JP3974814B2 - 誘電定数測定法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は誘電定数測定法に関し、特に高周波周波数領域で電子部品として使用する誘電体基板の誘電定数測定法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年においては、移動体通信技術の発展、普及に伴い、マイクロ波回路構成用の誘電体基板の誘電定数測定法が強く求められている。誘電体基板のマイクロ波における誘電定数測定法は種々提案されているが、その中でも空洞共振器法は高精度測定法として認知されている。空洞共振器法では基板の面内方向の誘電定数が測定される。
【0003】
一方、基板に垂直方向の誘電定数測定法としては平衡形円板共振器法が知られている。平衡形円板共振器法の励振はストリップラインにより円板状の内部導体の側面から行われることが多い。この平衡形円板共振器法では、測定系との整合性を得るためにストリップラインの特性インピーダンスを50Ωにする必要があるが、薄い誘電体基板では50Ωのインピーダンスを実現するためにストリップライン線路を極めて細くする必要がある。
【0004】
例えば同時焼成で、50Ωのインピーダンスを持つストリップライン線路を実現するためには、厚みが200μmの誘電体層が限界である。もし、50Ωから外れたインピーダンスのストリップラインで共振器を励振した場合、コネクタ等で反射が起こり、共振特性の測定精度、従って誘電特性の測定精度が劣化するという問題があった。
【0005】
このような問題点を解決するため、近年においては、平衡形円板共振器の上下面の中心から、同軸ケーブルにより共振器を励振する方法が提案されている。図7は、この誘電定数測定法を示すもので、円形内部導体31を有機樹脂からなる測定試料33で挟持し、これらの測定試料33の表面にそれぞれ外部導体35を形成し、円板共振器Aを形成し、円形内部導体31の中心に該当する外部導体35に励振口をそれぞれ形成し、これらの励振口に同軸ケーブル37を挿入し、電界により共振器Aを励振させ、共振器Aの共振周波数と無負荷Qの測定値から、測定試料33の比誘電率及び誘電正接を求めていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7に示す誘電定数測定法では、平衡形円板共振器Aの両側の励振口に同軸ケーブル37を挿入し、測定する必要があったため、支持基板の上に平衡形円板共振器Aを作製することができず、極めて薄い誘電体層でかつ導体層と同時焼成されたセラミックス試料、又は極めて薄い誘電体層でかつ一体成形された誘電体試料の測定においては、試料の反りが生じたり、破壊が起こったりするため、実質的に薄層の試料作製が困難になるという問題があった。
【0007】
本発明は、平衡形円板共振器の片面から誘電定数を測定することができ、これにより、薄層の測定試料を支持基板に形成して誘電定数を測定できる誘電定数測定法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電定数測定法は、円形内部導体を測定試料で挟持し、該測定試料の表面にそれぞれ外部導体を形成してなる平衡形円板共振器を、T0m0モード(m=1,2・・・)で励振させ、その共振周波数と無負荷Qの測定値から、前記測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接を求める誘電定数測定法であって、前記平衡形円板共振器を、前記円形内部導体の中心位置に対応する一方の前記外部導体の位置に設けられた1個の励振口と、前記円形内部導体の端の位置に対応する前記一方の外部導体の位置に設けられた1個の励振口とにそれぞれ同軸ケーブルを挿入し、電界により励振させることを特徴とする。
また、本発明の誘電定数測定法は、円形内部導体を測定試料で挟持し、該測定試料の表面にそれぞれ外部導体を形成してなる平衡形円板共振器を、TM 0m0 モード(m=1,2・・・)で励振させ、その共振周波数と無負荷Qの測定値から、前記測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接を求める誘電定数測定法であって、前記平衡形円板共振器を、前記円形内部導体の同心円に対応する一方の前記外部導体の位置に設けられた2個の励振口にそれぞれループアンテナを挿入し、磁界により励振させることを特徴とする。
