JPH07302277A - 電磁界強度算出装置 - Google Patents

電磁界強度算出装置

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JPH07302277A
JPH07302277A JP9536294A JP9536294A JPH07302277A JP H07302277 A JPH07302277 A JP H07302277A JP 9536294 A JP9536294 A JP 9536294A JP 9536294 A JP9536294 A JP 9536294A JP H07302277 A JPH07302277 A JP H07302277A
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JP
Japan
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electromagnetic field
calculation
mutual
field strength
calculating
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JP9536294A
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Inventor
Kenji Nagase
健二 長瀬
Makoto Mukai
誠 向井
Shinichi Otsu
信一 大津
Kanji Nishino
関司 西野
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、モーメント法に基づいて電気回路装
置の放射する電磁界強度を算出する電磁界強度算出装置
に関し、高速かつ高精度に電磁界強度を算出できるよう
にすることを目的とする。 【構成】モーメント法の連立方程式を構成する相互イン
ピーダンスの算出にあたって、相互インピーダンスの算
出対象となる要素の電気長と、要素間距離の電気長とを
評価する評価手段112と、評価手段112の評価結果
に応じて、相互インピーダンスの算出手法を決定する決
定手段113とを備え、決定手段113の決定する算出
手法に従って相互インピーダンスを算出することで、モ
ーメント法の連立方程式を導出していくように構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、モーメント法に基づい
て電気回路装置の放射する電磁界強度を算出する電磁界
強度算出装置に関し、特に、高速かつ高精度に電磁界強
度を算出できるようにする電磁界強度算出装置に関す
る。
【0002】電気回路装置から不要放射される電波は、
テレビやラジオ等の他の電波と干渉することから、最
近、各国で厳しく規制されるようになってきた。このよ
うな規制の規格として、日本ではVCCI規格があり、
米国ではFCC規格があり、ドイツではVDE規格があ
る。
【0003】このような電波規制を満足させるために
は、シールド技術やフィルタ技術等のような種々の対策
技術を使う必要があり、これらの対策技術がどの程度電
波を減少させるかを定量的にシミュレートしていく必要
がある。これから、高い精度でもって電気回路装置の放
射する電磁界強度をシミュレートできるようにする電磁
界強度算出装置の構築が叫ばれている。
【0004】
【従来の技術】任意形状の物体から放射される電磁界強
度は、物体各部に流れる電流が分かれば、公知の理論式
を用いて容易に計算することができる。この電流値は、
理論的には、マックスウェルの電磁波動方程式を与えら
れた境界条件の下で解くことで得られるものであるが、
任意形状物体を対象とした複雑な境界条件の下での直接
的な数式解は現在知られていない。
【0005】従って、現在の電磁界強度算出装置で用い
られている電流を求める解法は、難易の程度はあるにせ
よ、すべて近似的なものである。現在、この近似的な解
法として、微小ループアンテナ近似法と、分布定数線路
近似法と、モーメント法という3種類のものが知られて
いる。
【0006】微小ループアンテナ近似法は、波源回路と
負荷回路との間を接続する配線をループアンテナとして
扱い、ループ上の電流は平坦なものと仮定して、これを
