JP3979318B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,操舵ハンドルの操舵角を,転舵輪に伝達する車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来技術】
通常の車両用操舵装置は,略一定の伝達比により操舵ハンドルの操舵角を伝達して,転舵輪に所定の転舵角を与える。例えば,一般的なラック・アンド・ピニオン形式の車両用操舵装置では,操舵ハンドルと一体的に回転するラックギアと転舵輪に延設させるピニオンギアとの噛み合いにより,操舵角と転舵角との間の伝達比が決定されている。
【0003】
しかし,車両用操舵装置の伝達比が一定であると,特に,低速走行時と高速走行時とにおける運転フィーリングを両立することが難しい。すなわち,低速走行時では,少ない操舵角により大きな転舵角が得られる高い伝達比の設定が望ましい。逆に,高速走行時では,安全な走行安定性を確保するため,操舵角と転舵角との伝達比は低い方が良い。
【0004】
そこで,従来,走行状況に応じて,操舵角と転舵角との伝達比を変更し得るように構成した伝達比可変機構を有する車両用操舵装置が提案されている。
このような伝達比可変機構としては,外部から入力される回転により減速比を変更する減速機を中心に構成したものがある。この減速機としては,遊星歯車減速機や,波動歯車減速機等が用いられる(例えば,特許文献1参照。)。
【0005】
ここで,図9に示すごとく,波動歯車減速機を利用した伝達比可変機構を含む従来の車両用操舵装置9について説明する。この車両操舵装置は,操舵ハンドル910の操作を,ユニバーサルジョイント921,951により相互に接続された操舵軸920,中間軸930及び940,後端軸960を介して,ギアボックス970に伝達するように構成してある。そして,ギアボックス970では,後端軸960の回転運動を,転舵ロッド980の軸線方向の直進運動に変換できるように構成してある。
そして,中間軸930と中間軸940との間には,両者間の伝達比を変更する伝達比可変機構950を挿入してある。
【0006】
この伝達比可変機構950は,図10に示すごとく,中間軸930と中間軸940との間の伝達比を,波動歯車減速機90により変更するように構成してある。ここで,この波動歯車減速機90の作用について簡単に説明しておく。
この波動歯車減速機90は,図10に示すごとく,サーキュラスプライン91と,フレクスプライン93と,ウェーブジェネレータ92とを含む減速機である。そして,この波動歯車減速機90では,サーキュラスプライン91とフレクスプライン93との間の伝達比を,ウェーブジェネレータ92の回転により変更できるよう構成されている。
【0007】
伝達比可変機構950では,同図に示すごとく,操舵ハンドル910(図9)と一体的に回転する中間軸930にサーキュラスプライン91を連結し,後端軸960と一体的に回転する中間軸940にフレクスプライン93を連結してある。また,中間軸940と一体的に回転するハウジング965内部に配置した駆動モータ951の出力軸952は,ウェーブジェネレータ92に圧入してある。
【0008】
駆動モータ951は,ハウジング965の筒面内側に固定されたステータ953と,該ステータ953の内側に配置されたロータ954と,該ロータ954の回転を出力する出力軸952とを有している。そして,この出力軸952と一体的に回転するウェーブジェネレータ92を回転させることにより,サーキュラスプライン91とフレクスプライン93との間の伝達比を変更できるように構成してある。すなわち,伝達比可変機構950は,駆動モータ951の回転により,中間軸930と中間軸940との間の伝達比を変更するように構成してある。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−232041号公報(明細書の段落番号「0013」〜「0017」,第2図及び第3図)
【0010】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の車両用操舵装置9においては,次のような問題がある。すなわち,上記のごとく,駆動モータ951は,中間軸940と一体回転するハウジング965内部に固定してある。一方,この駆動モータ951には,電源を供給するためのリード線や,制御信号等を伝送するためのリード線等を接続する必要がある。
【0011】
そのため,上記中間軸940の回転に伴う駆動モータ951の回転を吸収可能なように上記複数のリード線を配設することが必要になる。そこで,この伝達比可変機構950では,図11に示すごとく,複数のリード線を並列配置して1本のフラットケーブル957としてある。そして,ハウジング965における,中間軸940を挿入する被挿入部967の外周に,このフラットケーブル957をうず巻き状に緩く巻き付けてある。
【0012】
さらに,被挿入部967の外周には,図11に示すごとく,うず巻き状に巻かれたフラットケーブル957を保護するためのカバー958を配設してある。中間軸940及びハウジング965の回転動作の影響を受けないよう,カバー958は,図示しない車体側に固定してある。
フラットケーブル957の各リード線は,カバー958の外側に配置された入出力端子959と電気的に接続してある。そして,この入出力端子959を介して,ECU等の外部機器による駆動モータ951の制御を可能としてある。
【0013】
この伝達比可変機構950では,図11に示すごとく,固定されたカバー958内部において,フラットケーブル957はうず巻き状に配置されている。そして,このフラットケーブル957のうず巻きの縮径により,フラットケーブル957を巻き取る方向に回転する中間軸940と,カバー958との相対回転を吸収できるように構成してある。そのため,フラットケーブル957を巻き取る方向に中間軸940が回転しきった場合を想定して,フラットケーブル957を十分に長くしておく必要があった。
【0014】
