JP3978533B2 - フィルム製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフィルム製造方法に係り、特に、偏光板保護膜として使用されるセルロースアシレートフィルムを溶液製膜法で製造するフィルム製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セルロースアシレートフィルム(特にセルロースアセテートフィルム)は、低複屈折性、透明性のほか、適度な透湿性を有している。このため、セルロースアシレートフィルムは、偏光板製造工程に適しており、偏光板保護膜として広く用いられている。偏光板製造工程では、セルロースアシレートフィルムを水洗し、偏光膜と貼り合わせた後、これを打ち抜くことによって、偏光板を製造する。
【0003】
ところで、セルロースアシレートフィルムは、通常、溶液製膜法で製造される。すなわち、走行する無端支持体上に濃厚溶液(ドープ)を流延し、このドープが乾燥して自己支持性が生じた後、連続的に剥ぎ取ってさらに乾燥させることによって製造される。この溶液製膜法で製造したフィルムは、平面性がよく、且つ、光学異方性が小さいので、偏光板保護フィルムに適している。しかし、支持体上でドープを乾燥させた際にその厚み方向に溶媒の濃度分布が発生するため、この溶媒分布に従って疎水性の可塑剤が移動するという問題が発生する。この疎水性の可塑剤は、湿度に対する寸度安定性を調整するために、親水性であるセルロースアシレートに対して適量配合されている。したがって、可塑剤が移動して厚み方向に疎水性差が生じると、フィルムが吸水した際にカールする度合いが大きくなり、偏光膜との貼り合わせ工程で折れやシワを生じたり、機能性層の塗布の際に塗布ムラを生じたり、或いは、搬送中に接触を起こして発塵する等、様々な不具合を生じる。また、完成した偏光板に反りが生じやすくなる欠点もある。
【0004】
カールの度合いを調整する方法として、特公昭54−26582号公報には、カールさせたい面に40℃以上の露点の湿熱風を吹きつける方法が記載されている。また、特開平4−281448号公報には、カールさせたい面に溶剤ガス、あるいは100〜150℃の水蒸気を吹きつける方法が記載されている。これらの方法は、特定の雰囲気下におけるカールをコントロールする手段として非常に有効である。しかし、近年はフィルムの乾燥温度を益々高くしなければならない状況にあり、これらの方法だけでは、高湿、特に水中におけるカールを十分に抑えることができなくなってきた。
【0005】
また、特開2001−200098号公報には、セルロースの6位置換基としてプロピオニル基またはブチリル基を導入する方法が記載されている。この方法では、水中でのカールを小さくすることができるが、一般的なセルロースアセテートに対して原料コストが高くなるという問題や、複屈折値、機械強度等のフィルム特性が変化し、好適な偏光板保護膜を製造できないという問題がある。
【0006】
また、水中でのカールを防止するためには、フィルム乾燥重量基準で150%以上の非常に高い揮発分で支持体から剥離し、両面から乾燥することが有効であることが知られている。このような高い揮発分での剥離は、特公平5−17844号公報に記載されるように、支持体の温度を10℃以下に冷却することによって達成することができる。しかし、このようにして製造したフィルムを偏光板保護膜として用いた場合、打ち抜き時にエッジ部分で欠けや剥がれを生じ、得率を落としやすいという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、加工性に優れ、且つ、水中におけるカールが小さく、偏光板の製造に適したフィルムを製造するフィルム製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、濃厚溶液を支持体上に流延してフィルムとして剥ぎ取り、該フィルムに乾燥エアを吹きつけて乾燥させることによって、セルロースアシレートフィルムの製造を行うフィルム製造方法において、前記乾燥エアの温度が115℃以上140℃以下である高温乾燥ゾーンを設けるとともに、該高温乾燥ゾーンにおいて、前記115℃以上140℃以下の乾燥エアを、前記支持体に接していた支持体面側から、又は該支持体面と反対のエア面側から、或いは前記支持体面側と前記エア面側の両方から吹きつけるとともに、
