JP3975992B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
この特許文献に記載されたMOSFETにおいては、N+型の炭化珪素基板領域上にN−型のドレイン領域が形成されている。そしてドレイン領域の表層部には、P型のウェル領域(ベース領域)、及びN+型のソース領域が形成されている。また、ドレイン領域の上にはゲート絶縁膜を介してゲート電極が配置されている。ウェル領域及びソース領域に接するようにソース電極が形成されるとともに、炭化珪素基板領域の裏面にはドレイン電極が形成されている。
次に、このMOSFETの動作について説明する。例えば、ソース電極を接地し、ドレイン電極に正電位を印加した状態で、ゲート電極に接地もしくは負電位を印加した場合、ドレイン領域とウェル領域が逆バイアス状態となるため、この素子は遮断状態となる。つぎに、ゲート電極に適当な正電位を印加すると、ゲート電極に対向したベース領域界面に反転型のチャネル領域が形成される。すると、ソース領域からチャネル領域を通ってドレイン領域に電子流が流れるため、ドレイン電極からソース電極に電流が流れる。このように、従来構造はスイッチング機能を有している。
また、ドレイン電極に高電圧が印加されると、ドレイン領域だけでなくウェル領域にも電界が広がり空乏化するのであるが、ドレイン領域とソース領域がパンチスルーするのを防止するため、ウェル領域は所定の厚みが必要となる。つまり、反転型のチャネル領域が形成されるゲート絶縁膜直下のウェル領域の長さ、すなわちチャネル長を所定以上短くすることもできない。
このことから、従来のMOSFETにおいては、反転型のチャネル領域の抵抗、結果的にはオン抵抗を低減するにも限界があった。
本発明は、上記のような従来技術の問題を解決するためになされたものであり、チャネル領域部の抵抗を低減できるノーマリオフの電圧駆動型の高耐圧電界効果トランジスタを提供することを目的とする。
(実施の形態1)
図1は本発明による半導体装置の第1の実施の形態を示している。図は構造単位セルが2つ対面した断面図である。本実施の形態においては、炭化珪素を基板材料とした半導体装置を一例として説明する。
例えば炭化珪素のポリタイプが4HタイプのN+型である基板領域1上にN−型のドレイン領域2が形成され、ドレイン領域2の基板領域1との接合面に対向する主面に接するように、例えばN−型の多結晶シリコンからなるソース領域3が形成されている。つまり、ドレイン領域2とソース領域3の接合部は、炭化珪素と多結晶シリコンのバンドギャップが異なる材料によるヘテロ接合からなっており、その接合界面にはエネルギー障壁が存在している。ソース領域3のドレイン領域2との接合面に対向する対面には、例えばコバルトシリサイドからなる低抵抗領域4が形成されている。また、低抵抗領域4とソース領域3の接合面及びソース領域3とドレイン領域2との接合面に共に接するように、例えばシリコン酸化膜から成るゲート絶縁膜5が形成されている。また、ゲート絶縁膜5上にはゲート電極6が、ソース領域3には低抵抗領域4を介してソース電極7が、炭化珪素基板領域1にはドレイン電極8が接続するように形成されている。
なお、本実施の形態においては、図1に示すように、ドレイン領域2の表層部にトレンチ(溝)16を形成して、そのトレンチ16中にゲート絶縁膜5を介してゲート電極6が形成されている、いわゆるトレンチ型の構成で説明しているが、図2に示すように、ドレイン領域2に溝を形成しない、いわゆるプレーナ型の構成でもかまわない。
まず、図3(a)に示すように、N+型の基板領域1の上にN−型のドレイン領域2をエピタキシャル成長させて形成したN型の炭化珪素半導体基体上に、例えばLP−CVD法により多結晶シリコンを堆積した後、例えばPOCl3雰囲気中にてリンドーピングを行い、N−型のソース領域3を形成する。このとき、例えばドレイン領域2の不純物濃度及び厚さは1×1016cm−3、10μm、ソース領域3の不純物濃度及び厚さは1×1016cm−3、0.5μmである。
次に、図3(b)に示すように、ソース領域3上にコバルトを蒸着し、さらに熱処理を加えることで、多結晶シリコンとコバルトを反応させて合金化し、コバルトシリサイドからなる低抵抗領域4を形成する。
次に、図4(c)に示すように、低抵抗領域4上に酸化膜を堆積し、フォトリソグラフィとエッチングにより酸化膜からなるマスク材15を形成する。そして、反応性イオンエッチングにより、マスク材15をマスクとして低抵抗領域4をエッチングすると同時にソース領域3とドレイン領域2の表層部をエッチングし、所定の深さを有するトレンチ16を形成する。
