JP3969576B2 - 電磁流量計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁流量計に関し、特に商用電源周波数50/60Hzより低い周波数の交流励磁電流により管内の流体に磁界を印加し、電極から得られた流体の信号起電力を信号処理することにより計測流量を得る電磁流量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
交流励磁電流を用いて管内を流れる流体の流量を計測する電磁流量計では、図7に示すように、商用電源周波数に起因するノイズの影響を低減するものが提案されている(例えば、特開2000−258211号公報など参照)。
この電磁流量計では、励磁部8から励磁コイル(磁気回路)10Dへ交流励磁電流iexを出力することにより、管10C内の流体に磁界を印加し、電極10A,10Bで流体から検出した信号起電力を、HPF1を介してAC増幅部2で増幅した後、サンプルホールド部3でサンプリングし、得られた直流流量信号13を帯域減衰フィルタ4で所定の周波数成分を減衰させた後、A−D変換部5でディジタル情報に変換して演算処理部6で計測流量を算出し、出力部7から流量信号として出力している。
【0003】
図8は、電磁流量計のサンプリング動作を示すタイミングチャートであり、9Cはスイッチング部9からの励磁信号、12はサンプルホールド部3へ入力される交流流量信号である。
また、9A,9Bはスイッチング部9からサンプルホールド部3へ入力されるサンプリング信号であり、交流流量信号12のサンプリング期間(斜線部)を規定している。
【0004】
この場合、サンプリング期間は、その波形安定性から励磁信号9C(交流流量信号12)の各パルスの後縁付近に設けられており、サンプルホールド部3では、このサンプリング期間だけスイッチ3A,3Bをそれぞれ短絡して交流流量信号12を積分し、直流流量信号13として出力する。
なお、交流流量信号12が正側の場合には、スイッチング信号9Aに基づいてスイッチ3Aのみが短絡され、交流流量信号12が負側の場合には、スイッチング信号9Bに基づいてスイッチ3Bのみが短絡される。
【0005】
ここで、交流流量信号12に所定周波数の連続したノイズ、例えば商用電源周波数50/60Hzと等しい周波数のノイズなどが混入した場合には、サンプルホールド部3の動作特性に起因して、ここから出力される直流流量信号13にふらつき61が発生する。
例えば、図8では、流量を一定に保持した場合の交流流量信号12に、この種のノイズが混入している状態を示している。
【0006】
この場合、交流流量信号12には、隣接する各パルス波形のサンプリング期間で、混入したノイズの振幅により、それぞれ誤差d0〜d7が生じる。
この誤差d0〜d7が、サンプルホールド部3によりサンプリングされ、ふらつき61を有する直流流量信号13として出力されるものとなる。
図9は、サンプルホールド部におけるノイズ周波数とふらつきの関係を示す説明図であり、横軸は励磁周波数の倍数でノイズ周波数を示し、縦軸はふらつきの大きさを示している。
【0007】
ここでは、励磁周波数fexと等しいノイズ周波数のノイズが混入した場合に最もふらつきが大きく、励磁周波数fexを中心としてここから離れるにつれてふらつきが減少し、周波数ゼロおよび励磁周波数fexの2倍のノイズ周波数でふらつきが理論上ゼロとなる山型の特性が見られる。
同様にして、励磁周波数の奇数倍、例えば3倍,5倍‥の各ノイズ周波数を中心とし、隣接する偶数倍、例えば2倍,4倍‥のノイズ周波数でふらつきが理論上ゼロとなる山型の特性が繰り返し見られる。
【0008】
したがって、従来の電磁流量計では、サンプルホールド部3の後段に帯域減衰フィルタ4を設け、直流流量信号に含まれる周波数成分のうち、fexを励磁周波数、facを商用電源周波数とした場合、
f=|mfex±nfac|(但し、m,nは正整数)
で示す周波数fの成分を減衰させている。