集中定数回路の計算手法で求める方法である。図11
に、この微小ループアンテナ近似法の構成を図示する。
【0007】この微小ループアンテナ近似法による計算
は、最も簡単であるが、ループの寸法が電磁波の波長に
比べて無視できない条件では精度が極めて低下すること
から、現実には殆ど用いられていない。
【0008】一方、分布定数線路近似法は、1次元の構
造物として近似できる物体に対して、分布定数線路の方
程式を適用することで電流を求める方法である。計算は
比較的簡単であり、計算時間及び記憶容量も解析要素数
にほぼ比例して増加するに止まり、線路の反射や共振等
の現象も含めた解析ができることから、1次元の近似が
成立する物体については、高速・高精度の解析ができ
る。図12に、この分布定数線路近似法の構成を図示す
る。
【0009】この分布定数線路近似法による計算は、1
次元の構造物として近似できる物体については、高速・
高精度の解析ができるものの、近似できない物体につい
ては解析できないという問題点がある。
【0010】一方、モーメント法は、マックスウェルの
電磁波動方程式から導かれる積分方程式の解法の1つで
あり、3次元の任意形状物体を扱うことができる。具体
的には、物体を小さな要素に分割して電流の計算を行う
ものである。
【0011】このように、モーメント法が3次元の任意
形状物体を扱えることから、電磁界強度算出装置では、
モーメント法を使って、電気回路装置の放射する電磁界
強度を算出するという構成が有力である。
【0012】このモーメント法では、金属対象物を扱う
ときには、金属部分を解析対象としてメッシュ化し、分
割した金属間の相互インピーダンスZijを求め、この相
互インピーダンスZijと、波源Vi と、分割した金属に
流れる電流Ii との間に成立するモーメント法の連立方
程式、 〔Zij〕〔Ii 〕=〔Vi 〕 を解いて電流Ii を求めていくことで、放射される電磁
界強度を算出するという方法を採っている。ここで、
「〔 〕」はマトリクスを表している。
【0013】このようなモーメント法を用いるときにあ
って、従来の電磁界強度算出装置では、高速演算を実現
するために、この相互インピーダンスZijを倍精度実数
の算出手法を使って算出していくという構成を採ってい
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、倍精度
実数の算出手法では、積演算のときに下位の有効数字が
失われることから、倍精度実数の算出手法を使って相互
インピーダンスZijを算出していくと、金属メッシュの
電気長(放射される電磁波の波長を尺度する長さ)が短
くなるときに桁落ちが発生することで、相互インピーダ
ンスZijを正確に算出できないという問題点があった。
【0015】これから、従来の電磁界強度算出装置で
は、高い精度でもって電磁界強度を算出することができ
ないという問題点があった。本発明はかかる事情に鑑み
てなされたものであって、電気回路装置の放射する電磁
界強度を算出する構成を採るときにあって、高速かつ高
精度に電磁界強度を算出できるようにする新たな電磁界
強度算出装置の提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】図1に本発明の原理構成
を図示する。図中、1は本発明により構成される電磁界
強度算出装置であって、モーメント法に基づいて解析対
象となる電気回路装置の放射する電磁界強度を算出す
る。
【0017】この電磁界強度算出装置1は、解析対象と
なる電気回路装置の構造体を入力する入力手段10と、
モーメント法に基づいて解析対象となる電気回路装置の
放射する電磁界強度を算出する電磁界強度算出手段11
と、電磁界強度算出手段11の算出結果を出力する出力
手段12とを備える。
【0018】電磁界強度算出手段11は、モーメント法
に基づいて解析対象となる電気回路装置の放射する電磁
界強度を算出するために、分割手段110と、導出手段
111と、評価手段112と、決定手段113と、算出
手段114と、計算手段115とを備える。
【0019】この分割手段110は、入力された電気回
路装置の構造体を要素(メッシュ)に分割する。導出手
段111は、金属のみを解析対象とする場合には、要素
