JP3977950B2 - 玉葱調製機の搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、収穫された玉葱等の野菜の茎や根を出荷に適するように切断する調製機の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の玉葱等の収穫物調製機においては、左右一対のスクリュー軸よりなる第一搬送手段を横設し、該第一搬送手段の下流側の上部に左右対向して配置されたベルト等の無端体よりなる第二搬送手段を配置し、該第二搬送手段の後部の上方に水平状のディスクカッターによる根部用の切断手段が配置され、第二搬送手段後部と第一搬送手段後部との間に茎用のディスクカッターより成る切断手段が配置されており、前記第一搬送手段で茎を挟んで下方に向けて根部を上方へ向けながら下流へ搬送し、搬送途中より第二搬送手段で玉葱の本体を挟みながら後上方へ搬送して前記切断手段で茎と根との両方を切断する技術は特開平7−67605で公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の技術においては、第一搬送手段の前部では玉葱の茎を下方に向けて切断に適した姿勢とさせており、第一搬送手段と第二搬送手段との両者で玉葱を挟持して後方に搬送し切断させているが、この切断時には、両搬送手段で玉葱を挟持して搬送しているため整列時と切断時とで速度を等しくしており、一度に第一搬送手段に玉葱を供給すると、固まって搬送されてしまい、切断が正確に行われないことがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の不具合を解消するために、次の如く構成したものである。
請求項1においては、玉葱調製機の搬送部を、玉葱の茎を下方に向けるように整列させて搬送する整列搬送装置と、該整列搬送装置より受け継いで切断部へ挟持しながら搬送する挟持搬送装置とにより構成し、該整列搬送装置と挟持搬送装置とは前後方向に配置し、 該整列搬送装置と挟持搬送装置とを変速機構を介して連動連結し、該挟持搬送装置を、前記整列搬送装置による搬送速度より速い搬送速度で搬送する左右一対の挟持ベルトにより構成し、前記切断部は、該挟持搬送装置の上方に配置されて、玉葱の根を切断する根切断装置と、該挟持搬送装置の下方に配置されて、玉葱の茎を切断する茎切断装置とから構成したものである。
請求項2においては、請求項1記載の玉葱調製機の搬送装置において、前記整列搬送装置の後部に玉葱の搬送姿勢を垂直方向にする空間(S)を形成し、該空間(S)の左右両側に、平面視で略V型に前方に向かって広がる挟持ベルトにより構成し、前記整列搬送装置より速く搬送する挟持搬送装置の前部を配置したものである。
請求項3においては、請求項1記載の玉葱調製機の搬送装置において、前記整列搬送装置は、左右一対の軸上に螺旋状のスクリュー搬送部を形成し、該整列搬送装置の後部に、搬送作用が殆どなく茎を下方へ引き込み姿勢を整える空間(S)を形成したものである。
請求項4においては、請求項1記載の玉葱調製機の搬送装置において、前記切断部を構成する根切断装置の刃を、左右水平方向の軸を中心に回転可能とするとともに、玉葱の搬送方向と反対方向に刃が回転するように構成したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を添付の図面を用いて説明する。図1は本発明の玉葱調製機の左側面図、図2は同じく正面図、図3は同じく平面図、図4は玉葱調製機の搬送部と切断部とを示す正面図、図5は搬送ブラシの正面断面図と整列羽根の正面図、図6は整列羽根と搬送ブラシの側面図、図7は搬送ブラシと挟持搬送装置及び根切断装置の側面図部分断面図、図8は挟持搬送装置及び根切断装置と茎切断装置とを示す後面断面図、図9は搬送ブラシと挟持搬送装置との駆動伝達構成を示す後面断面図、図10は複数の玉葱調製機を並設して大量の玉葱を調製するラインを構成した図である。
