JP3980096B2 - 車両駆動力制御装置 - Google Patents

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    • B60W2552/00Input parameters relating to infrastructure
    • B60W2552/15Road slope, i.e. the inclination of a road segment in the longitudinal direction

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  • Control Of Transmission Device (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンと該エンジンに接続された自動変速機とを備えた車両の駆動力を制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のエンジンに接続される自動変速機は、一般に、運転者のアクセル操作量と、車速とによって変速比を決定して自動制御するようになっており、通常の走行時は、アクセル操作量が小さいほど、また、車速が大きいほど、それぞれ変速比は高速側に設定されている。
【0003】
そのため、降坂走行時等は、アクセルを運転者が離すことにより、アクセル操作量は小さくなり、変速比が高速側に制御されるので、車両のエンジンブレーキは効かない方向に制御され、時には、運転者に余計な加速感を感じさせたり、ブレーキ操作頻度が多くなってブレーキ材の消耗が早くなることも考えられる。
このような課題を解決するために、特開平5−71634号に示されるように、車両が降坂走行していることを判断して、変速機の変速比を低速側に補正することにより、エンジンブレーキを強める等の方策が考えられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来例のように、降坂走行時に変速機の変速比 (入力側回転速度/出力側回転速度) を低速側 (変速比増大側) に補正するものでは、以下のような問題があった。
即ち、前記降坂走行時に操作レバーの特定のレンジで変速比が低速側に補正されるように制御される場合、ある状態から異なるモードとなるように選択レバーを操作したときに、操作前の変速比と操作後の変速比とが同じ変速比であったりすると、運転者が実際に前記の選択レバー操作を行って異なるモードに移行させたときに、該操作によってエンジンブレーキ力が変化することを期待しても、操作前と操作後とで変速比が変化しないため、運転者の期待に反してエンジンブレーキ力が変化しないこととなる。このように、運転者が選択レバーでエンジンブレーキ力の変化を期待する場合は、該期待に応えてエンジンブレーキが変化されるべきである。
【0005】
特に、運転者が選択レバーを低速側に操作することにより、低速側のモードに移行して強いエンジンブレーキを期待する場合、移行後のモード時に選択される変速比より選択レバーを操作する前の降坂走行用に補正された変速比の方が低速側であったり、同じであったりすると、選択レバーの操作に伴い、変速比が小さくなったり、変わらなかったりしてエンジンブレーキ力が強まらないことも考えられる。このように、選択レバー操作によって低速側のエンジンブレーキ力強化モードを選択する場合には、選択前に降坂走行用の変速比補正によるエンジンブレーキ力強化がなされていても、エンジンブレーキ力は運転者の期待に応えて更に強化されるべきである。
【0006】
また、運転者が選択レバーにより強いエンジンブレーキ力を期待するとはいっても、従来の自動のエンジンブレーキ制御技術では、車速の大小とエンジンブレーキ力とに相関を持たせていなかったので、車速とは無関係に同じようなエンジンブレーキ力が作用したのでは、運転者の不満は解消されない。即ち、車速が大きくなればなるほど、運転者はより強いエンジンブレーキ力を期待するはずであり、それは選択レバーがどの位置にあっても同じことである。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みなされたもので、降坂走行時に自動エンジンブレーキ制御が作動していても、運転者の手動操作に応じてエンジンブレーキ力が切り換わるようにすることを第1の目的とする。