最後に、図4(d)に示すように、例えば、フッ化水素酸水溶液によりマスク材15を除去した後、低抵抗領域4の上面並びにトレンチ16の内壁に沿って、ゲート絶縁膜(ゲート酸化膜)5を堆積する。その後、裏面側に相当する基板領域1には例えば、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)からなるドレイン電極8を形成する。また、表面側に相当するソース領域3には、反応性イオンエッチングによりゲート絶縁膜5の所定の位置にコンタクトホールを開孔し、低抵抗領域4の上面にチタン(Ti)、アルミニウム(Al)を順に堆積することでソース電極7を形成し、図1に示した本発明の第1の実施の形態による炭化珪素半導体装置を完成させる。
すなわち、本実施の形態の半導体装置の製造方法では、半導体基体の一主面側にソ−ス領域3を積層する工程(1)と、ソ−ス領域3に接するように低抵抗領域4を積層する工程(2)と、低抵抗領域4とソ−ス領域3を同一のマスクパターンを用いて選択的にエッチングする工程(3)と、低抵抗領域4、ソ−ス領域3並びに半導体基体に接するようにゲート酸化膜5を形成する工程(4)を少なくとも含む。
このような構成により、本実施の形態の半導体装置を従来からある製造技術で容易に実現することが可能である。
まず、ゲート電極6を例えば接地電位とした場合、遮断状態を保持する。すなわち、ソース領域3とドレイン領域2とのヘテロ接合界面には、伝導電子に対するエネルギー障壁が形成されているためである。以下に図5から図9を用いて、多結晶シリコンと炭化珪素とのヘテロ接合の特性を詳細に説明する。
図5から図9は半導体のエネルギーバンド構造を示す図である。各図中、左側にはソース領域3に対応するN−型シリコンのエネルギーバンド構造を、右側にはドレイン領域2に対応する4HタイプのN−型炭化珪素のエネルギーバンド構造を示している。なお、本実施の形態においてはソース領域3が多結晶シリコンから成る場合を説明しているが、図5から図9ではシリコンのエネルギーバンド構造を用いて説明する。また、本説明ではヘテロ接合の特性を理解し易くするため、ヘテロ接合界面に界面準位が存在しない場合の理想的な半導体へテロ接合のエネルギー準位について例示している。
ΔEc=χ1−χ2 …(1)
また、図6はシリコン及び炭化珪素の両者を接触させ、シリコンと炭化珪素のヘテロ接合を形成したエネルギーバンド構造である。シリコン及び炭化珪素の両者を接触後も、エネルギー障壁ΔEcは接触前と同様に存在するため、シリコン側の接合界面には幅W1の電子の蓄積層が形成され、一方で炭化珪素側の接合界面には幅W2の空乏層が形成されると考えられる。ここで、両接合界面に生じる拡散電位をVD、シリコン側の拡散電位成分をV1、炭化珪素側の拡散電位成分をV2とすると、VDは両者のフェルミ準位のエネルギー差であるから、その関係は式(2)から式(4)のように示される。
VD=(δ1+ΔEc−δ2)/q …(2)
VD=V1+V2 …(3)
W2={((2・ε0・ε2・V2)/(q・N2))}1/2 …(4)
ここでε0は真空中の誘電率、ε2は炭化珪素の比誘電率、N2は炭化珪素のイオン化不純物濃度を表す。なおこれらの式は、バンド不連続のモデルとしてAndersonの電子親和力に基づいており、理想的状態でさらに歪みの効果は考慮していない。
このとき、本実施の形態においては、ソース領域3とソース電極7を低抵抗領域4で接続しているため、ソース電極7から伝導電子は低抵抗でゲート電極6近傍のゲート電界によって伝導電子が蓄積しているソース領域3へと供給される。このことから、それまでエネルギー障壁によって遮断されていた伝導電子は、ソース電極6から低抵抗領域4並びにゲート絶縁膜5に接したソース領域3を通ってドレイン領域2へと流れ、つまり導通状態となる。
このように、遮断時においては、電子密度が低く比較的遮断性能が高いN−型のソース領域3を用いながらも、導通時においては、ゲート電極6近傍のゲート電界によって伝導電子が蓄積するソース領域3まで低抵抗の低抵抗領域4を介してソース電極7と接続されているため、低抵抗領域4を介さず直接ソース領域3とソース電極7が接続される場合に比べて、より一層低い抵抗で導通させることが可能となる。特に、低抵抗領域4の比抵抗を少なくともドレイン領域2の比抵抗よりも小さくすることで、その効果が有効に機能するようになる。
