JP3973257B2 - 搬送レールの伸縮吸収構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車の組立ラインにおける車体搬送レールを建屋間を横断して設けている場合の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば自動車の製造ラインにおいて、搬送レール上を走行する電車に車体を載せて搬送し、ある建屋内の工程で作業した後、異なる建屋に送り込んで次工程の作業を行うことがあり、このようなライン構成では、建屋間を横断して搬送レールが設けられる。
【0003】
そしてこのようなライン構成のうち、例えば図7に示すように、A建屋とB建屋の床面の高さが異なるような時には、A建屋の搬送レール51の高さ(破線位置)とB建屋の搬送レール52の高さが異なるため、A建屋の搬送レール51を昇降式レールとし、B建屋に向けて車体を搬入する時は搬送レール51を上昇させてレールの高さを一致させ(実線位置)、搬送レール51、52を接続して搬送するようにしている。
【0004】
この際、A建屋の搬送レール51は、A建屋に設けた不図示の昇降機構によって昇降自在にされており、B建屋の搬送レール52は、B建屋に設けた複数のレール支持部材53、…で支持されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来のレール構造の場合、電車が搬送レール51、52の接続部の隙間を通過する時に、集電子(ブラシ)が破損する事態が生じることがあり、調べた結果、隙間が大きくなりすぎて、電車が乗り移る時に集電子が引掛かって破損する場合と、隙間がゼロとなって接合部に段差が発生し、集電子が破損する場合があることが判った。この場合、段差は、昇降式レールによって接続部に対して上下方向に無理な力が加わって生じるものと考えられる。
【0006】
そこで、本発明者は、更にレールの隙間が変化する原因を調査した結果、外気温度によって建屋間に寸法変化が生じることに起因するものであることを見出した。
【0007】
そこで、搬送レールが建屋間を横断している場合に、建屋間の寸法変化に起因する搬送レールの伸縮を吸収するようなレール構造が望まれた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、建屋間を横断し、各建屋に取付けられたレール支持部材で支持される搬送レールであって、建屋と建屋の接合部附近のレールを複数の分割レールとすることで分割レール間に外気温度に起因する建屋間の寸法変化量を吸収する複数の隙間を形成し、各隙間の大きさを外気温度に起因する建屋間の最大寸法変化量に一定の余裕量を持たせた最大間隔量を均等割りし、また、前記建屋のうちのいずれか1ヵ所の建屋内の搬送レールを昇降式レールとし、この昇降式レールを同じ建屋内のレール支持部材で支持される分割レールに対して接続可能とし、他の分割レールを搬送方向に沿ってスライド自在にした。
【0011】
また、複数の分割レールのうち、所定箇所の分割レールを搬送方向に沿ってスライド自在にした。このように所定箇所の分割レールをスライド自在にすれば、当該分割レールの一端側の接続部の隙間がゼロになっても、他端側の接続部に隙間があれば、隙間がゼロの接続部に無理な力がかからず、同部に段差が生じるようなことがない。
【0012】
また請求項3では、各分割レールで形成される隙間間隔をスペーサ部材で規制するようにした。このスペーサ部材は、例えば隙間の最大量を規制するようにしておき、各隙間の間隔を均一にするよう図ることで、例えば1ヵ所の隙間が極端に大きくなるような不具合を防止出来る。
【0013】
また、いずれか1ヵ所の建屋内の搬送レールが、昇降式レールとして構成される場合、この昇降式レールを、同じ建屋内のレール支持部材で支持される分割レールに対して接続させるようにした。すなわち、昇降式レールを採用する時、昇降式レールの接続を、異なる建屋の搬送レールの端部に対して行うと、同接続部の隙間に建屋間の伸縮の影響が及び好ましくない。そこで、昇降式レールの接続を、同じ建屋内の分割レールに対して行い、建屋間の寸法変化の影響を接続部に及ぼさせない。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
ここで図1は本発明に係る搬送レールの正面図、図2は同平面図、図3は図2の要部拡大図、図4は図3のA−A線断面図、図5は図3のB−B線断面図、図6は建屋の伸縮を測定した結果図である。
【0015】