【0006】
本発明の玉葱調製機1は、移動用キャスター10a付きの設置台10上に立設した、複数の支柱12・12・・・により、左右略平行の機台11・11・・・を前後方向(図1における左右方向)に支持し、中央の機台11・11間は、該玉葱調製機1の前方(図1における左側)において補強フレーム13を横架している。そして該機台11・11上に搬送部2が配設され、搬送部2の前側には整列搬送装置16が配置され、その後方に挟持搬送装置17が配置されている。前記整列搬送装置16では、玉葱の茎を下方に向けた姿勢に整列させる整列行程が行われ、後側の挟持搬送装置17では整列された玉葱を切断部3に案内して玉葱の根及び茎を切断する切断行程が行われている。前記切断部(3)は、挟持搬送装置17の上方に配されて玉葱の根を切断する根切断装置4と、下方で玉葱の茎を切断する茎切断装置6等とから構成されている。挟持搬送装置17後方には排出部7が形成され調製後の玉葱を排出することとしている。
【0007】
また、前記移動用キャスター10a・10a・10a・10aで支持された設置台10下方には、前後方向に複数個のゴミ受け32・32・32が着脱可能に取付けられており、該ゴミ受け32・32・32内に玉葱の搬送時に剥がれ落ちた玉葱の表皮や土、切断された根や茎等が落下されている。
【0008】
次に、前記整列搬送装置16に玉葱を供給するホッパ19について説明する。該ホッパ19は前記整列搬送装置16の上方に設けられ、その後端にはコンテナ台19aを傾動可能に軸支している。このコンテナ台19aは前記切断部3の上方に位置しており、収穫した玉葱が入ったコンテナ19bを納置可能としている。そして、図1の鎖線で示すようにコンテナ台19aとともにコンテナ19bを傾けることにより、コンテナ内19bの玉葱を前側のホッパ19内に投入できるようにしている。
【0009】
ホッパ19は前後左右を、側板により覆われる構成としており、底面には複数の桟9・9・・・を平行に装架している。そして、この桟9・9・・・の下方にはゴミ受け9aが配設され、玉葱についた泥土等や玉葱から剥がれた表皮のクズ等が、桟9・9・・・の間を通過して下方のゴミ受け9aに落下するようにしている。また、この桟9・9・・・は側面視で前側が上、後側が下となるように適宜傾斜させており、ホッパ19に投入された玉葱は桟9・9・・・上を後下方へ転がって移動する。
【0010】
そして、ホッパ19後部においては玉葱を排出するために左右一側側面(搬送方向の右側)の側板を一部欠切しており、該欠切部分から前記整列搬送装置16に玉葱を案内するためのシュート部15をホッパ19に周設している。該シュート部15は、ホッパ19の側板に沿うように平面視L字状に曲げられた通路としており、また床面を後側が上、前側が下となるように適宜角度だけ傾斜させた構造としている。
【0011】
この構成により、玉葱調製機1の右側より作業者がホッパ19内の玉葱の中からから腐っていたり欠けていたりした不良な玉葱を選別して機外に取り出し、それ以外の玉葱をシュート部15に導いて該シュート部15内を転がせて前方に移動させ、該シュート部15終端に設けたガイド15a・15aに案内されて整列搬送装置16の始端に落下させる。
【0012】
また、前記ホッパ19下方に配置されたゴミ受け9aは、左側方よりスライドさせて取り外し可能になっており、作業者が右側にいる調製作業時には取り外すことができず、作業の終了時に作業者が玉葱調製機1の左側に移動して、ゴミ受け9aをシュート部15を配置した逆側の左方へ引き出して、内部に溜まった屑等を図2に示す矢印c方向へ引き出すことで取り出せるようにしている。同様に、図3に示すように設置台10下方に配したゴミ受け32・32・32を左側へスライドさせて取り外して、堆積したクズ等を排出できるようにしている。このように、ゴミ受け32・32・32及びゴミ受け9aの取り外し方向を統一し、作業を行う右側に対して逆の左側としたことで、ゴミ受け32・32・32及びゴミ受け9aを取り外す作業が一方向から容易にでき、クズ等を機外の床等に落下させることがないのである。
