JP3975602B2 - マイクロレンズアレイ基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はマイクロレンズアレイ基板に関する。特に、液晶プロジェクタやディスプレイ用の液晶表示装置などに用いられるマイクロレンズアレイ基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示パネルを用いたプロジェクタが提供されているが、このような液晶プロジェクタには、スクリーン前面に画像を投射してスクリーンの前面から観賞するフロント方式のものと、スクリーン背面に画像を投射してスクリーンの前面から観賞するリア方式のものとがある。
【0003】
(プロジェクタ用の液晶表示装置)
図1は、このようなフロント方式又はリア方式の液晶プロジェクタ1の基本構成を示す図である。メタルハライドランプ等の光源2はリフレクタ(放物面鏡)3の焦点位置に配置されており、光源2から出射された光束はリフレクタ3によって反射されることによって平行光束に変換される。リフレクタ3の前方には、液晶表示装置7が配置されている。この液晶表示装置7は、透過型液晶表示パネル5の両面に偏光板4、6を設けたものである。そして、リフレクタ3で反射された平行光束が液晶表示装置7を透過することにより画像が生成される。液晶表示装置7で生成された画像は、投射レンズ8によりスクリーン9上に結像される。
【0004】
上記液晶表示装置7としては、輝度アップを目的としてマイクロレンズアレイ基板11を用いた画像表示装置が提案されている。この液晶表示装置7は、図2に示すように、画像表示パネル5にマイクロレンズアレイ基板11を対向させたものである。液晶表示パネルは、TFT(薄膜トランジスタ)を駆動する配線等が設けられたブラックマトリクス領域12や透明電極等を形成されたガラス基板13と共通全面電極を形成されたガラス基板14との間に液晶材料15を封止したものであって、ブラックマトリクス領域12によって囲まれた透明電極の部分が画素開口16となっており、マイクロレンズアレイ基板11の各マイクロレンズ17は液晶表示パネルの各画素開口16に対向するように配置されている。
【0005】
マイクロレンズアレイ基板を用いない液晶表示装置の場合には、図3(a)に示すように、平行光束がそのまま液晶表示パネルに照射するので、ブラックマトリクス領域12に照射された光はブラックマトリクス領域12で遮られ、光の利用効率が低下し、画像表示装置の輝度が低下する。
【0006】
これに対し、図2のように液晶表示パネル5の光入射側にマイクロレンズアレイ基板11を配置した液晶表示装置では、図3(b)に示すように、マイクロレンズアレイ基板11に入射した光は各マイクロレンズ17によって各画素開口16に集光され、液晶表示装置7に入射した光がすべて画素開口16を透過することになる。このため、マイクロレンズアレイ基板11を用いることによって光の利用効率を向上させることができ、明るい画像を得ることができる。
【0007】
(単板式のカラー液晶表示装置)
また、カラー液晶プロジェクタには、図4に示すような単板式のカラー液晶表示装置21が用いられる。このカラー液晶表示装置21にあっては、ハロゲンランプ等の白色光源22に対して3枚のダイクロイックミラー25R、25G、25Bが互いにαだけ角度を異ならせて配置されている。白色光源22から出射された白色光Wは直接に、あるいは反射鏡23で反射された後、コリメートレンズ24によって平行光束に変換され、ダイクロイックミラー25R、25G、25Bに入射する。ダイクロイックミラー25Rは、入射光のうち緑色光G及び青色光Bを透過させて赤色光Rだけを反射する。ダイクロイックミラー25Gは、ダイクロイックミラー25Rを透過した緑色光G及び青色光Bのうち、青色光Bを透過させて緑色光Gだけを反射する。ダイクロイックミラー25Bは、ダイクロイックミラー25R及び25Gを透過した青色光Bを反射する。この結果、液晶表示パネル27の光入射側に配置されたマイクロレンズアレイ基板26には、緑色光Gが垂直入射し、赤色光R及び青色光Bが緑色光Gに対して2αの角度をもって入射する。ここで、液晶表示パネル27の赤、緑、青の3画素(1絵素)に対して1つのマイクロレンズ32を対応させ、L=f・2α(ただし、Lは赤、緑、青の画素の中心間距離、fはマイクロレンズの焦点距離)となるように設計しておけば、図5に示すように、赤色光Rは赤色画素の画素開口31R内に集光され、緑色光Gは緑色画素の画素開口31G内に集光され、青色光Bは青色画素の画素開口31B内に集光され、赤色画像、緑色画像および青色画像の混合画像としてカラー画像が生成される。
【0008】
このように単板式カラー液晶表示装置の場合にも、マイクロレンズアレイ基板26を用いることにより各色光を各画素開口内に集光させることができ、入射光がブラックマトリクス領域で遮蔽されて光利用効率が低下するのを防止でき、明るい画像を得ることができる。
【0009】
(光源の大きさによる最小スポット径の問題)
しかしながら、光源は理想的な点光源ではなく、有限な大きさを有している。そのため、例えば図3(b)に示した液晶表示装置の場合でいうと、図6に示すようにマイクロレンズアレイ基板11の各マイクロレンズ17を透過した光は、実際には1点で収束しない。すなわち、図6において実線で示した光線33aは光源の中心点から出てコリメート化された平行光束を示し、1点鎖線で示した光線33b及び破線で示した光線33cは光源の端縁から出てコリメート化された平行光束を示している。光源が大きさを有していると、リフレクタやコリメートレンズでコリメート化しても完全な平行光束とならず、光束は図6に示すように有限な広がり角Δθをもってマイクロレンズアレイ基板11に入射する。このため液晶表示パネル5に集光される光(集光スポット)の最小スポット径Wは次の▲1▼式で表わされる。ただし、fはマイクロレンズ17の焦点距離(以下、マイクロレンズアレイ基板11の焦点距離ということがある)である。
