JP3975824B2 - 点火コイル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、点火プラグに高電圧を印加する点火コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】
図15に、シリンダヘッドのプラグホールに搭載される点火コイルの軸方向断面図を示す。図に示すように、点火コイル100は、ハウジング101と中心コア部102と二次スプール103と二次巻線104と一次スプール105と一次巻線106と高圧ターミナル107とを備える。
【0003】
ハウジング101は、筒状であって点火コイル100の外殻を形成している。中心コア部102は、ハウジング101内のほぼ中央に配置されている。二次スプール103は、中心コア部102の外周側に配置されている。二次巻線104は、二次スプール103の外周面に巻回されている。一次スプール105は、二次巻線104の外周側に配置されている。一次巻線106は、一次スプール105の外周面に巻回されている。高圧ターミナル107は、二次スプール103の下方に配置されている。高圧ターミナル107は、点火コイル100の下端に圧入される点火コイル(図略)に、高電圧を印加している。ハウジング101内には、エポキシ樹脂108が充填されている。エポキシ樹脂108は、ハウジング内に配置された上記各部材間の絶縁を確保している。また、エポキシ樹脂108は、上記各部材を固定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、低温域においては、一次巻線106の線膨張係数は、一次スプール105の線膨張係数およびエポキシ樹脂108の線膨張係数よりも小さい。したがって、これらの部材の熱変形量の違いから、一次スプール105の内周側に配置された部材には、締め付け方向の熱応力が加わる。
【0005】
一次スプール105の内周側部材に対する熱応力を抑制するためには、一次スプール105外周側と一次スプール105内周側との接合を断ってやればよい。そして、一次スプール105外周側と一次スプール105内周側とを、各々独立して熱変形させればよい。具体的には、例えば、一次スプール105全体をエポキシ樹脂108との剥離性が大きい剥離性樹脂により形成すればよい。
【0006】
しかしながら、一次スプール105全体を剥離性樹脂で形成すると、一次スプール105において一次巻線106が巻回されていない部分までも、エポキシ樹脂108と剥離しやすくなってしまう。
【0007】
ここで、一次スプール105の下端に配置された高圧側端部109と、この高圧側端部109周囲に充填されたエポキシ樹脂108と、が剥離すると、図15中太線で示すように、電圧の低い一次巻線106と、電圧の高い高圧ターミナル107との間の絶縁が破壊されるおそれがある。そして、点火プラグに所望の高電圧を印加できなくなるおそれがある。
【0008】
本発明の点火コイルは、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、高圧側端部と樹脂絶縁材との接着力が大きい一次スプールを持つ点火コイルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)上記課題を解決するため、請求項1の発明の点火コイルは、ハウジングと、該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記剥離性部材は、少なくとも前記低圧側端部を形成していることを特徴とする。
【0010】
本発明の点火コイルは、剥離性部材と接着性部材とを含む複数の部材からなる一次スプールを有する。ここで、接着性部材は、樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる。また、剥離性部材は、樹脂絶縁材との接着力が小さい剥離性樹脂からなる。そして、接着性部材は、少なくとも一次スプールの高圧側端部を形成し、前記剥離性部材は、少なくとも前記低圧側端部を形成している。
【0011】
本発明の点火コイルによると、高圧側端部と、この高圧側端部周囲に充填された樹脂絶縁材と、が剥離するおそれが小さい。このため、一次巻線と高圧ターミナルとの間の絶縁が破壊されるおそれが小さい。したがって、本発明の点火コイルによると、点火プラグに確実に所望の高電圧を印加することができる。
【0012】
また、前記剥離性部材は、少なくとも前記低圧側端部を形成している。一次スプールの低圧側端部は、高圧側端部よりも電圧が低い。このため、低圧側端部においては、高圧側端部のように絶縁破壊が起こるおそれは小さい。したがって、低圧側端部は、一次スプールの内周側部材に加わる熱応力を抑制するため、樹脂絶縁材との剥離性が大きい方が好ましい。
【0013】
本構成は、一次スプールのうち、少なくとも低圧側端部を剥離性部材により形成するものである。本構成によると、低圧側端部と、この低圧側端部周囲に充填された樹脂絶縁材と、を簡単に剥離させることができる。このため、低圧側端部の内周側に配置された部材に加わる熱応力を抑制することができる。
【0014】
(2)また、上記課題を解決するため、請求項2の発明の点火コイルは、ハウジングと、
該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記接着性部材と前記剥離性部材とは、嵌合により接合されている。本構成によると、比較的簡単に接着性部材と剥離性部材とを接合することができる。
【0015】