【0009】
このような誘電定数測定法では、平衡形円板共振器を構成する一方の外部導体に磁界や電界の入力用、出力用の励振口を形成し、この励振口を介して平衡形円板共振器を励振させ、共振器の共振周波数と無負荷Qの測定値から、測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接を求めることができるため、支持基板の上に導体層と同時焼成あるいは一体成形した平衡形円板共振器の誘電定数を測定でき、従来測定が困難であった導体層と同時焼成あるいは一体成形された薄層の測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接を容易に求めることができる。
【0010】
また、本発明では、平衡形円板共振器の片側から測定試料の誘電定数を測定できるため、例えば、平衡形円板共振器を平坦な部分に載置して誘電定数を測定でき、従来のように、平衡形円板共振器を立てて測定する等、平衡形円板共振器の両側から電界を印加するための保持に注意する必要がなく、また、共振器が薄くなったとしても円板共振器を支持基板上に形成することにより、取り扱いも容易となる。
【0011】
また、電界強度がゼロ、あるいは小さい位置に設けた励振口を用いて、磁界により共振器を励振させることにより、測定試料が薄い場合でも励振口の影響を受けずに、高い精度で測定できる。
【0012】
特に、本発明の誘電定数測定法は、測定試料の厚みが0.2mm以下であることを特徴とする。また、前記平衡形円板共振器は支持基板と一体化され、該一体化された平衡形円板共振器及び支持基板は、セラミックス又はガラスセラミックスとなるグリーンシートに導電性ペーストを塗布したものを複数積層してなる積層成形体を焼成してなることを特徴とする。
【0013】
一般に、マイクロ波領域で使用される配線基板の絶縁層の誘電定数を確認できれば、配線基板の設計に活かすことができる。ところで、セラミックスからなる絶縁層と内部配線を同時焼成して形成される配線基板では、焼成時に内部配線を形成する金属材料が絶縁層に拡散して絶縁層の誘電定数が変化する可能性が指摘されている。このような実際の絶縁層の誘電定数を確認することにより、設計に最大限に活かすことができる。
【0014】
しかしながら、近年においては、配線基板の薄層化が進み、現実の絶縁層の厚みが200μm以下、特には50μm以下と薄くなり、このような配線基板の誘電定数を測定するため、現実の厚みを反映した、従来の図7に示すような共振器を作製しようとすると、測定試料が薄いため作製が困難であり、測定することができなかった。
【0015】
本発明では、測定試料がセラミックス又はガラスセラミックスからなり、支持基板及び円板共振器が同時焼成されて一体化され、支持基板上に円板共振器が形成されているため、共振器の測定試料を薄くしても、支持基板により共振器の強度を向上できるため、共振器を容易に形成でき、しかも、一方の外部導体に形成された励振口を用いて誘電定数を測定できるため、測定試料の厚みが200μm以下と薄い場合であっても誘電定数を容易に測定できる。
【0016】
また、本発明の誘電定数測定法は、円形内部導体の中心位置に対応する外部導体の位置に1個の励振口を設けるとともに、前記円形内部導体の端の位置に対応する前記外部導体の位置に1個の励振口を設け、前記2個の励振口に同軸ケーブルを挿入し、電界により平衡形円板共振器のTM0m0モード(m=1,2・・・)を励振させたり、円形内部導体の同心円に対応する外部導体の位置に2個の励振口を設け、該励振口にループアンテナを挿入し、磁界により平衡形円板共振器のTM0m0モード(m=1,2・・・)を励振させることを特徴とする。
【0017】
