JP3982048B2 - 内部溶融炉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市ごみ焼却炉や各種焼却装置等から排出される未燃分を含んだ焼却灰などを溶融処理する内部溶融炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
都市ごみ、下水汚泥等の各廃棄物は、焼却施設で焼却処理され、生じた焼却灰や煤塵は、従来埋め立て処分されていた。しかし、埋立処分地枯渇の問題や有害重金属類の溶出による地下水汚染の問題があるため、溶融による減量・減容化と無害化の必要性が高まっている。
【0003】
このような背景から、ごみ焼却炉でごみを焼却する際、ごみを抑制燃焼(ガス化熱分解)して焼却灰の中に未燃分を残し、この未燃分を含む焼却灰を下流側の灰溶融炉で燃焼させ、その燃焼発生熱を灰の主溶融熱源とすることによって、外部から供給される熱量を減少させる内部溶融炉が提案され、一部で実処理が行われている。
【0004】
この内部溶融炉は、焼却灰中に含まれる未燃分の燃焼熱および灯油バーナなどの助燃装置の熱により炉内を高温に保ち、炉壁からの輻射熱や炉内のガスからの対流伝熱により焼却灰を溶融する。溶融スラグは、連続出滓され、下流側に設けられたスラグ冷却部に落下して急冷固化されて水冷スラグとなった後、コンベヤによりスラグピットに搬送される。焼却灰中の未燃分を燃焼させる空気は、蒸気や内部溶融炉出口排ガスなどにより加熱された後、高温空気として燃焼空気ノズルに供給される。また、この内部溶融炉の溶融部に面する炉壁は、飛灰などが付着して生じる溶損を抑えるために水冷壁構造にしてある。
【0005】
しかしながら、上記内部溶融炉では、ごみ焼却炉から排出される灰の量と溶融炉で溶融処理する灰の量がバランスしないと、溶融炉側において灰量過多により溶融スラグ中に未溶融の灰が混入することがある。
【0006】
そこで本願出願人は、これらの問題を解決するために、溶融炉側において灰量過多による未溶融灰の混入が生じても湯溜めによって灰を溶融し、また、旋回流により燃焼ガスの炉内滞留時間を長くして炉内の燃焼効率を高めることにより溶融処理能力の向上を図るようにした内部溶融炉を創案し、特許出願した(特願平9−224791(未公開))。
【0007】
図6および図7は、特願平9−224791に掲載された内部溶融炉に関するもので、図6はその断面図であり、図7は図6のA−A矢視図である。
図において、1は燃焼部2と灰溶融部3とからなる内部溶融炉である。燃焼部2は、焼却灰貯槽6と、焼却灰貯槽6の下部に連接され、底部に燃焼空気ノズル4を有する炉床5と、焼却灰貯槽6中の焼却灰12を炉床5へ押し出すプッシャ7とからなる。灰溶融部3は、横向きの円筒状をしており、燃焼部2の炉床5が灰溶融部3底部の一端に接線方向に接続され、灰溶融部3の他端はスラグ冷却部8に連接され、灰溶融部3上部の一端の接線方向に助燃装置9が接続されている。灰溶融部3内には燃焼ガス10の旋回流11を形成し、灰溶融部3底部に溶融スラグ13の湯溜め3aを形成している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特願平9−224791に掲載された内部溶融炉では、湯溜めが溶融部底部の円弧面に沿って形成されるため、溶融スラグの深さが浅く、未溶融灰を溶融するには必ずしも十分ではない。
