JP3979930B2 - 組立家屋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は1本の支柱によって家屋を支持することにより傾斜地その他の障害的な立地条件に無関係に建築が可能であり、平地に設置した場合には家屋の下が駐車場その他に利用でき、さらには組立、解体、移動、再組立が極めて容易である組立式家屋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、1本の金属製支柱を基礎から立設して、これを基に構築した木造の組立家屋の提案がある(例えば、特許文献1参照)。
この組立家屋は図で見るように、地面からそう高くないところから床が構築されており、支柱が屋根に至るまで突き出ており家屋の柱として居住空間を狭めている。また、床下が効果的に利用できる空間としての役割を有するようにはできていない。したがって、傾斜地等では建築不能と考えられる。
また、この技術では、釘打ちが主体で建築されているので、解体、移動、再組立が容易ではないという問題がある。
【0003】
本発明者は、以前に地面に立設した1本の基礎柱に支柱を立て、さらにこの支柱に放射状に張り出したT形鋼を溶接し、この上に家屋を建築した組立家屋を提案した(特許文献2参照)。この場合、家屋の支持構造が形鋼でできているので強度的に優れており、また床下が広くとれるので空間部が有効に利用できるという著しいメリットがあった。
しかし、床を構成する放射状に張り出したT形鋼を予め支柱に溶接し、これを基礎柱に取付ける構造を有しているため重量が大きくなり、最初に基礎柱に放射状に張り出したT形鋼を取付ける作業が大掛かりとなる欠点があった。
また、この放射状に張り出したT形鋼の先端にさらに同数の垂直のT形鋼を溶接するのであるが、作業が煩雑になるばかりでなく、これらを解体することは、ガス溶断によるという作業を伴うので、解体、移動、再組立が容易ではないという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭51−105116号公報
【特許文献2】
実公平1−13140号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点に鑑み、1本の支柱によって家屋を支持することにより傾斜地その他の障害的な立地条件に無関係に建築が可能であり、平地に設置した場合には家屋の下が駐車場その他に利用でき、さらには建築物の個々の材料を軽量化し、組立、解体、移動、再組立を行うことが極めて容易である組立式家屋を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、建築物の構成要素であるパネル、支柱等を全てボルトナットにより取外し可能に固定し、個々の材料をより小型化、軽量化することにより上記の問題を解決することができるとの知見と得た。(なお、本明細書中で使用するボルトは、前記のようにボルトナットで固定するものを主として意味するが、必要に応じてネジ止めするものを含み、広くは機械的な固着手段を意味するものとする。したがって、本発明は容易に固定及び取外しができる機械的固着手段の全て含むものとする。)
本発明は、この知見に基づき、
1.地面に立設させた一本の支柱と支柱上に載置した組立式家屋において、支柱は複数に分離できる金属製パイプから構成されており、該支柱の先端から放射方向に伸びる複数本の水平な金属製パイプと前記支柱と水平パイプを結合する金属製パイプからなる方杖を有し、前記金属製パイプ相互を全てボルトにより分離可能に固定されていることを特徴とする組立式家屋
2.放射方向に伸びる水平な金属製パイプ相互間に複数の金属製補強パイプを取外し可能に設けたことを特徴とする上記1記載の組立式家屋
3.組立式家屋は取外し可能に結合した複数のパネルからなる円形又は多角形状の側壁を備えており、該円形又は多角形状の側壁の数に等しい放射方向に伸びる複数本の水平な金属製パイプと床パネルを備えていることを特徴とする上記1又は2に記載の組立式家屋
4.円形又は多角形状の側壁の数に等しい屋根パネルを備えていることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の組立式家屋
5.支柱は複数に分離できる少なくとも3個の金属製パイプから構成されていることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の組立式家屋
6.支柱は複数に分離できる3個の金属製パイプから構成されており、この3個の金属製パイプの内、中央の金属製パイプに方杖の下端がボルトにより取外し可能に固定されていることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の組立式家屋7.側壁の一つに出入り口を設け、出入り口の下方に階段を取外し可能に固定したことを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の組立式家屋
8.金属製パイプ相互はガセットを介してボルトにより固定されていることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の組立式家屋