【0013】
また、前記整列搬送装置16は二本の搬送ブラシ20・20と整列羽根28・28とで構成され、搬送ブラシ20・20は、図1で示すように玉葱調製機1の前方から後方にかけて前後方向に略平行に配置されたブラシ回転軸20a・20bに相対回転不能に取り付けられている。該ブラシ回転軸20a・20bの前端は補強フレーム13に固定した支持部材に軸支され、後端は機台11に橋架した支持部材に軸支される。また、二つのブラシ回転軸20a・20bの前端にはそれぞれ入力スプロケット21a・21bが固設され、設置台10前部に載置されるモータ22よりベルト24a・24b、チェーン24cを介して動力が伝達され、左右の搬送ブラシ20・20を図2における矢視X及び矢視Y方向に回転駆動させることにより、ブラシ回転軸20a・20bがそれぞれ互いに逆方向の内側に等速で回転駆動される。
【0014】
また、搬送部2の前方側には搬送ブラシ20・20の左右両側に側方ガイドフレーム14・14が装着されている。側方ガイドフレーム14・14の高さは搬送ブラシ20・20上を搬送される玉葱が搬送ブラシ20・20上から側方へ落下しないように適宜調整可能として、玉葱が搬送ブラシ20・20の間上を後方へ搬送されるように案内している。
【0015】
また、前記搬送ブラシ20・20は、図4、図5に示すように、搬送ブラシ20の前部より前後途中部までの間に、ブラシ回転軸20a・20bの回りにスポンジやゴムや発泡性の合成樹脂等の弾性体を螺旋状に巻設してスクリュー搬送部20cが形成されている。前記スクリュー搬送部20c以外の搬送ブラシ20外周面に、ブラシ回転軸20を中心に毛体を、等間隔に突出させたブラシ部20dが形成されている。該ブラシ部20dも搬送ブラシ20の前端からスクリュー搬送部20cのピッチに合わせて螺旋状に形成され、スクリュー搬送部20cの後端部より後方の外周面は全てブラシ部20dとなっている。このブラシ部20dの毛先に茎が引っかかり回転に沿って茎を下方へ引っ張るのである。
【0016】
また、左右の搬送ブラシ20・20のスクリュー搬送部20cの螺旋は逆向きで等しいピッチに形成され、等しい回動速度で互いに逆方向の内側に向けて回動して、対向したスクリュー搬送部20c・20cは略当接するようにしている。こうして、玉葱が搬送される左右の搬送ブラシ20・20の上面は、スクリュー搬送部20c・20cとブラシ部20d・20dとが搬送方向に交互に並ぶようになり、このブラシ部20d・20dに玉葱を受け入れられ、螺旋状のスクリュー搬送部20c・20cにより後方へ押進されている。このスクリュー搬送部20c・20cを形成した構成は、搬送ブラシ20を螺旋状に配したブラシで形成した構成に比べて、搬送ブラシ20・20上で玉葱がスリップして滞留することがないように、スクリュー搬送部20c・20cの回転力を玉葱に確実に伝達でき、搬送能力を高くできるのである。
【0017】
また、ホッパ19の下方であって、前記搬送ブラシ20の搬送作用を有するスクリュー搬送部20c・20cの前後中央位置の直上方に整列羽根28が配置されている。
【0018】
前記整列羽根28は、図4〜図6に示すように、スクリュー搬送部20c・20cの搬送方向の略中央位置の左右外方に軸線を垂直に向けた縦回転軸28a・28aの上部に固設されたものである。前記搬送ブラシ20下端より下方に縦回転軸28a・28a下部が突設され、下端部にプーリー28b・28b’が固設され、前記伝動軸5に設けられた第二出力プーリー5cからベルト40を介して駆動力を得て、図中の矢印z・zのように互いに逆方向に回動させている。また、左右の両回転軸28a・28aは、平面視で前後位置をずらした構成としており、回転させたときに左右の整列羽根28・28の先端が搬送中心を通過し、互いに干渉しないようにしている。更に、前記搬送ブラシ20・20とベルト40等の動力伝達部との間にカバー42が配置され、玉葱の外皮や土等の屑が動力伝達部にかからないようにしている。