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解決するために創案されたもので、溶融炉底部の湯溜めを深く形成するとともに、水冷壁構造部分の面積を小さく抑えるようにした内部溶融炉を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によれば、未燃分やRDFを含んだ焼却灰を、灰中の可燃分の燃焼発生熱を主溶融熱源として溶融する内部溶融炉であって、該内部溶融炉は、燃焼部と灰溶融部とスラグ冷却部とからなり、燃焼部は、焼却灰貯槽と、焼却灰貯槽の下部に連接され底部に燃焼空気ノズルを有する炉床と、焼却灰貯槽中の焼却灰を炉床へ押し出すプッシャとからなり、灰溶融部は、横向きの円筒状をしており、前記燃焼部の炉床が灰溶融部底部の一端に接線方向に接続され、灰溶融部の一端の接線方向に助燃装置が接続されていて、灰溶融部内に燃焼ガスの旋回流を形成し、灰溶融部底部に溶融スラグの湯溜めを形成した内部溶融炉において、灰溶融部とスラグ冷却部との間に、灰溶融部よりも半径が小さく、下端にとい部を有し、かつ、とい部底面と灰溶融部底面とを同一面となるようにした横向き円筒状の補助溶融部を介在させた内部溶融炉が提供される。なお、RDFとはごみ固形化燃料である。
【0011】
本発明の他の実施形態によれば、未燃分やRDFを含んだ焼却灰を、灰中の可燃分の燃焼発生熱を主溶融熱源として溶融する内部溶融炉であって、該内部溶融炉は、燃焼部と灰溶融部とスラグ冷却部とからなり、燃焼部は、焼却灰貯槽と、焼却灰貯槽の下部に連接され底部に燃焼空気ノズルを有する炉床と、焼却灰貯槽中の焼却灰を炉床へ押し出すプッシャとからなり、灰溶融部は、横向きの円筒状をしており、前記燃焼部の炉床が灰溶融部底部の一端に接線方向に接続され、灰溶融部の他端はスラグ冷却部に連接され、灰溶融部の一端の接線方向に助燃装置が接続されていて、灰溶融部内に燃焼ガスの旋回流を形成し、灰溶融部底部に溶融スラグの湯溜めを形成した内部溶融炉において、灰溶融部の中間に、下端に開口を有するリングを内嵌した内部溶融炉が提供される。
【0012】
次に本発明の作用を説明する。
ごみ焼却炉から排出される未燃分を含んだ焼却灰は、プッシャにより焼却灰貯槽から燃焼部の炉床へ押し出される。押し出された焼却灰は、炉床上で燃焼空気ノズルから噴出される高温の空気により未燃分が燃焼して、その熱により溶融されて溶融スラグとなり、炉床から下流側の灰溶融部へ流下する。この溶融スラグ中には、完全に溶融しない未溶融の灰分が含まれており、燃焼部からの燃焼ガス中には飛灰が含まれているが、灰溶融部内には燃焼部からの燃焼ガスと助燃装置からの燃焼ガスにより旋回流が形成されていて、その旋回流によって未溶融の灰分と飛灰は灰溶融部の円筒状の炉内壁に沿って旋回しながら溶融する。このとき、未溶融の灰が固まった状態で押し出されても底部にとい部を有する小径の補助燃焼部や下端に開口を有するリングを内嵌したので溶融スラグの流下が制限され、灰溶融部底部には多量の溶融スラグが溜まっており、灰は溶融スラグに触れて溶融する。また、燃焼ガスは円筒状の灰溶融部内を旋回するので、炉内滞留時間が長くなり、灰を完全に溶融することができ、溶融処理能力が向上する。補助燃焼部やリングの下流側では炉壁に溶融スラグがほとんど付着しないので水冷壁の必要がなく、損失熱量も少ない。溶融スラグはスラグ冷却部中に落ちて急冷固化する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1ないし図3は、本発明の一実施形態を示すものであり、図1は本発明による内部溶融炉の斜視図である。図2は図1の側面図であり、図3は図2のB−B矢視図である。なお、図6および図7で説明した内部溶融炉と共通する部材については、同じ符号を用いて説明する。
【0014】
図において、1は未燃分を含んだ焼却灰12を溶融処理する内部溶融炉である。この内部溶融炉1は、燃焼部2と灰溶融部3とスラグ冷却部8とから構成されている。
【0015】
燃焼部2は、焼却灰貯槽6と、この焼却灰貯槽6の下部に連接され底部に燃焼空気ノズル4を配設した炉床5と、焼却灰貯槽6中の焼却灰12を炉床5へ押し出すプッシャ7とから構成されている。また、燃焼空気ノズル4は、多数の空気孔を有しており複数本配設されている。
