JP3976287B2 - 移動局装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は移動局装置に関し、更に詳しくは、通話又は非通話についての発呼/着呼に応じて網側から通信チャネルを割当てられる移動局装置に関する。
近年、この種の移動無線通信は利用形態の多様化が進んでおり、従来の通話のみでなく、パーソナルコンピュータ(PC),ファックス(FAX),TV画像等のデータ通信にも利用されることがある。そこで、この様なマルチメディアの通信を簡易に能率良く行える移動局装置の提供が望まれる。
【0002】
【従来の技術】
従来より複数の端末機能(電話,データ,FAX,TV等)による通信を同時に可能とする通信方式が幾つか提案されている(特開平5−268155,特開平8−140143)。
図5はTDMA無線通信制御方式(特開平5−268155)の原理を説明する図で、移動局52は、電話、ファクシミリ、デ−タ通信等の複数種類の端末機能55〜57と、これらの制御と送受信の制御等を行う制御部58とを備え、無線基地局51は、送受信部53とTDMA制御部54とを備え、移動局52が一つの端末機能による通信中に、他の端末機能による発呼又は着呼が生じた時、同一周波数の他のタイムスロットを割り当てて、同時に複数の端末機能による通信を行わせるものである。
【0003】
また、特開平8−140143は、図示しないが、携帯電話機とテレビ電話機の共有化が可能な移動型テレビ電話システムに関するもので、音声データと画像データとを周波数チャンネル内の異なるスロットに割り付けるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記網が端末機能毎に異なるスロットを割り付ける方式であると、その都度網側の呼制御(スロット割付)が必要となり、端末及び網側の通信制御が煩雑となる。また網の通信トラヒックが混雑してくると、同一周波数につき複数のスロット(チャネル)を同時に確保できるとは限らないから、データのみ、又は電話のみしか通じない様な場合も頻繁に起こり得る。従って、不便であった。
【0005】
本発明は上記従来技術の欠点に鑑みなされたものであって、その目的とする所は、音声やデータ等に係るマルチメディアの通信を簡易に能率良く行える移動局装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成する本発明(1)の移動局装置は、複数の移動局装置がTDMA方式による網の下で相互に接続する移動通信システムの移動局装置において、無線信号を扱う無線部と、前記無線部に接続してTDMA方式によるタイミング制御等を行うTDMA制御部と、通話データを扱う電話端末機能部と、外部又は内部のデータ端末機能部に接続するインタフェース部と、前記TDMA制御部と、前記電話端末機能部及びインタフェース部との間に介在して、自局の受信スロットのフレーム毎の受信データに付与された所定の識別子に基づき当該受信スロットの受信データを対応する端末機能部に振り分けるパス制御部とを備え、前記所定の識別子は、通信相手の移動局装置によって付されるものである。
本発明(2)では、上記本発明(1)において、パス制御部は、自局の送信スロットのデータ搭載エリアに複数の端末機能部からの通信データをフレーム毎に混在させて搭載すると共に、少なくとも通話データについては音声識別子と共に搭載する。
本発明(3)では、上記本発明(2)において、ハーフレート符号方式の音声コーデックを備え、パス制御部は、フルレートの伝送速度で接続された呼につき、ハーフレートの音声符号データとデータ端末機能部に係るデータとをフレーム毎に交互に混在させて搭載する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施態様による移動通信方式は、例えば図1に示す如く、複数の移動局装置がTDMA方式による網の下で相互に接続する移動通信システムの移動通信方式において、自局の送信スロットのデータ搭載エリアに通話及びデータに係る複数の端末機能部からのデータを搭載可能な第1の移動局装置と、自局の受信スロットの受信データを対応する通話及びデータに係る複数の端末機能部に振分可能な第2の移動局装置とを備え、前記網の下で呼を接続して後、該網により通話モードに置かれた前記第1,第2の移動局装置が、自局の1つの通話チャネルT2につき前記複数の端末機能部に係るデータをスロット毎に混在させて通信するものである。