また、上記と併せて、運転者の選択するモードが低速側であるほど、エンジンブレーキ力が確実に強化されるようにすることを第2の目的とする。
【0008】
更に、車速に応じて適切なエンジンブレーキ力が得られるようすることにより、運転者が安心してエンジンブレーキ走行を行えるようにすることを第3の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明は、
エンジンと該エンジンに接続された自動変速機とを備えた車両の駆動力を制御する装置であって、
アクセル全閉時に車速に応じた目標減速度に見合った目標減速抵抗を、車速が増大するほど連続的に増大し、かつ、自動変速機の選択操作されたレンジによって、低速側のレンジになるほど段階的に増大するように切り換えて設定し、
車両に外部から加わる走行抵抗と、前記目標減速抵抗を得るために該走行抵抗に加えられるべき車両の目標駆動抵抗と、を算出し、
前記自動変速機の変速比に応じた車両駆動抵抗の発生可能な範囲を算出し、
前記目標駆動抵抗が前記駆動抵抗の発生可能な範囲に入るように自動変速機の変速比を制御し、
かつ、該制御後の変速比で前記目標駆動抵抗が発生するようにエンジンの負の出力を制御することを特徴とする。
【0010】
(作用・効果)
アクセル全閉時に車速に応じた目標減速度に見合った目標減速抵抗 (=車両質量×目標減速度) が、自動変速機の選択操作されたレンジによって切り換えて設定される。
一方、勾配や空気抵抗、転がり抵抗等の車両に外部から加わる走行抵抗が算出され、前記目標減速抵抗が満たされるように、前記走行抵抗に加えられるべき車両の目標駆動抵抗が算出される。なお、目標減速抵抗=走行抵抗+目標駆動抵抗の関係が成立するが、下り勾配が大きい場合は、前記走行抵抗は負の値 (減速方向を正としたとき) となるため、目標駆動抵抗は目標減速抵抗より走行抵抗分だけ大きい値 (絶対値) となる。
【0011】
また、車両駆動抵抗は、エンジンの負の出力を制御することによって最小値から最大値まで所定範囲内で変化し、かつ、自動変速機の変速比に応じて前記所定範囲が変化する。そこで、前記自動変速機の変速比に応じた車両駆動抵抗の発生可能な範囲を算出し、前記算出された目標駆動抵抗が前記車両駆動抵抗の発生可能な範囲に入るように自動変速機の変速比を制御する。
【0012】
上記のように変速比を制御して目標駆動抵抗が前記車両駆動抵抗の発生可能な範囲に入るようにした上で、エンジンの負の出力を制御することによって、車両の駆動抵抗が目標駆動抵抗と一致させる。これにより、前記目標減速抵抗が得られ、車両が目標減速度で減速される。
そして、運転者が、操作レバー等の操作により自動変速機のレンジを低速側に操作し、操作前より強いエンジンブレーキ力を期待するときは、目標減速抵抗が大きな値に切り換えられるため、確実にエンジンブレーキ力を強くすることが可能となり、前記第2の目的が達成される。
また、降坂走行時に車速が増大するにつれて大きくなることを運転者が期待する車両の減速抵抗の大きさ通りに目標減速抵抗を大きくすることができるので、どのような車速で走行していても、その車速に見合った減速抵抗となるようにエンジンブレーキ力を制御することができ、運転者に安心感が与えられ、前記第3の目的が達成される。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、図1に示すように、
エンジンと該エンジンに接続された自動変速機とを備えた車両の駆動力を制御する装置であって、
アクセル全閉時に、車速に応じた目標減速度に見合った目標減速抵抗を、車速が増大するほど連続的に増大し、かつ、自動変速機の選択操作されたレンジによって、低速側のレンジになるほど段階的に増大するように切り換えて設定する目標減速抵抗設定手段と、
