JP3980258B2 - 光ファイバーケーブルの敷設方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地中管路、特に下水道管路内に、光ファイバーケーブルを敷設する方法に関するものである。
【0002】
近年新しい通信方式として、光ファイバーケーブルを伝送媒体とする情報通信ネットワーク作りが各所で検討されている。そして、伝送経路としては、既存の電話回線を光ファイバーケーブルに変更していく方式ではなく、既に各家庭への連絡経路が確立されている下水道管路内に光ファイバーケーブルを敷設する方式が注目を集めている。
【0003】
【従来の技術】
光ファイバーケーブルは、既存のメタルケーブルに比較すると、重量が1/4以下と軽く且つ柔軟であることから、取り扱いやすく、伝送速度や伝送容量が格段に優れているため、次世代の伝送媒体として本命視されている。
【0004】
しかしながら、光ファイバーケーブルはその素材がガラスから作られているために、破断伸びが非常に小さいという欠点を有する。従って、光ファイバーケーブルを下水道管に敷設する場合には、光ファイバーケーブルに張力が加わらないように留意して作業を行う必要がある。
【0005】
また、下水道管の本管には、大容量の情報を伝送させる目的で使用される幹線や枝線と呼ばれる外径が20mm前後の大口径の光ファイバーケーブルが敷設され、またその本管から各家庭に接続される分岐管内には、引き込み線と呼ばれる外径が5mm程度の比較的細い光ファイバーケーブルが敷設される。
【0006】
従って、下水道管の中で自然流下方式を採用している管路の中に光ファイバーケーブルを敷設する場合には、下水道本管内を流れる下水の流れを阻害することがないように、幹線や枝線、各引き込み線からなる光ファイバーケーブルを下水道本管の上部側に敷設することが求められる。
【0007】
一方、本管から分岐する分岐管路の場合は、敷設される引き出し線が細いこともあり、また配管設計が下水道本管は敷設角度が5パーミル(=0.3度)前後であるのに対して、分岐管路は10パーミル以上と大きく、且つ本管との接続角度が60度以上とされていることから、基本的に下水の滞留が生じにくく、本管のように光ファイバーケーブルを強いて上部に敷設する制限は実用上必要が無いと考えられる。
【0008】
以上の技術背景の中で、光ファイバーケーブルを下水道本管の上部側に張力を加えることなく敷設する方法として、特公平3−50483号公報及び特開平8−103012号公報に記載された技術が知られている。
【0009】
これらの従来技術は、下水道本管内に光ファイバーケーブルを挿入しながら敷設ロボットを挿入し、当該敷設ロボットのアームによって、光ファイバーケーブルを持ち上げて下水道本管内面の上部に押し付け、敷設ロボットに装備しているフックを下水道本管内面に適当間隔で取り付けながら、当該フックに光ファイバーケーブルを引っ掛けていくものである。
【0010】
これらの技術におけるフックの取り付け方法としては、敷設ロボットに内蔵されているドリルで下水道本管内面の上部にフック取り付け穴を穿設し、当該フック取り付け穴内部に接着剤を充填した後、そのフック取り付け穴にフックを押し込み、フック取り付け穴内部の接着剤を溢れ出させながら、フックを下水道本管内面に固定するものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来技術の方法は、フック間の光ファイバーケーブルが自重により弛むことが考えられるが、弛みによるクリープ破断を防止するためには、フック間隔を比較的短い間隔で設定しなければならず、フック取り付け作業に対して非常に多くの時間を要していた。
【0012】
また前記敷設ロボットには、光ファイバーケーブルを押さえつけるためのアーム機構や、フック取り付け穴を穿設するためのドリル機構、接着剤の注入機構、フック取り付け穴にフックを押し込むための機構など、下水道管路内で種々の作業を行うための機構が組み込まれており、構造が複雑であってコストが高いものとなる。下水道管路内に早急に光ファイバーケーブル網を構築させるためには、敷設作業が汎用性のある低コストの技術であることが要求されており、前記公報に記載された方法はなかなか採用されにくいのが実情であった。
【0013】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、下水道管などの地中管路内に、光ファイバーケーブルに直接張力を加えることなく、且つ弛ませることなく敷設が可能であって、また複数の光ファイバーケーブルが敷設される本管内に対しては、管路の上部側に光ファイバーケーブルを敷設することができ、また敷設作業に際して高価なロボットを必要とすることのない、光ファイバーケーブルの敷設方法を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
而して本発明は、マンホールの間に設けられた本管に少なくとも一本以上の分岐管が分岐している地中管路に、本管及び各分岐管を経由して光ファイバーケーブルを敷設する方法であって、本管内に敷設される幹光ファイバーケーブル及び、当該幹光ファイバーケーブルから分岐して各分岐管内に敷設される分岐光ファイバーケーブルに沿って、それぞれに高強度低伸度性のテンションメンバーをそれぞれの光ファイバーケーブルに対して長さ方向にスライド可能に結合し、それらのテンションメンバーを本管内の分岐管口に相当する部分において互いに結束し、幹光ファイバーケーブルに沿わせた幹テンションメンバーをマンホールから本管内を介して他のマンホールまで、また分岐光ファイバーケーブルに沿わせた分岐テンションメンバーをマンホールから本管及び所定の分岐管内を経由して分岐管桝まで、それぞれ引き込み、それらのテンションメンバーを牽引して各光ファイバーケーブルを本管内及び分岐管内に挿通し、次いでマンホール間及びマンホールと分岐管桝との間においてテンションメンバーに張力をかけて、本管内に挿通したテンションメンバーを本管内の上部側で略直線的に張ることにより、各光ファイバーケーブルを本管内の上部側に敷設すると共に、分岐管内に挿通した分岐テンションメンバーに張力をかけることにより、分岐光ファイバーケーブルを分岐管内において弛むことがないように敷設することを特徴とするものである。
【0015】
本発明においては、分岐管内に挿入する分岐テンションメンバーは、本管内の分岐管口に相当する部分で、本管内に敷設される幹テンションメンバーから分岐していることが好ましいことである。
