JP3967062B2 - プローブ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体光計測装置用のプローブ装置に係り、特に、生体内の局所的な血液動態変化を計測するために使用して好適な生体光計測装置用のプローブ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体光計測装置として、光トポグラフ装置と呼ばれる計測装置が知られている。この装置は、光照射/検出部を持つプローブを多数配置したプローブ装置を、各プローブが計測部位、例えば、頭部に密着するように取り付けて、各プローブから近赤外線を照射して計測を行うというものである。
【0003】
図15は従来技術によるプローブ装置を被検体の頭部に装着した状態を説明する図、図16はプローブと頭皮との接触状態について説明する図であり、以下、これらの図を参照して従来技術によるプローブ装置について説明する。図15、図16において、201はシェル部、202はプローブ、203は光ファイバー、204はしわ、205は固定ベルトである。
【0004】
従来技術によるプローブ装置は、図15に示すように、被験者の頭部形状に合わせて椀形に形成されたシート材によるシェル部201に、複数のプローブn2を格子状に配置して構成されている。個々のプローブ202は、シェル部201から取り外し可能であり、プローブ202が毛髪等により頭皮との接触が不完全であることがモニタ画面により確認された場合、その部分のプローブ202だけを装着し直すことが可能とされている。このように構成されるプローブ装置は、これを被験者の頭部に装着する場合、被験者の頭部形状の個人差や装着部位の違いにより、必ずしも頭部にフィットするとは限らないので、固定ベルト205をあごに掛けてシェル部201をしっかりと頭部に押し付けるようにして使用される。そして、計測に当っては、各プローブ201から光ファイバー203を介して送られてくる近赤外線を頭部の皮下に向けて照射し、その反射光をプローブ201で受け、光ファイバー203を介して図示しない計測装置本体に送り返す。
【0005】
図16に頭部形状とプローブの接触状況とを示しているが、図16(a)に示す例の場合、頭部曲率とシェル部の曲率とが一致して、全てのプローブが頭皮に接触している。図16(b)に示す例の場合、被験者の頭部の曲率がシェル部の曲率より大きいため、中央部に配置されるプローブが頭皮に接触できない状態になっている。また、図16(c)に示す例の場合、被験者の頭部の曲率がシェル部の曲率より小さいため、周辺部に配置されるプローブが頭皮に接触できない状態になっている。
【0006】
図16には、一軸方向しか示していないので、シェル部201を柔軟な弾性のある材料により構成することにより、いずれの場合もフィットしそうに見える。しかし、シェルプローブは、シェル部201上に前後左右の2次元状にプローブ202を配置して構成されるので、シェル部201に柔軟な材料を使用しても、シェル部201にしわ204が寄ってしまい、全てのプローブを確実に頭皮に接触させることが困難である。これを解決するため、シェル部201をゴムシート等の伸縮性のある材料を用いることが考えられるが、このように構成されたプローブ装置は、プローブ相互間の距離が変わってしまったり、より強い力でシェル部を頭部に押さえ付けなければならないことになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来技術によるプローブ装置は、シェル部が椀形に形成されているが、この椀形形状を頭部形状に完全に一致させることができず、全てのプローブを確実に頭皮に密着接触させることが困難であるという問題点を有している。また、プローブを確実に頭皮に密着接触させるために、固定ベルト205によりしっかりと頭部に押し付けて使用しなければならないため、被験者にあごに掛かるベルトによる痛み、苦痛を感じさせるという問題点を有している。この問題点は、実際の計測に3時間程度の長時間を必要とするため、被験者が苦痛に耐えられない場合も生じさせることになる。
【0008】
また、従来技術によるプローブ装置は、固定ベルトをあご掛けて使用するため、発声を伴う計測を行う場合に、プローブが動いてしまうという問題点を有し、また、プローブの1つ1つを毛を掻き分けながら装着しなければならず、プローブの装着に時間が掛かり、高度な技術も必要であるという問題点を有している。さらに、従来技術によるプローブ装置は、各プローブに直接光ファイバーが取り付けられて、プローブの数だけの光ファイバーが外部に引き出されているので、これらのファイバーが絡み合ってしまう等その操作性が悪いという問題点を有している。