(3)また、上記課題を解決するため、請求項3の発明の点火コイルは、ハウジングと、該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記接着性部材と前記剥離性部材とは、一体に成形されている。本構成によると、接着性部材と剥離性部材とが分離しにくくなる。
【0016】
(4)また、上記課題を解決するため、請求項4の発明の点火コイルは、ハウジングと、該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記接着性部材と前記剥離性部材との継ぎ目は、前記一次スプールの周方向に対し傾斜して延びている。本構成は、一次スプールの周線に対して平行にならないように、接着性部材と剥離性部材との継ぎ目を延ばすものである。本構成によると、接合後の接着性部材と剥離性部材とが、周方向にずれにくくなる。したがって、本構成によると、比較的堅固に接着性部材と剥離性部材とを接合することができる。
【0017】
(5)また、上記課題を解決するため、請求項5の発明の点火コイルは、ハウジングと、該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記接着性部材と前記剥離性部材との継ぎ目は、前記一次スプールの径方向に対し傾斜して延びている。本構成は、一次スプールの半径に対して平行にならないように、接着性部材と剥離性部材との継ぎ目を延ばすものである。本構成によると、接合後の接着性部材と剥離性部材とが、径方向にずれにくくなる。したがって、本構成によると、比較的堅固に接着性部材と剥離性部材とを接合することができる。
【0018】
また、一次巻線は、一次スプールを挟んで、例えば二次巻線など他の部材と径方向に対向している。このため、接着性部材と剥離性部材との境界、つまり継ぎ目に沿って絶縁破壊が起こることも考えられる。この点、本構成の継ぎ目は、一次スプールの半径に対して平行にならないように延在している。すなわち、一次スプールの内−外周面を結ぶ最短経路をとらないように、継ぎ目が形成されている。したがって、本構成によると、接着性部材と剥離性部材との継ぎ目に起因する絶縁破壊を抑制することができる。
【0019】
(6)また、上記課題を解決するため、請求項6の発明の点火コイルは、ハウジングと、該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記接着性部材と前記剥離性部材との継ぎ目は、補強部材により覆われている。本構成によると、接合後における接着性部材と剥離性部材とのずれを抑制することができる。このため、本構成によると、比較的堅固に接着性部材と剥離性部材とを接合することができる。また、継ぎ目を補強部材により覆うと、接着性部材と剥離性部材との継ぎ目に起因する絶縁破壊を抑制することができる。
【0020】
(7)また、上記課題を解決するため、請求項7の発明の点火コイルは、ハウジングと、該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記剥離性樹脂は、結晶性ポリスチレンで構成されている。結晶性ポリスチレン(Syndyotactic−Poly−Styrene、SPS)の構造は、非晶性ポリスチレン(PS)の構造とは異なる。すなわち、SPSは、主鎖に対して側鎖が交互に反対方向に配位した構造を有する。この構造のため、SPSの樹脂絶縁材に対する接着力は非常に小さい。したがって、本構成によると、一次スプールにおいて剥離性部材により形成された部分と、この剥離性部材周囲に充填された樹脂絶縁材と、を簡単に剥離させることができる。このため、剥離性部材の内周側に配置された部材に加わる熱応力を抑制することができる。また、SPSの絶縁破壊電圧は非常に高い。したがって、剥離性部材により形成された部分を起因とする絶縁破壊が発生するおそれが小さい。なお、SPSにガラス繊維などの添加材を分散させた樹脂も、本構成にいうSPSに含まれる。
【0021】
(8)また、上記課題を解決するため、請求項8の発明の点火コイルは、ハウジングと、該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記接着性樹脂は、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートから選ばれる樹脂で構成されている。
【0022】
ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、いずれも比較的樹脂絶縁材に対する接着力が大きい。また、これらの樹脂は汎用性が高い。したがって、本構成によると、簡単に接着性部材を作製することができる。なお、PPE、PBT、PETにガラス繊維などの添加材を分散させた樹脂も、本構成にいうPPE、PBT、PETに含まれる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の点火コイルの実施の形態について説明する。
【0024】
(1)第一実施形態
まず、本実施形態の点火コイルの構成について説明する。図1に本実施形態の点火コイルの軸方向断面図を示す。点火コイル1は、エンジンブロックの上部において、気筒毎に形成されたプラグホール(図略)内に収納されている。また、点火コイル1は、後述するように、点火プラグ(図略)と図中下側において接続されている。
【0025】
点火コイル1は、ハウジング2を備えている。このハウジング2は、樹脂製であり上方に向かって拡径する段付円筒状を呈している。そしてハウジング2の拡径した上端部には、広口部20が形成されている。また広口部20の側壁の一部には、切り欠き窓21が形成されている。