上記構成によれば、網により通話モードに置かれた第1,第2の移動局装置が、自局の1つの通話チャネルにつき複数の端末機能部に係るデータをスロット毎に混在させて通信するので、通話中にデータ通信をしたり、又はデータ通信中に通話をしたり、又はPCによるデータ通信中にFAXによるファクシミリ通信をする等のマルチメディア通信の要求を、網制御の介入無しに、簡単な構成及び制御で処理できる。また網の通信トラヒックが混雑していても、所望の組み合わせのマルチメディア通信を確保できる。
【0008】
好ましくは、第1,第2の移動局装置は、夫々ハーフレート符号方式の音声コーデックを備え、かつフルレートの伝送速度で呼を接続すると共に、ハーフレートの音声符号データとデータ端末機能部に係るデータとをスロット毎に交互に通信する。
ところで、今日、音声符号技術の進歩により、音声通信はVSELPによるフルレート(11.2kbps)方式からPSI−CELPによるハーフレート(5.6kbps)方式へと移行しつつある。一方、網(基地局)側では旧型のフルレート移動局及び新型のハーフレート移動局(フルレートとハーフレートの両機能を備える)のいずれの移動局でも収容できる様に網整備を進めている。
【0009】
これにより、新型のハーフレート移動局は、旧型の基地局に接続する場合は従来のフルレート仕様(1フレーム当たり3スロット)で呼接続し、また新型の基地局に接続する場合はフルレート仕様又はハーフレート仕様(1フレーム当たり6スロット)で呼接続可能である。ハーフレート仕様の場合は利用可能な通信チャネル数が従来の2倍となるので、同時により多くの移動局を収容できる。一方、データ通信の観点から見ると、フルレート仕様の方が1スロット当たりのデータ転送容量が大きい。
【0010】
係る状況の下で、第1,第2の移動局装置は、夫々ハーフレート符号方式の音声コーデックを備え、かつフルレートの伝送速度で呼を接続すると共に、ハーフレートの音声符号データとデータ端末機能部に係るデータとをスロット毎に交互に通信する。
かかる方式では、データ端末機能部のデータ通信速度は単独で通信する場合の約1/2に低下するが、一般に実時間性を要求されないPCやFAX通信等では、通信の始めから、又は通信の途中でデータ通信速度が1/2に低下しても、データ通信の目的を達成できる。一方、実時間性を要求される音声データは符号化方式に応じた伝送レートを維持しないと、音質が著しく劣化する。
【0011】
しかし、上記によれば、ハーフレートによる2スロット分の音声符号データをフルレート接続下の1スロット分のデータ転送エリアにパッキングして該フルレートの1スロット置きに転送できる。従って、この場合の音声データの実質的な転送速度はハーフレート接続下の5.6kbps相当となり、通常のハーフレート移動局と同一の音質が得られる。
【0012】
また好ましくは、1の端末機能部に係るデータの通信中における他の端末機能部に係るデータの通信開始及び終了の手続を、第1,第2の移動局装置が前記通信中の通話チャネルを介して直接に行う。
従って、この様なデータ通信開始及び終了に際し、網側に何らの負担も掛けない。またこの様なデータ通信開始及び終了の手続を、網側の規制を受けずに、任意に決定できる。
【0013】
また好ましくは、第1の移動局装置は複数の端末機能部に係る通信データを識別するための識別子を送信データに付与して送信し、かつ第2の移動局装置は受信データに付与された前記識別子に基づき当該受信データを対応する端末機能部に振り分ける。
このように、各端末機能部の送信データに識別子を付与して送信し、かつ各スロットの受信データを前記識別子に従って対応する端末機能部に振り分ける構成により、煩雑な事前の通信プロトコルを介することなく、通信データの流れを実時間で容易に交通整理できる。
【0014】
なお、識別子を全データに付与する必要は無い。例えばデータ通信中に通話する様な場合は、音声データ又は通信データの一方にのみ識別子を付与すれば目的を達成できる。
また好ましくは、第1,第2の移動局装置間で通話チャネルを介して呼を接続して後、両移動局装置間で所定の同期をとって複数の端末機能部に係るデータの通信を行う。
【0015】
このように、第1,第2の移動局装置間における事前の呼接続プロトコルを介することにより、その後の通信データの流れは移動局相互間で同期させた簡単なタイミング制御により能率的に行える。
また本発明の他の実施態様による移動局装置は、複数の移動局装置がTDMA方式による網の下で相互に接続する移動通信システムの移動局装置において、無線信号を扱う無線部と、前記無線部に接続してTDMA方式によるタイミング制御等を行うTDMA制御部と、通話データを扱う電話端末機能部と、外部又は内部のデータ端末機能部PC,FAX,CPU等に接続するインタフェース部と、前記TDMA制御部と、前記電話端末機能部及びインタフェース部との間に介在して、自局の送信スロットのデータ搭載エリアに前記複数の端末機能部からの通信データをスロット毎に混在させて搭載するパス制御部とを備えるものである。
