性体コア21を有するコイルアンテナにおいては、磁気モーメント法などの静磁界解析の計算手法によって、散乱導体上の磁気ベクトルポテンシャルAを交番磁界発生源としてモデル化しても、電界積分方程式モーメント法によって低周波散乱磁界分布を精度良く解析することができる。
[実施例]
メカキーを使用せずに車両のドアの施錠/開錠、エンジン起動等を行う、いわゆるスマートエントリに代表される磁場通信システムにおいて、自動車によって散乱される交番磁界分布を設計することは工学的に重要な課題である。
そこで、ここでは、図12に示すように、自動車の中に配置された磁性体バーアンテナ30によって発生する交番磁場が自動車を模擬した金属構造体33によって散乱される場合の交番磁界分布を、実施の形態2で示した等価電流源のモデルを用いて解析した場合の一例について説明する。
図13は、図12に示す自動車を模擬した金属構造体33をZ軸方向に0.55mの位置で水平に切断した場合の平面断面図である。
そして、この自動車の前後の窓の各中央位置(符号L1,L2のラインで示す位置)において交番磁界分布を調べた結果を図14、図15にそれぞれ示す。すなわち、図14は符号L1のライン位置での交番磁界(Bx,By,Bz)の分布を示すもので、実線が本発明に基づく解析結果、各点が実測結果である。また、図15は符号L2のライン位置での交番磁界(Bx,By,Bz)の分布を示すもので、実線が本発明に基づく解析結果、各点が実測結果である。
解析結果(実線)を実測値(各点)と比較すると、高精度に解析が可能であることが理解される。このように、本発明の等価電流源のモデルを適用すると、コイル上に未知数を設定しないため、従来法に比べて少ない未知数で解析を行うことができる。
本発明の実施の形態1における交番磁界解析方法の解析手順を説明するためのフロー図である。 電磁波源の等価電流モデルを作成する場合に1ターンのループコイルからなるコイルアンテナを考えた場合の説明図である。 コイルアンテナと金属構造体が作る電磁界分布を計算する場合のモデルの一例を示す説明図である。 図3のモデルにおいて、金属構造体がない場合を前提として従来の電界積分方程式モーメント法で計算される電磁界分布を示す特性図であり、同図(a)は磁界分布を、同図(b)は電界分布をそれぞれ示している。 図3のモデルにおいて、金属構造体がない場合を前提として本発明の等価電流モデルを適用して電界積分方程式モーメント法で計算される電磁界分布を示す特性図であり、同図(a)は磁界分布を、同図(b)は電界分布をそれぞれ示している。 図3のモデルにおいて、金属構造体が存在する場合の従来の電界積分方程式モーメント法で計算される電磁界分布を示す特性図であり、同図(a)は磁界分布を、同図(b)は電界分布をそれぞれ示している。 図3のモデルにおいて、金属構造体が存在する場合の本発明の等価電流モデルを適用して電界積分方程式モーメント法で計算される電磁界分布を示す特性図であり、同図(a)は磁界分布を、同図(b)は電界分布をそれぞれ示している。 本発明の実施の形態2における交番磁界解析方法において、磁性体コアにコイル導体が巻回されてなるコイルアンテナ(磁性体バーアンテナ)を示す斜視図である。 図8のコイルアンテナについて、等価電流源モデルを適用して同等の磁化を持つ複数の1ループごとのコイル導体に置き換えてモデル化した場合の説明図である。 図8に示した磁性体バーアンテナの近傍に設定した磁場の評価点の位置を示す図である。 図9に示すようにモデル化された等価電流源の電流分布を最適化方手法によって求めた結果を示す特性図である。 自動車の中に配置されたコイルアンテナによって発生する交番磁場が自動車を模擬した金属構造体によって散乱される場合の交番磁界分布を求めるために、金属構造体をパッチ分割した状態を示す説明図である。 図12に示す自動車を模擬した金属構造体を水平に切断した場合の平面断面図である。 図13において符号L1のラインで示す位置おける交番磁界分布を等価電流モデルを用いて解析した場合の結果を示す特性図である。 図13において符号L2のラインで示す位置における交番磁界分布を等価電流モデルを用いて解析した場合の結果を示す特性図である。 従来の交番磁界解析方法の解析手順を説明するためのフロー図である。
符号の説明
10 コイルアンテナ、11 コイル導体、13 金属構造体、
20 コイルアンテナ(磁性体バーアンテナ)、22 コイル導体、
25 仮想的なコイル導体(等価電流源)。

Claims (5)

  1. コイルアンテナを交番磁界の発生源とし、金属構造体によって散乱される交番磁界を解析する際に、上記金属構造体である散乱体表面をパッチに分割する第1ステップと、上記交番磁界発生源が上記金属構造体上に作る電界を求めてこの電界を元に電圧ベクトルを計算する第2ステップと、各要素間の相互インピーダンス行列を算出して行列方程式を生成する第3ステップと、この行列方程式を解くことによって電流分布を求める第4ステップと、得られた電流分布より散乱される交番磁場の強度を計算する第5ステップとを含む交番磁界解析方法において、
    上記コイルアンテナが磁性体コアを有しない場合には、上記第1ステップと第2ステップとの間に、上記交番磁界発生源の電荷を無視して等価電流源に置き換え、この等価電流源が作る磁気ベクトルポテンシャルを求める第6ステップを追加したことを特徴とする交番磁界解析方法。
  2. コイルアンテナを交番磁界の発生源とし、金属構造体によって散乱される交番磁界を解析する際に、上記金属構造体である散乱体表面をパッチに分割する第1ステップと、上記交番磁界発生源が上記金属構造体上に作る電界を求めてこの電界を元に電圧ベクトルを計算する第2ステップと、各要素間の相互インピーダンス行列を算出して行列方程式を生成する第3ステップと、この行列方程式を解くことによって電流分布を求める第4ステップと、得られた電流分布より散乱される交番磁場の強度を計算する第5ステップとを含む交番磁界解析方法において、
    上記コイルアンテナが磁性体コアを有する場合には、上記第1ステップと第2ステップとの間に、静磁界の計算手法を用いて磁化を求め、この磁化と等価の磁界を作る等価電流源に置き換え、この等価電流源が作る磁気ベクトルポテンシャルを求める第6ステップを追加したことを特徴とする交番磁界解析方法。
  3. コイルアンテナを交番磁界の発生源とし、金属構造体によって散乱される交番磁界を解析する際に、上記金属構造体である散乱体表面をパッチに分割する第1ステップと、上記交番磁界発生源が上記金属構造体上に作る電界を求めてこの電界を元に電圧ベクトルを計算する第2ステップと、各要素間の相互インピーダンス行列を算出して行列方程式を生成する第3ステップと、この行列方程式を解くことによって電流分布を求める第4ステップと、得られた電流分布より散乱される交番磁場の強度を計算する第5ステップとを含む交番磁界解析方法において、
    上記コイルアンテナが磁性体コアを有する場合には、上記第2ステップにおいて、静磁界の磁気モーメント法に基づく計算手法を用いて磁気ベクトルポテンシャルを直接に計算して、この磁気ベクトルポテンシャルを用いて上記交番磁界発生源が金属構造体上に作る電界を求め、この電界を元に電圧ベクトルを計算することを特徴とする交番磁界解析方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載の第1ステップから第6ステップを実行させる交番磁界解析プログラム。
  5. 請求項3に記載の第1ステップから第5ステップを実行させる交番磁界解析プログラム。
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