前記115℃以上140℃以下の乾燥エアを前記エア面側から吹きつける際に、前記エア面での乾燥エアの風速を3m/s以下にし、前記乾燥エアによって前記フィルムを乾燥させた後、該フィルムのエア面側に100〜150℃の水蒸気を吹きつけ、該フィルムを巻き取ることを特徴としている。
【0009】
本願発明の発明者は、支持体から剥ぎ取ったフィルムに115℃以上140℃以下の乾燥エアを吹きつけて乾燥させる高温乾燥ゾーンを設けると、好適な熱寸度安定性を持つフィルムが得られることを見いだした。また、115℃以上140℃以下の乾燥エアを吹きつける際、その乾燥エアの風向や風速に応じてフィルムの加工性や水中におけるカールが変化することを見いだした。そして、フィルムの加工性が良く、且つ水中でのカールが小さいフィルムを製造するには、115℃以上140℃以下の乾燥エアを支持体面側から吹きつけるか、または支持体面側とエア面側の両方から吹きつけるか、或いは、エア面での風速が3m/s以下となるようにエア面側から吹きつければよいとの知見を得た。本発明はこのような知見に基づいて成されたもので、115℃以上140℃以下の乾燥エアを吹きつける高温乾燥ゾーンを設けるとともに、その高温乾燥ゾーンでの乾燥エアの風向と風速を上記の如く規制することにより、加工性に優れ、且つ水中でのカールの小さいセルロースアシレートフィルムを製造するものである。こうして得られたセルロースアシレートフィルムは、偏光板の製造工程に適しており、フィルムに折れや欠けなどを生じることなく偏光板を製造できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るフィルム製造方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0011】
図1は、本発明を用いた製造装置10の全体構成を示した概念図である。
【0012】
同図に示すように、製造装置10は、流延部12、テンター乾燥部14、ロール乾燥部16、18から構成されている。
【0013】
流延部12には、一対のドラム20、20が設けられており、この一対のドラム20、20に無端状のバンド(支持体に相当)22が巻き掛けられている。バンド22は、例えばステンレスなどによって形成され、表面が鏡面仕上げされている。このバンド22は、一対のドラム20、20の一方を回転駆動させることによって走行し、一対のドラム20、20の回りを周回する。
【0014】
この周回走行するバンド22の上には、ダイ24から膜状に押し出されたドープが流延される。このドープには、セルロースアシレートの他に、疎水性の可塑剤が適量配合されている。バンド22の上に流延されたドープは、例えば熱風等で乾燥され、ある程度の自己支持性がでた後にバンド22から剥離される。剥離されたフィルム26は、平面性を確保するために両端が不図示のクリップ、或いはピンで固定され、テンター乾燥部14に搬送される。このテンター乾燥部14において、フィルム26は、その幅方向に張力が付与された状態で搬送され、ある程度乾燥される。テンター乾燥部14の後、フィルム26は、ロール乾燥部16、18でさらに乾燥される。
【0015】
ロール乾燥部16、18では、フィルム26を複数のロール32、32、…に掛けて搬送しながら、このフィルム26に熱風(乾燥エア)を吹きつけることによってフィルム26を乾燥させている。こうして乾燥させたフィルム26は、必要に応じてカール補正装置28に搬送され、このカール補正装置28からフィルム26のエア面26Bに溶剤ガス、或いは水蒸気が吹きつけられ、フィルム26のカールが調整される。カールが調整されたフィルム26はロール状に巻き取られてロールフィルム30となる。
【0016】