間の相互インピーダンスのみを相互係数として算出し、
金属と誘電体とを解析対象とする場合には、要素間の相
互インピーダンス,相互アドミッタンス,相互リアクシ
ョンを相互係数として算出して、これらの相互係数を使
ってモーメント法の連立方程式を導出する。
【0020】評価手段112は、導出手段111に展開
されて、相互係数の算出対象となる要素の電気長と、要
素間距離の電気長とを評価する。決定手段113は、導
出手段111に展開されて、評価手段112の評価結果
に応じて、相互係数の算出手法を決定する。
【0021】算出手段114は、導出されたモーメント
法の連立方程式を解くことで、金属のみを解析対象とす
る場合には、金属に流れる電流を算出し、金属と誘電体
とを解析対象とする場合には、金属に流れる電流と、誘
電体の表面に流れる等価電流及び等価磁流とを算出す
る。計算手段115は、算出手段114の算出する算出
値から、電気回路装置の放射する電磁界強度を計算す
る。
【0022】
【作用】本発明では、入力手段10により解析対象とな
る電気回路装置の構造体が入力されると、先ず最初に、
電磁界強度算出手段11の分割手段110は、その電気
回路装置を要素に分割する。
【0023】続いて、評価手段112は、モーメント法
の連立方程式を構成する相互係数の算出対象となる要素
の電気長と、要素間距離の電気長とを評価し、この評価
結果を受けて、決定手段113は、要素の電気長が規定
値よりも短くなるときにあって、その電気長と比較して
要素間距離の電気長が長いことが評価されるときには、
高精度の算出手法(例えば、多倍精度実数や多倍長整数
の算出手法)を用いることを決定し、そうでないことが
評価されるときには、高速の算出手法(例えば、倍精度
実数の算出手法)を用いることを決定する。
【0024】この決定手段113の決定結果を受けて、
導出手段111は、決定された算出手法を使って、金属
のみを解析対象とする場合には、要素間の相互係数とし
て、要素間の相互インピーダンスを算出し、金属と誘電
体とを解析対象とする場合には、要素間の相互係数とし
て、要素間の相互インピーダンス,相互アドミッタン
ス,相互リアクションを算出する。
【0025】続いて、導出手段111は、算出した相互
係数を用いて、金属のみを解析対象とする場合には、金
属に流れる電流を未知数とするモーメント法の連立方程
式を導出し、金属と誘電体とを解析対象とする場合に
は、金属に流れる電流と、誘電体の表面に流れる等価電
流,等価磁流とを未知数とするモーメント法の連立方程
式を導出する。
【0026】導出手段111によりモーメント法の連立
方程式が導出されると、算出手段114は、この連立方
程式を解くことで、金属のみを解析対象とする場合に
は、金属に流れる電流を算出し、金属と誘電体とを解析
対象とする場合には、金属に流れる電流と、誘電体の表
面に流れる等価電流,等価磁流とを算出する。そして、
この算出結果を受けて、計算手段115は、この算出さ
れた算出値から、電気回路装置の放射する電磁界強度を
計算し、この計算結果を受けて、出力手段12は、計算
された電磁界強度を例えば図式化して出力する。
【0027】このように、本発明では、モーメント法に
基づいて電気回路装置の放射する電磁界強度を算出する
ときにあって、モーメント法の連立方程式を構成する相
互係数の算出にあたって、通常は高速の算出手法を用い
つつ、桁落ちが発生する可能性があるときには桁落ちし
ない高精度の算出手法を用いることで、相互係数の正確
な値を算出していく構成を採るものであることから、電
気回路装置の放射する電磁界強度を高速かつ高精度に算
出できるようになる。
【0028】
【実施例】以下、金属のみを解析対象とするモーメント
法に適用した実施例に従って本発明を詳細に説明する。
【0029】図2及び図3に、本発明の電磁界強度算出
装置1が実行する処理フローの一実施例を図示する。こ
こで、図中、20は入力データファイルであって、解析
対象となるメッシュ化された電気回路装置の構造体情報
を管理するもの、21は判断テーブルであって、相互イ
ンピーダンスの算出手法の選択に用いる判断データを管
理するもの、22は出力データファイルであって、算出
された電磁界強度を格納するものである。
【0030】図4に、判断テーブル21の管理する判断