また,フラットケーブル957をさらに弛ませる方向に中間軸940が回転すると,フラットケーブル957よりなるうず巻きはさらに大径になる。そのため,フラットケーブル957を弛ませる方向に中間軸940が回転しきった場合を想定して,カバー958を十分に大径にしておく必要があった。
さらに,複数のリード線を並列配置して幅広になったフラットケーブル957を収容できるよう,図10に示すごとく,上記カバー958としては,軸方向の長さを十分確保する必要があった。
【0015】
このように,図10に示すごとく,従来の伝達比可変機構950では,駆動モータ951に接続する長いフラットケーブル957を収容するための配置スペースを大きく確保する必要があった。
また,中間軸940の回転により,フラットケーブル957よりなるうず巻きは縮径と拡径とを繰り返す。そのため,フラットケーブル957の金属疲労や,フラットケーブル957相互間の摩擦等による被覆の劣化を未然防止するため,しなやかに変形するリード線を採用したり,その被覆の対摩耗性を向上する等の対策が必要であった。
【0016】
以上のごとく,上記うず巻き状のフラットケーブルを備えた構造を採用した場合には,その構造に起因する種々の問題が生じうる。そこで,従来より,このうず巻き状のフラットケーブルを必要としないシンプルな構造の車両用操舵装置の開発が望まれている。
【0017】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,うず巻き状のフラットケーブルを必要とせず,小型かつ信頼性の高い伝達比可変機構を含む車両用操舵装置を提供しようとするものである。
【0018】
【課題の解決手段】
発明は,操舵ハンドルと一体的に回転する第1ステアリングシャフトと,転舵輪を転舵するための転舵ロッドに連結される第2ステアリングシャフトとの間における回転動作の伝達比を変化させる伝達比可変機構を有する車両用操舵装置において,
上記伝達比可変機構は,駆動モータと,該駆動モータの出力軸であるモータシャフトと,該モータシャフトの回転数に応じて,上記第1ステアリングシャフトから入力される回転数と,上記第2ステアリングシャフトに出力する回転数との間の伝達比を変更するように構成された波動歯車減速機とを有しており,
該波動歯車減速機は,楕円形状を呈し該モータシャフトと一体回転するウェーブジェネレータと,内周面にスプライン歯が形成され上記第1ステアリングシャフトと一体回転するサーキュラスプラインと,該サーキュラスプラインと略同一外径であり内周面に該サーキュラスプラインと異なる歯数のスプライン歯が形成され上記第2ステアリングシャフトと一体回転する保持リングと,上記サーキュラスプライン及び上記保持リングのいずれかと同一歯数のスプライン歯が外周面に形成され上記ウェーブジェネレータの外周に嵌合されて上記サーキュラスプライン及び上記保持リングと係合するフレクスプラインとを有しており,
上記第1ステアリングシャフトは,該第1ステアリングシャフトの回転駆動力を伝達する中実の伝達シャフト部を有しており,かつ,上記第1ステアリングシャフトの回転駆動力は,上記伝達シャフト部を介して上記サーキュラスプラインに入力されるように構成されており,
上記モータシャフトは,中空貫通穴を有しており,該中空貫通穴には,上記第1ステアリングシャフトの上記伝達シャフト部が貫通され,該伝達シャフト部の外周に上記モータシャフトが略同軸上に配置されて2重構造を呈するよう構成されており,
さらに,上記駆動モータは,上記第1ステアリングシャフト又は上記第2ステアリングシャフトのいずれの回転動作にも影響を受けないように固定して設置されていることを特徴とする車両用操舵装置にある(請求項1)。
【0022】
上記発明の車両用操舵装置では,上記第1ステアリングシャフト又は上記第2ステアリングシャフトのいずれの回転動作にも影響を受けないように,上記駆動モータを固定して設置してある。そして,上記第1ステアリングシャフトの伝達シャフト部に対して,略同軸上外周側に2重構造を呈するように上記モータシャフトを配置し,このモータシャフトを介して,上記駆動モータの回転が上記減速機に入力されている。
【0023】
そのため,この車両用操舵装置においては,第1ステアリングシャフト又は第2ステアリングシャフトに従動して,駆動モータ全体が回転することがない。
したがって,駆動モータは,従来のようなうず巻き状のフラットケーブルを接続する必要が全くない。それ故,うず巻き状のフラットケーブルに起因する種々の問題を確実に解決することができ,小型で信頼性の高い構造を実現することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
上記発明においては,上記減速機は,波動歯車減速機である
この場合には,小型であって,かつ,大きな伝達比を得ることができるという特徴を有する波動歯車減速機により,上記伝達比可変機構を小型化できると共に,伝達比の可変幅を大きく設定することができる。
【0025】
また,上記減速機は,遊星歯車減速機であることが好ましい(請求項3)。
この場合には,遊星歯車減速機を自由度高く設計して,伝達比可変機構に要求される種々の設計仕様を満たした車両用操舵装置を実現できる。
【0032】
上記発明においては,上記第1ステアリングシャフトは,該第1ステアリングシャフトの回転駆動力を伝達する伝達シャフト部を有しており,かつ,上記第1ステアリングシャフトの回転駆動力は,上記伝達シャフト部を介して上記減速機に入力されるように構成されており,
上記伝達シャフト部と上記モータシャフトとは,略同軸上に配置されて2重構造を呈するよう構成されている
これにより,上記減速機に接続される上記伝達シャフト部及び上記モータシャフトを2重構造に配置することにより,両者の同軸配置構造を効率良く実現できる。
【0035】
また,上記モータシャフトは,中空貫通穴を有しており,該中空貫通穴には,上記第1ステアリングシャフトの伝達シャフト部を貫通している
この場合には,上記減速機における上記モータシャフトの外周側に配置した回転部材の内周側を経由して,上記第1ステアリングシャフトの回転駆動力を取り出すことができる。
【0036】