【0016】
この様な移動局装置を提供することで、共通(既存)の移動網には何ら手を加えること無く、能率良い、かつ扱い易いマルチメディア通信を実現できる。
また本発明の更に他の実施態様による移動局装置は、複数の移動局装置がTDMA方式による網の下で相互に接続する移動通信システムの移動局装置において、無線信号を扱う無線部と、前記無線部に接続してTDMA方式によるタイミング制御等を行うTDMA制御部と、通話データを扱う電話端末機能部と、外部又は内部のデータ端末機能部PC,FAX,CPU等に接続するインタフェース部と、前記TDMA制御部と、前記電話端末機能部及びインタフェース部との間に介在して、自局の受信スロットの受信データをその宛て先に応じて対応する前記端末機能部に振り分けるパス制御部とを備える。
【0017】
この様な移動局装置を提供することで、共通(既存)の移動網には何ら手を加えること無く、能率良い、かつ扱い易いマルチメディア通信を実現できる。
【0018】
以下、添付図面に従って本発明に好適なる実施の形態を詳細に説明する。なお、全図を通して同一符号は同一又は相当部分を示すものとする。
図2は実施の形態による移動通信システムを説明する図で、図において、100は公衆網、MTSは移動体中継交換局、MSCは移動体交換局、BSは無線基地局、MSは実施の形態による移動局、PCは移動局MSに接続可能なディスクトップ又はノート型のパーソナルコンピュータ、FAXは同じくファクシミリ装置である。
【0019】
移動網としては基本的には既存のTDMA網を利用できる。この場合に、BS1,BS2はフルレート仕様のMSもハーフレート仕様(フルレート+ハーフレート)のMSも収容可能である。MSaは発信時に自局の伝送レートをBS1に知らせ、またMSbは着信時のページング(一斉呼出)に対する応答の際に自局の伝送レートをBS2に知らせる。そして、BS1,BS2はMSa,MSbの上記申告伝送レートに応じてフルレート仕様又はハーフレート仕様の無線チャネルを指定する。
【0020】
図3は実施の形態による移動通信方式を説明する図で、一例のフルレート仕様による無線チャネルのフレームフォーマットを示している。
図において、1フレーム(20ms)は3スロットT1〜T3よりなり、1スーパフレーム(720ms)は36フレームよりなる。各移動局MSa,MSbには、発/着信時の制御チャネルを介した呼接続制御により、基地局BS1,BS2により夫々何れか一つの空き通話スロットが割り当てられ、通話モードに移行する。
【0021】
ここで一例の通話スロットを説明すると、1スロット(20/3ms)は280ビットからなり、先頭のRはバースト送信用のガードビット、続くPはプリアンブル、TCHは通話データの搭載エリア、SWは同期用のユニークワード、CCはカラーコード、SACCHは制御チャネルコード、SFはスチールフラグ、Gはガードビットである。下欄の数字はビット数を表す。
【0022】
なお、図示しないが、ハーフレート仕様による無線チャネルのフレームフォーマットでは1フレーム(20ms)に6スロットT1〜T6が含まれる。
また、この実施の形態によるMSa,MSbはデータ通信可能(PC,FAX等のデータ端末を接続可能)な移動局であり、通話データの搭載エリアTCHに非通話データ(通信データ,ファクシミリデータ等)を搭載して通信可能である。この様な非通話データはBSで変換されることなく、網を通してスルー状態で転送される。
【0023】
係る構成により、基本的にはMSa,MSb間で音声による通話のみを行う。又はMSaに接続したPCaとMSbに接続したPCbとの間でデータ通信のみを行う。FAXa,FAXbについても同様である。更には、本発明に従い、通話中にデータ通信をしたり、又はデータ通信中に通話をしたり、又はPCによるデータ通信中にFAXによるファクシミリ通信をする等の、マルチメディアの同時通信を簡易な方法で能率良く行う。以下、詳細に説明する。
【0024】
図4は実施の形態による移動局装置を説明する図で、図において、1は移動局装置の本体、2は無線信号を扱う無線部、3はTDMA方式による通信制御を行うTDMA制御部、4は通話データと非通話データのパスを切り替えるパス制御部、5は音声信号を扱う電話機能部、6は外部のデータ端末装置PC,FAX等とパス制御部4との間の通信データのやり取りを行う端末インタフェース(TIF)、7は移動局装置の主制御を行うCPU、8はCPU7が実行するプログラムや各種データを記憶するRAM,ROM,EEPROM等からなるメモリ(MEM)、9は液晶等によるディスプレイ(DSP)、10はダイヤルキー,ファンクションキー等を備えるキーボード(KBD)、11は外部のデータ端末装置を接続するコネクタ、CBはCPU7の共通バス、IBは同割込バス、EBは同拡張バスである。