【0009】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、どのような形状を持った頭部にも全てのプローブを容易に頭皮に密着させることができ、プローブが自立的に頭部形状にフィットすることを可能にした形状を有する生体光計測装置用のプローブ装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば前記目的は、生体表面に光を照射する光照射手段と、生体内部を通過して生体表面から出射する光強度を検出する光検出手段とを備える生体光計測装置に用いるプローブ装置において、前記プローブ装置は、その先端に前記光照射手段を備えた複数の光照射プローブと、その先端に前記光検出手段を備えた複数の光検出プローブと、前記光照射プローブと前記光検出プローブとを互いに隣接するような格子状の配列で保持するシェル部とを備え、前記光照射手段と前記光検出手段とは、前記光照射プローブまたは前記光検出プローブの先端に光ファイバー束端面が露出するように配置され、かつ、該光ファイバー束端面が、その高さと位置とを微調整する調整つまみを介して調整可能に前記シェル部に取り付けられていることにより達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による生体光計測装置用のプローブ装置の実施形態を図面により詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明によるプローブ装置を使用する生体光計測装置の構成を示すブロック図であり、本発明によるプローブ装置の説明を行う前に、まず、図1を参照して生体光計測装置について説明する。図1において、1は光源、2は光源用光ファイバー、3a〜3cは光ファイバー連結器、4は光照射用光ファイバー、5は光照射位置、6は被検体、7a、7bは光検出用光ファイバー、8は光ファイバー固定部材、9a、9bは光検出器用光ファイバー、10a、10bは光検出器、11は差動増幅器、12はA/D変換器、13は計算機、14は表示装置、15は局所的に血液動態が変化する領域、16a、16bは光検出用光ファイバーの視野、24a、24bはロックインアンプ、25a、25bは対数増幅器である。
【0013】
図1において、光源1から発せられる光は、図示しないレンズ系を用いて集光されて光源用光ファイバー2に入射する。光源1から発せられる光は、外来起因の雑音を除去するために発振器23により100Hz〜10MHz程度の任意の周波数fで強度変調されている。光源用光ファイバー2は、光ファイバー連結器3aを介して光照射用光ファイバー4と接続されているため、光源1からの光は、光照射用光ファイバー4に伝達され、光照射位置5より被検体6に照射される。用いる光の波長は、生体内の注目物質の分光特性によるが、血液内のHbとHbO2 との濃度から酸素飽和度や血液量を計測する場合には600nm〜1400nmの波長範囲の光の中から1あるいは複数波長選択して用いる。光源1としては、半導体レーザ、チタンサファイアレーザ、発光ダイオード等を用いることができる。被検体6に照射された光は、光検出用光ファイバーの視野16a、16bの領域を通過し、この領域内の血管等の局所的に血液動態が変化する領域15を通過して光検出用光ファイバー7a及び7bに入射する。なお、光ファイバー4、7a、7bは、多数のファイバーが束ねられて構成されたものである。
【0014】
被検体6を通過して出射する光を検出するための2本の光検出用光ファイバー7a及び7bは、被検体6上の異なる2箇所に配置される。図示例では、前述の2本の光検出用光ファイバー7aと7bとは、光照射位置5を対称中心として点対称の2箇所に配置される。光照射用光ファイバー4と光検出用光ファイバー7a、7bは、表面が黒色に塗装された光ファイバー固定部材8により固定されている。また、光照射用光ファイバー4、光検出用光ファイバー7a、7b及び光ファイバー固定部材8は、簡便を期するために光検出プローブとして一体化されており、詳細については後述する。光検出用光ファイバー7a、7bは、光ファイバー連結器3b、3cを介して光検出器用光ファイバー9a、9bに連結されているため、光検出用光ファイバー7a、7bで検出された通過光は、光検出器10a、10bまで伝達され、光検出器10a、10bにより光電変換され、通過光の強度が電気信号の強度として出力される。光検出器10a、10bとしては、例えば、フォトダイオードや光電子増倍管等の光電変換素子を用いることができる。
【0015】
