JPWO2004109560A1 - 回路解析と電磁波解析との連携による電磁界強度算出装置および算出方法 - Google Patents
回路解析と電磁波解析との連携による電磁界強度算出装置および算出方法 Download PDFInfo
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Abstract
回路解析と電磁波解析との連携処理が可能な装置における電磁界強度算出処理を高速化することを目的とし、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定する判定部2と、素子のすべてが線形素子である時、該線形素子を含む解析対象のモデルを用いて、解析対象から放射される電磁波を解析する解析処理部3と、素子の1つ以上が非線形素子である時、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析法を適用すべき電磁波解析モデル、および2つのモデルを結合する1つ以上のポートに分離して、解析対象から放射される電磁波を解析する連携処理部4とを備える。
Description
本発明は、電子機器などから放射される電磁波による電磁界強度の算出方式に係わり、更に詳しくは解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子であるか、非線形素子であるかによって、異なる電磁界強度算出方法を用いる電磁界強度算出装置に関する。
電子機器から放射される電磁波は、機器の高性能化および小型化に伴い、益々問題となっている。また回路の複雑化に伴い、ノイズ電圧による機器の誤動作などの対策にも大きな苦労が必要となっている。
電子機器から放射される電磁波をシミュレーションする手法として、モーメント法など様々な電磁波解析手法がある。モーメント法では、電子機器のプリント基板や金属板などがパッチと呼ばれる面状の要素に分割され、また例えばアンテナはワイヤと呼ばれる線状要素に分割されて、解析が行なわれる。
非線形回路素子などを含む電子機器からの放射電磁波解析を行なう場合には、電磁波解析だけでなく、回路解析法を組み合わせて解析を行なう必要がある。このように電磁波解析と回路解析を組み合わせた解析法として、次の文献が発表されている。
J.A.Landt,″Network loading of thin−wire antennas and scatters in the time domain″,Radio Science,Vol.16,pp1241−1247,1981.
電子機器から放射される電磁波をシミュレーションする手法として、モーメント法など様々な電磁波解析手法がある。モーメント法では、電子機器のプリント基板や金属板などがパッチと呼ばれる面状の要素に分割され、また例えばアンテナはワイヤと呼ばれる線状要素に分割されて、解析が行なわれる。
非線形回路素子などを含む電子機器からの放射電磁波解析を行なう場合には、電磁波解析だけでなく、回路解析法を組み合わせて解析を行なう必要がある。このように電磁波解析と回路解析を組み合わせた解析法として、次の文献が発表されている。
J.A.Landt,″Network loading of thin−wire antennas and scatters in the time domain″,Radio Science,Vol.16,pp1241−1247,1981.
この文献では、時間領域モーメント法と呼ばれる電磁波解析手法と、回路解析法とが組み合わされて解析が行われている。この解析ではアンテナが回路網に接続されている解析対象に対して、アンテナとしてのワイヤが直線状の複数のセグメントに分割され、各セグメントを流れる未知のアンテナ電流についてのn元の方程式と、回路網の電流に対するm元の方程式とが作られ、解析が行なわれている。
このように電磁波解析と回路解析とを組み合せる場合には、一般に解析対象が非線形回路部品を含む回路解析モデルと、ワイヤやパッチなどによって構成される電磁波解析モデルと、2つのモデルの接続部としてのポートに分離されて解析が行なわれるが、非特許文献1ではこのポートが1個のみの場合に限定して解析が行なわれ、n+m元の連立方程式によって表される系がn元とm元との2つの系について独立して解くことができる問題に簡単化されて、アンテナ電流が求められ、電磁波解析が行なわれている。
回路解析法と電磁波解析法とを組み合わせる他の手法として、有限差分時間領域(フィニット・ディファレンス・タイム・ドメイン,FDTD)電磁界解析法と、回路解析法を組み合わせる手法あり、次の文献に開示されている。
特開平11−153634号公報「シミュレーション装置及びシミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」 特開2000−330973「有限差分時間領域電磁界解析法を過度電気回路解析法に結合するハイブリッド解析方法及びハイブリッド有限差分時間領域電磁界−過度電気回路解析装置」
このように電磁波解析と回路解析とを組み合せる場合には、一般に解析対象が非線形回路部品を含む回路解析モデルと、ワイヤやパッチなどによって構成される電磁波解析モデルと、2つのモデルの接続部としてのポートに分離されて解析が行なわれるが、非特許文献1ではこのポートが1個のみの場合に限定して解析が行なわれ、n+m元の連立方程式によって表される系がn元とm元との2つの系について独立して解くことができる問題に簡単化されて、アンテナ電流が求められ、電磁波解析が行なわれている。
回路解析法と電磁波解析法とを組み合わせる他の手法として、有限差分時間領域(フィニット・ディファレンス・タイム・ドメイン,FDTD)電磁界解析法と、回路解析法を組み合わせる手法あり、次の文献に開示されている。
前述の時間領域モーメント法では、アンテナをセグメントに分割したようにモデル自身を分割し、そのモデルに流れる電流を求め、求められた電流に基づいて電界、あるいは磁界が算出される。これに対してFDTD法では、モデルを含めた空間をブロックに分割し、空間における電磁界を、電流を求めることなしに、直接に求めるところに特徴がある。
特許文献1では、電磁波解析と回路解析とを連携させたシミュレーション装置において、回路解析の時刻が電磁波解析において電界を求めるべき時刻に接近した際に、回路解析に基づく電界値(回路が存在する領域の電界値)を電磁波解析に引き渡すことによって、引き渡された電界値を求めた時刻と、その電界値を反映させて電磁波解析において求められる電界の時刻との差が小さくなり、安定した解析結果を求めることができるシミュレーション装置が開示されている。
特許文献2は、FDTD法と過度電気回路解析(トランジェント・エレクトリック・サーキット・アナリシス,TECA)法とを結合したハイブリッド解析方法、および解析装置が開示されている。
このように電磁波対策やノイズ対策のためにシミュレーションを用いることによって、試作機や測定のコストダウンが実現される。実際のシミュレータとしては、ノイズ対策用には回路シミュレータ(SPICEなど)が、電磁波対策には電磁界シミュレータ(モーメント法やFDTD法によるシミュレータ)が用いられている。
以上のように、例えばダイオードなどの非線形回路部品を含む電子機器から放射される電磁波をシミュレーションする手法として、電磁波解析と回路解析とを組み合わせたいくつかの手法が提案されているが、まず非特許文献1では回路解析モデルと電磁波解析モデルとの接続箇所としてのポートが1つのみの場合についてしか適用できず、2つのモデルの間に複数のポートが存在するような解析対象を一般的に取り扱うことができないという問題点があった。さらに、この文献においては、何の障害もない伝送線路に対応してポートの電圧が計算されており、グランド層に穴があいている場合などは計算できないという問題点もあった。
また特許文献1や特許文献2のように、FDTD法と回路解析とを組み合わせる手法では、モデルを含めた空間がブロック化されるため、例えばモデルから100m離れた点における電磁界を求めるためには、その点まで含めた空間をブロックに分割する必要があり、計算量が大きくなるという問題点があった。
また空間をブロックに分割するために、ダイポールアンテナやスパイラルアンテナなどのように線状の要素を含む解析対象の場合には、アンテナ自体をブロック分割するのが難しく、十分な計算精度が得られないという問題点があった。
さらに、回路解析法と電磁波解析法とを組み合わせる場合、前述のように回路解析モデルと電磁波解析モデルとの接続部としてのポートは、解析対象内の電気回路を構成する回路素子、一般に複数の素子にそれぞれ対応するポートとなり、素子の数が多い場合には回路解析と電磁波解析との連携処理に時間がかかるという問題点があった。
また一般に回路シミュレータ、例えばSPICEと、モーメント法などを用いる電磁波シミュレータとのそれぞれの計算の時間の刻みは通常別々となり、時間の待ち合わせをする必要があり、全体としての計算時間はシミュレータそれぞれ単独で動作するよりも長くなってしまうという問題点もあった。
図1はこの問題点の説明図である。同図において回路解析と時間領域モーメント法とのそれぞれの横軸の上に解析が行なわれる時刻が示されているが、モーメント法の計算が行われている時刻t2では回路解析が行なわれていない。このため回路解析側で横軸の下に示されているように、時刻を戻して計算を行なう必要がある。
