JP3967458B2 - 脱気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は脱気装置に係り、その目的は、脱気効率に優れ、溶存気体量の低い液体を効率良く得ることができ、しかも処理液の濃度変化を最小限に抑えることができる脱気装置を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
半導体メモリやLCD用ガラス基板の製造ラインでは、薬液塗工の際に種々の結果を引き起こす溶存ガスの存在が問題となっている。
このような溶存ガスを除去する方法としては、薬液を真空脱気する方法が知られており、気体透過性に優れたフッ素樹脂製チューブを膜材として使用した脱気装置が提案されている。
このような脱気装置としては、例えば特開昭57−165007号に開示の技術が存在している。特開昭57−165007号開示の脱気装置は、図6に示すように、フッ素樹脂等のプラスチックチューブ(A)内に脱気処理する液体を入れ、チューブ(A)を真空ポンプ等の減圧装置と連通連結された脱気用密閉容器(B)内に収容してなるものである。尚、図中(C)は入液口、(D)は出液口、(E)は減圧装置との接続口である。
また、特開昭60−48104号においては多孔質チューブを使用した脱気装置が提案されている。このような多孔質チューブを使用した脱気装置は、一般的に非多孔質のチューブを使用した装置に比べて単位時間当たりの処理量が大きいか、同一処理量なら脱気効率が高いといった特徴を有している。
【0003】
しかしながら、上記したような従来の脱気装置には以下に述べるような課題が存在した。すなわち、脱気装置の脱気性能は使用する膜材の気体透過性に強く依存するものであるが、プラスチック性の非多孔質チューブを使用した特開昭57−165007号の脱気装置では、チューブの気体透過性が低いため処理効率に限界があり、液体を短時間で大量に処理することができなかった。
更には、このような非多孔質チューブを使用した脱気処置では、被処理液に目視できる程度の大量の気泡が含まれている場合等には脱気が追いつかず、処理後の脱気効果も十分でない場合があった。
【0004】
一方、特開昭60−48104号に代表されるような多孔質チューブを使用した脱気装置は、低真空圧(一般的には、150torr〜100torr以下)で使用した場合、気体だけでなく液体までもがチューブを透過して外部に漏出してしまい、真空ポンプの損傷、薬液の濃度変化、チューブの変質などの様々な弊害を引き起こすという問題があった。
しかしながら、液内の溶存気体量は、飽和溶存気体量をM(mg/L)、真空圧をp(torr)とすると、pM/760以下にはならないため、溶存気体量を下げるためには真空圧をできるだけ(好ましくは20torr以下)に下げる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
つまり、多孔質チューブを使用した脱気装置は、液中の溶存気体量を減らすためには真空圧を下げなければならないが、そうすると薬液の濃度変化が起こり、これを防ぐために真空圧を上げると溶存気体量が多くなってしまうという相反する二つの課題を包含したものであった。
また、非多孔質チューブを使用した脱気装置では、真空圧を下げてもチューブから液体が漏出することがなく薬液の濃度変化は起こらないが、前述した如くチューブの気体透過性が低いため処理効率に限界があり、液体を短時間で大量に処理することができないという課題を抱えていた。
【0006】
本発明は、溶存気体量の減少、薬液の濃度変化の防止、脱気効率の向上といった課題を同時に解決することが可能な脱気装置を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明では、脱気用チューブが1本又は複数本束ねられて形成された脱気エレメントが真空チャンバー内に配設されており、前記脱気用チューブの長さ方向における一部分が酸素、窒素の透過特性において変化の無い多孔質チューブとされ、残りの部分が酸素、窒素に対して異なる透過特性を有する非多孔質チューブ(気体分子に比して孔径が充分に小さい微多孔膜を含む)からなることを特徴とする脱気装置とした。
請求項2に係る発明では、入液口と出液口を備えてなり、該入液口側に脱気用チューブの前記多孔質チューブからなる部分が配設されてなることを特徴とする請求項1記載の脱気装置とした。
請求項3に係る発明では、前記真空チャンバー内が複数の小部屋に分割されてなるとともに、脱気用チューブの前記多孔質チューブからなる部分を含む小部屋の真空圧が他の小部屋よりも高いことを特徴とする請求項1又は2記載の脱気装置とした。