特に,サーキュラスプラインと,該サーキュラスプラインの内周側に配置されるフレクスプラインと,該フレクスプラインの内周側に配置されるウェーブジェネレータとよりなる同軸3重構造を呈する波動歯車減速機では,ウェーブジェネレータに接続した上記モータシャフトの内周側を経由して上記第1ステアリングシャフトの回転駆動力を取りだして,この回転駆動力を上記サーキュラスプラインに入力する接続構造を簡単にできる。
【0037】
また,上記転舵ロッドには,ラックギアを形成してあり,上記第2ステアリングシャフトには,ピニオンギアを形成してあり,
上記転舵ロッド及び上記第2ステアリングシャフトの少なくとも一部を収容するステアリングギアボックス内において,上記ラックギアと上記ピニオンギアとを係合してあることが好ましい(請求項)。
この場合には,上記ラックギアと上記ピニオンギアとの噛み合いにより,上記操舵ハンドルの操舵角に対する上記転舵輪の転舵角を正確にして,車両の操作感を向上できる。
【0038】
また,上記ステアリングギアボックスには,上記駆動モータ及び上記減速機を含む上記伝達比可変機構を組み込んであることが好ましい(請求項)。
この場合には,上記ステアリングギアボックスと,小型化された上記伝達比可変機構を一体化して,上記操舵装置をさらにコンパクトにできる。また,通常,車室外に設置される上記ステアリングギアボックスと上記伝達比可変機構とを一体化することにより,車室内への上記駆動モータの作動音の影響を低減できる。
【0039】
また,上記車両用操舵装置は,油圧を発生するオイルポンプと,油圧により上記転舵ロッドを駆動するパワーシリンダとを有しており,
上記第1ステアリングシャフトは,該第1ステアリングシャフトに作用する回転トルクに応じたねじれを生じるよう構成したトーションバー部を有しており,
上記ステアリングギアボックスは,上記トーションバー部のねじれに応動して,上記オイルポンプから上記パワーシリンダへの油路を切り換えるよう構成されたサーボバルブを備えていることが好ましい(請求項)。
この場合には,油圧式の上記車両用操舵装置における上記ステアリングギアボックスをコンパクトに,一体的に構成することができる。そして,一体化された上記ステアリングギアボックスによれば,車両への組み付け性も良好である。
【0041】
【実施例】
(実施例1)
本例の車両用操舵装置について,図1〜図4を用いて説明する。
本例は,図1に示すごとく,操舵ハンドル300(図2)と一体的に回転する第1ステアリングシャフト110と,図示しない転舵輪を転舵するための転舵ロッド190に連結される第2ステアリングシャフト120との間における回転動作の伝達比を変化させる伝達比可変機構10を有する車両用操舵装置1に関する。
【0042】
上記伝達比可変機構10は,駆動モータ150と,該駆動モータ150の出力軸151の回転を伝達するためのモータシャフト152と,波動歯車減速機130とを有している。
この波動歯車減速機130は,モータシャフト152の回転数に応じて,第1ステアリングシャフト110から入力される回転数と,第2ステアリングシャフト120に出力する回転数との間の伝達比を変更するように構成されている。
【0043】
モータシャフト152と第2ステアリングシャフト120とは,略同軸上に配置された2重構造を呈しており,かつ,駆動モータ150は,第1ステアリングシャフト110又は第2ステアリングシャフト120のいずれの回転動作にも影響を受けないように固定して設置された状態で,出力軸151をモータシャフト152に連結させている。
以下にこの内容について,詳しく説明する。
【0044】
この車両用操舵装置1は,図2に示すごとく,操舵ハンドル300と,伝達比可変機構10(図1)を内蔵したステアリングギアボックス11と,図示しない転舵輪とを有している。そして,操舵ハンドル300と一体の操舵軸310の回転は,ユニバーサルジョイント320,340と,2個のユニバーサルジョイント320,340の中間に配設された中間軸330とを介して,ステアリングギアボックス11に挿入された第1ステアリングシャフト110に伝達されるように構成してある。
【0045】
また,本例の車両用操舵装置1は,図3に示すごとく,ステアリングギアボックス11にEPSアクチュエータ60を組み込んだ電動パワーステアリング装置をベースとしている。この電動パワーステアリング装置を基にした本例の車両用操舵装置1では,EPSアクチュエータ60の作用により操舵ハンドル300の操作力を低減できるように構成してある。なお,このEPSアクチュエータ60に代えて,油圧アクチュエータを組み込み,油圧の作用により操舵ハンドル300の操作力を低減することもできる。
【0046】
また,本例の車両用制御装置1は,図3に示すごとく,EPSアクチュエータ60を制御する第1ECU(EPS ECU)601と,伝達比可変機構(VGRS:Variable Gear Ratio System)10を制御する第2ECU(VGRS ECU)101とにより,伝達比可変機構10及びEPSアクチュエータ60を制御できるように構成してある。ここで,車速センサ70から出力される車速信号や,トルクセンサ40から出力される操舵ハンドル300の回転トルク値及び操舵角が,第1ECU601及び第2ECU101に入力されるように構成してあり,車速やハンドルトルク等の操舵状況に応じた制御を可能としている。
【0047】
第1ECU601は,図3に示すごとく,操舵ハンドル300により第1ステアリングシャフト110に与えられた回転トルク値と,車速信号を入力してEPSアクチュエータ60を制御するように構成してある。また,第2ECU101は,操舵ハンドル300の操舵角と,車速信号とを入力して伝達比可変機構10を制御するように構成してある。
【0048】
第1ステアリングシャフト110の回転軸を含み転舵ロッド190に直交する断面形状を示す図1に示すごとく,ステアリングギアボックス11は,ラック・アンド・ピニオン形式のギアボックスである。そして,このステアリングギアボックス11には,転舵ロッド190を貫通させてあると共に,該転舵ロッド190と略直交する方向から第1ステアリングシャフト110を挿入してある。
【0049】