特許文献1では、電磁波解析と回路解析とを連携させたシミュレーション装置において、回路解析の時刻が電磁波解析において電界を求めるべき時刻に接近した際に、回路解析に基づく電界値(回路が存在する領域の電界値)を電磁波解析に引き渡すことによって、引き渡された電界値を求めた時刻と、その電界値を反映させて電磁波解析において求められる電界の時刻との差が小さくなり、安定した解析結果を求めることができるシミュレーション装置が開示されている。
特許文献2は、FDTD法と過度電気回路解析(トランジェント・エレクトリック・サーキット・アナリシス,TECA)法とを結合したハイブリッド解析方法、および解析装置が開示されている。
このように電磁波対策やノイズ対策のためにシミュレーションを用いることによって、試作機や測定のコストダウンが実現される。実際のシミュレータとしては、ノイズ対策用には回路シミュレータ(SPICEなど)が、電磁波対策には電磁界シミュレータ(モーメント法やFDTD法によるシミュレータ)が用いられている。
以上のように、例えばダイオードなどの非線形回路部品を含む電子機器から放射される電磁波をシミュレーションする手法として、電磁波解析と回路解析とを組み合わせたいくつかの手法が提案されているが、まず非特許文献1では回路解析モデルと電磁波解析モデルとの接続箇所としてのポートが1つのみの場合についてしか適用できず、2つのモデルの間に複数のポートが存在するような解析対象を一般的に取り扱うことができないという問題点があった。さらに、この文献においては、何の障害もない伝送線路に対応してポートの電圧が計算されており、グランド層に穴があいている場合などは計算できないという問題点もあった。
また特許文献1や特許文献2のように、FDTD法と回路解析とを組み合わせる手法では、モデルを含めた空間がブロック化されるため、例えばモデルから100m離れた点における電磁界を求めるためには、その点まで含めた空間をブロックに分割する必要があり、計算量が大きくなるという問題点があった。
また空間をブロックに分割するために、ダイポールアンテナやスパイラルアンテナなどのように線状の要素を含む解析対象の場合には、アンテナ自体をブロック分割するのが難しく、十分な計算精度が得られないという問題点があった。
さらに、回路解析法と電磁波解析法とを組み合わせる場合、前述のように回路解析モデルと電磁波解析モデルとの接続部としてのポートは、解析対象内の電気回路を構成する回路素子、一般に複数の素子にそれぞれ対応するポートとなり、素子の数が多い場合には回路解析と電磁波解析との連携処理に時間がかかるという問題点があった。
また一般に回路シミュレータ、例えばSPICEと、モーメント法などを用いる電磁波シミュレータとのそれぞれの計算の時間の刻みは通常別々となり、時間の待ち合わせをする必要があり、全体としての計算時間はシミュレータそれぞれ単独で動作するよりも長くなってしまうという問題点もあった。
図1はこの問題点の説明図である。同図において回路解析と時間領域モーメント法とのそれぞれの横軸の上に解析が行なわれる時刻が示されているが、モーメント法の計算が行われている時刻t2では回路解析が行なわれていない。このため回路解析側で横軸の下に示されているように、時刻を戻して計算を行なう必要がある。
本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定して、その結果に対応して処理を切り換えることによって電磁界強度算出処理を高速化する、電磁界強度算出装置および算出方法を提供することである。
本発明の電磁界強度算出装置は、少なくとも回路素子判定手段、電磁波解析処理手段、および回路解析と電磁波解析との連携処理手段を備える。
回路素子判定手段は、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定するものである。この判定は、例えば素子の名称に対応して行なわれることも、また回路解析に必要とされるデータ内のあらかじめ定められた記号に対応して行なわれることもできる。
電磁波解析処理手段は、電気回路を構成する素子の全てが線形素子である時に、それらの線形素子を含む解析対象のモデルを用いて、解析対象から放射される電磁波を解析するものである。実施の形態においては、この電磁波解析の方法として、例えば時間領域モーメント法を用いることもできる。
回路解析と電磁波解析との連携処理手段は、電気回路を構成する素子の1つ以上が非線形素子である時、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析方法を適用すべき電磁波解析モデル、およびこれら2つのモデルを結合する接続箇所としての1つ以上のポートに分離して、解析対象から放射される電磁波を解析するものであり、実施の形態においては電磁波解析の方法として、例えば時間領域モーメント法、回路解析の方法として修正節点解析法を用いることもできる。
次に本発明の電磁波強度算出方法において、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定し、素子の全てが線形素子である時、線形素子を含む解析対象のモデルを用いて解析対象から放射される電磁波を解析し、素子の1つ以上が非線形である時、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析方法を適用すべき電磁波解析モデル、およびこれら2つのモデルを結合する接続箇所としての1つ以上のポートに分離して、解析対象から放射される電磁波を解析する方法が用いられる。
以上のように本発明によれば、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定し、その判定結果に対応して電磁波解析方法の切り換えが行なわれる。
本発明の電磁界強度算出装置は、少なくとも回路素子判定手段、電磁波解析処理手段、および回路解析と電磁波解析との連携処理手段を備える。
回路素子判定手段は、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定するものである。この判定は、例えば素子の名称に対応して行なわれることも、また回路解析に必要とされるデータ内のあらかじめ定められた記号に対応して行なわれることもできる。
電磁波解析処理手段は、電気回路を構成する素子の全てが線形素子である時に、それらの線形素子を含む解析対象のモデルを用いて、解析対象から放射される電磁波を解析するものである。実施の形態においては、この電磁波解析の方法として、例えば時間領域モーメント法を用いることもできる。
回路解析と電磁波解析との連携処理手段は、電気回路を構成する素子の1つ以上が非線形素子である時、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析方法を適用すべき電磁波解析モデル、およびこれら2つのモデルを結合する接続箇所としての1つ以上のポートに分離して、解析対象から放射される電磁波を解析するものであり、実施の形態においては電磁波解析の方法として、例えば時間領域モーメント法、回路解析の方法として修正節点解析法を用いることもできる。
次に本発明の電磁波強度算出方法において、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定し、素子の全てが線形素子である時、線形素子を含む解析対象のモデルを用いて解析対象から放射される電磁波を解析し、素子の1つ以上が非線形である時、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析方法を適用すべき電磁波解析モデル、およびこれら2つのモデルを結合する接続箇所としての1つ以上のポートに分離して、解析対象から放射される電磁波を解析する方法が用いられる。
以上のように本発明によれば、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定し、その判定結果に対応して電磁波解析方法の切り換えが行なわれる。
図1は、回路解析と電磁波解析との連携における問題点の説明図である。
図2は、本発明の電磁界強度算出装置の原理構成ブロック図である。
図3は、本発明の電磁界強度算出装置の基本的な構成ブロック図である。
図4は、本実施形態における回路素子判定処理の基本的なフローチャートである。
図5は、本実施形態における電磁界強度算出処理の全体フローチャートである。
図6は、回路素子判断処理の詳細フローチャートである。
図7は、回路素子データの記述例(その1)である。
図8は、回路素子データの記述例(その2)である。
図9は、時間領域モーメント法における要素についてのパラメータの説明図である。
図10は、回路解析と電磁波解析との連携処理における解析対象のモデル化の説明図である。
図11は、連携処理の詳細フローチャートである。
図12は、アドミッタンス行列計算方法の説明図である。
図13は、時間領域モーメント法モデルを電流源に置き換えた解析対象モデルの説明図である。
図14は、回路解析モデルを電圧源に置き換えた解析対象モデルの説明図である。
図15は、解析対象に含まれる電気回路の具体例である。
図16は、本実施形態におけるプログラムのコンピュータへのローディングの説明図である。
図2は、本発明の電磁界強度算出装置の原理構成ブロック図である。
図3は、本発明の電磁界強度算出装置の基本的な構成ブロック図である。
図4は、本実施形態における回路素子判定処理の基本的なフローチャートである。
図5は、本実施形態における電磁界強度算出処理の全体フローチャートである。
図6は、回路素子判断処理の詳細フローチャートである。
図7は、回路素子データの記述例(その1)である。