請求項4に係る発明では、前記脱気用チューブがフッ素樹脂から形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の脱気装置とした。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本発明に係る脱気装置で用いられる脱気用チューブは、チューブの長さ方向において、分離係数が1の部分と1より大きい部分を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
分離係数が1の気体透過性チューブ(或いはフィルム)とは、酸素、窒素など分子の大きさ、性質が異なる気体であっても、その透過特性において変化の無いチューブ(或いはフィルム)を指し、一般的な所謂多孔質チューブは殆どこれに含まれる。
一方、分離係数が1より大きい気体透過性チューブ(或いはフィルム)とは、酸素、窒素など分子の大きさ、性質が異なる気体に対しては、異なる透過特性を有するチューブ(或いはフィルム)を指し、一般的な非多孔質チューブは殆どこれに含まれ、また多孔質チューブであっても気体分子に比して孔径が十分小さい、所謂微多孔膜の場合はこちらに含まれる。
【0010】
図1乃至図3は本発明に係る脱気装置で用いられる脱気用チューブの好適な実施形態を示す概略図であり、本発明に係る脱気装置で用いられる脱気用チューブ(1)は、チューブ長さ方向において、分離係数が1のチューブ(2)と1より大きいチューブ(3)が接続部材(4)を介して接続されることにより構成されている。
但し、図示例はあくまでも本発明に係る脱気装置で用いられる脱気用チューブ(1)の一例を示したものに過ぎず、分離係数が1のチューブ(2)と1より大きいチューブ(3)をチューブ長さ方向のどの部分に設けるか、どれくらいの長さで設けるか、何箇所設けるか等については特に限定されない。また、2種類のチューブの接続方法についても特に限定されず、チューブ間の液漏れが発生しない方法であれば適宜の接続手段を使用できる。
【0011】
分離係数が1の部分の脱気用チューブの内径は、好ましくは0.5〜30mm、より好ましくは1〜5mmとされる。これは、内径が0.5mmより小さいと送液の際の圧力損失が大きくなりすぎ、内径が30mmを超えると取扱い性が悪くなる他、チューブ内における気体拡散の影響が大きくなって脱気効率が低下してしまうからである。
また、肉厚については0.01〜2mm、好ましくは0.1〜1mmとされる。これは、肉厚が0.01mmより小さいと、強度が不足し、送液や組み立ての際にチューブが破損する可能性が高いためであり、2mmを超えると気体透過性が悪くなって脱気効率が低下するからである。
また、長さは10cm〜100m、好ましくは30cm〜5mのものが使用される。これは、長さが10cmより短いと脱気効果が殆どなくなり、100mを超えると取扱い性が悪くなる他、送液の際の圧力損失が大きくなり送液が困難となるからである。
【0012】
また、分離係数が1より大きい部分の脱気用チューブの内径は、好ましくは0.5〜10mm、より好ましくは1〜3mmとされる。これは、内径が0.5mmより小さいと送液の際の圧力損失が大きくなりすぎ、内径が10mmを超えると取扱い性が悪くなる他、チューブ内における気体拡散の影響が大きくなって脱気効率が低下してしまうからである。
また、肉厚については0.01〜0.3mm、好ましくは0.05〜0.2mmとされる。これは、肉厚が0.01mmより小さいと、強度が不足し、送液や組み立ての際にチューブが破損する可能性が高いためであり、0.3mmを超えると気体透過性が悪くなって脱気効率が低下するからである。
また、長さは1m〜100m、好ましくは2m〜20mのものが使用される。これは、長さが1mより短いと脱気効果が殆どなくなり、100mを超えると取扱い性が悪くなる他、送液の際の圧力損失が大きくなり送液が困難となるからである。
【0013】
これら2種類の脱気用チューブは、単体で使用してもよいが、脱気処理量を増やすために複数本束ねて使用することが好ましい。複数本で使用する際の具体的な本数については、目的とする処理量によって適宜設定すればよいが、処理量1リットル/分につき、10〜500本、好ましくは20〜100本程度の束が好適に使用される。複数本で使用する場合は、例えばテープ、包帯、紐等を使用して束ねてもよいし、チューブ端部をフッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱接着性を有する樹脂で融着したり、エポキシ樹脂等の熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂で固めたりしてもよい。