【0019】
更に、前記整列羽根28は、図4、図5に示すように、縦回転軸28a上部の接線方向に当接棒90を突設させて、該当接棒90の回動方向の前面に整列羽根28を固設した構成となっている。即ち、前記縦回転軸28a上部に平面視四角形状のボス28cが固設され、該ボス28cの各面上部に当接棒90の一端を固設させて、縦回転軸28aの接線方向に当接棒90他端を突設している。該当接棒90はゴムや樹脂等の弾性体より形成され、搬送される玉葱に当てた際に傷をつけないようにしている。該当接棒90に固設される整列羽根28は樹脂性の板体等より形成され、三角形状に当接棒90より下方に延出して玉葱の玉の部分に当たらないようにし、整列羽根28を縦回転軸28aの回転により下方へ向けて風を起こすようにしている。
【0020】
従って、シュート部15から整列搬送装置16の始端側に落下した時点では、玉葱の姿勢は様々であるが、茎が上を向いている場合は、整列搬送装置16で搬送される途中で両整列羽根28を固設した各当接棒90・90・90・90で玉葱の該茎部を押倒して玉葱を回転させることで、二本の搬送ブラシ20・20の間へ茎部が引き込まれ、下方への回動作用によって茎が下を向き、根の部分が上を向いた倒立の姿勢となって、玉葱の姿勢を揃える。そして、スクリュー搬送部20c・20c後端部より後方まで搬送されると、ブラシ部20d・20dの回転のみが働いて茎は下方へのみ引っ張れて、根部は真上を向く姿勢が維持される。このように玉葱の姿勢を上下逆の姿勢に揃えることで、挟持搬送装置17上方の根切断装置4で根を切断でき、挟持搬送装置17下方の茎切断装置6で茎を切断することができるようにしている。また、このブラシ部20d・20dの位置では送り作用がなく、スクリュー搬送部20c・20cで押し出された次の玉葱に押し出されて移動する玉突き式となっている。
【0021】
また、整列羽根28によって玉葱が押倒されて整列されるとともに、整列羽根28・28・・・の回転で下方への風が起こり、当接棒90・90・90・90で玉葱の茎部を押倒した際や搬送の際に、玉葱の外皮が剥がれたり土等が落下しても、周囲に飛散しないように強制的に下方に送り、前記ゴミ受け32内に落下させている。また、搬送ブラシ20・20のブラシ部20d内に入り込んで目詰まりを生じさせることがなく、搬送ブラシ20・20による搬送精度を良好に保つようにしている。
【0022】
また、前記挟持搬送装置17の前部は、前記整列搬送装置16である搬送ブラシ20・20後部と一部で平面視でラップし、搬送が途切れないようにし、搬送ブラシ20・20後部で支持している玉葱を整列搬送装置16を構成する左右の挟持ベルト30・30前部で受け継いで切断行程を行うようにしている。
【0023】
前記挟持搬送装置17は、搬送された玉葱を挟持して搬送するものであり、図4、図7で示すように、この挟持搬送装置17は、左右の機台11・11に支持されたローラ台34に複数のテンションローラ33・33・・・及び左右一対の駆動ローラ35・35及びベルト搬送ローラ36・36が左右対称に配置し、その支持軸を垂直方向に向けて回転自在に軸支している。そして、左右のテンションローラ33・33・・・、駆動ローラ35・35及びベルト搬送ローラ36・36にはそれぞれ挟持ベルト30・30を巻回し、該挟持ベルト30をスポンジ状のベルトで構成して、両挟持ベルト30・30によって玉葱を挟持して搬送できるようにしている。
【0024】