W=2Δθ・f …▲1▼
【0010】
このため液晶表示装置7の設計にあたっては、最小スポット径Wが液晶表示パネル5の画素開口16の大きさPと同程度、あるいは画素開口16の大きさPよりわずかに大きくなるように設計しており、光利用効率は光源光の広がり角Δθに依存している。
【0011】
一方、液晶プロジェクタ用の液晶表示装置、あるいはそれ以外の機器に用いられている液晶表示装置では、近年しだいに高解像度化が進められており、それに伴って画像表示パネルの画素数が増大し、各画素が微細化している。また、液晶表示装置の量産性を高くするため、液晶表示パネルの画面の小型化が進んでおり、それに伴っても液晶表示パネルの画素が微細化している。
【0012】
こうして液晶表示パネル5の画素が微細化し、画素開口16が小さくなってくると、それに対応してマイクロレンズアレイ基板11を通過した光の最小スポット径Wも小さくしないと、図7に示すように、ブラックマトリクス領域12で光が遮られる割合が大きくなり、マイクロレンズアレイ基板11の効果が無くなり、画像が暗くなる。
【0013】
この場合、画像を明るくしようとして大きな光源を用いると、その分だけ光源から出る光の広がり角Δθも大きくなるので、効果が得られない。そのため、液晶表示パネルの画素の微細化に対しては、マイクロレンズアレイ基板の焦点距離を短くするしかない(上記▲1▼式参照)。
【0014】
マイクロレンズアレイ基板に形成されるマイクロレンズは、入射側の曲率を大きくした方が球面収差の少ないレンズとなるので、従来は図7に示したように液晶表示パネル5の封止基板(ガラス基板)34の入射面側にマイクロレンズ17を形成していた。従って、マイクロレンズアレイ基板の焦点距離を短くしようとすると、封止基板を薄くする必要があり、封止基板が製造工程中に割れる恐れがあるため、マイクロレンズアレイ基板の焦点距離を短くするのに限界があった。
【0015】
ここでは、図3に示したような液晶表示装置の場合について最小スポット径の問題を説明したが、これは単板式のカラー液晶表示装置でも同様に問題となる。
【0016】
(改良された従来例)
そこで、上記のような問題を踏まえて、図8に示すように2枚のガラス基板42、43間にマイクロレンズアレイ44を作り込んでマイクロレンズアレイ基板45とし、このマイクロレンズアレイ基板45を液晶表示パネル41の封止基板として用いられるようになってきている。このマイクロレンズアレイ基板45は、ガラス基板42及び43の間に屈折率の異なる2層の透明樹脂層46、47を成形し、透明樹脂層46、47の界面にマイクロレンズアレイ44を形成したものである。そして、このマイクロレンズアレイ基板45(ガラス基板43)の上に透明電極やTFT等のブラックマトリクス領域48を作製した後、透明電極等を形成された別な封止基板49との間に液晶材料50を封止して液晶表示パネル41を製作している。
【0017】
図9(a)〜(d)は上記のようなマイクロレンズアレイ基板45の量産工程を示す概略断面図である。マイクロレンズアレイ基板45のレンズは、微細な曲率構造を有しているから、切削研磨加工法により製作するのは困難である。そのためマイクロレンズアレイ基板45は、いわゆる2P(Photo-Polymerization)法により製作される。図9(a)に符号51で示すものはスタンパ(金型)であって、スタンパ51の上面にはレンズパターン52が形成されている。しかして、マイクロレンズアレイ基板11を製造するには、まずスタンパ51の上に紫外線硬化樹脂53(屈折率:1.35〜1.60くらい)を供給し、その上から透明なガラス基板43で押圧する。ガラス基板43で押圧すると、紫外線硬化樹脂53はスタンパ51とガラス基板43の間で押し広げられ、スタンパ51のレンズパターン52内に充填される。このときガラス基板43の押圧力と紫外線硬化樹脂53の供給量を調整することで、紫外線硬化樹脂53の厚みを数μm〜数100μmまで制御することができる。
【0018】
ついで、図9(b)に示すように、ガラス基板43を通して紫外線硬化樹脂53に紫外線を照射すると、光硬化反応によって紫外線硬化樹脂53が硬化し、スタンパ51のレンズパターン52が紫外線硬化樹脂53に転写される。紫外線硬化樹脂53が硬化すると、紫外線硬化樹脂53によって成形された透明樹脂層47をガラス基板43と共にスタンパ51から剥離する。
【0019】
この後、図9(c)に示すように、ガラス基板42の上に先ほどの紫外線硬化樹脂53と屈折率の異なる紫外線硬化樹脂54を供給し、下面に透明樹脂層47を成形されたガラス基板43を紫外線硬化樹脂54の上に重ねて押圧する。ガラス基板43を押圧することによって紫外線硬化樹脂54を透明樹脂層47とガラス基板42の間に押し広げた後、図9(d)に示すように、ガラス基板42を通して紫外線硬化樹脂54に紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂54を硬化させることにより透明樹脂層46を成形する。これにより、透明樹脂層46、47の間にマイクロレンズアレイ44が成形される。
【0020】
また、図10(a)〜(d)は上記スタンパ51の製造方法を示している。まず図10(a)に示すように、マイクロレンズアレイ基板のレンズパターンを有する原盤55を製作した後、銀等のスタンパ材56を原盤55の表面に堆積させてスタンパ材56で原盤55の表面を覆い、電鋳法によりスタンパ材56の上にニッケルを堆積させてスタンパ台57を形成する。ついで、原盤55を剥離し、図10(b)に示すように、スタンパ材56とスタンパ台57からなる第1スタンパ58を得る。
【0021】
