JP3968404B2 - 履歴型ダンパの累積変位量測定機構および履歴型ダンパの制振機能劣化評価方法、並びに履歴型ダンパ - Google Patents

履歴型ダンパの累積変位量測定機構および履歴型ダンパの制振機能劣化評価方法、並びに履歴型ダンパ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄骨造、鉄筋コンクリート造および鉄骨鉄筋コンクリート造建物などに組み込んだ履歴型ダンパの累積変位量の測定技術、およびそれを使用した履歴型ダンパの制振機能の劣化状況の評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の耐震建築物には、地震時の大きな揺れを吸収する制振部材が建築物の架構内に設けられている。かかる制振部材としては、鋼製弾塑性ダンパ、高減衰オイルダンパ、粘弾性ダンパなど種々の形式のものが開発され使用されている。
【0003】
このうち鋼製弾塑性ダンパは、履歴型ダンパと言われ、一般鋼材の約1/3程度の降伏強度を有する鋼材を使用して、地震時の振動を低降伏点鋼部分で吸収し、建築物に及ぼす振動の影響を減ずるものである。かかる鋼製弾塑性ダンパとしては、ハニカムダンパやアンボンドブレースおよび極低降伏点鋼パネルダンパなどが知られている。
【0004】
極低降伏点鋼パネルダンパなどの履歴型ダンパは、建物の架構内に組み込まれ、地震時にはそれ自体が変形して振動を吸収できるように構成されている。
【0005】
例えば、図13(a)に示すように、柱1や梁2で構成される構面内に間柱3を設け、間柱3の途中に上下に挟まれるように介在させて、極低降伏点鋼パネルダンパ4が組み込まれている。
【0006】
地震時には、図13(b)に示すように、極低降伏点鋼パネルダンパ4が他に先行して塑性化して振動エネルギーを吸収し、建物の応答を抑え、柱1や梁2の損傷を最小限に抑える。極低降伏点鋼パネルダンパ4の支持方法には、図14(c)に示すように、ブレース5を使用した構成もある。
【0007】
上記のように建物の架構内に組み込まれた極低降伏点鋼パネルダンパなどの履歴型ダンパには、地震時の振動吸収時の塑性変形の繰り返しにより、最終的に耐力の低下や破断などの損傷が発生する。これらの損傷は累積変位量と密接に関係しており、累積変位量によってその損傷の状況を推定することができる。
【0008】
地震後に、極低降伏点鋼パネルダンパなどの履歴型ダンパの損傷があるレベルを越えていれば、交換しなければならない。そのため、履歴型ダンパの累積変位量の実態把握は、制振部材としての履歴型ダンパの性能保証上極めて重要なことである。
【0009】
従来、かかる地震時の履歴型ダンパの累積変位量を求めるには、地震応答解析による推定、あるいは時系列変位を測定する地震観測による方法などで対処している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の地震応答解析による推定では、入力地震動を測定しなければならないため、地震観測装置の設置が必要となる。また、解析上、建物をモデル化するため、履歴型ダンパのうち極低降伏点鋼パネルダンパではその極低降伏点鋼パネル部分1枚の変位としてみた場合には、誤差が大きくなるなどの問題点がある。
【0011】
一方、変位計による時系列変位の測定では、測定精度は高いが、測定システムが大掛かりとなり現実的には採用し難いという問題点も指摘されている。
【0012】
本発明の目的は、履歴型ダンパの実際の取り付け状況に則して、その累積変位量を簡単に測定できるようにすることにある。
【0013】
本発明の他の目的は、履歴型ダンパの交換時期などを判断するために、履歴型ダンパの制振機能の劣化状況の評価が簡単に行なえるようにすることにある。
【0014】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0016】
すなわち、本発明の履歴型ダンパの累積変位量測定機構では、地震時において振動吸収を行なう制振機能発現時に、極低降伏点鋼パネルダンパなどの履歴型ダンパの互いに相対変位する部分(例えば、上下に対面する2枚のエンドプレート)の一方の側に、取り付け位置を固定して支持治具を設け、この支持治具に相対変位時の一方向の変位量にのみ応じた距離を移動する回転体などの移動体を設けておく。併せて、上記移動体の移動距離を累積表示させる累積変位量表示部材を設けておく。
【0017】
上記構成では、移動体の移動距離が変位量に応じるように構成されているので、この累積距離が極低降伏点鋼パネルダンパなどの履歴型ダンパの累積変位量を表示することとなる。
【0018】
特に、移動体の移動方向を一方向に規制しているので、変位量が相殺されるような左右方向の相対変位が発生しても移動距離は相殺されず、累積距離は履歴型ダンパがそれまで受けた累積変位量を相殺なしに表示することとなる。
【0019】
なお、上記累積変位量測定機構で測定される累積変位量は、大部分は塑性変位に基づくものであるが、弾性変位をも測定されるため弾性変位量を含んだ累積変位量となる。
【0020】
累積変位量測定機構としては、より具体的には、例えば、極低降伏点鋼パネルダンパなどの履歴型ダンパの上下のエンドプレートを上記構成の相対的に変位する部分として、その一方の側に支持治具を設けておく。さらに、上記構成の移動体をこの支持治具に他方のエンドプレート面上を一方の側にのみ回転できるような回転体に構成し、この回転体と連動して一方向の回転距離のみ累積表示する累積変位量表示部材を設けておけばよい。
【0021】