また、前記挟持ベルト30は平面視において玉葱調製機1の前後方向に長い略楕円形状となるよう巻回されている。さらに前記テンションローラ33・33・・・はアーム端部に枢支されバネによって付勢され、巻回された挟持ベルト30・30の左右幅を広げ、左右各々の挟持ベルト30・30の内側中央部の間隔を玉葱の幅より狭めるように付勢して、玉葱を挟みこんで搬送し、根や茎を切断するときに玉葱がぶれて切断位置がずれないようにしている。
【0025】
また、左右の挟持ベルト30・30には、図7、図9で示すように、左右のブラシ回転軸20a・20bのそれぞれの回転が変速機構を介して水平伝動軸74・74に伝達され、水平伝動軸74・74より垂直伝動軸78・78を介して駆動ローラ35・35に駆動力が伝達され、挟持ベルト30・30が駆動されている。つまり、搬送ブラシ20・20と挟持ベルト30・30は同一の動力源であるモータ22より両搬送装置16・17が駆動されている。
【0026】
前記ブラシ回転軸20a・20bの回転を伝える変速機構は、ブラシ回転軸20a後端部に固設したスプロケット73と、水平伝動軸74前端部に固設したスプロケット75とがチェーン76で巻回され両者が連動連結されている。この両スプロケット73・75による変速比を適正に設定することで、搬送ブラシ20・20の駆動を整列に適した速度とし、挟持ベルト30・30の駆動を切断に適した速度に合わすことができる。また、前記挟持ベルト30・30による搬送速度を搬送ブラシ20・20による搬送速度よりも相対的に速くさせることで、後述する如く、搬送ブラシ20・20から挟持ベルト30・30への受け継ぎがスムースに行われる。尚、前記変速機構は、スプロケット73・75、チェーン76に限定するものでなく、ギヤ等で構成して整列搬送装置16のブラシ回転軸20aと挟持搬送装置17側へ動力を伝達する水平伝動軸74とを連動させることもできる。
【0027】
また、前記挟持搬送装置17の前部を構成する、左右の従動ローラ36・36の間隔は、前記搬送ブラシ20・20の左右間隔より広く形成され、これに対して最前部のテンションローラー33・33間隔は狭くなっており、この部分の挟持ベルト30・30が平面視で略V型に前方に向かって左右間隔が広がるように形成されている。この略V型の空間Sでは左右の挟持ベルト30・30による玉葱の挟持して搬送することはなく、その後方の最前部のテンションローラー33・33間の挟持ベルト30・30で玉葱を挟持して搬送する挟持開始位置Pとなっている。
【0028】
よって、前記搬送ブラシ20・20のスクリュー搬送部20c・20cでこの空間Sに至ると送り作用がないためブラシ部20d・20dの回転によって茎部は下方へのみ引っ張れて根部は真上を向く姿勢となる。この姿勢のまま次に搬送されてきた玉葱によって押し出され、挟持開始位置Pより挟持ベルト30・30で挟持搬送れるのである。この時、挟持ベルト30・30による搬送速度が搬送ブラシ20・20による搬送速度より速いので、この受け継ぎ位置である空間Sに位置する玉葱が次に搬送されて来た玉葱で押し出される時には、挟持開始位置Pには既に玉葱が無く、受け入れ可能となっており詰まることがないのである。 また、前記搬送ブラシ20・20の搬送力はスクリュー搬送部20c・20cを形成したことで搬送速度が速められているが、この搬送ブラシ20・20での搬送速度よりさらに挟持ベルト30・30での搬送速度が速くなっており、調製処理する処理能力が高められているのである。
【0029】
また、前記挟持開始位置Pの上方には、根切断装置4を構成する切断ヘッド4aが配置されており、玉葱を挟持するとともに切断ヘッド4aで根を切断するようにしている。更に、切断ヘッド4a後方の左右の挟持ベルト30・30中央部の下方には、茎切断装置6の水平方向に回転する左右の切断刃31a・31bが配置され茎を切断するようにしている。
【0030】
