JP3979951B2 - 毛髪セット剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は毛髪セット剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、毛髪セット剤組成物としては、毛髪同士を固着してセット保持力を発現させる皮膜形成性高分子を、水または低級アルコール、あるいはそれらの混合物に溶解したものが広く使用されている。
【0003】
しかし、皮膜形成性高分子の溶液からなる毛髪セット剤組成物は、毛髪に塗布してから乾燥するまでの過程(以下、「乾燥過程」という。)で、べとつき感があって滑らかな感じが得られず、使用感に劣るものであった。
【0004】
そこで、本出願人は、十分なセット保持力と、乾燥過程における良好な使用感とを兼ね備えた毛髪セット剤組成物として、特定の構造単位を有する反応性シリコーン系ブロック共重合体と、皮膜形成性高分子とを含有する組成物を提案している(特許文献1参照)。
この毛髪セット剤組成物は、毛髪同士に適切な固着力を付与して十分なセット保持力を発現するとともに、乾燥過程において、べとつき感が少なくて滑らかな感じが得られ、櫛通り性も良好で、くせづけも容易である。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−193766号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に係る毛髪セット剤組成物は、下記のような問題がある。
(1)手にとったときにべとつき感およびぬるぬる感がある。
(2)乾燥過程における毛髪にきしみ感を生じさせる。
(3)乾燥後の毛髪に十分な膜厚感(毛髪が厚くしっかりとコートされているような感触をいう。以下同じ。)およびしっとり感を付与することができない。
【0007】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、特定のブロック共重合体および皮膜形成性高分子を含有する新規な毛髪セット剤組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、手にとったときにべとつき感・ぬるぬる感を生じさせず、乾燥過程における毛髪にきしみ感を生じさせず、乾燥後の毛髪に十分な膜厚感およびしっとり感並びにセット保持力を付与することができる毛髪セット剤組成物を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、毛髪セット剤に要請される性能をバランスよく兼ね備えた毛髪セット剤組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の毛髪セット剤組成物は、下記一般式(1)で示されるブロック共重合体(A)、並びに、ノニオンポリマー、カチオンポリマー、アニオンポリマーおよび両性ポリマーから選ばれる少なくとも1種からなる皮膜形成性高分子(B)を含有することを特徴とする。
【0009】
【化2】
【0010】
〔式中、R1 は、互いに独立して、脂肪族不飽和を含まない1価の炭化水素基、水酸基またはアルコキシ基を表し、
Y1 は、2価の有機基を表し、
R2 は、互いに独立して、水素原子、水酸基、置換または無置換の1価の炭化水素基、アルコキシ基、あるいは式:−Y1 −O−(C2 H4 O)b1(C3 H6 O)b2−Y2 (Y2 は、水素原子または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基を示す。)で表される基であり、
aは、1以上の整数、
b1は、3〜220の整数、
b2は、0または1以上の整数、
cは、1以上の整数である。
式:−(SiR1 2 O)a SiR1 2 −で表されるポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量は10,500以上であり、
ポリオルガノシロキサンブロックは、このブロック共重合体(A)の50〜99質量%を構成し、
式:−(C2 H4 O)b1(C3 H6 O)b2−で表されるポリオキシアルキレンブロックの平均分子量は130〜10,000であり、
このブロック共重合体(A)の平均分子量は50,000以上である。〕
【0011】
本発明の毛髪セット剤組成物においては、下記の形態が好ましい。
〔1〕前記ブロック共重合体(A)の含有割合が0.01〜10質量%であり、前記皮膜形成性高分子(B)の含有割合が0.01〜20質量%であること。
〔2〕前記ブロック共重合体(A)0.01〜10質量%と、前記皮膜形成性高分子(B)0.01〜20質量%と、下記一般式(2)で示されるブロック共重合体(C)0.01〜10.0質量%を含有すること。
【0012】
【化3】
【0013】
〔式中、R3 は、互いに独立して、置換または無置換の1価の炭化水素基、あるいは式:−Y3 −O−(C2 H4 O)b3(C3 H6 O)b4−Y4 (Y3 、b3およびb4は、それぞれ下記の定義のとおりであり、Y4 は、水素原子または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基を示す。)で表される基であり、
Y3 は、2価の有機基を表し、
R4 は、互いに独立して、水素原子、水酸基、置換または無置換の1価の炭化水素基、アルコキシ基、あるいは式:−Y3 −O−(C2 H4 O)b3(C3 H6 O)b4−Y4 で表される基であり、
a’は、1〜1350の整数、
b3およびb4は、それぞれ0〜220の整数(但し、b3およびb4の両方が0であることはない。)、
c’は、0〜50の整数である。
但し、c’が0であるとき、R3 またはR4 で表される基の少なくとも1つの基は、−Y3 −O−(C2 H4 O)b3(C3 H6 O)b4−Y4 で表される基である。
式:−(SiR3 2 O)a'SiR3 2 −で表されるポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量は134〜10,000であり、
ポリオルガノシロキサンブロックは、このブロック共重合体(C)の0.7〜97.5質量%を構成し、
式:−(C2 H4 O)b3(C3 H6 O)b4−で表されるポリオキシアルキレンブロックの平均分子量は130〜10,000であり、
このブロック共重合体(C)の平均分子量は650〜100,000である。〕
【0014】
〔4〕前記ブロック共重合体(A)0.01〜10質量%と、前記皮膜形成性高分子(B)0.01〜20質量%と、下記一般式(3)で示されるシリコーン化合物(D)0.01〜10.0質量%を含有すること。
【0015】
〔5〕前記シリコーン化合物(D)を示す下記一般式(3)中、Z1 がアミノ基含有基またはアンモニウム基含有基であり、r=0の場合には、R8 の少なくとも1つがX1 であること。
【0016】
【化4】
【0017】
〔式中、R9 は、互いに独立して、水素原子、置換もしくは無置換の1価の炭化水素基、X1 は、式:−R11−Z1
(R11は直接結合または炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、Z1 は反応基含有基を表す。)で表される反応性官能基を表し、R8 は、互いに独立して、水素原子、水酸基、置換もしくは無置換の1価の炭化水素基、アルコキシ基、またはX1 で表される基であり、R10は、R9 またはX1 の何れかを表し、qは少なくとも1の整数であり、rは0または少なくとも1の整数であり、このシリコーン化合物(D)の平均分子量は250〜1,000,000である。〕
【0018】
〔6〕前記ブロック共重合体(A)が、液状の環状シリコーン(E)に溶解されていること。
〔7〕前記ブロック共重合体(A)が、液状の鎖状シリコーン(F)に溶解されていること。
〔8〕前記ブロック共重合体(A)が、液状のイソパラフィン系炭化水素(G)に溶解されていること。
〔9〕前記ブロック共重合体(A)が、液状または固体のエステル油(H)に溶解されていること。
〔10〕前記ブロック共重合体(A)が溶解された上記〔6〕〜〔9〕の何れかの溶液を乳化してなるエマルジョン型の組成物であること。
〔11〕前記ブロック共重合体(A)が溶解された上記〔6〕〜〔9〕の何れかの溶液の乳化に際して、さらに水溶性多価アルコール(I)を配合してなるエマルジョン型の組成物であること。
