JP3969709B2 - 液体洗浄料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液体洗浄料及び液体洗浄料の製造方法に関する。さらに詳しくは、真珠光沢を有し、さらさら感を有する液体洗浄料に関する。また、製造時間を大幅に短縮出来る液体洗浄料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体ボディー洗浄料等の液体洗浄料は、脂肪酸石けん、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィン硫酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸塩、ココベタインなどの界面活性剤を含有し、さらさら感がありパール感を有する不透明タイプの洗浄料が好まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
さらさら感を有する液体洗浄料を製造するには、通常は高価な粉末を配合しなければならない。さらに、粉末の洗浄料中の安定性に極めて配慮しながら配合しなければならない。
【0004】
また、パール感を有する不透明タイプの液体洗浄料を製造するには、ジステアリン酸グリコールなどラスター剤が配合される。液体洗浄料の製造においては、ラスター剤を添加し完全に溶解させて冷却しなければならないが、加温攪拌下でのラスター剤の溶解には通常30分〜数時間の時間を必要とする。
【0005】
本発明者等は上述の観点から鋭意研究した結果、界面活性剤に脂肪酸石けんを選択しこれにキャンデリラロウを配合して液体洗浄料を製造すると、驚くべきことに、わずか数分の時間でキャンデリラロウが溶解し、得られる液体洗浄料を室温に冷却すると均一な美しいパール感を呈し、さらには、サラサラタイプの非常に好ましい使用感を有する洗浄料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、脂肪酸石けんと水とを含有する液体洗浄料において、液体洗浄料全量に対して、キャンデリラロウをラスター剤として0.01〜6%(質量百分率)含有し、キャンデリラロウが微結晶状態で分散して真珠光沢を有することを特徴とする液体洗浄料を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、脂肪酸石けんと水とキャンデリラロウとを混合加熱して液体洗浄料を製造する方法において、キャンデリラロウを液体洗浄料に添加するにあたって液体洗浄料を80〜85℃の温度で攪拌し、キャンデリラロウをラスター剤として0.01〜6%(質量百分率)添加し、キャンデリラロウが溶解して液体洗浄料が透明になるまでの所要時間が5分以内であり、透明になるまで溶解された後に液体洗浄料を冷却することによってキャンデリラロウが微結晶状態で分散して真珠光沢を有することを特徴とする請求項1記載の液体洗浄料の製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0009】
本発明に用いる脂肪酸石けんは限定されない。
脂肪酸石けんとは、炭素原子数6〜24の飽和又は不飽和高級脂肪酸のアルカリ塩を意味する。アルカリは、苛性カリ、苛性ソーダ、トリエタノールアミン、N−メチルタウリンなどの脂肪酸石けんに通常使用されるアルカリであれば特に限定されない。
例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸などのカリウム塩が好ましく使用される。混合脂肪酸のヤシ油も好ましく使用される。
通常、本発明の洗浄料を製造する際には処方中にて、各種脂肪酸若しくは混合脂肪酸と、アルカリとを配合して脂肪酸石けんを構成する。
脂肪酸石けんの含有量は限定されず適宜決定される。液体洗浄料全量に対して通常10〜40%(質量百分率)である。
脂肪酸石けんは液体洗浄料中にて水に溶解している。水の液体洗浄料中における含有量は限定されないが、通常30〜70%(質量百分率)である。
【0010】
本発明の液体洗浄料は上記脂肪酸石けんと水とを必須成分として含有する液体洗浄料にキャンデリラロウが配合されたものである。キャンデリラロウとは主に口紅の固化剤に使用される固形ワックスであり植物性ロウである。本発明においては市販品を利用できる。キャンデリラロウの配合量は液体洗浄料に対して0.01〜6%(質量百分率)であり、さらに好ましくは0.1〜2%(質量百分率)である。
【0011】
キャンデリラロウは他の配合成分と加熱混合して液体洗浄料が製造される。キャンデリラロウを配合する際の液体洗浄料の温度は80〜90℃程度であり、攪拌下にキャンデリラロウを配合した液体洗浄料組成物は5分以内に目視により透明となる。また、キャンデリラロウの配合量及び他の配合成分によっても異なるが、通常は80℃の温度下において3分以内で溶解して透明になり、室温(15℃)に冷却すると、均一な真珠光沢を有する不透明タイプの液体洗浄料が得られる。