極低降伏点鋼パネルダンパが、例えば、地震時に図13(b)に略平行四辺形状に模式化して示すように水平変位して変形すると、一方向の変形時にのみ水平方向の変位量に合わせて回転体が回転する。この回転量を累積表示させることにより履歴型ダンパの累積変位量を実測することができる。さらに、この累積変位量から極低降伏点鋼パネルダンパなどの履歴型ダンパの制振機能の劣化状態が評価でき、履歴型ダンパの適切な交換時期の判断が行なえる。
【0022】
また、回転体の累積距離により履歴型ダンパの累積変位量を示すには、回転体の回転方向を規制せずに、一方向の回転距離だけを累積表示できるように累積変位量表示部材側を構成しておいても構わない。
【0023】
また、累積変位量測定機構としては、回転体を使用しない構成も考えられる。
【0024】
例えば、極低降伏点鋼パネルダンパなどの履歴型ダンパの上下に平行に対面するエンドプレートのそれぞれの側から対辺側に向けて、例えばエンドプレートに直交する方向に、それぞれの対辺に届かない程度の長さに支持治具を設ける。
【0025】
この両支持治具に透孔を設けておき、この透孔間に、一方向にのみ挿通移動できるように、例えば棒状に構成した累積変位量表示部材をエンドプレートに平行(水平)に挿通させておく構成でも構わない。
【0026】
履歴型ダンパが地震時に左右に揺れて水平変位すると、両支持治具の透孔間に挿通させられている累積変位量表示部材は、左右の揺れの一方向の揺れに対してのみ透孔間を挿通移動して、履歴型ダンパの累積変位量を示すこととなる。
【0027】
すなわち、棒状の累積変位量表示部材の移動量が、そのまま履歴型ダンパがそれまで受けた一方向に向けての変位量の累積を示すこととなる。
【0028】
このようにして、累積変位量表示部材の表示から、極低降伏点鋼パネルダンパなどの履歴型ダンパがどの程度地震の横揺れなどにより応力を受け、極低降伏点鋼パネルダンパが塑性変位して劣化しているか評価することができる。
【0029】
また、評価に際しては、予め当該履歴型ダンパの累積変位量とせん断力との関係を実験などで求めておけば、実測された累積変位量から、当該履歴型ダンパのせん断座屈発生時などを予知することができ、履歴型ダンパの交換時期を適切に判断できる。
【0030】
また、履歴型ダンパ自体の構成を、上記累積変位量測定機構が当初より一体に組み込まれた構成となるようにしても構わない。
【0031】
また、このように極低降伏点鋼パネルダンパなどの履歴型ダンパ内に累積変位量測定機構を組み込む以外にも、例えば、上記機構を組み込んだ累積変位量装置を構成し、この装置を適宜に履歴型ダンパに取り付けられるようにするなど、履歴型ダンパと別体の累積変位量測定装置を構成しても構わない。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
(実施の形態1)
本実施の形態では、回転体を使用した履歴型ダンパの累積変位量測定機構について説明する。
【0034】
本実施の形態の累積変位量測定機構は、図1に示すように、履歴型ダンパ10の上下のエンドプレート20の一方に支持治具30を取り付け、この支持治具30に移動体40として回転体40aを一方向にのみ回転できるように取り付けて、回転距離を累積表示させることにより、履歴型ダンパ10の累積変位量を知ることができるように構成されている。
【0035】
本実施の形態では、履歴型ダンパ10として、図2に示すような極低降伏点鋼パネルダンパ10aが使用されている。
【0036】
極低降伏点鋼パネルダンパ10aは、水平鉄板からなる上下のエンドプレート20が、エンドプレート20の巾中央部に設けた極低降伏点鋼パネル21と、フランジFとで、略枠体状に形成されている。
【0037】
さらに、極低降伏点鋼パネル21を挟んで両面側には、例えば鉄板などを十字に組んだリブ22が補強用に設けられている。上下に設けたエンドプレート20を使用して、極低降伏点鋼パネルダンパ10aを間柱などに取り付けることができるようになっている。
【0038】
なお、履歴型ダンパ10に使用するダンパは、本実施の形態では、極低降伏点鋼パネルダンパ10を使用しているが、これ以外の形式のものでも構わない。例えば、従来より既知のハニカムダンパのようなダンパを使用することもできる。
【0039】
極低降伏点鋼パネルダンパ10aの極低降伏点鋼パネル21の一方の面側には、図1に示すように、累積変位量測定機構を構成する回転支持治具30と回転体40a(40)とが取り付けられている。
【0040】
支持治具30は、細長い矩形状に形成され、その一端側が上のエンドプレート20a(20)に取り付けられている。エンドプレート20aへの取り付けは、ボルトにより取り付け固定されている。
【0041】
なお、エンドプレート20aへの取り付けに際しては、例えば、溶接固定により取り付けを行なっても構わない。要は、確実に固定取り付けができれば、どのような取り付け方法で行なっても構わない。
【0042】
なお、本実施の形態のようにボルトにより取り付ければ、溶接固定に比べて、支持治具30の再使用が容易に図れる。すなわち、累積変位量から判断して制振機能の経時劣化が大きいと評価され、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの交換が必要となったときでも、支持治具30および回転体40aはエンドプレート20から取り外して、別の極低降伏点鋼パネルダンパ10aに取り付けて再使用することができる。溶接固定の場合には、溶断などが必要となり簡単に再使用が図れない場合も考えられる。
【0043】
