JP3980349B2 - ベビーカー - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高剛性かつ折り畳み可能なベビーカーに関する。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に、乳幼児を散歩や買い物等のために屋外に連れ出す場合に使用するベビカーにおいては、必要に応じて折り畳み、収納や携帯が容易になるようにしたものが種々提案されている。
【０００３】
ところが、従来のベビーカーにおいては、それぞれ下端部に車輪またはキャスターを設けた前後の脚を含む面が地面に対して正面視垂直であるため、特に左右方向の剛性が低く、ベビーカーの進行が不安定になる等の問題がある。しかも、ベビーカーの幅が狭くなるように折り畳めるようにした所謂三つ折りタイプのベビーカーにおいては、特に多数の枢着部が設けられているので車体の剛性がさらに低くなり、車体の剛性を高くしようとすると車体の重量が重くなり、さらに折り畳み操作時に多くの操作が必要となり、使い勝手が悪くなる等の問題がある。
【０００４】
本発明は、このような点に鑑み、高剛性でかつ折り畳み操作が容易なベビーカーを得ることを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
請求項１に係る発明は、逆Ｕ字状に屈曲された手押し杆に枢着された左右一対のアームレスト、上記各アームレストにそれぞれ上端部が枢着され下端部に前輪を有する左右一対の前脚、及び上記各アームレストにそれぞれ上端部が枢着され下端部に後輪を有する左右一対の後脚を有するベビーカーにおいて、左右一対の前脚及び左右一対の後脚をそれぞれ正面視幅方向にハ字状に傾斜させたことを特徴とする。
【０００６】
請求項２に係る発明は、請求項１に係る発明において、中央部が互いに枢着されたＸ字状のリンクによって左右の脚部を連結したことを特徴とする。
【０００７】
請求項３に係る発明は、請求項２に係る発明において、Ｘ字状のリンクの下端部が手押し杆の左右の下端部に枢着され、上記Ｘ字状のリンクの上端部が左右の前脚部に枢着されるとともに、上記Ｘ字状のリンクが傾斜状に配設されていることを特徴とする。
【０００８】
また、請求項４に係る発明は、請求項２または３に係る発明において、前脚と手押し杆とを連結する左右の連結バーに前記Ｘ字状のリンクの上端部を枢着するとともに、上記左右の連結バー互いに連結する中間ステー及び左右の前脚を連結するフットレストを上方に折曲可能としたことを特徴とする。
【０００９】
請求項５に係る発明は、請求項４に係る発明において、左右の連結バーの先端部がリンクによりフットレストに連結されていることを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【００１１】
図１及び図２は本発明のベビーカーの概略構成を示す正面図及び側面図であり、双輪構造の前輪１１を有する左右一対の前脚１２、後輪１３を有する左右一対の後脚１４、ほぼ逆Ｕ字状に屈曲された手押し杆１５、左右一対のアームレスト１６、及びそのアームレスト１６、１６の間に掛け渡された着脱可能なガードアーム（図示せず）によって構成されている。
【００１２】
上記手押し杆１５の左右の管部１５aにはそれぞれ上記アームレスト１６の後端部が枢着されており、その左右のアームレスト１６の中間部にそれぞれ前脚１２の各頂端部が枢着されている。また上記後脚１４の頂端部も前脚１２と交差して上記アームレスト１６の前脚１２の枢着点よりも前方側に枢着されている。上記左右の前脚１２は、特に図１に示すように、正面から見た状態で両前脚１２間の幅が下方で次第に広くなるようにハ字状に外方に傾斜せしめられている。また後脚１４も同様にハ字状に傾斜されている。なお、上記実施の形態においては、後脚１４の頂端部をアームレスト１６の前脚１２との枢着点よりも前方側に枢着したものを示したが、後脚１４の頂端部を前脚１２の枢着点よりも後方側に枢着してもよく、或いは前脚と後脚とを同一軸線上に枢着してもよい。
【００１３】
上記手押し杆１５の管部１５aの先端部近傍にはブラケット１７の一端が枢着されており、そのブラケット１７の他端が後脚１４の中間部に枢着されている。そして、図２に示すようなベビーカーの使用状態すなわち展開状態において、後脚１４が上記ブラケット１７に形成された長手方向の凹溝１７aに係合され、後脚１４の位置が規制されるようにしてある。
【００１４】
