JP3975745B2 - 建物の換気システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、建物の換気システムに関するものであり、更に詳しくは、床下空間や小屋裏空間の換気を図った建物の換気システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、気密化・断熱化した住宅が提供されており、この気密化・断熱化によりすぐれた居住性が実現されている。しかし、この気密化により室内の風通しが悪くなるので、換気装置を取り付けて室内の換気を24時間行うようにしている。
【0003】
しかしながら、この換気装置では室内の換気は行われるが、床下や小屋裏は行われていない。このため、床下に湿気が一度たまると、気密化により長期間に亘って床下の湿度が高い状態を維持することになり、木材が腐りやすく、シロアリ、カビ、ダニ等が発生しやすくなる。また、夏季では暖気が小屋裏にたまり室内の冷房を行っても小屋裏の暑さにより冷房効果が下がるという問題があった。
【0004】
そこで、特開平9−152162号公報に示されている床下換気装置が提案されている。この床下換気装置は、外気側に開放している通気口を設け、この通気口から外気を直接取り入れて床下の換気を行うものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、通気口から直接外気を床下に取り入れるものであるから、雨季等の外気の湿気が高い場合には、湿気の高い外気が床下内にはいるため、結果的に床下の湿度が高くなり、シロアリ、ダニ、カビ等の発生の防止に効果的でないと言う問題があった。
【0006】
さらに、冷暖房を行う室内空間と通常これを行わない床下空間や小屋裏とでは、温度差が生じ、これにより結露が生じるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、室内空間の換気において清浄な外気を十分に取り入れつつ、床下空間や小屋裏空間の換気を行って、床下空間や小屋裏空間における湿気の除去や塵の堆積防止を図ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願の請求項1の建物の換気システムは、外気を吸引する第1の吸引口と、第1の吸引口から吸引した空気を室内に送風する第1の送風口と、室内の空気を吸引する第2の吸引口と、第2の吸引口から吸引した空気を床下空間に送風する第2の送風口と、第2の吸引口から吸引される室内の空気と第1の吸引口から吸引される外気との熱交換を行う熱交換器とを備える熱交換型換気装置を建物の天井部空間に設置し、建物の外壁面に設けた空気取入口部を通って、前記第1の吸引口から外気を取り入れて室内天井裏に設けられた第1の送風口から建物の室内に送風するように配管し、建物内部の室内空気を吸引するように室内天井に前記第2の吸引口を設置し、前記第2の送風口と建物の床下に区画形成された床下空間とを連通するパイプを天井部空間から壁面に沿って床下空間まで配管し、前記床下空間の空気を還流する還流ファンと前記床下空間の空気を建物外に排気する排気ファンを備えた換気扇を前記床下に配置し、
前記熱交換器で熱交換された室内の空気を前記第2の送風口からパイプを通って床下空間へ送風することを特徴とする。
【0009】
また、本願の請求項2の建物の換気システムは、外気を吸引する第1の吸引口と第1の吸引口から吸引した空気を室内に送風する第1の送風口と、室内の空気を吸引する第2の吸引口と、第2の吸引口から吸引した空気を小屋裏空間に送風する第2の送風口と、第2の吸引口から吸引される室内の空気と第1の吸引口から吸引される外気との熱交換を行う熱交換器とを備える熱交換型換気装置を建物の小屋裏空間に設置し、前記第1の吸引口から外気を取り入れて室内天井裏に設けられた第1の送風口から建物の室内に送風するように配管し、空調された建物内部の空気を吸引するように室内天井に前記第2の吸引口を設置し、前記第2の送風口にパイプの一端が接続され、パイプの他端部を小屋裏空間に開放し、前記小屋裏空間の空気を建物外に排気する換気扇を備え、
前記熱交換器で熱交換された室内の空気を前記第2の送風口からパイプを介して小屋裏空間に送風することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本願の実施の形態にかかる建物の換気システムを図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態にかかる建物の概略構成を示したものであり、建物1の1階の室内2と2階の室内3との間の天井部空間4に換気装置5が設置されている。換気装置5は、建物1の外側にある空気を吸引する第1の吸引口部6と、室内の空気を吸引する第2の吸引口部7と、第1の吸引口部6から吸引した建物外側の空気を室内2(室内2には居間・和室・洋室等の居室、寝室、廊下が含まれる。)に送風する第1の送風口部8とを備えている。