次に導通状態から遮断状態に移行すべく、再びゲート電極6を接地電位とすると、ソース領域3並びにドレイン領域2のヘテロ接合界面に形成されていた伝導電子の蓄積状態が解除され、エネルギー障壁中のトンネリングが止まる。そして、ソース領域3からドレイン領域2への伝導電子の流れが止まり、さらにドレイン領域2中にあった伝導電子が基板領域1に流れ枯渇すると、ドレイン領域2側にはヘテロ接合部から空乏層が広がり遮断状態となる。
例えばソース電極7並びにゲート電極6を接地電位とし、ドレイン電極8に図6に示す(qV1+qV2)以上の正電位が印加されると、伝導電子に対するエネルギー障壁は消滅し、ドレイン領域2側からソース領域3側に伝導電子が流れ、逆導通状態となる。このとき、本実施の形態においては、従来構造とは異なり、正孔の注入はなく伝導電子のみで導通するため、逆導通状態から遮断状態に移行する際の逆回復電流による損失を低減することができる。
なお、上述したゲート電極6を接地にせずに制御電極として使用した場合は、やはり従来構造と同様、ドレイン電極8に(qV1+qV2)以下の電位が印加されただけで逆導通が可能となる。
本実施の形態の半導体装置は、第一導電型の半導体基体からなるドレイン領域2と、この半導体基体の一主面に接して該半導体基体とはバンドギャップが異なる第一のヘテロ半導体領域からなるソース領域3と、ソース領域3と半導体基体とのヘテロ接合部にゲート絶縁膜5を介して接するゲート電極6と、ソース領域3とオーミック接続する低抵抗領域4と、この低抵抗領域4を介してソース領域3と接続されたソース電極7と、半導体基体とオーミック接続されたドレイン電極8とを有する。
前述のように遮断時においては、半導体基体と第一のヘテロ半導体領域とのヘテロ接合部にはエネルギー障壁が存在するため、ドレイン電極8とソース電極7との間には電流が流れない。また、導通時においては、ゲート電極6に対向した半導体基体と第一のヘテロ半導体領域とのヘテロ接合部のエネルギー障壁がゲート電界によって低下し、多数キャリアが流れるようになる。つまり、ドレイン電極8とソース電極7との間には電流が流れる。このように、電流の遮断・導通の制御をドレイン領域2とソース領域3とのヘテロ接合部で行うため、いわゆるチャネル長に相当する遮断状態を維持するのに必要なヘテロ接合境界領域の厚みを小さくすることができ、チャネル抵抗、つまりオン抵抗を低減することができる。
また、素子製造時に半導体基体への伝導度制御を必要としないため、その製造工程が簡便であるとともに、高温アニール等で生じる表面荒れ等の問題も回避でき、さらにオン抵抗の向上が期待できる。
さらに加えて、遮断時においては電子密度が低く、比較的遮断性能が高いN−型のソース領域3を用いながらも、ソース領域3のゲート対向部がソース電極7と低抵抗領域4を介してオーミック接続されているため、遮断時においては、電子密度が低く、比較的遮断性能が高いN−型のソース領域3を用いながらも、ソース電極7とソース領域3のゲート対向部との間の抵抗が小さくなるため、さらにオン抵抗を低減することができる。この際、低抵抗領域4の比抵抗が少なくともドレイン領域2に比べて小さくすることで、オン抵抗低減効果を有効にもたらすことができる。
さらに、逆導通時においては、ドレイン領域2には従来素子のように少数キャリアである正孔が注入されないため、逆回復時の逆回復電流の発生を抑えることができる。
また、本実施の形態(図2の構成を除く)では、半導体基体の一主面に所定の間隔でトレンチ16を有し、トレンチ16の側壁表層部の近傍において、半導体基体と、第一のヘテロ半導体領域と、ゲート絶縁膜5を介したゲート電極6とが互いに接している。これにより、集積化が容易であると共に、導通時におけるゲート電極6からのゲート電界が、半導体基体と第一のヘテロ半導体領域とのヘテロ接合部に効率よく伸びるため、ヘテロ接合部のエネルギー障壁はより低下しやすくなり、さらにオン抵抗を低減できる。
図10は本発明による半導体装置の第2の実施の形態を示している。図10は第1の実施の形態の図1に対応した断面図である。本実施の形態においては、図1と同様の動作をする部分の説明は省略し、異なる特長について詳しく説明する。
図10に示すように本実施の形態の特長は、半導体基体並びに第一のヘテロ半導体領域であるソース領域3に接して、半導体基体とはバンドギャップが異なる第二のヘテロ半導体領域である耐圧保持領域9を有し、耐圧保持領域9と半導体基体との接合部の耐圧が、少なくともソース領域3と半導体基体との接合部の耐圧よりも同等以上となるように構成されている。つまり、図1に示したソース領域3の一部分を、例えばP+型の多結晶シリコンからなる耐圧保持領域9に変更している点である。つまり、ドレイン領域2並びにソース領域3に接するように、P+型の多結晶シリコンからなる耐圧保持領域9を形成している。これは、電子密度の低いP+型の耐圧保持領域9とドレイン領域2でヘテロ接合部を形成することにより、ドレイン領域2とソース領域3とのヘテロ接合部よりも、遮断時の漏れ電流を低減し、より高い耐圧を得ることが可能となる。
