JP3974731B2 - 木造建築物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレハブ方式の木造建築物、詳しくは基礎の上に土台を載せ、その上に、所定モジュールに形成された複数枚の壁パネルを並列状に立てて相互に連結することにより、側壁が構成される木造建築物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば軸組壁工法やツーバイフォーなどの木造枠組壁構法は、柱や梁で枠組を作り、これに合板を釘打ちして、床、壁などを作っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし乍ら、このような従来の木造建築物では、枠組を作る必要があるために建設工期が長くなるという問題がある。
そこで、これを解決するため、枠組なしで壁パネルを並列状に立てて相互に連結することも考えられる。
しかし、この場合には、地震などの揺れに伴って壁パネルが転倒する恐れがあるというという問題がある。
【0004】
本発明は、軸組壁工法や木造枠組壁構法の枠組なしで壁パネルの基礎からの浮き上がりを防止することができ、しかも、外力や乾燥による変形を防止しながら配管・配線用のスペースを確保することを目的としたものである。
また、他の目的としては、請求項1の発明の目的に加えて、軸組壁工法や木造枠組壁構法の梁なしで二階の床を作ることができる木造建築物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するために、本発明では、基礎の上に土台を載せ、その上に、所定モジュールに形成された複数枚の壁パネルを並列状に立てて相互に連結することにより、側壁が構成される木造建築物において、
前記基礎に埋設されて、前記土台へ向けて突出させるためのアンカーボルトを備えて、このアンカーボルトを前記土台に貫通させて該土台に連結し、さらに、前記土台の隣り合う三面を覆うように前記壁パネルの下端部にわたり嵌合させるための略U字形で、底部には前記アンカーボルトを貫通させるための通孔が開穿されている接合金物を備えて、この接続金具と前記アンカーボルトとにより前記土台及び前記壁パネルを前記基礎に一体化連結してなり、前記壁パネルは、パネル本体と、このパネル本体の下端部を嵌合させるための直線状の下枠材と、前記パネル本体の上端部を嵌合させるための上枠材と、を備えて構成され、前記パネル本体は、少なくとも中間層が、平行な帯板を適宜間隔毎に配列された複数組の板層を、隣り合う板層の帯板が縦横二方向へ交差するように積層して加圧機で加圧しながら相互に接着させることにより、前記各帯板の間に空間部が縦横二方向にそれぞれ形成されていることを特徴とする(請求項1)。
また、本発明では、前記壁パネルの上端面に、二階の床パネルを載置し、この床パネルの上に二階の壁パネルを載置するとともに、これら一階の壁パネル、二階の床パネル及び二階の壁パネルを平金物で連結していることを特徴とする(請求項2)。
【0006】
【作用】
基礎から突出するアンカーボルトを土台に貫通させて連結し、さらに、この土台及び壁パネルの下端部に、アンカーボルトの通孔を備えている略U字形の接合金物を嵌合して連結することにより、土台と壁パネルの下端部が接合金物により一体化される。そして、接合金物により一体化に連結された土台及び壁パネルの下端部は、接合金物の通孔を貫通し、土台を貫通するアンカーボルトにより基礎に対して移動不能に固着される。
また、壁パネルを構成するパネル本体の少なくとも中間層が、平行な帯板が適宜間隔毎に配列された複数組の板層を、隣り合う板層の帯板が交差するように積層して加圧機により加圧しながら複数個所を相互に接着したことにより、パネル全体の構造耐力が増大し、各帯板が乾燥しても変形しないと共に、各帯板の間には縦横二方向の空間部がそれぞれ形成される。これにより、この空間を配管・配線用のスペースとして利用することができる。
また、前記壁パネルの上端面に、二階の床パネルを載置し、この床パネルの上に二階の壁パネルを載置するとともに、これら一階の壁パネル、二階の床パネル及び二階の壁パネルを平金物で連結することで、一階の壁パネルと二階の床パネルと二階の壁パネルが平金具で直接連結される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
この実施例は、図1及び図2に示す如く、木造建築物が二階建てであり、基礎1の上に換気用の基礎パッキン2を挟んで土台3が載置され、この土台3の上に一階外側壁用の壁パネルWを並列状に立てて相互に連結固定すると共に、これら壁パネルWの上に二階の床パネルFが載置固定され、この床パネルFの上に二階外側壁用の壁パネルWを並列状に立てて相互に連結固定したものである。
【0008】