車両に外部から加わる走行抵抗を算出する走行抵抗算出手段と、
前記目標減速抵抗を得るために前記走行抵抗に加えられるべき車両の目標駆動抵抗を算出する目標駆動抵抗算出手段と、
自動変速機の変速比に応じた車両駆動抵抗の発生可能な範囲を算出する駆動抵抗発生範囲算出手段と、
前記目標駆動抵抗が前記車両駆動抵抗の発生可能な範囲に入るように自動変速機の変速比を制御する変速制御手段と、
該制御後の変速比で前記目標駆動抵抗が得られるようにエンジンの負の出力を制御するエンジン負出力制御手段と、
を含んで構成したことを特徴とする。
【0014】
(作用・効果)
目標減速抵抗設定手段により、アクセル全閉時に車速に応じた目標減速抵抗が、自動変速機の選択操作されたレンジによって切り換えて設定され、走行抵抗算出手段により車両に外部から加わる走行抵抗が算出され、目標駆動抵抗算出手段により、前記目標減速抵抗が得られるように前記走行抵抗に加えられるべき車両の目標駆動抵抗が算出される。
【0015】
一方、駆動抵抗発生範囲算出手段が、自動変速機の変速比に応じて異なるエンジンブレーキ力の制御による車両駆動抵抗の発生可能な範囲を演算する。
そして、変速制御手段が、前記目標駆動抵抗が前記車両駆動抵抗の発生可能な範囲に入るように自動変速機の変速比を制御する。
また、エンジン負出力制御手段が、前記変速制御手段で制御される自動変速機の変速比において、前記目標駆動抵抗と車両の駆動抵抗とが一致するようにエンジンの負の出力を制御する。
【0016】
したがって、運転者が、操作レバー等の操作により自動変速機のレンジを低速側に操作し、操作前より強いエンジンブレーキ力を期待するときは、目標減速抵抗が大きな値に切り換えられるため、確実にエンジンブレーキ力を強くすることが可能となり、前記第2の目的が達成される。
また、降坂走行時に車速が増大するにつれて大きくなることを運転者が期待する車両の減速抵抗の大きさ通りに目標減速抵抗を大きくすることができるので、どのような車速で走行していても、その車速に見合った減速抵抗となるようにエンジンブレーキ力を制御することができ、運転者に安心感が与えられ、前記第3の目的が達成される。
【0017】
また、請求項3に係る発明は、
エンジンの吸気系にアクセル操作と非連動で、目標開度に制御されるスロットル弁を備え、
前記エンジンの負の出力の制御は、アクセル全閉時にエンジンへの燃料供給を停止しつつ、吸気系に介装されたスロットル弁の開度を制御してスロットル弁通過部の絞り抵抗を制御することによって行うことを特徴とする。
【0018】
(作用・効果)
このようにすれば、アクセル全閉時に、スロットル弁の開度を小さくすればスロットル弁通過部の絞り抵抗が大きくなってエンジンの負の出力 (絶対値) は大きくなり、スロットル弁開度を大きくすれば絞り抵抗が小さくなってエンジンの負の出力 (絶対値) は小さくなるので、所望の負出力を精度良く、かつ、応答性良く得ることができる。
【0019】
また、請求項4に係る発明は、
前記駆動抵抗発生範囲算出手段は、現在の自動変速機の変速比において車両駆動抵抗の発生可能な範囲を演算し、
前記変速制御手段は、前記目標駆動抵抗が前記算出された現在の車両駆動抵抗の発生可能な範囲に入っているかを判断し、該範囲から外れていると判断されたときに、自動変速機の変速比を前記目標駆動抵抗が車両駆動抵抗の発生可能範囲内の値となるように変更することを特徴とする。
【0020】
(作用・効果)
現在の自動変速機の変速比に対して車両駆動抵抗の発生可能な範囲を演算し、目標駆動抵抗が該範囲に入っていない場合に、該範囲に入るように変速比を制御するものであるから、必要最小限の演算を行いつつ、必要に応じて変速比を一段ずつ変えて行けばよく、最も確実で無駄の無い制御が行える。
【0021】
また、請求項5に係る発明は、
前記変速比制御手段は、前記目標駆動抵抗が、前記車両駆動抵抗の発生可能な最大値より大きいときに、自動変速機の変速比を低速側に補正することを特徴とする。