9.組立式家屋内には側壁に沿う柱以外の柱は存在せず独立した空間を備え、1支柱上に載置した組立式家屋の相互を連結する場合は廊下又はデッキにより接続されていることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の組立式家屋
10.支柱を構成する金属製パイプ及び放射方向に伸びる水平な金属製パイプは、1本の長さが500mm〜3000mmの長さの軽量パイプであることを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載の組立式家屋
を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一例を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の組立式家屋の一例を示す外観図である。地面Gに一本の支柱1を立設する。地面1の支柱を建てる部分には支柱1を固定する基礎2を設ける。この基礎2は支柱1及びその上に設けられる家屋の重量を支えるためのもので、通常行われているコンクリート製の基礎2を使用することができる。
支柱1の上には下記に詳細を説明するか組立式家屋3を載せる。支柱1は複数に分離できる金属製パイプ4から構成されている。通常、大径(200〜300mm程度)の3本の金属製パイプ4を使用する。
【0008】
本発明で使用する金属製パイプの中では最も径が大きく重量が大である。作業と重量から考えて1個の長さは500mm〜2000mm程度、好ましくは1000mm程度のものを使用するのが望ましい。また、場合によっては金属製パイプ4を4本以上とすることもできる。
これらの金属製パイプ4はそれぞれ端部にカラー5が付設されており、このカラー5を介して金属製パイプ4相互をボルトナットにより取外し可能に固定する。最下の金属製パイプ4のみはコンクリート製の基礎2に固定される。
【0009】
図2に床を支持する金属製パイプの平面図を示す。前記支柱1、すなわち最上部の金属製パイプ4先端から放射方向に伸びる複数本の水平な金属製パイプ6を、ガセットプレート7を介してボルトナットにより固定する。
図2では8本の水平な金属製パイプ6が設けられているが、これは家屋の形状によって、また家屋の寸法によって変えることができる。この水平金属製パイプ6はその上の家屋を、複数本で平面的に支えるものであり、それなりの強度を必要とするが、通常前記支柱1より径が小さく、また2000mm〜3000mmと長い。これはさらに長いものも使用できる。しかし、現場での作業のし易さからみて、重量が極端に大きくならないようにすることが望ましい。
【0010】
さらに、床上の重量を効果的に受けるために、前記水平金属製パイプ6と結合する金属製パイプからなる方杖8を設ける。これらは同様に、ガセットプレート9を介してボルトナットにより固定する。
金属製パイプからなる方杖8の下端は、前記支柱1が3本の金属製パイプ4から構成されている場合には、下の空間部を有効に活用し、かつ水平金属製パイプ6を効果的に支持するために、中間の金属製パイプ4に固定するのが最も望ましい。
また、放射方向に伸びる水平金属製パイプ6の相互間に複数の金属製補強パイプ10を取外し可能に設けることができる。図2では各水平金属製パイプ6間に3本の金属製補強パイプ10を設けている。この金属製補強パイプ10の数は、特に制限はなく必要に応じて増減できる。
【0011】
このように形成した水平金属製パイプ6と金属製補強パイプ10の上に、図3に示すように床パネル11を必要な数だけ取外し可能に固定する。図3では、1ブロックが三角形を呈しているが、床パネル11自体はこの1ブロック当たり、1枚から複数枚を用いることができる。
これは床パネル11の重量と取付け作業の容易性を考慮して適宜決めることができる。床パネル11には、断熱性及び遮音性の高い材料を組み込んだ複合建材パネルを使用することができる。
【0012】
さらに、本発明の組立式家屋1は、取外し可能に結合させた複数のパネルからなる円形又は多角形状の側壁12を備えている。組立式家屋1が円形であれば、弧状の側壁パネルを使用し、多角形状の側壁であれば平板状の側壁パネルを使用することができる。
この側壁パネルの数は任意でよいが、放射方向に伸びる複数本の水平な金属製パイプ6又は床パネル11と同数であることが組立家屋の設計上及び作業性からみて望ましい。この側壁パネルは同様に断熱性及び遮音性の高い材料を組み込んだ複合建材パネルを使用することができる。
この側壁12には、図1及び図4に示すように、窓13、出入り口14等を設ける。また、出入り口14の下方に階段15を取外し可能に固定する。図1の符号16は手摺、符号17は階段の踊り場である。これらは現場での人的作業が容易であるように、いずれもボルトナットにより機械的に固定できるようにする。
【0013】
各側壁パネルの縁に沿って柱18を床パネル上に11取外し可能に固定し、この柱18上に桁19及び天井梁20を同様にボルトナット(図示せず)により取外し可能に固定する。前記柱18は水平な金属製パイプ6の一端にボルトナットにより取外し可能に固定した構造としても良い。
天井梁20の上に軽量の天井パネル21を同様にボルトナット(図示せず)により取外し可能に固定する。天井梁20間には図5に示すように補強の桟22を設けることができる。