本発明は、例えば自動車の製造ラインにおいて、組付車体を搭載した電車が走行する搬送レールに適用され、外気温度による建屋の寸法変化に起因してレールが伸縮してもこれを有効に吸収することが出来るようにされている。
【0016】
すなわち、図6は、本発明者等が各外気温度における建屋の伸縮量を測定した結果であるが、この測定結果から、本発明者は、年間を通じて建屋間の寸法変化、すなわちレールの伸縮量が最大で約32mmにも達することを見出した。
【0017】
そこで、本発明は、図1に示すように、左方のA建屋の搬送レール1で搬送しながら所定の作業を行った後、床面の高さが異なるB建屋の搬送レール2に搬入するため、A建屋の搬送レール1の一部は昇降式レール1aとして構成されているような搬送レールにおいて、A建屋とB建屋間の寸法変化の悪影響を昇降式レール1aの接続部に及ぼさせないため、まずA建屋の搬送レール1は、A建屋に支持される不図示の昇降機構によって昇降自在な昇降式レール1aを、A建屋の架台3上のレール支持部材4で支持される第1分割レール1bに接続させるようにしている。
【0018】
また、B建屋の搬送レール2は、A建屋とB建屋の寸法変化に起因するレールの伸縮を吸収するため、B建屋の複数のレール支持部材5、…で支持される固定レール2aと、一対のスライドベース6、6上のレール支持部材7、…で支持される第2分割レール2b、第3分割レール2cから構成し、前記第1分割レール1bと第3分割レール2cの間、及び第3分割レール2cと第2分割レール2bの間、及び第2分割レール2bと固定レール2aの間に、それぞれレールの伸縮を吸収する隙間x、y、z(図3)を形成している。
【0019】
そしてこの3ヵ所の隙間x、y、zによって、最大約32mmにも達する伸縮を有効に吸収するようにしている。
【0020】
前記第1分割レール1bは、図2に示すように、搬路を挟んで左右に立設される架台3、3間に架け渡された梁部材10中央のレール支持部材4に支持されており、また、このレール支持部材4の近傍には、図3に示すように、上昇してきた昇降式レール1aを位置決め固定するためのロック機構11を設けている。
【0021】
そして、上昇式レール1aと第1分割レール1bの接続部には、両レール1a、1bが干渉するのを防止するため、所定の隙間dを設けている。
そしてこのように、上昇式レール1aの接続部を、同じA建屋の架台3(レール支持部材4)で支持される第1分割レール1bとの間に形成することにより、建屋間の寸法変化の影響が隙間dに及ばず、昇降動の際に干渉等の不具合が生じない。
【0022】
前記第2、第3分割レール2b、2cは、レール方向に沿ってスライド自在且つ高さ調整自在にされている。
すなわち、図3のA−A線断面図である図4に示すように、前記レール支持部材7は、ジャッキベース12上で高さ調整自在なスライドガイドベース13上に配設されており、スライドガイドベース13のスライドガイド14によってレール方向に沿ってスライド自在とされている。
【0023】
また前記固定レール2aの端部も前記レール支持部材5で高さ調整自在とされ、すなわち、図3のB−B線断面図である図5に示すように、ジャッキベース12上のレール支持部材5が高さ調整自在にされている。
尚、図3の図番15は給電線カバーであり、図4、図5では省略している。
【0024】
ところで、前記隙間x、y、zの間隔は、スペーサ部材としてのスペーサピン16、…で最大量を規制するようにしている。
【0025】
そしてこのスペーサピン16、…は、レール1b、2c、2b、2aの背面側に張出す各張出部材17、…のうち、隣接する張出部材17、17(図3、図4、図5)同士を連結すべく取付けられ、各ストッパナット18、…によって、所定量以上間隔が開くのを防止するようにしている。
【0026】
因みに、実施形態では、建屋間の最大寸法変化量32mmに13mmの余裕を持たせて合計45mmとし、これを各隙間x、y、zに均等に割り当てて、最大隙間量をそれぞれ15mmに規制するようにしている。
【0027】
以上のように構成した搬送レールの伸縮吸収構造において、建屋間が外気温度の影響により寸法変化しても、各レール1b、2c、2b、2a間の隙間x、y、zによってレールの伸縮が吸収され、レールに無理な応力が作用せず歪等が発生するような不具合を抑制することが出来る。
また、搬送レールの一部に昇降式レールを採用している時も、昇降式レールと固定レールとの接続隙間がなくような不具合がなくなり、例えば電車等がトラブルを起こす事態を抑制出来る。
【0028】