そして,ステアリングギアボックス11内においては,図1に示すごとく,第1ステアリングシャフト110の回転運動を,転舵ロッド190の軸線方向の直進運動に変換できるように構成してある。なお,この転舵ロッド190の両端には,図示しない転舵輪が接続されており,転舵ロッド190の軸線方向の直進運動により転舵輪の転舵角を変更できるように構成してある。
【0050】
さらに,ステアリングギアボックス11内には,図1に示すごとく,波動歯車減速機130からなる伝達比可変機構10を内蔵してある。この伝達比可変機構10は,第1ステアリングシャフト110から入力される回転運動を,該第1ステアリングシャフト110と同軸上に対向して配置した第2ステアリングシャフト120の回転運動として出力するように構成してある。
また,ステアリングギアボックス11内に固定設置した駆動モータ150の回転により,第1ステアリングシャフト110と第2ステアリングシャフト120との間の伝達比を変更できるように構成してある。
【0051】
上記ステアリングギアボックス11は,図1に示すごとく,第1ステアリングシャフト110の端部を収容するシャフトハウジング210と,上記転舵ロッド190や第2ステアリングシャフト120等を収容するギアハウジング220とを組み合わせたものである。
第1ステアリングシャフト110を収容するシャフトハウジング210は,中空貫通構造を有する筒形状を呈している。第1ステアリングシャフト110を同軸に収容する略円筒形状を呈するスプール170と,第1ステアリングシャフト110の先端のスプライン歯と係合するフランジ180とは,シャフトハウジング210の内周面に設置したベアリング211,212により回転可能に支持されている。
【0052】
フランジ180は,図1に示すごとく,断面略円形状を呈する略円筒状の部材である。そして,第1ステアリングシャフト110側にある端面には,第1ステアリングシャフト110及びスプール170と同軸上に断面略円形状を呈する凹部182を有している。そして,この凹部182は,スプール170を収容する第1凹部183と,スプール170から突出した第1ステアリングシャフト110を収容する上記第1凹部183よりも小径の第2凹部184とからなる。
【0053】
この第1凹部183の内周には,図1に示すごとく,ニードルベアリング185が配設してあり,スプール170を回転可能に支持して,該スプール170とフランジ180との相対回転を許容できるように構成してある。また,第2凹部184の内周面には,第1ステアリングシャフト110の先端部の外周面に形成したスプライン歯113と係合するスプライン歯を形成してある。
また,フランジ180における,他方の端面には,後述する波動歯車減速機のリング形状のサーキュラスプライン132を嵌入するための凹部188を形成してある。そして,この凹部188内では,図示しないキーによって,嵌入したサーキュラスプライン132を固定できるように構成してある。
【0054】
また,図1に示すごとく,第1ステアリングシャフト110における,ステアリングギアボックス11に挿入されていない胴部分の外周面に形成されたスプライン歯111と,スプール170の端部の内周面に形成されたスプライン歯171とを係合させた状態で,第1ステアリングシャフト110の同軸上外周側にスプール170を配置してある。
【0055】
第1ステアリングシャフト110における,スプール170に収容された部分には,図1に示すごとく,スプール170の内径よりも小径の小径部112を形成してある。そして,第1ステアリングシャフト110の先端に形成されたスプライン歯の係合によりフランジ180を回転させる際に,この小径部112に微少なねじれを生じ得るように構成してある。
【0056】
一方,図1に示すごとく,第1ステアリングシャフト110における,小径部112よりも操舵ハンドル300側に位置するスプライン歯111によって,スプール170は第1ステアリングシャフト110に係合している。そのため,小径部112に生じたねじれは,フランジ180とスプール170との回転ずれとして顕在化させることができる。
【0057】
本例の車両用操舵装置1では,図1に示すごとく,フランジ180の回転位置を計測するレゾルバと,スプールの回転位置を計測するレゾルバとを含むトルクセンサ215を,シャフトハウジング210の内周面に配置してある。そして,このトルクセンサ215は,これら2つのレゾルバによる計測結果の比較により,小径部112に生じたねじれ量を測定し,さらに第1ステアリングシャフト110に作用する回転トルク値を算出できるように構成してある。また,トルクセンサ215は,操舵ハンドル300の操舵角として,スプール170の回転位置を回転トルク値と並行して出力するように構成してある。
【0058】
ギアハウジング220には,図1に示すごとく,第1ステアリングシャフト110と略同一軸上で対向する第2ステアリングシャフト120の全体と,該第2ステアリングシャフト120と略直交する転舵ロッド190の一部とを収容してある。そして,第2ステアリングシャフト120の外周面に形成されたピニオンギア125と,転舵ロッド190の外周面に形成されたラックギア195とを係合することにより,第2ステアリングシャフト120の回転運動を転舵ロッド190の軸線方向の直進運動に変換できるように構成されている。
【0059】
第2ステアリングシャフト120は,図1に示すごとく,ギアハウジング220の内周に配設されたベアリング212,213により回転自在に支持されている。そして,第1ステアリングシャフト110側の端部には,後述するリング形状の保持リング138を嵌入する凹部128を穿設したジョイント部127を有している。そして,凹部128内では,図示しないキーにより,嵌入された保持リング138を固定できるように構成してある。
また,第2ステアリングシャフト120は,貫通中空構造を呈している。そして,第2ステアリングシャフト120の内周面には,該モータシャフト152を回転自在に支持するためのベアリング122を配設してある。
【0060】