【0016】
灰溶融部3は、横向きの円筒状をしており、灰溶融部3の底部の一端は上記炉床5に接続されている。3aは灰溶融部3の底部に形成した溶融スラグ13の湯溜めである。灰溶融部3の一端の接線方向に昇温バーナやプラズマなどの助燃装置9が接続されている。10は燃焼ガスであり、11は燃焼ガス10の旋回流である。13は溶融スラグであり、13aはスラグ冷却部8内で冷却された冷却スラグでる。
【0017】
14は灰溶融部3の一端とスラグ冷却部8のスラグ排出部16との間に介在した補助溶融部で、灰溶融部3よりも半径が小さく、下端に凹状のとい部15を有している。また、この補助溶融部14は、とい部15の底面と灰溶融部3の底面とが同一平面になるようにしている。
【0018】
17はスラグ排出部16の中間に設けた排ガス排出管である。
【0019】
次に本発明の実施形態の作用について説明する。
ごみ焼却炉から排出される未燃分を含んだ焼却灰12は、プッシャ7により焼却灰貯槽6から燃焼部2の炉床5へ押し出される。押し出された焼却灰12は、炉床5上で燃焼空気ノズル4から噴出される高温の空気により未燃分が燃焼して、その熱により溶融されて溶融スラグ13となり、炉床5から下流側の灰溶融部3へ流下する。この溶融スラグ13中には、完全に溶融しない未溶融の灰分が含まれており、燃焼部2からの燃焼ガス中には飛灰が含まれているが、灰溶融部3内には燃焼部2からの燃焼ガス10と助燃装置9からの燃焼ガスにより旋回流11が形成されていて、その旋回流11によって未溶融の灰分と飛灰は灰溶融部3の円筒状の炉内壁に沿って旋回しながら溶融する。このとき、未溶融の灰が固まった状態で押し出されても底部にとい部15を有する小径の補助燃焼部14や下端に開口を有するリング18を内嵌したので溶融スラグ13の流下が制限され、灰溶融部3底部には多量の溶融スラグ13が溜まっており、灰は溶融スラグ13に触れて溶融する。また、燃焼ガス10は円筒状の灰溶融部3内を旋回するので、炉内滞留時間が長くなり、灰を完全に溶融することができ、溶融処理能力が向上する。補助燃焼部14やリング18の下流側では炉壁に溶融スラグ13がほとんど付着しないので水冷壁の必要がなく、損失熱量も少ない。溶融スラグ13はスラグ冷却部8中に落ちて急冷固化する。
【0020】
図4および図5は、本発明の他の実施形態を示すもので、図4は内部溶融炉の側面図であり、図5は図4のB−B断面図である。
図において、18は円筒状の灰溶融部3内の中間に内嵌したリングで、下端に開口18aを有しており、溶融スラグ13をリング18の上流側の灰溶融部3内に多量に滞留させる。なお、他の構成については、図1ないし図3示した内部溶融炉と同じであり、重複する説明を省略する。
【0021】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施形態では、未燃分を含む焼却灰の溶融について説明したが、未燃分が少ない焼却灰を溶融する場合には、ごみ固形化燃料(RDF(Refused Derived Full) )を投入して灰の溶融熱源とすることができるなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更し得ることは勿論である。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、灰溶融部底部の湯溜めに多量の溶融スラグを滞留するようにしたので、未燃灰を完全に燃焼することができるとともに、水冷壁構造部分の面積を小さく抑えることができるなどの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による内部溶融炉の斜視図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図2のB−B矢視図である。