【0018】
さらに、テンションメンバーが線状体又は帯状体であって、当該テンションメンバーに光ファイバーケーブルを若干弛ませながら部分的に結束することにより、光ファイバーケーブルをテンションメンバーに対して長さ方向にスライド可能に結合することも好ましいことである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。なお以下の説明においては管路は下水道管であるものとして説明するが、本発明は地中管路内面にフックなどの冶具を直接取り付けないので、対象となる管路系や管種の制限がない。例えば、鋼管により配管しているガス管路や、鋳鉄管により配管している水道管路、雨水管路、電力ケーブル管路など、あらゆる地中管路に適用可能である。また、上述した管路にマンホールが設けられていない場合には、立抗を形成して本発明を実施することが可能である。
【0021】
図1は、地中管路の一例としての下水道管路を示すものであって、1は下水道管の本管であり、マンホール2と他のマンホール3との間に配管されている。そしてその本管1の上部側から、分岐管口6、7において分岐管4、5が分岐し、当該分岐管4、5は各家庭(図示せず)毎の分岐管桝8、9にまで接続されている。
【0022】
一般に本管1は道路に沿って深さ数mの位置に敷設されており、図2に示すように当該本管1の斜め側上部に分岐管口6、7が形成され、分岐管4、5は分岐管口6、7から急角度で上昇した後、地表近くで角度を変え、地表に形成された分岐管桝8、9に緩角度で接続されている。
【0023】
而して本発明においては、マンホール2から他のマンホール3及び分岐管桝8、9までの間に、牽引索10、11、12を通線しておく。通線の方法としては、ワイヤーなどの剛直体を押し込む方法や、パラシュート状の通線具を空気圧で飛ばす方法、自走型管内移動車に接続しておく方法などが知られており、これらの既知の方法を適宜採用することができる。
【0024】
またマンホール2から他のマンホール3まで及び本管1及び分岐管4、5を経由して分岐管桝8、9までの距離を測長しておき、その長さに対応する光ファイバーケーブル20、21、22を準備しておく。
【0025】
次いで、図1の下水道管路に対応する長さを有する光ファイバーケーブル20、21、22に、本管1及び分岐管4、5の長さに相当する長さを有するテンションメンバー25、26、27を、光ファイバーケーブル20、21、22がスライド可能となるように結合する。この結合作業そのものは工場内で実施しても良く、また作業現場で実施することもできる。
【0026】
テンションメンバー25、26、27は、高強度低伸度性の材料よりなり、それが光ファイバーケーブル20、21、22と平行して延び、且つテンションメンバー25、26、27と光ファイバーケーブル20、21、22とが互いに長さ方向にゆとりをもって移動可能となっている。
【0027】
図3はテンションメンバー25、26、27の一例を示すものであって、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、アラミド繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維などの高強度低伸度性繊維よりなる、ロープ、紐、ベルトなどの長尺体や、ステンレスワイヤーなどを使用することができる。
【0028】
そしてそのテンションメンバー25、26、27に対して、光ファイバーケーブル20、21、22が若干弛んだ状態で並設され、その両者が結束用紐状物30によって部分的に結束されている。
【0029】
従ってこの構造においては、光ファイバーケーブル20、21、22とテンションメンバー25、26、27とは、結束用紐状物30で結束されることにより、部分的に多少の融通性を有した状態で結合されており、且つ結束用紐状物30間においては、光ファイバーケーブル20、21、22はテンションメンバー25、26、27より僅かに長く、全体としてその両者は互いに長さ方向にスライド可能となっている。
【0030】
また図3においては、分岐管5内に挿入される分岐テンションメンバー27を、本管1内の分岐管口7に相当する部分で本管1内の幹テンションメンバー25と、結束用紐状物31によって結束している。
【0031】
このようにしておくことで、光ファイバーケーブルを下水道管路内に敷設した後に、分岐管桝9からテンションメンバー27に張力を加えると、テンションメンバー25を分岐管口7の部分で分岐管5の方向に手繰り寄せることができ、光ファイバーケーブル20を本管1の中間地点で本管1内の上部側に引っ張ることが可能となり、光ファイバーケーブル20をさらに弛むことなく本管1内に敷設することができる。
【0032】
図4は、光ファイバーケーブル20、21、22に対して、テンションメンバー25、26、27をスライド可能に一体化した構造の、他の形態を示すものであって、テンションメンバー25、26、27はパイプ状であり、そのテンションメンバー25、26、27の内部に光ファイバーケーブル20、21、22がスライド可能に挿通されている。
【0033】
図4の(b)は拡大横断面図であって、テンションメンバー25、26、27は、ステンレスなどの金属パイプ35の外面に防食用の樹脂被膜36が被覆されている。金属パイプ35の内部には、二本の光ファイバー23の外面に防食用の樹脂被膜24を被覆した二心型の光ファイバーケーブル20、21、22が挿入されている。なお光ファイバーケーブルは二心型に限らず、四心型その他の形式のものも使用可能である。
【0034】
金属パイプ35の内径を光ファイバーケーブル20、21、22の外径より大きく構成することで、光ファイバーケーブル20、21、22は金属パイプ35内でスライド可能とすることができる。なお金属パイプ35は柔軟であって屈曲し得るものであることが好ましい。また防食用被膜36の厚みの内部には、光ファイバー23と共に線状の高強度低伸度繊維を埋め込んで、長さ方向に対して補強しておくことが好ましい。
【0035】
図5乃至図7は、本管1内に挿通される光ファイバーケーブル20、21、22に対して、その本管1内の幹テンションメンバー25をスライド可能に一体化した、さらに他の形態を示すものである。
【0036】
図5は、断面形状がU字状のステンレス鋼材又はFRP材などの剛直な材料からなる幹テンションメンバー25であり、その内側の空間部28に光ファイバーケーブル20、21、22が設置されている。