【0025】
無線部2において、TDMA制御部3からの送信データTXDはπ/4シフトQPSKによる変調部MODで変調され、送信部TX、アンテナ共用部Cを介してアンテナより送信される。またアンテナからのRF信号は、受信部RXにより受信・増幅され、π/4シフトQPSKによる復調部DEMで受信データRXDに復調される。この場合に、周波数シンセサイザSYNは、TDMA制御部3の制御下で、受信部RX及び送信部TXを呼接続制御時の制御チャネルの周波数(上り,下り)又は通話時の指定通信チャネルの周波数(上り,下り)に同調させる。
【0026】
TDMA制御部3において、受信データレジスタRDRG及び送信データレジスタTDRGは夫々拡張バスEBを介してCPU7と接続しており、これらはCPU7による制御チャネルを介しての呼制御時(発呼,着呼,位置登録制御等)における通信データのバッファとして使用される。
またTDMA制御部3は、送受信フレームに同期して1フレーム(0〜839ビット)をカウントする不図示のビットカウンタを備えており、これにより1フレーム中のデータビット位置をビット単位で特定できる。
【0027】
更にタイミング発生部TGは、上記ビットカウンタのカウント出力に基づき、自局の送受信スロットに対応する各種タイミング信号を発生する。例えば、CTは受信データTCHに含まれる音声識別子の検査タイミング信号、RTは後述の受信バッファRBFより受信データを読み出すための読出タイミング信号、TTは後述の送信バッファTBF1/TBF2より送信データを読み出すための読出タイミング信号、TSは送信バッファTBF1/TBF2の選択信号である。
【0028】
なお、図示しないが、このTDMA制御部3には通常のTDMA通信制御に必要な他の様々な構成が含まれることは言うまでも無い。
パス制御部4は、基本的には、実時間性を要求される通話データと必ずしも実時間性を要求されない非通話データとをスロット毎に合成/分離する。
具体的に言うと、送信バッファTBF1はコーデックCDCからの音声符号データTCDを一時的に記憶し、また送信バッファTBF2は外部のデータ端末装置からの非通話データTDTを一時的に記憶する。
【0029】
なお、本機によりデータ通信と通話とを同時に行う場合には、予め送信バッファTBF1の所定アドレス(例えば先頭アドレス部)にCPU7からの音声識別子データが格納され、コーデックCDCからの音声符号データTCDは続くアドレスから書き込まれる。
読出制御部TRCTは、TDMA制御部3からの読出タイミングTTに、バッファ選択信号TSが選択する送信バッファから送信データTXDを読み出す。このバッファ選択信号TSは、本機がデータ通信にのみ使用される場合はTS=0に固定され、本機が通話にのみ使用される場合はTS=1に固定される。また本機がフルレートのデータ通信と同時にハーフレートの通話にも使用される場合には、該信号TSのレベルは送信1フレーム(20ms)毎に反転する。この場合は、TS=0の送信フレーム(スロット)では送信バッファTBF1から音声識別子を含む音声符号データが読み出され、また続くTS=1の送信フレーム(スロット)では送信バッファTBF2から非通話データが読み出される。
【0030】
一方、受信バッファRBFは、TDMA制御部3により抽出された受信データTCHの部分を一時的に記憶する。そして読出制御部RRCTは、受信バッファRBFの記憶データをTDMA制御部3からの読出タイミングRTに同期して読出開始する。この読出データの転送先は、後述の受信データの読出先選択信号RSにより制御され、RS=0の時は端末インタフェース6の側に転送し、RS=1の時はコーデックCDCの側に転送する。
【0031】
DタイプのフリップフロップFFは、通常はCPU7により強制設定された読出先選択信号RS=0/1を保持する。CPU7は、本機がフルレート/ハーフレートのデータ通信にのみ使用される場合は信号RS=0に設定し、本機がフルレート/ハーフレートの通話にのみ使用される場合は信号RS=1に設定する。また、本機がフルレートのデータ通信と同時にハーフレートの通話にも使用される場合は、該FFは検査信号CTのタイミングにデータ端子Dの入力信号に従いセット又はリセットされる。
【0032】
これを具体的に言うと、シリアル−パラレル変換部S/PはTDMA制御部3から受信バッファRFBに転送されるTCHの部分のシリアルデータをビットバイビットでパラレルデータに変換する。コンパレータCMPはS/P変換部のパラレルデータと、予めCPU7により設定された音声識別子データとを比較し、一致が得られると比較一致信号=に「1」を出力する。該信号は音声識別子の検査タイミング信号CTの立ち上がりによりFFにラッチされる。