【0014】
また、上記した2種類の脱気用チューブの材質としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素樹脂が好適に使用されるがこれらに限定はされず、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンや、複数の材料をポリマーアロイ化或いは積層したもの等についても好適に使用できる。
【0015】
上記した2種類の脱気用チューブは例えば以下のような方法で製造される。
先ず、PTFE粉末と液状潤滑剤をPTFE粉末100重量部に対して液状潤滑剤15〜25重量部の割合で混合する。そして、この混合物をチューブ状に押し出し、次いで液状潤滑剤を加熱除去する。その後、チューブの分離係数を1より大きくする場合には、そのまま焼成、或いは若干延伸して(通常、1.0〜1.8倍程度であるが、樹脂の種類によって倍率は変動する)から焼成する。チューブの分離係数を1とする場合には、上記工程で、液状潤滑剤を加熱除去した後に、延伸(通常、1.6〜4.0倍程度であるが、樹脂の種類によって倍率は変動する)してから焼成する。尚、延伸は一軸で行っても二軸で行ってもよい。
上記液状潤滑剤としては、PTFEを濡らすことができ且つPTFEの分解温度よりも低い温度で抽出、蒸発等により除去できるものを使用する。具体例としてはナフサ、ホワイトオイル等の炭化水素油、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類等を挙げることができる。
尚、本発明において用いられる脱気用チューブの製造方法は必ずしも上記方法には限定されず、例えば脱離可能な固体或いは液体を混合して焼成してから、この固体又は液体を溶解や熱分解等の方法で脱離して得てもよいし、また他の方法を使用してもよい。
【0016】
図4は本発明に係る脱気装置の一実施形態を示す概略図であり、上記したような方法により得られた分離係数が1の脱気用チューブ(2)と、分離係数が1を超える脱気用チューブ(3)は、任意の接続手段によって長手方向に接続されて1本の脱気用チューブ(1)とされた後、図示の如く脱気装置(5)内に配設される。尚、ここでいう脱気用チューブとはチューブ束の概念をも含むものである。脱気装置(5)は、真空チャンバー(6)と該真空チャンバー(6)内に配設される脱気用チューブ(1)とから構成され、入液口(7)、送液口(8)、減圧装置との接続口(9)を備えている。
【0017】
尚、本発明に係る脱気装置(5)においては、脱気用チューブ(1)の真空チャンバー(6)内への接続固定方法は、適宜任意の方法を採用することができる。また、1つの真空チャンバー(6)内に複数セットの脱気用チューブ(1)を配設したり、入液口(7)、出液口(8)、減圧装置との接続口(9)を複数個設けてもよい。
【0018】
真空チャンバー(6)は、金属、プラスチック、ガラス等適宜任意の素材から構成することができるが、耐久性や耐薬品性の点から、金属材料の場合はステンレス鋼を、プラスチック材料の場合はPTFEやPFAなどのフッ素樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等を使用することが好ましい。
【0019】
上記構成からなる脱気装置(5)によれば、一つの装置内に、分離係数が1の脱気用チューブ(2)からなる脱気部と、分離係数が1より大きい脱気用チューブ(3)からなる脱気部とを有しているため、従来の非多孔質チューブのみを使用した脱気装置に比べて処理効率に優れたものとなり、しかも高真空圧で脱気しても液漏れが少ないため、従来の多孔質チューブのみを使用した脱気装置に比べて液中の溶存気体濃度を低くすることができる。
【0020】
尚、脱気用チューブ(1)の真空チャンバー(6)内への配設に際しては、図示の如く、分離係数が1のチューブ(2)を入液口(7)側に配設することが好ましい。その理由は、目に見えるような気泡などが存在する場合、先ずチューブ(2)の部分でこれを有効に除去することができるからである。
【0021】
また、図5に示す如く真空チャンバー(6)内を隔壁(10)により複数の小部屋に分割して、分離係数が1の脱気用チューブ(2)を含む小部屋(61)の真空圧を他の小部屋(62)の真空圧よりも高くする構成とすると、チューブからの液漏れをより効果的に防ぐことが可能となり、液中の溶存気体濃度をより低くすることができ、処理効率を一層向上させることができるため好ましい。