モータシャフト152は,図1に示すごとく,ギアハウジング220に固定された駆動モータ150の回転力により回転するように構成されている。ここでは,駆動モータ150の出力軸151に取り付けたドライブギア223と,モータシャフト152における波動歯車減速機130の反対側の端部に取り付けたドリブンギア224を介して,駆動モータ150の出力軸151の回転をモータシャフト152に伝達するように構成してある。
【0061】
上記駆動モータ150は,モータケース156に収容された状態でギアハウジング220の内部に固定されている。略円筒形状のモータケース156の内周面には,ステータ153が固定されている。そして,ステータ153に囲まれた内部には,出力軸151を貫通したロータ154を回転自在に配置してある。
【0062】
モータシャフト152は,図1に示すごとく,貫通中空構造の第2ステアリングシャフト120の内部に配置されたベアリング122と,ギアハウジング220の内周に配置されたベアリング211とにより,回転自在に支持してある。モータシャフト152の波動歯車減速機130側の端部は,後述する波動歯車減速機130におけるカム131の貫通穴351に圧入され,キー350(図4)により固定してある。
【0063】
対向して配置される上記フランジ180の凹部188と,第2ステアリングシャフト120のジョイント部127の凹部128との間に形成される空間には,波動歯車減速機130を配置してある。
この波動歯車減速機130は,図4に示すごとく,サーキュラスプライン132と,フレクスプライン134と,ウェーブジェネレータ136よりなる減速機である。
【0064】
上記サーキュラスプライン132は,図4に示すごとく,リング形状を呈する剛体の部品であり,内周面にスプライン歯を形成してある。本例では,第1ステアリングシャフト110に接続したフランジ180の凹部188に嵌入されたサーキュラスプライン132は,図示しないキーによりフランジ180と固定してある。
【0065】
上記フレクスプライン134は,図4に示すごとく,カップ形状を呈する金属よりなる弾性体の部品である。そして,フレクスプライン134の開口端部付近の外周面には,サーキュラスプライン132のスプライン歯と同一ピッチであって,かつ,サーキュラスプライン132の歯数よりも2枚少ない歯数のスプライン歯を形成してある。
そして,サーキュラスプライン132とフレクスプライン134とは,サーキュラスプライン132の内周面のスプライン歯と,フレクスプライン134の外周面のスプライン歯とを係合させている。
【0066】
本例では,さらに,フレクスプライン134の外周には,図1に示すごとく,サーキュラスプライン132と略同一外径のリング形状を呈する保持リング138を同軸上に配設してある。そして,保持リング138の内周面には,フレクスプライン134のスプライン歯と同一ピッチ,同一歯数のスプライン歯を形成してある。そして,このスプライン歯により,保持リング138とフレクスプライン134とを係合させてある。本例では,第2ステアリングシャフト120のジョイント部127の凹部128に嵌入した保持リング138を,図示しないキーにより第2ステアリングシャフト120に固定してある。
【0067】
また,上記ウェーブジェネレータ136は,図4に示すごとく,楕円形状を呈するカム131の外周に,ボールベアリング135を嵌合した部品である。カム131に固定されたボールベアリング135の内輪部137は,カム131と一体的に回転するように構成してある。また,ボールベアリング135の外輪部133は,カム131の回転に伴って弾性変形するように構成されている。
【0068】
さらに,このウェーブジェネレータ136は,図4に示すごとく,カップ形状を呈するフレクスプライン134内部に嵌入してあり,フレクスプライン134におけるスプライン歯が形成された部分の内周面と,ウェーブジェネレータ136における外輪部133の外周面とを接触させてある。ここで,ウェーブジェネレータ136の嵌入により開口部の形状を楕円形状に撓められたフレクスプライン134は,外輪部133と隙間なく接触するよう構成してある。
【0069】
また,ここで,上記のごとく構成された波動歯車減速機130の動作の概略について説明しておく。この波動歯車減速機130では,図4に示すごとく,ウェーブジェネレータ136のカム131の回転によりフレクスプライン134とサーキュラスプライン132との間の伝達比を変更できるように構成されている。
【0070】
すなわち,フレクスプライン134の内部でカム131を回転させると,フレクスプライン134の開口部が順次,弾性変形していき,あたかも,その楕円形状が回転するように見える。そして,このフレクスプライン134の弾性変形により,フレクスプライン134とサーキュラスプライン132との噛み合い位置は,周方向に移動していく。
【0071】
ここで,上記のごとく,フレクスプライン134のスプライン歯及び,サーキュラスプライン132のスプライン歯としては,同一ピッチのスプライン歯を形成してある一方,サーキュラスプライン132のスプライン歯の歯数を,フレクスプライン134のスプライン歯の歯数よりも2枚多くしてある。そのため,カム131が1回転することにより,フレクスプライン134とサーキュラスプライン132との噛み合い位置が周方向に1回転分だけ移動する間に,フレクスプライン134とサーキュラスプライン132との間に相対回転を生じる。
【0072】
そして,波動歯車減速機130は,図4に示すごとく,この相対回転の回転量に応じて,フレクスプライン134とサーキュラスプライン132との間の伝達比を変更するよう構成されている。
なお,フレクスプライン134と係合する保持リング138(図1)は,フレクスプライン134のスプライン歯と同一ピッチ,同一歯数のスプライン歯を有している。そのため,カム131が回転しても,フレクスプライン134と保持リング138との間に相対回転は生じない。
すなわち,本例の伝達比可変機構10では,カム131の回転により,保持リング138(図1)とサーキュラスプライン132との間に相対回転を生じるように構成してある。
【0073】
したがって,図1に示すごとく,保持リング138と一体的に回転する第2ステアリングシャフト120と,サーキャラスプライン132と一体的に回転する第1ステアリングシャフト110との間には,モータシャフト152と一体的に回転するカム131の回転により相対回転を生じる。