前記根切断装置4は切断ヘッド4aとそれを支持する支持アーム4bから構成され、図4、図7に示すように、切断ヘッド4aが挟持開始位置Pの上方位置に上下に揺動可能に吊設されている。更に支持アーム4bと支柱12側との間に付勢バネ41が介装され、切断ヘッド4aの自重とバランスさせて、玉葱の上部に当接させて切断ヘッド4aをスムースに上下動させて玉葱の高さに合わせられるようにしている。
【0031】
前記切断ヘッド4aは、図7、図8で示すように、搬送方向に対して直交した左右方向に軸芯を有する切断駆動軸49と、搬送方向の左右中央位置より左右側部へ偏った位置に突設した複数の倣い板47・47・47・47、切断駆動軸49の接線方向に固設した複数枚の切断刃48・48・48・48等より構成されている。前記切断駆動軸49端部が支持アーム4bより左右外側へ突出され、その一端部にプーリー53が固設され、支持アーム4bの回動基部に配したモータ39より図示せぬプーリー、ベルトを介して駆動力が伝達され、切断刃48・48・・・及び倣い板47・47・・・を回転させている。
【0032】
また、前記切断駆動軸65の支持アーム4bより左右両側へ突設された端部にファン92・92が固設され、該ファン92・92外周面がファンカバー93・93によって被装されている。前記モータ39の駆動力でファン92・92を回転させると前記ファンカバー93・93の側部の開口より外気が吸引されてファンカバー93・93下部の吐出口より下方へ送風するようにしている。
【0033】
よって、整列搬送装置16より玉葱に茎を下方に向けて根を上方に向けた姿勢で挟持搬送装置17へ受け継がれるとともに、切断ヘッド4aの切断刃48・48・48・48で根が切断されている。この時、切断刃48・48・48・48が高速で回転されるとともに、切断刃48が下方に位置する際の切断方向が玉葱の搬送方向の逆向きとなっており、前述した如く、整列搬送装置16による搬送速度が速くたことと合わせて確実に切断することができる。
【0034】
また、前記切断刃48で切断された根は切断方向に沿って前方に飛ばされ、空間Sより搬送ブラシ20・20上に落下され、その回転によって下方に落下させており周囲に飛ばされることがないのである。また、前記切断駆動軸65の駆動とともに左右のファン92・92が駆動され、下方に向けて風が吹き出されているので、切断された根及び茎を強制的に下方へ吹き飛ばして、切断刃31a・31b等の回転によって周囲に飛散されることを防止し、前記ゴミ受け32内に落下させることができる。尚、前記ファン92・92の配置は切断ヘッド4aの左右両側に限定するものではなく、モータ39の出力軸39aの両端部にファン92・92を配置することもできる。
【0035】
また、前記茎切断装置6は前記挟持ベルト30・30の前後方向で略中央位置の下方に配設されており、水平方向に回転する左右の切断刃31a・31bを対向配置させ、左右の切断刃31a・31bは互いに上下高さをずらせて、一方がわずかに高くなるように配置し、平面視においてその外周端部が重なるように配置している。また、左右の切断刃31a・31bの外周は鋸状に構成して、前記伝動軸5後端部に設けた第三出力プーリー5dからベルト等の動力伝達部を介して駆動力を得て、水平方向に回転する。前記切断刃31a・31b外周部に重複しろを持たせたことと、左右の回転駆動速度が異ならせているので、軟らかい茎も、逃がすことなく、また、前述した如く処理能力を高めるために挟持ベルト30・30による搬送速度を速くても確実に切断することができる。
【0036】
このような構成で、整列行程を行う整列搬送装置16と切断行程を行う挟持搬送装置17との搬送速度を別々の適切な速度に合わすことができ、後流側の挟持搬送装置17の搬送速度を整列搬送装置16より速くしたので、両者間の受け継ぎ位置で詰まりを生じさせることがなくなっている。また、両搬送装置16・17の搬送速度が速められており、処理能力が向上され、大量の玉葱の調製を行うことができる。
【0037】