【0037】
また図6は断面形状が異なる形態であって、図6(a)は断面形状が略V字状であり、図6(b)は断面形状が略W字状となっており、その内側の空間部28に光ファイバーケーブル20、21、22が、図6(a)においては1本、図6(b)においては2本設置されている。
【0038】
なお本発明においては、幹テンションメンバー25の断面形状は、図5及び図6に示された形状に限定されるものではなく、光ファイバーケーブルを設置するための一方に開いた空間部28を有する形状であれば足りる。
【0039】
図7は、幹テンションメンバー25同士を接続部材29により連結した状態を示すものである。前述のように幹テンションメンバー25は剛直体であるので、マンホール2、3からは限られた長さのものしか搬入することができない。そのため本管1の全長に亙ってテンションメンバー25を敷設するためには、本管1内において接続部材29により短尺のテンションメンバー部材を連結して、長尺の幹テンションメンバー25を形成する必要がある。
【0040】
図7においては、図5又は図6に示される一方に開いた略U字状、V字状、W字状などの断面形状の幹テンションメンバー25を、前記開いた部分を閉じた形状の筒状の接続部材29により接続した構造を示している。
【0041】
この構造において、本管1内の分岐管口6に相当する位置に接続部材29を設置することにより、幹テンションメンバー25内に設置された分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26を接続部材29の位置で分岐させて分岐管4に挿通することができ、図3の結束用紐状物31と同様に、分岐管桝8から分岐テンションメンバー26に張力を加えて幹テンションメンバー25を分岐管口6の方向に手繰り寄せ、本管1内において幹光ファイバーケーブル20を弛むことなく敷設することができる。
【0042】
而してマンホール2において、光ファイバーケーブル20、21、22をそれぞれ対応するテンションメンバー25、26、27とスライド可能に結合し、各テンションメンバー25、26、27の一端に前記牽引索10、11、12の一端を接続する。
【0043】
次いで、マンホール3及び各分岐管桝8、9から牽引索10、11、12の他端を引き取ることにより、光ファイバーケーブル20、21、22及びテンションメンバー25、26、27を、本管1内及び分岐管4、5内に挿通し、テンションメンバー25、26、27の他端をマンホール3内及び分岐管桝8、9内に引き出しておく。
【0044】
この状態において、先ずマンホール2内のテンションメンバー25、26、27の一端をアンカー40などの固定手段により固定し、次いで、マンホール3及び分岐管桝8、9に設置したターンバックル41などの巻き上げ手段により、テンションメンバー25、26、27の他端を牽引してテンションメンバー25、26、27に張力を加える。この状態が図8に示されている。
【0045】
ターンバックル41の設置箇所は、テンションメンバー25、26、27に張力を加えたときに、テンションメンバー25、26、27が地中管路内の上部側で略直線的に張ることが可能なように、少なくともマンホール3の内部においては、本管1の上部側と同位置か、若しくはそれより高い位置に設けることが好ましい。
【0046】
なお図8においては、図面を簡略化するために光ファイバーケーブル20、21、22を省略しているが、光ファイバーケーブル20、21、22は既に述べたように、テンションメンバー25、26、27に対してスライド可能に結合されている。
なおテンションメンバー25、26、27に張力を加えるときには、光ファイバーケーブル20、21、22に張力が作用することなく、あくまでもテンションメンバー25、26、27のみに張力が作用するようにする。
【0047】
特に図4で示す例の場合には、テンションメンバー25、26、27の内部に光ファイバーケーブル20、21、22が挿通されているので、テンションメンバー25、26、27に張力を加えるときに、その内部に挿通された光ファイバーケーブル20、21、22に張力が作用しないような張力付与手段を使用する必要がある。
【0048】
ここで図8に示したように、分岐テンションメンバー26、27を分岐管口6、7で結束用紐状物31により幹テンションメンバー25と結束しておくことにより、分岐管桝8、9側から分岐テンションメンバー26、27に張力を加えたときに、幹テンションメンバー25を分岐管口6、7の部分で分岐管4、5の方向に手繰り寄せることができ、マンホール2、3の間で幹テンションメンバー25に過大な張力をかけることなく、テンションメンバー25、26、27及び光ファイバーケーブル20、21、22を本管1の上部側に位置せしめることが可能となる。
【0049】
以上の工程により、光ファイバーケーブル20を本管1内の上部側に敷設することができる。最後に、マンホール2、3内に設けられている光ファイバーケーブルの接続箱(図示せず)に、光ファイバーケーブル20、21、22を接続し、分岐光ファイバーケーブル21、22の先端を適宜の箇所に設置された戸別の配線のコネクターに結合して、マンホール2、3間の光ファイバーケーブル20、21、22の敷設が終了する。
【0050】
本発明においては、テンションメンバー25、26、27を、全て同一の形態としておく必要がなく、各管路の形式により必要に応じて、最適の形態を適宜組み合わせて採用することが可能である。
【0051】
図9及び図10は、本発明の他の形態を示すものである。45は保護管であって、プラスチックなどの板を管状に丸め、その両側縁を開閉可能に重ねてパイプ状に成形したものである。
【0052】
而してその保護管45の前記両側縁を開いて、光ファイバーケーブル20、21及びテンションメンバー25、26を挿入し、再度その弾性によって管状に復し、それらを保護管45により外方から包み込んで保護している。
【0053】
またその保護管45における分岐管口6に相当する位置には透孔46が穿設されており、保護管45の内部から当該透孔46を通して光ファイバーケーブル21及びテンションメンバー26が外部に分岐している。47は保護管45同士を接続するための接続部材である。
【0054】