上記左右の各前脚１２には連結バー１８の前端部が枢着されており、その連結バー１８の後端部が手押し杆１５の管部１５aに枢着されている。そして上記左右の連結バー１８は中間ステー１９により連結されている。中間ステー１９はその中間部にヒンジ２０が設けられ上方にのみ屈曲可能としてあり、両端部がそれぞれ上記連結バー１８にピン２１により枢着されている。一方、左右の前脚１２にはフットレスト２２の端部がピン２３により枢着されており、そのフットレスト２２により両前脚１２が連結されている。このフットレスト２２も中間部に設けられたヒンジ２４により上方にのみ屈曲可能としてある。
【００１５】
また、左右の前脚１２と手押し杆１５とは、ベビーカーの展開状態時に後方下方に傾斜したＸ字状のリンク２５により連結されている。すなわち、Ｘ字状のリンク２５はほぼ中央部が互いに枢着されＸ字状に配設された２本のリンク２５a、２５ｂにより構成されており、各リンク２５a、２５ｂの下端部が前記手押し杆１５の左右の下端部にそれぞれボス２６を介して枢着されている。また、各リンク２５a、２５ｂの上端部はそれぞれ左右の連結バー１８の前部に枢着されている。
【００１６】
一方、手押し杆１５の水平杆部はその中央部で例えば可撓性部材或いは少なくとも１ヶ所のヒンジによりある程度屈曲可能としてある。
【００１７】
図３は上記連結バー１８、中間ステー１９、フットレスト２２、及びＸ字状のリンク２５等の取付部の構成を示す斜視図であって、フットレスト２２の両端近傍部が連結杆２７により左右の連結バー１８の先端部に連結されている。
【００１８】
しかして、図２に示す展開状態からベビーカーを折り畳む場合には、手押し杆１５を手前側に引きながら押し下げると、ブラケット１７が手押し杆１５との枢着点を中心として図２において時計方向に回動し、後脚１４に対して手押し杆１５が下方位置に移動する。したがって、その手押し杆１５の移動によりアームレスト１６及び連結バー１８が手押し杆１５との枢着点を中心として上方に揺動し、これによって前脚１２と後輪１３が互いに接近する方向に移動して、図４に示すようにベビーカーの前後方向の寸法が縮小される。一方、上記連結バー１８の揺動に対応してＸ字状のリンク２５が閉方向に作動され、これによって左右の前脚１２及び手押し杆１５の管部１５aが互いに接近する方向に移動されるとともに後脚１４が互いに接近する方向に移動され、ベビーカーの横方向の寸法が縮小される。この場合、Ｘ字状のリンク２５の閉方向の作動によって中間ステー１９が上方に屈曲されるとともに、連結杆２７を介してフートレスト２２が上方に付勢され、前脚１２の接近に伴い上方に屈曲され、上記脚部等の接近が阻害されることはない。図４に上記折り畳まれたベビーカーの側面図を、また図５にその正面図を示す。
【００１９】
一方、上記折り畳んだ状態から使用のために展開状態とする場合には、手押し杆１５を上方に持ち上げ手押し杆１５の手元部を手前側に引き寄せると、前述と逆に、左右の脚が互いに離れる方向に移動するとともに前輪１１と後輪１３が離間し、図２に示す状態となる。この場合、後脚１４がブラケット１７の凹部１７aに係合当接し、後脚１４と手押し杆１５との位置関係が固定される。
【００２０】
このように、ベビーカーの展開状態においては前脚１２及び後脚１４がともに正面視でハ字状に傾斜されているので、荷重が加わった場合左右の脚部には拡開方向のみの力が作用し、中間ステー１９やフートレスト２２、或いはＸ字状のリンク２５に加わる荷重は引っ張り方向のみに限定され、車体を高剛性とすることができ、安定した走行を行うことができる。また、左右の脚部が中間ステー１９とＸ字状のリンク２５により連結されることにより、中間ステー１９とＸ字状のリンク２５を車体横方向と上下方向の強度メンバーとして作用させることができ、車体の強度を増加させることもできる。
【００２１】
また、車体の折り畳み時等においては車体を傾斜させるとともに上方から押し付けるだけでよいので、車体から手を離すことがなく一連の動作で操作することができ、従来のように手押し杆１５の手元部に複雑な操作部材を設ける必要もない。
【００２２】
なお、上記実施に形態においては連結杆２７によりフットレスト２２に折り畳み方向の付勢を与えるようにしたものを示したが、ばね等により常時折り畳み方向の付勢を与えておくようにしてもよい。
【００２３】
ところで、本発明においては前述のように、脚部がハ字状に傾斜されているため、図１のように展開状態の時に車輪が地面に垂直に接地するようにした場合には、折り畳んだときに車輪が傾斜し、その状態での走行がスムースでなくなることがある等の問題がある。そこで、車輪軸を脚部に対して傾動可能に装着し、ばね等により下方に付勢することにより、常に車輪が地面に対して垂直になるようにしてある。
【００２４】