このことから、本実施の形態においては、第一の実施形態で示したオン抵抗低減効果を維持したまま、より高い遮断性を得ることができる。
さらに本実施の形態では、ソース領域3が第一導電型で形成されており、耐圧保持領域9が第二導電型で形成されている。これにより本発明による効果を容易に実現できる。なお、ソース領域3と耐圧保持領域9を第一導電型で形成し、ソース領域3の不純物濃度を耐圧保持領域9の不純物濃度と比べて同等以上としてもよい。これにより本発明による効果を容易に実現できるが、耐圧向上効果は本実施の形態の構成の方が高い。また、耐圧保持領域9がソース領域3と同等の半導体材料からなるので、製造工程を簡略化できる。
図11は本発明による半導体装置の第3の実施の形態を示している。図11は第2の実施の形態の図10に対応した断面図である。本実施の形態においては、図10と同様の動作をする部分の説明は省略し、異なる特長について詳しく説明する。
図11に示すように本実施の形態においては、ソース領域3を高い導通特性が得られるN+型とし、さらに、図10で示した例えばコバルトシリサイドからなる低抵抗領域4の代わりに、ソース領域3と同一材料のN+型多結晶シリコンからなる低抵抗領域11が形成されている。この構成により製造工程を簡略化できる。さらに、低抵抗領域11と耐圧保持領域9との間には層間分離膜10が形成されている。なお、図11においては、層間分離膜10と耐圧保持領域9の端部の位置が一致している場合を例示しているが、層間分離膜10の方が大きくても小さくてもかまわない。すなわち、低抵抗領域11と、ソース領域3もしくは耐圧保持領域9の少なくともいずれかとの間に層間分離膜10を有する構成であればよい。
まず、図12(a)に示すように、N+型の基板領域1の上にN−型のドレイン領域2をエピタキシャル成長させて形成したN型の炭化珪素半導体基体上に、例えばLP−CVD法により多結晶シリコンを堆積した後、例えばBBr3雰囲気中にてボロンドーピングを行い、P+型の耐圧保持領域9を形成する。このとき、例えばドレイン領域2の不純物濃度及び厚さは1×1016cm−3、10μm、耐圧保持領域9の不純物濃度及び厚さは1×1018cm−3、0.2μmである。
次に、図12(b)に示すように、耐圧保持領域9に酸化膜を堆積し、フォトリソグラフィとエッチングにより層間分離膜10を形成する。
次に、図12(c)に示すように、耐圧保持領域9並びに層間分離膜10上に低抵抗領域11となる多結晶シリコンを再び堆積する。
次に、図13(d)に示すように、低抵抗領域11上に酸化膜を堆積し、フォトリソグラフィとエッチングによりマスク材(図示省略)を形成する。そして、反応性イオンエッチングにより、低抵抗領域11をエッチングすると同時にソース領域3とドレイン領域2の表層部をエッチングし、所定の深さを有するトレンチ16を形成する。フッ化水素酸水溶液によりマスク材を除去した後、例えばPOCl3雰囲気中にてリンドーピングを行い、N+型のソース領域3並びに低抵抗領域11を形成する。このとき、例えば低抵抗領域11の不純物濃度及び厚さは5×1019cm−3、0.5μmである。
最後に、図13(e)に示すように、低抵抗領域11の上面並びにトレンチ16の内壁に沿って、ゲート絶縁膜5を堆積する。その後、裏面側に相当する基板領域1には例えば、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)からなるドレイン電極8を形成し、表面側に相当するソース領域3には、反応性イオンエッチングによりゲート酸化膜5の所定の位置にコンタクトホールを開孔し、低抵抗領域11の上面にチタン(Ti)、アルミニウム(Al)を順に堆積することでソース電極7を形成し、図11に示した本発明の第3の実施の形態による炭化珪素半導体装置を完成させる。
すなわち、本実施の形態の半導体装置の製造方法では、半導体基体の一主面側にソ−ス領域3を積層する工程(1)と、ソ−ス領域3に接するように低抵抗領域4を積層する工程(2)と、低抵抗領域4とソ−ス領域3を同一のマスクパターンを用いて選択的にエッチングする工程(3)と、低抵抗領域4、ソ−ス領域3並びに半導体基体に接するようにゲート酸化膜5を形成する工程(4)を少なくとも含み、工程(1)と工程(2)の間に、層間分離膜10を積層する工程と、層間分離膜10を選択的にエッチングする工程を少なくとも含む。