従来使用されているジステアリン酸グリコール等のラスター剤によって、パール感を発揮させるには加熱攪拌下で30分〜数時間程度の溶解時間が必要であるが、わずか数分の溶解時間でパール感を有する洗浄料が得られるという本発明の効果は極めて驚くべきことである。この驚くべき効果は製造時間を大幅に短縮できるという大きな利点となる。
【0012】
キャンデリラロウは、室温(15℃)での液体洗浄料中にラスター剤の如く微結晶状態で分散し、液体洗浄料全体に美しい真珠光沢すなわちパール感を与えている。真珠光沢とは、液体洗浄料の外観が半透明好ましくは不透明のパール感を有するということである。真珠光沢を有するには、加熱混合されたキャンデリラロウは完全に目視により透明となるまで溶解された後に、液体洗浄料が冷却されなければならない。冷却後にキャンデリラロウは微結晶状態でラスター剤の如く分散し、真珠光沢を与える。
【0013】
本発明者等は、キャンデリラロウ以外の他の油分(例えば、流動パラフィン、スクワラン、ホホバ油、水添ホホバ油、カルナバロウなど)や、液体洗浄料に使用される脂肪酸石けん以外に主剤として使用するその他の界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸塩)についても検討したが、上記効果は、主剤の界面活性剤として脂肪酸石けんと水とを含有する液体洗浄料にキャンデリラロウを配合した場合に見出されている。
【0014】
本発明の液体洗浄料は、従来のラスター剤を使用しなくても容易に美しいパール感を有する。また、従来さらさら感を求めて配合される粉末を実質的に配合しなくてもさらさら感を有する液体洗浄料が製造できるという大きな利点を有する。さらさら感を発揮させる粉末は高価であり、本発明に用いるキャンデリウは製造コスト上においても大きな利点がある。さらに、粉末を配合してさらさら感を発揮させる場合は、粉末の洗浄料中で沈殿を防止しなければならず、安定性の点で困難な課題があるが、本発明においてはそのような心配は全くない。もちろん、本発明の効果を実質的に損なわない範囲内で、例えばアルギン酸カルシウムビーズ等の粉末状原料を配合することも可能ではある。
【0015】
本発明の液体洗浄料には、上記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、洗浄料、化粧料等に通常使用される成分、例えば、増粘剤、薬剤、保湿成分、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、色素、香料等を必要に応じて配合しても良い。
具体的には、プロピレングリコール、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを、起泡性や使用感の点から配合することが好ましい。
また、脂肪酸石けんの助剤として、ラウリン酸タウリン塩、POEラウリルエーテル硫酸塩、ココアンホ酢酸塩、コカミドMEAなどを、助剤として作用するように液体洗浄料全量に対し0.5〜5%(質量百分率)の範囲内で配合してもよい。ただし、起泡洗浄剤として主剤となる界面活性剤は脂肪酸石けんである。
【0016】
各配合成分の配合組成は当業者が通常行う各成分の配合試験により適宜決定され、常法により本発明の液体洗浄料が製造される。
前記キャンデリラロウは液体洗浄料に溶解添加されるが、液体洗浄料を80〜85℃の温度で攪拌し、キャンデリラロウが溶解して液体洗浄料が目視により透明になるまでの所要時間が5分以内であるという製造上の利点を有する。液体洗浄料全量中に6%以下の配合量では80℃攪拌下においてわずか3分以内で透明になり、冷却後に真珠光沢が現れる。
従来のラスター剤の加熱溶解時間は長く、本発明のように極めて短い加熱溶解時間でキャンデリラロウが溶解し、冷却後に真珠状の光沢が出現することは驚くべき効果である。製造上の観点からも、製造時間が大幅に短縮できるという極めて大きな利点を有する。
【0017】
本発明に言う液体洗浄料とは、不透明の流動性のある液状の形態を言い、ペースト状、固体状洗浄料は含まない。キャンデリラロウが室温(15℃)にて液体洗浄料中に微結晶状態で分散して真珠光沢を与える。
本発明の液体洗浄料の用途は特に限定されない。例えば、ディスペンサー容器に充填し、サラサラタイプのボディー用液体洗浄料として好ましく使用される。
【0018】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を説明する。本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。配合量は特に断りのない限り%(質量百分率)である。
【0019】