なお、カール補正装置28でフィルム26に水蒸気を吹きつける場合には、フィルム26の温度を、フィルム26に水蒸気が結露しない限り低くすることが望ましい。その際、フィルム26の温度は、室の給気温や冷却接触ロール、或いは処理時のバックアップロールの温度等で調整するとよい。
【0017】
ところで、前述したロール乾燥部16、18は少なくともその一部が、115℃以上の乾燥エアを吹きつける高温乾燥ゾーンになっている。高温乾燥ゾーンでは、115℃以上の乾燥エアを下記のいずれかの方法で給気している。すなわち、▲1▼乾燥エアをフィルム26の支持体面26A側から吹き付ける。▲2▼エア面26Bでの風速が3m/s以下となるように、エア面26B側から乾燥エアを吹き付ける。▲3▼支持体面26Aとエア面26Bの両方側から乾燥エアを吹きつける。なお、乾燥エアの吹きつけ方向は特に限定するものではないが、工程内の塵埃を巻き上げてフィルムに付着するのを防止するため、給気口(不図示)を天井面側に、排気口(不図示)を床面側に設けてダウンフローすることが好ましい。したがって、図1に示した製造装置10は、▲1▼の方法で給気する場合に適しており、例えば、ロール乾燥部16の天井面に給気口を設け、床面に排気口を設けることによって、115℃以上の乾燥エアが支持体面26A側からダウンフローされる。
【0018】
なお、高温乾燥ゾーンの排気口は、フィルム26の長手方向の両端側に設けても、或いは、給気位置と前後して天井面と床面の両方に設けてもよい。
【0019】
また、ロール乾燥部16、18には、高温乾燥ゾーンだけでなく、115℃未満の乾燥エアを吹きつける低温乾燥ゾーンを設けてもよい。低温乾燥ゾーンの給気方法は、上述した▲1▼〜▲3▼の方法に限定されるものではなく、▲1▼〜▲3▼以外の方法で給気してもよい。さらにロール乾燥部16、18の全てを低温乾燥ゾーンとすると、フィルム26の熱寸度安定性が低下するので、巻き取るまでの任意の工程で高温乾燥ゾーンを設けるとよい。
【0020】
このようにして乾燥されて製造されたフィルム26は、例えば、偏光板の保護膜として、偏光板の製造工程で使用される。偏光板の製造工程では、フィルム26を水洗して偏光膜に貼り合わせた後、これを打ち抜くことによって偏光板を製造している。
【0021】
次に上記の如く構成された製造装置10の作用について説明する。
【0022】
製造装置10には、乾燥エアが115℃以上である高温乾燥ゾーンが設けられているので、フィルム26の乾燥を迅速に行うことができるとともに、熱寸度安定性の良いフィルム26を得ることができる。しかし、115℃以上の乾燥エアは、乾燥能力が高いため、乾燥エアの風向や風速によっては、水中でのカールが大きくなるおそれがある。しかし、本実施の形態では、115℃以上の乾燥エアの風向と風速を▲1▼〜▲3▼の方法で規制したので、水中カールが大きくなることを防止しつつ、フィルム26の熱寸度安定性を向上させることができる。
【0023】
すなわち、▲1▼の方法では、可塑剤の多い支持体面26A側に乾燥エアを吹きつけて乾燥させるため、115℃以上の乾燥エアをフィルム26に吹きつけても、水中カールは大きくならない。
【0024】
また、▲2▼の方法では、可塑剤の少ないエア面26B側に115℃以上の乾燥エアを吹きつけることになるが、エア面26Bでの風速を3m/s以下とすることによって急激な乾燥を防止した。これにより、偏光板の製造不良の原因となるような、水中カールの悪化は生じない。
【0025】
また、▲3▼の方法では、可塑剤の少ないエア面26B側に115℃以上の乾燥エアを吹きつけることになるが、支持体面26A側にも115℃以上の乾燥エアを吹きつけているので、フィルム26が両面で略均等に乾燥される。したがって、水中カールは大きくならない。
【0026】
このように▲1▼〜▲3▼の方法で115℃以上の乾燥エアを吹きつけると、水中カールを大きくすることなく、フィルム26を乾燥させることができる。こうして得られたフィルム26は、カール特性と可塑剤分布に関して以下のような特性を備えている。すなわち、25℃の水中に浸漬した際のカールの曲率半径が25mm以上であるという特性と、フィルム26を厚み方向に二分割した際、ガスクロマトグラフ等により求められる支持体面26Aとエア面26Bの可塑剤含有率比が1.2〜2.0であるという特性を備えている。