この後、図10(c)のように、第1スタンパ58を上下反転させ、再び第1スタンパ58の上にさらにスタンパ材料59を堆積させ、第1スタンパ58の上に上記成形用スタンパ51を成形する。この後、スタンパ51を第1スタンパ58から分離すると、図10(d)に示すように、レンズパターン52を有するスタンパ51が得られる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにして、原盤55の上に第1スタンパ58のスタンパ材56を成膜するとき、触媒を用いた無電解メッキによる原盤表面の導体化についで、電解メッキによりスタンパ材56を堆積させる。
【0023】
しかし、この電解メッキプロセスにおいては、図11に示すように、原盤55に形成されているレンズパターン60のうち谷の部分60aでは、いわゆるエッジ効果が生じ、谷の部分60aにおけるスタンパ材56の堆積量が他の部分と比較して少ないか、全く堆積しなくなる。これによりレンズパターン60の谷の部分60aではスタンパ材56が堆積不良となり、スタンパ材56の頂点部分がシャープに成形されない。この結果、スタンパ51にも谷の部分や頂点の部分が丸みを帯びただれ部となっていた。
【0024】
マイクロレンズアレイ基板のレンズ形状が曲率の小さなものである場合には、レンズ形状の間の谷の部分が比較的浅くなるので、スタンパ51もほぼシャープな形状に形成されるが、焦点距離の短いマイクロレンズアレイ基板を成形する場合には、レンズ形状の谷の部分が深く、狭くなるので、スタンパ材56が原盤55に堆積しにくく、スタンパ51のだれ部が大きくなっていた。
【0025】
こうしてだれ部の大きなスタンパ51によってマイクロレンズアレイ基板45を成形すると、スタンパ51のだれ部もマイクロレンズアレイ基板45に転写されるので、成形されたマイクロレンズアレイ基板45でも図12のようにマイクロレンズ間の境界にだれ部61が生じる。
【0026】
図12に示すように、マイクロレンズアレイ基板45に光(緑色光G)が入射したとき、レンズ境界以外の領域では、入射光は対向する画素開口62(G)に集光される。しかし、マイクロレンズアレイ基板45にだれ部61が生じていると、レンズ境界領域に入射した光はだれ部61によって散乱され、迷光となって他の画素開口62(R)、62(B)に入射する。この結果、画像がぼやけてしまい、画像品質が低下する。特に、単板式カラー液晶表示装置の場合には、混色を生じるので、格段に画像が劣化する。しかも、液晶プロジェクタに用いる場合には、液晶表示パネルの画像がスクリーン上に拡大投影されるので、だれ部61による画像の劣化が目立ち易かった。
【0027】
また、ガラス基板43に成形された透明樹脂層47をスタンパ51から剥離するときには、図13に示すように、スタンパ51を均一な曲率となるように弧状に湾曲させながら透明樹脂層47から剥離させることにより、スタンパ51と透明樹脂層47との間の剥離抵抗を小さくし、マイクロレンズアレイ基板45の破損を防止している。
【0028】
しかし、マイクロレンズアレイ基板45のレンズ曲率が大きくなり、スタンパ51の谷の部分が深く、狭くなると、スタンパ51の剥離抵抗が大きくなるので、図13のようにしてスタンパ51を湾曲させながら透明樹脂層47から剥離するとき、透明樹脂層47のレンズ境界部分の先端部分が欠けてスタンパ51側に残り易かった。マイクロレンズアレイ基板45の透明樹脂層47にこのような欠けなどが生じると、ここでも光が散乱されるので、画像の乱れを生じさせる原因となり、特に液晶プロジェクタでは大きな問題になっていた。
【0029】
また、マイクロレンズアレイ基板のレンズ境界領域にだれ部や欠けが存在しない場合でも、レンズ曲率が大きくなると、レンズ境界領域で光が全反射され、迷光となる恐れもあった。
【0030】
さらに、図8に示したような構造のマイクロレンズアレイ基板45では、その短焦点距離化は、透明樹脂層に用いる樹脂材料の高性能化に依存しているだけであって、しかもその樹脂材料の屈折率改善による焦点距離の短縮化も限界に至っている。
【0031】
本発明は上述の技術的問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、マイクロレンズアレイ基板を構成するレンズの焦点距離をより短焦点化することにある。また、別な目的は、マイクロレンズアレイ基板を成形する際の不良品発生率を低減することにある。さらに別な目的は、マイクロレンズアレイ基板を液晶プロジェクタや液晶表示装置などに用いた場合に、マイクロレンズアレイ基板を通過した光の迷光を少なくし、画像の分解能を向上させることにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板は、微小レンズのレンズ配列面を少なくとも2層以上積層し、光入射側に1番近いレンズ配列面のレンズ曲率が、光入射側から2番目に位置するレンズ配列面のレンズ曲率よりも小さくなっており、前記レンズ配列面間の間隔を所定間隔に保持するための位置決め用部材を備え、貼り合わされる両レンズ配列面を支持する各部材にそれぞれ前記位置決め用部材が設けられており、一方の位置決め用部材の接続面には他方の位置決め用部材が嵌合する位置決め用凹部が設けられており、両位置決め用部材の嵌合によってレンズ配列面どうしの光軸合せを行なうことを特徴としている。
【0033】
請求項2に記載のマイクロレンズアレイ基板は、前記レンズ配列面を樹脂を介して貼り合わせた請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板である。
【0035】
請求項3に記載のマイクロレンズアレイ基板は、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板における前記位置決め用凹部を有する位置決め用部材には、他方の位置決め用部材の接続面を位置決め用凹部へ導くガイド面が形成されていることを特徴としている。
【0036】