図9及び図10の例においては、前述の方法によって幹テンションメンバー25に張力を加えて、当該幹テンションメンバー25を本管1内の上部側で略直線的に張ることにより、幹テンションメンバー25を包み込んでいる保護管45を本管1内の上部側に配置し、当該保護管45内部に挿入されている光ファイバーケーブル20、21、22も、保護管45と共に本管1内の上部側に敷設されることとなる。
【0055】
本発明においては、本管1内に挿通された幹テンションメンバー25に張力を加え、テンションメンバー25、26、27及び光ファイバーケーブル20、21、22を本管1の上部側に配置するのであるが、離れたマンホール2、3間において長い幹テンションメンバー25に張力を加えるだけで、これらを確実に本管1の上部に沿って配置するのは困難であり、重みである程度垂れ下がることは避けられない。
【0056】
また光ファイバーケーブル20、21、22はテンションメンバー25、26、27に対して緩んだ状態で結合されているので、例えば図3の例においては、光ファイバーケーブル20、21、22がテンションメンバー25、26、27に対して弛みを生じ、本管1内に垂れ下がる。
【0057】
図11及び図12はこのような場合に、光ファイバーケーブル20、21、22及びテンションメンバー25、26、27の弛みを除いて、本管1の上部側に確実に配置するための方法を示すものである。
【0058】
すなわち図11において、50は拡径材としての金属リングであって、その外周には光ファイバーケーブル20、21、22及びテンションメンバー25、26、27を収納可能な窪み51が形成されている。
【0059】
而して、本管1内で光ファイバーケーブル20、21、22又はテンションメンバー25、26、27が弛んでいる箇所に、壁面を屈曲させて縮径した金属リング50を挿入し、当該金属リング50を拡径して本管1内面に圧接し、光ファイバーケーブル20、21、22及びテンションメンバー25、26、27を窪み51に収容して本管1内面に押圧し、本管1内への垂れ下がりを除いて弛みを除去する。
【0060】
この操作は、特に光ファイバーケーブル20、21、22又はテンションメンバー25、26、27が本管1内に垂れ下がった箇所においてのみ適用することもできるが、本管1の所定間隔毎に金属リング50を設置し、後発的な垂れ下がりをも防止することが好ましい。
【0061】
図12においては、拡径材はリング状のFRP材52よりなっており、これを未硬化の状態で所要の箇所に設置し、それを拡径して光ファイバーケーブル20、21、22及びテンションメンバー25、26、27を本管1内面に押圧し、その状態で硬化させてなるものである。
【0062】
この例においては、未硬化FRP材52が硬化するのに伴い、拡径材が光ファイバーケーブル20、21、22及びテンションメンバー25、26、27に固着するので、これらの光ファイバーケーブル20、21、22及びテンションメンバー25、26、27と未硬化FRP材52との間に、光ファイバーケーブル20、21、22及びテンションメンバー25、26、27を収納可能な窪み54を形成した金属片53を挟んで固着を防止することにより、後で光ファイバーケーブル20、21、22の取り替えることが容易となる。
【0063】
図11、図12の例においては、窪み51、54は一箇所だけであったが、本管1内に敷設される光ファイバーケーブル20、21、22及び及びテンションメンバー25、26、27の本数に応じて複数形成しても良い。
【0064】
また金属リング50及びFRP材52の形状は、リング状に限定するものではなく、板状のものをその端部同士をオーバーラップさせて縮径しておき、該オーバーラップ部をスライドさせて拡径可能とした形状でもよい。
【0065】
先に図2に基づいて、本管1に対して分岐管4、5が分岐する場合、本管1の斜め側上部に分岐管口6、7が形成されている旨説明した。大部分の分岐はこの構造であり、幹光ファイバーケーブル20及び幹テンションメンバー25を本管1の上部中央に沿って敷設すれば、これらが分岐管4、5からの下水の流通に障害となることはない。
【0066】
しかしながら、個々の本管1及び分岐管4、5によっては、必ずしも厳密にかかる構造が全てであるわけではなく、分岐管4、5の角度や分岐管口6、7の位置がずれて、分岐管の上部中央が分岐管口6、7に掛かっており、幹光ファイバーケーブル20や幹テンションメンバー25がこの分岐管口6、7を横切って、下水の流通を阻害する恐れが生じる場合もある。
【0067】
図13は、かかる場合に光ファイバーケーブル20、21、22及びテンションメンバー25、26、27が、分岐管口6、7を横切ることがないようにした構造を示すものである。
【0068】
図13において60はキャップ型拡径材であって、分岐管4内に挿入される筒部61と、分岐管口6周縁の本管1内面に当接する鍔部62より形成されており、筒部61の先端部は鍔部62から本管1の内方に突出している。
【0069】
そして筒部61における分岐管4内に挿入される箇所には、拡径手段63が設けられている。拡径手段63としては、ステンレス製のバネリング、組成変形により拡開可能の金属リングなどを使用することができ、筒部61を内側から押し拡げることにより、分岐管4の内面に圧接せしめることができるものを使用する。また前記鍔部62には、分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26を通すための凹部64が形成されている。
【0070】
而して分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26は、筒部61の先端部の外周に誘導されて凹部64に至り、当該凹部64から筒部61と本管1内面との間を通り、分岐管4、5内に延びている。
【0071】
また幹光ファイバーケーブル20及び幹テンションメンバー25は、筒部61の先端部の外周を迂回することにより、分岐管口6、7を横切ることなく、本管1の上部中央に沿って延びている。
【0072】
また図14に示すように、鍔部62の下部に光ファイバーケーブル20、21及びテンションメンバー25、26を位置させることにより、テンションメンバー25、26の張力によってキャップ型拡径材60が分岐管口6から本管1内に外れることを防止することもできる。
【0073】