図8は、回路素子データの記述例(その2)である。
図9は、時間領域モーメント法における要素についてのパラメータの説明図である。
図10は、回路解析と電磁波解析との連携処理における解析対象のモデル化の説明図である。
図11は、連携処理の詳細フローチャートである。
図12は、アドミッタンス行列計算方法の説明図である。
図13は、時間領域モーメント法モデルを電流源に置き換えた解析対象モデルの説明図である。
図14は、回路解析モデルを電圧源に置き換えた解析対象モデルの説明図である。
図15は、解析対象に含まれる電気回路の具体例である。
図16は、本実施形態におけるプログラムのコンピュータへのローディングの説明図である。
図2は本発明の回路解析と電磁波解析との連携による電磁界強度算出装置の原理構成ブロック図である。同図において電磁界強度算出装置1は回路素子判定部2、電磁波解析処理部3、および回路解析と電磁波解析との連携処理部4を備える。
回路素子判定部2は、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定するものである。発明の実施の形態においては、この判定は素子の名称に対応して行なわれることも、また回路解析に必要とされるデータ内のあらかじめ定められた記号に対応して行なわれることもできる。
電磁波解析処理部3は、電気回路を構成する素子の全てが線形素子である時に、それらの線形素子を含む解析対象のモデルを用いて、解析対象から放射される電磁波を解析するものである。実施の形態においては、この電磁波解析の方法として、例えば時間領域モーメント法を用いることもできる。
回路解析と電磁波解析との連携処理部4は、電気回路を構成する素子の1つ以上が非線形素子である時、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析方法を適用すべき電磁波解析モデル、およびこれら2つのモデルを結合する接続箇所としての1つ以上のポートに分離して、解析対象から放射される電磁波を解析するものであり、実施の形態においては電磁波解析の方法として時間領域モーメント法、回路解析の方法として修正節点解析法を用いることもできる。
回路解析と電磁波解析との連携処理部4は、1つ以上のポートに独立電流源と電圧依存電流源とをそれぞれ配置して、回路解析によって各ポート部の電圧を算出し、算出された電圧の値を用いて各ポート部に電圧源を配置して、電磁波解析によって解析対象に流れる電流を算出し、解析の時間をステップ的にインクリメントして、ポート部の電圧算出と解析対象に流れる電流算出とを行なうことを繰り返すこともできる。
この場合、1つ以上のポートとして非線形素子に対応するポートのみが備えられ、回路解析と電磁波解析との連携処理部4が、電磁波解析において線形素子を含む電磁波解析モデルを用いて解析対象に流れる電流を算出することもできる。
この場合、更に回路解析と電磁波解析との連携処理部4が、回路解析による電圧算出に先立って、1つ以上のポートのいずれにも電圧を印加しない状態で各ポートに流れる電流を算出し、算出された電流値を用いて、前記独立電流源の設定を行なうこともできる。
また、電磁波解析の方法として時間領域モーメント法を用いる場合に、回路解析と電磁波解析との連携処理部4が、回路解析による電圧算出に先立って、時間領域モーメント法の適用のために解析対象の微小要素への分割を行い、微小要素間のアドミッタンスを要素とするアドミッタンス行列の要素の一部を用いて、前記電圧依存電流源の設定を行なうこともできる。
本発明の電磁波強度算出方法において、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定し、素子の全てが線形素子である時、線形素子を含む解析対象のモデルを用いて解析対象から放射される電磁波を解析し、素子の1つ以上が非線形である時、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析方法を適用すべき電磁波解析モデル、およびこれら2つのモデルを結合する接続箇所としての1つ以上のポートに分離して、解析対象から放射される電磁波を解析する。
さらに、この電磁界強度算出方法を計算機に実行させるためのプログラム、およびそのプログラムを格納した計算機読み出し可能可搬型記憶媒体が用いられる。
図3は本発明の電磁界強度算出装置の基本的な構成ブロック図である。同図において電磁界強度算出装置10は素子判定部11、連携判定部12、電磁波解析部13、回路解析連携処理部14、および電磁界計算部15から構成されている。
素子判定部11は、解析対象、例えば電子機器に含まれる電気回路を構成する素子のそれぞれが線形素子であるか、非線形素子であるかを判定する。
連携判定部12は、素子判定部11の判定結果に対応して、電気回路を構成する素子の全てが線形素子である時には電磁波解析部13を起動し、これに対して回路素子の1つ以上が非線形素子である時には回路解析連携処理部14を起動する。
電磁波解析部13は、例えば時間領域モーメント法を用いて解析対象モデルを、例えばパッチに分割し、モデルに流れる電流を求めて電磁波解析を行なうものであり、解析対象モデルとしてすべての線形素子を含むモデルを用いることによって、回路解析を行なうこともなく、モデルに流れる電流を計算可能とするものである。
回路解析連携処理部14は、電気回路を構成する素子の中に1つ以上が非線形素子である時に電磁波解析と回路解析とを組み合わせて電磁波解析を行なうものであり、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析方法を適用すべき電磁波解析モデル、およびこれら2つのモデルを結合する接続箇所としての1つ以上のポートに分離して、解析対象に流れる電流を算出するものである。
電磁界計算部15は、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子の全てが線形素子である時には電磁波解析部13による電流算出結果を、また素子の1つ以上が非線形素子である時には回路解析連携処理部14の電流算出結果を用いて、電子機器から放射される電磁波による電界を計算するものである。
図4は本実施形態における素子判定処理の基本的なフローチャートである。同図において処理が開始されるとまずステップS1で回路素子データの読み込みが行なわれ、ステップS2で回路素子データの読み込みが終了していたか、すなわち回路素子データが読み込めたか否かが判定され、読み込めた場合にはステップS3で回路素子が線形であるか否かの判定が行なわれ、線形である場合にはステップS4で、後述するようにその線形素子の値が相互インピーダンス行列の要素の値に加算された後に、また非線形素子である場合にはステップS5で回路解析と連携する準備として、例えば後述するようなポートの設定やポートの電圧計算の準備などが行なわれた後に、ステップS1以降の処理が繰り返され、ステップS2で回路素子データが読み込めなかったと判定された時点で電流計算の処理に移行する。
続いて本発明の処理について更に詳細に説明する。図5は電磁界強度算出処理の全体フローチャートである。同図において処理が開始されると、まずステップS11で入力ファイル20からデータの読み込みが行なわれる。ここで読み込まれるデータは、前述の素子判定処理に必要なデータだけではなく、電磁界強度算出に必要な全てのデータ、例えば解析ステップ幅としての時間刻み、回路解析用データとしての素子情報や節点情報、時間領域モーメント法解析用データとしてのモデルを構成する微小要素の位置やその寸法、および材質に関するデータなどがある。
続いてステップS12で相互イミッタンス、例えば時間領域モーメント法モデルを構成する微小要素間のイミッタンスの計算などが行なわれる。
続いてステップS13,S14で図3の素子判定部11、連携判定部12に対応する素子判断処理と、回路解析連携必要性の判定が行なわれ、電磁波解析と回路解析の連携が必要であるか否かの判定が行なわれる。
いずれの場合にも、ステップS15で相互インミッタンス行列の作成処理が行なわれるが、後述する素子判別フラグの内容に対応して、線形素子の場合にはその値が対応するインミッタンス行列の要素に付け加えられる。
回路解析連携が必要ない場合には、ステップS16でタイムステップ数のカウントによって解析終了時間を超えたか否かが判定され、超えていない場合にはステップS17で電流計算処理が行なわれ、ステップS16以降の処理が繰り返され、解析終了時間を超えた場合にはステップS23で電磁界計算が行なわれて処理を終了する。なおステップS17の電流計算処理については更に後述する。
回路解析との連携が必要である場合には、ステップS15の処理の後にステップS20で後述するようなアドミッタンス行列計算処理が行なわれ、ステップS21でタイムステップ数のカウントにより解析終了時間を越えたか否かが判定され、超えていない場合にはステップS22で回路解析連携処理が行なわれ、ステップS21以降の処理が繰り返される。解析終了時間を越えた場合には、ステップS23で電磁界計算が行なわれ、処理を終了する。ステップS22の回路解析連携処理についても後述する。
図6は図5のステップS13の素子判断処理の詳細フローチャートである。同図において図5と同様のステップS11,S12の処理の後に、ステップS31で全ての回路素子に対する処理が終了したか否かが判定され、終了していない場合にはステップS32で素子の名称が1つ取り出され、ステップS33でその先頭文字がR,L、またはCであるか否かが判定され、R,L、またはCの場合にはステップS34で線形素子フラグが付加され、R,L、またはC以外の場合には非線形素子フラグが付加された後に、ステップS31以降の処理が繰り返され、全ての素子に対する処理が終了したと判定された時点で、図5の回路解析連携必要性判定処理、すなわちステップS14に移行する。