本発明では、共振器を構成する一方の外部導体に磁界の入力用、出力用の励振口を形成し、この励振口を介して磁界により共振器を励振させ、共振器の共振周波数と無負荷Qの測定値から、測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接を求めることにより、測定試料が薄くなった場合でも、電界強度がゼロ、あるいは小さい位置に設けた励振口を用いて、磁界により共振器を励振させることにより、励振口の影響を受けないため、測定精度を高くできる。即ち、同一材料からなる測定試料を測定した場合に、測定試料厚みによる見掛け上の変動幅を小さくできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の誘電定数測定法を、図1を用いて説明する。先ず、測定に用いる平衡形円板共振器Aを作製する。
【0019】
平衡形円板共振器Aは、2層の測定試料(誘電体層)1、2の間に、これらの測定試料1、2よりも面積の小さい円形内部導体3を配置し、かつ、測定試料1、2の外側に、円形内部導体3よりも面積の大きい外部導体4、5をそれぞれ配置して構成されている。即ち、円板共振器Aは、円形内部導体3を測定試料1、2で挟持し、これらの測定試料1、2の表面にそれぞれ外部導体4、5を形成して構成されている。
【0020】
円形内部導体3、外部導体4、5は導体材料から形成すればよいが、特に、2層の測定試料1、2間で電磁界が透過しないように、又電磁界の放射を防ぐ点から、円形内部導体3、外部導体4、5の厚みは少なくとも5μm以上、特に10μm以上であることが望ましい。
【0021】
測定試料1、2は、セラミックス、ガラスセラミックス、有機樹脂等の絶縁材料からなるものであるが、特に測定試料1、2の形成が容易という点から、測定試料1、2の厚みは200μm以上であることが望ましい。尚、外部導体4、5の厚みを厚くすることにより、測定試料1、2の厚みを200μm以下とすることもできる。この場合、外部導体4、5が支持部材となる。
【0022】
測定試料1、2がセラミックス、ガラスセラミックスの場合には、円板共振器Aは測定試料1、2、円形内部導体3、外部導体4、5が同時焼成して形成されており、また、測定試料1、2が有機樹脂の場合には、円板共振器Aは測定試料1、2、円形内部導体3、外部導体4、5が接合、または圧着されて形成されている。
【0023】
また、円形内部導体3の中心に対応する上側外部導体4の位置には励振口7が形成され、円形内部導体3の端に対応する上側外部導体4の位置には励振口8が形成されている。これらの励振口7、8には同軸ケーブル9、10が挿入され、TM0m0共振モード(m=1,2・・・)が励振されるようになっている。励振口7、8間の距離Rは、円形内部導体3の直径Dの1/2とされている。
【0024】
以上のように構成された共振器Aの励振口7から同軸ケーブル9により電界を印加し電界励振すると、共振器Aが電界により励振され、TM0m0共振モード(m=1,2・・・)、特にTM010共振モードを片面から効率的に励振できる。このTM010共振モードの電界は、図2に示すように、円形内部導体3の中心と、円形内部導体3の端の円周部で強く分布する。そして、励振口8から同軸ケーブル10を介して電界が取り出され、これにより円板共振器Aの共振周波数と無負荷Qが測定される。尚、励振口8から電界を印加し、励振口7から取り出しても良い。
【0025】
円形内部導体3の半径Rと測定試料1、2の厚さdの比が10以上、すなわち、R/d>10の時、この平衡形円板共振器AのTM0m0モードの共振周波数f0と無負荷Q(Qu)から、次式により測定試料1、2の比誘電率ε’と誘電正接tanδを算出することができる。
【0026】
【数1】
Figure 0003974814
【0027】
ただし、x’0mはJ’0(x’)=0のm番目の解で、特にm=1の時、x’01=3.8317ある。J’0(x’)は0次の第一種ベッセル関数の微分である。ω=2πf0は角共振周波数、μ0=4π×10-7は真空の透磁率である。αは、小林らによるマイクロ波研究会技術報告書MW75−76「平衡形円板共振器による複素誘電率測定法」で開示されているように、S=R/d>10のとき、α≒1となる。また、cは光速であり、△Rは内部円形導体の端での電磁界の外側への広がりを、内部円形導体径の増加として考慮したものである。lnは自然対数を表す。
【0028】