〔12〕前記ブロック共重合体(A)が溶解された上記〔6〕〜〔9〕の何れかの溶液と、水溶性高分子(J)とを含有すること。
〔13〕前記水溶性高分子(J)が、アニオン性水溶性ポリマー、カチオン性水溶性ポリマー、両性水溶性ポリマーおよびノニオン性水溶性ポリマーから選ばれる少なくとも1種であること。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の毛髪セット剤組成物は、上記一般式(1)で示されるブロック共重合体(A)と、皮膜形成性高分子(B)とを必須成分として含有する。
【0020】
<ブロック共重合体(A)>
ブロック共重合体(A)を示す上記一般式(1)中、R1 は互いに独立して、脂肪族不飽和を含まない1価の炭化水素基、水酸基またはアルコキシ基である。脂肪族不飽和を含まない1価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、フェニル基、フェネチル基などを挙げることができ、メチル基およびフェニル基が好ましい。
R1 で表されるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロペニロキシ基、メトキシエトキシ基、フェニルオキシ基、アセトキシ基、シクロヘキシルオキシ基およびドデカニルオキシ基のような、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基を挙げることができ、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
【0021】
上記一般式(1)において、Y1 で表される2価の有機基は、炭素−ケイ素結合によって、ポリオルガノシロキサンブロックを構成するケイ素原子に結合し、酸素原子を介して、ポリオキシアルキレンブロック〔ポリ(オキシエチレン)(オキシプロピレン)ブロック〕と結合している。
Y1 で表される有機基の具体例としては、―R16―、―R16―CO−、―R16―NHCO−、―R16―NHCONHR17―NHCO−および―R16―OOCNH―R17―NHCO−〔式中、R16は、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などのアルキレン基、R17は、アルキレン基、−C6 H4 −、−C6 H4 −C6 H4 −、−C6 H4 −CH2 −C6 H4 −、−C6 H4 −CH(CH3 )−C6 H4 −などのアリーレン基を示す。〕である。
【0022】
Y1 で表される好適な有機基としては、−CH2 CH2 −、−CH2 CH2 CH2 −、−CH2 CH(CH3 )CH2 −、−(CH2 )4 −、−(CH2 )2 CO−、−(CH2 )3 NHCO−、−(CH2 )3 NHCONHC6 H4 CO−または−(CH2 )3 OOCNHC6 H4 NHCO−などを挙げることができる。これらのうち、−CH2 CH2 −、−CH2 CH2 CH2 −、−CH2 CH(CH3 )CH2 −などのアルキレン基が好ましく、−CH2 CH(CH3 )CH2 −が最も好ましい。
【0023】
上記一般式(1)において、R2 は、互いに独立して、水素原子、水酸基、置換または無置換の1価の炭化水素基、アルコキシ基、あるいは式:−Y1 −O−(C2 H4 O)b1(C3 H6 O)b2−Y2 (Y2 は、水素原子または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基を示し、Y1 は、上記の定義のとおりである。)で表される基である。
R2 で表される置換または無置換の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、アミノプロピル基、グリシドキシプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基およびドデシル基のような、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基およびオクテニル基のような、炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基のような、炭素数3〜8、好ましくは5〜7のシクロアルキル基;トリフルオロプロピル基、パーフルオロオクチルエチル基、クロロプロピル基およびペンタクロロオクチル基のような炭素数1〜8、好ましくは1〜6のハロゲン化アルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ペンタノイル基およびオクタノイル基のような炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜7の脂肪族アシル基;ベンゾイル基およびベンジルカルボニル基のような炭素数7〜15、好ましくは炭素数7〜11の芳香族アシル基;フェニル基、トリル基、キシリル基およびナフチル基のような炭素数6〜14、好ましくは炭素数6〜10のアリール基;並びにベンジル基およびフェネチル基のような炭素数7〜15、好ましくは7〜11のアラルキル基などを挙げることができる。これらのうち、メチル基およびフェニル基が好ましい。
【0024】
式:−Y1 −O−(C2 H4 O)b1(C3 H6 O)b2−Y2 で表される基(R2 を構成する基)において、Y2 は、水素原子または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基を示す。Y2 で表される置換または無置換の1価の炭化水素基としては、上記のR2 で表されるものとして例示した基と同様の基を挙げることができる。
Y2 で表される好適な基としては、−CH=CH2 、−CH2 CH=CH2 、−CH2 C(CH3 )=CH2 、−(CH2 )2 −CH=CH2 などのアルケニル基、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基およびアセチル基を挙げることができる。
【0025】
上記一般式(1)において、aは、1以上の整数であり、好ましくは140〜1350の整数、更に好ましくは160〜400の整数である。
b1は、3〜220の整数であり、好ましくは7〜60の整数である。
b2は、0または1以上の整数であり、好ましくは0〜170の整数、更に好ましくは0〜50の整数である。
cは、1以上の整数であり、好ましくは5〜50の整数、更に好ましくは10〜50の整数である。
【0026】
式:−(SiR1 2 O)a SiR1 2 −で表されるポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量は、通常10,500以上とされ、好ましくは10,500〜100,000、さらに好ましくは12,000〜30,000、特に好ましくは14,000〜25,000とされる。
【0027】
ポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量が10,500未満のブロック共重合体を含有する組成物は、手および乾燥過程の毛髪にべとつき感やぬるぬる感を生じさせるとともに、当該組成物によっては、乾燥後の毛髪に、セット保持力、膜厚感およびボリューム感などを十分に付与することができない。
【0028】
ブロック共重合体(A)におけるポリオルガノシロキサンブロック(全量)の構成割合としては、通常50〜99質量%とされ、好ましくは70〜99質量%とされる。
ポリオルガノシロキサンブロック構成割合が50質量%未満のブロック共重合体を含有する組成物は、手および乾燥過程の毛髪にべとつき感やぬるぬる感を生じさせるとともに、当該組成物によっては、乾燥後の毛髪に、膜厚感、光沢および滑らかな感触の付与効果を十分に奏することができない。
一方、この構成割合が99質量%を超えるブロック共重合体を含有する組成物は、乾燥過程の毛髪にきしみ感を生じさせるとともに、乾燥後の毛髪に、膜厚感やしっとり感をなどを十分に付与することができない。
【0029】
式:−(C2 H4 O)b1(C3 H6 O)b2−で表されるポリオキシアルキレンブロックの平均分子量は、通常130〜10,000とされ、好ましくは310〜5,000、更に好ましくは440〜3,000とされる。
ポリオキシアルキレンブロックの平均分子量が130未満のブロック共重合体を含有する組成物は、乾燥過程の毛髪にきしみ感を生じさせるとともに、当該組成物によっては、乾燥後の毛髪に、膜厚感やしっとり感などを十分に付与することができない。