上記基礎1は、鉄筋コンクリートなどで形成された従来周知構造のコンクリート基礎であり、その内部には、上面1aから基礎パッキン2及び土台3へ向けて上方に突出するアンカーボルト1bを適宜間隔毎に複数本埋設する。
【0009】
上記土台3には、アンカーボルト1bと対向して貫通孔3aを開穿し、この貫通孔3aの上部には、アンカーボルト1bと螺合するナット1cが入る凹部3bを形成し、貫通孔3aにアンカーボルト1bを挿通してからナット1cで緊結することにより、基礎1に対して土台3が固定される。
【0010】
上記壁パネルWは、本実施例の場合、図3及び図4に示す如く、パネル本体4と、このパネル本体4の下端部と左右方向へ調整移動自在に嵌合する直線状の下枠材5と、パネル本体4の上端部と左右方向へ調整移動自在に嵌合する直線状の上枠材6とからなり、これら下枠材5及び上枠材6の間に複数のパネル本体4…を並列状に挟み込むことにより側壁が構成される。
更に、複数のパネル本体4…と下枠材5と上枠材6の連結作業は、必要な左右幅寸法分だけ予め工場で行って製品化することにより、製品の均一化して品質不良の問題を防ぎ、作業の効率化を図っている。
【0011】
上記パネル本体4は、少なくとも中間層が、平行な帯板4aを適宜間隔毎に配列された複数組の板層を、隣り合う板層の帯板4aが縦横二方向へ交差するように積層し、加圧機で加圧しながら各帯板4aの交差部分を相互に接着剤で接着させることで形成される。これにより、パネル全体の構造耐力を増大させ、各帯板4aが乾燥しても変形しないとともに、各帯板4aの間には配管・配線用の空間部4bが縦横二方向へ形成される。
【0012】
更に本実施例の場合、下枠材5と上枠材6は図3及び図4に示す如く、複数の帯板を積み重ね、これら帯板を加圧機で加圧しながら接合部分を接着剤で接着して構成することにより、構造耐力が増大しながら乾燥変形を防止している。
【0013】
そして、前記土台3及び壁パネルWの下端部に亘って図1及び図2に示す如く、略U字形の接合金物7を嵌合する。
詳しくは、図2に示す如く上記壁パネルWは、左右方向へ必要な幅寸法に相当する枚数だけ相互に連結され、その左右両端に配置された2枚の壁パネルW,Wから夫々土台3に亘って略U字形の接合金物7,7を配設するか、或いは図示せぬが連結された壁パネルW…の適宜間隔毎から土台3に亘って略U字形の接合金物7…を配設する。
この接合金物7は、その底部に前記アンカーボルト1bが貫通する通孔7aを開穿し、両側部をビス7b…で連結することにより、土台3と壁パネルWの下端部が一体化される。
【0014】
本実施例の場合には、図3に示す如く、壁パネルWの下端部がパネル本体4の下部と下枠材5であり、これら及び土台3と接合金物7の一方側部との間に、パッキン材としてベニヤ板7cを挟み込み、更に必要に応じて下枠材5から土台3へ釘7dを打ち込んで、これら下枠材5及び土台3の連結を強化している。
【0015】
従って、壁パネルWの下端部であるパネル本体4の下部及び下枠材5と、アンカーボルト1bにより基礎1に固定された土台3は、略U字形の接合金物7で一体化され、その結果、基礎1に対して土台3及び壁パネルWの下端部が夫々移動不能に固着される。
その結果、軸組壁工法や木造枠組壁構法の枠組なしでも壁パネルWの浮き上がりを防止できる。
【0016】
更に、一階の壁パネルWの上端面には、図1及び図2に示す如く、二階の床パネルFを載置し、その上に二階の壁パネルWを載置すると共に、これら一階の壁パネルWの上端部、二階の床パネルFの端面及び二階の壁パネルWの下端部に亘って平金物8を掛け渡し、ビス8a…で連結で連結する。
【0017】
本実施例では図4に示す如く、一階壁パネルWの上枠材6の上面に、二階の床パネルFを載置し、その上に二階壁パネルWの下枠材5を載置して、これら一階の上枠材6から二階の床パネルFの端面を介して二階のパネル本体4の下端部及び下枠材5に亘って平金物8を掛け渡している。これらと平金物8との間にはパッキン材としてベニヤ板8bを挟み込み、更に必要に応じて二階の壁パネルWの下枠材5から二階の床パネルFへ釘(図示せず)を打ち込んだり、該床パネルFから一階の壁パネルWの上枠材6へ釘8cを打ち込んで、これらの連結を強化している。
【0018】
これにより、一階の壁パネルWと二階の床パネルFと二階の壁パネルWが直接連結される。
その結果、軸組壁工法や木造枠組壁構法の梁なしで二階の床を作れる。
【0019】
一方、前記壁パネルWの屋内側表面、即ちパネル本体4の屋内側表面には、図1に示す如く石膏ボードなどの内壁材W1を配設し、屋内側表面には、断熱材W2と通気層W3と防火サイディングなどの外壁材W4を積層して配設している。
【0020】
更に、前記基礎1の上には、図1に示す如く土台3の間に亘って一階の床パネルFを落とし込んで一階の床が作られ、二階の壁パネルWの上端には、屋根Rが作られる。