(作用・効果)
目標駆動抵抗が、現在の変速比においてエンジンの負の出力制御で発生可能な車両駆動抵抗の最大値より大きいときには、より大きな駆動抵抗の発生が要求されるので、自動変速機の変速比を低速側に補正することで、駆動抵抗の発生可能な最大値を目標駆動抵抗以上の値に増大させることができるので、前記要求を満たすことができる。
【0022】
また、請求項6に係る発明は、
前記変速比制御手段は、前記目標駆動抵抗が、前記車両駆動抵抗の発生可能な最小値より小さいときに、自動変速機の変速比を高速側に補正することを特徴とする。
(作用・効果)
前記とは逆に、目標駆動抵抗が車両駆動抵抗の発生可能な最小値より小さいときには、駆動抵抗を小さくすることが要求されるので、自動変速機の変速比を高速側に補正することで、駆動抵抗の発生可能な最小値を目標駆動抵抗以下の値に減少させることができるので、前記要求を満たすことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図2は、一実施形態に係るシステム構成を示す。図において、車両に搭載されるエンジン1には、トルクコンバータ付きの自動変速機2が接続され、該自動変速機2の出力が駆動軸3を介して図示しない車輪に伝達される。
【0026】
前記エンジン1には、出力トルクを要求値とおりに実現するため、スロットル弁,燃料噴射弁,点火コイル等のトルク制御デバイス4が設けられ、前記自動変速機2には、変速比を指令通りに実現するため、電磁弁等の変速制御デバイス5が設けられる。
エンジンコントロールユニット6は、マイクロコンピュータを含んで構成され、駆動力コントロールユニット7にエンジン1の運転状態の信号を出力しつつ、該駆動力コントロールユニット7で演算されたエンジンの目標トルクを入力し、該目標トルクが得られるように前記トルク制御デバイス4を電子制御する。
【0027】
駆動力コントロールユニット7は、本発明に係る車両駆動力制御の制御ロジックを組み込んだマイクロコンピュータを含んで構成され、後述する各種センサからの信号によって得られる車両の走行状態に基づいて、前記自動変速機2の変速制御デバイス5を制御して変速比を制御すると共に、エンジン1の目標トルクを算出して前記エンジンコントロールユニット6に出力する。
【0028】
ここで、アクセル全閉として減速運転を行うときには、車両の目標駆動抵抗を算出し、該目標駆動抵抗が得られるように変速比を制御すると共に、エンジン1の燃料供給を停止し、後述するトルクコンバータのタービンに前記目標駆動抵抗に見合った抵抗トルクが得られるように、前記スロットル弁の開度を制御してエンジンの負の出力を制御する。なお、燃料供給停止時にスロットル弁の開度を小さくすると、該スロットル弁通過部の絞り損失が大きくなってエンジン1の負のトルク (駆動抵抗トルク) が大きくなり、スロットル弁開度を大きくすると絞り損失が小さくなって負のトルクが小さくなるので、スロットル弁開度を制御することによって負の目標トルクを得ることができる。
【0029】
その他、車速を検出する車速センサ8,スロットル弁開度を検出するスロットルセンサ9,エンジン1の回転速度を検出するエンジン回転速度センサ10,自動変速機2のトルクコンバータのタービン回転速度を検出するタービン回転速度センサ11,ブレーキ操作がされているか否かを検出するブレーキスイッチ12,車両の加速度 (減速度を含む) を検出する車両加速度センサ13が設けられ、これらセンサ類からの出力は、前記車両駆動力制御回路7に出力される。
【0030】
次に、図3及び図4に基づいて、本実施形態の制御を説明する。
図3は、目標車両駆動力を演算する制御フローを示し、例えば10ms毎に1回ずつ実行される。
ステップ101 では、トルクコンバータのタービン回転速度Nt、車速VSP、自動変速機の選択レバー操作により決定されるレンジを入力する。
【0031】