【0033】
読出制御部RRCTは、受信バッファRBFの読出タイミングRTに、信号RS=0であると、その先頭アドレスからの1スロット分の読出(非通話)データRDTを端末インタフェース6に転送する。また受信バッファRBFの読出タイミングRTに、信号RS=1であると、その先頭アドレス部の音声識別子データを除く残りの1スロット分の読出(音声)データRCDをコーデックCDCに転送する。
【0034】
電話機能部5において、マイクMICからの音声信号はベースバンド処理部BBPでサンプリングされ、コーデックCDCで音声符号データTCDに変換される。また読出制御部RRCTからの音声符号データRCDはコーデックCDCで音声のサンプリングデータに変換(再生)され、更にベースバンド処理部BBPで音声信号に変換され、スピーカSPKに出力される。
【0035】
コーデックCDCはVSELPによるフルレート(11.2kbps)とPSI−CELPによるハーフレート(5.6kbps)の両通信速度に対応可能であり、CPU7からの制御信号C1に従い何れかのモードで動作する。
端末インタフェース6はコネクタ11を介してPCb及び又はFAXbに接続可能である。上記通話データと非通話データとの間のパス制御はパス制御部4で行われるが、非通話データのカテゴリに含まれるPC通信とFAX通信との間のパス制御は例えば端末識別子情報等に基づき端末インタフェース6で行われる。
【0036】
従って、例えばPC通信中にFAX通信、又はFAX通信中にPC通信を行う様な場合は、パス制御部4による扱いは非通話データのみによる通信となるが、端末インタフェース6における交通整理により実質PCデータとFAXデータとをスロット毎に混在させて通信(混合,分配)可能となる。
また、通話中にPC及びFAX通信、又はPC及びFAX通信中に通話を行うことが可能であり、この場合のパス制御部4による扱いは通話及び非通話データによる通信となる。非通話データは更に端末インタフェース6で混合・分離される。
【0037】
また端末インタフェース6は、共通バスCBを介してCPU7とも接続しており、該CPU7は接続中の通話チャネルを介して相手側MSaのCPU7との間で新たに呼を接続し、その後両移動局間で所定の同期をとって通話データと非通話データの複合通信を行うことが可能である。又は、このCPU7自体がディスプレイDSPやキーボードKBD等と協動してインテリジェントターミナルの機能を実現しても良い。
【0038】
係る構成により、まず通常の通話動作を説明する。
MSaのダイヤルキーを操作して発呼すると最寄りのBS1に接続する。発呼の際の伝送レートはフルレートでもハーフレートでも良い。該呼はBS2を介してMSbに着信され、両者は通話モードに置かれる。
MSa,MSbにおいて、受信データの読出先選択信号RS=1(通話モード)、送信バッファの選択信号TS=1(通話モード)に夫々固定され、音声識別子の検査タイミング信号CTは生成されない。
【0039】
MSbの動作を述べると、マイクMICからの音声信号はベースバンド処理部BBPでサンプリングされ、コーデックCDCで音声符号データTCDに変換され、送信バッファTBF1に一時的に記憶される。該記憶データは自局の送信スロットのタイミングTTに読出制御部TRCTにより順次読み出され、TDMA制御部3で送信スロットデータにフォーマットされ、変調部MOD、送信部TX、アンテナ共用部Cを介してアンテナより送信される。
【0040】
一方、アンテナからのRF信号は、自局の受信スロットのタイミングに受信部RXにより受信・増幅され、復調部DEMで復調され、TDMA制御部でフォーマット処理(検査)され、その内の通話データTCHの部分が抽出されて受信バッファRBFに一時的に記憶される。該記憶データは引き続き読出制御部RRCTにより順次読み出され、コーデックCDCで音声のサンプリングデータに変換(再生)され、ベースバンド処理部BBPで音声信号に変換され、スピーカSPKに出力される。
【0041】
次に通常のデータ通信動作を説明する。
上記同様にしてMSaより発呼してMSbに着信し、両者は通話モードに置かれる。呼接続の際の伝送レートは1チャネル(スロット)当たりに大きな伝送容量を確保できるフルレートとする。MSa,MSbに夫々PCa,PCb(FAXa,FAXbでも良い)を接続すると、両者間でデータ通信を行える。
【0042】