この構成により、商用電源周波数ノイズの歪みにより発生する高調波成分の影響を抑制でき、スラリ流体が発生するスラリノイズを低減できるとともに、商用電源周波数ノイズに起因してサンプリング後の直流流量信号に発生するふらつきを減衰できるという効果が得られる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の電磁流量計では、商用電源周波数より高い所定の励磁周波数を用いることを前提としているため、電磁流量計の励磁回路(変換器)と磁気回路(検出器)が比較的高価となるという問題点があった。
商用電源周波数より高い励磁周波数、例えば85Hzを採用すると、磁束の立ち上がり時間を極めて速くしなければならないので、励磁回路においては励磁電流の立ち上がりを速くするため励磁電圧を高くする必要がある。このとき、高電圧のままでは励磁電流が立ち上がって安定した後は高電圧がすべて熱となり、変換器が発熱の影響を受けてしまう。
【0010】
これを防止するためには、励磁電流の立ち上がりのときのみ高電圧を印加して、安定した後に低電圧へ切り替える回路構成が必要となる。また、高電圧を取り扱うために電子部品も、大型で高価な高耐圧部品を選定しなくてはならない。
一方、磁気回路も磁束の立ち上がりを速くするためには、磁気応答の速い磁性材料をコアとして選定しなければならず、そのような磁性材料は比透磁率の高いもの、比抵抗の大きいものとなり高価となる。また、金属測定管での渦電流損失の低減も実施する必要があり、それを考慮した測定管の加工が必要となるため高価となる。
【0011】
また、励磁周波数を商用電源周波数に同期させる方式も考えられる。しかし、商用電源周波数には50Hzと60Hzの2種類があるため、50Hz用と60Hz用でそれぞれ除去する周波数の異なる帯域減衰フィルタが必要となるとともに、商用電源周波数に応じた励磁周波数の励磁電流を出力する励磁回路が必要がある。したがって、商用電源周波数に応じた帯域減衰フィルタと励磁回路とを持つ電磁流量計を、各商用電源周波数ごとに2機種別個に製造してもよいが、両商用電源周波数で兼用できない。あるいは2種類の帯域減衰フィルタを設け、商用電源周波数に応じた帯域減衰フィルタと励磁周波数とを切り替えて用いる構成とした場合には、回路規模が大きくなり高価となる。
【0012】
なお、励磁周期の前半期間のサンプリング開始時刻と後半期間のサンプリング開始時刻との時間間隔が50Hz/60Hzの商用電源の各周期の整数倍となる励磁周波数を選択することで、両商用電源の交流ノイズを除去する方式も考えられる(例えば、特開平10−111157号公報など参照)。しかしながら、この方式では励磁周波数を200msの整数倍にせざるを得ないことから、励磁周波数は5Hz,2.5Hz,1.67Hzといった超低周波励磁となり、スラリノイズの影響が無視できなくなる。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、商用電源周波数に起因するふらつきやスラリノイズの影響が問題とならない程度に高精度の流量計測を実現できるとともに、比較的安価で50Hz/60Hzの両商用電源で兼用できる電磁流量計を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による電磁流量計は、所定周波数の交流励磁電流を励磁コイルへ供給することにより管内の流体に磁界を印加し、その流体から検出した信号起電力を増幅してサンプリングし、得られた直流流量信号をディジタル情報に変換して計測流量を算出する電磁流量計であって、商用電源として用いられる第1および第2の商用電源周波数のいずれよりも低い一定周波数の交流励磁電流を前記励磁コイルへ供給する励磁回路と、
前記サンプリングにより得られた直流流量信号に含まれる周波数成分のうち、fexを励磁周波数、fac1を前記第1の商用電源周波数、fac2を前記第2の商用電源周波数とした場合に、次式、f=|m1fex±n1fac1 |=|m2fex±n2fac2 |(但し、m1,m2,n1,n2は正整数)を満たす周波数fの成分を減衰させる帯域減衰フィルタ手段を備えるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施の形態である電磁流量計のブロック図であり、同図において、前述の説明(図7参照)と同じまたは同等部分には、同一符号を付してある。
