JPS6240607B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、下水汚泥などの産業廃棄物や、ある
いはそれらを必要に応じて予め乾燥焼却や粉砕処
理した中間処理物を、埋立てに使用した時に重金
属が流出しないようにしたり、あるいは建設骨材
に利用できるようにする等のために焼却、溶融す
る方法に関し、詳しくは、炭素系可燃物質によつ
て形成した高温炉床の上部において、前記高温炉
床への燃焼用酸素含有ガスの供給により産業廃棄
物あるいはその中間処理物を焼却溶融させると共
に、燃焼排ガスを前記高温炉床の上方に形成した
上昇流路と前記高温炉床の下部に接続した流路に
排出させる廃棄物溶融方法に関する。

廃棄物をコークス等の炭素系可燃物質によつて
直接燃焼させる方法をとれば、イニシヤルコスト
並びにランニングコストを引き下げる事ができて
好ましいが、その焼却溶融に必要な高温を得るた
めに燃焼用酸素含有ガスを大量供給する必要があ
り、また廃棄物が発生燃焼ガスに晒される事とな
り、その結果、廃棄物燃焼層の上面における燃焼
排ガスの高速吹出しによつて廃棄物の焼却灰分あ
るいは廃棄物の微粉などのダストが飛散しやすく
なり、それが排ガスに同伴して排煙による二次公
害や排ガス流路系の閉塞などを招く危険性が大で
あつた。

本発明は、上述の実情に鑑みて、極めて簡単な
手段でもつて、ダクトの飛散防止を効果的に行な
わせられるようにし、その上、高温炉床まわりの
耐火レンガの損傷を軽減する事を目的とし、冒記
した廃棄物の溶融方法において、前記産業廃棄物
あるいはその中間処理物を、その燃焼ガス中に不
完全燃焼成分が比較的多量に含まれるように燃焼
用酸素含有ガス供給量を少なくした状態で焼却、
溶融すると共に、前記上昇流路からの排ガスの温
度検出値を設定範囲内に維持させるべく、前記高
温炉床下部側排ガス流路からの高温排ガスを前記
上昇流路に供給する事を特徴とする。

即ち、燃焼排ガスの発生量を少なくさせて、廃
棄物の燃焼層上面における燃焼排ガスの吹出し速
度を低く抑えるようにし、それによつてダストの
飛散防止を行なわせるもので、排煙公害や排ガス
系のトラブルを抑制できる。

そして、廃棄物を不完全燃焼によつて焼却溶融
させるので、高温炉床まわりにおける最高燃焼温
が低くなり、その炉床まわりの耐火レンガの損傷
を軽減できる。

しかし、そのように酸素含有ガス量を少なくす
ると、発熱量の低下によつて発生排ガスの温度が
低くなつて、ガス中の水分が排ガス系の内壁面に
結露したり、あるいは排ガスを後燃焼させるに再
加熱を行なわなければならなくなる等の別の問題
を生じる。

その点にあつて、溶融物排出流路からの高温排
ガスを前記上昇流路の排ガスに供給混合させる事
により、酸素含有ガスの供給量を少なくする事に
伴うトラブルを未然に解消でき、全体として、簡
単な手段でもつて、焼却処理上のトラブルを生じ
させる事なく良好な操炉状態を維持させる事がで
きるようになつた。

次に、本発明の実施の態様を例示図に基いて詳
述する。

産業廃棄物例えば乾燥処理させた下水汚泥を焼
却溶融するための溶融炉を構成するに、炭素系可
燃物質例えばコークスによつて高温炉床１を形成
するための燃焼部２と、反射式などの溶融物取出
し炉体３を、前記燃焼部２の底部近くで連通させ
て架台４に設け、かつ前記燃焼部２の底部分２ａ
を開閉自在に構成してコークスの燃焼滓を取り出
せるようにすると共に、燃焼排ガス用の流路５
を、その始端側に前記高温炉床１の直上方におい
て上拡がりになるテーパー面部分５ａを形成し
て、それを前記高温炉床１の上方に連設し、そし
て前記高温炉床１を形成するためのコークス供給
用並びにその高温炉床１の上面への乾燥汚泥供給
用の兼用流下路６を、その流下開口を高温炉床１
の上方近くに位置させる状態で、かつその流下延
長線を前記高温炉床１の上面中央付近に向わせる
状態で、前記排ガス用上昇流路５に下降傾斜させ
て接続して、乾燥汚泥を高温炉床１の上面に均等
に供給させるようにすると共に、前記燃焼部２へ
の供給コークスに対する着火用の燃焼装置７と、
排ガス廃熱利用の熱交換器（図外）からの燃焼用
酸素含有ガスの供給管１０を前記炉体３に設け、
その内の高温炉床１に供給する羽口９からの燃焼
用酸素含有ガスの供給量を、その燃焼ガス中に比
較的多量の不完全燃焼成分を含む状態で乾燥汚泥
を焼却すべく、その供給量を少なく設定し、もつ
て高温炉床１の上面の上拡がり部分５ａのほぼ上
端にまで乾燥汚泥を充填する状態を維持させるよ
うに、その高温炉床１の上面部分に乾燥汚泥を均
等に供給させて、それを高温炉床１の上部におい
て酸素ガス不足の状態で焼却溶融させると共に、
その溶融物を高温炉床１の下部側から炉体３に取
出し、そして燃焼用酸素含有ガスの供給量を小に
して燃焼排ガスの発生量を少なくする事によつ
て、その汚泥燃焼層上面への燃焼排ガスの吹き出
し速度を小にしてダストの飛散を抑制すると共
に、上昇流路５の横断径を大にして排ガスの上昇
流速を小にし、かつその流路高さを高くして排ガ
スを整流化させる事によつて、ダストの自重降下
による分離性を向上させ、それらの相乗によつて
効果的にダストを分離除去させて、その燃焼排ガ
スを上昇流路５の上部から流出させるようにして
ある。