尚、真空チャンバー(6)内の分割形態については、一方の小部屋に分離係数が1の脱気用チューブ(2)の部分が含まれており、他方の小部屋には分離係数が1より大きい脱気用チューブ(3)の部分しか含まれていなければよく、例えば分離係数が1の脱気用チューブ(2)の部分のみが配置された小部屋と、分離係数が1より大きい脱気用チューブ(3)の部分のみが配置された小部屋とに分割する構成としてもよい。
また、分割位置や分割数についても特に限定されず、使用する脱気用チューブ(1)の形態に応じて適宜設定することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例及び比較例を示すことにより、本発明の効果をより明確にする。但し、本発明は以下の実施例により何ら限定されない。
(実施例1)
PTFE粉末(旭ICIフロロポリマーズ製、商品名:フルオンCD123)100重量部に対しナフサ(液状潤滑剤)16重量部を均一に混合し、この混合物を押し出して内径1.1mm、肉厚0.15mmの未焼成チューブを得た。該チューブを150℃の温度で2分間加熱してナフサを除去した後、300℃で5分間加熱乾燥し、さらに380℃で5分間加熱して焼成チューブ(A)を得た。得られたチューブ(A)の内径は1.0mm、肉厚は0.15mm、比重は2.16、分離係数は1.58であった。
【0023】
次に、PTFE粉末(旭ICIフロロポリマーズ製、商品名:フルオンCD123)100重量部に対しナフサ(液状潤滑剤)20重量部を均一に混合し、この混合物を押し出して内径2.1mm、肉厚0.5mmの未焼成チューブを得た。該チューブを150℃の温度で2分間加熱してナフサを除去した後、2.2倍に延伸して延伸チューブを得た。このチューブの両端を固定し、300℃で5分間加熱乾燥し、更に380℃で5分間加熱して焼成チューブ(B)を得た。得られたチューブ(B)の内径は1.9mm、肉厚は0.45mm、比重は1.4、分離係数は1.0であった。
【0024】
長さ3mのチューブ(A)を120本結束してチューブ束(A1)を作製し、長さ50cmのチューブ(B)を30本結束してチューブ束(B1)を作製し、これらチューブ束(A1)とチューブ束(B1)をスウェジロック継手により接続したものを図4に示す如く真空チャンバー(6)内に配設して脱気装置(A)を構成した。
【0025】
(実施例2)
図5に示したような内部が2つに分割されている真空チャンバー(6)を使用し、チューブ束(B1)を小部屋(61)内に、チューブ束(A1)を小部屋(62)内にそれぞれ配置して脱気装置(B)を構成した。
【0026】
(比較例1)
長さ3.5mのチューブ(A)を120本結束してチューブ束(A2)を作製し、このチューブ束(A2)を内部が分割されていない真空チャンバー内に配設して脱気装置(C)を構成した。つまり、この脱気装置(C)は分離係数が1より大きいチューブのみを使用した脱気装置である。
【0027】
(比較例2)
長さ3.5mのチューブ(B)を40本結束してチューブ束(B2)を作製し、このチューブ束(B2)を内部が分割されていない真空チャンバー内に配設して脱気装置(D)を構成した。つまり、この脱気装置(D)は分離係数が1のチューブのみを使用した脱気装置である。
【0028】
(液漏れ試験)
脱気装置(A)〜(D)を使用して、テトラメチルアンモニウムオキサイドハライドの2.4%水溶液の脱気処理を行った。脱気処理に際しては、空気バブリングにより8.0mg/Lの溶存酸素量の同水溶液を調整し、真空圧40torr、処理量100cc/分で脱気処理を行い、処理液の溶存酸素量を溶存酸素計で、処理液の濃度を中和滴定によりそれぞれ求めた。結果を表1に示す。
【表1】
【0029】
表1に示す如く、実施例の脱気装置を使用した脱気処理によれば、比較例1の脱気装置を使用した場合に比べて液中の溶存酸素量を2/3に減少させることが可能となった。
また、比較例2の脱気装置を使用した場合には、溶存酸素量は確かに減少したものの、原液に比べて5%以上の濃縮が起こっており、気泡のみを取り除くという脱気処理の目的から逸脱しているといえる。これに対し、実施例の脱気装置では1%程度の濃縮しか起こっておらず、高真空圧脱気処理による液漏れ防止効果に優れていることが分かる。
【0030】
次に、実施例2の脱気装置においてチューブ束(B1)が配置された小部屋(61)の真空圧を150torrに上げて脱気処理を行った。結果を実施例2’として表1に合わせて示した。表1に示す如く、分離係数が1のチューブ束(B1)が配置された小部屋内の真空圧を他の小部屋よりも高くすることによって、溶存酸素量をあまり増加させることなく濃縮を防ぐことが可能となった。