【0026】
ハウジング2の内部には、中心コア部5と一次スプール3と一次巻線30と二次スプール4と二次巻線40とが、収納されている。
【0027】
このうち中心コア部5は、中心コア54と弾性部材50とゴムチューブ52とからなる。中心コア54は、幅の異なる短冊状の珪素鋼板を直径方向に積層して形成されており、棒状を呈している。弾性部材50はシリコンゴム製であって円柱状を呈している。弾性部材50は、中心コア54の上端と下端とに計二つ配置されている。ゴムチューブ52は筒状を呈している。そして中心コア54および弾性部材50は、このゴムチューブ52により被覆されている。
【0028】
二次スプール4は、樹脂製であって有底円筒状を呈している。二次スプール4は、中心コア部5と同軸的に、かつ中心コア部5の外周側隣りに配置されている。二次巻線40は、二次スプール4の外周面に巻回されている。また二次スプール4の上端面には、スプール側係合爪41が立設されている。
【0029】
一次スプール3は、二次スプール4と同軸的に、かつ二次スプール4の外周側隣りに配置されている。一次スプール3については後述する。一次スプール3の外周面には、シリコン製の剥離テープ33が巻回されている。なお、剥離テープ33は本発明の補強部材に含まれる。一次巻線30は、剥離テープ33の外周面に巻回されている。また、一次巻線30の外周側には、長手方向に貫通するスリットの入った円筒状の外周コア31が配置されている。
【0030】
エポキシ樹脂8は、ハウジング2内に配置された上記部材間に介在している。このエポキシ樹脂8は、エポキシプリポリマと硬化剤とを、前記広口部20から予め真空引きしたハウジング2内に注入することにより、上記部材間に浸透し硬化する。なお、エポキシ樹脂8は、本発明の樹脂絶縁材に含まれる。
【0031】
コネクタ部6は、ハウジング2の広口部20に配置されている。コネクタ部6は、信号入力用コネクタ64とイグナイタ65とを備えている。この信号入力用コネクタ64は、樹脂製であって角筒状を呈している。また信号入力用コネクタ64は、広口部20の切り欠き窓21から拡径方向に突出して配置されている。
【0032】
イグナイタ65は、回路部やパワートランジスタなどをモールド樹脂により覆って形成されている。イグナイタ65は直方体状を呈している。イグナイタ65は、広口部20のほぼ中心に配置されており、信号入力用コネクタ64の縮径側端部に一体的に形成されている。イグナイタ65の下方には、コネクタ部側係合爪66が立設されている。コネクタ部側係合爪66は、前記スプール側係合爪41に係止されている。イグナイタ65の下端面62からは、リング状の位置決めリブ63が下方に向かって立設されている。この位置決めリブ63は、中心コア部5の弾性部材50と、二次スプール4との隙間に上方から介挿されている。
【0033】
高圧タワー部7は、ハウジング2の下方に配置されている。高圧タワー部7は、タワーハウジング70と高圧ターミナル71とスプリング72とプラグキャップ73とを備えている。
【0034】
タワーハウジング70は、樹脂製であって円筒状を呈している。タワーハウジング70の内周側中程には、上方に突出するボス部74が形成されている。高圧ターミナル71は、下方に開口76を持つカップ状を呈している。開口76にはボス部74が挿入されている。また高圧ターミナル71の上端面中央からは、上方に突出する凸部75が配置されている。この凸部75は、前記二次スプール4の下端部に挿入されている。
【0035】
スプリング72は、螺旋状を呈している。スプリング72の上端は、高圧ターミナル71の開口76に止着されている。スプリング72の内周側には、点火プラグ(図略)が嵌挿されている。
【0036】
プラグキャップ73は、ゴム製であって円筒状を呈している。このプラグキャップ73は、タワーハウジング70の下端部に環装されている。プラグキャップ73の内周側には、点火プラグが圧入され弾接している。
【0037】
次に、本実施形態の点火コイル1の動作について説明する。制御信号は信号入力用コネクタ64からイグナイタ65を介して一次巻線30に伝達される。そしてこの制御信号による相互誘導作用で、二次巻線40に高電圧が発生する。二次巻線40に発生した高電圧は、高圧ターミナル71とスプリング72とを介して点火プラグに伝達される。そして、この高電圧により点火プラグのギャップに火花が発生する。
【0038】
次に、本実施形態の点火コイルの一次スプールについて説明する。まず、一次スプールの構成について説明する。図2に、一次スプールの斜視図を示す。図に示すように、一次スプール3は、高圧側端部35と低圧側端部36と一次巻線部37とを備えている。高圧側端部35は、高圧側鍔350を含む下端部を構成している。低圧側端部36は、低圧側鍔360を含む上端部を構成している。そして、これら高圧側端部35と低圧側端部36との間には、一次巻線部37が延在している。一次スプール3の外周面には、剥離テープ33が巻回されている。そして、剥離テープ33の外周面には、前記一次巻線が巻回されている。
【0039】
高圧側端部35および一次巻線部37のうち継ぎ目80より下は、接着性部材38により形成されている。接着性部材38はPPE製である。また、低圧側端部および一次巻線部37のうち継ぎ目80より上は、剥離性部材39により形成されている。剥離性部材39はSPS製である。
【0040】