請求項4に記載のマイクロレンズアレイ基板は、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板において、いずれかのレンズ配列面を支持する部材に、レンズ配列面を成形するための型と位置決めするための位置決め用部材を設けたことを特徴としている。
【0037】
請求項5に記載のマイクロレンズアレイ基板は、請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ基板における前記位置決め用部材が、いずれかのレンズ配列面と同時に成形されていることを特徴としている。
【0038】
【作用】
請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板にあっては、微小レンズのレンズ配列面を少なくとも2層以上積層しているから、複数層のレンズ配列面によって容易に短焦点化することができる。
【0039】
また、光入射側から2番目に位置するレンズ配列面(以下、第2のレンズ配列面という)よりも光入射側に、光入射側に1番近いレンズ配列面(以下、第1のレンズ配列面という)を設けているから、第1のレンズ配列面により入射光を集光して第2のレンズ配列面の各微小レンズに入射させることができる。この結果、第2のレンズ配列面のレンズ境界領域に入射光が入るのを防止でき、当該レンズ境界領域における入射光の散乱を防止できる。一方、第1のレンズ配列面は、第2のレンズ配列面よりもレンズ曲率が小さくなっているので、レンズ配列面のレンズ境界領域にだれ部や欠けなどが生じにくく、レンズ境界領域における光の散乱が生じにくい。
【0040】
しかも、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板にあっては、レンズ配列面間の間隔を所定間隔に保持するための位置決め用部材を備えているので、第1及び第2のレンズ配列面どうしを接着する際、マイクロレンズアレイ基板に設けた位置決め用部材自体でレンズ配列面間の間隔を精度よく制御できる。
また、このようなマイクロレンズアレイ基板においては、第1のレンズ配列面で集光させた光が第2のレンズ配列面におけるレンズ境界領域に入射しないようにするためには、第1のレンズ配列面の微小レンズと第2のレンズ配列面の微小レンズとの光軸合せが重要になるが、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板では、貼り合わされる両レンズ配列面を支持する各部材にそれぞれ前記位置決め用部材が設けられており、一方の位置決め用部材の接続面には他方の位置決め用部材の接続面が嵌合する位置決め用凹部が設けられており、両位置決め用部材の嵌合によってレンズ配列面どうしの光軸合せを行なうようにしているから、第1及び第2のレンズ配列面どうしを接着する際、位置決め用部材どうしの嵌合によって容易に第1及び第2のレンズ配列面どうしの光軸合せを行なうことができる。
【0041】
請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板においては、全体として目的とする焦点距離を得るためには、レンズ配列面間の間隔を精密に制御する必要がある。請求項2に記載のマイクロレンズアレイ基板にあっては、前記レンズ配列面を樹脂を介して貼り合わせているから、容易に第1及び第2のレンズ配列面どうしを積層することができ、レンズ配列面間の間隔を精密に制御することができる。
【0042】
請求項3に記載のマイクロレンズアレイ基板にあっては、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板における前記位置決め用凹部を有する位置決め用部材には、他方の位置決め用部材の接続面を位置決め用凹部へ導くガイド面が形成されているから、第1及び第2のレンズ配列面に設けられている位置決め用部材どうしを接続する際、ガイド面により一方の位置決め用部材に設けられている位置決め用凹部へ他方の位置決め用部材の接続面を導くことができ、微小な位置決め用部材の場合にも第1のレンズ配列面と第2のレンズ配列面の接着作業を容易にすることができる。
【0043】
請求項4に記載のマイクロレンズアレイ基板にあっては、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板において、いずれかのレンズ配列面を支持する部材に、レンズ配列面を成形するための型と位置決めするための位置決め用部材を設けているから、レンズ配列面を成形するための型を替えながら複数層のレンズ配列面を成形する場合に、各レンズ配列面の位置決めを正確に行なうことができる。
【0044】
請求項5に記載のマイクロレンズアレイ基板にあっては、請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ基板における前記位置決め用部材が、いずれかのレンズ配列面と同時に成形されているから、レンズ配列面と位置決め部材を位置決めする必要がなく、位置決め用部材を介してのレンズ配列面どうしの位置決めを正確に行なうことができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図14は本発明の一実施形態によるマイクロレンズアレイ基板71を用いたカラー液晶表示パネル72の構造を示す一部破断した断面図である。このマイクロレンズアレイ基板71にあっては、2枚のガラス基板73、74の間隙に3層の透明樹脂層75、76、77が形成されている。光入射側のレンズ配列面(マイクロレンズアレイ)78は透明樹脂層75及び76の界面に形成されており、光出射側のレンズ配列面(光入射側から2番目のレンズ配列面)79は透明樹脂層76及び77の界面に形成されており、各透明樹脂層75、76、77の屈折率をn1、n2、n3とするとき、
n1、n3 > n2
となっている。
【0046】