図1において、検出器10は、所定の交流励磁電流に基づいて管内の流体に磁界を印加し、流体に発生した信号起電力を検出信号として検出出力する回路部、変換器11は、検出器10に対して所定の交流励磁電流を出力するとともに、検出器10からの検出信号を信号処理することにより管内の流量を算出出力する回路部である。
【0015】
検出器10において、電極10A,10Bは被測定流体が流れる管10Cの内壁に対向して配置され、流体に発生した信号起電力を検出する電極、励磁コイル10Dは変換器11からの交流励磁電流に基づいて励磁され、管10C内の流体に磁界を印加するコイルである。
変換器11において、スイッチング部9は、所定クロックに基づいて後述するサンプリング信号9A,9Bおよび励磁信号9Cを生成出力する回路部、励磁部8はスイッチング部9からの励磁信号9Cに基づいて矩形波からなる所定周波数の交流励磁電流を出力する回路部である。
【0016】
ハイパスフィルタ(以下、HPFという)1は、検出器10の電極10A,10Bから得られた検出信号のうち、低周波数成分を減衰させることにより、この検出信号に混入するパルス状ノイズや低周波ノイズを減衰させる回路部、AC増幅部2は、LPF2からの検出信号を交流増幅し、流体流速に応じて振幅が変化する交流流量信号12として出力する回路部、サンプルホールド部3は、スイッチング部9からのスイッチング信号9A,9Bに基づいて、AC増幅部2からの交流流量信号12をサンプリングし、流体流速に応じて直流電位が変化する直流流量信号13として出力する回路部である。
【0017】
帯域減衰フィルタ(以下、BEFという)4はサンプルホールド部3からの直流流量信号13に含まれる、励磁周波数と商用電源周波数との差の周波数成分を減衰させる回路部、A−D変換部5はBEF4からの直流流量信号13を積分しディジタル情報に変換する回路部、演算処理部6はA−D変換部5からのディジタル情報に対して所定の演算処理を実行することにより所望の流量を算出する回路部、出力部7は演算処理部6で算出された流量を所定の信号に変換して出力する回路部である。
【0018】
次に、図1を参照して、本発明の動作について説明する。
なお、本発明によるサンプリング動作のタイミングについては、前述の説明(図8)と同様である。
スイッチング部9からの励磁信号9Cに基づいて、商用電源周波数fac より低い所定周波数fexを有する矩形波の交流励磁電流が変換器11の励磁部8から出力され、検出器10の励磁コイル10Dが励磁される。
【0019】
これにより、励磁コイル10Dが励磁されて、管10C内を流れる流体に対して所定の磁界が印加され、流体の流速に応じた振幅を有する信号起電力が発生する。
この信号起電力は、管10Cの内壁であって対向する位置に設けられた電極10A,10Bにより検出され、検出信号として変換器11に出力される。
変換器11のHPF1では、検出器10から得られた検出信号のうち低周波数成分が減衰して、この検出信号に混入するパルス状ノイズや低周波ノイズが減衰する。
【0020】
続いて、AC増幅部2において、HPF1からの出力が交流増幅され交流流量信号12として出力される。
サンプルホールド部3では、スイッチング部9からのスイッチング信号9A,9Bが示すサンプリング期間(図8参照)に基づいて、AC増幅部2からの交流流量信号12がサンプリングされ直流流量信号13として出力される。
【0021】
なお、サンプリング期間は、その波形安定性から交流流量信号12の各パルスの後縁付近に設けられており、サンプルホールド部3では、このサンプリング期間だけスイッチ3A,3Bをそれぞれ短絡して交流流量信号12を積分し、直流流量信号13として出力する。
また、交流流量信号12が正側の場合には、スイッチング信号9Aに基づいてスイッチ3Aのみが短絡され、交流流量信号12が負側の場合には、スイッチング信号9Bに基づいてスイッチ3Bのみが短絡される。
【0022】
BEF4では、この直流流量信号13のうち、励磁周波数fexと商用電源周波数fac (50/60Hz)との差の周波数成分が減衰する。