【図4】本発明の他の実施形態の内部溶融炉の側面図である。
【図5】図4のC−C矢視図である。
【図6】特願平9−224791に掲載された内部溶融炉の側面断面図である。
【図7】図6のA−A矢視図である。
【符号の説明】
1 内部溶融炉
2 燃焼部
3 灰溶融部
3a 湯留め
4 燃焼空気ノズル
5 炉床
6 焼却灰貯槽
7 プッシャ
8 スラグ冷却部
9 助燃装置
10 燃焼ガス
11 旋回流
12 焼却灰
13 溶融スラグ
14 補助溶融部
15 とい部
16 スラグ排出部
17 排ガス排出管
18 リング
18a 開口

Claims (2)

  1. 未燃分やRDFを含んだ焼却灰を、灰中の可燃分の燃焼発生熱を主溶融熱源として溶融する内部溶融炉であって、該内部溶融炉は燃焼部と灰溶融部とスラグ冷却部とからなり、燃焼部は、焼却灰貯槽と、焼却灰貯槽の下部に連設され、上流側の底部に燃焼空気ノズルを有していて、焼却灰中の可燃分の燃焼が行われる上流側の部分と焼却灰の溶融スラグとして流下する下流側の部分を有するとともに出口に向かって下り勾配の炉床と、焼却灰貯槽中の焼却灰を炉床へ押し出すプッシャとからなり、灰溶融部は、燃焼部で発生した未溶融の灰が含まれた溶融スラグの未溶融の灰を完全に溶融する部分であり、横向きの円筒状をしており、前記燃焼部の炉床が灰溶融部底部に接線方向に接続され、燃焼部で発生した燃焼ガスが灰溶融部内に燃焼ガスの旋回流を形成し、灰溶融部上部の一端の接線方向に助燃装置が接続されていて、灰溶融部内に、燃焼部で発生した燃焼ガスによる旋回流と同方向の燃焼ガスの旋回流を形成し、灰溶融部底部に溶融スラグの湯溜めを形成した内部溶融炉において、灰溶融部とスラグ冷却部との間に、灰溶融部よりも半径が小さく、下端にとい部を有し、かつ、とい部底面と灰溶融部底面とを同一面となるようにした横向き円筒状の補助溶融部を介在させてなり、上記とい部によって灰溶融部からの溶融スラグの流下を制限して灰溶融部底部に多量の溶融スラグが溜まった状態にして、その湯溜めと接触することによって固まった状態で上記燃焼部から押し出された未溶融の灰を溶融するようにしたことを特徴とする内部溶融炉。
  2. 未燃分やRDFを含んだ焼却灰を、灰中の可燃分の燃焼発生熱を主溶融熱源として溶融する内部溶融炉であって、該内部溶融炉は燃焼部と灰溶融部とスラグ冷却部とからなり、燃焼部は、焼却灰貯槽と、焼却灰貯槽の下部に連設され、上流側の底部に燃焼空気ノズルを有していて、焼却灰中の可燃分の燃焼が行われる上流側の部分と焼却灰の溶融スラグとして流下する下流側の部分を有するとともに出口に向かって下り勾配の炉床と、焼却灰貯槽中の焼却灰を炉床へ押し出すプッシャとからなり、灰溶融部は、燃焼部で発生した未溶融の灰が含まれた溶融スラグの未溶融の灰を完全に溶融する部分であり、横向きの円筒状をしており、前記燃焼部の炉床が灰溶融部底部に接線方向に接続され、燃焼部で発生した燃焼ガスが灰溶融部内に燃焼ガスの旋回流を形成し、灰溶融部の他端はスラグ冷却部に連接され、灰溶融部上部の一端の接線方向に助燃装置が接続されていて、灰溶融部内に、燃焼部で発生した燃焼ガスによる旋回流と同方向の燃焼ガスの旋回流を形成し、灰溶融部底部に溶融スラグの湯溜めを形成した内部溶融炉において、灰溶融部の中間であって上記燃焼部の炉床との接続部の下流側に、下端に開口を有するリングを内嵌してなり、該リングの上記開口は下端の高さは上記灰溶融部底部の高さと同一であり、該開口によって灰溶融部の上記リングの上流側からの溶融スラグの流下を制限して灰溶融部の上記リングの上流側の底部に多量の溶融スラグが溜まった状態にして、その湯溜めと接触することによって固まった状態で上記燃焼部から押し出された未溶融の灰を溶融するようにしたことを特徴とする内部溶融炉。
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