天井パネル21の個数は任意であるが、側壁パネルの個数に合わせると美観に優れている。天井の先端には、図1、図4等に示すように、明り取りの窓又はトップライト23を設置することができる。
天井パネル21は、風雨に強靭であり、同様に断熱性及び遮音性の高い材料を組み込んだ複合屋根パネルを使用することができる。
【0014】
上記のように、本発明の組立式家屋は、桁、梁、天井パネル等を支持するための側壁に沿った柱以外に、同家屋内には柱等の障害となるものはなく、壁のみで囲まれた独立の広い空間を備える。
本発明の1支柱上に載置した組立式家屋相互を連結する場合には、廊下又はデッキにより接続する。したがって、屋根が相互に結合したり、干渉したりすることがない。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、1本の支柱によって家屋を支持することにより、傾斜地その他の障害的な立地条件に無関係に建築が可能であり、平地に設置した場合には家屋の下が駐車場その他に利用できるという有効空間が生まれ、地面からかなり離れた空間を居住空間とすることができるために湿気等の悪環境を避けることができるというメリットがある。
さらに、支柱を立てる基礎部分以外は、組立家屋の個々の部品を工場で予め作製が可能であり、かつ軽量とすることができるため、現地でボルトナット等により人的作業により現地での組立ができるという著しい効果を有する。また、解体、運搬、再組立も極めて容易であるという優れた特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の組立式家屋の一例を示す外観図である。
【図2】本発明の組立式家屋に組み込まれる放射状の水平パイプの概念を示す図である。
【図3】本発明の床パネルの外観を示す説明図である。
【図4】 本発明の組立式家屋の出入り口(ドア部分)、階段、出窓の様子を示す外観図説明図である。
【図5】本発明の屋根パネルの外観を示す説明図である。
【図6】本発明の組立式家屋の一例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
G:地面
1:支柱
2:基礎
3:組立式家屋
4:複数に分離できる金属製パイプ
5:7:カラー
6:水平金属製パイプ
8:方杖
9:ガセットプレート
10:金属製補強パイプ
11:床パネル
12:側壁
13:窓
14:出入り口
15:階段
16:手摺
17:踊り場
18:柱
19:桁
20:天井梁
21:天井パネル
22:補強の桟
23:明り取りの窓又はトップライト
Claims (10)
- 地面に立設させた一本の支柱と支柱上に載置した組立式家屋において、支柱は複数に分離できる金属製パイプから構成されており、該支柱の先端から放射方向に伸びる複数本の水平な金属製パイプと前記支柱と水平パイプを結合する金属製パイプからなる方杖を有し、前記金属製パイプ相互を全てボルトにより分離可能に固定されており、さらに前記組立式家屋は取外し可能に結合した側壁に沿う柱と複数のパネルからなる円形又は多角形状の側壁を備え、かつ組立式家屋内には側壁に沿う柱以外の柱は存在せず独立した空間を備えていることを特徴とする組立式家屋。
- 放射方向に伸びる水平な金属製パイプ相互間に複数の金属製補強パイプを取外し可能に設けたことを特徴とする請求項1記載の組立式家屋。
- 円形又は多角形状の側壁の数に等しい放射方向に伸びる複数本の水平な金属製パイプと床パネルを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の組立式家屋。
- 円形又は多角形状の側壁の数に等しい屋根パネルを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の組立式家屋。
- 支柱は複数に分離できる少なくとも3個の金属製パイプから構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の組立式家屋。
- 支柱は複数に分離できる3個の金属製パイプから構成されており、この3個の金属製パイプの内、中央の金属製パイプに方杖の下端がボルトにより取外し可能に固定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の組立式家屋。
- 側壁の一つに出入り口を設け、出入り口の下方に階段を取外し可能に固定したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の組立式家屋。
- 金属製パイプ相互はガセットを介してボルトにより固定されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の組立式家屋。
- 1支柱上に載置した組立式家屋の相互を連結する場合は廊下又はデッキにより接続されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の組立式家屋。
- 支柱を構成する金属製パイプ及び放射方向に伸びる水平な金属製パイプは、1本の長さが500mm〜3000mmの長さの軽量パイプであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の組立式家屋。
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