本実施の形態では、支持治具30は、上側のエンドプレート20aの下面から鉛直下方に向けて取り付けられている。支持治具30の下側は、図1(a)に示すように、板バネ31を介して、回転体40aが下側のエンドプレート20b(20)面上を回転できるように支持されている。
【0044】
本実施の形態では、板バネ31を介して回転体40aを支持することにより、回転体40aを常に下側のエンドプレート20面上に押し付けている。このように押し付けることにより、回転体40aが下側のエンドプレート20面に多少の上下振動が発生しても、上下動に追従して離れないようにできる。
【0045】
そのため、下側のエンドプレート20b面から回転体40aが離れることによる不要な空回転を防止でき、正確な累積変位量が表示できる。
【0046】
板バネ31の押し付け力は、極低降伏点鋼パネルダンパ10aに上下動が発生しても、回転体40aがエンドプレート20b面上から離れない程度に、且つ極低降伏点鋼パネルダンパ10aが水平変位した場合には、その水平変位に追従して回転体40aの回転が滞ることなく回転できるように設定しておけばよい。
【0047】
また、本実施の形態では、回転体40aの回転周面にはゴムなどの摩擦部材41が薄く貼られている。さらに、回転体40aの周面曲率にほぼ合わせた曲率を設けたツメ状の回転方向規制部材42が、回転体40aの回転周面の上をカバーするようにして設けられている。
【0048】
回転方向規制部材42の先端側内面は、図1(a)に示すように、回転体40aの回転周面の摩擦部材41面に急角度を設けて接触させられている。そのため、回転体40aが時計方向に回転するときは、回転方向規制部材42は回転体40aの摩擦部材41面に突っかからずに回転が許容され、逆に、半時計廻りに回転体40aが回転しようとすると、回転方向規制部材42の先端側が摩擦部材41面に突っかかって回転できないようになっている。
【0049】
また、上記のように、回転方向規制部材42により、回転体40aの回転が規制されているときは、回転体40aはエンドプレート20b面上を滑るようになっている。このようにして、本実施の形態では、回転体40aが一方向(時計方向)にのみ回転できるように構成されている。
【0050】
さらに、回転体40aの正面には、図1(a)に示すように、累積変位量表示部材50が設けられている。累積変位量表示部材50は、本実施の形態では、指針51と目盛52とから構成され、指針51は回転体40aの回転軸に連結されて、回転体40aの累積回転距離を、指針51の先に設けたリング状の目盛52から読み取れるように構成されている。目盛単位は、適宜に設定して構わないが、本実施の形態ではmm単位で読めるように設定されている。
【0051】
また、回転体40aの大きさは、適宜の大きさに設定して構わないが、例えば、回転体40aの円周を回転体40aの最大回転距離より長くなるように設定しておけば、回転軸に連動させた目盛読み取り用の指針は、回転体40aが最大限度まで回転しても1回転を越えることはなく、例えば、指針が実際には2回以上回転しているのに1回転と勘違いするなどの誤った指針読み取りを防ぐことができる。
【0052】
このようにして構成された累積変位量測定機構では、例えば、図3(a)、(b)に示すように、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの紙面右方向への水平変形時の累積変位量を測定することができる。
【0053】
例えば、図3(a)に示すように、地震時に、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの上下の2枚のエンドプレート20に力が加わり、極低降伏点鋼パネルダンパ10aでは、上のエンドプレート20が右方向に、下のエンドプレート20が左方向に相対的に変位する水平変形(以下、かかる変形を正側変形と呼ぶ場合がある。)が発生したとする。
【0054】
この場合には、回転体40aは下のエンドプレート20b面上を時計方向に回転する。回転距離に合わせて累積変位量表示部材50の指針51も、時計廻りに回転し、回転距離に見合った箇所の目盛52を指す。
【0055】
次いで、上記正側変形が発生した後に、図3(b)に示すように、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの上のエンドプレート20aが左方向に、下のエンドプレート20bが右方向に相対的に変位する水平変形(以下、この変形を負側変形と呼ぶ場合がある。)が発生したとする。
【0056】
この場合には、回転体40aと下のエンドプレート20b面との間で、回転体40aを半時計方向に回転させようとする力が働くが、回転方向規制部材42により回転体40aの半時計方向の回転は拘束され、回転体40aは下のエンドプレート20b面上を滑ることとなる。そのため、回転軸に連結された累積変位量表示部材50の指針51は回転せず、正側変形時に示した目盛51を指した状態で止まっている。
【0057】
このようにして、本実施の形態では、極低降伏点鋼パネルダンパ10aが正側変形をする都度、その変位量に合わせて回転体40aが時計方向に回転して、その回転距離の累積が指針51により表示されることとなる。この指針51の指示目盛52を読み取ることにより、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの累積変位量を知ることができる。
【0058】