このような構成により、本実施の形態の半導体装置を従来からある製造技術で容易に実現することが可能である。
また、遮断時において、層間分離膜10直下の耐圧保持領域9とドレイン領域2との間で発生する漏れ電流は、直接低抵抗領域11に流れることができず、導通経路が長くなるため、耐圧保持領域9での漏れ電流の発生を抑制することができる。
図14は本発明による半導体装置の第4の実施の形態を示している。図14は第2の実施の形態の図10に対応した断面図である。本実施の形態においては、図10と同様の動作をする部分の説明は省略し、異なる特長について詳しく説明する。
図14に示すように本実施の形態においては、半導体基体並びに第一のヘテロ半導体領域に接して、半導体基体とショットキー接合を形成するショットキー領域12を有し、ショットキー領域12と半導体基体との接合部の耐圧が、少なくとも第一のヘテロ半導体領域と半導体基体との接合部の耐圧よりも同等以上となるように構成されている。すなわち、図10における低抵抗領域4並びに耐圧保持領域9の代わりに、例えばニッケルからなるショットキー領域12が形成されている。つまり、ドレイン領域2との接合面においてはショットキー接続をすると共に、ソース領域3とソース電極7をつなぐ低抵抗領域としても機能する。すなわち、低抵抗領域がショットキー領域12と同一の材料からなるので、製造工程を簡略化できる。なお、本実施の形態においては、ショットキー領域12が低抵抗領域としても機能する場合を示しているが、低抵抗領域には別の材料を用いて別の領域としてもかまわない。
このような構成にすることにより、遮断状態においてはショットキー接合界面のドレイン領域2側には印加したドレイン電位に応じて空乏層が拡がため、ショットキー領域12側に存在する伝導電子はショットキー障壁を越えることができず、その接合界面には伝導電子が蓄積するため、ヘテロ接合のときと同様に、炭化珪素側に拡がる空乏層に見合う電気力線が終端し、ショットキー領域12側ではドレイン電界がシールドされることになる。このとき、図10で示した耐圧保持領域9によるヘテロ接合のエネルギー障壁よりも高くなるように、ショットキー領域12の材料を選定することで、さらに高い遮断性を実現することが可能になる。つまり、第2の実施の形態とは別の構成で、遮断状態の耐圧が向上すると共に、遮断時の漏れ電流も抑制することができる。
また、導通時においては、スイッチとして機能するソース領域3には影響を及ぼさず、かつソース領域3とソース電極7とをつなぐ低抵抗領域として働くため、より高い導通特性を有する。
図15は本発明による半導体装置の第5の実施の形態を示している。図15は第1の実施の形態の図1に対応した断面図である。本実施の形態においては、図1と同様の動作をする部分の説明は省略し、異なる特長について詳しく説明する。
図15に示すように、本実施の形態においては、ゲート電極6とソース領域3が対向する部分から所定の距離離れたところに、ソース領域3並びにドレイン領域2の表面に接するように第二導電型であるP型もしくはP+型の電界緩和領域13が形成されている。
このような構成にすることにより、遮断状態においては電界緩和領域13とドレイン領域2との間に電界緩和領域13からドレイン電位に応じた空乏層が拡がり、半導体基体を空乏化できるため、第一の実施の形態に比べ漏れ電流を低減することができ、遮断性能、つまり遮断時における耐圧が向上する。
なお、この電界緩和域13は第一の実施の形態に対応する図1の構造に限らず、図16から図18に示すように、第二の実施の形態から第四の実施の形態のそれぞれの構造に対しても適用することができる。つまり、半導体基体と第一のヘテロ半導体領域とゲート絶縁膜5を介したゲート電極6とが互いに接する部分から所定の距離離れており、ソース領域3(図15)、耐圧保持領域9(図16、図17)及びショットキー領域12(図18)のいずれかに接するように、半導体基体の一主面に第二導電型の電界緩和領域13が形成されている構成である。
図19は本発明による半導体装置の第6の実施の形態を示している。図19は第5の実施の形態の図15に対応した断面図である。本実施の形態においては、図15と同様の動作をする部分の説明は省略し、異なる特長について詳しく説明する。