図15はキャップ型拡径材の他の例を示すものであって、筒状基部66と筒状枝部67とを略T字状に結合した形状の、T字状キャップ型拡径材65である。管路内に光ファイバーケーブル20、21及びテンションメンバー25、26を設置した後、このT字状キャップ型拡径材65を縮小した状態で本管1内に挿入して分岐管口6に位置せしめると共に、筒状枝部67を分岐管4に挿入し、その状態で筒状基部66及び筒状枝部67を拡張して、本管1及び分岐管4の内面に圧接する。
【0074】
これにより分岐管口6を横切っていた光ファイバーケーブル20、21及びテンションメンバー25、26は拡張された筒状枝部67によって分岐管口6の周縁部を迂回した経路に寄せられると共に、その位置で筒状基部66及び筒状枝部67と本管1及び分岐管4との間に挟持される。
【0075】
ところで、先にも述べたように分岐管4、5は、本管1の側上部の分岐管口6、7から、急角度で斜めに上昇し、地表近くで上昇角度を変え、緩角度で分岐管桝8、9に接続されている。
【0076】
このような分岐管4、5に分岐光ファイバーケーブル21、22及び分岐テンションメンバー26、27を挿通し、分岐テンションメンバー26、27に張力を作用させると、分岐管口6、7におけるそれらの位置関係によっては分岐テンションメンバー26、27が分岐管4、5内を斜めに横切って、下水の流通を阻害する恐れがある。
【0077】
図16はこの問題を解決する手段を示すものであって、分岐管4に分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26を挿通し、分岐テンションメンバー26に張力を作用させた後、分岐管桝8側から分岐管4内に、当該分岐管4よりやゝ小径のフレキシブル保形パイプ70を挿入し、当該フレキシブル保形パイプ70によって分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26を分岐管4の壁面に寄せ、その分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26を分岐管4とフレキシブル保形パイプ70との間に挟持するのである。
【0078】
フレキシブル保形パイプ70としては、例えば曲げ反発性のあるモノフィラメント糸又はワイヤーをよこ糸とし、これとたて糸とで筒状に織成した筒状織布の内面に熱可塑性樹脂のライニングを施したホースや、硬質プラスチックの線材をスパイラル状に配して補強材とした、いわゆるスパイラルホースなどを使用することができる。フレキシブル保形パイプ70の外径は分岐管4の内径よりやゝ小さく、分岐管4内へ容易に挿入可能とするために、分岐管4内面との間に隙間が生じる程度のものが好ましい。
【0079】
而して、本管1及び分岐管4に光ファイバーケーブル20、21及びテンションメンバー25、26を挿通し、テンションメンバー25、26に張力を加えた後に、前記フレキシブル保形パイプ70を分岐管桝8側から分岐管4内に押し込んで挿入する。
【0080】
図17は分岐管4内にフレキシブル保形パイプ70を挿入する状態の他の例を示すものであって、先端部が略砲弾型をなしたバッグ73を、その先端が突出するようにフレキシブル保形パイプ70の先端に嵌合し、後部から流体圧注入ホース74で圧力流体を送入しながら、バッグ73の先端に結合された牽引索72を牽引して挿入する。フレキシブル保形パイプ70を後方から押し込むことと併用することがより好ましい。
【0081】
さて、先にも述べたように、分岐管4、5は図2に示すように、本管1の側上部の分岐管口6、7から、急角度で斜めに上昇し、地表近くで上昇角度を変えて緩角度で分岐管桝8、9に接続されている。そして光ファイバーケーブル20、21、22及びテンションメンバー25、26、27は本管1の上部中央部に敷設され、そこから分岐した分岐光ファイバーケーブル21、22及び分岐テンションメンバー26、27が分岐管4、5に挿入されるので、単に分岐テンションメンバー26、27に張力を加えると、その分岐テンションメンバー26、27は分岐管口6、7の上端から、分岐管4、5における角度を変える変曲位置間での間で分岐管4、5を斜めに横切って敷設されることとなり、下水の流通を阻害する恐れがある。
【0082】
図16及び図17で説明したような方法で流路を確保することもできるが、分岐テンションメンバー26、27に張力を作用させた状態でフレキシブル保形パイプ70を挿入することは困難であり、また不用意に分岐光ファイバーケーブル21、22に張力が加わることも考えられ、前記方法は必ずしも十全の方法と言うことはできない。
【0083】
そこで本管1の上部に敷設された幹光ファイバーケーブル20及び幹テンションメンバー25から分岐した分岐光ファイバーケーブル21、22及び分岐テンションメンバー26、27を、分岐管口6、7を迂回して一旦分岐管口6、7の下縁に誘導してこの位置で固定し、この状態で分岐テンションメンバー26、27に張力を作用させることにより、分岐光ファイバーケーブル21、22及び分岐テンションメンバー26、27は分岐管4、5内を横切ることなく、その分岐管4、5の下面に沿って敷設される。
【0084】
以下、分岐管口6、7において分岐光ファイバーケーブル21、22及び分岐テンションメンバー26、27を分岐管口6、7の下部に迂回させるための、いくつかの例について説明する。
【0085】
図18及び図19はその一つの例を示すものである。80は分岐管4の分岐管口6に設置された誘導部材であって、この誘導部材80は、筒体81と回転筒82とが互いに回転自在に嵌合されている。
【0086】
筒体81は分岐管4、5の内径よりやゝ小さい外径を有しており、その先端部には、本管1内に突出して本管1上部に配置された幹光ファイバーケーブル20及び幹テンションメンバー25を支持するケーブル受け部83が形成されている。またそのケーブル受け部83に対応する位置の外面には、分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26を支持するための支持部84が形成されている。
【0087】
また回転筒82は筒体81の後端縁に回転自在に嵌合されており、その外周に分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26を固定的に支持するための固定部85が形成されている。
【0088】