すなわち、前脚１２の先端部には前輪１１が取り付けられたキャスター本体３０が装着されており、上記キャスター本体３０は前脚１２の軸線に対して傾斜されており、ベビーカーの使用時即ち展開状態においては、図１に示すように、上記キャスター本体３０の軸線を含む面が前輪１１の接地面に対して垂直になるようにしてある。一方、折り畳み時には、図５に示すように、上記キャスター本体３０の軸線を含む面が接地面に対して傾斜するようにしてある。図６（ａ）、（ｂ）は前脚１２に対する前輪１１の取付部の構成を示す図であり、前脚１２の先端部に装着されているキャスター本体３０には、車輪軸３１が貫挿装着されており、その車輪軸３１の両端部に前輪１１が回動可能に装着されている。上記キャスター本体３０内には、車輪軸３１の中央部に固着された軸支持体３２が装着される空所３０aが形成されるとともに、上記キャスター本体３０の左右両側壁部には上下方向に延びるスリット３０bが形成されている。一方、上記軸支持体３２は車輪軸３１の軸線を含む垂直断面がほぼ円弧状に形成されており、その軸支持体３２が上記キャスター本体３０の空所３０aの底面に形成された円弧状の凹部３０cに係合支持され、ばね３３によりその凹部３０cに押圧支持されている。そして、上記軸支持体３２に固着されている車輪軸３１が左右のスリット３０bを経てキャスター本体３０の外部に突出され、上記キャスター本体３０の外部に突出された車輪軸３１に前輪１１が回動可能に装着されている。
【００２５】
しかして、ベビーカーの展開状態においては、図１及び図６（ａ）に示すように、上記車輪軸３１がキャスター本体３０の軸線に対して直交する状態になり、左右の前輪１１が接地面に対して垂直状態になる。一方、折り畳み時においては図５に示すようにキャスター本体３０の軸線が接地面に対して傾斜するが、この場合には左右の前輪１１が接地すると、図６（ｂ）に示すように、車輪軸３１がキャスター本体３０のスリット３０ｂに沿って上下方向に傾動し、この場合にも左右の前輪１１が接地面に対して垂直状態になる。このようにして、左右の前輪１１はベビーカーの展開状態及び折り畳み状態のいずれの状態においても常に接地面に対して垂直となり、車輪による走行を常にスムースに行うことができる。
【００２６】
また、ここで前輪１１は双輪構造であるので製造上の精度が要求されるが、キャスターを上述のように構成したことにより常に車輪が接地するので、製造上の誤差を補正することができ、ひいては品質の向上を図ることができる。
【００２７】
図７（ａ）、（ｂ）はキャスター部の他の実施の形態を示す図であり、キャスター本体３０が、図示しない前脚が取り付けられている前脚取付部３４と車輪軸３１が装着されている車輪軸取付部３５により、ほぼＬ字状に構成されている。上記車輪軸取付部３５には車輪軸３１の軸線に対して直交して進行方向前方側に延びる突起部３５aが一体的に突設されており、その突起部３５aに上記前脚取付部３４の下部が上記突起部３５aの軸線回りに相対的に揺動可能に装着され、その前脚取付部３４の頂端部が図示しない前脚に軸線回りに回動可能に装着されている。
【００２８】
しかして、ベビーカーの展開状態時には図７（ａ）の実線に示すように、前脚取付部３４はほぼ垂直状態となり、前輪１１はその接地により図７（ａ）に示すように接地面に対して垂直状態となる。一方、ベビーカーの折り畳み時には、図７（ａ）において一点鎖線で示すように前脚取付部３４が傾斜状態となるが、この場合には前輪１１の接地により車輪軸取付部３５が前脚取付部３４に対して揺動して前輪１１は接地面に対して垂直状態に接地する状態になる。このようにしてこの実施の形態においても、左右の前輪１１はベビーカーの展開状態及び折り畳み状態のいずれの状態においても常に接地面に対して垂直に接地し、車輪による走行を常にスムースに行うことができる。しかも、前述のように双輪構造の車輪が常に接地するので、製造上の誤差を補正することができ、ひいては品質の向上を図ることができる。
【００２９】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、逆Ｕ字状に屈曲された手押し杆に枢着された左右一対のアームレスト、上記各アームレストにそれぞれ上端部が枢着され下端部に前輪を有する左右一対の前脚、及び上記各アームレストにそれぞれ上端部が枢着され下端部に後輪を有する左右一対の後脚を有するベビカーにおいて、左右一対の前脚及び左右一対の後脚をそれぞれ正面視幅方向にハ字状に傾斜させたので、荷重の伝達が左右の脚部を拡開する方向のみの力となり、中間ステーやフートレスト或いはＸ字状のリンク等に加わる荷重は引っ張り方向のみに限定され、車体を高剛性とすることができる。さらに 中央部が互いに枢着されたＸ字状のリンクによって左右の脚部を連結するようにした場合には、車体を二つ折り状態に作動することにより同時にその幅の縮小が行われ、折り畳み或いは展開時に車体から手を離すことがなく一連の動作で操作することができ、従来のように手押し杆１５の手元部に複雑な操作部材を設けたり、車体を複雑な構造とする必要もない等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のベビーカーにおける展開状態の正面図。