図16に示すように本実施の形態においては、ゲート電極6並びにソース領域3がゲート絶縁膜5を介して接するドレイン領域2の所定部分に、ドレイン領域2より高濃度のN+型の導通領域(導電領域)14が形成されている。つまり、ソース領域3とゲート絶縁膜5を介してゲート電極6とに接するように、半導体基体の一主面に第一導電型で半導体基体よりも不純物濃度が高い導通領域14が形成されている。
このような構成にすることにより、導通状態において、ソース領域3から半導体基体に流れる多数キャリアが流れやすくなるため、ソース領域3と導通領域14とのヘテロ接合のエネルギー障壁をさらに緩和させ、より高い導通特性を得ることができる。つまり、オン抵抗がさらに小さくなり、導通性能が向上する。
なお、この導通領域14は第5の実施の形態に対応する図15の構造に限らず、図20から図22に示すように、図16から図18のそれぞれの構造に対しても適用することができる。また、図示はしていないが、図1、図10、図11、図14に対応するような電界緩和領域13を形成していない構成においても適用可能である。
また、ソース領域3、耐圧保持領域9及び低抵抗領域11に用いる材料として多結晶シリコンを用いた例で説明したが、炭化珪素とヘテロ接合を形成する材料であればどの材料でもかまわない。また、多結晶シリコンに限らず、単結晶シリコンもしくはアモルファスシリコンを用いてもよい。これにより半導体装置を容易に実現可能である。また、一例として、ドレイン領域2としてN型の炭化珪素を、ソース領域3としてN型の多結晶シリコンを用いて説明しているが、N型の炭化珪素とP型の多結晶シリコン、P型の炭化珪素とP型の多結晶シリコン、P型の炭化珪素とN型の多結晶シリコンの如何なる組み合わせでもよい。
また、第1の実施の形態から第6の実施の形態においては、低抵抗領域4の材料としてコバルトシリサイドやN+型の多結晶シリコンを用いた場合で説明してきたが、他の単一金属、合金、複合金属、もしくは半導体材料で構成されていても良い。これにより半導体装置を容易に具現化できる。また、低抵抗領域4はタングステンシリサイドやニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いて形成してもよい。このように一般的な材料を用いることにより半導体装置を容易に具現化できる。
また、第4の実施の形態から第6の実施の形態において、ショットキー領域12の材料としてニッケルを用いた場合で説明してきたが、チタン、金、白金などショットキー接合を形成する金属であれば何でも良い。
さらに本発明の主旨を逸脱しない範囲での変形を含むことは言うまでもない。
3…ソース領域 4…低抵抗領域
5…ゲート絶縁膜 6…ゲート電極
7…ソース電極 8…ドレイン電極
9…耐圧保持領域 10…層間分離膜
11…低抵抗領域 12…ショットキー電極
13…電界緩和領域 14…導通領域
15…マスク材 16…トレンチ
Claims (21)
- 第一導電型の半導体基体からなるドレイン領域と、
前記半導体基体の一主面に接して前記半導体基体とはバンドギャップが異なる第一のヘテロ半導体領域からなるソース領域と、
前記ソース領域と前記半導体基体とのヘテロ接合部にゲート絶縁膜を介して接するゲート電極と、
前記ソース領域とオーミック接続する低抵抗領域と、
前記低抵抗領域を介して前記ソース領域と接続されたソース電極と、
前記半導体基体とオーミック接続されたドレイン電極と
を有することを特徴とする半導体装置。 - 前記低抵抗領域は少なくとも前記半導体基体に比べて比抵抗が小さい材料からなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
- 前記半導体基体並びに前記第一のヘテロ半導体領域に接して、前記半導体基体とはバンドギャップが異なる第二のヘテロ半導体領域を有し、前記第二のヘテロ半導体領域と前記半導体基体との接合部の耐圧が、少なくとも前記第一のヘテロ半導体領域と前記半導体基体との接合部の耐圧よりも同等以上となるように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
- 前記低抵抗領域と、前記第一のヘテロ半導体領域もしくは前記第二のヘテロ半導体領域の少なくともいずれかとの間に層間分離膜を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
- 前記第一のヘテロ半導体領域並びに前記第二のヘテロ半導体領域が第一導電型で形成されており、かつ、前記第一のヘテロ半導体領域の不純物濃度が前記第二のヘテロ半導体領域の不純物濃度と比べて同等以上であることを特徴とする請求項3または4記載の半導体装置。