ステップ102 では、車両に外部から加わる走行抵抗Rを算出する。この走行抵抗Rは、走行路面の勾配抵抗Rθと、転がり抵抗Rrと、空気抵抗Rvとの和によって算出される。ここで、該走行抵抗及び以下で述べる各抵抗は、すべて純粋の意味で車両にとって抵抗となる方向、つまり減速方向を正の値とする。下り勾配では、前記勾配抵抗Rθは車両を降坂方向に加速させるように作用するから、負の値となり、したがって下り勾配が大きいときには、走行抵抗Rが負の値となることもある。
【0032】
ステップ103 では、アクセル全閉 (開放) 時の目標減速抵抗Raを、車速VSPと自動変速機のレンジとに基づいて、図示のようなマップ103 Mからの検索等により決定する。
ここで、目標減速抵抗Raを決定するための前記マップ103 Mは、次のようにして設定されている。即ち、目標減速抵抗Raは、基本的には車速VSPに応じて所望の減速度 (目標減速度) が得られるように設定されるが (目標減速抵抗=車両質量×目標減速度) 、本発明では、自動変速機の選択レバーの操作により異なるレンジに切り換えたときには、運転者の操作意図を損なわず選択されたレンジに応じた目標減速抵抗に切り換えて選択され、降坂走行中の選択レバー操作時にエンジンブレーキ力が変化しない等の違和感を解消できるようにしてある。
【0033】
具体的には、図示のように、選択されるレンジ毎に目標減速抵抗Raが切り換えて設定され、レンジが低速側 (図ではLに近い側) になればなるほど、目標加速抵抗Raが大きくなるように設定してある。これにより、上記の降坂走行中の選択レバー操作時に、エンジンブレーキ力が変化しないなどの違和感を解消できるという大きな効果に加え、降坂走行中のエンジンブレーキ制御中でも選択レバーを更に低速側のレンジに操作したときには、更に目標加速抵抗Raが大きな値に変更されるので、より大きなエンジンブレーキ力が得られるという効果がある。
【0034】
更に、この目標減速抵抗Raは、図示のように、車速の大小に応じて決定される車速が大きくなるにつれて、目標減速抵抗が大きくなるように設定してある。これにより、例え同じレンジを選択していても、車速が大きくなるにつれて運転者の期待に応えてエンジンブレーキ力が強くなり、安心感が得られるという大きな効果も得られる。
【0035】
ステップ104 では、車両の目標駆動抵抗Rtを演算する。ここで、車両の駆動抵抗とは、車両の駆動系を駆動する際に生じる抵抗であり (前記走行抵抗を外部からの抵抗とした場合、車両の内部で発生する抵抗といえる) 、負の駆動力と定義することもでき、基本的には、エンジンの駆動抵抗と、自動変速機の変速比とで定まる。該目標駆動抵抗Rtは、前記目標減速抵抗Raが得られるように、前記車両に外部から加えられる走行抵抗Rとの関係から、次式のように算出される。
【0036】
目標減速抵抗Ra=走行抵抗R+目標駆動抵抗Rt
→目標駆動抵抗Rt=目標減速抵抗Ra−走行抵抗R
既述したように、下り勾配が大きいために走行抵抗Rが負の値となっているときは、それだけ目標駆動抵抗Rtは大きい値に設定する必要がある。
次に、図4は前記目標駆動抵抗Rtを得るための制御フローを示し、例えば10ms毎に1回ずつ実行される。
【0037】
ステップ111 では、トルクコンバータのタービン回転速度Nt、自動変速機の現在の変速比CurZrなどを入力する。
ステップ112 では、現在のタービン回転速度Ntで、発生可能なタービン抵抗トルク (車両を前進させる方向のトルクTtは負の値となるので、抵抗トルクとしては|Tt|で表す) の最大値|xTt|と最小値|mTt|とを、図示のマップ112 Mからの検索等によって算出する。具体的には、最大値|xTt|はエンジンのスロットル弁全閉としたときに発生し、最小値|mTt|はスロットル弁を全開としたときに発生する抵抗トルクである。
【0038】
ステップ113 では、ステップ112 で得られたタービン抵抗トルクの最大値|xTt|及び最小値|mTt|と、予め分かっている終減速機の終減速比Zdf,タイア有効半径rwhと、を用いて、現在の自動変速機2のギア位置で発生可能な最大駆動抵抗RFxと、最小駆動抵抗RFnとを、それぞれ以下の式で演算する。
【0039】
Fup=|xTt|×CurZr×Zdf/rwh