次に、一次スプールの製造方法について説明する。図3に、仮組み付けされた一次スプールの拡大断面図を示す。図に示すように、製造においては、まず、接着性部材38と剥離性部材39とを、それぞれ別々に射出成形する。このとき、剥離性部材39の下端内周側に、位置決め突起81を一体に形成する。位置決め突起81は、周方向に120゜ずつ離間して、合計三つ配置する。続いて、接着性部材38と剥離性部材39とを組み付ける。具体的には、位置決め突起81を接着性部材38上端内周側に挿入する。この位置決め突起81の挿入により、接着性部材38と剥離性部材39との組み付けずれを抑制する。そして、この状態で、継ぎ目80を覆うように、一次スプール3の外周面に、剥離テープ33を巻回する。
【0041】
図4に、位置決め突起切除中の一次スプールの拡大断面図を示す。剥離テープ33で接着性部材38と剥離性部材39とを固定したら、剥離性部材39の上方から、図中矢印で示すように、内周側に打ち抜き棒82を挿入する。ここで、打ち抜き棒82の外周径は、接着性部材38および剥離性部材39の内周径と、ほぼ同径に設定されている。このため、図中矢印で示すように、打ち抜き棒82により、位置決め突起81は剥離性部材39から切除される。その後、打ち抜き棒82を引き抜いて、一次スプール3が完成する。このようにして、一次スプール3は製造される。
【0042】
次に、本実施形態の点火コイルの効果について説明する。高圧側端部35は、接着性部材38により形成されている。このため、高圧側端部35と、この高圧側端部35周囲に充填されたエポキシ樹脂8と、が剥離するおそれが小さい。したがって、一次巻線30と高圧ターミナル71との間の絶縁が破壊されるおそれが小さい。
【0043】
また、低圧側端部36は、剥離性部材39により形成されている。このため、低圧側端部36と、この低圧側端部36周囲に充填されたエポキシ樹脂8と、は簡単に剥離する。したがって、低圧側端部36の内周側に配置された部材に加わる熱応力を抑制することができる。
【0044】
また、接着性部材38と剥離性部材39との継ぎ目80は、剥離テープ33により覆われている。このため、比較的堅固に接着性部材38と剥離性部材39とを接合することができる。また、継ぎ目80に起因する絶縁破壊を抑制することができる。
【0045】
また、剥離性部材39は、SPSにより形成されている。このため、一次スプール3において剥離性部材39により形成された部分と、この剥離性部材39周囲に充填されたエポキシ樹脂8と、を簡単に剥離させることができる。したがって、剥離性部材39の内周側に配置された部材に加わる熱応力を抑制することができる。また、SPSの絶縁破壊電圧は非常に高い。したがって、剥離性部材39により形成された部分が起因となり、絶縁破壊が発生するおそれが小さい。
【0046】
また、接着性部材38は、PPEにより形成されている。このため、簡単に接着性部材38を作製することができる。
【0047】
また、一次スプール3の外周面には、剥離テープ33が巻回されている。剥離テープ33は、エポキシ樹脂8との接着力が小さい。したがって、剥離テープ33の内周側に配置された部材に加わる熱応力を抑制することができる。ただし、低圧側鍔360への乗り上げを避けるため、低圧側鍔360直下には剥離テープ33が巻回されていない。しかしながら、低圧側鍔360直下は、剥離性部材39により形成されている。したがって、剥離テープ33未巻回部においても剥離性を確保することができる。
【0048】
また、接着性部材38および剥離性部材39の肉厚が薄い場合、接着性部材38や剥離性部材39の形状を工夫して、接着性部材38と剥離性部材39との組み付けずれを抑制するのは困難である。この点、本実施形態の剥離性部材39には、位置決め突起81が形成されている。したがって、接着性部材38や剥離性部材39の形状を工夫することなく、簡単に両部材の組み付けずれを抑制することができる。
【0049】
(2)第二実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、接着性部材と剥離性部材との継ぎ目が一次スプールの周方向に対して凹凸状に延びている点である。また、接着性部材と剥離性部材とが一体に成形されている点である。また、剥離テープが配置されていない点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0050】
図5に、本実施形態の一次スプールの剥離性部材の斜視図を示す。なお、図3と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、剥離性部材39の下端からは、上方に向かってスリット390が等角度ごとに形成されている。各々のスリット390の先端には、拡張部391が形成されている。
【0051】
本実施形態の一次スプールは、インサート成形により製造される。すなわち、製造においては、まず、剥離性部材39のみを射出成形する。そして、成形した剥離性部材39を型に入れ、接着性樹脂であるPPEを型に流し込む。
【0052】
図6に、本実施形態の一次スプールの継ぎ目付近の斜視図を示す。なお、図3と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、スリット390および拡張部391に沿って、継ぎ目80は延びている。このため、継ぎ目80は、一次スプール3の周方向に対して、凹凸状を呈している。
【0053】
本実施形態の点火コイルによると、接着性部材38と剥離性部材39とがインサート成形により一体に形成されている。したがって、接着性部材38と剥離性部材39とが分離しにくい。
【0054】
また、本実施形態の点火コイルによると、継ぎ目80が周方向に対して凹凸状を呈している。このため、接着性部材38と剥離性部材39とが、周方向にずれにくい。