このように,伝達比可変機構10は,駆動モータ150から入力される回転により,第1ステアリングシャフト110と第2ステアリングシャフトとの間の伝達比を変更できる。
【0074】
以上のように構成された車両用操舵装置1において,伝達比可変機構10及びEPSアクチュエータ60を制御する方法について,図3のブロック図を用いて説明する。
図3に示すように,本例の車両用操舵装置1は,第1ECU601によるEPSアクチュエータ60の制御処理と,第2ECU101による伝達比可変機構10の制御処理との2つの処理を並行して実施している。つまり,車両用操舵装置1は,第2ECU101により伝達比可変機構10の伝達比を可変制御する機能を有すると共に,第1ECU601によりEPSアクチュエータ60のアシスト力を適正に制御する機能を有している。
【0075】
伝達比可変機構10の制御処理を実施する第2ECU101では,トルクセンサ40から回転トルク値と並行して出力される操舵角信号と,車速センサ70による車速信号とに基づいて,第1ステアリングシャフト110と第2ステアリングシャフト120との間の適正な伝達比を計算する。
【0076】
さらに,第2ECU101は,適正な伝達比を実現するために,駆動モータ150に供給すべきモータ電圧を算出する。そして,第2ECU101は,算出されたモータ電圧により駆動モータ150を駆動することにより,第1ステアリングシャフト110と,第2ステアリングシャフト120との間の伝達比を適正に制御する。
【0077】
また,EPSアクチュエータ60によるアシスト力の制御処理を実施する第1ECU601では,トルクセンサ40から出力される第1ステアリングシャフト110の回転トルク値と,車速センサ70による車速信号とを入力して,適正なアシスト力を計算する。さらに,第1ECU601は,アシスト力が適正となるようEPSアクチュエータ60を制御する。
【0078】
このように,本例の車両用操舵装置1によれば,伝達比可変機構10における,入力回転軸である第1ステアリングシャフト110と出力回転軸である第2ステアリングシャフト120との間の伝達比を,駆動モータ150の出力軸151の回転により変更することができる。
【0079】
特に,本例の伝達比可変機構10では,第1ステアリングシャフト110及び第2ステアリングシャフト120の回転動作の影響を受けないように,駆動モータ150を固定して設置してある。そして,第2ステアリングシャフト120と略同軸上に2重構造を呈するよう配置したモータシャフト152を介して,駆動モータ150の出力軸151の回転を波動歯車減速機130に入力してある。
【0080】
そのため,本例の車両用操舵装置1では,第1ステアリングシャフト110及び第2ステアリングシャフト120に従動して,駆動モータ150の全体が回転することがない。
したがって,駆動モータ150には,従来のようなうず巻き状のフラットケーブルを接続する必要が全くない。それ故,この車両用操舵装置1は,うず巻き状のフラットケーブルに起因する種々の問題を排除した小型で信頼性の高い伝達比可変機構10を有する装置である。
【0081】
(実施例2)
本例は,実施例1における伝達比可変機構を構成する減速機を変更した例である。
本例の伝達比可変機構10は,図5に示すごとく,遊星歯車減速機510を有している。この遊星歯車減速機510は,中心に配置されるサンギア511と,該サンギア511に係合すると共に,その周囲を回動できるように構成された4個のプラネットギア512と,プラネットギア512に係合するリングギア515より構成されている。
【0082】
本例では,第1ステアリングシャフト110と係合するフランジ180の凹部188の軸方向に沿う内周面に,リングギア515を形成してある。また,サンギア511は,モータシャフト152を圧入した上,図示しないキーにより固定してある。
また,第2ステアリングシャフト120のジョイント部127には,軸方向に略平行な回転軸513を4本配設してあり,この回転軸513によりプラネットギア512を回転自在に保持している。
【0083】
この伝達比可変機構10では,駆動モータ150を回転してサンギア511を回転することにより,第1ステアリングシャフト110と,第2ステアリングシャフト120との間の伝達比を変更することができる。
なお,その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0084】
(実施例3)
本例は,実施例1における伝達比可変機構を構成する減速機を変更した例である。
本例の伝達比可変機構10は,図6に示すごとく,遊星歯車による差動減速機520を有している。この差動減速機520は,4個のプラネットギア521の回動により,フランジ180と一体的に回転する第1ステアリングシャフトと,第2ステアリングシャフトとの間に相対回転を生じさせるように構成してある。本例では,駆動モータ150の出力軸151の回転により,4個のプラネットギア521を回動できるように構成してある。
【0085】
駆動モータ150の出力軸151に連結したモータシャフト152における,差動減速機520側の端部には,モータシャフト152の軸径よりも大径のキャリア部15を形成してある。このキャリア部158の差動減速機520側の端面には,軸方向に平行な回転軸159を4本配設してある。そして,この回転軸159には,それぞれプラネットギア521を回転自在に取り付けてある。
【0086】
各プラネットギア521は,フランジ180の凹部188の内周面に形成された第1リングギア525に係合すると共に,第2ステアリングシャフト120の凹部128の内周面に形成された第2リングギア524に係合している。ここで,プラネットギア521における,第1リングギア525と噛み合う部分及び第2リングギア524と噛み合う部分には,同数の歯を形成してある。
【0087】
また,第1リングギア525の歯数は,第2リングギア524の歯数よりも2枚少なくしてある。すなわち,モータシャフト152の回転によるプラネットギア521の回動に応じて,フランジ180に連接された第1ステアリングシャフト110と,第2ステアリングシャフト120との間に相対回転を生じるように構成してある。