光入射側のレンズ配列面78は、高屈折率の透明樹脂によってガラス基板73上に成形された透明樹脂層75の表面(透明樹脂層76との界面)に形成されており、比較的小さな曲率の微小レンズから構成されている。特に、このレンズ配列面78のレンズ曲率は、微小レンズどうしのレンズ境界領域に生じるだれ部が十分に小さく、また成形時に欠けなどが生じない程度の曲率にしておくのが望ましい。
【0047】
光出射側のレンズ配列面79は、高屈折率の透明樹脂によってガラス基板74上に成形された透明樹脂層77の表面(透明樹脂層76との界面)に形成されており、比較的大きな曲率の微小レンズから構成されている。このレンズ配列面79には、微小レンズどうしのレンズ境界領域にある程度大きなだれ部が生じたり、成形時に小さな欠けなどが生じる多少の恐れがあっても許容される。
【0048】
透明樹脂層76は、ガラス基板73に成形された透明樹脂層75とガラス基板74に成形された透明樹脂層77を貼り合わせ、両透明樹脂層75、77の間の空間を埋める働きをする。
【0049】
レンズ配列面78とレンズ配列面79は、いずれも微小レンズを整然と配列したものであり、両レンズ配列面78、79の微小レンズは同じ大きさ(レンズ幅は、約20μm〜100μm)を有し、互いに光軸を一致させるようにして1対1に対向させて配列されている。
【0050】
このマイクロレンズアレイ基板71は、液晶表示パネル72の一方の封止基板として用いられており、光出射側の表面にITO膜80を形成し、その上にブラックマトリクス領域81を形成し、ブラックマトリクス領域81の開口に赤色光、緑色光、青色光を透過させるための画素開口82(R)、82(G)、82(B)を形成している。図14に示す液晶表示パネル72は単板式カラー液晶表示装置に用いられるものであるから、両レンズ配列面78、79は、赤、緑、青の3色の画素開口82(R)、82(G)、82(B)に対して1個の微小レンズ78a、79aが対向している。液晶表示パネル72のもう一方の封止基板83(ガラス基板)には、画素電極84とTFT85が形成されている。マイクロレンズアレイ基板71のブラックマトリクス領域81を形成された面と封止基板83のTFT85を形成された面とは互いに対向し、周囲をスペーサ材86により囲まれ、その間隙に液晶材料87が封止されている。
【0051】
しかして、この液晶表示パネル72にあっては、ダイクロイックミラー等で分光された赤色、緑色、青色の平行光束が異なる入射角度でマイクロレンズアレイ基板71の光入射側から入射すると、まず光入射側のレンズ配列面78の各微小レンズにより入射光が集光される。光入射側のレンズ配列面78の微小レンズにより集光された赤色、緑色、青色の光は、光出射側のレンズ配列面79の各微小レンズのレンズ境界領域よりも内側に入射させられる。
【0052】
こうして光出射側のレンズ配列面79に入射した赤色、緑色、青色の光は、さらに光出射側のレンズ配列面79の微小レンズにより集光され、各色の光は対応する色の画素開口82(R)、82(G)、82(B)内に集光させられる。よって、この液晶表示パネル72によれば、光源からの入射光がブラックマトリクス領域によって遮断されることがなく、光の利用効率が向上する。
【0053】
しかも、光出射側のレンズ配列面79として焦点距離の短いレンズからなるもの、すなわち比較的レンズ曲率の大きなものを用い、仮にそのレンズ境界領域に比較的大きなだれ部や欠け等の欠点が存在しても、このレンズ配列面79のレンズ境界領域は集光用に使用されないので、レンズ境界領域における欠点で光が散乱し、解像度の低下や混色等によって画像の品質低下をきたす恐れがない。また、レンズ曲率の大きなレンズ配列面79においてレンズ境界領域で入射光が全反射する恐れも無くなる。
【0054】
なお、光入射側のレンズ配列面78は、焦点距離の長いレンズからなるもの、すなわち比較的レンズ曲率の小さなものであるから、レンズ配列面78にだれ部や欠け等の欠点がないものを容易に製作することができる。
【0055】
また、このマイクロレンズアレイ基板71にあっては、複数のレンズ配列面78、79により光を集光させているので、レンズ配列面単体の場合よりも短い焦点距離を容易に得ることができる。
【0056】
こうして本発明のマイクロレンズアレイ基板71では、複数のレンズ配列面78、79によって短い焦点距離を実現することができるので、画素開口82(R)、82(G)、82(B)に入射する光の最小スポット径Wを小さくすることができ、液晶表示パネル72の画素が微細化されても光の利用効率を維持することができ、高解像度で明るい液晶表示パネル72を製作することができる。
【0057】
(スペーサの構造)
しかし、両レンズ配列面78、79の間隔がばらつくと、両レンズ配列面78、79がいくら精密に成形されていてもマイクロレンズアレイ基板71の全体としての焦点距離がばらつく。また、両レンズ配列面78、79どうしの光軸がずれると、マイクロレンズアレイ基板71の光軸が傾いたり、光入射側のレンズ配列面78で集光された光が光出射側のレンズ配列面79のレンズ境界領域に入射したりする恐れがある。従って、ガラス基板73に成形された透明樹脂層75とガラス基板74に成形された透明樹脂層77を透明樹脂層76を介して貼り合わせる際には、精度よく位置合せして貼り合わせる必要がある。特に、各レンズ配列面78、79の微小レンズ78a、79aが微細になるほど高精度の位置合せが必要となる。
【0058】
そのため、このマイクロレンズアレイ基板71では、両ガラス基板73、74の端部ないし縁部にそれぞれスペーサ91、92を設けている。図15は一対のスペーサ91、92の形状を拡大して示している。ガラス基板73に形成されている一方のスペーサ91は、比較的狭い幅d1の角柱状や円柱状などの柱状に形成されており、その先端面にはテーパー状の接合面93が形成されている。ガラス基板74に形成されている他方のスペーサ92は、広い幅Dを有する角柱状や円柱状などの柱状に形成されており、その先端面中央には、スペーサ91の先端部が精度よく嵌合する凹部94が設けられている。すなわち、スペーサ91の幅d1と凹部94の幅d2は等しく、スペーサ91の先端部と凹部94とは同形状をしている。スペーサ92の先端面においては、スペーサ91との押圧力によってスペーサ91を凹部94に嵌まり込ませるように導く逆テーパー状のガイド面95が凹部94の周囲に形成されている。なお、スペーサ92の幅Dは、スペーサ91の幅d1の数倍あり、目視で位置決めできるようにスペーサ92の幅d2は100μm以上にしておくのが望ましい。