なお、誘電正接の決定に必要な導体の実効導電率σは、小林らによるマイクロ波研究会技術報告書MW75−76「平衡形円板共振器による複素誘電率測定法」で開示されているように、比誘電率と誘電正接が同じで厚さが異なる誘電体シートにより構成された2種類の平衡形円板共振器のQuの差から決定される。あるいは同時焼成導体の実効導電率σは特開2000−46756号公報に開示された界面導電率の測定法により決定される。
【0029】
図3は、本発明の他の誘電定数測定法を説明するためのもので、図3の円板共振器Aは支持基板6上に形成されている。即ち、支持基板6上に、外部導体5、測定試料2、円形内部導体3、測定試料1、外部導体4を順次積層して構成されており、これらが支持基板6と同時に焼成され、一体となっている。測定試料1、2はセラミックス又はガラスセラミックスから構成されている。
【0030】
共振器Aの測定試料1、2は、配線基板の絶縁層材料と同一で、同一厚みとされ、円形内部導体3、外部導体4、5は配線基板の内部配線材料と同一で、同一厚みとされ、焼成などの製法も同一とされている。従って、測定試料への円形内部導体3、外部導体4、5材料の拡散状態は、配線基板と同一とされている。
【0031】
このような共振器Aは、厚い支持基板6上に一体に形成されているため、共振器Aの測定試料1、2の厚みを200μm以下、特には50μm以下と薄くしても共振器Aを容易に形成することができ、しかも、支持基板6が形成されていない上側外部導体4に形成された励振口7、8を介して電界により励振することができ、これにより円板共振器Aの共振周波数と無負荷Qを測定でき、上記した式より、測定試料1、2の比誘電率と誘電正接を算出することができる。
【0032】
図4は、本発明のさらに他の誘電定数測定法を説明するためのもので、図4の円板共振器Aは、図3に示した円板共振器Aと同様に、支持基板6上に、外部導体5、測定試料2、円形内部導体3、測定試料1、外部導体4を順次積層して構成されており、これらが支持基板6と同時に焼成され、一体となっている。測定試料1、2はセラミックス又はガラスセラミックスから構成されている。
【0033】
そして、円形内部導体3の半径Rに対して、0.4〜0.6倍の半径を有する同心円上の上側外部導体4の位置に2個の励振口7、8を設け、これらの励振口7、8にループアンテナ19、20を挿入し、磁界励振によってTM010共振モードを励振する。
【0034】
TM010共振モードの磁界は、図5に示すように、円形内部導体3に対して半径が約1/2の同心円周の位置で強く分布する。これにより、励振口7、8を介して同軸ケーブル9、10先端のループアンテナ19、20で磁界励振すると、TM010共振モードを片面から効率的に励振できる。これを用い、円板共振器Aの共振周波数と無負荷Qを測定し、測定試料1、2の比誘電率と誘電正接を算出することができる。
【0035】
尚、円形内部導体3の半径Rに対して、0.25倍、又は0.75倍の半径を有する同心円上の上側外部導体4の位置に2個の励振口7、8を設け、これらの励振口7、8にループアンテナ19、20を挿入し、磁界励振によってTM020共振モードを励振させても良い。
【0036】
また、円形内部導体3の半径Rに対して、1/6倍、又は1/2倍、或いは5/6倍の半径を有する同心円上の上側外部導体4の位置に2個の励振口7、8を設け、これらの励振口7、8にループアンテナ19、20を挿入し、磁界励振によってTM030共振モードを励振させても良い。
【0037】
尚、磁界を印可して円板共振器Aを励振する図4の場合に、図1に示したように支持基板6を形成しなくても、図1に示した場合と同様にして、上記した式(1)〜(4)により、測定試料1、2の比誘電率と誘電正接を算出することができる。
【0038】
【実施例】
実施例1
本発明の誘電定数測定法の有効性を実証するため、誘電定数が一般に良く知られているテフロン(R)基板(文献値:比誘電率2.03〜2.05、誘電正接2〜3×10-4)の測定を行った。それぞれ表1に示す厚みを有するテフロン(R)基板を測定試料1、2とし(測定試料1、2は同一厚み)、円形内部導体3としては、23.5mmの直径(2R)を有する0.05mm厚の銅箔、外部導体4、5としては6mm厚の銅板を使用し、図1に示すようにして円板共振器Aを作製した。この場合、下側外部導体5が支持体を兼ねている。
【0039】