光検出器10aと10bとから出力された通過光強度を表わす電気信号は、それぞれロックインアンプ24a、24bにより光源の光強度変調周波数成分のみが抽出される。ロックインアンプ24aからの出力は、対数増幅器25aで対数変換された後に差動増幅器11の負極に入力され、ロックインアンプ24bからの出力は、対数増幅器25bで対数変換された後に差動増幅器11の正極に入力される。その結果として、異なる2ヵ所の位置での通過光強度の差分信号が、出力信号として差動増幅器11より出力される。差動増幅器11からの出力信号は、逐次A/D変換器12でデジタル信号に変換され、計算機13に取り込まれて処理された後、表示装置14に時系列データとして表示される。
【0016】
前述した例は、光照射用光ファイバー1本と光検出用光ファイバー2本とが光検出プローブとして一体化されているとして説明したが、プローブは、光照射用光ファイバーと光検出用光ファイバーとをそれぞれ複数本設けたプローブ装置として構成されていてよく、また、光検出用光ファイバーからの検出信号が個々に計算機に入力されるようになっていてよい。
【0017】
図2は本発明の実施形態によるプローブ装置のシェル部の形状に対する基本的な考え方を説明する図、図3はシェル部への固定ベルトの取り付けとプローブ装置の被験者の頭頂部への装着状態とを説明する図、図4はプローブ装置の被験者の頭部の各所への装着状態を説明する図、図5は固定ベルトによらないプローブ装置の装着方法を説明する図、図6はプローブの個数の相違によるシェル部の形状の相違を説明する図である。図2〜図6において、206は紐、207は連結器具、501はネット状帽子、502はヘッドバンドであり、他の符号は図15の場合と同一である。
【0018】
一般に、球体の表面を平面に置き換える場合、例えば、地球儀上の地図を平面に置き換える場合、図2(a)、図2(b)に示すように、多円錐図法によって平面状に展開することができる。本発明の実施形態によるプローブ装置は、このような多円錐図法による球体表面の平面への置き換えを応用したものであり、複数のプローブ202を格子状に配置して保持するシェル部201を、図2(c)に示すような形状としたものである。すなわち、シェル部201は、中央部のプローブ202を1つの方向に連結し、連結されたこれらのプローブ202の連結軸に直角方向にあるプローブ202が、連結軸から離れて隣接するプローブ202と切り離されて、連結部から枝状に延びだ部位に位置させられるような形状を有して構成される。
【0019】
前述のような形状を持つシェル部201は、平面でありながら彎曲したときに、どのような球状の形状の上にも容易にフィットすることができるものとなる。この場合に、シェル部201自身は、伸縮することなく、しわができたりすることもない。また、このシェル部201は、球の大きさが異なる場合にも、問題なく球面に密着させることができる。これにより、このようなシェル部201上に格子状に配置される複数のプローブ202は、シェル部201の前述のような性質により、その全てが容易に頭部等の球面上に密着可能となる。また、前述した形状を有するシェル部201は、枝状に延びた複数の部位の方向に2方向から引っ張ることにより、自立的に球状に変形してくる。シェル部201は、前述したような性質を持つので、被検体としての被験者の頭部の曲率が異なるどのような位置に装着された場合にも、全てのプローブ202を頭皮に密着させることができる。
【0020】
シェル部201の枝状に延びた複数の部位の2方向から引っ張るため、シェル部201には、図3(a)に示すように、枝状に延びた複数の部位の先端に紐206を連結し、これらの複数の紐を連結器具207を介して固定ベルト205が取り付けられる。紐206を伸縮性を有するものとすれば、固定ベルト205を単に輪状に構成して、図3(b)に示すように、複数のプローブ202と、これらを保持するシェル部201とにより構成されるプローブ装置を頭部に容易に装着することができ、しかも、全てのプローブ202を頭皮に密着させることができる。
【0021】
被検体としての被験者の頭部の曲率が異なる種々の位置にプローブ装置を装着した状態を図4に示している。図4に示す例は、プローブ202を円盤状のものとして示しているが、プローブ装置全体の構成は、前述したものと同一である。図4(a)に示す例はプローブ装置を側頭部に装着した例、図4(b)に示す例はプローブ装置を前頭部に装着した例、図4(c)に示す例はプローブ装置を後頭部に装着した例である。これらの例は、いずれも、固定ベルト205をあごに掛けるのではなく頭部の周囲に掛けることにより、プローブ装置を装着することができる。また、図4(d)に示す例はプローブ装置を頭頂部に装着した例であり、この場合、固定ベルト205は、あごに掛けられる。図4(a)〜図4(d)に示す例は、組み合わせて使用することができ、これにより、複数の部位を同時に計測することができ、また、全脳に対する計測を行うこともできる。
【0022】