図6では回路データ内の素子の名称に対応して、その先頭文字によって素子が線形であるか、非線形であるかの判定が行われるものとした。図7はこの場合の各素子に対応するデータの記述例である。同図において先頭にR,L、またはCの文字があるデータが線形素子を表し、素子の名称とは、例えばR1,L1、C1などである。なお、図7でMはMOSトランジスタ、VDDおよびVINは電圧源、Tは伝送線路、Xはモーメント法との接続箇所としてのポートを示す。
これに対して、素子判断処理において素子の名称の先頭の文字によって判断するのでなく、回路データに素子が線形であるか非線形であるかを判断するための記号をあらかじめ格納し、その記号によって線形か非線形かを判断することもできる。図8はそのような場合の素子データの記述例である。同図においては$SPICEという記号から、$ENDという記号までの間が非線形素子のデータであるというルールに基づいて、回路素子のデータが記述されており、これらの記号に挟まれるデータによって示される素子は非線形素子であると判断される。
次に図3における連携判定部12の判定結果によって行なわれる電磁波解析部13、または回路解析連携処理部14の処理について説明する。電磁波解析部13による処理は電気回路を構成する全ての素子が線形素子である場合に行なわれるものであり、回路解析を行なうことなく、例えば時間領域モーメント法のみを実行することによって解析対象に流れる電流を計算するものである。
図9は時間領域モーメント法における要素、例えばパッチや、ワイヤなどの要素についてのパラメータの説明図である。同図においてXm軸上の要素m+およびm−に流れる電流をJm、Xn軸上の要素n+およびn−に流れる電流をJnとし、要素m+の電荷をqm+、同様に各要素の電荷をqm−,qn+、およびqn−とする。またrmn,rmn0,rmn1,rmn2,およびrmn3をそれぞれ要素の中心間の距離とする。これらのパラメータを、時間領域における完全導体上の電界の積分方程式にあてはめると、次式が得られる。
ここでamnは要素m+,m−と要素n+,n−の間のベクトルポテンシャルであり、bmn0は要素m+とn+の間のスカラポテンシャル、bmn1、は要素m+とn−の間のスカラポテンシャル、bmn2は要素m−とn+の間のスカラポテンシャル、bmn3は要素m−とn−の間のスカラポテンシャルである。
図5のステップS12の相互イミッタンス計算処理では、これらのベクトルポテンシャル、スカラポテンシャルの計算が行なわれる。ベクトルポテンシャル、スカラポテンシャルは、要素の形状と物性値(誘電率,透磁率)や、要素間の距離から計算できる。
電気回路を構成する素子の全てが線形素子である時には、線形素子R,L、およびCの値は次式のように(1)式に付け加えられ、図3の電磁波解析部13による電磁波解析処理が行なわれる。
続いて回路解析と電磁波解析との連携処理について説明する。図10はこの連携処理における解析対象のモデル化の説明図である。この連携処理においては、解析対象は回路解析法が適用されるべき回路解析モデル25、電磁波解析法が適用されるべき電磁波解析モデル26、およびこれらの2つのモデルの接続個所としての複数のポート271,272,・・・・,27nとに分離されて解析処理が行なわれる。
図11はこの連携処理の詳細フローチャートである。同図において、ステップS36〜S38の処理は、図5におけるステップS15の相互イミッタンス行列作成およびステップS20のアドミッタンス行列計算の処理に対応し、またステップS41〜ステップS43の処理は、ステップS22の回路解析連携処理に対応する。
ステップS36においては、一般に複数のポートのうちのi番目のポートに1[V]の電圧が印加された時の、他のj番目のポートに流れる電流Iijが計算され、ステップS37で解析に用いられる相互イミッタンス行列Zが、電気回路を構成する素子のうちの線形素子に対応する値が付加された形で作成され、ステップS38でアドミッタンス行列の作成が行なわれる。これらの処理については更に後述する。
ステップS41で、図10の各ポートに回路が接続されていない状態で各ポートに流れる電流Iuが時間領域モーメント法により計算され、その結果が回路解析処理に渡されて、各ポートの電圧V1〜VnがステップS42で計算され、更にその結果が再び時間領域モーメント法に渡され、各ポートの電圧をV1〜Vnとして回路解析モデルが接続されていない時の電流IがステップS43で求められ、これらの処理がステップS21で解析終了時間を越えたと判定されるまでタイムステップ数を増加させながら、繰り返して実行される。
図12は、図11のステップS36〜S38におけるアドミッタンス行列作成の基本的な考え方の説明図である。同図において、例えばi番目のポートに1[V]の電圧を印加し、その他のポートを全て短絡させた時、ポートjに流れる電流Iijを求めることによって、アドミッタンス行列のi行,j列における要素Yijは次式によって計算される。
このような計算を繰り返すことによって次のようなアドミッタンス行列が作成される。
続いて図11のステップS41〜S43における処理、すなわち電磁波解析と回路解析との連携処理について説明する。この連携処理では、電磁波解析としての例えば時間領域モーメント法と、回路解析としての修正節点解析法(SPICEなど)とがリンクされて解析が行なわれるが、まず時間領域モーメント法による解析についてその概略を説明する。時間領域モーメント法では、解析対象のモデルがパッチやワイヤなどの微小要素に分割され、各微小要素上に流れる電流が、微小要素の数をm個として、I1(t),I2(t),・・・・,Im(t)のように設定される。
なお、以下本文中において、「行列」,「ベクトル」,「成分」,「方程式の解」,「電流」,「電圧」等の記号表記でベクトル文字には下線を付してその表記を置き換えます。
次に各微小要素の間の相互インピーダンスを表す行列Z、各微小要素に流れる電流を表すベクトルI(t)、図10の各ポートに印加される電圧のベクトルV(t)、および時間遅れ成分Re(t)を用いて次のような線形連立方程式の解I(t)が求められる。
ここで行列Zはm行、m列の行列であり、ベクトルI(t)、およびV(t)はそれぞれm個の成分を持つm次元ベクトルである。V(t)の成分は各ポートに印加される電圧であるが、後述するようにポートと接続されていない微笑要素に流れる電流に対応するVの成分の値は0とされ、ポートと接続されている要素に流れる電流に対しては、接続されているポートに印加される電圧の値となる。
時間遅れ成分Re(t)はリターデッド成分とも呼ばれる。時間領域モーメント法で分割された各微小要素に電流が流れるとその電流によって、他の微小要素に微小要素間の距離を光の速度で割った値の時間だけ遅れて電界が照射される。
この電界による電圧相当成分Re(t)である。
最後に微小要素上に流れる電流I(t)によって生じる電磁界が算出されて、時間領域モーメント法の解析を終了する。
次に時間領域モーメント法と回路解析法をリンクする方法について説明する。前述のように時間領域モーメント法モデルにおける解析対象モデルはm個の微小要素に分割され、それらの微小要素のうちn(n≦m)個のそれぞれは、n個のポートのうち、いずれか1つのポートと接続されているものとする。
まず時間領域モーメント法モデルに対応して、前述の(5)式が得られる。
(5)式において電流I(t)各ポートの印加電圧V(t)以外は既知の量であるとする。
次に各ポートからの入力がない場合、すなわちポートが接続されていない場合には、各微小要素に印加される電圧のベクトルV(t)を0として、次式が成立する。
ここでIu(t)は、ポートが接続されていない場合に時間領域モーメント法モデルの各微小要素に流れる電流を成分とするベクトルである。相互インピーダンス行列Zの逆行列をアドミッタンス行列Yとすれば、次式が成立する。
m個の微小要素のうち、i番目の微小要素に流れる電流は(7)式の第i行となり、次式によって与えられる。
ここで各ポートに電圧を加えた時、他ポートに流れる電流を計算する。ポート1にV1の電圧を印加した時、k番目のポートに接続されているi番目の微小要素に流れる電流は次式によって与えられる。この電流は、(5)式において時間遅れ成分Re(t)を考えない場合の電流に相当する。
上式のYk1は、ポート1に電圧が印加された時、k番目のポートに接続されているi番目の微小要素とポート1との間にアドミッタンスに相当するが、このアドミッタンスは時間領域モーメント法モデルにおけるアドミッタンス行列Yの要素Y1jと1対1に対応するものである。すなわち時間領域モーメント法モデルにおけるi(j)番目の微小要素がk(1)番目のポートと接続されている場合、Yk1とY1jとは等しいことに注意する必要がある。
時間遅れ成分Re(t)で考慮すると、m個の微小要素のうちi番目の要素が、n個のポートのうちでk番目のポートに接続されている場合、i番目の微小要素に流れる電流は(9)式の電流と時間遅れ成分による電流の和となり、次式によって与えられる。
i番目の要素がいずれのポートにも接続されていない場合には、その要素に流れる電流は時間遅れ成分だけに対応するものとなり、次式によって与えられ
る。
この(10),(11)式を、各行列とベクトルを用いて表現すると、次の(12),(13)式が得られる。