又、図4に示す磁界結合を行うために、励振口7、8の間隔が0.6×23.5mm、直径を1.8mmとし、1.2mm径の同軸ケーブル先端に作製した約1.5mm径のループアンテナを挿入し、円板共振器Aを磁界励振し、円板共振器Aの共振周波数f0、無負荷Qを求めた。この結果から、上記した算術式で、測定試料1、2の比誘電率ε’及び誘電正接tanδを求めた。これらの結果を表1の試料No.1〜3に示す。
【0040】
また、図1に示すようにして円板共振器Aの円形内部導体3の中心に該当する外部電極4に、直径1.5mmの励振口7を、円形内部導体3の端に該当する外部電極4に、直径1.5mmの励振口8を形成し、1.2mm径の同軸ケーブルを挿入し、円板共振器Aを電界励振し、円板共振器Aの共振周波数、無負荷Qを求めた。この結果から、上記した算術式で、測定試料1、2の比誘電率及び誘電正接を求めた。これらの結果を表1の試料No.4に示す。
【0041】
さらに、本発明者は、従来の図7に示す電界により励振する場合の測定を行ない、その結果を表1の試料No.5〜7に示した。尚、各データの下欄には標準偏差を記載した。
【0042】
【表1】
Figure 0003974814
【0043】
本発明の図4の磁界励振による場合は、表1に示すように、比誘電率は2.04〜2.05と測定され、文献値と良く一致している。誘電正接は試料No.2の厚みが約0.2mm、試料No.3の約1.0mm試料においては約2×10-4と測定され、文献値と良く一致している。試料No.1の厚みが約0.05mm試料においては7×10-4と測定され、文献値と異なっているが、これは薄くなることによって、平衡形円板共振器の導体損が増加し、無負荷Qが小さくなるので、結果として誘電正接の測定精度が低下するためである。従って、図4の測定方法でQ値を測定する場合には、測定試料の厚みが0.2mm以上の場合や、低Q値の測定試料を測定する場合がより望ましい。
【0044】
従来の図7に示す電界により励振する場合と、図4に示す磁界励振する本発明の場合において、測定試料の厚みに対する誘電率変動を図6に記載した。
【0045】
この図6から、従来の図7に示す電界励振による場合は、測定試料が薄くなればなるほど比誘電率が変化し、実際の比誘電率との差が大きくなるものの、本発明の図4に示す磁界励振する場合には、測定試料が薄くなっても、比誘電率は殆ど変化せず、測定試料が薄くても正確な比誘電率が得られることが判る。
【0046】
実施例2
本発明の誘電定数測定法の有効性を実証するため、アルミナ材料からなる表2に示すような厚さの測定試料1、2の測定を行った。円形内部導体3としては、23.5mmの直径を有する厚さ0.012mmのCu−W系メタライズ層を用い、外部導体4、5としては同じく厚さ0.012mmのCu−W系メタライズ層を用い、支持基板6としては、測定試料1、2と同じアルミナ材料で厚さ0.4mmとし、図4に示すような円板共振器Aを作製した。
【0047】
この場合、アルミナ材料からなるグリーンシートにCu−W系の導電性ペーストを塗布し、これを複数積層して積層成形体を作製し、この積層成形体を同時焼成し、円板共振器Aと支持基板6を一体化した。
【0048】
又、図4に示す磁界結合を行うため、実施例1と同様に、励振口7、8を1.5mmとし、1.2mm径の同軸ケーブル9、10先端に作製した約1.5mm径のループアンテナ19、20を挿入し、平衡形円板共振器Aを励振し、平衡形円板共振器Aの共振周波数、無負荷Qを求めた。この結果から、上記した式で、測定試料1、2の比誘電率及び誘電正接を求めた。これらの結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
Figure 0003974814
【0050】
この表2から、比誘電率は9.142と測定され、誘電正接は25×10-4と測定された。従って、本発明の誘電定数測定法を用いることにより、同時焼成されたセラミックス薄層の誘電定数を測定できることを実証した。