一方、この平均分子量が10,000を超えるブロック共重合体を含有する組成物は、手および乾燥過程の毛髪にべとつき感やぬるぬる感を生じさせるとともに、当該組成物によっては、乾燥後の毛髪に対して、光沢および滑らかな感触を十分に付与することができない。更には、乾燥後の毛髪に重い仕上がり感を生じさせる。
【0030】
ブロック共重合体(A)を構成するポリオキシアルキレンブロックにおいて、オキシエチレン基(−C2 H4 O−)およびオキシプロピレン基(−C3 H6 O−)は、ランダムに結合されていてもよいし、ブロック状に結合されていてもよい。
好適なポリオキシアルキレンブロックを示す上記式において、繰り返し数(b1/b2)としては、(3〜220/0〜170)であることが好ましく、更に好ましくは(7〜60/0〜50)、特に好ましくは(10〜35/0〜35)とされる。
【0031】
ブロック共重合体(A)の平均分子量は、通常50,000以上とされ、好ましくは100,000〜2,000,000、さらに好ましくは150,000〜1,000,000とされる。
平均分子量が50,000未満のブロック共重合体を含有する組成物は、手および乾燥過程の毛髪にべとつき感やぬるぬる感を生じさせるとともに、当該組成物によっては、乾燥後の毛髪に、セット保持力、膜厚感およびボリューム感などを十分に付与することができない。
【0032】
本発明の毛髪セット剤組成物におけるブロック共重合体(A)の含有割合としては、0.01〜10質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.05〜3質量%とされる。
この含有割合が過小である場合には、本発明の目的を十分に達成することができない。一方、この含有割合が過大である場合には、当該ブロック共重合体(A)の溶解性が低下する。
【0033】
<皮膜形成性高分子(B)>
本発明の毛髪セット剤組成物を構成する皮膜形成性高分子(B)は、毛髪同士を固着してセット保持力を発現させる成分である。
かかる皮膜形成性高分子(B)としては、下記に示すノニオンポリマー、カチオンポリマー、アニオンポリマーおよび両性ポリマーから選択することができる。
選択方法としては、同種のポリマー(例えばノニオンポリマー)から1種または2種以上を選んでもよく、異種のポリマーから2種以上を選んでもよい。
【0034】
(2.1)ノニオンポリマー:
ポリビニルピロリドン(ルビスコールK、BASF社製)、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA、BASF社製)、ビニルピロリドン−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937、ISP社製)、ビニルカプロラクタム−ビニルピロリドン−ジメチルアミノエチルメタクレレート共重合体(コポリマーVC713、ISP社製)などのノニオン性高分子化合物がある。
【0035】
(2.2)カチオンポリマー:
ビニルピロリドン−ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT、米国GAF社製)、メチルビニルイミダゾリウムクロリド−ビニルピロリドン共重合体(ルビコート、BASF社製)などのカチオン性高分子化合物がある。
【0036】
(2.3)アニオンポリマー:
例えば、アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ、互応化学社製)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28−1310、NSC社製)、酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28−2930、NSC社製)、メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES、ISP社製)、t−ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP、BASF社製)、ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス、BASF社製)、アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド、BASF社製)、ビニルアセテート/ブチルマレアート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ、ISP社製)などのアニオン性高分子化合物がある。
【0037】
(2.4)両性ポリマー:
両性ポリマーとしては市販のものを用いることができ、例えばN−メタクリロイルオキシエチル−N,N’−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(ユカフォーマーSM,同R205S,三菱化学(株)製)、アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER、NSC社製)などの両性高分子化合物が挙げられる。上記の高分子化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0038】
本発明の毛髪セット剤組成物における皮膜形成性高分子(B)の含有割合としては、0.01〜20質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜10質量%とされる。
この含有割合が過小である場合には、セット保持力を十分に達成することができない。一方、この含有割合が過大である場合には、乾燥過程の毛髪にべとつき感を生じさせ、滑らかな感触を十分に付与することができない。また、乾燥後の毛髪に、ごわつき感を生じさせ、滑らかな感触を十分に付与することができない。
【0039】
<ブロック共重合体(C)>
任意成分として本発明の毛髪セット剤組成物を構成するブロック共重合体(C)は、上記一般式(2)で示される共重合体(ポリオルガノシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体)である。
このブロック共重合体(C)を併用することにより、ブロック共重合体(A)および皮膜形成性高分子(B)による効果(特に、乾燥過程の毛髪へのきしみ感の抑制効果および乾燥後の髪へのしっとり感の付与効果)を向上させることができる。
【0040】
ブロック共重合体(C)を示す上記一般式(2)中、R3 は、互いに独立して、置換または無置換の1価の炭化水素基、あるいは式:−Y3 −O−(C2 H4 O)b3(C3 H6 O)b4−Y4 (Y3 、b3およびb4は、それぞれ下記の定義のとおりであり、Y4 は、水素原子または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基を示す。)で表される基であり、Y3 は、2価の有機基を表し、R4 は、互いに独立して、水素原子、水酸基、置換または無置換の1価の炭化水素基、アルコキシ基、あるいは式:−Y3 −O−(C2 H4 O)b3(C3 H6 O)b4−Y4 で表される基である。
但し、上記一般式(2)における繰り返し数c’が0であるとき、R3 またはR4 で表される基の少なくとも1つの基は、−Y3 −O−(C2 H4 O)b3(C3 H6 O)b4−Y4 で表される基である。
【0041】
上記一般式(2)において、R3 、R4 およびY4 で表される置換または無置換の1価の炭化水素基の具体例としては、上記一般式(1)のR2 で表されるものとして例示した基と同様の基を挙げることができる。これらのうち、メチル基およびフェニル基が好ましい。
上記一般式(2)において、Y3 で表される2価の有機基としては、上記一般式(1)のY1 で表されるものとして例示した基を挙げることができる。
【0042】
上記一般式(2)において、a’は、1〜1350の整数であり、好ましくは1〜100の整数、更に好ましくは1〜50の整数である。
b3は、0〜220の整数であり、好ましくは3〜60の整数、更に好ましくは5〜50の整数、特に好ましくは7〜35の整数である。
b4は、0〜220の整数であり、好ましくは0〜60の整数、更に好ましくは3〜45の整数、特に好ましくは5〜35の整数である。
但し、b3およびb4の両方が0であることはない。