尚、実施形態では分割レールを3本としているが、建屋間の伸縮量等の関係から少なくしても又は多くしても良く、また吸収量が少なくて良い時は、分割レールとして独立させる必要はなく、単に建屋間の接合部附近のレールに隙間を形成するだけも良い。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明の搬送レールの伸縮吸収構造は、請求項1のように、建屋間を横断し、各建屋に取付けられたレール支持部材で支持される搬送レールにおいて、建屋と建屋の接合部附近のレールを複数の分割レールとすることで分割レール間に外気温度に起因する建屋間の寸法変化量を吸収する複数の隙間を形成し、各隙間の大きさを外気温度に起因する建屋間の最大寸法変化量に一定の余裕量を持たせた最大間隔量を均等割りしたため、例えばレールの一部に昇降式レールを採用しているような場合に、昇降式レールと固定レールの接続部の隙間が無くなって干渉するような不具合がなく、また1本の固定レールの場合でも、応力集中、歪等の不具合を避けることが出来る。
【0031】
また請求項3のように、各分割レール間をスペーサ部材で連結すれば、各隙間の間隔を均一にすることが出来、例えば1ヵ所の隙間が極端に大きくなるような不具合を防止出来る。また請求項4のように、一部を昇降式レールとして構成する場合に、この昇降式レールを、同じ建屋内のレール支持部材で支持される分割レールに対して接続可能とすれば、同接続部の隙間に建屋間の伸縮の影響が及ばず、円滑に昇降させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る搬送レールの正面図
【図2】同平面図
【図3】図2の要部拡大図
【図4】図3のA−A線断面図
【図5】図3のB−B線断面図
【図6】建屋間の伸縮を測定した結果図
【図7】従来の搬送レールの説明図
【符号の説明】
1…搬送レール、1a…昇降式レール、1b…第1分割レール、2…搬送レール、2a…固定レール、2b…第2分割レール、2c…第3分割レール、4、5、7…レール支持部材、16…スペーサピン、x、y、z…隙間。
Claims (1)
- 建屋間を横断し、各建屋に取付けられたレール支持部材で支持される搬送レールであって、建屋と建屋の接合部附近のレールを複数の分割レールとすることで分割レール間に外気温度に起因する建屋間の寸法変化量を吸収する複数の隙間を形成し、各隙間の大きさを外気温度に起因する建屋間の最大寸法変化量に一定の余裕量を持たせた最大間隔量を均等割りし、また、前記建屋のうちのいずれか1ヵ所の建屋内の搬送レールを昇降式レールとし、この昇降式レールを同じ建屋内のレール支持部材で支持される分割レールに対して接続可能とし、他の分割レールを搬送方向に沿ってスライド自在にしたことを特徴とする搬送レールの伸縮吸収構造。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP07489597A JP3973257B2 (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | 搬送レールの伸縮吸収構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JPH10264868A JPH10264868A (ja) | 1998-10-06 |
JP3973257B2 true JP3973257B2 (ja) | 2007-09-12 |
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Family Applications (1)
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JP07489597A Expired - Fee Related JP3973257B2 (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | 搬送レールの伸縮吸収構造 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3973257B2 (ja) |
-
1997
- 1997-03-27 JP JP07489597A patent/JP3973257B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10264868A (ja) | 1998-10-06 |
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