【0055】
また、本実施形態の点火コイルによると、スリット390の先端に拡張部391が形成されている。インサート成形時に、この拡張部391内で硬化するPPEは、成形後において接着性部材38の抜け止めとして作用する。このため、接着性部材38と剥離性部材39とが、上下方向に分離しにくい。
【0056】
このように、接着性部材38と剥離性部材39とは、周方向および上下方向にずれにくい。したがって、本実施形態の点火コイルによると、例えば剥離テープなどの補強部材を用いなくても、接着性部材38と剥離性部材39とを堅固に接合することができる。このため、部品点数が少なくて済む。
【0057】
(3)第三実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、接着性部材と剥離性部材とが嵌合により接合されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0058】
図7に、本実施形態の一次スプールの分解図を示す。図に示すように、接着性部材38の上端には、矩形状の接着性部材側嵌合孔382が穿設されている。接着性部材側嵌合孔382は、周方向に離間して合計四つ配置されている。また、剥離性部材39の下端には、矩形状の剥離性部材側嵌合孔392が穿設されている。剥離性部材側嵌合孔392は、周方向に離間して合計四つ配置されている。
【0059】
また、これら接着性部材側嵌合孔382および剥離性部材側嵌合孔392の外周側には、半円筒状の連結部材9が配置されている。連結部材9は、接着性部材側嵌合孔382および剥離性部材側嵌合孔392を挟んで、合計二つ配置されている。連結部材9の内周面下部からは、矩形状の接着性部材用突起90が突設されている。接着性部材用突起90は、周方向に離間して合計二つ配置されている。また、接着性部材用突起90は、接着性部材側嵌合孔382と径方向に対向している。
【0060】
一方、連結部材9の内周面上部からは、矩形状の剥離性部材用突起91が突設されている。剥離性部材用突起91は、周方向に離間して合計二つ配置されている。また、剥離性部材用突起91は、剥離性部材側嵌合孔392と径方向に対向している。
【0061】
また、連結部材9の周方向一端には、連結突起92が形成されている。また、連結部材9の周方向他端には、連結凹部93が形成されている。二つの連結部材9の連結突起92と連結凹部93とは、対向している。
【0062】
接着性部材38と剥離性部材39との組み付けにおいては、図中矢印で示すように、まず接着性部材38と剥離性部材39とを上下方向から当接させる。そして、この状態で、左右から連結部材91により、接着性部材38と剥離性部材39との当接部を挟持する。このとき、接着性部材用突起90を接着性部材側嵌合孔382に嵌挿する。同様に、剥離性部材用突起91を剥離性部材側嵌合孔392に嵌挿する。これらの嵌挿により、接着性部材38と剥離性部材39とが接合される。また、連結突起92が対向する連結凹部93に嵌挿されることにより、二つの連結部材9が接合される。
【0063】
図8に、本実施形態の一次スプールの合体図を示す。なお、図3と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、連結部材9により接着性部材38と剥離性部材39との継ぎ目は覆われる。最後に、剥離テープ33を連結部材9および接着性部材38および剥離性部材39の外周面に巻回して一次スプール3が完成する。
【0064】
本実施形態の点火コイルによると、接着性部材38と剥離性部材39とが、連結部材9を介して、嵌合により接合されている。このため、比較的堅固に接着性部材38と剥離性部材39とを接合することができる。本実施形態のように、接着性部材38および剥離性部材39以外の部材を用いて接着性部材38と剥離性部材39とを接合してもよい。
【0065】
(4)第四実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、接着性部材と剥離性部材とが嵌合により接合されている点である。また、接着性部材と剥離性部材とが、一次巻線部の下部において接合されている点である。また、剥離テープが配置されていない点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0066】
図9に、本実施形態の一次スプールの分解図を示す。なお、図2と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、一次巻線部37の下端部および高圧側端部35全体は、接着性部材38により形成されている。接着性部材38の上端内周側は、除肉されている。接着性部材38の上端外周側には、接合凹部383が穿設されている。接合凹部383は、周方向に90゜ずつ離間して、合計四つ配置されている。
【0067】
一方、一次巻線部37のほぼ全体および低圧側端部(図略)全体は、剥離性部材39により形成されている。剥離性部材39の下端外周側は、除肉されている。この除肉部分には、接合突起393が突設されている。接合突起393は、周方向に90゜ずつ離間して、合計四つ配置されている。接合突起393は、前記接合凹部383と径方向に対向している。
【0068】
接着性部材38と剥離性部材39とは、図中矢印で示すように、接合突起393を接合凹部383に挿入することにより接合される。具体的には、まず剥離性部材39下端の接合突起393配置部分を弾性的に縮径させる。そして、この状態で剥離性部材39下端を接着性部材38上端に圧入する。接合突起393が接合凹部383の内周側にさしかかると、復元力により接合突起393が接合凹部383にはめ込まれる。そして、図10に示すように、一次スプール3が完成する。
