JP3974342B2 - 自動二輪車のエアクリーナ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気騒音を低減するレゾネータを組込んだときに、製造コストを抑えるとともに、組付工数を減らすのに好適な自動二輪車のエアクリーナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車の吸気騒音を低減するためのレゾネータを設けたエアクリーナ装置としては、例えば、実開昭53−98228号公報「内燃機関の吸気音低減装置」に記載されたものが知られている。
上記公報の第2図には、エアークリーナボックス5(符号は同公報に記載されているものを使用した。以下同様。)に開口部5bを設け、この開口部5bに共鳴器としての閉端パイプ7を接続した吸気音低減装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報の技術では、開口部5bに閉端パイプ7を接続する場合、エアークリーナボックス5から閉端パイプ7が脱落するのを防止するためには、例えば、接着剤を用いたり、ビスやホースバンド等の締結部材が必要になる。
従って、エアークリーナボックス5に閉端パイプ7を接続するために部品数が増し、製造コストが嵩むとともに、接着剤を塗布したり、ビスやホースバンド等を締めたりする組付工数が増える。
【0004】
そこで、本発明の目的は、自動二輪車において、吸気騒音を低減できるエアクリーナ装置の製造コストを抑えるとともに、組付工数を減らすことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、エアクリーナケースを、ケース本体とカバーとで分割可能に構成し、これらのケース本体とカバーとで挟持させることでレゾネータを内蔵し、レゾネータを、底面の無いカップ状レゾネータで且つレゾネータ内外を連通させる連通穴を開けた連通管を連結したものとし、ケース本体とカバーの一方にレゾネータの底を嵌合させる座を設け、他方にレゾネータを押える押え部を設け、エアクリーナケース内に車両前方に向けて開口する吸気ダクトを備え、ケース本体の前部に、キャブレタに接続されるコネクティングチューブを取付け、このコネクティングチューブに臨むようにエアフィルタエレメントを配置することで、エアクリーナケース内の前側をクリーンサイドとし、エアクリーナケース内の後側をダーティサイドとし、エアフィルタエレメントの上流側であるダーティサイド内にレゾネータを配置し、レゾネータに設けられた内外を連通する連通管が車両側方を向くように設けられることを特徴とする。
【0006】
ケース本体とカバーとでレゾネータを挟持させることで、レゾネータを例えばケース本体又はカバーに接着剤で接合したりビス等の締結部材で取付ける必要がなく、エアクリーナ装置に簡単にレゾネータを取付けることができる。従って、接着剤、ビス等の締結部材が必要なく、エアクリーナ装置の製造コストを下げることができるとともに、エアクリーナ装置の組付工数を減らすことができる。
また、ケース本体とカバーの一方に設けた座にレゾネータの底を嵌合させ、他方に設けた押え部でレゾネータを押えることで、レゾネータをエアクリーナ装置内に確実に固定することができる。
【0007】
請求項2は、ケース本体の座とレゾネータの底とを締め代を持たせて嵌合させたことを特徴とする
座に底を密着させることができ、レゾネータの消音効果を高めることができる。
【0008】
請求項3は、押え部で押さえられる受け部をレゾネータの外面から突出させるとともに、この受け部から外面上に補強リブを延ばしたことを特徴とする。
受け部及び補強リブにより、レゾネータの剛性を高めることができ、ケース本体とエアクリーナカバーとでレゾネータを挟持しても、撓みにくくすることができる。
【0009】
請求項4は、エアクリーナ装置には、レゾネータの下方を避けた位置であって、その前方の箇所にドレンチューブが配置されていることを特徴とする。
ドレンチューブからエアクリーナケース内の水、オイルなどを排出することができる。
【0010】
請求項5は、ケース本体には、壁部の一部が内部に突出する凹み部が形成され、この凹み部を挟んで前方にエアフィルタエレメント、後方にレゾネータが配置されていることを特徴とする。