【0027】
25℃の水中における曲率半径が25mm以上であるという特性を備えたフィルム26は、例えば水洗した際のカールが非常に小さいので、偏光膜との貼り合わせ工程に適している。すなわち、水洗時のカールが非常に小さいので、水洗後のフィルム26を簡単に偏光膜に貼り合わせることができるとともに、作製した後の偏光板に反りが生じることを防止できる。
【0028】
また、可塑剤含有率比が1.2〜2.0であるという特性を備えたフィルム26は、偏光膜との貼り合わせ工程と打ち抜き工程の両方に適している。すなわち、可塑剤含有率比が1.2未満と小さい場合には、打ち抜き加工をした際にエッジ部分に欠けや剥がれを生じるが、可塑剤含有率比を1.2以上とすることによって打ち抜き時の加工性が向上し、欠けや剥がれを生じることなく、打ち抜き加工することができる。また、可塑剤含有率比が2.0を超える場合には、水中でのカールが大きくなり、貼り合わせ工程で折れや皺を発生するが、可塑剤含有率比を2.0以下とすることによって水中でのカールが小さくなり、折れや皺を生じることなく、確実に偏光膜に貼り合わせることができる。
【0029】
なお、より好ましい可塑剤含有率比の範囲は1.3〜1.8であり、さらに好ましくは1.4〜1.7である。
【0030】
また、可塑剤含有率比は、乾燥エアの給気方法だけでなく、バンド22からフィルム26を剥離した際の揮発分にも影響され、例えば、この剥離揮発分がフィルム乾燥重量基準で150%以上になると、可塑剤含有率比が1.2未満となり易く、好ましくない。このため、剥離揮発分は150%よりも小さくする必要がある。この剥離揮発分は、120%以下が好ましく、100%がより好ましく、さらに好ましくは80%以下である。ただし、剥離揮発分が25%以下となると、生産性を著しく損なうとともに、支持体面/エア面の可塑剤量差が大きくなり過ぎるので、25%以上が好ましい。
【0031】
このように本実施の形態の製造装置10によれば、水中でのカールが小さく、且つ打ち抜き加工性に優れたフィルム26を製造することができる。したがって、フィルム26を水洗して偏光膜に貼り合わせ、これを打ち抜き加工する偏光板の製造工程に適したフィルム26を製造することができ、この偏光板の製造工程において得率を向上させることができる。
【0032】
なお、上述した製造装置10は、115℃以上の高温の乾燥エアを▲1▼の方法で給気するのに適した例であるが、▲2▼の方法で給気する場合には、図2に示す製造装置34が好ましい。図2に示す製造装置34は、テンター乾燥部14を通過したフィルム26を上下反転させて、ロール乾燥部16、18に導入している。ロール乾燥部16、18には高温乾燥ゾーンが設けられるとともに、この高温乾燥ゾーンの天井面側に115℃以上の乾燥エアの給気口(不図示)が設けられ、床面に排気口(不図示)が設けられている。したがって、115℃以上の乾燥エアは、ダウンフローされてフィルム26のエア面26B側に吹きつけられる。その際、エア面26Bでの風速を3m/s以下に制御することによって、水中カールが大きくなることを防止できる。
【0033】
また、図1、図2には、バンド型の流延部12を備えた製造装置10、34の例を示したが、図3に示すようにドラム型の流延部38を備えた製造装置36に本発明を適用してもよい。すなわち、流延部38には、回転するドラム40が設置され、このドラム40の表面にダイ24から押し出されたドープが流延される。流延されたドープは、冷却によって自己支持性がでた後に剥離され、フィルム26としてテンター乾燥部42に導入される。導入されたフィルム26は、ある程度乾燥された後、ロール乾燥部16、18に導入される。この場合にも、ロール乾燥部16、18に高温乾燥ゾーンを設けることによって、水中でのカールが小さく、且つ打ち抜き加工性に優れたフィルム26を製造することができる。
【0034】
【実施例】
実施例1、2及び比較例1、2として、それぞれ異なる特性のフィルムを製造し、ケン化処理した後、このフィルムを用いて偏光板を作製した。以下に、各フィルムの製造条件、ドープの調製条件、ケン化の処理条件、及び偏光板の作製条件を示す。