【0069】
本実施形態の点火コイルによると、接着性部材38と剥離性部材39とが、嵌合により接合されている。このため、比較的堅固に接着性部材38と剥離性部材39とを接合することができる。また、継ぎ目80は、一次スプール3の径方向に対して、ジグザグ状に延びている。このため、継ぎ目80に起因する絶縁破壊を抑制することができる。また、接着性部材38と剥離性部材39とが径方向にずれにくい。また、本実施形態の点火コイルには剥離テープが配置されていない。このため、部品点数が少なくて済む。
【0070】
(5)第五実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、接着性部材と剥離性部材との継ぎ目が一次スプールの径方向に対してテーパ状に延びている点である。また、継ぎ目が一次巻線部のほぼ中央に形成されている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0071】
図11に、本実施形態の一次スプールの継ぎ目付近の拡大断面図を示す。なお、図3と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、一次巻線部37の下半分および高圧側端部(図略)全体は、接着性部材38により形成されている。接着性部材38の上端面は、拡径方向に上昇するテーパ状を呈している。一方、一次巻線部37の上半分および低圧側端部(図略)全体は、剥離性部材39により形成されている。剥離性部材39の下端面は、縮径方向に下降するテーパ状を呈している。すなわち、接着性部材38の上端面と剥離性部材39の下端面とは平行である。
【0072】
本実施形態の点火コイルによると、継ぎ目80が一次スプール3の径方向に対して傾斜して延びている。このため、継ぎ目80に起因する絶縁破壊を抑制することができる。また、接着性部材38と剥離性部材39との径方向ずれを抑制することができる。また、継ぎ目80は、剥離テープ33により覆われている。このため、比較的堅固に接着性部材38と剥離性部材39とを接合することができる。
【0073】
(6)第六実施形態
本実施形態と第五実施形態との相違点は、接着性部材と剥離性部材との継ぎ目が一次スプールの径方向に対して段状に延びている点である。また、剥離テープが配置されていない点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0074】
図12に、本実施形態の一次スプールの継ぎ目付近の拡大断面図を示す。なお、図11と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、一次巻線部37の下半分および高圧側端部(図略)全体は、接着性部材38により形成されている。接着性部材38の上端面は、拡径方向に上昇する段状を呈している。一方、一次巻線部37の上半分および低圧側端部(図略)全体は、剥離性部材39により形成されている。剥離性部材39の下端面は、縮径方向に下降する段状を呈している。すなわち、接着性部材38の上端面と剥離性部材39の下端面とは平行である。
【0075】
本実施形態の点火コイルによると、継ぎ目80が一次スプール3の径方向に対して段状に延びている。このため、継ぎ目80に起因する絶縁破壊を抑制することができる。また、接着性部材38と剥離性部材39との径方向ずれを抑制することができる。また、本実施形態の点火コイルには、剥離テープが配置されていない。このため、部品点数が少なくて済む。
【0076】
(7)第七実施形態
本実施形態と第一実施形態との相違点は、接着性部材と剥離性部材との継ぎ目が一次スプールの周方向に対して凹凸状に延びている点である。また、継ぎ目が一次巻線部のほぼ中央に形成されている点である。また、剥離テープが配置されていない点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0077】
図13に、本実施形態の一次スプールの分解図を示す。なお、図2と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、一次巻線部37の下半分および高圧側端部(図略)全体は、接着性部材38により形成されている。接着性部材38の上端には、軸方向凹凸部384が形成されている。一方、一次巻線部37の上半分および低圧側端部(図略)全体は、剥離性部材39により形成されている。剥離性部材39の下端には、軸方向凹凸部394が形成されている。軸方向凹凸部384と軸方向凹凸部394とは、上下方向に型対称となるように対向している。接着性部材38と剥離性部材39とは、軸方向凹凸部384と軸方向凹凸部394とがちょうど歯車のように噛み合うことにより接合される。
【0078】
本実施形態の点火コイルによると、継ぎ目80が一次スプール3の周方向に対して凹凸状に延びている。このため、接着性部材38と剥離性部材39との周方向ずれを抑制することができる。また、本実施形態の点火コイルには、剥離テープが配置されていない。このため、部品点数が少なくて済む。
【0079】
(8)第八実施形態
本実施形態と第七実施形態との相違点は、接着性部材と剥離性部材との継ぎ目が一次スプールの径方向に対して凹凸状に延びている点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0080】