【0012】
換気装置5において、第1の吸引口部6と送風口部8との間には吸引用のシロッコファン9が設けられている。シロッコファン9の空気吸引側風路を構成するダクトが第1の吸引口部6とされており、シロッコファン9の空気排出側の風路を構成するダクトが第1の送風口部8とされている。
【0013】
第1の吸引口部6のダクトには断熱材で覆われたパイプ10の一端部が接続され、パイプ10の他端部は建物1の壁部の開口部に設けられた空気取り入れ口部11に接続されている。
【0014】
送風口部8のダクトの端部には、断熱材で覆われたパイプ12の一端部が接続されており、パイプ12の他端部は、室内2の天井部の開口部に取り付けられた送風用グリル13に接続されている。送風用グリル13は送風用の開口部が形成された装飾用パネルで構成されている。
【0015】
第2の吸引口部7は室内2の天井部に形成された開口部14に臨んでいる。第2の吸引口部7の縁部には室内2の空気の吸い込み口が開口された装飾用パネル(図示省略)が取り付けられている。第2の吸引口部7の内側の送風路内にはシロッコファン15が設けられている。
【0016】
シロッコファン15の排気通路側には、第2の送風口部16が設けられており、第2の送風口部16のダクトには断熱材で覆われたパイプ17が接続されている。パイプ17は1階と2階の天井部空間4から1階の壁面に沿って床下空間部18に延びており、パイプ17の床下空間部18側の端部は、床下空間部18に開放されている。このパイプ17は建物1の外側に沿って設けられていても良い。床下部60は、土台部19と床下空間部18からなっている。
【0017】
床下空間部18は、コンクリートによって底部及び周囲の縦壁部を区画し、天井部を建物1の床部で区画したものであり、建物1の布基礎を構成する。床下空間部18と1階の室内2の床との間は、室内2の床を支える床柱や根太等が構築された土台部19とされている。床下空間部18の天井部には図示しない開口部が設けられ、当該開口部に蓋部が設けられており、内部に物を収納できるようになっている。土台部19と床下空間部18との境界部分に開口部が形成されている。土台部19には換気扇21が設けられ、この換気扇21の吸引口は床下空間部18の空気を吸い込むように形成されている。換気扇21の排気口に排気口グリル22が設けられている。
【0018】
シロッコファン9、15及び換気扇21は、図示しない壁面スイッチ及び制御回路により給電されて同時に回転する。シロッコファン9の回転により第1の吸引口部6から外気を吸引して第1の送風口部8及び送風用グリル13から1階の室内2に送風する。また、シロッコファン15は第2の吸引口部7から室内2の空気を吸引し、パイプ17を経由して床下空間部18に送風し、床下空間部18の空気は換気扇21により吸引口20及び排気口グリル22を通って建物1の外側に排気される。
【0019】
換気扇21は、空気を建物外に排気する排気ファンと、床下空間部18内部に還流する還流ファンとを備えており、床下空間部18内部の空気を還流ファンにより還流させつつ、排気ファンによって排気を行う。これにより床下空間部18に停滞した湿気も排気することができる。尚、換気扇21のファンは環流ファンを用いずに排気ファンのみでもよい。
【0020】
1階の換気システムでは、室内2に外気が導入された後に、床下空間部18には室内2の空気が送風され、床下空間部18の空気は換気扇21から建物外に排気される。室内2の空気は、エアコンAc等で除湿されることが多いので、床下空間部18に乾燥した空気が送風され、床下空間部18が除湿されると共に、塵等が堆積することが防止される。また、夏季にはエアコンAc等の冷風が送風されるので、冷房効果が高まり、冬季にはエアコンAc等の暖風が送風されるので、暖房効果が高まる。
【0021】
また、建物1の2階の天井部には開口部が形成されており、この開口部には2階の室内3のための換気装置23が取り付けられている。換気装置23は本願の第2の換気装置であり、外気を取り入れる第1の吸引口部24と、2階の室内の空気を取り入れる第2の吸引口部25と、第1の吸引口部24から取り入れた空気を2階の室内3に送風する第1の送風口部26と、第2の吸引口部25から吸い込んだ空気を小屋裏空間27に送風する第2の送風口部28とを有する。
【0022】
第1の吸引口部24と第1の送風口部26とは連なっており、第1の吸引口部24と第1の送風口部26との間にシロッコファン29が設けられている。
【0023】
第1の吸引口部24には断熱材で覆われたパイプ30が接続され、パイプ30は建物1の軒下部に設けられた吸引グリル31に接続されている。第1の送風口部26には断熱材で覆われたパイプ32が接続されている。パイプ32の他の端部は2階の室内3の天井部に設けた送風グリル33に接続されている。