なお、極低降伏点鋼パネルダンパ10aには塑性変位以外に、弾性変位を受ける場合も考えられる。回転体40aは弾性変位の場合でも時計方向に回転するので、累積変位量には累積塑性変位量と、累積弾性変位量との両方を合わせた変位量が含まれることとなる。
【0059】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態1とは異なる機構の回転体を使用した履歴型ダンパの累積変位量測定機構について説明する。
【0060】
本実施の形態の累積変位量測定機構は、上記実施の形態1とほぼ同様に、図4に示すように、履歴型ダンパ10の上下のエンドプレート20の一方に支持治具100を取り付け、この支持治具100に移動体110として回転体110aを一方向にのみ回転できるように取り付けて、回転距離を累積表示させることにより、履歴型ダンパ10の累積変位量を知ることができるように構成されている。
【0061】
本実施の形態でも、履歴型ダンパ10として、上記実施の形態1と同様に、図2に示すように、水平鉄板からなる上下のエンドプレート20が、エンドプレート20の巾中央部に設けた極低降伏点鋼パネル21と、フランジFとで、略枠体状に形成された極低降伏点鋼パネルダンパ10aが使用されている。
【0062】
かかる構成の極低降伏点鋼パネルダンパ10aの極低降伏点鋼パネル21の一方の面側に、図4に示すように、累積変位量測定機構を構成する支持治具100と回転体110aとが取り付けられている。
【0063】
支持治具100は、細長い矩形状の支持治具100a、100bとから構成されている。
【0064】
支持治具100aは、上記実施の形態1の支持治具30と同様にして、その一端側が上のエンドプレート20aに取り付けられている。エンドプレート20aの下面から鉛直下方に向けて取り付けられた支持治具100aの下端側には、図4(a)に示すように、支持治具100bが斜め下方に向けて、略L型になるように連結させられている。
【0065】
支持治具100bの一端側は、回転体110aの回転軸に連結させられている。一方、支持治具100bの他端側は、図4(b)に示すように、支持治具100aの側面上方に設けた係止部材120との間でバネ130により連結させられている。
【0066】
バネ130により支持治具100bは、その他端側がバネ130方向に引きつけられた状態にされ、支持治具100aとの連結点を支点として、支持治具100bの先端側が下のエンドプレート20b側に向けられている。
【0067】
一方、回転体110aは、一方向にのみ回転が許容される既知機構の回転軸に取り付けられている。かかる回転軸は、回転体110aが下のエンドプレート20b面に多少の上下振動が発生しても、上下動に追従して離れないように、上記支持治具100bの先端側により下のエンドプレート20b面側に押し付けられた状態になっている。
【0068】
そのため、下側のエンドプレート20b面から回転体40aが離れることによる不要な空回転が防止され、正確な累積変位量が表示できることとなる。
【0069】
バネ130の引っ張り力は、極低降伏点鋼パネルダンパ10aに上下動が発生した場合でも、回転体110aがエンドプレート20面上から離れない程度に、且つ極低降伏点鋼パネルダンパ10aが水平変形した場合でも、その水平変形に追従して回転体110aの回転が滞ることなく回転できるように設定しておけばよい。
【0070】
また、回転体110aの正面には、図4(a)に示すように、累積変位量表示部材50が設けられている。本実施の形態では、累積変位量表示部材50は、上記実施の形態1と全く同様に構成しておけばよい。
【0071】
指針51と目盛52とから構成され、指針51は回転体40aの回転軸に連結されて、回転体40aの累積回転距離を、指針51の先に設けたリング状の目盛52から読み取れるように構成されている。
【0072】
また、回転体110aの大きさも、上記実施の形態1と同様に設定すればよい。このようにして構成された本実施の形態の累積変位量測定機構では、例えば、図5(a)、(b)に示すように、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの紙面右方向への水平変形時の累積変位量を測定することができる。
【0073】
例えば、図5(a)に示すように、地震時に、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの上下の2枚のエンドプレート20a、20bに、上のエンドプレート20aが右方向に、下のエンドプレート20bが左方向に相対的に変位するような水平変形(正側変形)が発生したとする。
【0074】
この場合には、回転体110aは、下のエンドプレート20b面上を時計方向に回転して、回転距離に見合った箇所の目盛52を指針51が指す。
【0075】
一方、上記正側変形が発生した後に、図4(b)に示すように、上のエンドプレート20が左方向に、下のエンドプレート20が右方向に相対的に変位する水平変形(負側変形)が発生すると、回転体110aの半時計方向の回転は拘束され、回転体110aは下のエンドプレート20b面上を滑る。
【0076】
このようにして、本実施の形態でも、上記実施の形態1と同様に、極低降伏点鋼パネルダンパ10aが正側変形をする都度、その変位量に合わせて回転体40aが時計方向に回転して、その回転距離の累積が指針51により表示されることとなる。
【0077】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態1または2とは異なり、移動体として回転体を使用しない累積変位量測定機構について説明する。
【0078】