図4ではプローブ装置の頭部への装着を固定ベルトにより行うとしたが、次に、図5を参照して固定ベルトによらない装着方法について説明する。
【0023】
図5(a)に示す例は、頭部に載置したプローブ装置の上からネット状帽子501を被せ、これにより、プローブ装置を頭部に装着するようにした例である。この例によれば、プローブ装置全体に押し付け力が加わることになり、プローブの頭皮への密着性をより向上させることができ、また、固定ベルトを使用する場合のように被験者に違和感を与えることも少なくすることができる。また、後述するように、プローブ202は、頭皮との間に毛髪等が挟まった場合に、その位置を調整することが可能であるが、図5(a)に示す例は、このような場合に、ネットの目を通して容易にその作業を行うことができる。図5(b)に示す例は、頭の側部周囲にヘッドバンド502を装着させ、このヘッドバンド502に前述で説明した固定ベルトを連結してプローブ装置を固定して装着するようにした例である。図5(a)、図5(b)に示す例は、いずれも、被験者が固定ベルトをあごに掛ける必要なくプローブ装置を装着することができるので、長時間にわたる計測の場合にも、被験者苦痛を与えることがなく、また、あごが自由であるので発声をを行いながらの計測も可能となる。なお。ここに説明した2つの例は、組み合わせて使用することができる。
【0024】
前述までに説明した本発明の実施形態によるプローブ装置は、3×3の格子状に配置された9個のプローブを有するものとして説明したが、プローブの数は、これに限らず任意の数とすることができる。図6に示す例は、それらの幾つかを模式的に示した例であり、図6(a)はプローブを5×5とした例、図6(b)はプローブを4×4とした例、図6(c)はこれまでに説明したきたプローブを3×3とした例である。そして、図6(b)に示すプローブを4×4とした例は、中央部に並ぶプローブが存在しないため、中央部の2つの列のプローブを連結して構成している。このような形状としても、前述したと同様に使用することができ、同様な効果を得ることができる。また、プローブ装置を構成するプローブの並べ方は、前述した例に限らず、どのような配列としてもよく、例えば、プローブの縦横の数が異なる配列、列または行のプローブの数が他の列または行と異なる配列等であってもよい。
【0025】
図7は本発明の第1の実施形態によるプローブ装置の形状とプローブの構成を説明する図、図8は本発明の第2の実施形態によるプローブ装置の形状とプローブの構成を説明する図、図9は本発明の第3の実施形態によるプローブ装置の形状とプローブの構成を説明する図であり、以下、これらの図を参照して、本発明の実施形態によるプローブ装置について具体的に説明する。図7〜図9において、701は連結部、702はバネ、703は高さ調整ねじ、704は調整つまみ、705はファイバー束端、706はファイバー保持材である。
図7(a)、図7(b)には、本発明の第1の実施形態によるプローブ装置の上面側を見た斜視図、下面側を見た斜視図を示している。この実施形態は、プローブ202が構成される部分のシェル部201を硬質プラスチック等によりプローブ毎に分割して形成し、プローブが構成される部分の相互間を周囲に蛇腹を形成したゴムチューブ等により形成された連結部701により可橈性を持たせて結合してシェル部201の全体を形成して構成されている。
【0026】
各プローブ202は、図7(c)に示すように、プローブ装置の下面側に突出するファイバー束端705を保持するファイバー保持材706と、該保持材706と共にファイバー束端705を下方に押し付けるバネ702と、ファイバー保持材706の高さを調整する高さ調整ねじ703と、高さ調整ねじの調整とファイバー束端705の位置を微調整する調整つまみ704とを備えて構成されている。このように構成されるプローブ202は、シェル部201から取り外すことができないが、調整つまみ704によりシェル部201の内部で動かすことができ、ファイバー束端705と頭皮との密着が充分でない場合等に、毛髪を掻き分けて調節することができる。
【0027】
なお、後述するが、ファイバー束端705から延びる光ファイバーは、シェル部201の内部を通り、列毎の各プローブ202からの光ファイバーが纏められてシェル部201の外部に導かれる。
【0028】
図8(a)、図8(b)には、本発明の第2の実施形態によるプローブ装置の上面側を見た斜視図、下面側を見た斜視図を示している。この実施形態は、シェル部201全体を、ゴム、エラストマ等のやや軟質の材料により形成し、あるいは、これらのいずれかとプラスチックとの2重成型により形成したもので、全体がシームレスに見えるように構成されている。内部に設けられるプローブの構成は、図7により説明したものと同一であってよい。