ここで、サンプルホールド部3から出力される直流流量信号13のノイズ特性について説明する。
前述(図8参照)のように、交流流量信号12に商用電源周波数のノイズが混入する場合、サンプルホールド部3の動作特性により、直流流量信号13にふらつきが発生する。
【0023】
図2は直流流量信号に含まれるふらつきの周波数特性を示す説明図であり、直流流量信号13のふらつきは、励磁周波数fex(21)のm倍の周波数と商用電源周波数fac (22)のn倍の周波数(m,nは正整数,かつmまたはnのいずれかが1以外)との差の周波数、すなわちmfex−nfac (23),mfex+nfac (24)に発生する。
したがって、図2に示すような周波数特性25,26を有するBEF4をサンプルホールド部3の後段に設けて、直流流量信号13に含まれる差の周波数成分23,24を減衰させることにより、商用電源周波数ノイズに起因して発生するふらつきを減衰させることができる。
【0024】
本実施の形態では、50Hz/60Hzの両商用電源周波数ノイズに起因して発生するふらつきを考慮した周波数成分をBEF4で減衰させている。すなわち、fexを励磁周波数とし、fac1を第1の商用電源周波数(例えば、50Hz)、fac2を第2の商用電源周波数(例えば、60Hz)とした場合、下記の式
f=|m1fex±n1fac1|=|m2fex±n2fac2
を満たす周波数成分fをBEF4で減衰させている。但し、m1,n1,m2,n2はともに正整数である。
これにより、両商用電源周波数ノイズに起因して発生する各ふらつきを減衰させることができる。
【0025】
なお、差の周波数成分24は、差の周波数成分23よりも信号周波数成分(直流とその付近)から離れた高い周波数に位置していることから、一般的なLPFで十分に減衰できる場合も多い。
したがって、差の周波数成分24については、その周波数が励磁周波数fexより高く、後段の積分型A−D変換部5あるいは演算処理部6の処理によりある程度減衰することから、BEF4において差の周波数成分23のみを減衰させるようにしてもよい。
このようにして、BEF4により、直流流量信号13から商用電源周波数ノイズに起因して発生するふらつきが減衰し、A−D変換部5に出力される。
【0026】
A−D変換部5では、BEF4からの直流流量信号13を、その直流電位に対応するディジタル情報として出力する。
演算処理部6では、A−D変換部5を介してサンプルホールド部3からの直流流量信号13がディジタル情報として取り込まれ、所定の演算処理を実行することにより、流体流速から所望の計測流量値を算出し、出力部7で所定の信号に変換して出力する。
【0027】
なお、BEF4の構成については、能動フィルタやディジタルフィルタなどの一般的な構成例が考えられるが、移動平均処理の周波数特性を利用して、BEF4をA−D変換部5により実現してすることにより、BEF4を別体として設ける必要がなくなる。
図3はA−D変換部の構成例を示す説明図であり、(a)は移動平均処理部を用いた例、(b)は電圧−周波数変換部を用いた例を示している。
【0028】
図3(a)では、BEF4からの出力をA−D変換器5Aでディジタル情報に変換し、移動平均処理部5Bにおいて、これらディジタル情報のうち連続する複数個のデータの平均値を順次算出して演算処理部6へ出力される。
したがって、サンプルホールド部3からの直流流量信号13がA−D変換器5Aにより順次ディジタル情報に変換され、さらに、これらディジタル情報が移動平均処理部5Bで、その前または後に連続する複数のディジタル情報と平均化され、もとの直流流量信号13に混入するパルス状ノイズが減衰する。
【0029】
図4は移動平均処理の周波数特性を示す説明図であり、横軸は入力信号周波数fと移動平均時間τとのfτ積を示し、縦軸は出力のレベルを示している。
移動平均時間τとは、順次入力されるディジタル情報において移動平均を行うデータ数分に対応する一定の時間区間のことである。
移動平均処理は、この移動平均時間τと入力信号周波数fとの積fτの整数倍の周波数で、出力レベルが大幅に減衰するという特性を有している。