【0088】
したがって,この伝達比可変機構10では,駆動モータ150を回転してプラネットギア521を回動させることにより,第1ステアリングシャフト110と,第2ステアリングシャフト120との間の伝達比を変更することができる。
なお,その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0089】
(実施例4)
本例は,実施例1のモータシャフトと,第2ステアリングシャフトとの配置構造を変更した例である。
本例の伝達比可変機構10では,図7に示すごとく,中空貫通構造のモータシャフトの内周に,第2ステアリングシャフトを同軸配置してある。
【0090】
本例のモータシャフト152は,第2ステアリングシャフト120に比べて軸方向に短い,略円筒形状を呈する部材である。そして,第2ステアリングシャフト120における,波動歯車減速機130側の端部であって,ピニオンギア125が形成されてない端部を収容するように構成してある。
【0091】
モータシャフト152における波動歯車減速機130側の端部は,波動歯車減速機130のカム131の貫通穴に圧入してあり,両者は図示しないキーによって結合してある。また,モータシャフト152における他方の端部には,カム131に圧入する端部よりも大径のギア部157を有している。そして,このギア部157の外周面には,駆動モータ150の出力軸151に取り付けられたドライブギア223と係合するドリブンギア224を形成してある。
【0092】
第2ステアリングシャフト120は,モータシャフト152の内側に収容されると共に,モータシャフト152の端部から第1ステアリングシャフト110に向けて突出している。そして,第2ステアリングシャフト120とフレクスプライン134とが一体的に回転するよう,この第2ステアリングシャフト120の端面には,カップ状のフレクスプライン134の底部であるダイヤフラム139を接合してある。
なお,その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0093】
(実施例5)
本例は,実施例1における上記車両用操舵装置を油圧式に変更すると共に,上記駆動モータの配置構造等を変更した例である。
本例のステアリングギアボックス11では,図8に示すごとく,第2ステアリングシャフト120と油圧制御用のサーボバルブ29との間に,伝達比可変機構10を組み付けてある。
【0094】
本例では,第1ステアリングシャフト110の一部である中実の伝達シャフト部280と,駆動モータ150の出力軸であるモータシャフト152とを回転入力軸とし,第2ステアリングシャフト120を回転出力軸とした波動歯車減速機130を用いて伝達比可変機構10を構成してある。
ここで,モータシャフト152は,伝達シャフト部280の外周側に同軸配置してある。それ故,モータシャフト152と伝達シャフト部280とは,同軸上に配置された2重構造を呈する。
【0095】
本例の波動歯車減速機130においては,図8に示すごとく,フレクスプライン134に外挿するサーキュラスプライン132と,保持リング138との配置を実施例1と逆にしてある。
即ち,第1ステアリングシャフト110と一体回転するサーキュラスプライン132を転舵ロッド190側に,第2ステアリングシャフト120と一体回転する保持リング138を,第1ステアリングシャフト110側に配置してある。
【0096】
上記モータシャフト152は,波動歯車減速機130を構成するウェーブジェネレータ136のカム131に嵌入し,キー打ち込みにより固定してある。
また,モータシャフト152に内挿された上記伝達シャフト部280は,モータシャフト152の端部から転舵ロッド190側に突出する突出端部281を有している。そして,この突出端部281の外周には,伝達部材282をキーにより固定してある。
この伝達部材282は,波動歯車減速機130に向かって延びる円筒部283を有している。スプライン歯を形成した円筒部283の内周には,波動歯車減速機130のサーキュラスプライン132をスプライン結合してある。
【0097】
また,上記第2ステアリングシャフト120の波動歯車減速機130側の端面には,上記伝達シャフト部280の突出端部281を収容し得る凹部129を形成してある。そして,凹部129の内周面に配置したベアリングを介設して上記伝達シャフト部280を回転支持できるように構成してある。
【0098】
さらに,第2ステアリングシャフト120の凹部129側の端部には,上記伝達部材282の円筒部283よりも大径のフランジ部121を形成してある。そして,該フランジ部121との接合面であるフランジ部271を有する略円筒形状を呈する伝達部材270を,フランジ部121にボルト接合してある。
そして,この伝達部材270におけるフランジ部271と軸方向反対側の端部内周には,上記保持リング138の外周に形成されたスプライン歯と係合する内周スプライン歯272を形成してある。
【0099】
さらに,本例の車両用操舵装置のステアリングギアボックス11では,実施例1における上記トルクセンサに代えて,油圧制御用のサーボバルブ29を配設してある。
本例の第1ステアリングシャフト110は,図8に示すごとく,トーションバー部としての小径部112を有し,該小径部112の先端を伝達シャフト部280にスプライン結合した構造を有している。
そして,伝達シャフト部280に回転駆動力を伝達する際に,この小径部112に微少なねじれを生じ得るように構成してある。
【0100】
一方,図8に示すごとく,小径部112よりも操舵ハンドル側に形成されたスプライン歯111によって,スプール170は第1ステアリングシャフト110に係合している。そのため,小径部112に生じたねじれは,スプール170と伝達シャフト部280との相対回転として顕在化されることとなる。
【0101】
そして,本例の第1ステアリングシャフト110では,トーションバー部として作用する小径部112を利用して,油圧制御用のロータリ形のサーボバルブ29を設けてある。