本実施例の場合、一階及び二階の床パネルFは、複数の帯板を積み重ね、これら帯板を加圧機で加圧しながら接合部分を接着剤で接着して構成することにより、構造耐力が増大しながら乾燥変形を防止している。
【0021】
尚、前示実施例では、木造建築物が二階建てである場合を示したが、これに限定されず、平屋建てや三階建てであっても同様である。
また、前示実施例では、壁パネルWが、パネル本体4と下枠材5と上枠材6とから構成される場合を示したが、これに限定されず、下枠材5と上枠材6がなくてパネル本体4のみを並列状に立てて相互に連結固定しても良い。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、基礎から突出するアンカーボルトを土台に貫通させて連結し、さらに、この土台及び壁パネルの下端部に、アンカーボルトの通孔を備えている略U字形の接合金物を嵌合して連結することにより、土台と壁パネルの下端部が接合金物により一体化される。そして、接合金物により一体化に連結された土台及び壁パネルの下端部は、接合金物の通孔を貫通し、土台を貫通するアンカーボルトにより基礎に対して連結することができる。
これにより、基礎に対して土台及び壁パネルの下端部が夫々移動不能に固着されるので、軸組壁工法や木造枠組壁構法の枠組なしでも壁パネルの浮き上がりを防止できる。
従って、枠組を作る必要がある軸組壁工法や木造枠組壁構法に比べ、手間が省けて建設工期を大幅に短縮できるだけでなく、地震などの揺れに伴って壁パネルが転倒せず、耐震性に優れる。
【0023】
また、縦横二方向に交差させて積層させた平行な帯板の複数箇所(交差部分)を加圧機により相互に加圧しながら接着することにより、パネル全体の構造耐力が増大し、各帯板が乾燥しても変形しない。また、各帯板の間には縦横二方向の配管・配線用の空間部が形成されるので、この空間部によって外力や乾燥による変形を防止することができ、しかも、配管・配線用のスペースを確保することができる。
従って、壁パネル全体が軽量でありながら堅固であり、壁パネルの形状が長期に亘って安定するとともに、配管・配線作業が簡単になる。
さらに、パネル全体を覆う大きな板材がなくても良いから、材料費を削減でき、しかも、上記空間部を表面材で閉鎖すれば、断熱性および防音性にも優れる。
【0024】
また、本発明は、一階の壁パネルと二階の床パネルと二階の壁パネルが平金物で直接連結されるので、軸組壁工法や木造枠組壁構法の梁なしで二階の床を作れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す木造建築物の縦断側面図である。
【図2】 図1の(2)−(2)に沿える縦断正面図である。
【図3】 基礎から壁パネルに至る連結部分を示す拡大縦断側面図である。
【図4】 壁パネルと二階の床パネルとの連結部分を示す拡大縦断側面図である。
【符号の説明】
W 壁パネル F 床パネル
1 基礎 1b アンカーボルト
3 土台 4a 帯板
7 接合金物 8 平金物
Claims (2)
- 基礎(1)の上に土台(3)を載せ、この土台(3)の上に、所定モジュールに形成されている複数枚の壁パネル(W)を並列状に立てて相互に連結することにより、側壁が構成される木造建築物において、
前記基礎(1)に埋設されて、前記土台(3)へ向けて突出させるためのアンカーボルト(1b)を備えて、このアンカーボルト(1b)を前記土台(3)に貫通させて該土台(3)に連結し、
さらに、前記土台(3)の隣り合う三面を覆うように前記壁パネル(W)の下端部にわたり嵌合させるための略U字形で、底部には前記アンカーボルト(1b)を貫通させるための通孔(7a)が開穿されている接合金物(7)を備えて、この接続金具(7)と前記アンカーボルト(1b)とにより前記土台(3)及び前記壁パネル(W)を前記基礎(1)に一体化連結してなり、
前記壁パネル(W)は、パネル本体(4)と、このパネル本体(4)の下端部を嵌合させるための直線状の下枠材(5)と、前記パネル本体(4)の上端部を嵌合させるための上枠材(6と、を備えて構成され、
前記パネル本体(4)は、少なくとも中間層が、平行な帯板(4a)を適宜間隔毎に配列された複数組の板層を、隣り合う板層の帯板(4a)が縦横二方向へ交差するように積層して加圧機で加圧しながら相互に接着させることにより、前記各帯板(4a)の間に空間部(4b)が縦横二方向にそれぞれ形成されていることを特徴とする木造建築物。 - 前記壁パネル(W)の上端面に、二階の床パネル(F)を載置し、この床パネル(F)の上に二階の壁パネル(W)を載置するとともに、これら一階の壁パネル(W)、二階の床パネル(F)及び二階の壁パネル(W)を平金物(8)で連結していることを特徴とする請求項1に記載の木造建築物。
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