【0024】
第2の吸引口部25と第2の送風口部28とは連なっており、第2の吸引口部25と第2の送風口部28との間にシロッコファン34が設けられている。第2の送風口部28にはパイプ35の一端部が設けられ、パイプ35の他端部は小屋裏空間27に開放されている。
【0025】
小屋裏空間27の内側壁面には、換気扇36が設けられており、換気扇36はパイプ37を介して排気用グリル38に接続されている。換気扇36は小屋裏空間27の空気を排気用グリル38から建物1の外側に排気する。
【0026】
換気装置23のシロッコファン29、34及び換気扇36は、室内3に設けた壁面スイッチ及び制御回路により同時に回転する。シロッコファン29は、吸引グリル31から吸引した空気を第1送風口部26を経由して送風グリル33から2階の室内3に送風する。シロッコファン34は2階の室内3の空気を吸い込んで小屋裏空間27に排気し、換気扇36は小屋裏空間27の空気を排気用グリル38から建物1の外側に排気する。
【0027】
この実施の形態にかかる建物の換気システムによれば、室内の換気において清浄な外気を十分に取り入れることを行った後に、室内に取り入れた空気を床下空間19や小屋裏空間27の換気に用い、更に換気扇21、36が空気を吸引するので、空気の吸引機能が増大すると共に、床下空間や小屋裏空間における黴発生原因である湿気の除去や塵の堆積防止を図ることができる。また、夏季においては小屋裏空間の熱気を建物外に排気するので、室内の冷房効果が向上し、冬季であれば、暖房の空気が床下空間や小屋裏空間に送られるので、暖房効果が向上する。
【0028】
更に、室内空気がそのまま床下空間部18或いは小屋裏空間27に流れることから、室内空間と床下空間部18或いは小屋裏空間27との間で温度差が生じないために結露の発生を防止できる。
【0029】
図2、図3は、換気装置5、23の構成を示す。この換気装置40は、建物の室内天井に取り付けられるハウジングケース41を備えている。このハウジングケース41の下部には室内の空気を外に排出するための導入開口部42が形成されており、この下部開口部42には、室内天井とほぼ同じ面に位置するようにフロントパネル43が取り付けられる。フロントパネル43に周縁部には開口部44が形成されており、開口部44から取り入れられた室内の空気(以下、Return Air:RAという)は導入開口部42を経由して熱交換器45に導入される。
【0030】
熱交換器45は、室内の空気の持っている熱を建物外側から取り入れる空気に伝達するものであり、排出する空気RAを通過させる排気通路と、建物外側から取り入れる空気(以下、Out Side Air:OAという)を通過させる吸気通路とを備えている。
【0031】
排気通路及び吸気通路は、それぞれ細長い紙製の管材からなるものであり、排気通路の管材と吸気通路の管材とがそれぞれ交互に隣り合うように配置されることにより、排気される空気RAの熱が吸引される空気OAに伝達されるようになっている。なお、この実施の形態では管材は紙で構成されているが、熱伝導率の高い薄いプラスチック・金属等でも良い。
【0032】
排気通路は、フロントパネル43の開口部44と、熱交換器45の排気通路と、図3に示す風路46・ファン格納室47・排気ダクト48で構成されている。
【0033】
熱交換器45の排気通路は、風路46を介してファン格納室47に通じており、ファン格納室47は排気ダクト48に接続されている。ファン格納室47にはファン49が配置されている。ファン49は遠心タイプのものであり、風路46から室内空気をファン49の中央部に取り込んでファン49の外側に排出する。図3の50はファン49を回転させるモータである。
【0034】
室外からの空気OAを吸引する吸気経路は、ダクト51と、フィルター52と、熱交換器40の吸気通路と、風路53と、ファン格納室54と、給気ダクト55とで構成されている。
【0035】
熱交換器45の吸気通路は、風路53を介してファン格納室54に通じている。ファン格納室54内部には遠心タイプのファン56が配置されている。ファン格納室54の側部には、給気ダクト55が設けられている。ファン56はファン56の中央部から室外の空気OAを導入して給気ダクト55から熱交換した空気(以下、Supply Air:以下SAという)を居室に供給する。給気ダクト55は断熱ダクト等を通して建物の各所に設けられた居室等に通じている。また、熱交換器45の吸気通路の入り口には、外気導入ダクト51が設けられ、外気導入ダクト51と熱交換器45との間には、煤塵・粉塵・花粉等をろ過するフィルター52が配置されている。フィルター52は一例として蛇腹状に折り畳まれた不織布等で構成されている。なお、フィルター52に抗菌・脱臭・防かび・光触媒等の機能を持たせても良い。
【0036】