【0030】
この特性を利用して、移動平均処理を行う時間区間τを選択し、移動平均処理後の出力レベルが大幅に減衰する周波数を、前述したふらつきの周波数成分である差の周波数成分23,24(図2参照)と一致させることにより、直流流量信号13に含まれるふらつきを減衰させることができる。
たとえば、励磁周波数fex=27.5Hz(m=1)で、商用電源周波数fac1=50Hz(n=1)の周波数成分が発生する場合には、低周波数側の差の周波数f(=|mfex−nfac |)=22.5Hzでふらつきが発生する。したがって、移動平均時間τ=0.0444sとすることにより、fτ=1となり、差の周波数f=22.5Hzを大幅に減衰させることができる。
【0031】
なお、図3(b)は、積分型のA−D変換部5を電圧−周波数変換部(以下、V−F変換部という)により構成したものである。
V−F変換部とは、入力信号電圧を所定の時定数で積分し、その積分電圧値に対応する周波数パルスを出力するものであり、前述した移動平均処理と同様の特性を有することが知られている。
【0032】
ここでは、V−F変換部5Cからのパルスを所定期間ごとにカウンタ5Dで計数し、その計数値をディジタル情報として演算処理部6へ出力している。
これにより、前述のA−D変換器5Aおよび移動平均処理部5Bを用いる場合と比較して、V−F変換部5Cを用いた方が回路構成部品が安価となり、変換器11のコストダウンが図れる。
【0033】
また、BEF4をパッシブフィルタで構成した例を図5に示す。
図5はBEFの構成例を示す回路図であり、ここでは、直列接続された容量素子41,42と、直列接続された抵抗素子43,44とが、並列的に接続されており、容量素子41,42の接続点と接地電位との間に抵抗素子45が接続され、抵抗素子43,44の接続点と接地電位との間に容量素子46が接続されて、BEFが構成されている。これら、容量素子41,42,46と抵抗素子43,44,45の値を選択することにより、所望の周波数特性を有するBEF4を構成できる。
なお、これ以外にも、BEFの構成例は多数あり、いずれを用いても同様の効果が得られる。
【0034】
図6に、各商用電源周波数におけるふらつきの周波数成分を示す。
前述したように(図9参照)、直流流量信号13に含まれるふらつきとしては、励磁周波数fexそのもの(m=1)に起因するふらつきのレベルが最も大きく、続いてfexの奇数倍の高調波のうちfexに近い周波数に起因するふらつきほどレベルが大きい。
また、励磁周波数fexより高い周波数成分については、一般的なLPFで容易に減衰でき、これに起因するふらつきも容易に減衰できる。したがって、BEF4では、励磁周波数fexより低い領域で発生しうるふらつきの周波数成分fを減衰させればよい。
【0035】
励磁周波数fex=27.5Hzとした場合、商用電源周波数fac1=50Hzでは、図6(a)に示すように、fexより低い領域で発生しうるふらつきの周波数成分f=|m1fex±n1fac1|として、fexの奇数倍の高調波とfac1の整数倍の高調波とから生じる、22.5Hz(m1=1,n1=1),17.5Hz(m1=3,n1=2),12.5Hz(m1=5,n1=3),7.5Hz(m1=7,n1=4およびm1=13,n1=7),2.5Hz(m1=9,n1=5およびm1=11,n1=6)などのふらつきが生じる。
【0036】
また、商用電源周波数fac2=60Hzでは、図6(b)に示すように、fexより低い領域で発生しうるふらつきの周波数成分f=|m2fex±n2fac2|として、fexの奇数倍の高調波とfac2の整数倍の高調波から生じる、22.5Hz(m2=3,n2=1),17.5Hz(m2=5,n2=2),12.5Hz(m2=7,n2=3),7.5Hz(m2=9,n2=4およびm2=15,n2=7),2.5Hz(m2=11,n2=5およびm2=13,n2=6)などのふらつきが生じる。
【0037】
