JP3978455B2 - 高周波無線による制御システム - Google Patents
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Description
なお、この明細書において「近距離無線通信方式」とは、例えば、法律の規制を受けない微弱電力のキャリア帯信号を用いて、キーレスエントリ、対象物のワイヤレス監視又はワイヤレス制御その他の比較的近距離で行う無線通信方式の総称をいう。
図8に示した例では、ユーザが携行する無線機である送信機1が、VHF帯以上の周波数のキャリア帯信号を当該送信機1の識別コードと例えばドアの開閉を指示するための指示信号とで変調して、アンテナ5から、固定型の無線機である受信機2に向けて送信する。
受信機構4はIC化が可能であり、SAWフィルタ6と共に所謂ディスクリート部品としてセット基板に搭載することにより、受信機2の小型化が図られている。
N=KTBF・・・(1)
これは、例えば”水晶デバイスの解説と応用”(2002年3月 日本水晶デバイス工業会発行)p23に掲載されている図7に示されるように、水晶フィルタの実現可能範囲には一定の上限があるため、キーレスエントリ制御システムのように、VHF帯以上での用途に用いられるアンテナフィルタは、高周波帯用に開発されたSAWデバイス(SAWフィルタ)に限られると考えられていたことが、その主たる理由になっている。
しかしながら、水晶フィルタを構成する水晶片の製造・加工技術は日々進化しており、水晶フィルタが使用可能な周波数の範囲は拡大される傾向にある。また、水晶は、基本波のほか、オーバートーン、すなわち、基本波の周波数の奇数倍の周波数での使用が可能である。水晶・SAW関連デバイスの開発に携わる本発明者らは、従来の発想の転換を図ることにより、水晶フィルタ(水晶片)をVHF帯以上の周波数でもアンテナフィルタとして用いることができることを見いだしたものである。
前記第1の高周波無線機及び前記第2の高周波無線機は、受信時には高周波増幅後の前記キャリア帯信号をフィルタリングし、送信時には前記受信したキャリア帯信号と同じ周波数のキャリア帯信号を高周波増幅前にフィルタリングする送受兼用の水晶フィルタと、直接検波用及び直接変調用のローカル信号を発振する水晶振動子とを含み、前記水晶フィルタは、フィルタリングする周波数のずれの方向が、前記ローカル信号による検波時又は変調時の周波数のずれの方向と同じになる環境で動作するものである。
また、前記第1の高周波無線機は、前記第2の高周波無線機から送信され、前記ローカル信号により直接検波された信号と前記第2の高周波無線機との間で定めた拡散符号とを逆拡散することにより得られた信号の復調を行い、復調されたデータに基づいて前記対象物を制御するための処理を行う受信系処理手段と、前記拡散符号により拡散変調したデータに基づいて前記第2高周波無線機向けに前記ローカル信号により直接変調される信号を生成する処理を行う送信系処理手段とを有するものである。
受信の場合は、例えばフィルタリング前の高周波信号の増幅利得を調整することによって、イメージ周波数を水晶フィルタを通過する段階で確実に除去できるので、後段における信号処理回路でのイメージ抑圧部等が不要になり、消費電力もその分低減化することができる。送信の場合は、水晶フィルタでイメージ周波数を抑圧した後に終段の高周波増幅部で所定電力まで増幅するので、イメージ周波数の増幅を回避することができる。
上述したように水晶フィルタの帯域幅は狭いので、周辺温度が変化したり、長時間使用による経年変化(特性変化)によって周波数がずれてしまうと、水晶振動子から発振されるローカル信号によって直接検波する際に、不都合が生じる可能性があるというリスクがある。そこで、水晶フィルタ及び水晶振動子の上記特性が互いに実質的に同じになる環境で動作させることで、仮に周波数のずれが生じた場合であっても、そのずれの方向が両者同じ方向になるので、不都合を回避することができる。
「同じ環境で動作する」とは、例えば水晶フィルタ及び水晶振動子を、各々の温度特性を実質的に同じにする材質から成る一つのモジュール容器内で動作させることをいう。
図1は、本発明の高周波無線機を受信機として使用するときの最も単純な構成例を示すものであり、従来例を示した図8に対応する。なお、図1において、図8に示したものとほぼ同一機能の構成要素については、説明の便宜上、同一符号を付してある。