データの一実施例を図示する。この図に示すように、判
断テーブル21は、相互インピーダンスの算出対象とな
る2つの金属要素の電気長の代表値と、2つの金属要素
の距離の電気長とを検索キーにして、2つの金属要素の
電気長の代表値が規定値よりも短くなるときにあって、
その電気長と比較して2つの金属要素の距離の電気長が
長い領域を領域B、それ以外の領域を領域Aとして管理
する構成を採るものである。ここで、2つの金属要素の
電気長の代表値としては、2つの電気長の小さい方や、
2つの電気長の平均値や、2つの電気長の掛け算値の平
方根等が用いられる。また、電気長とは、上述したよう
に、電磁波の波長λを尺度する長さである。
【0031】次に、図2及び図3に示す処理フローに従
って、本発明の電磁界強度算出装置1の実行する電磁界
強度算出処理について詳細に説明する。本発明の電磁界
強度算出装置1は、起動されると、図2及び図3の処理
フローに示すように、先ず最初に、ステップ1で、入力
データファイル20からメッシュ化された電気回路装置
の構造体情報を読み込んで、金属要素や他のデータ(周
波数等)を構造体,配列として設定する。
【0032】次に、ステップ2で、処理済の周波数をカ
ウントすることで、登録されている全周波数についての
処理が終了したのか否かを判断して、終了したことを判
断するときには全ての処理を終了し、終了していないこ
とを判断するときには、以下の処理を行う周波数を未処
理の中から1つ選択して、続くステップ3で、この選択
した周波数の波長λを計算する。
【0033】続いて、ステップ4で、相互インピーダン
スZijを算出するために、m個ある金属要素の中から未
処理のものを1つ選択する。このステップ4で、未処理
の金属要素を選択できたことを判断すると、続いて、ス
テップ5で、相互インピーダンスZijの算出対象となる
もう一方の金属要素をm個の中から1つ選択する。
【0034】このステップ5で、全ての金属要素を選択
したことを判断するときには、ステップ4に戻ってい
く。一方、このステップ5で、未処理の金属要素を選択
できたことを判断するときには、ステップ6に進んで、
相互インピーダンスZijの算出対象として選択した2つ
の金属要素の距離の電気長を特定するとともに、2つの
金属要素の電気長の代表値を算出して、この2つの電気
長,代表値を検索キーにして判断テーブル21を検索す
ることで、相互インピーダンスZijの算出対象として選
択した2つの金属要素が、領域Aか領域Bのいずれに属
するのかを判断する。
【0035】このステップ6で、領域Aに属することを
判断するときには、ステップ7に進んで、演算速度を優
先して、高速演算処理を実現する倍精度実数の算出手法
に従って、選択した2つの金属要素の相互インピーダン
スZijを算出してステップ5に戻っていく。一方、この
ステップ6で、領域Bに属することを判断するときに
は、ステップ8に進んで、演算精度を優先して、高精度
演算処理を実現する多倍精度実数や、固定小数点数(多
倍長整数)の算出手法に従って、選択した2つの金属要
素の相互インピーダンスZijを算出してステップ5に戻
っていく。
【0036】一方、ステップ4で、全ての金属要素を選
択したことを判断するとき、すなわち、全ての相互イン
ピーダンスZijの算出完了を判断するときには、ステッ
プ9に進んで、算出した相互インピーダンスZijと、入
力データファイル20から読み込んだ波源Vi とを使っ
て、金属要素に流れる電流Ii を未知数とするモーメン
ト法の連立方程式 〔Zij〕〔Ii 〕=〔Vi 〕 を導出し、これを解くことで、金属要素に流れる電流I
i を求める。
【0037】そして、続くステップ10で、処理済の観
測点をカウントすることで、登録されている全観測点に
ついての処理が終了したのか否かを判断して、終了した
ことを判断するときにはステップ2に戻り、終了してい
ないことを判断するときには、ステップ11に進んで、
算出した電流Ii が観測点にもたらす電磁界強度を規定
の算出式に従って算出して、その算出結果を出力データ
ファイル22に格納してからステップ10に戻ってい
く。
【0038】このようにして、本発明では、モーメント
法に基づいて電気回路装置の放射する電磁界強度を算出
するときにあって、相互インピーダンスZijの算出にあ