本例のサーボバルブ29は,スプール170に形成されたロータ弁部材118と,該ロータ弁部材118とシャフトハウジング210との間隙に回動自在に収容されると共に,結合ピン117により伝達シャフト部280と連結されたスリーブ弁部材295とよりなる。そして,このサーボバルブ29は,供給ポート291,排出ポート292及び一対の給排ポート293,294を有するロータリ形の4ポート絞り切換弁を形成している。
そして,一対の給排ポート293,294を,転舵ロッド190の動作をアシストする図示しないパワーシリンダの左右室に接続してある。
【0102】
このように,上記の油圧式の車両用操舵装置では,サーボバルブ29及び伝達比可変機構10等の一体化によりステアリングギアボックス11がコンパクトに構成されている。
そして,上記伝達シャフト部280と上記モータシャフト152とを,同軸上の2重構造を呈するように配置したという特徴的な構成により,上記ステアリングギアボックス11の一体化構造が実現されている。
なお,その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,伝達比可変機構を内蔵したギアボックスを示す断面図。
【図2】実施例1における,車両用操舵装置の構成を示す説明図。
【図3】実施例1における,車両操舵装置の構成を示すブロック図。
【図4】実施例1における,波動歯車減速機を示す正面図。
【図5】実施例2における,伝達比可変機構を内蔵したギアボックスを示す断面図。
【図6】実施例3における,伝達比可変機構を内蔵したギアボックスを示す断面図。
【図7】実施例4における,伝達比可変機構を内蔵したギアボックスを示す断面図。
【図8】実施例5における,伝達比可変機構を内蔵したギアボックスを示す断面図。
【図9】従来例における,車両用操舵装置の構成を示す説明図。
【図10】従来例における,伝達比可変機構を示す断面図。
【図11】従来例における,カバー内部に収容したフラットケーブルを示す図で,図10におけるA−A線矢視断面図。
【符号の説明】
1...車両用操舵装置,
10...伝達比可変機構,
11...ステアリングギアボックス,
110...第1ステアリングシャフト,
118...ロータ弁部材,
120...第2ステアリングシャフト,
150...駆動モータ,
151...出力軸,
152...モータシャフト,
190...転舵ロッド,
210...シャフトハウジング,
220...ギアハウジング,
280...伝達シャフト部,
29...サーボバルブ
291...供給ポート,
292...排出ポート,
293,294...給排ポート,
295...スリーブ弁部材,
300...操舵ハンドル,

Claims (4)

  1. 操舵ハンドルと一体的に回転する第1ステアリングシャフトと,転舵輪を転舵するための転舵ロッドに連結される第2ステアリングシャフトとの間における回転動作の伝達比を変化させる伝達比可変機構を有する車両用操舵装置において,
    上記伝達比可変機構は,駆動モータと,該駆動モータの出力軸であるモータシャフトと,該モータシャフトの回転数に応じて,上記第1ステアリングシャフトから入力される回転数と,上記第2ステアリングシャフトに出力する回転数との間の伝達比を変更するように構成された波動歯車減速機とを有しており,
    該波動歯車減速機は,楕円形状を呈し該モータシャフトと一体回転するウェーブジェネレータと,内周面にスプライン歯が形成され上記第1ステアリングシャフトと一体回転するサーキュラスプラインと,該サーキュラスプラインと略同一外径であり内周面に該サーキュラスプラインと異なる歯数のスプライン歯が形成され上記第2ステアリングシャフトと一体回転する保持リングと,上記サーキュラスプライン及び上記保持リングのいずれかと同一歯数のスプライン歯が外周面に形成され上記ウェーブジェネレータの外周に嵌合されて上記サーキュラスプライン及び上記保持リングと係合するフレクスプラインとを有しており,
    上記第1ステアリングシャフトは,該第1ステアリングシャフトの回転駆動力を伝達する中実の伝達シャフト部を有しており,かつ,上記第1ステアリングシャフトの回転駆動力は,上記伝達シャフト部を介して上記サーキュラスプラインに入力されるように構成されており,
    上記モータシャフトは,中空貫通穴を有しており,該中空貫通穴には,上記第1ステアリングシャフトの上記伝達シャフト部が貫通され,該伝達シャフト部の外周に上記モータシャフトが略同軸上に配置されて2重構造を呈するよう構成されており,
    さらに,上記駆動モータは,上記第1ステアリングシャフト又は上記第2ステアリングシャフトのいずれの回転動作にも影響を受けないように固定して設置されていることを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 請求項1において,上記転舵ロッドには,ラックギアを形成してあり,上記第2ステアリングシャフトには,ピニオンギアを形成してあり,
    上記転舵ロッド及び上記第2ステアリングシャフトの少なくとも一部を収容するステアリングギアボックス内において,上記ラックギアと上記ピニオンギアとを係合してあることを特徴とする車両用操舵装置。
  3. 請求項2において,上記ステアリングギアボックスには,上記駆動モータ及び上記減速機を含む上記伝達比可変機構を組み込んであることを特徴とする車両用操舵装置。
  4. 請求項3において,上記車両用操舵装置は,油圧を発生するオイルポンプと,油圧により上記転舵ロッドを駆動するパワーシリンダとを有しており,
    上記第1ステアリングシャフトは,該第1ステアリングシャフトに作用する回転トルクに応じたねじれを生じるよう構成したトーションバー部を有しており,
    上記ステアリングギアボックスは,上記トーションバー部のねじれに応動して,上記オイルポンプから上記パワーシリンダへの油路を切り換えるよう構成されたサーボバルブを備えていることを特徴とする車両用操舵装置。
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