JP3977995B2 - サイクロン溶融装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はチャーや飛灰と排ガスを燃焼空気と共に筐体の内部に供給して加熱燃焼させ、生成された溶融スラグを回収するようにしたサイクロン溶融装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年は環境問題が注目を集めるようになり、都市ごみ等を焼却するごみ焼却炉においても排ガス、焼却飛灰等、各種排出物の規制が厳しくなってきている。特に、ダイオキシン類等の有害物質の低減やチャーの溶融処理時に生成される灰の無害化、減量化の対策が必要になってきた。また、都市ごみはプラスチック類の含有率の増加に連れて燃焼時の発熱量が増えてきており、廃棄物のエネルギー有効利用の観点からごみ焼却時に生じる発熱を有効利用する技術が求められている。そこで、ごみを部分燃焼させて生成された固形物と発生ガスを高温で燃焼、溶融させると共に、発生した熱を有効利用するようにしたごみ焼却処理設備が注目されるようになった。
【0003】
図3はかかる方式の従来のごみ焼却処理設備の概略構成を示す模式図である。ごみ焼却処理の概略を説明すると、昇温された流動床式ガス化炉3内に投入されたごみDは部分燃焼により熱分解してガス化され、灰分を含むチャー、可燃ガスおよび飛灰が生成される。なお、流動床式ガス化炉3の大きさはチャーがガスに同伴されてガス化炉3から排出される空塔速度となるように設計されている。ガス化炉3から排出され、燃焼飛灰供給管13を経て供給されたチャーと可燃ガスはサイクロン溶融炉4内に導入され、助燃バーナ5を用いて燃焼させられ、チャー中の灰分が溶融する。
【0004】
サイクロン溶融炉4から排出された排ガスは廃熱回収ボイラー6に導かれ、熱回収される。さらに、廃熱回収ボイラー6から排出された排ガスは空気予熱器2に導かれ、熱交換により空気を予熱した後、誘引通風機7により煙突8から大気中に放出される。一方、押込通風機1により供給され、前記の空気予熱器2で予熱された空気は予熱空気供給管10を経てガス化炉3用および助燃バーナ5用燃焼空気として、さらに、予熱空気供給管11を経てサイクロン溶融炉4内に導かれ、チャーや可燃ガスの部分燃焼用空気として消費される。
【0005】
また、特開平2−75814号公報には乾燥汚泥と空気とを旋回流としてサイクロン溶融炉内に供給することにより、溶融スラグを高温に保持して効率良く回収することができるようにした技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ガス化炉3内で安定したガス化を行わせるためにはガス化炉3の出口温度を約600〜700°C、また、層内温度を500〜600°Cとなるように制御する必要がある。内部で生成されたチャーや灰分の温度は出口温度と同じになる。また、ガス化炉3から排出されたチャーや灰分はサイクロン溶融炉4内に導入されて燃焼するが、その際に供給される燃焼用空気は空気予熱器2で200〜300°Cに予熱されたものである。この燃焼用空気はサイクロン溶融炉4内に導入される際にチャーや灰分と予め混合される。
【0007】
上述のように、ガス化炉3から排出される可燃ガス、チャーおよび灰分は高温(600〜700°C)に維持されているため、予熱空気と予め混合され、温度が低下する。ガス化炉3から排出された可燃ガス、チャーおよび灰分は温度が低下すると、可燃ガス中に揮発していたタール分が析出する。析出したタールは燃焼飛灰供給管13の出口付近の内面に付着し、そこにチャーや灰分が付着する。このような現象が起きると、やがて燃焼飛灰供給管13の出口付近が閉塞し、サイクロン溶融炉4の正常な運転を行えなくなる。
【0008】
本発明は従来技術におけるかかる不具合を解消すべく為されたものであり、燃焼飛灰供給管の出口付近のチャーや灰分の堆積による閉塞現象の発生を防止して、安定的に運転することができるサイクロン溶融装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、筐体の内部にチャーと灰分と可燃ガスを供給する燃焼飛灰供給管と予熱された燃焼空気を供給する予熱空気供給管とを筐体にほぼ並んで近接した位置に接続し、燃焼飛灰供給管から吹き出した飛灰流と予熱空気供給管から吹き出した空気流とが助燃バーナの火炎近傍で合流するようにしたものであり、更に、燃焼飛灰供給管と予熱空気供給管とがほぼ並んで筐体の外壁面の円周曲面の接線に対して鋭角を成すように筐体に接続されるようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。図1は本発明の実施例に係るごみ焼却処理設備のサイクロン溶融炉の構成を示す横鉛直方向断面図、図2は図1に示す仮想的な切断面A−Aに沿って切断した場合のサイクロン溶融炉の内部を示す斜視図である。これらの図において、11aは予熱空気供給管11がサイクロン溶融炉4に接続されて開口する空気出口開口部、13aは燃焼飛灰供給管13がサイクロン溶融炉4に接続されて開口する飛灰出口開口部である。従来例と同一または同一とみなせる箇所には同一の符号を附して重複する説明を省略する。