【0029】
図9(a)、図9(b)には、本発明の第3の実施形態によるプローブ装置の上面側を見た斜視図、下面側を見た斜視図を示している。この実施形態は、図9(a)、図9(b)に示すように、個々のプローブ202を位置させるシェル部の部位の形状を全体に丸みを持たせてはっきり出すようにし、これらの部位を連結する部分も、前述の丸みに滑らかに繋がるように形成されている。これにより、このプローブ装置は、前述で説明したネット状の帽子501により頭部に装着した場合にも、ネット等にひっかかるようなことを防止することができる。また、この実施形態は、シェル部201の下側半分をシリコンゴム等によるクッション機能を有する材料により形成し、図9(c)に示すように、プローブ202自体をシリコンゴム部901に取り付けている。これにより、プローブ202は、図7により説明した構成からバネ702、高さ調整ねじ703を不要としてプローブ202の部品点数を低減させても、図9(d)に示すように、調整つまみ704だけで、プローブの高さ調整や頭皮への接触調整を行うことができる。
【0030】
図10は各プローブからの光ファイバーのプローブ装置の外部への引き出し方法について説明する図である。
【0031】
各プローブからの光ファイバーを従来技術の場合のように各プローブから直接外部に引き出すようにすると、操作の邪魔になり、また、各ファイバー自体が細いので損傷を受ける場合が生じる。そこで、本発明の実施形態は、各プローブからの光ファイバーを、シェル部の中にはわせて配線し、束ねてから外部に導出するようにしている。
【0032】
図10(a)に示す例は、プローブの1列毎に光ファイバーを束ねて外部に導出し、外部で複数の各列から導出された光ファイバーの束をさらに束ねるようにした例である。また、図10(b)、図10(c)に示す例は、全てのプローブからの光ファイバーを全てシェル部内部で束ねて外部に導出するようにした例である。図10(b)、図10(c)に示した例は、外部への光ファイバーの導出位置が相違するだけで、基本的に同一である。
【0033】
前述で説明した本発明の各実施形態によるプローブ装置は、複数備えられるプローブが、相互に隣り合うものが光照射用、光検出器用として使用される。このため、図1により説明した光照射用光ファイバー4、光検出用光ファイバー7a、7bは、それぞれ、前述した本発明の各実施形態によるプローブ装置のプローブ202を構成するものであり、また、光ファイバー固定部材8は、シェル部201に相当する。前述したように、各プローブ202は、光照射用、光検出器用として独立に使用されるので、本発明の各実施形態は、各プローブが光照射用として使用されるものであるか、光検出器用として使用されるものであるかが目視によりすぐに判るように、各プローブの調整つまみ704の上面が異なる色とされている。例えば、光照射用を赤色とし光検出器用を黄色とする等である。
【0034】
そして、各プローブは、光照射用と光検出器用との各ファイバーのファイバー束端の相互間の距離がある一定の距離以下にならないように使用する必要がある。このため、前述で説明した本発明の各実施形態によるプローブ装置は、小さい曲率を持つ頭部に装着され、プローブを囲む部分のシェル部が相互に接触する状態になった場合にも、各プローブのファイバー束端相互間の距離が前述した一定の距離以下とならないように、プローブを囲む部分のシェル部が形成されている。前述の一定の距離は、大人用の場合約30mmであり、子供用の場合約15mmである。
【0035】
図11は図1に示す生体光計測装置に本発明の実施形態によるプローブ装置を使用して計測を行う状況を説明する図であり、以下、これについて説明する。
【0036】
図11(a)において、半導体レーザーによる光源からの近赤外線領域の光は、光ファイバーを介して、光照射用として使用されるプローブに送られて、そのファイバー束端から頭部に照射される。そして、隣接する光検出器用として使用されるプローブのファイバー束端から頭内部を通った光が入力され、光ファイバーを通ってフォトトランジスタによる光検出器10入力される。ここで、検出された光は電気信号に変換され、この電気信号が増幅器11’、A/D変換器12を介してPC等による計算機13に入力されて処理される。
【0037】
本発明の実施形態によるプローブ装置を使用する場合における計測領域と、複数のプローブの使い分けとを図11(b)に示している。この例では、プローブ装置に4×4の16個のプローブが配置され、丸印で示す8個のプローブを光照射用として使用し、四角印で示す8このプローブを光検出器用として使用するとしている。そして、この例の場合、図11(b)に網掛けにより示している部分が被計測領域となり、頭部内の脳における血流の状況等を観測することができる。