【0031】
(高精度脱気試験)
脱気装置(A)〜(D)を使用して水の脱気処理を行った。
処理に際しては、空気バブリングにより8.0mg/Lの溶存酸素量の水を調整し、真空チャンバー内の真空圧は、チューブ束(A1)のみからなる部分は10torr、チューブ束(B1)を含む部分は150torrとし(比較例1では10torr、比較例2では150torr、実施例1では150torr、実施例2では小部屋(61)が150torr、小部屋(62)が10torr)、処理量60cc/分で脱気処理を行い、処理液の溶存酸素量を溶存酸素計で測定した。結果を表2に示す。
【表2】
【0032】
表2に示す如く、脱気装置を実施例2の形態、即ち真空チャンバー内を複数の小部屋に分割し、脱気用チューブの分離係数が1の部分を含む小部屋の真空圧を他の小部屋よりも高くすることによって、実施例1及び比較例1、2に比べて高い脱気性能が得られることが分かった。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、脱気用チューブが1本又は複数本束ねられて形成された脱気エレメントが真空チャンバー内に配設されており、前記脱気用チューブの長さ方向における一部分が酸素、窒素の透過特性において変化の無い多孔質チューブとされ、残りの部分が酸素、窒素に対して異なる透過特性を有する非多孔質チューブ(気体分子に比して孔径が充分に小さい微多孔膜を含む)からなることを特徴とする脱気装置であるから、以下に述べる効果を奏する。
すなわち、一つの装置内に、多孔質チューブからなる脱気部と、非多孔質チューブからなる脱気部とを有しているため、従来の非多孔質チューブのみを使用した脱気装置に比べて処理効率に優れたものとなり、しかも高真空圧で脱気しても液漏れが少ないため、従来の多孔質チューブのみを使用した脱気装置に比べて液中の溶存気体濃度を低くすることができる。
また、真空チャンバー内を複数の小部屋に分割して、多孔質チューブを含む小部屋の真空圧を他の小部屋の真空圧よりも高くする構成とすると、チューブからの液漏れをより効果的に防ぐことが可能となり、液中の溶存気体濃度をより低くすることができ、処理効率を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る脱気装置で用いられる脱気用チューブの好適な実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明に係る脱気装置で用いられる脱気用チューブの他の実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明に係る脱気装置で用いられる脱気用チューブの他の実施形態を示す概略図である。
【図4】本発明に係る脱気装置の好適な実施形態を示す概略図である。
【図5】本発明に係る脱気装置の他の実施形態を示す概略図である。
【図6】従来の脱気装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 脱気用チューブ
2 多孔質チューブ
3 非多孔質チューブ(気体分子に比して孔径が充分に小さい微多孔膜を含む)
5 脱気装置
6 真空チャンバー
61 多孔質チューブを含む小部屋
62 多孔質チューブを含まない小部屋
Claims (4)
- 脱気用チューブが1本又は複数本束ねられて形成された脱気エレメントが真空チャンバー内に配設されており、前記脱気用チューブの長さ方向における一部分が酸素、窒素の透過特性において変化の無い多孔質チューブとされ、残りの部分が酸素、窒素に対して異なる透過特性を有する非多孔質チューブ(気体分子に比して孔径が充分に小さい微多孔膜を含む)からなることを特徴とする脱気装置。
- 入液口と出液口を備えてなり、該入液口側に脱気用チューブの前記多孔質チューブからなる部分が配設されてなることを特徴とする請求項1記載の脱気装置。
- 前記真空チャンバー内が複数の小部屋に分割されてなるとともに、脱気用チューブの前記多孔質チューブからなる部分を含む小部屋の真空圧が他の小部屋よりも高いことを特徴とする請求項1又は2記載の脱気装置。
- 前記脱気用チューブがフッ素樹脂から形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の脱気装置。
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