この実施形態の受信機2は、サブキャリアによらない直接検波方式を採用したもので、高周波増幅部(プリアンプ)14、水晶フィルタ3及び受信機構4を有する。高周波増幅部14と受信機構4は、集積化されたICチップ(ベアチップ)で構成されており、水晶フィルタ3と共に、モジュール容器に収容されて一体化される。以下、このようなICチップをRF(Radio Frequency)ICチップと称する。
なお、RFICチップ7としては、ソフトウエアが事後的に書換可能なもののほか、予めその動作手順が固定的に定められたファームウエア、例えば配線基板あるいはDSP(Digital Signal Processor)を用いることもできる。ファームウエアを用いる場合は、用途に応じて、当該ファームウエアを交換自在にしておくことが望ましい。
水晶フィルタ3及び水晶振動子のサイズは、例えばキーレスエントリ制御システムにおいて使用される315[MHz]あるいはその周辺の周波数帯では、水晶片の大きさは1mm角程度と極めて小型なので、モジュール容器への収容が極めて容易であり、小型化及び量産性の促進にもつながる。
容器本体8の他方の凹部底面には、RFICチップ7がフリップチップボンディング等によって固着される。RFICチップ7の周囲には、通常は、保護樹脂16が充填され、受信機2の移動時のRFICチップ7の変位を防止している。RFICチップ7の電極と水晶フィルタ3(及び、水晶振動子)の電極とは、例えばスルーホール17を通じて配線される。なお、他方の凹部を形成する枠上面には表面実装用の図示しない端子類が形成されている。
ATカットは、水晶のX軸に平行でZ軸から35度15分近辺にカットしたもので、周波数温度特性が広温度範囲に亘って3次曲線の極めて良好な特性を示すことが知られている。水晶フィルタ3は、例えば3次オーバトーン、すなわち100〜130[MHz]、好ましくは、市場に登場している105[MHz]のものを315[MHz]で使用する。
また、水晶フィルタ3は、3次オーバトーンとしたが、基本波であってもよく、オーバートーンの次数は任意である。
上記例では、高周波無線機を受信機2に適用した場合の例であるが、例えば送信機1から通信周波数を受信した後、これに応答する場合も考えられるので、送受兼用の高周波無線機として実施する場合の例を挙げる。
図5は、送受兼用の高周波無線機を一つのモジュール容器に収容してモジュール化した無線モジュールの構成図である。この無線モジュール100は、大別して、高周波増幅部、フィルタ部、及び信号処理部(#1)を含んでいる。
既に述べたように、従来の高周波無線機では、アンテナフィルタを送受信兼用にすることができないので、アンテナフィルタは2つになるが、いずれにしても、アンテナフィルタとしてSAWフィルタ6を用いた場合には、帯域幅が広いので、イメージ周波数をも取り込んでしまう。そのため、信号処理回路にはイメージ抑圧部が不可欠となり、回路構成が複雑となって、消費電力も大きくならざるを得ない。
送受切換スイッチ101、104、106は、図示しない制御回路を通じて制御され、すべて同じタイミングで開閉動作する。より具体的には、二値信号の一方の値でオン、他方の値でオフになり、例えばオンのときには高周波増幅部及び信号処理部を受信機として動作させ、オフのときにはこれらを送信機として動作させる。従って、送信用のアンテナフィルタと受信用のアンテナフィルタとを同一の(一つの)水晶フィルタで兼用することができる。無線モジュール100は、電源端子T14に接続された電源20により給電される。
そのため、水晶フィルタ105の周辺温度が上昇したり、経年変化によって周波数がずれたとしても、検波時あるいは変調時の周波数も同じ方向にずれるので、これらの影響を緩和することができる。
また、通信相手である送信機から送信された信号がデジタル出力端子T12に表れるので、受信信号のデジタル処理が可能になる。このように、構造が簡単で且つ汎用性が高く、量産が可能になる無線モジュール100を実現することができる。
本発明の高周波無線機は、上述した送受兼用の無線モジュール100を拡張して、種々の無線通信方式を実現するものとしての実施が可能である。例えば、用途に応じた具体的な無線通信の手順を実現する信号処理部(信号処理部#2)を付加した無線モジュールとしての実施が可能である。