【0059】
従って、透明樹脂層75を形成されたガラス基板73と透明樹脂層77を形成されたガラス基板74とを透明樹脂層76を介して接着する際、図15に白抜きの矢印で示すように、スペーサ91とスペーサ92をラフに位置合せしてガラス基板73、74どうしを押し付けると、スペーサ91の先端がスペーサ92のガイド面95を滑って凹部94に嵌まりこみ、スペーサ91、92どうしの位置決めが精度よく行なわれる。すなわち、スペーサ91の長さmとスペーサ92の凹部94のまでの距離nの和m+nによってガラス基板73、74どうしの間隔が決まり、したがってレンズ配列面78、79どうしの間隔が一定に保持される。また、スペーサ91の幅d1と凹部94の幅d2も等しく、スペーサ91の先端がスペーサ92の凹部94にぴったりと嵌まり込むことで、両レンズ配列面78、79どうしの光軸合せも精度よく行なわれる。さらに、スペーサ91の先端部がスペーサ92の凹部94に嵌まり込むことにより、ガラス基板73、74間に働くせん断応力によってレンズ配列面78、79にずれが生じるのも防止できる。
【0060】
(マイクロレンズアレイ基板の製造方法)
図16(a)(b)(c)(d)及び図17(a)(b)(c)はスペーサ91、92を備えたマイクロレンズアレイ基板71の製造方法を示している。以下、このマイクロレンズアレイ基板71の製造方法を図16(a)〜(d)及び図17(a)〜(c)により簡単に説明する。図16(a)に示す96は、光入射側のレンズ配列面78の反転パターン97と共にスペーサ91を成形するための凹型98を形成されたスタンパである。まず、図16(a)に示すように、ガラス基板73の上に紫外線硬化樹脂99を置き、その上から紫外線硬化樹脂99にスタンパ96を押し付け、図16(b)のように紫外線硬化樹脂99をガラス基板73とスタンパ96の間の空間に充填させる。ついで、図16(c)に示すように、ガラス基板73を通して紫外線硬化樹脂99に紫外線を照射して光硬化させる。硬化した紫外線硬化樹脂99からスタンパ96を剥離すると、ガラス基板73の上に透明樹脂層75が成形され、透明樹脂層75にはレンズ配列面78と同時にスペーサ91が形成される。なお、レンズ配列面78とスペーサ91とは、分離してガラス基板73上に成形されてもよい。
【0061】
図示しないが、光出射側のレンズ配列面79の反転パターンとスペーサ92を成形するための凹型を備えたスタンパを用い、図16(a)〜(d)と同様にして、図17(a)に示されているような透明樹脂層77をガラス基板74上に成形する。すなわち、ガラス基板74の上に透明樹脂層77を成形し、透明樹脂層77の表面にレンズ配列面79を形成すると共にレンズ配列面79と同時にスペーサ92を成形する。
【0062】
こうしてガラス基板73、74上にそれぞれ透明樹脂層75、77が成形されると、図17(a)に示すように、透明樹脂層77を上に向けてガラス基板74を置き、そのレンズ配列面79の上に屈折率の異なる紫外線硬化樹脂100を供給する。ついで、図17(a)(b)に示すように、透明樹脂層75を下向きにして紫外線硬化樹脂100の上にガラス基板73を重ねて押圧する。このとき、スペーサ91、92どうしが嵌合するので、レンズ配列面78、79どうしの間隔が一定距離に保たれ、光軸合せも精度よく行なわれる。この状態で、図17(c)に示すように、ガラス基板73、74を通して紫外線硬化樹脂100に紫外線を照射して紫外線硬化樹脂100を硬化させると、硬化した透明樹脂層76によって透明樹脂層75、77どうしが貼り合わされ、容易にマイクロレンズアレイ基板71が製作される。
【0063】
なお、スペーサ91はレンズ配列面78を構成する透明樹脂層75と同時に成形され、スペーサ92はレンズ配列面79を構成する透明樹脂層77と同時に成形されている。このため、各スペーサ91、92とレンズ配列面78、79との位置合せの必要がなく、スペーサ91、92どうしの位置合せをおこなくことにより、自然とレンズ配列面78、79どうしの位置合せも高精度に行なわれる。
(第2の実施形態)
図18は本発明の別な実施形態によるマイクロレンズアレイ基板101の一部を示す断面図である。このマイクロレンズアレイ基板101では、ガラス基板73の透明樹脂層75表面に形成されたレンズ配列面78が凹レンズアレイとなっており、ガラス基板74の樹脂層表面に形成されたレンズ配列面79も凹レンズアレイとなっている。このようなマイクロレンズアレイ基板101でも、入射側に位置するレンズ配列面78のレンズ曲率が出射側に位置するレンズ配列面79のレンズ曲率よりも小さくなっている。
【0064】
ただし、入射光を集光させるため、透明樹脂層75、76、77の屈折率n1、n2、n3の関係は、
n1、n3 < n2
となっている。
【0065】
このようなマイクロレンズアレイ基板101でも、第1の実施形態と同様な作用効果を奏し、両レンズ配列面78、79によってマイクロレンズアレイ基板101を短焦点化できる。また、光入射側のレンズ配列面78によって光を集光させることにより、マイクロレンズアレイ基板101に入射した光が光出射側のレンズ配列面79のレンズ境界領域に入射しないようにする。
【0066】
(第3の実施形態)
図19は本発明のさらに別な実施形態によるマイクロレンズアレイ基板102の一部を示す概略断面図である。このマイクロレンズアレイ基板102にあっては、ガラス基板73、74の間に4層の透明樹脂層103、104、105、106を積層し、その界面に3つのレンズ配列面78、79、107を形成している。光入射側から1番目及び2番目のレンズ配列面78、79は図18に示したものと同じ形状のものである。この実施形態では、その光出射側にレンズ配列面107を付加している。