凹み部の前後のスペースを効果的に利用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るエアクリーナ装置を備えた自動二輪車の側面図であり、自動二輪車10は、前部にハンドル11を設け、このハンドル11で下方に設けたフロントフォーク12及び前輪13を操舵し、これらのフロントフォーク12及び前輪13をフロントフェンダ一体のフロントカバー14で覆い、このフロントカバー14の後部にフロントインナカバー15を取付け、このフロントインナカバー15の下部後方に乗員の足載せとするフロアステップ16を設け、このフロアステップ16の後部上方にボディカバー17を配置し、このボディカバー17でパワーユニット18の前部を覆い、このパワーユニット18の後部に後輪22を取付け、同じくパワーユニット18の後部上部にエアクリーナ装置23を取付けたスクータ型車両である。
【0012】
ここで、25はミラー、26はヘッドランプ、27はフロントブレーキ装置、28はサイドスタンド、31はタンデムシート、32はシート下部カバー、33はリヤコンビネーションランプ、34はリヤフェンダである。
【0013】
図2は本発明に係るエアクリーナ装置の側面図であり、エアクリーナ装置23は、エアクリーナケース41内に、空気を取り込む吸気ダクト42を取付けるとともにエアフィルタエレメント43及び吸気騒音を低減するためのレゾネータ44を配置し、エアクリーナケース41にビス45・・・(・・・は複数個を示す。以下同様。)でカバーとしてのエアクリーナカバー46を取付けたものである。なお、48はエアクリーナ装置23から図示せぬキャブレタに接続するコネクティングチューブ、51はドレンチューブである。
【0014】
図3は本発明に係るエアクリーナ装置の平面図であり、エアクリーナケース41をケース本体52とエアクリーナカバー46とで構成し、ケース本体52の前部(車両前方を表すために図中に示した白抜き矢印(front)側(以下同様。)が前部である。)にコネクティングチューブ48を取付け、エアクリーナケース41内の前側にエアフィルタエレメント43を配置し、エアクリーナケース41内の後側(エアフィルタエレメント43の上流側であるダーティサイド内)にレゾネータ44を配置し、エアクリーナ装置23内に内蔵したレゾネータ44をケース本体52とエアクリーナカバー46とで挟持したことを示す。
【0015】
図4は本発明に係るエアクリーナ装置のレゾネータの取付構造を示す要部断面図である。
レゾネータ44は、カップ状の本体44aに内外を連通する連通管44bを取付け、本体44aの底としての開口部44cの内周面に凹凸を形成した消音装置である。
ケース本体52は、底壁52aに座としての環状突出部52bを形成し、この環状突出部52bにレゾネータ44の開口部44cを嵌合させた部材である。
ケース本体52の環状突出部52bとレゾネータ44の開口部44cとには、締め代を持たせてあるので、環状突出部52bに開口部44cを密着させることができ、レゾネータ44の消音効果を高めることができる。なお、44dはレゾネータ44の内部とレゾネータ44の外部(エアクリーナケース41内)とを連通させるために連通管44bに開けた連通穴である。
【0016】
エアクリーナカバー46は、内面46aから突出させた押え部としての突出部46bを形成し、この突出部46bでレゾネータ44の受け部44fを押えた部材である。
図中のL1はレゾネータ44の本体44a内の長さであり、L2は連通管44bの長さである。
レゾネータ44は、本体44a内の長さL1及び本体44aの容積、連通管44bの長さL2及び連通穴44dの断面積を変更することで、レゾネータ44の共鳴周波数を容易に変更することができる。
【0017】
図5は本発明に係るエアクリーナ装置のレゾネータの斜視図であり、突出部46bで押える受け部44fをレゾネータ44の外面44gから突出させるとともに、この受け部44fから外面44g上に補強リブ44h・・・を延ばしたことを示す。
【0018】
受け部44f及び補強リブ44h・・・により、レゾネータ44の剛性を高めることができ、ケース本体52(図3参照)とエアクリーナカバー46(図3参照)とでレゾネータ44を挟持しても、撓みにくくすることができる。
また、レゾネータ44は、PVC、ゴム等の材料を用いて型で容易に成形することができ、レゾネータ44の製造コストを抑えることができる。