c’は、0〜50の整数であり、好ましくは0〜20の整数、更に好ましくは0〜10の整数である。
【0043】
ブロック共重合体(C)において、式:−(SiR3 2 O)a'SiR3 2 −で表されるポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量は、通常134〜10,000とされ、好ましくは134〜5,000、さらに好ましくは800〜3,500とされる。
ブロック共重合体(C)におけるポリオルガノシロキサンブロック(全量)の構成割合としては、通常0.7〜97.5質量%とされ、好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは20〜80質量%とされる。
【0044】
ブロック共重合体(C)において、式:−(C2 H4 O)b3(C3 H6 O)b4−で表されるポリオキシアルキレンブロックの平均分子量は130〜10,000とされ、好ましくは310〜5,000、さらに好ましくは440〜3,000とされる。
【0045】
ブロック共重合体(C)の平均分子量は、通常650〜100,000とされ、好ましくは1,000〜70,000、さらに好ましくは3,000〜50,000とされる。
【0046】
本発明の毛髪セット剤組成物におけるブロック共重合体(C)の含有割合としては、通常0.01〜10質量%とされ、好ましくは0.05〜5質量%とされる。
この含有割合が0.01質量%未満である場合には、ブロック共重合体(C)の併用効果を十分に達成することができない。一方、この含有割合が過大である場合には、当該ブロック共重合体(C)の溶解性が低下する。
【0047】
<シリコーン化合物(D)>
任意成分として本発明の毛髪セット剤組成物を構成するシリコーン化合物(D)は、上記一般式(3)で示される反応性のシリコーン化合物である。
このシリコーン化合物(D)を併用することにより、ブロック共重合体(A)および皮膜形成性高分子(B)による効果(特に、乾燥後の毛髪に対する光沢の付与効果および滑らかな感触の付与効果)を向上させることができる。
【0048】
シリコーン化合物(D)を示す上記一般式(3)において、反応性官能基(X1 )を構成する、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基(R11)としては、−CH2 −、−CH2 CH2 −、−CH2 CH2 CH2 −、−CH(CH3 )CH2 −、−(CH2 )4 −、−(CH2 )6 −、−(CH2 )8 −、−CH2 CH2 C6 H4 −、−(CH2 )12−、−(CH2 )16−であり、好ましくはプロピレン基である。
【0049】
反応性官能基(X1 )を構成する反応基含有基(Z1 )としては、エポキシ基、アミノ基、アンモニウム基、水酸基、カルボキシル基、アシル基、メルカプト基、メタクリル基、イソシアネート基、ウレイド基、ビニル基、アミド基、イミド基、イミノ基、アルデヒド基、ニトロ基、ニトリル基、オキシム基、アゾ基、ヒドラゾン基、アルコキシ基、アルコキシシリル基などから選択することができる。
【0050】
反応性官能基(X1 )の具体例としては、−(CH2 )3 OH、−(CH2 )3 SH、−(CH2 )3 NH2 、−(CH2 )3 NH(CH2 )2 NH2 、−(CH2 )3 N(CH3 )2 、−(CH2 )3 N(CH3 )(CH2 )2 N(CH3 )2 、−(CH2 )3 N+ (CH3 )3 Cl- 、−(CH2 )3 N(CH3 )(CH2 )2 N(CH3 )C=O(CH3 )、−(CH2 )7 COOH、−(CH2 )3 OCH2 CH(O)CH2 、−(CH2 )3 OC(=O)CH(CH3 )=CH2 、−(CH2 )2 Si(OCH3 )3 、−(CH2 )2 Si(OCH2 CH3 )3 などを挙げることができる。これらのうち、−(CH2 )3 NH2 、−(CH2 )3 NH(CH2 )2 NH2 、−(CH2 )3 N(CH3 )2 、−(CH2 )3 N(CH3 )(CH2 )2 N(CH3 )2 、−(CH2 )3 N+ (CH3 )3 Cl- が好ましい。
上記一般式(3)において、R8 、R9 およびR10で表される置換もしくは無置換の1価の炭化水素基の具体例としては、上記一般式(1)のR2 で表されるものとして例示した基と同様の基を挙げることができる。これらのうち、メチル基およびフェニル基が好ましい。
【0051】
本発明の毛髪セット剤組成物におけるシリコーン化合物(D)の含有割合としては、通常0.01〜10質量%とされ、好ましくは0.05〜5質量%とされる。
この含有割合が0.01質量%未満である場合には、シリコーン化合物(D)の併用効果を十分に達成することができない。一方、この含有割合が過大である場合には、当該シリコーン化合物(D)の溶解性が低下する。
【0052】
<液状の環状シリコーン(E)>
任意成分として本発明の毛髪セット剤組成物を構成する液状の環状シリコーン(E)は、必須成分であるブロック共重合体(A)を溶解せしめる溶媒として使用される。液状の環状シリコーン(E)は、ブロック共重合体(A)を均一に溶解し、毛髪に適用するとき均一に適正量が処理される効果がある。また、液状の環状シリコーン(E)を含有する本発明の毛髪セット剤組成物によれば、さらっとした軽い感触を毛髪に付与することができる。
液状の環状シリコーン(E)の具体例としては、次の一般名で称されている、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンおよびドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどが挙げられる。
【0053】
<液状の鎖状シリコーン(F)>
任意成分として本発明の毛髪セット剤組成物を構成する液状の鎖状シリコーン(F)は、必須成分であるブロック共重合体(A)を溶解せしめる溶媒として使用される。液状の鎖状シリコーン(F)は、ブロック共重合体(A)を均一に溶解し、毛髪に適用するとき均一に適正量が処理される効果がある。また、液状の鎖状シリコーン(F)を含有する本発明の毛髪セット剤組成物によれば、さらっとした軽い感触を毛髪に付与することができる。
液状の鎖状シリコーン油(F)としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(粘度0.65〜10cSt/25℃)などが挙げられる。
【0054】
<液状のイソパラフィン系炭化水素(G)>
任意成分として本発明の毛髪セット剤組成物を構成する液状のイソパラフィン系炭化水素(G)は、必須成分であるブロック共重合体(A)を溶解せしめる溶媒として使用される。液状のイソパラフィン系炭化水素(G)は、ブロック共重合体(A)を均一に溶解し、毛髪に適用するとき均一に適正量が処理される効果がある。また、液状のイソパラフィン系炭化水素(G)を含有する本発明の毛髪セット剤組成物によれば、さらっとした軽い感触を毛髪に付与することができる。
液状のイソパラフィン系炭化水素(G)としては、常圧における沸点が60〜350℃の範囲にあるイソパラフィン系炭化水素を挙げることができ、例えば、エクソン社製のアイソパーA(登録商標)、同C、同D、同E、同G、同H、同K、同L、同M、シェル社のシェルゾール71(登録商標)、フィリップ社のソルトール100(登録商標)あるいは同130、同220、日本油脂社のパールリーム(登録商標)4、同EX、同6などを挙げることができる。
【0055】
<液状または固体のエステル油(H)>
任意成分として本発明の毛髪セット剤組成物を構成する液状または固体のエステル油(H)は、必須成分であるブロック共重合体(A)を溶解せしめる溶媒として使用される。液状または固体のエステル油(H)は、ブロック共重合体(A)を均一に溶解し、毛髪に適用するとき均一に適正量が処理される効果がある。また、エステル油(H)を含有する本発明の毛髪セット剤組成物によれば、さらっとした軽い感触を毛髪に付与することができる。
【0056】