MSa,MSbにおいて、受信データの読出先選択信号RS=0(データ通信モード)、送信バッファの選択信号TS=0(データ通信モード)に夫々固定され、音声識別子の検査タイミング信号CTは生成されない。
MSbの動作を述べると、PCbからのデータ信号TDTは端末インタフェース6を介して送信バッファTBF2に一時的に記憶される。更に自局の送信スロットのタイミングに読出制御部TRCTにより順次読み出され、TDMA制御部3で送信スロットデータにフォーマットされ、変調部MOD、送信部TX、アンテナ共用部Cを介してアンテナより送信される。
【0043】
一方、アンテナからのRF信号は、自局の受信スロットのタイミングに受信部RXにより受信・増幅され、復調部DEMで復調され、TDMA制御部でフォーマット処理(検査)され、その内の通信データTCHが抽出されて受信バッファRBFに一時的に記憶される。該記憶データは引き続き読出制御部RRCTにより順次読み出され、端末インタフェース6を介してPCbに送信される。
【0044】
次にデータ通信と同時に同一チャネルを使用して通話する場合を説明する。
上記同様にしてMSaより発呼してMSbに着信し、両者は通話モードに置かれる。呼接続の際の伝送レートはフルレートとする。MSa,MSbに夫々PCa,PCb(FAXa,FAXbでも良い)を接続すると、両者間でデータ通信を行える。
【0045】
MSa,MSbにおいて、データ通信の開始時には、受信データの読出先選択信号RS=0(データ通信モード)にセットされ、送信バッファの選択信号TS=0(データ通信モード)に固定される。また音声識別子の検査タイミング信号CTは生成される。
MSbにおける動作を説明する。データ通信中に、MSbの使用者がコンソールのボイスキーVKを押すと、CPU7に割込入力し、該CPU7はタイミング発生部TGに信号TSの反転指令を出す。これを受けたタイミング発生部TGはその後の送信バッファの選択信号TSを送信1フレーム(20ms)毎に反転させる。また、CPU7は送信バッファTBF1の先頭アドレスに音声識別子を書き込み、必要ならコーデックCDCをハーフレートモード(5.6kbps)に設定する。
【0046】
この状態では、マイクMICからの音声信号はベースバンド処理部BBPでサンプリングされ、コーデックCDCでハーフレートの音声符号データTCDに変換され、送信バッファTBF1の上記音声識別子に続くアドレスに一時的に記憶される。
読出制御部TRCTは、バッファ選択信号TS=1の送信スロットではバッファTBF1の音声データTCDを読み出し、またTS=0の送信スロットではバッファTBF2の非通話データTDTを読み出す。このバッファ選択信号TSは、送信1フレーム(20ms)毎に反転するので、非通話データTDTの伝送レートは実質的にそれまでの約1/2に低下するが、一般にこの種の非通話データは実時間性を要求されないので伝送レートが1/2に低下しても問題は無い。
【0047】
一方、実時間性を要する音声データは符号化方式に応じた伝送レートを維持しないと、音質が著しく劣化する。しかし、ここではハーフレートの音声符号方式を採用したことによりハーフレート仕様における送信2フレーム分の音声データをフルレート仕様における送信1フレームのデータ搭載エリアTCHにパッキングしてフルレート仕様の1フレーム置きに送信できる。従って、この場合の音声データの実質的な伝送レートはハーフレート仕様の5.6kbps相当となり、通常のハーフレート移動局と同一の音質が得られる。
【0048】
一方、アンテナからのRF信号は、自局の受信スロットのタイミングに受信部RXにより受信・増幅され、復調部DEMで復調され、TDMA制御部でフォーマット処理(検査)され、その内の通話/通信データTCHの部分が抽出されて受信バッファRBFに一時的に記憶される。コンパレータCMPはこの通話/通信データTCHに含まれる音声識別子の情報を監視しており、音声ブロックの場合は読出先選択信号RS=1となり、該音声ブロックはコーデックCDCに転送されてスピ−カSPKより音声が出力される。またデータブロックの場合は読出先選択信号RS=0となり、該データブロックは端末インタフェース6に転送されてPCbに出力される。こうして、MSbの使用者はデータ通信中における相手通話者の音声を実時間で聞くことができる。
【0049】
また、MSbの使用者がKDB10のボイスキーVKを放すと、CPU7に割込入力し、該CPU7はタイミング発生部TGに信号TSの反転停止指令を出す。これを受けたタイミング発生部TGは、その後の送信バッファの選択信号TS=0(デ−タ通信モード)に固定する。この状態では、PCbからの通信データがフルレートで毎フレーム連続して送信される。
【0050】