【0019】
図6は本発明に係るエアクリーナ装置のレゾネータの組付要領を説明する説明図である。
まず、矢印(1)のように、ケース本体52の環状突出部52bにレゾネータ44の開口部44cを嵌合させる。開口部44cの内周面に凹凸を設けたので、環状突出部52cに開口部44cを強固に噛み込ませることができ、ケース本体52にレゾネータ44を確実に固定することができる。
【0020】
次に、ケース本体52にエアクリーナカバー46を取付けることで、同時に矢印(2)のように、エアクリーナカバー46の突出部46bでレゾネータ44の受け部44fを押える。
【0021】
環状突出部52bに開口部44cを嵌合させることができるので、エアクリーナカバー46をケース本体52に取付けるまで、レゾネータ44がケース本体52から脱落することがなく、手で押え付けておかなくてもよいため、組付作業性を向上させることができる。
【0022】
以上の図4で説明したように、本発明は、エアクリーナケース41を、ケース本体52とエアクリーナカバー46とで分割可能に構成し、これらのケース本体52とエアクリーナカバー46とで挟持させることでレゾネータ44を内蔵したことを特徴とする。
【0023】
ケース本体52とエアクリーナカバー46とでレゾネータ44を挟持させることで、レゾネータを、例えばケース本体又はカバーに接着剤で接合したりビス等の締結部材で取付ける必要がなく、エアクリーナ装置23(図3参照)に簡単にレゾネータ44を取付けることができる。従って、接着剤、ビス等の締結部材が必要なく、エアクリーナ装置23の製造コストを下げることができるとともに、エアクリーナ装置23の組付工数を減らすことができる。
【0024】
本発明はまた、レゾネータ44を、底面の無いカップ状レゾネータで、且つ連通穴44dを開けた連通管44bを連結したものとし、ケース本体52とエアクリーナカバー46の一方にレゾネータ44の開口部44cを嵌合させる環状突出部52bを設け、他方にレゾネータ44の受け部44fを押える突出部46bを設けたことを特徴とする。
【0025】
ケース本体52とエアクリーナカバー46の一方に設けた環状突出部52bにレゾネータ44の開口部44cを嵌合させ、他方に設けた突出部46bでレゾネータ44の受け部44fを押えることで、レゾネータ44をエアクリーナ装置23内に確実に固定することができる。
【0026】
尚、図6では、ケース本体52にレゾネータ44の開口部44cに嵌合する環状突出部52bを設け、エアクリーナケース46にレゾネータ44の受け部44fを押える突出部46bを設けたが、エアクリーナケース46にレゾネータ44の開口部44cに嵌合する環状突出部を設け、ケース本体52にレゾネータ44の受け部44fを押える突出部を設けてもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の自動二輪車のエアクリーナ装置は、エアクリーナケースを、ケース本体とカバーとで分割可能に構成し、これらのケース本体とカバーとで挟持させることでレゾネータを内蔵し、レゾネータを、底面の無いカップ状レゾネータで且つレゾネータ内外を連通させる連通穴を開けた連通管を連結したものとし、ケース本体とカバーの一方にレゾネータの底を嵌合する座を設け、他方にレゾネータを押える押え部を設け、エアクリーナケース内に車両前方に向けて開口する吸気ダクトを備え、ケース本体の前部に、キャブレタに接続されるコネクティングチューブを取付け、このコネクティングチューブに臨むようにエアフィルタエレメントを配置することで、エアクリーナケース内の前側をクリーンサイドとし、エアクリーナケース内の後側をダーティサイドとし、エアフィルタエレメントの上流側であるダーティサイド内にレゾネータを配置し、レゾネータに設けられた内外を連通する連通管が車両側方を向くように設けられるので、レゾネータを、例えばケース本体又はカバーに接着剤で接合したりビス等の締結部材で取付ける必要がなく、エアクリーナ装置に簡単にレゾネータを取付けることができる。従って、接着剤、ビス等の締結部材が必要なく、エアクリーナ装置の製造コストを下げることができるとともに、エアクリーナ装置の組付工数を減らすことができる。また、レゾネータをエアクリーナ装置内に確実に固定することができる。
【0028】