【0038】
図12は図1に示す生体光計測装置に本発明の実施形態によるプローブ装置を使用し、プローブのファイバー束端から頭皮部を照明可能とする構成を説明する図であり、以下、これについて説明する。
【0039】
プローブ装置は、被計測部である頭部に装着した際に、各プローブのファイバー束端と頭皮との間に毛髪等が挟まらないように、毛髪の掻き分け作業を行わなければならない。このためには、ファイバー束端の近傍を容易に目視することが可能であることが必要である。図12に示す例は、このため、ファイバー束端から頭皮部を照明可能としたもので、図12(a)に示すように、図11(a)に示す構成に白色光の光源121を設け、また、各プローブに接続されているファイバーの途中に光結合器122を設けたものである、そして、前述の白色光は、光源121に接続された光ファイバーと光結合器122とを介して各プローブに接続されているファイバーに注入される。これにより、白色光の光源121からの白色光は、各プローブのファイバー束端から頭皮部分を照射して照明することができる。なお、この場合、白色光を注入するプローブのファイバーは、光照射用、光検出器用の全てである。作業者は、プローブの調整つまみ704の近傍にプローブのファイバー束端を見通せるように設けた穴123からファイバー束端の部分を見ながら調整つまみ704を動かして、毛髪の掻き分け作業、ファイバー束端の高さ調整の作業等を容易に行うことができ、あるいは、穴123にピンを挿入して毛髪の掻き分け作業を行うことができる。
【0040】
図12に示す例は、白色光の光源121をUV(紫外線)光源に置き換えることにより、各プローブのファイバー束端のUV殺菌を行うことができる。
【0041】
図13は図1に示す生体光計測装置に本発明の実施形態によるプローブ装置を使用し、プローブのファイバー束端が頭皮に密着していることをプローブの位置で確認可能とする構成を説明する図であり、以下、これについて説明する。
【0042】
図1に示す生体光計測装置は、各プローブのファイバー束端の頭皮への密着状況をリアルタイムで検知することができる。通常、この検知情報は、計算機13の表示装置14に表示させているが、図13に示す例は、この検知情報をプローブの近傍に表示することができるようにしたものである。すなわち、この例は、図13(a)、図13(b)に示すように、各プローブの近傍にファイバー束端が頭皮への密着しているか否かを示すLED131を設け、計算機13が持つ密着状況の情報をプローブ装置まで導いて、各LED131によりファイバー束端の頭皮への密着状態を表示するようにしたものである。
【0043】
例えば、計算機13は、各プローブのファイバー束端が頭皮に充分に密着されていない場合に、対応する位置にあるLEDが発光するように制御する。これにより、作業者は、どの位置のプローブにおけるファイバー束端が頭皮に充分に密着していないかを一目で知ることができ、これにより、容易にそのプローブのファイバー束端を密着させる作業を行うことができる。なお、LED131からの光は、ファイバー束端の照明として使用することができる。
【0044】
前述までに説明した本発明の各実施形態によるプローブ装置は、計測装置との間を光ファイバーにより接続して使用するものであったが、本発明は、プローブ装置と計測装置との間を有線または無線を使用した電気信号により接続することもできる。
【0045】
図14はプローブ装置と計測装置との間を有線または無線を使用した電気信号により接続した例を接続する図である。
【0046】
図14(a)に示す例は、プローブ装置内の各プローブに近赤外線発光用のLED141とフォトトランジスタ10とを設け、フォトトランジスタ10により検出された信号をケーブルを介して計測装置に送信するように構成した例である。この例の場合、図示していないがLED141の駆動用の電源ラインが別途必要となる。このようなプローブ装置によれば、光ファイバーを使用することなく計測を行うことができ、プローブ装置の装着時の作業性の向上を図ることができる。なお、この例は、光照射用または光検出器用のいずれか一方のみを光ファイバーとすることもできる。
【0047】