本実施の形態では、これら50Hz/60Hzの両商用電源で生ずる同一周波数成分fをBEF4で減衰させている。励磁周波数fex=27.5Hzとした図6(a),図6(b)の例では、22.5Hz(m1=1,n1=1,m2=3,n2=1)のレベルが50Hz/60Hzの商用電源のそれぞれにおいて最も大きい。
したがって、周波数成分f=22.5Hzを減衰させるBEF4を設けることにより、商用電源周波数に起因するふらつきやスラリノイズの影響が問題とならない程度に高精度の流量計測を実現できるとともに、新たな回路構成を追加することなく比較的安価で50Hz/60Hzの両商用電源で兼用できる電磁流量計を実現できる。
【0038】
なお、以上の説明では、信号と電源が同じ線路を共用して伝送される方式すなわち2線式の電磁流量計を例にして説明したが、これに限定されるものではなく、信号と電源とが異なる線路で伝送される方式、例えば4線式の電磁流量計であっても本発明を適用でき、前述と同様の作用効果が得られる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、サンプルホールド部3より後段に帯域減衰フィルタ4を設けて、流体流速に応じて直流電位が変化する直流流量信号13に含まれるふらつきの周波数成分、すなわち励磁周波数fexの整数倍m1の周波数と商用電源周波数fac1の整数倍n1の周波数との差の周波数成分|m1fex±n1fac1 |であり、かつ励磁周波数fexの整数倍m2の周波数と商用電源周波数fac2の整数倍n2の周波数との差の周波数成分|m2fex±n2fac2 |である周波数成分fを減衰させるようにしたので、商用電源周波数に起因するふらつきやスラリノイズの影響が問題とならない程度に高精度の流量計測を実現できるとともに、新たな回路構成を追加することなく比較的安価で50Hz/60Hzの両商用電源で兼用できる電磁流量計を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態による電磁流量計のブロック図である。
【図2】 ふらつきの周波数特性を示す説明図である。
【図3】 A−D変換部のブロック構成例を示す説明図である。
【図4】 移動平均処理の周波数特性を示す説明図である。
【図5】 BEFの構成例を示す回路図である。
【図6】 商用電源周波数と励磁周波数との関係を示す説明図である。
【図7】 従来の電磁流量計を示すブロック図である。
【図8】 サンプリング動作を示すタイミングチャートである。
【図9】 サンプルホールド部におけるノイズ周波数とふらつきの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1…ハイパスフィルタ、2…AC増幅部(交流増幅部)、3…サンプルホールド部、4…BEF(帯域減衰フィルタ手段)、5…A−D変換部、5A…A−D変換器、5B…移動平均処理部、5C…V−F変換部(電圧−周波数変換部)、5D…カウンタ、6…演算処理部、7…出力部、8…励磁部、9…スイッチング部、9A,9B…サンプリング信号、9C…励磁信号、10…検出器、10A,10B…電極、10C…管、10D…励磁コイル、11…変換器、12…交流流量信号、13…直流流量信号。

Claims (1)

  1. 所定周波数の交流励磁電流を励磁コイルへ供給することにより管内の流体に磁界を印加し、その流体から検出した信号起電力を増幅してサンプリングし、得られた直流流量信号をディジタル情報に変換して計測流量を算出する電磁流量計であって、
    商用電源として用いられる第1および第2の商用電源周波数のいずれよりも低い一定周波数の交流励磁電流を前記励磁コイルへ供給する励磁回路と、
    前記サンプリングにより得られた直流流量信号に含まれる周波数成分のうち、fexを励磁周波数、fac1を前記第1の商用電源周波数、fac2を前記第2の商用電源周波数とした場合に、下記の式
    f=|m1fex±n1fac1 |=|m2fex±n2fac2
    (但し、m1,m2,n1,n2は正整数)
    を満たす周波数fの成分を減衰させる帯域減衰フィルタ手段を備えることを特徴とする電磁流量計。
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