【0067】
この実施形態では、光入射側から1番目のレンズ配列面78の曲率は小さく、2番目のレンズ配列面79の曲率は大きくなっており、透明樹脂層103、104、105、106の屈折率n1、n2、n3、n4には、
n1、n3 < n2、n4
の関係がある。
【0068】
しかして、1番目のレンズ配列面78で入射光を絞ることによって2番目のレンズ配列面79のレンズ境界領域に入射光が入るのを防止し、2番目及び3番目のレンズ配列面79、107でさらに入射光を集光させることができるので、小さな焦点距離が得られ、それだけ最小スポット径を小さくできる。なお、焦点距離が短くなると、ガラス基板74も薄くなるが、強度はガラス基板73及び透明樹脂層103、104、105、106でもたせることができる。
【0069】
図20(a)〜(d)及び図21(e)〜(h)は図19のマイクロレンズアレイ基板102の製造工程を示す。図20(a)に示すものは、図16(a)〜(d)と同様な工程でガラス基板74の上に透明樹脂層106を形成したものである。ただし、スペーサ110は、スペーサ91と同型のものを設けている。スタンパ108の下面には、レンズ配列面79の反転パターン109とスペーサ110と嵌合する凹部111が設けられている。しかして、図20(a)に示すように、透明樹脂層106の上に紫外線硬化樹脂112を供給した後、スタンパ108を下降させてスペーサ110と凹部111とを嵌合させてレンズ配列面107とスタンパ108を位置決めする。こうして、図20(b)のように透明樹脂層106とスタンパ108の間に紫外線硬化樹脂112を所定厚みに押し広げた後、図20(c)に示すように、ガラス基板74を通して紫外線硬化樹脂112に紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂112を硬化させて透明樹脂層105を成形する。この後、図20(d)に示すように、スタンパ108を透明樹脂層105から剥離させると、透明樹脂層105の表面にレンズ配列面79が転写される。
【0070】
ついで、図21(e)に示すように、透明樹脂層105の上に別な紫外線硬化樹脂116を供給する。スタンパ113は、下面にレンズ配列面78の反転パターン114とスペーサ110と凹凸嵌合するスペーサ115を有している。図21(f)に示すように、スタンパ113を下降させてスタンパ110及び115を嵌合させると、スタンパ113と透明樹脂層105の間に紫外線硬化樹脂116が所定厚みに押し広げられる。この状態で紫外線硬化樹脂116に紫外線を照射して紫外線硬化樹脂116を硬化させて透明樹脂層104を成形する。
【0071】
紫外線硬化樹脂116が硬化して透明樹脂層104が成形された後、スタンパ113を透明樹脂層104から剥離すると、透明樹脂層104の上にレンズ配列面78が成形されている。図21(g)に示すように、このレンズ成形面78の上にさらに別な紫外線硬化樹脂117を供給し、図21(h)のように上からガラス基板73を押し付け、紫外線硬化樹脂117に紫外線硬化を照射して紫外線硬化樹脂117を硬化させると、硬化した紫外線硬化樹脂117が透明樹脂層103となって図19に示したような構造のマイクロレンズアレイ基板102が製作される。
【0072】
なお、ここではレンズ配列面が3層(透明樹脂層が4層)の場合について説明したが、図20(a)〜図21(h)のような工程を繰り返せば、4層以上のレンズ配列面を成形することも精度よく、容易に行なうことができる。
【0073】
【発明の効果】
請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板によれば、複数層のレンズ配列面によって容易に短焦点化することができる。また、第2のレンズ配列面よりも光入射側に、第1のレンズ配列面を設けているから、第1のレンズ配列面により入射光を集光して第2のレンズ配列面の各微小レンズに入射させることができ、第2のレンズ配列面のレンズ境界領域における入射光の散乱を防止できる。一方、第1のレンズ配列面は、比較的レンズ曲率が小さいので、レンズ配列面のレンズ境界領域にだれ部や欠けなどが生じにくく、レンズ境界領域における光の散乱が生じにくい。従って、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板によれば、プロジェクタ等に用いた場合には、光の利用効率を向上させて画像を明るくすることができ、また画像の解像度低下や混色を防止し、画像品質を向上させることができる。
【0074】
しかも、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板は、レンズ配列面間の間隔を所定間隔に保持するための位置決め用部材を備えているので、第1及び第2のレンズ配列面どうしを接着する際、マイクロレンズアレイ基板に設けた位置決め用部材自体でレンズ配列面間の間隔を精度よく制御できる。
さらに、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板は、貼り合わされる両レンズ配列面を支持する各部材にそれぞれ前記位置決め用部材が設けられており、一方の位置決め用部材の接続面には他方の位置決め用部材の接続面が嵌合する位置決め用凹部が設けられており、両位置決め用部材の嵌合によってレンズ配列面どうしの光軸合せを行なうようにしているから、第1及び第2のレンズ配列面どうしを接着する際、位置決め用部材どうしの嵌合によって容易に第1及び第2のレンズ配列面どうしの光軸合せを行なうことができる。
【0075】