而して図18(a)及び図19(a)に示すように、前記筒体81の支持部84と回転筒82の固定部85とを一致させた状態で、そこに分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26を挿通し、その誘導部材80を分岐管桝8から分岐管4に挿入して、分岐管口6に至らしめる。そして筒体81のケーブル受け部83を本管1内に突出させ、そのケーブル受け部83に幹光ファイバーケーブル20及び幹テンションメンバー25を支持する。
【0089】
次いで回転筒82を筒体81に対して回転して、図18(b)及び図19(b)に示すように固定部85を分岐管口6の下部に位置せしめ、分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26を筒体81及び回転筒82の外面を迂回して、分岐管口6の上部から下縁に誘導する。
【0090】
この状態で分岐管桝8において分岐テンションメンバー26に張力を作用させると、その分岐テンションメンバー26の先端は分岐管口6の下縁において固定部85に固定されているので、分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26は分岐管4の傾斜の下側面に沿って配置されることとなり、分岐管4内を横切ることはない。
【0091】
なおこの方法においては、誘導部材80の分岐管4に対する固定が必ずしも確実ではないので、図20に示すように、誘導部材80の筒体81の内面から回転筒82を経て、分岐管4の内面にかけて、筒状のシールモールディングコンパウンドよりなる硬化性の固定部材86を嵌合し、当該固定部材86をその内側に挿入したエアバッグなどにより拡開して、誘導部材80及び分岐管4の内面に圧接した状態で硬化させ、誘導部材80を分岐管4に対して強固に固定するのが好ましい。
【0092】
なお図20に示すように、固定部材86の端部にテーパー面を形成することにより、分岐管4内を流れる固形物が固定部材86に引っ掛かるのを防止することができ、分岐管4内の流体がスムーズに流れる。
【0093】
図21は誘導部材80の他の例を示すものである。この例における誘導部材80は、板状部材87を螺旋状に巻回し、隣接する板状部材87の側縁同志を摺動可能に嵌合して、管体88を形成している。この管体88を構成する板状部材87を互いに摺動させることにより捩じることができると共に、そのように捩じることにより径を拡大縮小することができる。
【0094】
而して、かかる構造の管体88の先端部に、ケーブル受け部83及び支持部84を形成すると共に、後端部に固定部85を形成し、管体88を捩じって支持部84と固定部85とが一致し、且つ外径を分岐管4の内径よりやゝ小さい径にまで縮小した状態において、支持部84及び固定部85に分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26を挿通し、その状態の誘導部材80を分岐管桝8から挿入し、分岐管口6に至らしめる。
【0095】
次いで、ケーブル受け部83に幹光ファイバーケーブル20及び幹テンションメンバー25を支持する。そして管体88を前記螺旋が緩む方向に捩じり、管体88の径を拡大して分岐管4、5の内面に圧接せしめると共に、固定部85を分岐管口6の下部に位置せしめる。これにより分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26は管体88の外面を迂回して分岐管口6の上部から下縁に誘導される。
【0096】
この例においては、前記誘導部材80の管体88を構成する板状部材87の外面に、水膨潤ゴムよりなるシール材89を止着しておくことにより、分岐管4内に存在する水によって当該シール材89が膨潤し、誘導部材80を分岐管4に対して気密に固定することができる。
【0097】
図22は誘導部材80のさらに他の例を示すものである。この例における誘導部材80は、両端部が剛直であって中央部がばね弾性を有する変形可能な素材よりなるパイプ90であって、当該パイプ90の内径は、分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26を摺動可能に挿通し得る程度の大きさを有している。
【0098】
そしてそのパイプ90が直線状に延びた状態で、分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26を挿通し、そのパイプ90を分岐管桝8から挿入して分岐管口6に至らしめ、当該パイプ90の先端を本管1内に突出させてケーブル受け部83とし、幹光ファイバーケーブル20及び幹テンションメンバー25を支持せしめる。
【0099】
而してこのパイプ90の中央部を捩じると、その中央部はその弾性に抗して分岐管4の内面に沿った螺旋状に変形し、その螺旋状のパイプ90は、その弾性により分岐管4の内面に圧接する。そしてパイプ90の後端を分岐管口6の下部に位置せしめて固定部85とする。
【0100】
なおこの誘導部材80が分岐管4内面に圧接された状態が不安定である場合には、パイプ90の螺旋の内側に、図20において述べたと同様の固定部材86を配置し、これを拡開して分岐管4の内面に圧接した状態で硬化させ、誘導部材80を分岐管4に固定するのが好ましい。
【0101】
図24は、誘導部材80のさらに他の例を示すものであって、この例における誘導部材80は図25に示すように、図22において説明したと同様のパイプ90の両端に、リング状の拡開部材91、92を固定したものである。拡開部材91、92は、金属などのばね弾性を有する変形可能な素材よりなり、分岐管4の内径よりやゝ大径のリングの一部を切り開いた形状をなしている。
【0102】
この誘導部材80は、拡開部材91、92を分岐管4の内径より小さい径にまで縮径すると共に、その両端を脱落可能に仮止めしておき、前記パイプ90が直線状に延びた状態で、そのパイプ90に分岐光ファイバーケーブル21及び分岐テンションメンバー26を挿通する。
【0103】
そしてその状態で誘導部材80を分岐管桝8から挿入して分岐管口6に至らしめ、当該パイプ90の先端を本管1内に突出させてケーブル受け部83とし、幹光ファイバーケーブル20及び幹テンションメンバー25を支持せしめる。この状態で先端側の拡開部材91の仮止めを外し、拡開部材91をその弾性により拡開させて分岐管4、5の内面に圧接して支持させる。
【0104】
次いで図22におけると同様にパイプ90の中央部を捩じることにより、分岐管4の内面に沿った螺旋状に変形して、パイプ90の後端を分岐管口6の下部に位置せしめる。そしてパイプ90の後端部の拡開部材92の仮止めを外して拡開して分岐管4の内面に圧接せしめる。