【0011】
これらの図に示すように、本実施例では予熱空気供給管11および燃焼飛灰供給管13を互いに独立してサイクロン溶融炉4の助燃バーナ5近傍に接続すると共に、両者がほぼ軸方向に並んで、円筒形状を成すサイクロン溶融炉4の外壁面の円周曲面の接線に対して小さな鋭角を成すように配設している。
【0012】
次に、本実施例の動作を説明する。上述のように、予熱空気供給管11および燃焼飛灰供給管13はほぼ並んでサイクロン溶融炉4の外周面の円周曲面の接線に対して鋭角を成すように配設されているので、空気出口開口部11aおよび飛灰出口開口部13aからそれぞれ独立して噴射された空気流aおよび飛灰流dはサイクロン溶融炉4の中心軸に沿って設けられた助燃バーナ5から噴射される火炎Fを中心にして取り巻くように、サイクロン溶融炉4の外壁面に沿ったほぼ同じ方向に吹き出すようになっている。そして、吹き出した空気流aおよび飛灰流dは所定角度旋回した後、合流点Pで合流し、混合流Sとなってサイクロン溶融炉4の外壁面に沿って旋回しつつ下流へ流れる。
【0013】
このように、混合流Sが旋回しつつ流れるため、サイクロン溶融炉4内を流れるのに要する時間が相対的に長くなり、火炎Fからの輻射伝熱や対流伝熱が効果的に行われるから、可燃ガスやチャーは燃焼し、灰分は安定的に溶融する。また、空気流aと飛灰流dはほぼ平行に接近して空気出口開口部11aおよび飛灰出口開口部13aから吹き出すから、飛灰流dは空気流aからの運動エネルギーを獲得して旋回力が増幅すると共に、燃焼飛灰供給管13からのチャーや飛灰の流出が加速される。さらに、予熱空気供給管11と燃焼飛灰供給管13を独立してサイクロン溶融炉4に接続させ、空気流aと飛灰流dがサイクロン溶融炉4の内部の合流点Pで合流するようにしたから、飛灰流dが空気流aによって冷やされてタール分が析出し、タールに付着したチャーや飛灰が飛灰出口開口部13a近傍に堆積して飛灰出口開口部13aを閉塞するという不具合の発生を防止できる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、燃焼飛灰供給管と予熱空気供給管とを筐体にほぼ並んで近接した位置に接続し、飛灰流と空気流とが助燃バーナの火炎近傍で合流するようにしたので、燃焼飛灰供給管から吹き出す飛灰流が予熱空気供給管から吹き出す空気流により冷やされないから、燃焼飛灰供給管の出口付近のチャーや灰分の堆積による閉塞現象の発生を防止して、安定的に運転することができる。
また、燃焼飛灰供給管と予熱空気供給管とがほぼ並んで筐体の外壁面の円周曲面の接線に対して鋭角を成すように筐体に接続されるようにしたので、飛灰流と空気流とが旋回流となって合流して流下するから、チャーや飛灰が完全燃焼して安定的に溶融できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係るごみ焼却処理設備のサイクロン溶融炉の構成を示す横断面図である。
【図2】 図1に示す仮想的な切断面A−Aに沿って切断した場合のサイクロン溶融炉の内部を示す斜視図である。
【図3】従来のごみ焼却処理設備の概略構成を示す模式図である。
【符号の説明】
4 サイクロン溶融炉
5 助燃バーナ
6 廃熱回収ボイラー
11 予熱空気供給管
11a 空気出口開口部
13 燃焼飛灰供給管
13a 飛灰出口開口部
a 空気流
d 飛灰流
F 火炎
P 合流点
S 混合流
Claims (1)
- 筒状に形成された筐体の内部に、ガス化炉から排出されたチャーや飛灰と排ガスを燃焼空気と共に供給して前記筐体の筒状底部中央に配設された助燃バーナにより加熱燃焼させ、生成された溶融スラグを回収するようにしたサイクロン溶融装置において、
前記筐体の内部にチャーと灰分と可燃ガスを供給する燃焼飛灰供給管と予熱された燃焼空気を供給する予熱空気供給管とを前記筐体にほぼ並んで近接した位置で前記筐体の外壁面の円周曲面の接線に対して小さな鋭角を成すように接続し、前記燃焼飛灰供給管から吹き出した飛灰流と前記予熱空気供給管から吹き出した空気流とが前記助燃バーナの火炎近傍で合流するようにしたことを特徴とするサイクロン溶融装置。
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