たって、倍精度実数の算出手法では桁落ちが発生する可
能性があるときには、大きな作業域が必要とされ、プロ
グラムも複雑になり、計算時間も大幅に増大するもの
の、桁落ちせずに高精度演算を実現する多倍精度実数や
多倍長整数の算出手法を用いていく構成を採ることか
ら、電気回路装置の放射する電磁界強度を正確に算出で
きるようになる。
【0039】次に、図2及び図3の処理フローで用いた
判断テーブル21の管理する判断データについて具体的
に説明する。本発明の電磁界強度算出装置1は、金属の
ワイヤ部分について線分割することで、図5に示すよう
にワイヤのダイポールを生成する。
【0040】電磁界強度算出装置1は、空気中であるの
か誘電体内であるのかを表す識別子をq(以下、空気中
であるときにはq=0、誘電体内であるときにはq=d
とする)、2πを波長λで割った値をkで表すならば、
このようにして生成した金属のワイヤのダイポールにつ
いては、
【0041】
【数1】
【0042】という展開関数J(式中に示す矢印の付加
されたZは、z方向の単位ベクトルであり、aはワイヤ
の半径である)を想定して、金属のワイヤ部分に流れる
電流をJs で表すならば、この展開関数を使って、電流
s
【0043】
【数2】
【0044】のようにNc 個の展開関数のセットに展開
する。ここで、この係数In が電流の大きさを表し、最
終的にはモーメント法の連立方程式の未知数となる。こ
のようなことを前提にして、図6に示すような2つの金
属ワイヤダイポール間の相互インピーダンスの算出処理
について考えることにする。ここで、この金属ワイヤダ
イポール間の相互インピーダンスZmnは、図中にも示す
ように、モノポール間の相互インピーダンスZ00
01,Z10,Z11の和で表されるものである。
【0045】金属メッシュuのm番目の展開関数の電流
が金属メッシュvに与える電界をE q (Ju,m)で表す
ならば、金属メッシュuのm番目の展開関数の電流と、
金属メッシュvのn番目の展開関数の電流との間の相互
インピーダンスは、
【0046】
【数3】
【0047】で表される。ここで、図7に示すような波
源と観測点との関係を想定するとともに、波源の電流分
布として図中に示すJ+ を想定すると、電流J+ による
電界のz方向成分Ez + と、ρ方向成分Eρ+ は、図8
に示す算出式に従って算出されることになる。
【0048】これから、2つのモノポール間の座標系と
して、図9に示す座標系を想定するとともに、図中に示
すワイヤ1の電流J1 + 、ワイヤ2の電流J2 + を想定
すると、ワイヤ1の電流J1 + によりワイヤ2の点に生
ずる電界Ez + ,Eρ+ の内、ワイヤ2の接線方向の成
分はEz + のみであり、また、ワイヤ2の電流J2 +
よりワイヤ2の点に生ずる電界Ez + ,Eρ+ の内、ワ
イヤ1の接線方向の成分はEz + のみであるという点を
考慮すると、図6に示すモノポール間の相互インピーダ
ンスZ00は、
【0049】
【数4】
【0050】のように算出される。ここで、式中のX
は、
【0051】
【数5】
【0052】で定義され、Yは、
【0053】
【数6】
【0054】で定義され、また、
【0055】
【数7】
【0056】という定義がある。同様にして、図6に示
すモノポール間の相互インピーダンスZ01は、
【0057】
【数8】
【0058】のように算出され、図6に示すモノポール
間の相互インピーダンスZ10は、
【0059】
【数9】
【0060】のように算出され、図6に示すモノポール
間の相互インピーダンスZ11は、
【0061】
【数10】
【0062】のように算出される。このようにして、モ
ノポール間の相互インピーダンスZ00,Z01,Z10,Z
11が算出されると、これらの和を算出することで、図6
に示すような2つの金属ワイヤダイポール間の相互イン
ピーダンスZmnが算出されることになる。
【0063】図10に、この相互インピーダンスZmn
数値計算例を図示する。ここで、この数値計算は、2つ
の金属ワイヤダイポールの長さを同一のものとして、ダ
イポールの長さと、ダイポール間の距離とを電気長で表
現して行った。
【0064】図中の左側部分が、高速演算処理を可能に
する倍精度実数の算出手法を用いた場合の算出値であ
り、右側部分が、高精度演算処理を可能にする固定小数