更に、廃棄物を不完全燃焼させて高温炉床１ま
わりの最高燃焼温度を下げ、その炉床１まわりの
耐火レンガの損傷を軽減できるようにしてある。

前記炉体３を構成するに、第１図及び第２図に
示すように、前記高温炉床１の下部側にロストル
１１を介して耐熱炉殻側壁１２ａに第１及び第２
出滓口１３ａ，１３ｂを設け、かつそれらに対す
る耐熱栓１４をシリンダ１５で開閉自在に構成す
ると共に、出滓口１３ａ，１３ｂの夫々に対する
取出し溶融物の案内樋１６を設け、そして他方の
炉殻側壁１２ｂに、前記燃焼用酸素含有ガスの供
給管１０と高温排ガスの排出流路１７を接続して
あり、前記高温排ガス排出流路１７を、前記排ガ
ス用上昇流路５からの下降傾斜流路１８に接続し
たサイクロン１９の下流側流路２０に接続すると
共に、前記流路１７からの一部の高温排ガスを流
路２１を通して前記上昇流路５に供給させ、かつ
前記流路１７，２０の合流部近くの下流側に空気
供給管２２を接続して、上昇流路５からの不完全
燃焼排ガスを後燃焼させるようにしてある。

前記上昇流路５に対する高温排ガスの供給路２
１に流量制御弁Ｖを設け、前記排ガス用下降傾斜
流路１８の始端側に排ガス温度検出装置２３を設
けると共に、この温度検出装置２３からの情報に
よつて前記制御弁Ｖによる排ガス供給量を自動調
節する制御機構２４を設け、もつて排ガス中の水
分を流路５，１８，２０やサイクロン１９の内壁
面に付着させないように、あるいは不完全燃焼排
ガスの後燃焼を容易に行なわせられるように、前
記温度検出装置２３による排ガス温度検出値を設
定範囲内に維持させるようにしてある。

第３図は、前記燃焼部２の変形構造を示し、耐
熱炉殻２５の下部側にロストル２６を介して溶融
物の貯留部２７を設けると共に、その貯留部２７
に出滓レベルよりも低い位置で溶融物をオーバー
フローで取出す流路２８を設けて、トラツプ式の
溶融物取出部を構成し、そして、出滓部とは反対
側に、前記高温炉床１から直接的に高温排ガスを
排出する流路１７を接続すると共に、その流路１
７をサイクロン下流側流路２０に接続し、かつ一
部の排ガスを流路２１から前記上昇流路５に供給
させるようにしてある。

尚、前記高温炉床１を形成するに、黒鉛電極屑
など各種の炭素系可燃物質を利用でき、また上記
の溶融炉は、下水汚泥の外に、例えばタイヤ屑、
都市ゴミ焼却灰、廃触媒など各種の産業廃棄物あ
るいは中間処理物を処理対象にできる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る廃棄物溶融方法に用いる溶
融炉の実施の態様を例示し、第１図は全体縦断側
面図、第２図は溶融物並びに高温排ガスの取出し
部の断面図であり、第３図はその変形構造の概略
断面図である。 １……高温炉床、５……排ガス上昇流路、１
７，２１……高温炉床下部側排ガス流路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 炭素系可燃物質によつて形成した高温炉床１
   の上部において、前記高温炉床１への燃焼用酸素
   含有ガスの供給により産業廃棄物あるいはその中
   間処理物を焼却溶融させると共に、燃焼排ガスを
   前記高温炉床１の上方に形成した上昇流路５と前
   記高温炉床１の下部に接続した流路１７，２１に
   排出させる廃棄物溶融方法であつて、前記産業廃
   棄物あるいはその中間処理物を、その燃焼ガス中
   に不完全燃焼成分が比較的多量に含まれるように
   燃焼用酸素含有ガス供給量を少なくした状態で焼
   却、溶融すると共に、前記上昇流路５からの排ガ
   スの温度検出値を設定範囲内に維持させるべく、
   前記高温炉床下部側排ガス流路１７，２１からの
   高温排ガスを前記上昇流路５に供給する事を特徴
   とする廃棄物溶融方法。