【図２】本発明のベビーカーにおける展開状態の側面図。
【図３】本発明のベビーカーにおける展開状態の斜視部分図。
【図４】折り畳み状態時の側面図。
【図５】折り畳み状態時の正面図。
【図６】前脚に対する前輪の取付部の構成を示す図であり、（ａ）はベビーカーの展開時、（ｂ）は折り畳み時の状態を示す断面図。
【図７】前脚に対する前輪の取付部の他の構成を示す図であり、（ａ）は一部縦断正面図、（ｂ）は縦断側面図。
【符号の説明】
１２ 前脚
１４ 後脚
１５ 手押し杆
１６ アームレスト
１７ ブラケット
１８ 連結バー
１９ 中間ステー
２２ フットレスト
２５ Ｘ字状のリンク
２７ 連結杆
３０ キャスター本体
３１ 車輪軸
３２ 軸支持体
３４ 前脚取付部
３５ 車輪軸取付部

Claims (6)

1. 逆Ｕ字状に屈曲された手押し杆に枢着された左右一対のアームレスト、上記各アームレストにそれぞれ上端部が枢着され下端部に前輪を有する左右一対の前脚、及び上記各アームレストにそれぞれ上端部が枢着され下端部に後輪を有する左右一対の後脚を有するベビーカーにおいて、
   左右一対の前脚及び左右一対の後脚をそれぞれ正面視幅方向にハ字状に傾斜させ、
   前脚の先端部にはキャスター本体が取り付けられており、このキャスター本体には車輪軸が貫挿装着されており、この車輪軸の両端部に前輪が回動可能に装着されており、キャスター本体内には、車輪軸の中央部に固着された軸支持体が装着される空所が形成されており、キャスター本体の左右両側壁部には上下方向に延びるスリットが形成されており、
   軸支持体は車輪軸の軸線を含む垂直断面が略円弧状に形成されており、当該軸支持体がキャスター本体の空所の底面に形成された円弧状の凹部に係合支持されており、ばねによりその凹部に押圧支持されており、
   このことにより前輪の車輪軸が前脚に対して傾動可能に装着され、ベビーカーの展開状態時および折り畳み時の両方において前輪が地面に対して垂直になることを特徴とするベビーカー。
2. 逆Ｕ字状に屈曲された手押し杆に枢着された左右一対のアームレスト、上記各アームレストにそれぞれ上端部が枢着され下端部に前輪を有する左右一対の前脚、及び上記各アームレストにそれぞれ上端部が枢着され下端部に後輪を有する左右一対の後脚を有するベビーカーにおいて、
   左右一対の前脚及び左右一対の後脚をそれぞれ正面視幅方向にハ字状に傾斜させ、
   前脚の先端部にはキャスター本体が取り付けられており、このキャスター本体には車輪軸が貫挿装着されており、この車輪軸の両端部に前輪が回動可能に装着されており、
   キャスター本体が、前脚が取り付けられている前脚取付部と車輪軸が装着されている車輪軸取付部により略Ｌ字状に形成されており、車輪軸取付部には車輪軸の軸線に対して直交して進行方向前方側に延びる突起部が一体的に突設されており、この突起部に前脚取付部の下部が当該突起部の軸線回りに相対的に揺動可能に装着され、前脚取付部の頂端部が前脚に軸線回りに回動可能に装着されており、
   このことにより前輪の車輪軸が前脚に対して傾動可能に装着され、ベビーカーの展開状態時および折り畳み時の両方において前輪が地面に対して垂直になることを特徴とするベビーカー。
3. 中央部が互いに枢着されたＸ字状のリンクによって左右の脚部を連結したことを特徴とする、請求項１または２記載のベビーカー。
4. Ｘ字状のリンクの下端部が手押し杆の左右の下端部に枢着され、上記Ｘ字状のリンクの上端部が左右の前脚部に枢着されるとともに、ベビーカーの展開状態時において上記Ｘ字状のリンクが傾斜状に配設されていることを特徴とする、請求項３記載のベビーカー。
5. 前脚と手押し杆とを連結する左右の連結バーに前記Ｘ字状のリンクの上端部を枢着するとともに、上記左右の連結バーを互いに連結する中間ステー及び左右の前脚を連結するフットレストを上方に折曲可能としたことを特徴とする、請求項３または４記載のベビーカー。
6. 左右の連結バーの先端部がリンクによりフットレストに連結されていることを特徴とする、請求項５記載のベビーカー。

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