一方、MSbの受信ルートに関しては、相手側MSaからの音声データが何時送られても良いように、上記受信ブロックの音声識別子監視機能と、該受信ブロックの振分機能とが常に付勢されている。
なお、上記実施の形態では使用者が音声の入力に先立ってボイスキーVKを押下し、音声の入力終了後にボイスキーVKを放す場合を述べたが、これに限らない。例えば、コーデックCDCにおいて、音声サンプリングデータの入力を検出してCPU7に音声開始割込を掛け、かつ所定時間の音声サンプリングデータの非入力を検出してCPU7に音声終了割込を掛ける様に構成しても良い。こうすれば、ボイスキーVKを削除でき、何時でも音声を入力できる。
【0051】
また、上記実施の形態では通話モードに置かれたMSa,MSb間で、予め何らの呼接続制御も行わずに、いきなり音声データを混入させる場合を述べたが、これに限らない。例えば事前にMSa,MSb間で通話開始/終了に関するに呼制御情報のやり取りを行う様に構成しても良い。但し、この場合でも網に介在するBS1,BS2等はこの呼制御に一切関与しない。
【0052】
次にデータ通信中における通話呼接続/切断のプロトコル制御の一例を具体的に説明する。
MSa,MSbのコーデックCDCは予めハーフレートモードになっている。また、この例ではパス制御部4のFFに係る回路は上記音声識別子の検出とは異なる目的で用いられる。
【0053】
データ通信中に、MSbの使用者がコンソールのボイスキーVKを押下し、又はコーデックCDCで音声入力が検出されると、CPU7に割込入力し、これによりCPU7は端末インタフェース6に通話開始要求に係るブロックデータを挿入する。このブロックデータの先頭部には所定の通話開始要求コードが搭載されており、他は通信プロトコルに従う詳細データ又はダミーデータでも良い。該ブロックデータは最寄りのデータ送信スロットに搭載され、送信される。同時にCPU7は、タイミング発生部TGに信号TSの反転指令を出す。これを受けたタイミング発生部TGは通話開始要求ブロック読出後の送信バッファの選択信号TSを送信1フレーム(20ms)毎に反転させる。即ち、通話開始要求送信直後のフレームは音声フレームとなり、次にデータフレーム、次に音声フレームの如く、交互に送信され、こうしてMSaとの同期化が図られる。
【0054】
一方、MSaでは、パス制御部4のコンパレータCMPが通話開始要求コードの受信を監視しており、該通話開始要求コードが検出されると、FFを介してCPU7に通話開始要求割込を掛ける。この時、受信データの振分先選択信号RS(但し、この場合はタイミング発生部TGで生成される)は「0」にされており、これにより受信バッファRBFの受信データは端末インタフェース6の側に振り分けられ、更に端末インタフェース6でCPU7に振り分けられる。CP7は必要なら通話開始要求に係る詳細データを解析する。
【0055】
またCPU7は、通話開始要求コードが検出された次の受信ブロックが通話ブロックである約束から、タイミング発生部TGに反転指令を出し、以後の受信データの振分先選択信号RSを受信1フレーム(20ms)毎に反転させる。これにより通話開始要求受信直後のフレームは音声フレームとなり、次にデータフレーム、次に音声フレームの如く、交互に受信・配送され、こうしてMSbとの同期化が図られる。
【0056】
また、MSbの使用者がKDB10のボイスキーVKを放すと、又はコーデックCDCで所定時間通話データが検出されないと、CPU7に割込入力し、該CPU7は端末インタフェース6に通話終了要求に係るブロックデータを挿入する。このブロックデータの先頭部には所定の通話終了要求コードが搭載されており、他は通信プロトコルに従う詳細データ又はダミーデータでも良い。該ブロックデータは最寄りのデータ送信スロットに搭載され、送信される。この時、最後の通話データは既に送信されている。同時にCPU7は、タイミング発生部TGに信号TSの反転停止指令を出し、これを受けたタイミング発生部TGは通話終了要求ブロック読出後の送信バッファの選択信号TS=0(デ−タ通信モード)に固定する。その後は、PCbからの通信データがフルレートで毎フレーム連続して送信される。
【0057】
一方、MSaでは、パス制御部4のコンパレータCMPが通話終了要求コードの受信を監視しており、該通話終了要求コードが検出されると、FFを介してCPU7に通話終了要求割込を掛ける。この時、受信データの振分先選択信号RS(但し、この場合はタイミング発生部TGで生成される)は「0」のフェーズとなっており、これにより受信バッファRBFの受信データは端末インタフェース6の側に振り分けられ、更に端末インタフェース6でCPU7に振り分けられる。CP7は必要なら通話終了要求に係る詳細データを解析する。