- 前記第一のヘテロ半導体領域が第一導電型で形成されており、かつ、前記第二のヘテロ半導体領域が第二導電型で形成されていることを特徴とする請求項3または4記載の半導体装置。
- 前記低抵抗領域が前記第一のヘテロ半導体領域と同一材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体装置。
- 前記半導体基体並びに前記第一のヘテロ半導体領域に接して、前記半導体基体とショットキー接合を形成するショットキー領域を有し、前記ショットキー領域と前記半導体基体との接合部の耐圧が、少なくとも前記第一のヘテロ半導体領域と前記半導体基体との接合部の耐圧よりも同等以上となるように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
- 前記低抵抗領域が前記ショットキー領域と同一の材料からなることを特徴とする請求項8記載の半導体装置。
- 前記半導体基体の一主面に所定の間隔で溝を有し、前記溝の側壁表層部の近傍において、前記半導体基体と、前記第一のヘテロ半導体領域と、前記ゲート絶縁膜を介した前記ゲート電極とが、互いに接していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の半導体装置。
- 前記半導体基体と前記第一のヘテロ半導体領域と前記ゲート絶縁膜を介した前記ゲート電極とが互いに接する部分から所定の距離離れており、前記第一のヘテロ半導体領域、前記第二のヘテロ半導体領域及び前記ショットキー領域のいずれかに接するように、前記半導体基体の前記一主面に第二導電型の電界緩和領域が形成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の半導体装置。
- 前記第一のヘテロ半導体領域と前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲート電極とに接するように、前記半導体基体の前記一主面に第一導電型で、かつ前記半導体基体よりも不純物濃度が高い導電領域が形成されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の半導体装置。
- 前記半導体基体がワイドギャップ半導体からなることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の半導体装置。
- 前記半導体基体が炭化珪素からなることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の半導体装置。
- 前記第一のヘテロ半導体領域が単結晶シリコン、多結晶シリコンもしくはアモルファスシリコンからなることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の半導体装置。
- 前記第二のヘテロ半導体領域が前記第一のヘテロ半導体と同じ半導体材料からなることを特徴とする請求項3乃至7または9乃至15のいずれかに記載の半導体装置。
- 前記低抵抗領域が単一金属もしくは合金もしくは複合金属からなることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の半導体装置。
- 前記低抵抗領域がシリサイドからなることを特徴とする請求項17記載の半導体装置。
- 前記低抵抗領域がタングステンシリサイド、コバルトシリサイド、またはニッケルシリサイドからなることを特徴とする請求項17または18記載の半導体装置。
- 前記半導体基体の一主面側に前記第一のヘテロ半導体領域を積層する工程(1)と、前記第一のヘテロ半導体領域に接するように前記低抵抗領域を積層する工程(2)と、前記低抵抗領域と前記第一のヘテロ半導体領域を同一のマスクパターンを用いて選択的にエッチングする工程(3)と、前記低抵抗領域、前記第一のヘテロ半導体領域並びに前記半導体基体に接するように前記ゲート酸化膜を形成する工程(4)を少なくとも含む、請求項1乃至19のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
- 前記工程(1)と前記工程(2)の間に、前記層間分離膜を積層する工程と、前記層間分離膜を選択的にエッチングする工程を少なくとも含む請求項20記載の半導体装置の製造方法。
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