また、このように処理能力の高い玉葱調製機1を左右に並列に複数個を配置して地域一帯の圃場より収穫された玉葱を一括して集めて、根及び茎を切断して出荷する出荷センターの調製ラインを構成することもできる。例えば二列の場合にはホッパ19をオペレーターの両側に位置させて一人で二列の作業を行うようにすることもできる。また、それ以上の複数列の場合には、図10に示すように、整列搬送装置16前部の上方に配置したホッパ19の代わりに、後下がり傾斜状のシュータ80を配置し、シュータ80下端となる後部と整列搬送装置16始端とを左右一対のガイドフレーム81・81で連通させる。そして、前記シュータ80の上部となる前部には、集荷された玉葱を搬送するコンベア82の排出口に連通させる。
【0038】
よって、乾燥処理等が施された後の大量の玉葱が順次コンベア82上を流れ、コンベア82の途中部に設けられた取出口より各玉葱調製機1・1・・・の各々のシュータ80・80・・・上に一つずつ供給して、ガイドフレーム81・81・・・を介して各玉葱調製機1に搬送され、根及び茎が切断され回収されるのである。尚、前記挟持搬送装置17の挟持ベルト30・30後部の後方に拡大した部分を利用して玉葱の大きさに合わせた選別を行えるようにして、玉葱調製機1・1・・・の各挟持搬送装置17・17・・・の各終端位置下方を通過させるように選別コンベア83・84を配置して、玉葱の大きさに分けて選別して回収し、箱詰めして出荷する調製ラインを構成することもできる。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、次のような効果を奏する。
請求項1記載の如く、玉葱調製機の搬送部を、玉葱の茎を下方に向けるように整列させて搬送する整列搬送装置と、該整列搬送装置より受け継いで切断部へ挟持しながら搬送する挟持搬送装置とにより構成し、該整列搬送装置と挟持搬送装置とは前後方向に配置し、 該整列搬送装置と挟持搬送装置とを変速機構を介して連動連結し、該挟持搬送装置を、前記整列搬送装置による搬送速度より速い搬送速度で搬送する左右一対の挟持ベルトにより構成し、前記切断部は、該挟持搬送装置の上方に配置されて、玉葱の根を切断する根切断装置と、該挟持搬送装置の下方に配置されて、玉葱の茎を切断する茎切断装置とから構成したので、玉葱の排出側の速度が速くなり、素早くさばけて、両搬送装置間の受け継ぎ位置で玉葱が溜まることがなく、次々と切断部へ案内して、かたまって供給されても切断位置においては玉葱と玉葱の間隔があけられて茎及び根を正確に切断することができるのである。また、搬送時に詰まりがなくスムースに流れ、処理能力を向上でき、玉葱の調製時間も短縮できるのである。
【0040】
また、該整列搬送装置と挟持搬送装置とを変速機構を介して連動連結したので、単一の動力源によって両搬送装置を異なる速度で駆動させることができ、整列速度と切断部の速度を変更することができる。また、動力源が一つなのでコストを低く抑えて機能的な玉葱調製機を構成することができるのである。
【0041】
また、該挟持搬送装置を根切断部の下方で、茎切断装置の上方に配置して、整列搬送装置よりも速い搬送速度で搬送する左右一対のベルトで構成したので、左右のベルトで挟持すると速やかに切断部を通過させて処理することができ、処理能力が向上されるのである。また、搬送した玉葱が切断部を短時間で通過するので、切断時に搬送姿勢が崩れることないのである。
【0042】
請求項2記載の如く、前記整列搬送装置の後部に玉葱の搬送姿勢を垂直方向にする空間(S)を形成し、該空間(S)の左右両側に、平面視で略V型に前方に向かって広がる挟持ベルトにより構成し、前記整列搬送装置より速く搬送する挟持搬送装置の前部を配置したので、整列搬送装置からの受け継ぎ位置で玉葱が両側から徐々に狭められて左右に姿勢が振れることがなく、垂直方向の姿勢を維持したまま、挟持搬送装置に確実に受け継ぐことができ、可及的に切断精度を向上できるのである。