Fdown=|mTt|×CurZr×Zdf/rwh
ステップ114 では、図3で演算された目標駆動抵抗Rtと、ステップ113 で演算された最大駆動抵抗RFx、最小駆動抵抗RFnとを比較し、変速補正するか否かを判断する。
【0040】
即ち、目標駆動抵抗Rtが最大駆動抵抗RFxより大きいとき、つまり、駆動抵抗が不足しているときは、ステップ116 へ進み、変速比を一段低速側の変速比に補正して変速比 (入力回転速度/出力回転速度) を大きくする (ダウンシフト) ことを決定する。該ダウンシフトを行えば、その変速比において、最大駆動抵抗RFx、最小駆動抵抗RFnが増大し、目標駆動抵抗Rtが最小駆動抵抗RFnから最大駆動抵抗RFxの間の発生可能な範囲に入ることとなり、後は、エンジンの駆動抵抗を制御してタービン抵抗を制御することにより、実際の駆動抵抗を目標駆動抵抗Rtに一致させることができる。
【0041】
また、ステップ114 で目標駆動抵抗Rtが最小駆動抵抗RFnより小さいとき、つまり、駆動抵抗が大きすぎるときは、ステップ117 へ進み、変速比を一段高速側の変速比に小さく補正する (アップシフト) ことを決定する。該アップシフトを行えば、その変速比において、最大駆動抵抗RFx、最小駆動抵抗RFnが減少して目標駆動抵抗Rtが最小駆動抵抗RFnから最大駆動抵抗RFxの間の発生可能な範囲に入ることとなるので、前記同様にエンジンの抵抗トルク (負の出力トルク) を制御して目標駆動抵抗Rtを得ることができる。
【0042】
ステップ114 で、目標駆動抵抗Rtが現状の変速比で発生可能な最小駆動抵抗RFnから最大駆動抵抗RFxの間の範囲に入っているときは、該変速比を維持したままエンジンの抵抗トルクを制御して目標駆動抵抗Rtを得ることができるので、ステップ115 で変速比を補正しないことを決定する。
ステップ118 では、上記の判断結果を基づいて新たな変速比NxrZrを決定し、該変速比NxrZrとなるように前記変速制御デバイス5を駆動して自動変速機2を制御する。
【0043】
ステップ119 では、前記変速比NxrZrに制御したときに前記目標駆動抵抗Rtを達成できる目標タービン抵抗トルクTtを算出し、現在のタービン回転速度Ntに応じて、前記目標タービン抵抗トルクTtが得られるエンジンの目標スロットル弁開度tTVOを、図示のマップ119 Mからの検索等によって算出する。
【0044】
ステップ120 では、前記ステップ119 で求められた目標スロットル弁開度tTVOとなるように、前記トルク制御デバイス4のなかのスロットルアクチュエータを駆動してスロットル弁を制御する。
このようにすれば、降坂走行時に、自動的に変速比及びエンジンの負の出力が制御され、その時の車速に応じた目標減速度で減速されるようにエンジンブレーキ力が作用し、安心感のある降坂走行が行える。
【0045】
そして、運転者が操作レバー等で自動変速機のレンジを切り換えると、目標減速抵抗が切り換えて設定され、それに応じて車両の駆動抵抗が切り換え制御されるので、運転者のレンジ切り換えに応じてエンジンブレーキ力が変化するという期待に応えて、確実にエンジンブレーキ力を変化させることができる。
特に、レンジを低速側に切り換えると、目標減速抵抗が増大するように切り換えられ、かつ、車速の増大に応じて目標減速抵抗が増大するように設定されるので、操作前より強いエンジンブレーキ力を期待するときは、確実にエンジンブレーキ力を強くすることが可能となり、かつ、車速が増大するほど大きな減速度が得られるので、運転者に安心感が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成・機能を示すブロック図。
【図2】本発明のシステム構成を示すブロック図。
【図3】同上実施形態の目標駆動抵抗Rtを算出するルーチンを示すフローチャート。
【図4】同じく前記目標駆動抵抗Rtを得るためのルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
4 制御デバイス