本実施の形態の累積変位量測定機構は、図6に示すように、履歴型ダンパ10の上下のエンドプレート20a、20bの双方から支持治具200を伸ばし、この支持治具200に設けた透孔210間に、棒状の累積変位量表示部材220を一方向にのみ挿通移動できるように挿通させて構成されている。
【0079】
累積変位量表示部材220の挿通距離を読み取ることにより履歴型ダンパ10の累積変位量を知ることができるようになっている。
【0080】
なお、本実施の形態では、累積変位量表示部材220が移動体の役目を兼ねている。
【0081】
本実施の形態でも、履歴型ダンパ10には、上記実施の形態1、2で使用したと同じ図2に示す構成の極低降伏点鋼パネルダンパ10aが使用されている。
【0082】
かかる構成の極低降伏点鋼パネルダンパ10aの上下のエンドプレート20のうち上のエンドプレート20aから、支持治具200a(200)が、鉛直下方に向けて設けられている。併せて、下の水平板20bからは、支持治具200b(200)が、鉛直上方に向けて設けられている。
【0083】
両支持治具200a、200bは、適当な間隔離されて設けられ、両支持治具200a、200bには、図7に示すように、透孔210a(210)、210b(210)が設けられている。支持治具200a、200bのそれぞれの長さは、共に対辺側のエンドプレート20a、20bに届かない程度の長さに設定されている。
【0084】
また、両支持治具200a、200bにあけた透孔210a、210bの位置は、下の水平板20bから同じ高さになるように設定されている。本実施の形態では、薄い短冊状に構成された板面に同じ横巾の透孔210a、210bがあけられている。
【0085】
かかる構成の透孔210a、210b間に、図7に示すように、累積変位量表示部材220が挿通させられている。本実施の形態の累積変位量表示部材220は、断面角形の所定長さの棒状に形成され、その横巾は、上記透孔210a、210bの横巾より僅かに短く設定され、さらにその両側面には矢羽根状の突起230が所定間隔で多数設けられている。
【0086】
突起230の取り付け間隔は、上記要領で薄い板状に構成された支持治具200a、200bの板厚間隔に設定され、板厚単位で累積変位量表示部材220が挿通移動させられ、かつ変位量の読み取り目盛となるように形成されている。
【0087】
また、かかる矢羽根状の突起230は本実施の形態では、弾性材で構成され、累積変位量表示部材220は、透孔210を矢羽根方向には挿通させられるが、その逆方向には矢羽根の返し部分231が透孔210の縁に引っ掛かって挿通できないように構成されている。
【0088】
累積変位量表示部材220が透孔210を挿通移動するときは、弾性材で形成された突起230が少し潰れるようにして透孔210をすり抜けることができるのである。
【0089】
上記構成の突起230を有した累積変位量表示部材220は、本実施の形態では、図7に示すように、矢羽根方向を透孔210aから210bに向けた状態で、両透孔210a、210bに挿通させられている。
【0090】
このように累積変位量表示部材220が挿通させられているので、図8(a)に示すように、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの上のエンドプレート20aが右方向に、下のエンドプレート20bが左方向に相対的に変位するような正側変形が起こると、支持治具200aの矢羽根状の突起230の返し部分231(図7)が、支持治具200bの透孔210bの縁に引っ掛かり、累積変位量表示部材220が支持治具200aと共に右方向に移動しようとするのを阻止する。
【0091】
その一方で、上記のように透孔210b側で一端側を押さえられた累積変位量表示部材220は、透孔210a側では、累積変位量表示部材220に対して支持治具200aは相対的に右側に移動しようとするため、累積変位量表示部材220の両側面に多数設けられた矢羽根状の突起230は、矢羽根方向にけて透孔210aをすり抜けて挿通移動することとなる。
【0092】
累積変位量表示部材220は、図6(a)に示す原位置から、図8(a)に示すように、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの正側変形に見合った変位量分、左側に移動する。
【0093】
次いで、図8(b)に示すように、極低降伏点鋼パネルダンパ10aが負側変形をすると、累積変位量表示部材220は支持治具200aの透孔210aでは、矢羽根状の突起230の返し部分231が透孔210aの縁に引っ掛かり右方向への移動が拘束される。
【0094】
その一方で、支持治具200bの透孔210bでは、累積変位量表示部材220が透孔210bに対して相対的に左方向に、すなわち矢羽根方向に向けて挿通移動させられる。しかし、累積変位量表示部材220の支持治具200aにおける正側変形時の挿通量は変化することはない。この様子を、図8(a)、(b)で示した。
【0095】
このようにして、本実施の形態では、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの正側変形に対してのみ累積変位量表示部材220が両支持治具200a、200bの透孔210a、210b間を挿通移動するので、正側変形、負側変形が交互に発生しても、累積変位量表示部材220は一方向にのみ(本実施の形態では、正側変形に対してのみ)しか移動せず、左右の移動による相殺が発生しないので、その移動量から累積変位量を読み取ることができる。
【0096】