【0043】
請求項3記載の如く、前記整列搬送装置は、左右一対の軸上に螺旋状のスクリュー搬送部を形成し、該整列搬送装置の後部に、搬送作用が殆どなく茎を下方へ引き込み姿勢を整える空間(S)を形成したので、整列搬送装置での送り姿勢は茎が後方に引っ張られ、玉の部分が前方へ傾いた後傾姿勢であるため、根の切断位置がずれるが、受け継ぎ位置での玉葱の姿勢を垂直方向に整えることができるので、切断精度を向上できるのである。
【0044】
請求項4記載の如く、前記切断部を構成する根切断装置の刃を、左右水平方向の軸を中心に回転可能とするとともに、玉葱の搬送方向と反対方向に刃が回転するように構成したので、切断部の刃で切断された玉葱の処理物が搬送方向に対して反対側の前方に飛ばされることになり、製品となる調整後の玉葱上に落ちて清掃する必要がなくなり、前方の整列搬送装置後部に落下して下方へ送られるので、周囲に飛散することがなく、搬送装置上に堆積することもなく、搬送効率を悪くせず、切断後の根等の処理物を処理するための装置も必要ないのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の玉葱調製機の左側面図である。
【図2】 同じく平面図である。
【図3】 同じく正面図である。
【図4】 玉葱調製機の搬送部と切断部とを示す正面図である。
【図5】 搬送ブラシの正面断面図である。
【図6】 整列羽根の側面図である。
【図7】 搬送ブラシと挟持搬送装置及び根切断装置の側面図部分断面図である。
【図8】 挟持搬送装置及び根切断装置と茎切断装置とを示す後面断面図である。
【図9】 搬送ブラシと挟持搬送装置との駆動伝達構成を示す後面断面図である。
【図10】 複数の玉葱調製機を並設して大量の玉葱を調製するラインを構成した図である。
【符号の説明】
1 玉葱調製機
2 搬送部
4 根切断装置
6 茎切断装置
16 整列搬送装置
17 挟持搬送装置
20 搬送ブラシ
20a ブラシ回転軸
20b ブラシ回転軸
22 モータ
30 挟持ベルト
48 切断刃
73 スプロケット
74 水平伝達軸
75 スプロケット
76 チェーン
Claims (4)
- 玉葱調製機の搬送部を、玉葱の茎を下方に向けるように整列させて搬送する整列搬送装置と、該整列搬送装置より受け継いで切断部へ挟持しながら搬送する挟持搬送装置とにより構成し、該整列搬送装置と挟持搬送装置とは前後方向に配置し、該整列搬送装置と挟持搬送装置とを変速機構を介して連動連結し、該挟持搬送装置を、前記整列搬送装置による搬送速度より速い搬送速度で搬送する左右一対の挟持ベルトにより構成し、前記切断部は、該挟持搬送装置の上方に配置されて、玉葱の根を切断する根切断装置と、該挟持搬送装置の下方に配置されて、玉葱の茎を切断する茎切断装置とから構成したことを特徴とする玉葱調製機の搬送装置。
- 請求項1記載の玉葱調製機の搬送装置において、前記整列搬送装置の後部に玉葱の搬送姿勢を垂直方向にする空間を形成し、該空間(S)の左右両側に、平面視で略V型に前方に向かって広がる挟持ベルトにより構成し、前記整列搬送装置より速く搬送する挟持搬送装置の前部を配置したことを特徴とする玉葱調製機の搬送装置。
- 請求項1記載の玉葱調製機の搬送装置において、前記整列搬送装置は、左右一対の軸上に螺旋状のスクリュー搬送部を形成し、該整列搬送装置の後部に、搬送作用が殆どなく茎を下方へ引き込み姿勢を整える空間(S)を形成したことを特徴とする玉葱調製機の搬送装置。
- 請求項1記載の玉葱調製機の搬送装置において、前記切断部を構成する根切断装置の刃を、左右水平方向の軸を中心に回転可能とするとともに、玉葱の搬送方向と反対方向に刃が回転するように構成したことを特徴とする玉葱調製機の搬送装置。
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