【0105】
而して図25(b)に示すように、パイプ90の中央部を捩じることにより、その中央部はその弾性に抗して分岐管4の内面に沿った螺旋状に変形し、その螺旋はパイプ90の弾性により分岐管4の内面に圧接すると共に、パイプ90の両端が拡開部材91、92により分岐管口6の下部に固定され、その後端部は固定部85となる。
【0106】
なおこの例において、拡開部材91、92における両端部の仮止めは、ホットメルト接着剤で接着して加熱により脱落可能とする構造、適宜の係止構造により着脱自在に係止する構造などを採用することができる。
【0107】
また以上の説明においては、分岐管として図1における分岐管4についてのみ記載しているが、分岐管5についても同様であり、またさらに多数の分岐管が設けられている場合においても同様である。また幹光ファイバーケーブル20及び幹テンションメンバー25と述べるのは、これらに分岐管4を素通りする分岐光ファイバーケーブル22及び分岐テンションメンバー27を並設した状態をも含むものである。
【0108】
また本発明においては、図1に示したような隣接する二つのマンホール2、3間に限定されるものではなく、光ファイバーケーブルの敷設距離に応じて、複数のマンホールに跨がって適用することもでき、またその場合には中間にあるマンホールを分岐管4、5と同様に扱うこともできる。
【0109】
【作用】
本発明の方法においては、本管1内へ敷設する幹光ファイバーケーブル20に幹テンションメンバー25をスライド可能に結合しておくことにより、マンホール2、3間の幹テンションメンバー25に張力を加え、当該幹テンションメンバー25は本管1内の上部側で略直線的に展張される。
【0110】
また幹テンションメンバー25として高強度低伸度性を使用することにより、長さ方向にはほとんど伸びを生じることがなく、従って光ファイバーケーブル20に無理な引っ張り力を与えることなく、また無用の弛みを生じることもなく、幹テンションメンバー25に沿って本管1の上部に幹光ファイバーケーブル20が敷設される。
【0111】
また、本管1に分岐管4、5が分岐している管路においても、光ファイバーケーブル20に対して無理な引っ張り応力を与えずに、弛むことなく、本管1内の上部側に敷設することができると共に、同時に分岐管4、5内にも、分岐テンションメンバー26に張力を加えて引き込むことにより、各分岐光ファイバーケーブル21、22を、無理な引っ張り力を与えることなく分岐管4、5に挿入して敷設することができる。
【0112】
また分岐管4、5内へ入線する分岐テンションメンバー26、27を、本管1内へ入線するテンションメンバー25に対して分岐管口6、7に相当する部分で結束31しておくことにより、分岐テンションメンバー26、27により幹テンションメンバー25を分岐管5の方向に手繰り寄せることが可能となり、幹光ファイバーケーブル20がさらに弛むことなく本管1内に敷設される。
【0113】
さらに、幹光ファイバーケーブル20及び幹テンションメンバー25を保護管45に挿通しておくことにより、当該保護管45を介して幹テンションメンバー25と幹光ファイバーケーブル20とがスライド可能に結合され、幹テンションメンバー25に張力を加えることにより、保護管45を介して光ファイバーケーブル20が本管1内の上部側に敷設される。
【0114】
また保護管45により、分岐管4、5内に入線する分岐光ファイバーケーブル21、22及び分岐テンションメンバー26、27を、分岐管口6、7に相当する部分で保護管45から分岐させ、その分岐テンションメンバー26、27に張力を作用させることにより分岐管4、5内にも各光ファイバーケーブル21、22が無理な引っ張り力が作用することなく挿入される。
【0115】
また本管1内に拡径材50、52を設置することにより、本管1内に生じた光ファイバーケーブル20の弛みを、拡径材50、52により本管1内面へ押圧して除去することが可能である。
【0116】
また分岐管口6、7にキャップ型拡径材60、65を嵌合することにより、光ファイバーケーブル20、21、22及びテンションメンバー25、26、27を、それぞれ本管1又は分岐管4、5に移動させ、分岐管口6、7で汚水の流れが阻害されることがなくなる。
【0117】
また分岐管4、5内へフレキシブル保形パイプ70を挿入することにより、分岐管4、5内の汚水の流れをフレキシブル保形パイプ70内に導き、光ファイバーケーブル21、22及びテンションメンバー26、27による分岐管4、5内の汚水の流れを阻害することが防止される。
【0118】
また分岐管口6、7において、本管1の上部に敷設された幹光ファイバーケーブル20及び幹テンションメンバー25から分岐した分岐光ファイバーケーブル21、22及び分岐テンションメンバー26、27を、分岐管口6、7を迂回して分岐管口6、7の下縁に誘導してこの位置で固定し、この状態で分岐テンションメンバー26、27に張力を作用させることにより、分岐光ファイバーケーブル21、22及び分岐テンションメンバー26、27は分岐管4、5内を横切ることなく、その分岐管4、5の下面に沿って敷設される。
【0119】
【発明の効果】
従って本発明によれば、幹光ファイバーケーブル20を幹テンションメンバー25にスライド可能に結合したので、幹テンションメンバー25に張力を作用させることにより、幹光ファイバーケーブル20に張力を加えることなく、且つ弛んで本管1内に垂れ下がることなく、本管1の上部側に敷設することができ、地中管路に流体の流通を阻害することなく光ファイバーケーブルを敷設することができる。
【0120】
さらに本発明においては、幹光ファイバーケーブル20を本管1の上部に敷設するために、ロボットなどの高価な装置を必要とせず、光ファイバーケーブルの敷設作業を安価に提供することができると共に、早急な光ファイバーケーブル網を容易に構築することが可能となる。
【0121】
また本発明により、本管1から分岐した分岐管4、5に、本管1を経由して分岐光ファイバーケーブル21、22及び分岐テンションメンバー26、27を挿入し、分岐テンションメンバー26、27に張力を作用させることにより、分岐光ファイバーケーブル21、22に張力を作用させることなく、また弛みを生じることなく、分岐管4、5に敷設することができ、各家庭に光ファイバーケーブルを配線することができる。
【0122】