図6は、図5に示した無線モジュール100を拡張して、スペクトル拡散(Spread Spectrum:SS)方式による近距離無線通信を実現するためのICチップの構成例を示している。前提として、通信相手との間で定めた拡散符号(擬似ランダム信号)が保持されているものとする。このようなICチップもまた、ソフトウエア・ラジオの一種であり、これを、便宜上、BB(Base Band)ICチップと称する。
SS方式では、送信時に、2段階の変調を行ってデータを送出する。
1次変調では、雑音に強いBPSK(Binary Phase-Shift Keying)方式を用いて狭帯域信号、つまり通信に使用する帯域内の任意の周波数の信号を得る。次に、高速で切り換わる拡散符号を乗積して、周波数帯域の拡がったSS信号を得る。これは高速で切り換わる信号はスペクトルが拡がることによる。この過程を「2次変調」または「拡散変調」という。
すなわち、受信系は、デジタル入力端子T211を通じて無線モジュール100から入力された48[kHz]のデジタル信号を復調するためのキャリア復調回路201と、上記の2次復調を行う逆拡散回路202と、これにより得られた狭帯域信号の1次復調を行い、復調されたデータをデジタル出力端子T213を通じて制御回路300へ出力するBPSK復調回路203を有する。
デジタル処理なので、この周波数差データの生成は、アナログデータによる場合に比べて非常に単純な処理となる。
なお、図6に示した信号処理部(#2)と図5に示した信号処理部(#1)とを一体にすることもできる。この場合は、電源20とクロック発振器30は一つで足りる。
また、本発明の高周波無線機は、VHF帯以上の周波数を使用して通信を行う他の無線通信方式にも同様に使用できるので、本発明の適用範囲を、近距離通信方式に限定する趣旨でないことは、勿論である。
Claims (7)
- 対象物に設けられる第1の高周波無線機と、この第1の高周波無線機との間で、UHF帯のキャリア帯信号により法律の規制対象外となる微弱電力によるスペクトル拡散通信を行う第2の高周波無線機とを有し、
前記第1の高周波無線機及び前記第2の高周波無線機は、受信時には高周波増幅後の前記キャリア帯信号をフィルタリングし、送信時には前記受信したキャリア帯信号と同じ周波数のキャリア帯信号を高周波増幅前にフィルタリングする送受兼用の水晶フィルタと、直接検波用及び直接変調用のローカル信号を発振する水晶振動子とを含み、
前記水晶フィルタは、フィルタリングする周波数のずれの方向が、前記ローカル信号による検波時又は変調時の周波数のずれの方向と同じになる環境で動作するものであり、
前記第1の高周波無線機は、
前記第2の高周波無線機から送信され、前記ローカル信号により直接検波された信号と前記第2の高周波無線機との間で定めた拡散符号とを逆拡散することにより得られた信号の復調を行い、復調されたデータに基づいて前記対象物を制御するための処理を行う受信系処理手段と、前記拡散符号により拡散変調したデータに基づいて前記第2高周波無線機向けに前記ローカル信号により直接変調される信号を生成する処理を行う送信系処理手段とを有する、高周波無線による制御システム。 - 前記キャリア帯信号が間歇的な信号である、
請求項1記載の制御システム。 - 前記水晶フィルタは、[kHz]の帯域幅で前記キャリア帯信号をフィルタリングする、請求項2記載の制御システム。
- 前記水晶フィルタは、その温度特性及び経年変化特性を前記水晶振動子の温度特性及び経年変化特性と実質的に同じ環境にする一つのモジュール容器に収容されている、
請求項1,2又は3記載の制御システム。 - 前記送信系処理手段は、前記対象物より取得したデータに基づいて生成された信号の1次変調を行う1次変調回路を備え、この1次変調回路で変調された信号に対して前記拡散符号を用いて拡散変調を行う、
請求項1乃至4のいずれかの項記載の制御システム。 - 前記送信系処理手段と前記受信系処理手段とが、共通のタイミング信号に同期して処理動作を行う、
請求項5記載の制御システム。 - 前記第1の高周波無線機は、
受信したキャリア帯信号に含まれる信号成分の周波数と前記ローカル信号の周波数との差を検出し、検出した周波数差を表す周波数差データを所定のメモリに記録するとともに、前記第2の高周波無線機に送信すべき信号を変調する際に前記メモリから周波数差データを読み出し、読み出した周波数差データをもとに送信用のキャリア帯信号の周波数を補正する補正回路をさらに有する、
請求項1乃至6のいずれかの項記載の制御システム。
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