液状または固体のエステル油(H)としては、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸イソセチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソオクチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリット、イソパルミチン酸オクチル、ビバリン酸イソセチル、ビバリン酸オクチルドデシル、乳酸オクチルドデシル、アジピン酸ジイソブチル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ラウリン酸ヘキシル、ダイマー酸ジイソプロピルなどを挙げることができる。
【0057】
<溶媒成分の配合量>
ブロック共重合体(A)を配合して毛髪セット剤組成物を調製する場合、上記の溶媒成分〔液状の環状シリコーン(E),液状の鎖状シリコーン(F),液状のイソパラフィン系炭化水素(G),液状または固体のエステル油(H)〕にブロック共重合体(A)を溶解し、溶液(溶体)として配合することが好ましいが、もちろん、別々に配合して系中で溶解させてもよい。上記の溶媒成分(液状または固体の油)は、任意の1種または2種以上を用いることができ、合計の配合量がブロック共重合体(A)に対して0.1〜50倍(質量)となることが好ましく、毛髪セット剤組成物全量中の0.01〜80質量%となるように選ぶことが好ましい。0.1倍(質量)未満では、溶解効果や、希釈効果を十分に発現されず、一方、50倍(質量)を超えると、ブロック共重合体(A)の濃度が低過ぎ、毛髪セット処理効果が十分に発現しなくなる傾向がある。
【0058】
<乳化剤>
ブロック共重合体(A)が溶媒成分に溶解されてなる溶液(溶体)は、これを乳化して用いることができる。
この場合に用いられる乳化剤としては、下記に示すような各種の界面活性剤を挙げることができる。
例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーンなどのノニオン活性剤、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウムなどのカチオン活性剤、セチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムなどのアニオン活性剤が挙げられる。
【0059】
<水溶性多価アルコール(I)>
ブロック共重合体(A)の溶液(溶体)に乳化剤を配合して乳化処理する際に、さらに水溶性多価アルコール(I)を併用すると、さらに乳化性がよくなり、毛髪セット剤組成物の性能が一段と向上する効果がある。
水溶性多価アルコール(I)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、蔗糖、フラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール、澱粉、分解糖還元アルコール、ヒアルロン酸などであり、これらの1種または2種以上が用いられる。
【0060】
<水溶性高分子(J)>
任意成分として本発明の毛髪セット剤組成物を構成する水溶性高分子(J)は、アニオン性水溶性ポリマー、カチオン性水溶性ポリマー、両性水溶性ポリマーおよびノニオン性水溶性ポリマーから1種または2種以上を適宜選択して使用することができる。水溶性高分子(J)を併用することにより、得られる毛髪セット剤組成物の使用性を向上させることができる。
水溶性高分子(J)としては、通常の化粧料や外用剤に配合されるものであれば特に限定されるものではない。
【0061】
アニオン性水溶性ポリマーとしては、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、ペクチン、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。さらに、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸及びそれらの塩も挙げられる。
【0062】
カチオン性水溶性ポリマーは、例えばカチオン変性セルロースエーテル誘導体(ポリマーJR(U.C.C)等)、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドのポリマー(マーコート(Merk)等)、ポリアクリル酸誘導体四級アンモニウム(Cartex(NationalStarch)等)、ポリアミド誘導体四級アンモニウム(Sandoz等)、ポリオキシエチレンポリアルキレンポリアミン(ポリコート(HENKEL)等)等が挙げられる。また、水溶性両性ポリマーとしては、例えばカルボキシル基やスルホン酸基などの陰イオン性基を有するモノマーと塩基性窒素を有するモノマーとの共重合体、カルボキシベタイン型モノマーの重合体又は共重合体、カルボキシ基やスルホン酸基などの陰イオン性基を陽イオン性ポリマーに導入したもの、塩基性窒素含有基を陰イオン性ポリマーに導入したもの、アクリルアミド基などの非イオン性基を有するモノマーと陰イオン性基を有するモノマー及び塩基性窒素含有基を有するモノマーの共重合体等が挙げられる。
【0063】
両性水溶性ポリマーとしては市販のものを用いることができ、例えばアクリル酸/ジアリル第4級アンモニウム塩/アクリルアミドの共重合体としてマーコートプラス3330(CALGON社製)等が挙げられる。
【0064】
ノニオン性水溶性ポリマーとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、デキストリン、ガラクタン、プルラン等が挙げられる。
【0065】
これらのうち、カチオン性水溶性ポリマー、両性水溶性ポリマーが好ましい。これらを本発明の効果を損なわない量で配合する(ゴワツキ、フライアウェイを起こさない程度)ことにより、滑らかさを付与する効果は本発明による同効果にプラスされて相加的に向上する。
【0066】
<その他の添加剤>
本発明の毛髪セット剤組成物には上記の構成成分の他に、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で、さらに流動パラフィン、スクワラン、ラノリン誘導体、高級アルコール、アボガド油、パーム油、牛脂、ホホバ油、シリコーン油、ポリアルキレングリコールポリエーテルおよびそのカルボン酸オリゴエステル化合物、テルペン系炭化水素油などの油分、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩などの保湿剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルピロリドンなどの樹脂類、大豆蛋白、ゼラチン、コラーゲン、絹フィブロイン、エラスチンなどの蛋白または蛋白分解物、エチルパラベン、ブチルパラベンなどの防腐剤、各種アミノ酸、ビオチン、パントテン酸誘導体などの賦活剤、γ−オリザノール、デキストラン硫酸ナトリウム、ビタミンE誘導体、ニコチン酸誘導体などの血行促進剤、硫黄、チアントールなどの抗脂漏剤、エタノール、イソプロパノール、テトラクロロジフルオロエタンなどの希釈剤、カルボキシビニルポリマーなどの増粘剤、薬剤、香料、色剤などを必要に応じて敵宜配合してもよい。
【0067】
<毛髪セット化粧料>
本発明の毛髪セット剤組成物としては、毛髪に適用されるセット化粧料のすべてが含まれる。本発明の毛髪セット剤組成物の剤型は任意であり、可溶化系、乳化系、粉末分散系、油−水の2層系、油−水−粉末の3層系など何れでも構わない。乳化系の場合は、ブロック共重合体(A)を含む油相を乳化剤、例えばノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤またはそれらの混合物で乳化して用いる。またその乳化する際、乳化剤を水溶性多価アルコール(I)に溶解し、ブロック共重合体(A)を含んだ油分を添加し乳化して乳化組成物を作り、その組成物を水で希釈して乳化物を調製することもできる。
【0068】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0069】
以下の実施例に使用するブロック共重合体(A)として、下記のブロック共重合体(A−1)乃至(A−4)を用意した。
【0070】
〔ブロック共重合体(A−1)〕
上記一般式(1)で示されるブロック共重合体。
〔但し、一般式(1)中、R1 は、メチル基;
Y1 は、式:−CH2 CH(CH3 )CH2 −で表される基;
R2 は、式:−CH2 CH(CH3 )CH2 −O−(C2 H4 O)14−CH2 C(CH3 )=CH2 で表される基;
aは199;
b1は14;
b2は0;
cは13;
ポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量は14,900であり、ポリオルガノシロキサンブロックは、このブロック共重合体(A−1)の95.7質量%を構成し;
ポリオキシアルキレンブロックの平均分子量は610であり;
このブロック共重合体(A−1)の平均分子量は218,000である。〕
【0071】
〔ブロック共重合体(A−2)〕
上記一般式(1)で示されるブロック共重合体。
〔但し、一般式(1)中、R1 は、メチル基;
Y1 は、式:−CH2 CH(CH3 )CH2 −で表される基;
R2 は、式:−CH2 CH(CH3 )CH2 −O−(C2 H4 O)23(C3 H6 O)6 −CH2 C(CH3 )=CH2 で表される基;
aは160;
b1は23;
b2は6;
cは7;
ポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量は12,000であり、ポリオルガノシロキサンブロックは、このブロック共重合体(A−2)の88.7質量%を構成し;
ポリオキシアルキレンブロックの平均分子量は1,360であり;
このブロック共重合体(A−2)の平均分子量は109,000である。〕
【0072】
〔ブロック共重合体(A−3)〕
上記一般式(1)で示されるブロック共重合体。
〔但し、一般式(1)中、R1 は、メチル基;
Y1 は、式:−CH2 CH(CH3 )CH2 −で表される基;
R2 は、式:−CH2 CH(CH3 )CH2 −O−(C2 H4 O)20(C3 H6 O)35−CH2 C(CH3 )=CH2 で表される基;
aは141;
b1は20;
b2は35;
cは24;
ポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量は10,600であり、ポリオルガノシロキサンブロックは、このブロック共重合体(A−3)の77.8質量%を構成し;
ポリオキシアルキレンブロックの平均分子量は2,900であり;
このブロック共重合体(A−3)の平均分子量は343,000である。〕
【0073】
〔ブロック共重合体(A−4)〕
上記一般式(1)で示されるブロック共重合体。
〔但し、一般式(1)中、R1 は、メチル基;
Y1 は、式:−CH2 CH(CH3 )CH2 −で表される基;
R2 は、式:−CH2 CH(CH3 )CH2 −O−(C2 H4 O)46(C3 H6 O)15−CH2 C(CH3 )=CH2 で表される基;
aは385;
b1は46;
b2は15;
cは29;
ポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量は28,500であり、ポリオルガノシロキサンブロックは、このブロック共重合体(A−4)の90.7質量%を構成し;
ポリオキシアルキレンブロックの平均分子量は2,900であり;
このブロック共重合体(A−4)の平均分子量は949,000である。〕
【0074】
また、以下の実施例および比較例に使用する皮膜形成性高分子(B)として、下記の皮膜形成性高分子(B−1)乃至(B−6)を用意した。
【0075】
〔皮膜形成性高分子(B−1)〕
・ビニルピロリドン−ジメチルアミノエチルメタクリレートジエチル硫酸塩(GAFQUAT755:米国GAF社製)
【0076】
〔皮膜形成性高分子(B−2)〕
・N−メタクリロイルオキシエチル−N,N’−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体のエタノール液(ユカフォーマーSM:三菱化学(株)製)
【0077】
〔皮膜形成性高分子(B−3)〕
・ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA:BASF社製)
【0078】
〔皮膜形成性高分子(B−4)〕
・アクリル樹脂(アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体)のアルカノールアミン液(プラスサイズL−53D:互応化学社製)
【0079】
〔皮膜形成性高分子(B−5)〕
・N−メタクリロイルオキシエチル−N,N’−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体のエタノール液(ユカフォーマーR205S,三菱化学(株)製)
【0080】
〔皮膜形成性高分子(B−6)〕
・ビニルピロリドン−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体の4級化物(GAFQUAT734:米国GAF社製)
【0081】
また、比較のために使用するブロック共重合体(C)として、下記のブロック共重合体(C−1)を用意した。さらに、ブロック共重合体(A)とともに使用するブロック共重合体(C)として、下記のブロック共重合体(C−2)を用意した。
【0082】
〔ブロック共重合体(C−1)〕
上記一般式(2)で示されるブロック共重合体。
〔但し、一般式(2)中、R3 は、メチル基;
Y3 は、式:−CH2 CH(CH3 )CH2 −で表される基;
R4 は、式:−CH2 CH(CH3 )CH2 −O−(C2 H4 O)23(C3 H6 O)6 −CH2 C(CH3 )=CH2 で表される基;
a’は40;
b3は23;
b4は6;
c’は1;
ポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量は3,100であり、ポリオルガノシロキサンブロックは、このブロック共重合体(C−1)の58.1質量%を構成し;
ポリオキシアルキレンブロックの平均分子量は1,360であり;
このブロック共重合体(C−1)の平均分子量は10,700である。〕
【0083】
〔ブロック共重合体(C−2)〕
上記一般式(2)で示されるブロック共重合体。
〔但し、一般式(2)中、a’は25、c’は0であり、
R3 で示される52個の基のうち、49個がメチル基、3個が式:−(CH2 )3 −O−(C2 H4 O)20(C3 H6 O)15−C4 H9 で表される基であり、R4 は、メチル基である。
ポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量は2,000であり、ポリオルガノシロキサンブロックは、このブロック共重合体(C−2)の26.0質量%を構成し;
ポリオキシアルキレンブロックの平均分子量は1,900であり;
このブロック共重合体(C−2)の平均分子量は7,700である。〕
【0084】
〔反応性ブロック共重合体(a−1)〕
また、比較のために使用するブロック共重合体として、下記の化学式で示される反応性ブロック共重合体(a−1)を用意した。
【0085】
【化5】
【0086】
〔但し、RC は、式:−CH2 CH(CH3 )CH2 −O−(C2 H4 O)10−CH2 C(CH3 )=CH2 で表される基、XC は、−(CH2 )3 −NH−(CH2 )2 −NH2 で表される基である。〕
【0087】
また、ブロック共重合体(A)とともに使用し、または比較のために使用するシリコーン化合物(D)として、下記の反応性シリコーン(D−1)を用意した。さらに、比較のために使用するシリコーン化合物(D)として、下記の反応性シリコーン(D−2)を用意した。
【0088】
〔反応性シリコーン(D−1)〕
上記一般式(3)で示されるシリコーン化合物。
〔但し、一般式(3)中、R8 、R9 およびR10は、メチル基、X1 は、−(CH2 )3 −NH−(CH2 )2 −NH2 で表される基である。qは300、rは1である。〕
【0089】
〔反応性シリコーン(D−2)〕
上記一般式(3)で示されるシリコーン化合物。
〔但し、一般式(3)中、R8 は水酸基、R9 およびR10は、メチル基、X1 は、−(CH2 )3 −NH−(CH2 )2 −NH2 で表される基である。qは3000、rは6である。〕
【0090】
<実施例(1−1)〜(1−24)および比較例(1−1)〜(1−6)>
下記表1〜表3(表中、配合量の単位は「質量%」である)に示す配合処方により、常法に従って毛髪セット剤組成物を製造した。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
上記の実施例および比較例により得られた毛髪セット剤組成物の各々について、下記の項目(1)〜(21)について評価した。結果を下記表4〜表6に示す。
【0095】
(1)手にとったときのべとつき感:
手のひらに組成物1gをとり、30秒間手で擦り合わせた後、手のひらの感触を下記の基準に基いて官能評価した。
【0096】
「○」:全くべとつかない。
「△」:ややべとつきを感じる。
「×」:かなりのべとつきを感じる。
【0097】
(2)手にとったときのぬるぬる感:
手のひらに組成物1gをとり、30秒間手で擦り合わせた後、手のひらの感触を下記の基準に基いて官能評価した。
【0098】
「○」:全くぬるぬるしていない。
「△」:ややぬるぬるしている。
「×」:かなりぬるぬるしている。
【0099】
(3)乾燥過程での毛髪のきしみ感:
長さ15cm、質量4gの毛髪ストランドに組成物2gを塗布し、乾燥過程での毛髪ストランドのきしみの程度を下記の基準に基いて官能評価した。
【0100】
「○」:きしみが全く感じられない。
「△」:きしみがやや感じられる。
「×」:きしみが顕著に感じられる。
【0101】
(4)乾燥過程での毛髪のべとつき感:
長さ25cm、質量4gの毛髪ストランドに組成物2gを塗布し、乾燥過程での毛髪ストランドのべとつきの程度を下記の基準に基いて官能評価した。
【0102】
「○」:全くべとつかない。
「△」:ややべとつきを感じる。
「×」:かなりのべとつきを感じる。
【0103】
(5)乾燥過程での毛髪の滑らかさ:
長さ25cm、質量4gの毛髪ストランドに組成物2gを塗布し、乾燥過程での毛髪ストランドの滑らかさの程度を下記の基準に基いて官能評価した。
【0104】
「○」:滑らかな感触が十分に得られる。
「△」:滑らかな感触が少し得られる。
「×」:滑らかな感触が全く得られない。
【0105】
(6)乾燥過程での毛髪の櫛通り性:
長さ25cm、質量4gの毛髪ストランドに組成物2gを塗布し、乾燥過程での毛髪ストランドに櫛を通したときの感触(櫛通り性)を下記の基準に基いて官能評価した。
【0106】
「○」:櫛の通りが容易である(抵抗が殆どない)。
「△」:やや通りにくい(僅かに抵抗がある)。
「×」:ひっかかって通りにくい(抵抗を強く感じる)。
【0107】
(7)乾燥過程でのくせづけの容易性:
長さ25cm、質量4gの毛髪ストランドに組成物2gを塗布し、乾燥過程での毛髪ストランドについて、くせづけの容易性を下記の基準に基いて官能評価した。
【0108】
「○」:塗布前と比較してかなり容易となる。
「△」:塗布前と比較して僅かに容易となる。
「×」:塗布前と殆ど変わらない。
【0109】
(8)乾燥後の毛髪の膜厚感:
長さ25cm、質量4gの毛髪ストランドに組成物3gを塗布し、自然乾燥後の毛髪ストランドの膜厚感を下記の基準に基いて官能評価した。
【0110】
「○」:膜厚感が十分に得られる。
「△」:膜厚感が少し得られる。
「×」:膜厚感が全く得られない。
【0111】
(9)乾燥後の毛髪のしっとり感:
長さ25cm、質量4gの毛髪ストランドに組成物2gを塗布し、自然乾燥後の毛髪ストランドのしっとり感を下記の基準に基いて官能評価した。
【0112】
「○」:しっとり感が十分に得られる。
「△」:しっとり感が少し得られる。
「×」:しっとり感が全く得られない。
【0113】
(10)乾燥後の毛髪のべとつき感:
長さ25cm、質量4gの毛髪ストランドに組成物3gを塗布し、自然乾燥後の毛髪ストランドのべとつき感を下記の基準に基いて官能評価した。
【0114】
「○」:全くべとつかない。
「△」:ややべとつきを感じる。
「×」:かなりのべとつきを感じる。
【0115】
(11)乾燥後の毛髪の滑らかさ:
長さ25cm、質量4gの毛髪ストランドに組成物2gを塗布し、自然乾燥後の毛髪ストランドの滑らかさの程度を下記の基準に基いて官能評価した。
【0116】
「○」:滑らかな感触が十分に得られる。
「△」:滑らかな感触が少し得られる。
「×」:滑らかな感触が全く得られない。
【0117】
(12)乾燥後の毛髪の光沢:
長さ25cm、質量4gの毛髪ストランドに組成物3gを塗布し、自然乾燥後の毛髪ストランドの光沢の程度を下記の基準に基いて官能評価した。
【0118】
「○」:十分な光沢がある。
「△」:やや光沢がある。
「×」:光沢が殆ど認められない。
【0119】
(13)乾燥後の毛髪のボリューム感:
長さ25cm、質量2gの毛髪ストランドを水で濡らし、これに組成物0.5gを塗布し、自然乾燥後の毛髪ストランドのボリューム感を下記の基準に基いて官能評価した。
【0120】
「○」:十分なボリューム感がある。
「△」:ややボリューム感がある。
「×」:ボリューム感が殆ど認められない。
【0121】
(14)乾燥後の毛髪の弾力性:
長さ25cm、質量2gの毛髪ストランドを水で濡らし、これに組成物0.5gを塗布し、自然乾燥後の毛髪ストランドの弾力性を下記の基準に基いて官能評価した。
【0122】
「○」:十分な弾力性がある。
「△」:やや弾力性がある。
「×」:弾力性が殆ど認められない。
【0123】
(15)乾燥後の毛髪のセット保持力:
長さ25cm、質量2gの毛髪ストランドを水で濡らし、これに組成物0.5gを塗布した後、直径15mmのロッドに巻いた状態で自然乾燥させた。
次いで、カールのついた毛髪ストランドからロッドを外してカールの長さ(L1 )を測定し、温度28℃、相対湿度90%の恒温恒湿環境下に1時間吊るし、再度カールの長さ(L2 )を測定した。
上記の恒温恒湿環境下に吊るした前後に測定したカールの長さ(L1 ,L2 )から、次式によりセット保持率を求め、下記の基準に基いてセット保持力を評価した。
【0124】
セット保持率=〔(25−L2 )/(25−L1 )〕×100(%)
【0125】
「◎」:セット保持率=90〜100%
「○」:セット保持率=67〜89%
「△」:セット保持率=34〜66%
「×」:セット保持率=0〜33%
【0126】
(16)乾燥後の毛髪の感触:
長さ25cm、質量2gの毛髪ストランドを水で濡らし、これに組成物0.5gを塗布し、自然乾燥後の毛髪ストランドの感触を下記の基準に基いて官能評価した。
【0127】
「○」:毛髪の荒れなどは認められず、自然な感触である。
「×」:毛髪の荒れなどが認められ、自然な感触が得られない。
【0128】
(17)乾燥後の毛髪の感触(繰り返し使用後):
長さ25cm、質量2gの毛髪ストランドを市販のシャンプーで洗髪し、これに組成物0.5gを塗布し、自然乾燥する工程を10サイクル繰り返した後、毛髪ストランドの感触を上記(16)と同様の基準に基いて官能評価した。
【0129】
(18)乾燥後の毛髪からのフレーキングの有無:
長さ25cm、質量2gの毛髪ストランドを水で濡らし、これに組成物0.5gを塗布し、自然乾燥後の毛髪ストランドを10回ブラッシングした後、フレーキングの有無を目視により観察し、下記の基準に基いて評価した。
【0130】
「○」:フレーキングが全く認められない。
「△」:フレーキングが僅かに認められる。
「×」:フレーキングが顕著に認められる。
【0131】
(19)乾燥後の毛髪からのフレーキングの有無(繰り返し使用後):
長さ25cm、質量4gの毛髪ストランドを市販のシャンプーで洗髪し、これに組成物2gを塗布し、自然乾燥する工程を10サイクル繰り返した。この毛髪ストランドを10回ブラッシングした後、フレーキングの有無を目視により観察し、上記(18)と同様の基準に基いて評価した。
【0132】
(20)乾燥後の毛髪のごわつき感:
長さ25cm、質量4gの毛髪ストランドに組成物2gを塗布し、自然乾燥後の毛髪ストランドのごわつき感を下記の基準に基いて官能評価した。
【0133】
「○」:ごわつきが全く認められない。
「△」:ごわつきがやや認められる。
「×」:ごわつきが顕著に認められる。
【0134】
(21)枝毛の接着効果:
枝毛を束ねた長さ25cm、質量4gの毛髪ストランドに組成物2gを塗布し、自然乾燥後の当該毛髪ストランドを10回ブラッシングした後、枝毛の修復・接着効果の有無を観察し、下記の基準に基いて評価した。
【0135】
「○」:接着していて、ほとんどはがれない。
「△」:接着しているが、ほとんどはがれる。
「×」:接着していない。
【0136】
【表4】
【0137】
【表5】
【0138】
【表6】
【0139】
<実施例(2−1)〜(2−16)および比較例(2−1)〜(2−4)>
下記表7〜表9(表中、配合量の単位は「質量%」である)に示す配合処方により、常法に従って、ポンプスプレーとして使用する毛髪セット剤組成物を製造した。
【0140】
【表7】
【0141】
【表8】
【0142】
【表9】