ファン49とファン56は、それぞれを独立に回転制御可能なモータ50、57に取り付けられており、それぞれのモータ50、57は制御回路58の制御により回転駆動されるようになっている。なお、ファン49、56は一つのモーターで回転させても良い。
【0037】
なお、例えば、室内の空気を床下空間部に吸引し、床下空間から天井部の換気装置にダクトを設け、換気装置の排気口から再び1階及び2階の室内に送風する場合には、吸引のための管路長が長くなってコストが高くなると共に、吸引抵抗が大きくなるが、上記実施の形態の寒気システムによれば、床下から換気装置に戻す排気ダクトが不要になり、コストが安くなり、且つ吸引抵抗が少なくなる。また、床下空間部18或いは小屋裏空間部27から直接建物外に排気するので、床下空間18や小屋裏空間27の埃や湿気・臭気が室内2、3に逆流することがない。
【0038】
また、換気装置5、23に熱交換型寒気システムを利用することにより、室内へは熱交換器で排気熱を回収した空気が室内に供給されて快適な吸気が行え、冷暖房効率が良くなる。さらに、床下空間18又は小屋裏空間27には熱交換された排気空気が供給されるが、床下空間18や小屋裏空間27に供給される排気空気には完全に熱交換されていない熱が含まれるために、この空気が持つ熱によって、外気と比べて比較的温度・湿度共に安定した空気が供給されることとなる。
【0039】
これにより、床下空間部18或いは小屋裏空間27内のカビの発生や温度差による結露の発生を低減できる。
【0040】
【発明の効果】
本願の請求項1、2にかかる建物の換気システムによれば、室内空間の換気において清浄な外気を十分に取り入れることを行いながら、更に、床下空間や小屋裏空間の換気を行って、床下空間や小屋裏空間における黴発生原因である湿気の除去や塵の堆積防止を図ることができると共に、換気扇に作用する空気の吸引抵抗が増大することがない。更に、室内空間と小屋裏空間の温度差が少なくなるため、温度差に生じる結露の発生を低減および防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の形態にかかる建物の換気システムの説明図である。
【図2】図2は図1の換気システムに用いられる換気装置の分解斜視図である。
【図3】図3は図1の換気システムに用いられる換気装置の構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1 建物
2 1階の室内
3 2階の室内
5 第1の換気装置
6 第1の吸引口部(第1の吸引口)
7 第2の吸引口部(第2の吸引口)
8 第1の送風口部(第1の送風口)
9 シロッコファン
16 第2の送風口部(第2の送風口)
17 パイプ
18 床下空間部
21 換気扇
Claims (2)
- 外気を吸引する第1の吸引口と、第1の吸引口から吸引した空気を室内に送風する第1の送風口と、室内の空気を吸引する第2の吸引口と、第2の吸引口から吸引した空気を床下空間に送風する第2の送風口と、第2の吸引口から吸引される室内の空気と第1の吸引口から吸引される外気との熱交換を行う熱交換器とを備える熱交換型換気装置を建物の天井部空間に設置し、建物の外壁面に設けた空気取入口部を通って、前記第1の吸引口から外気を取り入れて室内天井裏に設けられた第1の送風口から建物の室内に送風するように配管し、建物内部の室内空気を吸引するように室内天井に前記第2の吸引口を設置し、前記第2の送風口と建物の床下に区画形成された床下空間とを連通するパイプを天井部空間から壁面に沿って床下空間まで配管し、前記床下空間の空気を還流する還流ファンと前記床下空間の空気を建物外に排気する排気ファンを備えた換気扇を前記床下に配置し、
前記熱交換器で熱交換された室内の空気を前記第2の送風口からパイプを通って床下空間へ送風することを特徴とする建物の換気システム。 - 外気を吸引する第1の吸引口と、第1の吸引口から吸引した空気を室内に送風する第1の送風口と、室内の空気を吸引する第2の吸引口と、第2の吸引口から吸引した空気を小屋裏空間に送風する第2の送風口と、第2の吸引口から吸引される室内の空気と第1の吸引口から吸引される外気との熱交換を行う熱交換器とを備える熱交換型換気装置を建物の小屋裏空間に設置し、前記第1の吸引口から外気を取り入れて室内天井裏に設けられた第1の送風口から建物の室内に送風するように配管し、空調された建物内部の空気を吸引するように室内天井に前記第2の吸引口を設置し、前記第2の送風口にパイプの一端が接続され、パイプの他端部を小屋裏空間に開放し、前記小屋裏空間の空気を建物外に排気する換気扇を備え、
前記熱交換器で熱交換された室内の空気を前記第2の送風口からパイプを介して小屋裏空間に送風することを特徴とする建物の換気システム。
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