【0051】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、本発明の誘電定数測定法によれば、平衡形円板共振器を構成する一方の外部導体に磁界や電界の入力用、出力用の励振口を形成し、この励振口を介して平衡形円板共振器を励振させ、共振器の共振周波数と無負荷Qの測定値から、測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接を求めることができるため、支持基板の上に導体層と同時焼成あるいは一体成形した平衡形円板共振器の誘電定数を測定でき、従来測定が困難であった導体層と同時焼成あるいは一体成形された薄層の測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接を容易に求めることができる。
【0052】
これによりマイクロ波用途の同時焼成用、或いは一体成形用の誘電体材料の開発が容易になるとともに、これらの材料を用いた回路基板や、半導体パッケージの設計がより高精度に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電定数測定法に用いられる円板共振器の一例を示すもので、(a)は平面図、(b)は概略断面図である。
【図2】図1の円板共振器におけるTM010モードの電界分布を説明するもので、(a)は平面図、(b)は概略断面図である。
【図3】本発明の誘電定数測定法に用いられる円板共振器の他の例を示すもので、(a)は平面図、(b)は概略断面図である。
【図4】本発明の誘電定数測定法に用いられる円板共振器のさらに他の例を示すもので、(a)は平面図、(b)は概略断面図である。
【図5】図4の円板共振器におけるTM010モードの磁界分布を説明するもので、(a)は平面図、(b)は概略断面図である。
【図6】測定試料の厚みに対するテフロン(R)の比誘電率を示すグラフである。
【図7】従来の誘電定数測定法に用いられる平衡形円板共振器を示すもので、(a)は平面図、(b)は概略断面図である。
【符号の説明】
1、2・・・測定試料
3・・・円形内部導体
4、5・・・外部導体
6・・・支持基板
7、8・・・励振口
9、10・・・同軸ケーブル
19、20・・・ループアンテナ
A・・・平衡形円板共振器

Claims (5)

  1. 円形内部導体を測定試料で挟持し、該測定試料の表面にそれぞれ外部導体を形成してなる平衡形円板共振器を、T0m0モード(m=1,2・・・)で励振させ、その共振周波数と無負荷Qの測定値から、前記測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接を求める誘電定数測定法であって、前記平衡形円板共振器を、前記円形内部導体の中心位置に対応する一方の前記外部導体の位置に設けられた1個の励振口と、前記円形内部導体の端の位置に対応する前記一方の外部導体の位置に設けられた1個の励振口とにそれぞれ同軸ケーブルを挿入し、電界により励振させることを特徴とする誘電定数測定法。
  2. 円形内部導体を測定試料で挟持し、該測定試料の表面にそれぞれ外部導体を形成してなる平衡形円板共振器を、TM 0m0 モード(m=1,2・・・)で励振させ、その共振周波数と無負荷Qの測定値から、前記測定試料の比誘電率及び/又は誘電正接を求める誘電定数測定法であって、前記平衡形円板共振器を、前記円形内部導体の同心円に対応する一方の前記外部導体の位置に設けられた2個の励振口にそれぞれループアンテナを挿入し、磁界により励振させることを特徴とする誘電定数測定法。
  3. 前記支持基板上に前記平衡形円板共振器が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の誘電定数測定法。
  4. 前記測定試料の厚みが0.2mm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の誘電定数測定法。
  5. 前記平衡形円板共振器は支持基板と一体化され、該一体化された平衡形円板共振器及び支持基板は、セラミックス又はガラスセラミックスとなるグリーンシートに導電性ペーストを塗布したものを複数積層してなる積層成形体を焼成してなることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載の誘電定数測定法。
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