表1に示す配合成分によりボディー用液体洗浄料を製造し、下記の評価を行った。
「製造時の加熱溶解時間」
液体洗浄料の製造時において、キャンデリラロウ、比較対象物質としてのカルバナロウ、水素添加ホホバ油を添加したときの加熱溶解時間を確認した。80〜85℃の温度範囲で攪拌下に添加したときに、目視により透明になるまでの時間について下記基準で評価する。
○:透明になるまでの時間が5分以内(極めて早い)
△:透明になるまでの時間が5分以上2時間未満(普通)
×:透明になるまでの時間が2時間以上(遅い)
「真珠光沢」
各成分を加熱溶解後に、室温(15℃)に戻したときの液体洗浄料の外観について目視により下記基準で評価する。
○:美しい真珠光沢となる。
△:半透明のうすい真珠光沢となる。
×:透明な外観であり、加熱溶解時と変化がみられない。
「さらさら感」
パネリスト3名により、通常の使用方法で体を洗浄し、タオルドライ後の感触について下記基準で評価する。
○:比較例1と比べ、さらさら感を感じる。
×:使用感に変化は感じない。
評価は3名全員が○の評価をした場合に○と表記しそれ以外は×と表記する。
「流動性」
液体洗浄料をディスペンサー容器に充填し、室温(15℃)での吐出具合について下記基準で評価する。
○:容易に吐出可能。
△:容易ではないが吐出可能である。
×:吐出不可能。
【0020】
【表1】
Figure 0003969709
*1:ヤシ油脂肪酸:ラウリン酸:ミリスチン酸=9:6:5の質量比からなる混合脂肪酸
*2:47%(質量百分率)水溶液
*3:30%(質量百分率)水溶液
*4:30%(質量百分率)水溶液
*5:30%(質量百分率)水溶液
*6:ユーケアポリマーJR−400(ダウケミカル社)
*7:メトローズ65SH−04T(信越化学工業株式会社)
*8:精製キャンデリラワックス(セラリカ野田社)
製造方法:精製水に、プルピレングリコール、エデト酸2Na、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを添加して70℃に加熱し、次に混合脂肪酸を添加溶解後に苛性カリで中和する。その後、80〜85℃の温度範囲に加熱し、ラウリン酸タウリン塩、POEラウリルエーテル硫酸塩、ココアンホ酢酸塩、コカミドMEAを添加し溶解する。続いて、キャンデリラロウ又はカルナバロウ又は水素添加ホホバ油を添加し溶解し、香料を添加溶解後に冷却してボディー用液体洗浄料を得る。
【0021】
本発明の実施例1〜6は、各比較例に対して優れた効果を有している。
キャンデリラロウを0.01%(質量百分率)含有する実施例1は、真珠光沢の効果は完全ではないが、製造時の加熱時間、さらさら感、流動性については優れた効果を有している。
また、キャンデリラロウを3%以上配合すると粘度が高くなりディスペンサー容器での吐出が多少容易ではなくなる場合がある。
キャンデリラロウを0.1〜2%配合した実施例2〜4はすべての点で十分に満足できる効果を有している。
【0022】
以下に、本発明のその他の実施例を挙げる。製造方法は、上記の「表1」の実施例に準じて製造し、キャンデリラロウを添加する際のバッチ温度は80〜85℃に保ち、目視による溶解後に冷却して製造する。いずれもさらさら感があり、真珠光沢を有する液体洗浄料である。
【0023】
Figure 0003969709
【0024】
Figure 0003969709
【0025】
Figure 0003969709
【0026】
【発明の効果】
本発明の効果は以下である。
(1)安定性に問題がある粉末を使用しなくても、さらさら感を有する液体洗浄料を提供できる。
(2)高価な粉末を使用せずにキャンデリラロウを使用するためコスト上のメリットが大きい。
(3)従来のラスター剤を使用しなくても容易に美しいパール感を有する液体洗浄料を提供できる。
(4)製造時間の大幅な短縮が可能である。

Claims (2)

  1. 脂肪酸石けんと水とを含有する液体洗浄料において、液体洗浄料全量に対して、キャンデリラロウをラスター剤として0.01〜6%(質量百分率)含有し、キャンデリラロウが微結晶状態で分散して真珠光沢を有することを特徴とする液体洗浄料。
  2. 脂肪酸石けんと水とキャンデリラロウとを混合加熱して液体洗浄料を製造する方法において、キャンデリラロウを液体洗浄料に添加するにあたって液体洗浄料を80〜85℃の温度で攪拌し、キャンデリラロウをラスター剤として0.01〜6%(質量百分率)添加し、キャンデリラロウが溶解して液体洗浄料が透明になるまでの所要時間が5分以内であり、透明になるまで溶解された後に液体洗浄料を冷却することによってキャンデリラロウが微結晶状態で分散して真珠光沢を有することを特徴とする請求項1記載の液体洗浄料の製造方法。
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