5 変速制御デバイス
6 コントロールユニット
7 駆動力コントロールユニット
8 車速センサ
9 スロットル開度センサ
10 エンジン回転速度センサ
11 タービン回転速度センサ
12 ブレーキスイッチ
13 車両加速度センサ

Claims (6)

  1. エンジンと該エンジンに接続された自動変速機とを備えた車両の駆動力を制御する装置であって、
    アクセル全閉時に車速に応じた目標減速度に見合った目標減速抵抗を、車速が増大するほど連続的に増大し、かつ、自動変速機の選択操作されたレンジによって、低速側のレンジになるほど段階的に増大するように切り換えて設定し、
    車両に外部から加わる走行抵抗と、前記目標減速抵抗を得るために該走行抵抗に加えられるべき車両の目標駆動抵抗と、を算出し、
    前記自動変速機の変速比に応じた車両駆動抵抗の発生可能な範囲を算出し、
    前記目標駆動抵抗が前記駆動抵抗の発生可能な範囲に入るように自動変速機の変速比を制御し、
    かつ、該制御後の変速比で前記目標駆動抵抗が発生するようにエンジンの負の出力を制御することを特徴とする車両駆動力制御装置。
  2. エンジンと該エンジンに接続された自動変速機とを備えた車両の駆動力を制御する装置であって、
    アクセル全閉時に、車速に応じた目標減速度に見合った目標減速抵抗を、車速が増大するほど連続的に増大し、かつ、自動変速機の選択操作されたレンジによって、低速側のレンジになるほど段階的に増大するように切り換えて設定する目標減速抵抗設定手段と、
    車両に外部から加わる走行抵抗を算出する走行抵抗算出手段と、
    前記目標減速抵抗を得るために前記走行抵抗に加えられるべき車両の目標駆動抵抗を算出する目標駆動抵抗算出手段と、
    自動変速機の変速比に応じた車両駆動抵抗の発生可能な範囲を算出する駆動抵抗発生範囲算出手段と、
    前記目標駆動抵抗が前記車両駆動抵抗の発生可能な範囲に入るように自動変速機の変速比を制御する変速制御手段と、
    該制御後の変速比で前記目標駆動抵抗が得られるようにエンジンの負の出力を制御するエンジン負出力制御手段と、
    を含んで構成したことを特徴とする車両駆動力制御装置。
  3. エンジンの吸気系にアクセル操作と非連動で、目標開度に制御されるスロットル弁を備え、前記エンジンの負の出力の制御は、アクセル全閉時にエンジンへの燃料供給を停止しつつ、吸気系に介装されたスロットル弁の開度を制御してスロットル弁通過部の絞り抵抗を制御することによって行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両駆動力制御装置。
  4. 前記駆動抵抗発生範囲算出手段は、現在の自動変速機の変速比において車両駆動抵抗の発生可能な範囲を演算し、前記変速制御手段は、前記目標駆動抵抗が前記算出された現在の車両駆動抵抗の発生可能な範囲に入っているかを判断し、該範囲から外れていると判断されたときに、自動変速機の変速比を前記目標駆動抵抗が車両駆動抵抗の発生可能範囲内の値となるように変更することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車両駆動力制御装置。
  5. 前記変速比制御手段は、前記目標駆動抵抗が、前記車両駆動抵抗の発生可能な最大値より大きいときに、自動変速機の変速比を低速側に補正することを特徴とする請求項4に記載の車両駆動力制御装置。
  6. 前記変速比制御手段は、前記目標駆動抵抗が、前記車両駆動抵抗の発生可能な最小値より小さいときに、自動変速機の変速比を高速側に補正することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の車両駆動力制御装置。
JP25000196A 1996-09-20 1996-09-20 車両駆動力制御装置 Expired - Lifetime JP3980096B2 (ja)

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