【0143】
上記の実施例および比較例によって得られた毛髪セット剤組成物(ポンプスプレー)の各々について、上記の項目(1)〜(21)について評価した。結果を下記表10〜表12に示す。
【0144】
【表10】
【0145】
【表11】
【0146】
【表12】
【0147】
【0148】
(1)に(2)を溶解し、(3),(4)の混合物に加えて乳化して、(5),(6),(7),(8)と混合することにより、ヘアブローとして使用する本発明の毛髪セット剤組成物を製造した。
【0149】
<比較例3>
ブロック共重合体(A−1)に代えて反応性ブロック共重合体(a−1)(3.0質量%)を使用したこと以外は実施例3と同様にしてヘアブローとして使用する比較用の毛髪セット剤組成物を製造した。
【0150】
【0151】
(1)を(3),(4)の混合物に加えて乳化して、(2),(5),(6),(7),(9)と混合してなる原液成分をエアゾール容器に入れて、弁を取りつけた後に、噴射剤である(8)を充填することにより、ヘアムースとして使用する本発明の毛髪セット剤組成物を製造した。
【0152】
<比較例4>
ブロック共重合体(A−1)に代えて反応性ブロック共重合体(a−1)(2.0質量%)を使用したこと以外は実施例4と同様にしてヘアムースとして使用する比較用の毛髪セット剤組成物を製造した。
【0153】
【0154】
(1)に(2)を溶解し、(3),(4)の混合物に加えて乳化して、(5),(6),(7),(8),(9)と混合することにより、ヘアクリームとして使用する本発明の毛髪セット剤組成物を製造した。
【0155】
<比較例5>
ブロック共重合体(A−1)に代えて反応性ブロック共重合体(a−1)(6.0質量%)を使用したこと以外は実施例5と同様にして、ヘアクリームとして使用する比較用の毛髪セット剤組成物を製造した。
【0156】
【0157】
(1)〜(6)を70〜80℃で攪拌、溶解、混合することにより、ヘアオイルとして使用する本発明の毛髪セット剤組成物を製造した。
この毛髪セット剤組成物(ヘアオイル)は、透明性および粘性(粘度=500cps)であった。
【0158】
<比較例6>
ブロック共重合体(A−1)に代えて反応性ブロック共重合体(a−1)(20.0質量%)を使用したこと以外は実施例6と同様にして、ヘアオイルとして使用する比較用の毛髪セット剤組成物を製造した。
【0159】
【0160】
(1)を(3),(4)の混合物に加えて乳化して、(2),(5),(6),(7),(8),(9)と混合することにより、ヘアスプレーとして使用する本発明の毛髪セット剤組成物を製造した。
【0161】
<比較例7>
ブロック共重合体(A−1)に代えて反応性ブロック共重合体(a−1)(2.0質量%)を使用したこと以外は実施例7と同様にして、ヘアスプレーとして使用する比較用の毛髪セット剤組成物を製造した。
【0162】
<比較例8>
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン: 10.0質量%
(2)ジメチルポリシロキサン(n=10,000): 2.0質量%
(3)グリセリン: 1.0質量%
(4)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(120EO): 2.0質量%
(5)ルビスコールVA〔皮膜形成性高分子(B−3)〕:2.0質量%
(6)エタノール: 10.0質量%
(7)イオン交換水: バランス
(8)n−ブタン: 7.0質量%
(9)香料: 適量
【0163】
(1)に(2)を溶解し、(3),(4)の混合物に加えて乳化して、(5),(6),(7),(9)と混合してなる原液成分をエアゾール容器に入れて、弁を取りつけた後に、噴射剤である(8)を充填することにより、ヘアムースとして使用する比較用の毛髪セット剤組成物を製造した。
【0164】
【0165】
(1)に(2)を溶解し、(3),(4)の混合物に加えて乳化して、(5),(6),(7),(9)と混合してなる原液成分をエアゾール容器に入れて、弁を取りつけた後に、噴射剤である(8)を充填することにより、ヘアクリームとして使用する比較用の毛髪セット剤組成物を製造した。
【0166】
【0167】
(1)に(2)を溶解し、(3),(4)の混合物に加えて乳化して、(5),(6),(7),(8),(10)と混合してなる原液成分をエアゾール容器に入れて、弁を取りつけた後に、噴射剤である(9)を充填することにより、ヘアムースとして使用する比較用の毛髪セット剤組成物を製造した。
【0168】
【0169】
(1)に(2)を溶解し、(3),(4)の混合物に加えて乳化して、(5),(6),(7),(8),(10)と混合してなる原液成分をエアゾール容器に入れて、弁を取りつけた後に、噴射剤である(9)を充填することにより、ヘアムースとして使用する比較用の毛髪セット剤組成物を製造した。
【0170】
【0171】
(1)に(2)を溶解し、(3),(4)の混合物に加えて乳化して、(5),(6),(8)と混合してなる原液成分をエアゾール容器に入れて、弁を取りつけた後に、噴射剤である(7)を充填することにより、ヘアムースとして使用する比較用の毛髪セット剤組成物を製造した。
【0172】
上記の実施例3〜7および比較例3〜12によって得られた毛髪セット剤組成物の各々について、上記の項目(1)〜(21)について評価した。結果を下記表13〜表14に示す。
【0173】
【表13】
【0174】
【表14】
【0175】
上記表4〜表5、表10〜表11、表13に示された結果から明らかなように、実施例に係る毛髪セット剤組成物は、手にとったときのべとつき感やぬるぬる感がない。また、当該組成物を使用したときの乾燥過程の毛髪において、きしみ感およびべとつき感がなく、滑らかな感触が十分に得られるとともに、櫛通り性が良好で、くせづけも容易である。しかも、実施例に係る毛髪セット剤組成物によってセットされた毛髪(乾燥・仕上後の毛髪)には、膜厚感、しっとり感、滑らかな感触、光沢、ボリューム感、弾力性、櫛通り性、セット保持力、自然な感触および枝毛の接着・修復効果が十分に得られ、べとつき感、ごわつき感およびフレーキングがなく、また、繰り返し使用後であっても自然な感触が得られる。
【0176】
【発明の効果】
本発明の毛髪セット剤組成物は、手にとったときにべとつき感・ぬるぬる感を生じさせず、乾燥過程における毛髪にきしみ感やべとつき感を生じさせず、乾燥後の毛髪に十分な膜厚感およびしっとり感を付与することができる。
本発明の毛髪セット剤組成物は、くせづけが容易でセット保持力に優れているとともに、毛髪セット剤に要請される種々の性能をバランスよく兼ね備えている。
Claims (2)
- 下記一般式(1)で示されるブロック共重合体(A)、並びに、ノニオンポリマー、カチオンポリマー、アニオンポリマーおよび両性ポリマーから選ばれる少なくとも1種からなる皮膜形成性高分子(B)を含有することを特徴とする毛髪セット剤組成物。
Y1 は、2価の有機基を表し、
R2 は、互いに独立して、水素原子、水酸基、置換または無置換の1価の炭化水素基、アルコキシ基、あるいは式:−Y1 −O−(C2 H4 O)b1(C3 H6 O)b2−Y2 (Y2 は、水素原子または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基を示す。)で表される基であり、
aは、1以上の整数、
b1は、3〜220の整数、
b2は、0または1以上の整数、
cは、1以上の整数である。
式:−(SiR1 2 O)a SiR1 2 −で表されるポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量は10,500以上であり、
ポリオルガノシロキサンブロックは、このブロック共重合体(A)の50〜99質量%を構成し、
式:−(C2 H4 O)b1(C3 H6 O)b2−で表されるポリオキシアルキレンブロックの平均分子量は130〜10,000であり、
このブロック共重合体(A)の平均分子量は50,000以上である。〕 - 前記ブロック共重合体(A)の含有割合が0.01〜10質量%であり、前記皮膜形成性高分子(B)の含有割合が0.01〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪セット剤組成物。
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