このようにして、累積変位量は、本実施の形態では、図6(a)に示す累積変位量表示部材220の支持治具200aから支持治具200b側の突端迄の長さと、図8(b)に示す累積変位量表示部材220の支持治具200aから支持治具200b側の突端迄の長さの差で表されることとなる。
【0097】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態1で説明した構成の累積変位量測定機構を、建物の架構内に取り付けた履歴型ダンパ10に組み込んで、履歴型ダンパ10の制振機能の劣化状況を評価する方法について説明する。
【0098】
本実施の形態の説明では、履歴型ダンパ10として、上記実施の形態1で使用されていた極低降伏点鋼パネルダンパ10aが使用されている。しかし、前記実施の形態1でも述べたように、履歴型ダンパ10には、極低降伏点鋼パネルダンパ10a以外の構成のダンパを使用しても構わない。
【0099】
本実施の形態では、図9に示すように、建物の架構部の上下の大梁300の間に間柱400を設け、この間柱400の上下の間に極低降伏点鋼パネルダンパ10aを介在させて建物の制振構造が構成されている。
【0100】
極低降伏点鋼パネルダンパ10aは、その上下のエンドプレート20a、20bを、間柱400の極低降伏点鋼パネルダンパ10aの取り付け部のベース410に、ボルト固定により取り付けられている。
【0101】
併せて、支持治具30も、図1に示すように、極低降伏点鋼パネルダンパ10aのエンドプレート20に、前記実施の形態1で述べた要領で、鉛直下方に向けて取り付けられている。支持治具30は、さらに、板バネ31を介して回転体40aに連結されている。
【0102】
回転体40aには、その回転周面に薄くゴムなどの摩擦部材41が貼られ、その回転周面に先端側が接触するようにして回転方向規制部材42が取り付けられている。回転体40aは、図3(a)に示す正側変形時にのみ時計方向に回転して、その累積回転距離が、極低降伏点鋼パネルダンパ10aが受けた正側変形時の累積変位量を指示するようになっている。
【0103】
一方、予め、使用する極低降伏点鋼パネルダンパ10aに関して、累積変位量と極低降伏点鋼パネルダンパ10aとのせん断力との関係を求めておく。
【0104】
本実施の形態では、図2に示すように、極低降伏点鋼パネルダンパ10aにその補強用にリブ22が十字状に設けられている。リブ22は、極低降伏点鋼パネル21の板面を四等分するような十字状に組み合わされている。
【0105】
本実施の形態では、かかる四等分された極低降伏点鋼パネル21の短辺a(図1参照)と、極低降伏点鋼パネル21の板厚との比率(以下、この比率を幅厚比という場合もある。)で、使用する極低降伏点鋼パネルダンパ10aを区別できるようにしている。
【0106】
このようにして種々の極低降伏点鋼パネルダンパ10aについて、座屈発生時の累積塑性変位量と、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの幅厚比との関係を、図10に示すように実験で求めておく。
【0107】
さらに、実験で求めた上記関係に基づき、それぞれの幅厚比における極低降伏点鋼パネルダンパ10aについて、図11に示すように、その累積塑性変位量(mm)とせん断力(tf)との関係を求めておく。図10の白抜き三角印で示した箇所は座屈発生点を示し、黒の三角印はき裂発生点をそれぞれ示している。
【0108】
このようにして、予め求めておいた極低降伏点鋼パネルダンパの累積塑性変位量とせん断力との関係に、前記架構内に組み込んだ極低降伏点鋼パネルダンパ10aの累積変位量測定機構から求められた累積変位量の実測値を照らして、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの制振機能の劣化状況を評価する。
【0109】
すなわち、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの累積変位量が、既に座屈発生点を過ぎているか否か、あるいは、座屈発生点まで間があるか否か、あるいはき裂発生点に近づいているか否かなどを評価する。そして、例えば、累積変位量が座屈発生点からき裂発生点の間に入っている場合には、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの交換をすべきと判断することができる。
【0110】
また、座屈発生までは十分に間がある範囲に累積変位量がある場合には、そのまま架構内に組み込んでおいても構わないと判断できる。
【0111】
従来のように、面倒なコンピュータ入力を駆使する地震応答解析法や、大掛かりな測定システムを構築する時系列変位測定による地震観測法などを使用する場合に比べて、極めて簡単に実際に建物の架構内に組み込んだ極低降伏点鋼パネルダンパ10aの累積変位量を実測して、その極低降伏点鋼パネルダンパ10aの制振機能の劣化状況を速やかに評価して、適切な判断を現場で素早く行なうことができる。
【0112】
なお、上記説明では、間柱400間に極低降伏点鋼パネルダンパ10aを取り付けた状態で、累積変位量測定機構を設けた場合について説明したが、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの組み込みに際しては、従来より行なわれているようにブレース型に組み込んでも構わない。
【0113】
また、本実施の形態では、実施の形態1で説明した構成の累積変位量測定機構を極低降伏点鋼パネルダンパ10aに設けた場合について説明したが、実施の形態2または3の構成の累積変位量測定機構を組み込んだ場合でも同様である。