請求項2に記載のマイクロレンズアレイ基板によれば、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板における前記レンズ配列面を樹脂を介して貼り合わせているから、容易に第1及び第2のレンズ配列面どうしを積層することができる。
【0076】
請求項3に記載のマイクロレンズアレイ基板によれば、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板における前記位置決め用凹部を有する位置決め用部材には、他方の位置決め用部材の接続面を位置決め用凹部へ導くガイド面が形成されているから、第1及び第2のレンズ配列面に設けられている位置決め用部材どうしを接続する際、ガイド面により一方の位置決め用部材に設けられている位置決め用凹部へ他方の位置決め用部材の接続面を導くことができ、微小な位置決め用部材の場合にも第1のレンズ配列面と第2のレンズ配列面の接着作業を容易にすることができる。
【0077】
請求項4に記載のマイクロレンズアレイ基板によれば、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板において、いずれかのレンズ配列面を支持する部材に、レンズ配列面を成形するための型と位置決めするための位置決め用部材を設けているから、レンズ配列面を成形するための型を替えながら複数層のレンズ配列面を成形する場合に、各レンズ配列面の位置決めを正確に行なうことができる。
【0078】
請求項5に記載のマイクロレンズアレイ基板によれば、請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ基板における前記位置決め用部材が、いずれかのレンズ配列面と同時に成形されているから、レンズ配列面と位置決め部材を位置決めする必要がなく、位置決め用部材を介してのレンズ配列面どうしの位置決めを正確に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶プロジェクタの基本構成を示す図である。
【図2】マイクロレンズアレイ基板を備えた液晶表示パネルを示す一部破断した斜視図である。
【図3】(a)(b)は図2のマイクロレンズアレイ基板の働きを説明するための図である。
【図4】単板式のカラー液晶表示装置の構成を示す図である。
【図5】図5のカラー液晶表示装置におけるマイクロレンズアレイ基板の働きを説明する図である。
【図6】光源の大きさにより生じる有限な最小スポット径を説明する図である。
【図7】マイクロレンズアレイ基板を用いた液晶表示装置の問題点を説明する図である。
【図8】別な従来例による液晶表示パネルの一部を示す断面図である。
【図9】(a)(b)(c)(d)は図8の液晶表示パネルの製造方法を示す概略断面図である。
【図10】(a)(b)(c)(d)は図9(a)で用いたスタンパの製造方法を示す概略断面図である。
【図11】原盤の上にスタンパ材とスタンパ台を堆積させた状態を示す拡大断面図である。
【図12】図8の液晶表示パネルに用いるマイクロレンズアレイ基板の問題点を説明する図である。
【図13】図8の液晶表示パネルに用いるマイクロレンズアレイ基板の製造上の問題点を説明する図である。
【図14】本発明の一実施形態によるマイクロレンズアレイ基板を用いた液晶表示パネルの構造を示す一部破断した断面図である。
【図15】同上のマイクロレンズアレイ基板に設けられたスペーサの拡大図である。
【図16】(a)(b)(c)(d)は、ガラス基板上にレンズ配列面を備えた透明樹脂層を成形する工程を示す概略断面図である。
【図17】(a)(b)(c)はレンズ配列面を成形された透明樹脂層どうしを貼り合せる工程を示す概略断面図である。
【図18】本発明の別な実施形態によるマイクロレンズアレイ基板の一部を示す断面図である。
【図19】本発明のさらに別な実施形態によるマイクロレンズアレイ基板の一部を示す断面図である。
【図20】(a)(b)(c)(d)は図19のマイクロレンズアレイ基板を製造する工程を示す概略断面図である。
【図21】(e)(f)(g)(h)は図20の続図である。
【符号の説明】
71 マイクロレンズアレイ基板
73、74 ガラス基板
75、76、77 透明樹脂層
78、79 レンズ配列面
91、92 スペーサ
93 スペーサの接合面
94 スペーサの凹部
95 ガイド面
Claims (5)
- 微小レンズのレンズ配列面を少なくとも2層以上積層し、光入射側に1番近いレンズ配列面のレンズ曲率が、光入射側から2番目に位置するレンズ配列面のレンズ曲率よりも小さくなっており、
前記レンズ配列面間の間隔を所定間隔に保持するための位置決め用部材を備え、
貼り合わされる両レンズ配列面を支持する各部材にそれぞれ前記位置決め用部材が設けられており、一方の位置決め用部材の接続面には他方の位置決め用部材が嵌合する位置決め用凹部が設けられており、両位置決め用部材の嵌合によってレンズ配列面どうしの光軸合せを行なうことを特徴とするマイクロレンズアレイ基板。 - 前記レンズ配列面どうしを樹脂を介して貼り合わせたことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板。
- 前記位置決め用凹部を有する位置決め用部材には、他方の位置決め用部材を位置決め用凹部へ導くガイド面が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板。
- いずれかのレンズ配列面を支持する部材に、レンズ配列面を成形するための型と位置決めするための位置決め用部材を設けたことを特徴とする、請求項1に記載のマイクロレンズアレイ基板。
- 前記位置決め用部材は、いずれかのレンズ配列面と同時に成形されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロレンズアレイ基板。
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