図14に、本実施形態の一次スプールの分解図を示す。なお、図13と対応する部位については同じ記号で示す。図に示すように、軸方向凹凸部384には、内周方向に下降する径方向段差385が形成されている。一方、軸方向凹凸部394には、内周方向に下降する径方向段差395が形成されている。すなわち、径方向段差385と径方向段差395とは、平行に配置されている。接着性部材38と剥離性部材39とを接合すると、軸方向凹凸部384と軸方向凹凸部394とが周方向に噛み合う。また同時に、径方向段差385と径方向段差395とが径方向に噛み合う。
【0081】
本実施形態の点火コイルによると、接着性部材38と剥離性部材39との継ぎ目80が、一次スプール3の周方向および径方向に対して凹凸状に延びている。このため、接着性部材38と剥離性部材39との周方向ずれおよび径方向ずれを抑制することができる。また、継ぎ目80が径方向に段状に形成されるため、継ぎ目80に起因する絶縁破壊を抑制することができる。
【0082】
(9)その他
以上、本発明の点火コイルの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で行うことも可能である。例えば、上記実施形態においては、接着性部材38をPPEにより作製したが、PBTやPETにより作製してもよい。また、他の樹脂により作製してもよい。また、上記実施形態においては、剥離性部材39をSPSにより作製したが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂やシリコンやポリフェニレンサルファイド(PPS)により作製してもよい。また、他の樹脂により作製してもよい。また、上記実施形態においては一次スプール3を外周側に、二次スプール4を内周側に、それぞれ配置したが、この配置は逆であってもよい。
【0083】
【発明の効果】
本発明によると、高圧側端部と樹脂絶縁材との接着力が大きい一次スプールを持つ点火コイルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一実施形態の点火コイルの軸方向断面図である。
【図2】 第一実施形態の一次スプールの斜視図である。
【図3】 仮組み付けされた一次スプールの拡大断面図である。
【図4】 位置決め突起切除中の一次スプールの拡大断面図である。
【図5】 第二実施形態の一次スプールの剥離性部材の斜視図である。
【図6】 第二実施形態の一次スプールの継ぎ目付近の斜視図である。
【図7】 第三実施形態の一次スプールの分解図である。
【図8】 第三実施形態の一次スプールの合体図である。
【図9】 第四実施形態の一次スプールの分解図である。
【図10】 第四実施形態の一次スプールの合体図である。
【図11】 第五実施形態の一次スプールの継ぎ目付近の拡大断面図である。
【図12】 第六実施形態の一次スプールの継ぎ目付近の拡大断面図である。
【図13】 第七実施形態の一次スプールの分解図である。
【図14】 第八実施形態の一次スプールの分解図である。
【図15】 従来の点火コイルの軸方向断面図である。
【符号の説明】
1:点火コイル、2:ハウジング、20:広口部、21:切り欠き窓、3:一次スプール、30:一次巻線、31:外周コア、33:剥離テープ(補強部材)、35:高圧側端部、350:高圧側鍔、36:低圧側端部、360:低圧側鍔、37:一次巻線部、38:接着性部材、382:接着性部材側嵌合孔、383:接合凹部、384:軸方向凹凸部、385:径方向段差、39:剥離性部材、390:スリット、391:拡張部、392:剥離性部材側嵌合孔、393:接合突起、394:軸方向凹凸部、395:径方向段差、4:二次スプール、40:二次巻線、41:スプール側係合爪、5:中心コア部、50:弾性部材、52:ゴムチューブ、54:中心コア、6:コネクタ部、62:下端面、63:位置決めリブ、64:信号入力用コネクタ、65:イグナイタ、66:コネクタ部側係合爪、7:高圧タワー部、70:タワーハウジング、71:高圧ターミナル、72:スプリング、73:プラグキャップ、74:ボス部、75:凸部、76:開口、8:エポキシ樹脂(樹脂絶縁材)、80:継ぎ目、81:位置決め突起、82:打ち抜き棒、9:連結部材、90:接着性部材用突起、91:剥離性部材用突起、92:連結突起、93:連結凹部。

Claims (8)

  1. ハウジングと、
    該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、
    該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、
    該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、
    該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、
    該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記剥離性部材は、少なくとも前記低圧側端部を形成していることを特徴とする点火コイル。
  2. ハウジングと、
    該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、
    該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、
    該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、