【0114】
(実施の形態5)
本実施の形態の履歴型ダンパの累積変位量測定機構では、図12に示すように、上のエンドプレート20aから垂下させた支持治具Sと、移動体500の上端側とにそれぞれあけた透孔間にガイドGを挿通させて、このガイドGに沿って一方向にのみ移動できるように移動体500を設け、この移動体500の先端側が、下のエンドプレート20bの面上に平に張った累積変位量表示部材600上に接するように構成されている。
【0115】
ガイドGは、前記実施の形態3の累積変位量表示部材220aと同様に、側面に矢羽根状の突起を有する棒状に構成しておけばよく、移動体500の透孔に挿通されたガイドGと移動体500とは、相対的に矢羽根方向にのみ移動することができる。
【0116】
累積変位量表示部材600は、上記構成の移動体500の先端側より軟らかい材質で薄い板状に形成されている。
【0117】
また、移動体500は、本実施の形態では、二重筒状に構成され、内筒510の先端側が累積変位量表示部材600面上に接するようにしておく。さらに、内筒510は、外筒520内にバネ530を介して二重筒状に差し込んでおき、移動体500に上下の振動がかかっても、次記するように線状痕が形成できる程度に累積変位量表示部材600上に接しながら追従できるようになっている。
【0118】
極低降伏点鋼パネルダンパ10aの上下のエンドプレート20a、20bが相対的に水平変位すると、移動体500の先端側が、累積変位量表示部材600上を少し削りながら線状痕を残しながら一方向にのみ移動することとなる。また、一度着いた線状痕は削り取られて形成されているので消えることがない。
【0119】
このようにして、極低降伏点鋼パネルダンパ10aが左右に相対変位すると、一方向にのみその変位量に応じた長さの線状痕が残ることとなる。極低降伏点鋼パネルダンパ10aが変形する前の移動体500の原位置を当初より明示しておけば、この原位置から線状痕の端までの距離が、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの累積変位量を表示することとなる。
【0120】
かかる構成で、移動体500をボールペンなどのように先端からインクが出る筆記部材に構成し、累積変位量表示部材600上にインクにより線状痕が残るようにしても構わない。
【0121】
さらに、累積変位量表示部材600面上には、線状痕が形成される方向に沿って、累積変位量の表示目盛を設けておき、さらに、座屈発生点などの表示も併せて設けておき、現場での履歴型ダンパの制振機能の劣化状況の評価、および交換時期などの判断が速やかに行なえるようにしておいても構わない。
【0122】
(実施の形態6)
本実施の形態6では、前記実施の形態で説明した構成の幾つかの変形例について説明する。
【0123】
前記実施の形態3では、極低降伏点鋼パネルダンパ10aの正側変形についてのみ累積変位量の測定ができるように構成した累積変位量測定機構について説明したが、例えば、支持治具200に、上下それぞれ逆方向にのみ挿通移動可能な棒状の2本の累積変位量表示部材220を設けておけば、正側変形および負側変形に対応した累積変位量がそれぞれ測定できる。
【0124】
また、回転体を使用した実施の形態1、2でも同様に、正側変形、負側変形に対応した累積変位量をそれぞれ表示させるように構成することができる。例えば、実施の形態1で、回転方向が回転体40aとは逆の半時計方向にのみ回転する回転体を、極低降伏点鋼パネルダンパ10aに回転体40aと共に設けておけば、正側変位および負側変位に対応させた累積変位量をそれぞれ別個に測定することができる。実施の形態2でも同様に行なえる。
【0125】
また、上記実施の形態1、2では、回転体の回転方向を一方向に規制するように構成していたが、回転体の回転方向を規制せずに、回転距離の累積表示が回転体の一方向の回転にのみ対応するように構成しておいても構わない。
【0126】
さらに、この場合には、正側変形に対応した累積回転距離を示す指針と、負側変形に対応した累積回転距離を示す指針とを、例えば色違いにして、同軸状に回転できるように設けておけば、1個の回転体で、正側変形、負側変形に対応した累積変位量を測定することができる。
【0127】
また、極低降伏点鋼パネルダンパ10aに実施の形態1乃至3、5に述べた構成の累積変位量機構を当初より一体に組み込んでおいて、累積変位量測定機構組み込み型ダンパとして構成しておいても構わない。
【0128】
累積変位量測定機構の組み込み要領は、それぞれの実施の形態で説明したと同様に、極低降伏点鋼パネルダンパ10aのエンドプレート20を利用してそれぞれの構成部材を取り付ければよい。
【0129】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0130】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0131】
(1).本発明では、履歴型ダンパのエンドプレートに位置を固定した移動体を設け、履歴型ダンパの変位量に応じて移動体を移動させ、その累積距離により累積変位量を知ることができるので、目視で判断できない履歴型ダンパの損傷状況を目視可能な数値表示とすることができる。
【0132】
(2).本発明では、実際に建物の架構内に組み込まれた履歴型ダンパに累積変位量測定機構を設けておき、その実測値に基づき制振機能の劣化状況を評価できるので、従来のように、面倒なコンピュータ入力を駆使する地震応答解析法や、大掛かりな測定システムを構築する時系列変位測定による地震観測法などを使用する場合に比べて、実際に則した履歴型ダンパの交換時期などの判断を上記評価に基づき速やかに行なえる。