(実施例1のフィルム製造条件)
図1の製造装置10を用い、ドープAを流延してフィルム26を製造した。すなわち、ダイ24からドープAを押し出してバンド22上に流延し、自己支持性がでるまで乾燥した後、フィルム26をバンド22から剥ぎ取り、テンター乾燥部14に導入した。このとき、剥離時の揮発分は66%であった。
【0035】
テンター乾燥部14では、フィルム26の両面側から130℃の乾燥エアを給気し、フィルム26に吹きつける乾燥エアの最大風速が3.0m/sとなるようにした。また、ロール乾燥部16では、支持体面26A側から120℃の乾燥エアを給気してエア面26B側から排気し、ロール乾燥部18では、フィルム26の支持体面26A側から140℃の乾燥エアを給気してエア面26B側から排気した。このとき、各ロール乾燥部16、18で、フィルム26に吹きつける乾燥エアの最大速度は、5.0m/sであった。次に、ロール乾燥部16、18で乾燥したフィルム26のエア面26Bにカール補正装置28で145℃の水蒸気を3g/m2 の量で吹きつけた後、フィルム26を巻き取った。このようにして製造したフィルム26の膜厚みは79μmであり、25℃水中におけるカール曲率半径は33mmであった。また、フィルム26を厚み方向に2分割した際の可塑剤含有率比(支持体面26A側/エア面26B側)は、1.63であった。
(実施例2のフィルム製造条件)
図2の製造装置34を用い、ドープAを流延してフィルム26を製造した。すなわち、ダイ24からドープAを押し出してバンド22上に流延し、自己支持性を持つまで乾燥した後、フィルム26として剥ぎ取ってテンター乾燥部14に導入した。このとき、剥離時の揮発分は70%であった。
【0036】
テンター乾燥部14では、フィルム26の両面側から110℃の乾燥エアを給気し、フィルム26に吹きつける乾燥エアの最大風速が10.0m/sとなるようにした。また、ロール乾燥部16では、エア面26B側から120℃の乾燥エアを給気して支持体面26A側から排気し、ロール乾燥部18では、フィルム26のエア面26B側から130℃の乾燥エアを給気して支持体面26A側から排気した。このとき、各ロール乾燥部16、18で、フィルム26に吹きつける乾燥エアの最大速度は、1.5m/sであった。次に、ロール乾燥部16、18で乾燥したフィルム26のエア面26Bにカール補正装置28で145℃の水蒸気を8g/m2 の量で吹きつけた後、フィルム26を巻き取った。このようにして製造したフィルム26の膜厚みは79μmであり、25℃水中におけるカール曲率半径は35mmであった。また、フィルム26を厚み方向に2分割した際の可塑剤含有率比(支持体面26A側/エア面26B側)は、1.61であった。
(比較例1のフィルム製造条件)
図2の製造装置34を用い、ドープAを流延してフィルム26を製造した。すなわち、ダイ24からドープAを押し出してバンド22上に流延し、自己支持性を持つまで乾燥した後、フィルム26として剥ぎ取ってテンター乾燥部14に導入した。このとき、剥離時の揮発分は70%であった。
【0037】
テンター乾燥部14では、フィルム26の両面側から110℃の乾燥エアを給気し、フィルム26に吹きつける乾燥エアの最大風速が10.0m/sとなるようにした。また、ロール乾燥部16では、エア面26B側から120℃の乾燥エアを給気して支持体面26A側から排気し、ロール乾燥部18では、フィルム26のエア面26B側から130℃の乾燥エアを給気して支持体面26A側から排気した。このとき、各ロール乾燥部16、18で、フィルム26に吹きつける乾燥エアの最大速度は、7.0m/sであった。次に、ロール乾燥部16、18で乾燥したフィルム26のエア面26Bにカール補正装置28で145℃の水蒸気を8g/m2 の量で吹きつけた後、フィルム26を巻き取った。このようにして製造したフィルム26の膜厚みは79μmであり、25℃水中におけるカール曲率半径は25mmであった。また、フィルム26を厚み方向に2分割した際の可塑剤含有率比(支持体面26A側/エア面26B側)は、1.67であった。