(13)式を行列の形式で書けば、各微小要素に流れる電流の行列は次式によって与えられる。
(14)式において、右辺のベクトルVの各成分V1からVmに対しては、各行に相当する微小要素のうち、ポートに接続されている微小要素に対応する成分に対してのみ印加電圧の値が代入され、ベクトルVの他の成分の値は0とされる。また行列Yの要素も(10)式のYk1に対応する要素以外は0となる。
以上のように時間領域モーメント法モデルにおけるi番目の微小要素がk番目のポートに接続されている場合、その微小要素に流れる電流I1 k(t)は独立電流源としてのIui k(t)と各ポートに印加される電圧V1によってそれぞれ制御されるn個の電圧依存電流源Yk1V1によって決定されることになる。
図13はこのような考え方に従って、時間領域モーメント法モデルを、各ポートに接続される電流源に置き換えたモデルの説明図である。同図で、例えばポートnに対しては独立電流源IとしてのIu n(t)が、また電圧依存電流源GとしてYn1V1からYnnVnまでのn個の電圧依存電流源が接続されている。ここで独立電流源Iu n(t)は(10)式、右辺第1項のIu1 k(t)に相当するが、図13ではk番目のポートが接続されるi番目の微小要素の“i”が不明であるため下付添字はuのみとなっている。
回路解析、例えばSPICEなどを用いた回路解析では、図13に示されるモデルを回路解析法によって解くことにより、各ポート部における節点電圧としてのVn(t)が求められる。
図14は、以上のようにして求められた各ポートに対する節点電圧を用いて、回路解析モデルを電圧源に置き換えたモデルの説明図である。各ポートに接続されてているVは独立電圧源であり、その値は図13において回路解析によって求められた各ポートの節点電圧V1からVnによって与えられる。そして図14のモデルを用いて時間領域モーメント法による解析が行われ、m個の各微小要素に流れる電流I1(t),I2(t),・・・・,Im(t)を成分とするベクトルI(t)が求められる。
このようにして各微小要素に流れる電流が求められれば、放射電磁波による電磁界は公知の方法によって求めることができるが、ここではその説明を省略する。
続いて本実施形態における処理について、図15の電気回路を具体例として更に説明する。図15は解析対象に含まれる電気回路の例であり、同図において入力端子には電圧1V、周波数100MHzの正弦波の波源とダイオードとが接続され、出力端子には伝送線路とマッチングをとるための負荷抵抗276[Ω]が接続されている。
図3で説明したように本実施形態では、電気回路を構成する素子の全てが線形素子である場合には回路解析が行なわれず、電磁波解析だけが行なわれる。この場合、全ての線形素子は、例えばアドミッタンス行列に付加されて、例えば時間領域モーメント法を用いて電流計算が行なわれる。
図15では非線形素子としてのダイオードが含まれているために、電磁波解析と回路解析との連携処理が行なわれることになる。しかしながらこの連携処理においては、図10で説明したポートとしてダイオードに対応するポート1つのみが設けられ、負荷抵抗に対応するポートは設けられず、負荷抵抗は時間領域モーメント法モデル側のアドミッタンス行列に付加されて計算処理が実行される。
この負荷抵抗のような線形素子は、イミッタンス行列(Z)の対角要素に加算される。線形素子が、例えば図9で説明した電流Jmの負荷となっている場合にはZmmの計算において式(2)と同様にして線形素子に対応する計算が行なわれる。
アドミッタンス行列の表現においては、線形素子のアドミッタンス成分をXiiとして次のように線形素子成分の付加が行なわれる。
例えばプリント基板の2つの端子の間に線形素子が接続されているとき、プリント基板をパッチに分割することによって2つのパッチの間に線形素子が並列に接続されることになるため、そのアドミッタンス成分の加算が行なわれる。
以上のように本実施形態では、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子の全てが線形素子である場合には、電磁波解析と回路解析との連携処理が行なわれず、電磁波解析として、例えば時間領域モーメント法による処理のみが実行されるため、電磁波解析と回路解析との間の時間の待ち合わせなどが不要となり、処理が高速化される。
また素子の必ずしも全てが線形素子でない場合にも、図10で説明した電磁波解析モデルと回路解析モデルとの結合箇所としてのポートを非線形素子に対応するポートだけに限定することができ、アドミッタンス行列の行数と列数とが少なくなり、連立方程式を解くのに必要な時間を短くすることができる。また例えば図13で説明した独立電流源、電圧依存電流源の数を減らすことができ、計算時間を短縮することができる。
以上において、本発明の電磁界強度算出装置についてその詳細を説明したが、この電磁界強度算出装置は当然一般的なコンピュータシステムとして構成することが可能である。図16はそのようなコンピュータシステム、すなわちハードウエア環境の構成ブロック図である。
図16においてコンピュータシステムは中央処理装置(CPU)30、リードオンリメモリ(ROM)31、ランダムアクセスメモリ(RAM)32、通信インタフェース33、記憶装置34、入出力装置35、可搬型記憶媒体の読み取り装置36、およびこれらの全てが接続されたバス37によって構成されている。
記憶装置34としてはハードディスク、磁気ディスクなど様々な形式の記憶装置を使用することができ、このような記憶装置34、またはROM31に図4〜図6,図11のフローチャートに示されたプログラムなどが格納され、そのようなプログラムがCPU30によって実行されることにより、本実施形態のように回路を構成する素子が線形であるか、非線形であるかに対応した電磁界算出が可能となる。
このようなプログラムは、プログラム提供者38側からネットワーク39、および通信インタフェース33を介して、例えば記憶装置34に格納されることも、また市販され、流通している可搬型記憶媒体40に格納され、読み取り装置36にセットされて、CPU30によって実行されることも可能である。可搬型記憶媒体40としてはCD−ROM、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスクなど様々な形式の記憶媒体を使用することができ、このような記憶媒体に格納されたプログラムが読み取り装置36によって読み取られることにより、本実施形態における電磁界強度算出が可能となる。
以上詳細に説明したように本発明によれば、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定し、素子の全てが線形素子である場合には回路解析を行なうことなく、電磁波解析のみによって電磁界強度算出が可能となり、算出処理を高速化することができる。
素子の必ずしも全てが線形素子でない場合にも、電磁波解析モデルと回路解析モデルとを結合する接続箇所としてのポートを非線形素子に対応するポートのみに限定することができ、電磁波解析と回路解析との待ち合わせ時間も短くなり。、統合的に処理が高速化され、電磁界強度算出処理の効率化に寄与するところが大きい。
回路素子判定部2は、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定するものである。発明の実施の形態においては、この判定は素子の名称に対応して行なわれることも、また回路解析に必要とされるデータ内のあらかじめ定められた記号に対応して行なわれることもできる。
電磁波解析処理部3は、電気回路を構成する素子の全てが線形素子である時に、それらの線形素子を含む解析対象のモデルを用いて、解析対象から放射される電磁波を解析するものである。実施の形態においては、この電磁波解析の方法として、例えば時間領域モーメント法を用いることもできる。
回路解析と電磁波解析との連携処理部4は、電気回路を構成する素子の1つ以上が非線形素子である時、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析方法を適用すべき電磁波解析モデル、およびこれら2つのモデルを結合する接続箇所としての1つ以上のポートに分離して、解析対象から放射される電磁波を解析するものであり、実施の形態においては電磁波解析の方法として時間領域モーメント法、回路解析の方法として修正節点解析法を用いることもできる。
回路解析と電磁波解析との連携処理部4は、1つ以上のポートに独立電流源と電圧依存電流源とをそれぞれ配置して、回路解析によって各ポート部の電圧を算出し、算出された電圧の値を用いて各ポート部に電圧源を配置して、電磁波解析によって解析対象に流れる電流を算出し、解析の時間をステップ的にインクリメントして、ポート部の電圧算出と解析対象に流れる電流算出とを行なうことを繰り返すこともできる。
この場合、1つ以上のポートとして非線形素子に対応するポートのみが備えられ、回路解析と電磁波解析との連携処理部4が、電磁波解析において線形素子を含む電磁波解析モデルを用いて解析対象に流れる電流を算出することもできる。
この場合、更に回路解析と電磁波解析との連携処理部4が、回路解析による電圧算出に先立って、1つ以上のポートのいずれにも電圧を印加しない状態で各ポートに流れる電流を算出し、算出された電流値を用いて、前記独立電流源の設定を行なうこともできる。
また、電磁波解析の方法として時間領域モーメント法を用いる場合に、回路解析と電磁波解析との連携処理部4が、回路解析による電圧算出に先立って、時間領域モーメント法の適用のために解析対象の微小要素への分割を行い、微小要素間のアドミッタンスを要素とするアドミッタンス行列の要素の一部を用いて、前記電圧依存電流源の設定を行なうこともできる。