また分岐管口6、7に配置された誘導部材80により分岐テンションメンバー26、27及び分岐光ファイバーケーブル21、22を本管1の上部から分岐管口6、7の下縁部に誘導し、当該分岐管口6、7の下縁と分岐管桝8、9との間で分岐テンションメンバー26、27に張力を加えることにより、分岐光ファイバーケーブル21、22に張力を加えることなく、分岐管4、5の下面に沿って敷設することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 下水道管路内に牽引索を挿通した状態を示す中央縦断面図
【図2】 下水道管の分岐管の設置状態を示す横断面図
【図3】 光ファイバーケーブルにテンションメンバーを部分的に係止した状態を示す正面図
【図4】 パイプ状のテンションメンバーに光ファイバーケーブルを挿通した状態を示すものであって、(a)は斜視図であり、(b)はその拡大横断面図である。
【図5】 断面形状がU字状のテンションメンバーに光ファイバーケーブルを設置した状態を示す斜視図
【図6】 断面形状が異なるテンションメンバーに光ファイバーケーブルを設置した状態を示す横断面図であって、テンションメンバーの断面形状が(a)はV字状であり、(b)はW字状である。
【図7】 剛直体からなるテンションメンバーを接続部材により連結した状態を示す斜視図
【図8】 下水道管路内でテンションメンバーに張力を加えた状態を示す中央縦断面図
【図9】 光ファイバーケーブル及びテンションメンバーを保護管に挿通した状態を示す中央縦断面図
【図10】 図9における(a)はA−A部分の横断面図、(b)はB−B部分の断面図
【図11】 本管内面に拡径材としての金属リングを嵌合した状態を示す横断面図
【図12】 本管内面に拡径材としてのFRP材を装着した状態を示す横断面図
【図13】 分岐管口にキャップ型拡径材を嵌合した状態を示す中央縦断面図
【図14】 図13における分岐管口の下面図
【図15】 分岐管口にT字状型拡径材を嵌合した状態を示す斜視図
【図16】 分岐管にフレキシブル保形パイプを挿通した状態を示す中央縦断面図
【図17】 図16において、フレキシブル保形パイプを分岐管内へ挿入している状態を示す中央縦断面図
【図18】 分岐管口に誘導部材を嵌合して光ファイバーケーブル及びテンションメンバーを分岐管口下部に誘導する状態を示す横断面図であって、(a)は誘導部材を分岐管口に配置した状態を示し、(b)は回転筒を回転させて分岐管口下部に誘導した状態を示す。
【図19】 図18における誘導部材を示す斜視図であって、(a)は分岐管口に配置した状態、(b)は回転筒を回転させた状態を示す。
【図20】 図18の誘導部材の内側に固定部材を装着した状態を示す横断面図
【図21】 誘導部材として板状部材を螺旋状に巻回した管体を使用した例を示す横断面図であって、(a)は誘導部材を分岐管口に配置した状態、(b)は管体を捩じった状態を示す。
【図22】 誘導部材としてのパイプを分岐管口に装着した状態を示す横断面図
【図23】 図22における誘導部材としてのパイプの斜視図
【図24】 誘導部材として、両端に拡開部材を固定したパイプを使用した状態を示す横断面図
【図25】 図24における誘導部材を示す斜視図であって、(a)は分岐管口への装着前の状態を示し、(b)は分岐管口に装着した状態を示す。
【符号の説明】
1 地中管路、本管
2、3 マンホール
4、5 分岐管
6、7 分岐管口
8、9 分岐管桝
20 幹光ファイバーケーブル
21、22 分岐光ファイバーケーブル
25 幹テンションメンバー
26、27 分岐テンションメンバー
28 空間部
30、31 結束用紐状物
45 保護管

Claims (3)

  1. マンホール(2、3)の間に設けられた本管(1)に少なくとも一本以上の分岐管(4、5)が分岐している地中管路に、本管(1)及び各分岐管(4、5)を経由して光ファイバーケーブル(20、21、22)を敷設する方法であって、本管(1)内に敷設される幹光ファイバーケーブル(20)及び、当該幹光ファイバーケーブル(20)から分岐して各分岐管(4、5)内に敷設される分岐光ファイバーケーブル(21、22)に沿って、それぞれに高強度低伸度性のテンションメンバー(25、26、27)をそれぞれの光ファイバーケーブルに対して長さ方向にスライド可能に結合し、それらのテンションメンバー(25、26、27)を本管(1)内の分岐管口(6、7)に相当する部分において互いに結束し、幹光ファイバーケーブル(20)に沿わせた幹テンションメンバー(25)をマンホール(2)から本管(1)内を介して他のマンホール(3)まで、また分岐光ファイバーケーブル(21、22)に沿わせた分岐テンションメンバー(26、27)をマンホール(2)から本管(1)及び所定の分岐管(4、5)内を経由して分岐管桝(8、9)まで、それぞれ引き込み、それらのテンションメンバー(25、26、27)を牽引して各光ファイバーケーブル(20、21、22)を本管(1)内及び分岐管(4、5)内に挿通し、次いでマンホール(2、3)間及びマンホール(2)と分岐管桝(8、9)との間においてテンションメンバー(25、26、27)に張力をかけて、本管(1)内に挿通したテンションメンバー(25、26、27)を本管(1)内の上部側で略直線的に張ることにより、各光ファイバーケーブル(20、21、22)を本管(1)内の上部側に敷設すると共に、分岐管(4、5)内に挿通した分岐テンションメンバー(26、27)に張力をかけることにより、分岐光ファイバーケーブル(21、22)を分岐管(4、5)内において弛むことがないように敷設することを特徴とする、光ファイバーケーブルの敷設方法
  2. 分岐管(4、5)内に挿入する分岐テンションメンバー(26、27)は、本管(1)内の分岐管口(6、7)に相当する部分で、本管(1)内に敷設される幹テンションメンバー(25)から分岐していることを特徴とする、請求項1に記載の光ファイバーケーブルの敷設方法
  3. テンションメンバー(25、26、27)が線状体又は帯状体であって、当該テンションメンバー(25、26、27)に光ファイバーケーブル(20、21、22)を若干弛ませながら部分的に結束(30)することにより、光ファイバーケーブル(20、21、22)をテンションメンバー(25、26、27)に対して長さ方向にスライド可能に結合したことを特徴とする、請求項1に記載の光ファイバーケーブルの敷設方法
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