請求項2の自動二輪車のエアクリーナ装置は、ケース本体の座とレゾネータの底とを締め代を持たせて嵌合させたので、座に底を密着させることができ、レゾネータの消音効果を高めることができる。
【0029】
請求項3の自動二輪車のエアクリーナ装置は、押え部で押さえられる受け部をレゾネータの外面から突出させるとともに、この受け部から外面上に補強リブを延ばしたので、受け部及び補強リブにより、レゾネータの剛性を高めることができ、ケース本体とエアクリーナカバーとでレゾネータを挟持しても、撓みにくくすることができる。
【0030】
請求項4の自動二輪車のエアクリーナ装置は、レゾネータの下方を避けた位置であって、その前方の箇所にドレンチューブが配置されているので、ドレンチューブからエアクリーナケース内の水、オイルなどを排出することができる。
【0031】
請求項5の自動二輪車のエアクリーナ装置は、ケース本体には、壁部の一部が内部に突出する凹み部が形成され、この凹み部を挟んで前方にエアフィルタエレメント、後方にレゾネータが配置されているので、凹み部の前後のスペースを効果的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るエアクリーナ装置を備えた自動二輪車の側面図
【図2】 本発明に係るエアクリーナ装置の側面図
【図3】 本発明に係るエアクリーナ装置の平面図
【図4】 本発明に係るエアクリーナ装置のレゾネータの取付構造を示す要部断面図
【図5】 本発明に係るエアクリーナ装置のレゾネータの斜視図
【図6】 本発明に係るエアクリーナ装置のレゾネータの組付要領を説明する説明図
【符号の説明】
10…自動二輪車、41…エアクリーナケース、42…吸気ダクト、43…エアフィル タエレメント、44…レゾネータ、44b…連通管、44c…レゾネータの底(開口部)、44d…連通穴、44f…受け部、44h…補強リブ、46…カバー(エアクリーナカバー)、46b…押え部(突出部)、48…コネクティングチューブ、51…ドレンチューブ、52…ケース本体、52b…座(環状突出部)。

Claims (5)

  1. エアクリーナケースを、ケース本体とカバーとで分割可能に構成し、これらのケース本体とカバーとで挟持させることでレゾネータを内蔵し
    前記レゾネータは、底面の無いカップ状レゾネータで且つレゾネータ内外を連通させる連通穴を開けた連通管を連結したものとし、前記ケース本体とカバーの一方にレゾネータの底を嵌合させる座を設け、他方にレゾネータを押える押え部を設け、
    前記エアクリーナケース内に車両前方に向けて開口する吸気ダクトを備え、
    前記ケース本体の前部に、キャブレタに接続されるコネクティングチューブを取付け、
    このコネクティングチューブに臨むようにエアフィルタエレメントを配置することで、エアクリーナケース内の前側をクリーンサイドとし、エアクリーナケース内の後側をダーティサイドとし、
    エアフィルタエレメントの上流側であるダーティサイド内に前記レゾネータを配置し、
    レゾネータに設けられた内外を連通する連通管が車両側方を向くように設けられることを特徴とする自動二輪車のエアクリーナ装置。
  2. 前記ケース本体の前記座と前記レゾネータの底とを締め代を持たせて嵌合させたことを特徴とする請求項1記載の自動二輪車のエアクリーナ装置。
  3. 前記押え部で押さえられる受け部を前記レゾネータの外面から突出させるとともに、この受け部から外面上に補強リブを延ばしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動二輪車のエアクリーナ装置。
  4. 前記エアクリーナ装置には、前記レゾネータの下方を避けた位置であって、その前方の箇所にドレンチューブが配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の自動二輪車のエアクリーナ装置。
  5. 前記ケース本体には、壁部の一部が内部に突出する凹み部が形成され、この凹み部を挟んで前方に前記エアフィルタエレメント、後方に前記レゾネータが配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の自動二輪車のエアクリーナ装置。
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