本発明の電磁波強度算出方法において、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定し、素子の全てが線形素子である時、線形素子を含む解析対象のモデルを用いて解析対象から放射される電磁波を解析し、素子の1つ以上が非線形である時、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析方法を適用すべき電磁波解析モデル、およびこれら2つのモデルを結合する接続箇所としての1つ以上のポートに分離して、解析対象から放射される電磁波を解析する。
さらに、この電磁界強度算出方法を計算機に実行させるためのプログラム、およびそのプログラムを格納した計算機読み出し可能可搬型記憶媒体が用いられる。
図3は本発明の電磁界強度算出装置の基本的な構成ブロック図である。同図において電磁界強度算出装置10は素子判定部11、連携判定部12、電磁波解析部13、回路解析連携処理部14、および電磁界計算部15から構成されている。
素子判定部11は、解析対象、例えば電子機器に含まれる電気回路を構成する素子のそれぞれが線形素子であるか、非線形素子であるかを判定する。
連携判定部12は、素子判定部11の判定結果に対応して、電気回路を構成する素子の全てが線形素子である時には電磁波解析部13を起動し、これに対して回路素子の1つ以上が非線形素子である時には回路解析連携処理部14を起動する。
電磁波解析部13は、例えば時間領域モーメント法を用いて解析対象モデルを、例えばパッチに分割し、モデルに流れる電流を求めて電磁波解析を行なうものであり、解析対象モデルとしてすべての線形素子を含むモデルを用いることによって、回路解析を行なうこともなく、モデルに流れる電流を計算可能とするものである。
回路解析連携処理部14は、電気回路を構成する素子の中に1つ以上が非線形素子である時に電磁波解析と回路解析とを組み合わせて電磁波解析を行なうものであり、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析方法を適用すべき電磁波解析モデル、およびこれら2つのモデルを結合する接続箇所としての1つ以上のポートに分離して、解析対象に流れる電流を算出するものである。
電磁界計算部15は、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子の全てが線形素子である時には電磁波解析部13による電流算出結果を、また素子の1つ以上が非線形素子である時には回路解析連携処理部14の電流算出結果を用いて、電子機器から放射される電磁波による電界を計算するものである。
図4は本実施形態における素子判定処理の基本的なフローチャートである。同図において処理が開始されるとまずステップS1で回路素子データの読み込みが行なわれ、ステップS2で回路素子データの読み込みが終了していたか、すなわち回路素子データが読み込めたか否かが判定され、読み込めた場合にはステップS3で回路素子が線形であるか否かの判定が行なわれ、線形である場合にはステップS4で、後述するようにその線形素子の値が相互インピーダンス行列の要素の値に加算された後に、また非線形素子である場合にはステップS5で回路解析と連携する準備として、例えば後述するようなポートの設定やポートの電圧計算の準備などが行なわれた後に、ステップS1以降の処理が繰り返され、ステップS2で回路素子データが読み込めなかったと判定された時点で電流計算の処理に移行する。
続いて本発明の処理について更に詳細に説明する。図5は電磁界強度算出処理の全体フローチャートである。同図において処理が開始されると、まずステップS11で入力ファイル20からデータの読み込みが行なわれる。ここで読み込まれるデータは、前述の素子判定処理に必要なデータだけではなく、電磁界強度算出に必要な全てのデータ、例えば解析ステップ幅としての時間刻み、回路解析用データとしての素子情報や節点情報、時間領域モーメント法解析用データとしてのモデルを構成する微小要素の位置やその寸法、および材質に関するデータなどがある。
続いてステップS12で相互イミッタンス、例えば時間領域モーメント法モデルを構成する微小要素間のイミッタンスの計算などが行なわれる。
続いてステップS13,S14で図3の素子判定部11、連携判定部12に対応する素子判断処理と、回路解析連携必要性の判定が行なわれ、電磁波解析と回路解析の連携が必要であるか否かの判定が行なわれる。
いずれの場合にも、ステップS15で相互インミッタンス行列の作成処理が行なわれるが、後述する素子判別フラグの内容に対応して、線形素子の場合にはその値が対応するインミッタンス行列の要素に付け加えられる。
回路解析連携が必要ない場合には、ステップS16でタイムステップ数のカウントによって解析終了時間を超えたか否かが判定され、超えていない場合にはステップS17で電流計算処理が行なわれ、ステップS16以降の処理が繰り返され、解析終了時間を超えた場合にはステップS23で電磁界計算が行なわれて処理を終了する。なおステップS17の電流計算処理については更に後述する。
回路解析との連携が必要である場合には、ステップS15の処理の後にステップS20で後述するようなアドミッタンス行列計算処理が行なわれ、ステップS21でタイムステップ数のカウントにより解析終了時間を越えたか否かが判定され、超えていない場合にはステップS22で回路解析連携処理が行なわれ、ステップS21以降の処理が繰り返される。解析終了時間を越えた場合には、ステップS23で電磁界計算が行なわれ、処理を終了する。ステップS22の回路解析連携処理についても後述する。
図6は図5のステップS13の素子判断処理の詳細フローチャートである。同図において図5と同様のステップS11,S12の処理の後に、ステップS31で全ての回路素子に対する処理が終了したか否かが判定され、終了していない場合にはステップS32で素子の名称が1つ取り出され、ステップS33でその先頭文字がR,L、またはCであるか否かが判定され、R,L、またはCの場合にはステップS34で線形素子フラグが付加され、R,L、またはC以外の場合には非線形素子フラグが付加された後に、ステップS31以降の処理が繰り返され、全ての素子に対する処理が終了したと判定された時点で、図5の回路解析連携必要性判定処理、すなわちステップS14に移行する。
図6では回路データ内の素子の名称に対応して、その先頭文字によって素子が線形であるか、非線形であるかの判定が行われるものとした。図7はこの場合の各素子に対応するデータの記述例である。同図において先頭にR,L、またはCの文字があるデータが線形素子を表し、素子の名称とは、例えばR1,L1、C1などである。なお、図7でMはMOSトランジスタ、VDDおよびVINは電圧源、Tは伝送線路、Xはモーメント法との接続箇所としてのポートを示す。
これに対して、素子判断処理において素子の名称の先頭の文字によって判断するのでなく、回路データに素子が線形であるか非線形であるかを判断するための記号をあらかじめ格納し、その記号によって線形か非線形かを判断することもできる。図8はそのような場合の素子データの記述例である。同図においては$SPICEという記号から、$ENDという記号までの間が非線形素子のデータであるというルールに基づいて、回路素子のデータが記述されており、これらの記号に挟まれるデータによって示される素子は非線形素子であると判断される。
次に図3における連携判定部12の判定結果によって行なわれる電磁波解析部13、または回路解析連携処理部14の処理について説明する。電磁波解析部13による処理は電気回路を構成する全ての素子が線形素子である場合に行なわれるものであり、回路解析を行なうことなく、例えば時間領域モーメント法のみを実行することによって解析対象に流れる電流を計算するものである。
図9は時間領域モーメント法における要素、例えばパッチや、ワイヤなどの要素についてのパラメータの説明図である。同図においてXm軸上の要素m+およびm−に流れる電流をJm、Xn軸上の要素n+およびn−に流れる電流をJnとし、要素m+の電荷をqm+、同様に各要素の電荷をqm−,qn+、およびqn−とする。またrmn,rmn0,rmn1,rmn2,およびrmn3をそれぞれ要素の中心間の距離とする。これらのパラメータを、時間領域における完全導体上の電界の積分方程式にあてはめると、次式が得られる。
ここでamnは要素m+,m−と要素n+,n−の間のベクトルポテンシャルであり、bmn0は要素m+とn+の間のスカラポテンシャル、bmn1、は要素m+とn−の間のスカラポテンシャル、bmn2は要素m−とn+の間のスカラポテンシャル、bmn3は要素m−とn−の間のスカラポテンシャルである。
図5のステップS12の相互イミッタンス計算処理では、これらのベクトルポテンシャル、スカラポテンシャルの計算が行なわれる。ベクトルポテンシャル、スカラポテンシャルは、要素の形状と物性値(誘電率,透磁率)や、要素間の距離から計算できる。
電気回路を構成する素子の全てが線形素子である時には、線形素子R,L、およびCの値は次式のように(1)式に付け加えられ、図3の電磁波解析部13による電磁波解析処理が行なわれる。
続いて回路解析と電磁波解析との連携処理について説明する。図10はこの連携処理における解析対象のモデル化の説明図である。この連携処理においては、解析対象は回路解析法が適用されるべき回路解析モデル25、電磁波解析法が適用されるべき電磁波解析モデル26、およびこれらの2つのモデルの接続個所としての複数のポート271,272,・・・・,27nとに分離されて解析処理が行なわれる。