    該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、
    該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記接着性部材と前記剥離性部材とは、嵌合により接合されていることを特徴とする点火コイル。
  3. ハウジングと、
    該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、
    該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、
    該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、
    該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、
    該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記接着性部材と前記剥離性部材とは、一体に成形されていることを特徴とする点火コイル。
  4. ハウジングと、
    該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、
    該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、
    該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、
    該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、
    該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記接着性部材と前記剥離性部材との継ぎ目は、前記一次スプールの周方向に対し傾斜して延びていることを特徴とする点火コイル。
  5. ハウジングと、
    該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、
    該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、
    該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、
    該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、
    該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記接着性部材と前記剥離性部材との継ぎ目は、前記一次スプールの径方向に対し傾斜して延びていることを特徴とする点火コイル。
  6. ハウジングと、
    該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、
    該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、
    該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、
    該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、
    該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記接着性部材と前記剥離性部材との継ぎ目は、補強部材により覆われていることを特徴とする点火コイル。
  7. ハウジングと、
    該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、
    該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、
    該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、
    該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、
    該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記剥離性樹脂は、結晶性ポリスチレンであることを特徴とする点火コイル。
  8. ハウジングと、
    該ハウジング内に配置され、高圧側端部と、低圧側端部と、該高圧側端部と該低圧側端部との間に介在し一次巻線が巻回された一次巻線部と、を持つ一次スプールと、
    該ハウジング内において該一次スプールにほぼ同軸状に配置され、二次巻線が巻回された二次スプールと、
    該ハウジング内に充填され上記各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を備えてなる点火コイルであって、
    該一次スプールは、該樹脂絶縁材との接着力が大きい接着性樹脂からなる接着性部材と、該接着性部材に接合され、該樹脂絶縁材との接着力が該接着性樹脂よりも小さい剥離性樹脂からなる剥離性部材と、を備えてなり、
    該接着性部材は、少なくとも該高圧側端部を形成し、前記接着性樹脂は、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートから選ばれる樹脂であることを特徴とする点火コイル。
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