(比較例2のフィルム製造条件)
図3の製造装置36を用い、ドープBを流延してフィルム26を製造した。すなわち、ダイ24からドープBを押し出し、表面温度が−3℃のドラム40上に流延し、自己支持性を持ったところで、フィルム26として剥ぎ取ってテンター乾燥部42に導入した。このとき、剥離時の揮発分は270%であった。
【0038】
テンター乾燥部42では、フィルム26の両面側から80〜130℃の乾燥エアを給気し、フィルム26に吹きつける乾燥エアの最大風速が10.0m/sとなるようにした。また、ロール乾燥部16では、支持体面26A側から120℃の乾燥エアを給気してエア面26B側から排気し、ロール乾燥部18では、フィルム26の支持体面26A側から140℃の乾燥エアを給気してエア面26B側から排気した。このとき、各ロール乾燥部16、18で、フィルム26に吹きつける乾燥エアの最大速度は、7.0m/sであった。次に、ロール乾燥部16、18で乾燥したフィルム26のエア面26Bにカール補正装置28で145℃の水蒸気を3g/m2 の量で吹きつけた後、巻き取った。このようにして製造したフィルム26の膜厚みは79μmであり、25℃水中におけるカール曲率半径は100mmであった。また、フィルム26を厚み方向に2分割した際の可塑剤含有率比(支持体面26A側/エア面26B側)は、1.08であった。
(ドープAの調製)
セルローストリアセテート(置換度2.8)が89.3重量%、トリフェニルフォスフェートが7.1重量%、ビフェニルジフェニルフォスフェートが3.6重量%から成る固形分100重量部に対し、シリカ微粒子分散液を適宜添加し、さらに、ジグロルメタン87重量%、メタノール13重量%からなる混合溶媒を適宜添加し、攪拌溶解してドープを調製した。ドープの固形分濃度は、19.0%であった。
(ドープBの調製)
セルローストリアセテート(置換度2.8)を89.5重量%、トリフェニルフォスフェートを7.0重量%、ビフェニルジフェニルフォスフェートを3.5重量%から成る固形分100重量部に対し、メチレンクロライド82重量%、メタノール15重量%、n−ブタノール3重量%からなる混合溶媒を適宜添加し、攪拌溶解し、23.0%の固形分濃度のドープを調製した。
(ケン化処理)
製造したフィルム26を50℃の1.5N、NaOH水溶液で180秒処理した後、中和、水洗処理を行って乾燥し、表面をケン化処理した。
(偏光板の作製)
(株)クラレ製PVAフィルム(75μm)をヨウ素0.3g/l、ヨウ素カリウム18.0g/lの水溶液に25℃で浸漬し、さらにホウ酸80g/l、ヨウ化カリウム30g/l、塩化亜鉛10g/l、50℃の水溶液中にて5.0倍に延伸した。60℃にて5分間の乾燥の後、PVA((株)クラレ製PVA−117H)4%の水溶液を接着剤として、ケンカ処理を行ったフィルム26を水洗いして表面の塵埃を除去した後、連続して延伸PVA膜とともにニップロールで挟み込み加圧することで両面に貼合し、さらに80℃で乾燥して偏光板を得た。染色液への膜浸漬時間は、偏光板の透過率を42±0.5%となるように適宜調整し、得られた偏光板の偏光度99.7〜99.9%であった。
(偏光板の打ち抜き加工)
30mm径の円形打ち抜き刃を偏光板に当て、ハンマーで刃を叩くことにより、フィルム26を貼合した偏光板を打ち抜いた。
【0039】
以上の条件により偏光板を製造した結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003978533
表1から分かるように、比較例1では115℃以上の乾燥エアを3m/sより大きい風速でエア面26Bに吹きつけたため、得られたフィルム26は水中曲率半径が22mmと非常に小さく、水洗した際に支持体面26A側へ大きくカールした。このため、貼合工程でのハンドリング性が低下し、偏光板の作製において搬送パスロール上でフィルム26に折れを生じた。また、比較例1のフィルム26を用いて製造した偏光板は、反りが大きいため、偏光板の作製においてガラスへの貼付作業が難しかった。
【0041】