点数(多倍長整数)の算出手法を用いた場合の算出値で
ある。
【0065】この2つの算出値を比較すれば分かるよう
に、図中の破線で囲った倍精度実数の算出値の精度が落
ちることが分かる。これは、この領域が桁落ちの発生す
る領域だからである。これから、判断テーブル21は、
この破線で囲った領域を領域Bとして管理し、それ以外
の領域を領域Aとして管理することで、相互インピーダ
ンスが高速かつ高精度に算出される構成を実現するので
ある。
【0066】以上に説明した実施例では、金属のみを解
析対象とするモーメント法に適用した実施例に従って本
発明を開示したが、本発明は、金属と誘電体とを解析対
象とするモーメント法にもそのまま適用できるものであ
る。
【0067】すなわち、金属と誘電体とを解析対象とす
るモーメント法では、分割した金属同士の相互インピー
ダンスZ0 CCと、分割した金属と誘電体との相互インピ
ーダンスZ0 Cd,Z0 dcと、分割した誘電体同士の相互
インピーダンスZ0 dd,Zd ddと、分割した誘電体同士
の相互アドミッタンスY0 dd,Yd ddと、分割した金属
と誘電体との相互リアクションB0 Cd,B0 dcと、分割
した誘電体同士の相互リアクションB0 dd,Bd ddとを
算出する。
【0068】ここで、肩付き文字“0”は空気中での計
算値を表し、肩付き文字“d”は誘電体中での計算値を
表し、添え字“c”は金属を表し、添え字“d”は誘電
体を表し、添え字“cc”は、金属から金属への相互関
係を表し、添え字“dd”は、誘電体から誘電体への相
互関係を表し、添え字“cd”は、誘電体から金属への
相互関係を表し、添え字“dc”は、金属から誘電体へ
の相互関係を表している。
【0069】そして、相互インピーダンス,相互アドミ
ッタンス,相互リアクションを算出すると、波源をVで
表すならば、この波源Vと、分割した金属に流れる電流
cと、分割した誘電体の表面に流れる等価電流I
d と、分割した誘電体の表面に流れる等価磁流Mとを使
い、金属の表面電界値がゼロを示すという境界条件から
導かれるモーメント法の連立方程式 〔Z0 CC〕〔Ic 〕+〔Z0 Cd〕〔Id 〕+〔B0 Cd
〔M〕=〔V〕 と、誘電体の境界面の両側で電界の接線成分が等しいと
いう境界条件から導かれるモーメント法の連立方程式 〔Z0 dc〕〔Ic 〕+〔Z0 dd+Zd dd〕〔Id 〕+
〔B0 dd+Bd dd〕〔M〕=
〔0〕 と、誘電体の境界面の両側で磁界の接線成分が等しいと
いう境界条件から導かれるモーメント法の連立方程式 〔B0 dc〕〔Ic 〕+〔B0 dd+Bd dd〕〔Id 〕+
〔−Y0 dd−Yd dd〕〔M〕=
〔0〕 とを導出する。
【0070】そして、このモーメント法の連立方程式を
解くことで、金属に流れる電流Icと、分割した誘電体
の表面に流れる等価電流Id と、分割した誘電体の表面
に流れる等価磁流Mとを求めて、これらの値から、電気
回路装置の放射する電磁界強度を算出していくことにな
る。
【0071】このように、金属と誘電体とを解析対象と
するモーメント法では、相互インピーダンス,相互アド
ミッタンス,相互リアクションを算出していく構成を採
るので、この相互係数の算出にあたって本発明を用いれ
ば、電気回路装置の放射する電磁界強度を高速かつ高精
度に算出できるようになる。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
モーメント法に基づいて電気回路装置の放射する電磁界
強度を算出するときにあって、モーメント法の連立方程
式を構成する相互係数の算出にあたって、通常は高速の
算出手法を用いつつ、桁落ちが発生する可能性があると
きには桁落ちしない高精度の算出手法を用いることで、
相互係数の正確な値を算出していく構成を採るものであ
ることから、電気回路装置の放射する電磁界強度を高速
かつ高精度に算出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明の実行する処理フローの一実施例であ
る。
【図3】本発明の実行する処理フローの一実施例であ
る。
【図4】判断テーブルの管理する判断データの一実施例
である。
【図5】ワイヤダイポールの説明図である。