図11はこの連携処理の詳細フローチャートである。同図において、ステップS36〜S38の処理は、図5におけるステップS15の相互イミッタンス行列作成およびステップS20のアドミッタンス行列計算の処理に対応し、またステップS41〜ステップS43の処理は、ステップS22の回路解析連携処理に対応する。
ステップS36においては、一般に複数のポートのうちのi番目のポートに1[V]の電圧が印加された時の、他のj番目のポートに流れる電流Iijが計算され、ステップS37で解析に用いられる相互イミッタンス行列Zが、電気回路を構成する素子のうちの線形素子に対応する値が付加された形で作成され、ステップS38でアドミッタンス行列の作成が行なわれる。これらの処理については更に後述する。
ステップS41で、図10の各ポートに回路が接続されていない状態で各ポートに流れる電流Iuが時間領域モーメント法により計算され、その結果が回路解析処理に渡されて、各ポートの電圧V1〜VnがステップS42で計算され、更にその結果が再び時間領域モーメント法に渡され、各ポートの電圧をV1〜Vnとして回路解析モデルが接続されていない時の電流IがステップS43で求められ、これらの処理がステップS21で解析終了時間を越えたと判定されるまでタイムステップ数を増加させながら、繰り返して実行される。
図12は、図11のステップS36〜S38におけるアドミッタンス行列作成の基本的な考え方の説明図である。同図において、例えばi番目のポートに1[V]の電圧を印加し、その他のポートを全て短絡させた時、ポートjに流れる電流Iijを求めることによって、アドミッタンス行列のi行,j列における要素Yijは次式によって計算される。
このような計算を繰り返すことによって次のようなアドミッタンス行列が作成される。
続いて図11のステップS41〜S43における処理、すなわち電磁波解析と回路解析との連携処理について説明する。この連携処理では、電磁波解析としての例えば時間領域モーメント法と、回路解析としての修正節点解析法(SPICEなど)とがリンクされて解析が行なわれるが、まず時間領域モーメント法による解析についてその概略を説明する。時間領域モーメント法では、解析対象のモデルがパッチやワイヤなどの微小要素に分割され、各微小要素上に流れる電流が、微小要素の数をm個として、I1(t),I2(t),・・・・,Im(t)のように設定される。
なお、以下本文中において、「行列」,「ベクトル」,「成分」,「方程式の解」,「電流」,「電圧」等の記号表記でベクトル文字には下線を付してその表記を置き換えます。
次に各微小要素の間の相互インピーダンスを表す行列Z、各微小要素に流れる電流を表すベクトルI(t)、図10の各ポートに印加される電圧のベクトルV(t)、および時間遅れ成分Re(t)を用いて次のような線形連立方程式の解I(t)が求められる。
ここで行列Zはm行、m列の行列であり、ベクトルI(t)、およびV(t)はそれぞれm個の成分を持つm次元ベクトルである。V(t)の成分は各ポートに印加される電圧であるが、後述するようにポートと接続されていない微笑要素に流れる電流に対応するVの成分の値は0とされ、ポートと接続されている要素に流れる電流に対しては、接続されているポートに印加される電圧の値となる。
時間遅れ成分Re(t)はリターデッド成分とも呼ばれる。時間領域モーメント法で分割された各微小要素に電流が流れるとその電流によって、他の微小要素に微小要素間の距離を光の速度で割った値の時間だけ遅れて電界が照射される。
この電界による電圧相当成分Re(t)である。
最後に微小要素上に流れる電流I(t)によって生じる電磁界が算出されて、時間領域モーメント法の解析を終了する。
次に時間領域モーメント法と回路解析法をリンクする方法について説明する。前述のように時間領域モーメント法モデルにおける解析対象モデルはm個の微小要素に分割され、それらの微小要素のうちn(n≦m)個のそれぞれは、n個のポートのうち、いずれか1つのポートと接続されているものとする。
まず時間領域モーメント法モデルに対応して、前述の(5)式が得られる。
(5)式において電流I(t)各ポートの印加電圧V(t)以外は既知の量であるとする。
次に各ポートからの入力がない場合、すなわちポートが接続されていない場合には、各微小要素に印加される電圧のベクトルV(t)を0として、次式が成立する。
ここでIu(t)は、ポートが接続されていない場合に時間領域モーメント法モデルの各微小要素に流れる電流を成分とするベクトルである。相互インピーダンス行列Zの逆行列をアドミッタンス行列Yとすれば、次式が成立する。
m個の微小要素のうち、i番目の微小要素に流れる電流は(7)式の第i行となり、次式によって与えられる。
ここで各ポートに電圧を加えた時、他ポートに流れる電流を計算する。ポート1にV1の電圧を印加した時、k番目のポートに接続されているi番目の微小要素に流れる電流は次式によって与えられる。この電流は、(5)式において時間遅れ成分Re(t)を考えない場合の電流に相当する。
上式のYk1は、ポート1に電圧が印加された時、k番目のポートに接続されているi番目の微小要素とポート1との間にアドミッタンスに相当するが、このアドミッタンスは時間領域モーメント法モデルにおけるアドミッタンス行列Yの要素Y1jと1対1に対応するものである。すなわち時間領域モーメント法モデルにおけるi(j)番目の微小要素がk(1)番目のポートと接続されている場合、Yk1とY1jとは等しいことに注意する必要がある。
時間遅れ成分Re(t)で考慮すると、m個の微小要素のうちi番目の要素が、n個のポートのうちでk番目のポートに接続されている場合、i番目の微小要素に流れる電流は(9)式の電流と時間遅れ成分による電流の和となり、次式によって与えられる。
i番目の要素がいずれのポートにも接続されていない場合には、その要素に流れる電流は時間遅れ成分だけに対応するものとなり、次式によって与えられ
る。
この(10),(11)式を、各行列とベクトルを用いて表現すると、次の(12),(13)式が得られる。
(13)式を行列の形式で書けば、各微小要素に流れる電流の行列は次式によって与えられる。
(14)式において、右辺のベクトルVの各成分V1からVmに対しては、各行に相当する微小要素のうち、ポートに接続されている微小要素に対応する成分に対してのみ印加電圧の値が代入され、ベクトルVの他の成分の値は0とされる。また行列Yの要素も(10)式のYk1に対応する要素以外は0となる。
以上のように時間領域モーメント法モデルにおけるi番目の微小要素がk番目のポートに接続されている場合、その微小要素に流れる電流I1 k(t)は独立電流源としてのIui k(t)と各ポートに印加される電圧V1によってそれぞれ制御されるn個の電圧依存電流源Yk1V1によって決定されることになる。
図13はこのような考え方に従って、時間領域モーメント法モデルを、各ポートに接続される電流源に置き換えたモデルの説明図である。同図で、例えばポートnに対しては独立電流源IとしてのIu n(t)が、また電圧依存電流源GとしてYn1V1からYnnVnまでのn個の電圧依存電流源が接続されている。ここで独立電流源Iu n(t)は(10)式、右辺第1項のIu1 k(t)に相当するが、図13ではk番目のポートが接続されるi番目の微小要素の“i”が不明であるため下付添字はuのみとなっている。
回路解析、例えばSPICEなどを用いた回路解析では、図13に示されるモデルを回路解析法によって解くことにより、各ポート部における節点電圧としてのVn(t)が求められる。
図14は、以上のようにして求められた各ポートに対する節点電圧を用いて、回路解析モデルを電圧源に置き換えたモデルの説明図である。各ポートに接続されてているVは独立電圧源であり、その値は図13において回路解析によって求められた各ポートの節点電圧V1からVnによって与えられる。そして図14のモデルを用いて時間領域モーメント法による解析が行われ、m個の各微小要素に流れる電流I1(t),I2(t),・・・・,Im(t)を成分とするベクトルI(t)が求められる。
このようにして各微小要素に流れる電流が求められれば、放射電磁波による電磁界は公知の方法によって求めることができるが、ここではその説明を省略する。
続いて本実施形態における処理について、図15の電気回路を具体例として更に説明する。図15は解析対象に含まれる電気回路の例であり、同図において入力端子には電圧1V、周波数100MHzの正弦波の波源とダイオードとが接続され、出力端子には伝送線路とマッチングをとるための負荷抵抗276[Ω]が接続されている。
図3で説明したように本実施形態では、電気回路を構成する素子の全てが線形素子である場合には回路解析が行なわれず、電磁波解析だけが行なわれる。この場合、全ての線形素子は、例えばアドミッタンス行列に付加されて、例えば時間領域モーメント法を用いて電流計算が行なわれる。
図15では非線形素子としてのダイオードが含まれているために、電磁波解析と回路解析との連携処理が行なわれることになる。しかしながらこの連携処理においては、図10で説明したポートとしてダイオードに対応するポート1つのみが設けられ、負荷抵抗に対応するポートは設けられず、負荷抵抗は時間領域モーメント法モデル側のアドミッタンス行列に付加されて計算処理が実行される。
この負荷抵抗のような線形素子は、イミッタンス行列(Z)の対角要素に加算される。線形素子が、例えば図9で説明した電流Jmの負荷となっている場合にはZmmの計算において式(2)と同様にして線形素子に対応する計算が行なわれる。