【0058】
またCPU7は、通話終了要求コードが検出された次の受信ブロックがデータブロックである約束から、タイミング発生部TGに反転停止指令を出し、以後の受信データの振分先選択信号RS=0(データ通信モード)に固定する。その後は、PCbからの通信データがフルレートで毎フレーム連続して受信される。
そして、MSaの受信ルートに関しては、相手側MSbからの通話開始要求が何時送られても良いように、上記FF7に係る回路の通話開始要求コード検出及び割込要求機能が常に付勢されている。MSbについても同様である。
【0059】
この例の通信プロトコルでは、MSbからの通話開始要求メッセージに対するMSaからの通話開始要求確認応答メッセージの返送無しで通話を開始する事により、プロトコルを簡略化し、実時間性を要求される通話処理のレスポンスの向上が図られている。
なお、MSa,MSb間の同期化処理をより信頼性の高い確実なものとするために、要求メッセージに対する応答メッセージの返送を待って、通話を開始/終了する様に通信プロトコルを構成しても良い。
【0060】
実際上、上記の如く、一方ではある要求の発生に応じて対応する情報(メッセージ)を送信し、かつ他方では予め受信されるであろう特定の情報(メッセージ)を監視・検出すると共に、手続の進行に応じて監視対象の情報(メッセージ)を所望に変更できる構成を備えることにより、任意の通信プロトコルを構成できる。
【0061】
また、通話中におけるデータ通信呼接続/切断のプロトコル制御に関しても同様にして構成できる。
また、上記通信プロトコルの制御をTDMA制御部2のデータレジスタRDRG,TDRGを介して行っても良い。
また、PCa,PCbによるデータ通信中にFAXa,FAXbによるファクシミリ通信をしたり、又はFAXa,FAXbによるファクシミリ通信中にPCa,PCbによるデータ通信を行う場合は、上記パス制御部4の制御を介在させるまでもなく、端末インタフェース6の簡便なデータ混合・分配機能(不図示)により容易に実現出来る。
【0062】
また、上記本発明に好適なる実施の形態を述べたが、本発明思想を逸脱しない範囲内で、各部の構成、制御、及びこれらの組合せの様々な変更が行えることは言うまでも無い。
【0063】
【発明の効果】
以上述べた如く本発明によれば、マルチメディアの通信を簡便かつ能率良く行え、移動通信のマルチメディア化に寄与する所が極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の原理を説明する図である。
【図2】図2は実施の形態による移動通信システムを説明する図である。
【図3】図3は実施の形態による移動通信方式を説明する図である。
【図4】図4は実施の形態による移動局装置を説明する図である。
【図5】図5は従来技術を説明する図である。
【符号の説明】
1 移動局装置の本体
2 無線部
3 TDMA制御部
4 パス制御部
5 電話端末機能部
6 端末インタフェース(TIF)
7 CPU
8 メモリ(MEM)
9 ディスプレイ(DSP)
10 キーボード(KBD)
11 コネクタ
BS 基地局
CB 共通バス
EB 拡張バス
FAX ファクシミリ
IB 割込バス
MS 移動局
PC パーソナルコンピュータ
RX 受信部
TX 送信部
Claims (3)
- 複数の移動局装置がTDMA方式による網の下で相互に接続する移動通信システムの移動局装置において、
無線信号を扱う無線部と、
前記無線部に接続してTDMA方式によるタイミング制御等を行うTDMA制御部と、
通話データを扱う電話端末機能部と、
外部又は内部のデータ端末機能部に接続するインタフェース部と、
前記TDMA制御部と、前記電話端末機能部及びインタフェース部との間に介在して、自局の受信スロットのフレーム毎の受信データに付与された所定の識別子に基づき当該受信スロットの受信データを対応する端末機能部に振り分けるパス制御部とを備え、
前記所定の識別子は、通信相手の移動局装置によって付されることを
特徴とする移動局装置。 - パス制御部は、自局の送信スロットのデータ搭載エリアに複数の端末機能部からの通信データをフレーム毎に混在させて搭載すると共に、少なくとも通話データについては音声識別子と共に搭載することを特徴とする請求項1記載の移動局装置。
- ハーフレート符号方式の音声コーデックを備え、
パス制御部は、フルレートの伝送速度で接続された呼につき、ハーフレートの音声符号データとデータ端末機能部に係るデータとをフレーム毎に交互に混在させて搭載することを特徴とする請求項2記載の移動局装置。
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