【0133】
(3).本発明では、建物の架構内に設けた履歴型ダンパの制振機能の劣化状況などを、例えば地震後の点検などによって、その累積変位量から簡単に知ることができる。そのため、従来は行いにくかった定期的な履歴型ダンパの塑性化程度の管理が行なえ、履歴型ダンパの耐震性能チェックをして建物の耐震性能の高精度保証ができる。
【0134】
(4).本発明の履歴型ダンパは、累積変位量測定機構を当初より一体に組み込んだ履歴型ダンパであるため、履歴型ダンパを建物の架構内に従来通りに取り付ければ、そのまま累積変位量の測定が可能で、累積変位量機構を後構成する場合に比べて施工時の手間が省ける。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態1で示す累積変位量測定機構を履歴型ダンパに設けた状況の正面図で、(b)はその端面図である。
【図2】極低降伏点鋼パネルダンパの斜視図である。
【図3】(a)は、図1で示す累積変位量測定機構を設けた履歴型ダンパの正側変形時の回転体の状況を示す正面図である。(b)は、図1で示す累積変位量測定機構を設けた履歴型ダンパの負側変形時の回転体の状況を示す正面図である。
【図4】(a)は、本発明の実施の形態2で示す累積変位量測定機構を履歴型ダンパに設けた状況の正面図で、(b)はその端面図である。
【図5】(a)は、図4で示す累積変位量測定機構を設けた履歴型ダンパの正側変形時の回転体の状況を示す正面図である。(b)は、図4で示す累積変位量測定機構を設けた履歴型ダンパの負側変形時の回転体の状況を示す正面図である。
【図6】(a)は、本発明の実施の形態3で示す累積変位量測定機構を履歴型ダンパに設けた状況の正面図で、(b)はその端面図である。
【図7】累積変位量表示部材の支持治具への挿通状況の一部を示す斜視図である。
【図8】(a)は、図6で示す累積変位量測定機構を設けた履歴型ダンパの正側変形時の回転体の状況を示す正面図である。(b)は、図6で示す累積変位量測定機構を設けた履歴型ダンパの負側変形時の回転体の状況を示す正面図である。
【図9】累積変位量測定機構を設けた履歴型ダンパを間柱型に設けた状況を部分的に示す正面図である。
【図10】極低降伏点鋼パネルダンパのせん断力と累積塑性変位の関係を示すグラフである。
【図11】座屈発生時の累積塑性変位と極低降伏点鋼パネルダンパの幅厚比の関係を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態5で示す累積変位量測定機構を履歴型ダンパに設けた様子を示す正面図である。
【図13】 (a)は、極低降伏点鋼パネルダンパを柱と梁とで構成される構面内の間柱に取り付けた状況を示す正面図である。(b)は、極低降伏点鋼パネルダンパが塑性変位した状況を示す正面図である。
【図14】極低降伏点鋼パネルダンパをブレースを使用して、柱の梁で構成される構面内に取り付けた状況を示す正面図である。
【符号の説明】
1 柱
2 梁
3 間柱
4 極低降伏点鋼パネルダンパ
5 ブレース
10 履歴型ダンパ
10a 極低降伏点鋼パネルダンパ
20 エンドプレート
21 極低降伏点鋼パネル
22 リブ
20a エンドプレート
20b エンドプレート
30 支持治具
31 板バネ
40 移動体
40a 回転体
41 摩擦部材
42 回転方向規制部材
50 累積変位量表示部材
51 指針
52 目盛
100 支持治具
100a 支持治具
100b 支持治具
110 移動体
110a 回転体
120 係止部材
130 バネ
200 支持治具
200a 支持治具
200b 支持治具
210 透孔
210a 透孔
210b 透孔
220 累積変位量表示部材
230 突起
231 返し部分
300 大梁
400 間柱
410 ベース
500 移動体
510 内筒
520 外筒
530 バネ
600 累積変位量表示部材
a 短辺
F フランジ
G ガイド
S 支持治具

Claims (3)

  1. 履歴型ダンパの累積変位量測定機構であって、
    前記履歴型ダンパの制振機能発現時に互いに相対変位する部分に設けた前記相対変位時の一方向の変位量にのみ応じた距離を移動する移動体と、
    その移動距離を累積表示する累積変位量表示部材とを有し、
    前記相対変位する部分が、前記履歴型ダンパの上下の2枚のエンドプレートであるとともに、
    前記移動体は、前記上下に対面するエンドプレートに、それぞれの側から対面する前記エンドプレート側に向けて設けた支持治具を介して設けられ、前記支持治具のそれぞれに設けた透孔間に、一方向にのみ挿通移動可能に挿通させた累積変位量表示部材であることを特徴とする履歴型ダンパの累積変位量測定機構。
  2. 履歴型ダンパの制振機能劣化評価方法であって、
    請求項1記載の履歴型ダンパの累積変位量測定機構を用いて、
    前記履歴型ダンパに設けた累積変位量測定機構から累積変位量を実測し、前記累積変位量を、累積変位量とせん断力との関係に照らして、前記履歴型ダンパの制振機能の劣化状況を評価することを特徴とする履歴型ダンパの制振機能劣化評価方法。
  3. 請求項1記載の履歴型ダンパの累積変位量測定機構が、履歴型ダンパに一体に設けられていることを特徴とする履歴型ダンパ。
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