図14(b)に示す例は、プローブ装置内の各プローブに近赤外線発光用のLED141とフォトトランジスタ10とを設けると共に、プローブ装置内にフォトトランジスタ10により検出された信号を増幅するアンプ142、A/D変換器143及び無線送信装置144を設け、フォトトランジスタ10により検出された信号をディジタル化して計測装置に送信するように構成した例である。この場合、計測装置には、無線受信装置145を設ける必要がある。この例の場合、プローブ装置の内部あるいは外付けでプローブ装置内のLED141、アンプ142、A/D変換器143、無線送信装置144を駆動するためのバッテリーを備えることにより、被験者は、プローブ装置を装着したまま自由に動くことができ、例えば、運動をしながらの脳機能の計測を容易に行うことが可能となる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、複数のプローブを自立的に頭部形状にフィットさせることができ、どのような形状を持った頭部にも全てのプローブを容易に頭皮に密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプローブ装置を使用する生体光計測装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態によるプローブ装置のシェル部の形状に対する基本的な考え方を説明する図である。
【図3】シェル部への固定ベルトの取り付けとプローブ装置の被験者の頭頂部への装着状態とを説明する図である。
【図4】プローブ装置の被験者の頭部の各所への装着状態を説明する図である。
【図5】固定ベルトによらないプローブ装置の装着方法を説明する図である。
【図6】プローブの個数の相違によるシェル部の形状の相違を説明する図である。
【図7】本発明の第1の実施形態によるプローブ装置の形状とプローブの構成を説明する図である。
【図8】本発明の第2の実施形態によるプローブ装置の形状とプローブの構成を説明する図である。
【図9】本発明の第3の実施形態によるプローブ装置の形状とプローブの構成を説明する図である。
【図10】各プローブからの光ファイバーのプローブ装置の外部への引き出し方法について説明する図である。
【図11】図1に示す生体光計測装置に本発明の実施形態によるプローブ装置を使用して計測を行う状況を説明する図である。
【図12】プローブのファイバー束端から頭皮部を照明可能とする構成を説明する図である。
【図13】プローブのファイバー束端が頭皮に密着していることをプローブの位置で確認可能とする構成を説明する図である。
【図14】プローブ装置と計測装置との間を有線または無線を使用した電気信号により接続した例を接続する図である。
【図15】従来技術によるプローブ装置を被検体の頭部に装着した状態を説明する図である。
【図16】プローブと頭皮との接触状態について説明する図である。
【符号の説明】
1 光源
2 光源用光ファイバー
3a〜3c 光ファイバー連結器
4 光照射用光ファイバー
5 光照射位置
6 被検体
7a、7b 光検出用光ファイバー
8 光ファイバー固定部材
9a、9b 光検出器用光ファイバー
10a、10b 光検出器
11 差動増幅器
12 A/D変換器
13 計算機
14 表示装置
15 局所的に血液動態が変化する領域
16a、16b 光検出用光ファイバーの視野
24a、24b ロックインアンプ
25a、25b 対数増幅器
201 シェル部
202 プローブ
203 光ファイバー
204 しわ
205 固定ベルト
206 紐
207 連結器具
501 ネット状帽子
502 ヘッドバンド
701 連結部
702 バネ
703 高さ調整ねじ
704 調整つまみ
705 ファイバー束端
706 ファイバー保持材
Claims (4)
- 生体表面に光を照射する光照射手段と、生体内部を通過して生体表面から出射する光強度を検出する光検出手段とを備える生体光計測装置に用いるプローブ装置において、
前記プローブ装置は、その先端に前記光照射手段を備えた複数の光照射プローブと、その先端に前記光検出手段を備えた複数の光検出プローブと、前記光照射プローブと前記光検出プローブとを互いに隣接するような格子状の配列で保持するシェル部とを備え、
前記光照射手段と前記光検出手段とは、前記光照射プローブまたは前記光検出プローブの先端に光ファイバー束端面が露出するように配置され、かつ、該光ファイバー束端面が、その高さと位置とを微調整する調整つまみを介して調整可能に前記シェル部に取り付けられていることを特徴とするプローブ装置。 - 請求項1記載のプローブ装置において、
前記光照射手段は、光ファイバーを介して光源と連結されていることを特徴とするプローブ装置。 - 請求項1記載のプローブ装置において、
前記光照射手段は、光源を備えていることを特徴とするプローブ装置。 - 請求額1、2または3記載のプローブ装置において、
前記シェル部は、複数の前記光照射プローブと前記光検出プローブとを一方向に連結する連結軸部と、前記一方向に連結する連結軸部に対して直角方向に連結する連結軸部とから構成されていることを特徴とするプローブ装置。
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