【図6】2つのダイポール間の相互インピーダンスの説
明図である。
【図7】波源と観測点との関係図である。
【図8】電界の算出式の説明図である。
【図9】2つのモノポール間の相互インピーダンスの説
明図である。
【図10】相互インピーダンスの数値計算例である。
【図11】微小ループアンテナ近似法の説明図である。
【図12】分布定数線路近似法の説明図である。
【符号の説明】
1 電磁界強度算出装置 10 入力手段 11 電磁界強度算出手段 12 出力手段 110 分割手段 111 導出手段 112 評価手段 113 決定手段 114 算出手段 115 計算手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西野 関司 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属対象物を扱うモーメント法に基づい
    て電気回路装置の放射する電磁界強度を算出する電磁界
    強度算出装置において、 モーメント法の連立方程式を構成する相互インピーダン
    スの算出にあたって、該相互インピーダンスの算出対象
    となる要素の電気長と、要素間距離の電気長とを評価す
    る評価手段(112) と、 上記評価手段(112) の評価結果に応じて、相互インピー
    ダンスの算出手法を決定する決定手段(113) とを備え、 上記決定手段(113) の決定する算出手法に従って相互イ
    ンピーダンスを算出することで、モーメント法の連立方
    程式を導出していくよう構成されることを、 特徴とする電磁界強度算出装置。
  2. 【請求項2】 金属対象物及び誘電体対象物を扱うモー
    メント法に基づいて電気回路装置の放射する電磁界強度
    を算出する電磁界強度算出装置において、 モーメント法の連立方程式を構成する相互インピーダン
    ス、相互アドミッタンス及び相互リアクションの内の一
    部又は全ての相互係数の算出にあたって、該相互係数の
    算出対象となる要素の電気長と、要素間距離の電気長と
    を評価する評価手段(112) と、 上記評価手段(112) の評価結果に応じて、評価対象とな
    る相互係数の算出手法を決定する決定手段(113) とを備
    え、 上記決定手段(113) の決定する算出手法に従って相互係
    数を算出することで、モーメント法の連立方程式を導出
    していくよう構成されることを、 特徴とする電磁界強度算出装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の電磁界強度算出装
    置において、 評価手段(112) は、評価対象となる2つの要素の電気長
    に規定の演算を施すことで、評価処理に用いる要素の電
    気長を特定していくよう処理することを、 特徴とする電磁界強度算出装置。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の電磁界強度算
    出装置において、 決定手段(113) は、要素の電気長が規定値よりも短くな
    るときにあって、該電気長と比較して要素間距離の電気
    長が長いことが評価されるときには、高精度の算出手法
    を用いることを決定し、そうでないことが評価されると
    きには、高速の算出手法を用いることを決定していくよ
    う処理することを、 特徴とする電磁界強度算出装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の電磁界強度算出装置にお
    いて、 決定手段(113) は、高精度の算出手法として、多倍精度
    実数の算出手法を用いることを決定していくよう処理す
    ることを、 特徴とする電磁界強度算出装置。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の電磁界強度算出装置にお
    いて、 決定手段(113) は、高精度の算出手法として、多倍長整
    数の算出手法を用いることを決定していくよう処理する
    ことを、 特徴とする電磁界強度算出装置。
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