アドミッタンス行列の表現においては、線形素子のアドミッタンス成分をXiiとして次のように線形素子成分の付加が行なわれる。
例えばプリント基板の2つの端子の間に線形素子が接続されているとき、プリント基板をパッチに分割することによって2つのパッチの間に線形素子が並列に接続されることになるため、そのアドミッタンス成分の加算が行なわれる。
以上のように本実施形態では、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子の全てが線形素子である場合には、電磁波解析と回路解析との連携処理が行なわれず、電磁波解析として、例えば時間領域モーメント法による処理のみが実行されるため、電磁波解析と回路解析との間の時間の待ち合わせなどが不要となり、処理が高速化される。
また素子の必ずしも全てが線形素子でない場合にも、図10で説明した電磁波解析モデルと回路解析モデルとの結合箇所としてのポートを非線形素子に対応するポートだけに限定することができ、アドミッタンス行列の行数と列数とが少なくなり、連立方程式を解くのに必要な時間を短くすることができる。また例えば図13で説明した独立電流源、電圧依存電流源の数を減らすことができ、計算時間を短縮することができる。
以上において、本発明の電磁界強度算出装置についてその詳細を説明したが、この電磁界強度算出装置は当然一般的なコンピュータシステムとして構成することが可能である。図16はそのようなコンピュータシステム、すなわちハードウエア環境の構成ブロック図である。
図16においてコンピュータシステムは中央処理装置(CPU)30、リードオンリメモリ(ROM)31、ランダムアクセスメモリ(RAM)32、通信インタフェース33、記憶装置34、入出力装置35、可搬型記憶媒体の読み取り装置36、およびこれらの全てが接続されたバス37によって構成されている。
記憶装置34としてはハードディスク、磁気ディスクなど様々な形式の記憶装置を使用することができ、このような記憶装置34、またはROM31に図4〜図6,図11のフローチャートに示されたプログラムなどが格納され、そのようなプログラムがCPU30によって実行されることにより、本実施形態のように回路を構成する素子が線形であるか、非線形であるかに対応した電磁界算出が可能となる。
このようなプログラムは、プログラム提供者38側からネットワーク39、および通信インタフェース33を介して、例えば記憶装置34に格納されることも、また市販され、流通している可搬型記憶媒体40に格納され、読み取り装置36にセットされて、CPU30によって実行されることも可能である。可搬型記憶媒体40としてはCD−ROM、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスクなど様々な形式の記憶媒体を使用することができ、このような記憶媒体に格納されたプログラムが読み取り装置36によって読み取られることにより、本実施形態における電磁界強度算出が可能となる。
以上詳細に説明したように本発明によれば、解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定し、素子の全てが線形素子である場合には回路解析を行なうことなく、電磁波解析のみによって電磁界強度算出が可能となり、算出処理を高速化することができる。
素子の必ずしも全てが線形素子でない場合にも、電磁波解析モデルと回路解析モデルとを結合する接続箇所としてのポートを非線形素子に対応するポートのみに限定することができ、電磁波解析と回路解析との待ち合わせ時間も短くなり。、統合的に処理が高速化され、電磁界強度算出処理の効率化に寄与するところが大きい。
本発明は電磁波を放出する可能性のある電子機器などの製造産業や、そのような電子機器を利用する全ての産業において利用可能である。
Claims (12)
- 解析対象から放射される電磁波による電磁界を算出する電磁界強度算出装置において、
該解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が、線形素子か非線形素子かを判定する回路素子判定手段と、
該素子の全てが線形素子である時、該線形素子を含む解析対象のモデルを用いて、解析対象から放射される電磁波を解析する電磁波解析処理手段と、
該素子の1つ以上が非線形素子である時、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析方法を適用すべき電磁波解析モデル、および該2つのモデルを結合する接続箇所としての1つ以上のポートに分離して、該解析対象から放射される電磁波を解析する回路解析と電磁波解析との連携処理手段とを備えることを特徴とする電磁界強度算出装置。 - 前記回路素子判定手段が、素子の名称に対応して、線形素子か非線形素子かの判定を行なうことを特徴とする請求項1記載の電磁界強度算出装置。
- 前記回路素子判定手段が、前記回路解析に必要とされるデータ内のあらかじめ定められた記号に対応して、線形素子か非線形素子かの判定を行うことを特徴とする請求項1記載の電磁界強度算出装置。
- 前記回路解析と電磁波解析との連携処理手段が、
前記1つ以上のポートにそれぞれ独立源と電圧依存電流源とを配置して、回路解析によって各ポート部の電圧を算出し、
該算出された電圧の値を用いて各ポートに電圧源を配置し、電磁波解析によって解析対象に流れる電流を算出し、
解析の時間をステップ的にインクリメントし、該ポート部の電圧算出と解析対象に流れる電流算出とを行なうことを繰り返すことを特徴とする請求項1記載の電磁界強度算出装置。 - 前記1つ以上のポートとして、非線形素子に対応するポートのみが備えられ、
前記回路解析と電磁波解析との連携処理手段が、前記電磁波解析において、線形素子を含む電磁波解析モデルを用いて解析対象に流れる電流を算出することを特徴とする請求項4記載の電磁界強度算出装置。 - 前記回路解析と電磁波解析との連携処理手段が、前記回路解析による電圧算出に先立って、前記1つ以上のポートのいずれにも電圧を印加しない状態で各ポートに流れる電流を算出し、
該算出された電流値を用いて前記独立電流源の設定を行なうことを特徴とする請求項4記載の電磁界強度算出装置。 - 前記電磁波解析手段、および回路解析と電磁波解析との連携処理手段が、前記電磁波解析の方法として時間領域モーメント法を用いることを特徴とする請求項4記載の電磁界強度算出装置。
- 前記回路解析と電磁波解析との連携処理手段が、前記回路解析による電圧算出に先立って、前記時間領域モーメント法の適用のために解析対象の微小要素への分割を行い、
該微小要素間のアドミッタンスを要素とするアドミッタンス行列の要素の一部を用いて、前記電圧依存電流源の設定を行なうことを特徴とする請求項7記載の電磁界強度算出装置。 - 前記回路解析と電磁波解析との連携処理手段が前記回路解析の方法として修正節点解析法を用いることを特徴とする請求項1記載の電磁界強度算出装置。
- 解析対象から放射される電磁波による電磁界を算出する電磁界強度算出方法において、
該解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定し、
該素子の全てが線形素子である時、該線形素子を含む解析対象のモデルを用いて、解析対象から放射される電磁波を解析し、
該素子の1つ以上が非線形素子である時、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析方法を適用すべき電磁波解析モデル、および該2つのモデルを結合する接続箇所としての1つ以上のポートに分離して、該解析対象から放射される電磁波を解析する回路解析と電磁波解析との連携処理を行なうことを特徴とする電磁界強度算出方法。 - 解析対象から放射される電磁波による電磁界を算出する計算機によって使用されるプログラムにおいて、
該解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定する手順と、
該素子の全てが線形素子である時、該線形素子を含む解析対象のモデルを用いて、解析対象から放射される電磁波を解析する手順と、
該素子の1つ以上が非線形素子である時、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析方法を適用すべき電磁波解析モデル、および該2つのモデルを結合する接続箇所としての1つ以上のポートに分離して、該解析対象から放射される電磁波を解析する回路解析と電磁波解析との連携処理を行なう手順とを計算機に実行させるプログラム。 - 解析対象から放射される電磁波による電磁界を算出する計算機によって使用される記憶媒体において、
該解析対象に含まれる電気回路を構成する素子が線形素子か非線形素子かを判定するステップと、
該素子の全てが線形素子である時、該線形素子を含む解析対象のモデルを用いて、解析対象から放射される電磁波を解析するステップと、
該素子の1つ以上が非線形素子である時、解析対象を回路解析法を適用すべき回路解析モデル、電磁波解析方法を適用すべき電磁波解析モデル、および該2つのモデルを結合する接続箇所としての1つ以上のポートに分離して、該解析対象から放射される電磁波を解析する回路解析と電磁波解析との連携処理を行なうステップとを計算機に実行させるプログラムを格納した計算機読み出し可能可搬型記憶媒体。
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