これに対し、実施例2では、115℃以上の乾燥エアを3m/s以下の風速でエア面26Bに吹きつけたので、得られたフィルム26は、貼り合わせ工程でのハンドリング性、打ち抜き加工性ともバランスのとれた物性を示した。
【0042】
また、実施例1では、115℃以上の乾燥エアを支持体面26A側から、または両面側から吹きつけているので、貼り合わせ工程でのハンドリング性、打ち抜き加工性ともバランスのとれた物性を示した。
【0043】
一方、比較例2では、剥離揮発分が270%と大きかったため、得られたフィルム26は可塑剤含有率比が1.08と非常に小さく、加工性が低下した。このため、打ち抜き加工において、打ち抜きエッジ円周上に数カ所の偏光膜からの剥離が観察された。
【0044】
なお、上述した試験において、水中曲率半径は、完成したフィルム26を幅方向35mm×長手方向3mmに切り取り、これを25℃の水中に30分浸漬した後、曲率半径を読み取った。
【0045】
また、揮発分量の測定は、フィルムサンプルの重量(g)をAとし、115℃空気恒温槽にて1時間乾燥後のフィルムサンプルの重量(g)をBとした際、揮発分量(%)=(A−B)/B×100、で求めた。
【0046】
また、可塑剤含有率比は、フィルム26を膜厚が半分になるまで両刃カミソリなどによっていずれかの表面より削り、削り残したフィルム片をクロロホルムに溶解し、その可塑剤量をガスクロマトグラフで分析した。これを両面について行い、支持体面26A側の可塑剤含有率の値をエア面26B側の可塑剤含有率の値で割って求めた。分析には、島津製作所製GC−14Aガスクロマトグラフを用い、カラム充填剤にはOV−17を用い、カラム温度は280℃にて分析を行った。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るフィルム製造方法によれば、支持体から剥ぎ取ったフィルムに115℃以上の乾燥エアを吹きつけて乾燥させる高温乾燥ゾーンを設けるとともに、この高温乾燥ゾーンにおいて、115℃以上の乾燥エアを支持体面側から、または支持体面側とエア面側の両方から、或いは、エア面での風速が3m/s以下となるようにエア面側から吹きつけたので、加工性に優れ、水中カールの小さいフィルムを製造することができる。こうして得られたフィルムは、偏光板の製造工程に適しており、フィルムに折れや欠けなどを生じることなく偏光板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いた製造装置の全体構成を示す概念図
【図2】図1と異なる高温乾燥ゾーンを備えた製造装置の全体構成を示す概念図
【図3】図1と異なる流延方式の製造装置の全体構成を示す概念図
【符号の説明】
10…製造装置、12…流延部、14…テンター乾燥部、16、18…ロール乾燥部、20…ドラム、22…バンド、24…ダイ、26…フィルム、26A…支持体面、26B…エア面、28…カール補正装置、30…ロールフィルム、32…ロール、34…製造装置、36…製造装置、38…流延部、40…ドラム、42…テンター乾燥部

Claims (1)

  1. 濃厚溶液を支持体上に流延してフィルムとして剥ぎ取り、該フィルムに乾燥エアを吹きつけて乾燥させることによって、セルロースアシレートフィルムの製造を行うフィルム製造方法において、
    前記乾燥エアの温度が115℃以上140℃以下である高温乾燥ゾーンを設けるとともに、該高温乾燥ゾーンにおいて、前記115℃以上140℃以下の乾燥エアを、前記支持体に接していた支持体面側から、又は該支持体面と反対のエア面側から、或いは前記支持体面側と前記エア面側の両方から吹きつけるとともに、
    前記115℃以上140℃以下の乾燥エアを前記エア面側から吹きつける際に、前記エア面での乾燥エアの風速を3m/s以下にし
    前記乾燥エアによって前記フィルムを乾燥させた後、該フィルムのエア面側に100〜150℃の水蒸気を吹きつけ、該フィルムを巻き取ることを特徴とするフィルム製造方法。
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