JP5023921B2 - ホルダ及びこれに用いる光生体測定装置 - Google Patents
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Description
そこで、ヘモグロビンの濃度が生体内部の酸素代謝機能に対応することを利用することにより、光を用いて生体内部を簡便に無侵襲で測定する生体測定方法が知られている。ヘモグロビンの濃度は、可視光から近赤外領域までの波長の光を生体に照射することにより、生体を透過して得られる光の量から求められる。
NIRSは、被検体の頭蓋表面上に配置した送光プローブにより、脳に近赤外光を照射するとともに、頭蓋表面上に配置した受光プローブにより、脳から放出された近赤外光の光量を検出するものである。近赤外光は、皮膚組織や骨組織を透過し、かつ、血液中のオキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビンにより吸収される。よって、NIRSを用いることにより、脳の測定部位のオキシヘモグロビン濃度、デオキシヘモグロビン濃度、さらにはこれらから算出される全ヘモグロビン濃度を求めることができる。また、NIRSで全ヘモグロビン濃度の時間的な変化から脳活動を測定することにより、得られた脳活動データ(賦活データともいう)に平均化処理等の画像処理、マッピングを実行させて画像化することも行われている。
送光プローブ12が被検体の頭蓋表面上の送光点Tに押し当てられるとともに、受光プローブ13が被検体の頭蓋表面上の受光点Rに押し当てられる。そして、送光プローブ12から光を照射させるとともに、受光プローブ13に頭蓋表面から放出される光を検出させる。このとき、光は、頭蓋表面上の送光点Tから照射された光のうちで、バナナ形状(測定領域)を通過した光が、頭蓋表面上の受光点Rに到達する。これにより、測定領域の中でも、特に、送光点Tと受光点Rとを被検体の頭蓋表面に沿って最短距離で結んだ線Lの中点Mから、送光点Tと受光点Rとを被検体の頭蓋表面に沿って最短距離で結んだ線の距離の半分の深さL/2である被検体の部位S(測定部位)の受光量情報(オキシヘモグロビン濃度、デオキシヘモグロビン濃度、さらにはこれらから算出される全ヘモグロビン濃度)が求まるとしている。
そこで、頭蓋表面の曲率の差異があっても容易に対応可能にするものとして、送光プローブ及び受光プローブが保持される保持部を頭蓋表面に格子状に配置するとともに、保持部を互いに所定の範囲内で伸縮性を示す連結部で連結し、さらに、所定の角度内で連結部の回転可変性を有するホルダが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、椀形状の成型ホルダを使用して、成型ホルダが頭蓋表面に密着しなかった場合に、貫通孔に挿入されている送光プローブや受光プローブの先端だけを定位置から伸ばして頭蓋表面と接触させることも考えられるが、送光プローブや受光プローブは、細長い円柱形状をしているため、頭蓋表面と一時的に接触することはできるが密着することはできず、被検体が動いたときには、送光プローブや受光プローブが測定対象位置からずれることがあるという問題が発生する。さらに、頭蓋表面には毛髪が存在するため、毛髪を避けて送光プローブや受光プローブを頭蓋表面に接触させなければならないが、送光プローブや受光プローブの先端だけを定位置から伸ばして頭蓋表面と接触させる際には、1本1本の毛髪を掻き分ける作業が発生する。
そこで、本発明は、送光プローブと受光プローブとの間隔を変化させたり、送光プローブや受光プローブの先端だけを伸ばしたりすることもなく、様々な曲率を有する面や凹凸を有する面に対して密着することができるホルダ及びそれを用いた光生体測定装置を提供することを目的とする。
そして、本発明のホルダでは、測定対象面と密着しない場合には、送光プローブや受光プローブが固定されるソケット部品が測定対象面に向けて伸びる機構を用いる。この機構を実現するために、位置調整部品が、ソケット部品が挿入される距離を変化させて固定可能とする固定機構を有する。これにより、位置調整部品は、ソケット部品の長手方向の所望位置でソケット部品と固定される。例えば、位置調整部品が、ソケット部品の長手方向で下部の位置から上部の位置となるようにソケット部品に固定されたときには、ソケット部品は下方向により突出したものとなる。
このように測定対象面に向けて伸びる機構を有するソケット部品の内側に、送光プローブや受光プローブを挿入して固定する。これにより、送光プローブや受光プローブとともに、ソケット部品も測定対象面と接触させることになるので、ソケット部品により送光プローブや受光プローブと測定対象面とを密着させることができる。さらに、ソケット部品が毛髪等を押さえる役割を果たすので、送光プローブや受光プローブを頭蓋表面と容易に接触させることができる。
また、本発明のホルダは、前記接続部品は、2個の挿入部を有し、両端に挿入部がある一の字形状であり、複数個の接続部品の挿入部が1個の位置調整部品の顎部と1個のナット部品との間に多層に重ねて挟みこまれることで、一の接続部品と他の接続部品とが上方から見て位置調整部品を軸として所望角度を形成するように固定されるようにしてもよい。
本発明のホルダによれば、様々な曲率を有する面が、凹凸を有する面を有していても、測定対象面に対して密着することができる。
さらに、本発明のホルダは、前記ソケット部品の底部は、測定対象面と密着可能とする密着機構を有するようにしてもよい。
そして、本発明の光生体測定装置は、上述したようなホルダと、先端から光を照射する送光プローブと、先端から光を受光する受光プローブと、前記送光プローブ及び受光プローブに対して光の送受光を制御する制御部とを備えるようにしてもよい。
光生体測定装置1は、被検体の頭蓋表面上に装着するためのホルダ11と、送光プローブ12と導光路(図示せず)により接続される発光部2と、受光プローブ13と導光路(図示せず)により接続される光検出部3と、光生体測定装置1全体の制御を実行する制御部(コンピュータ)20とにより構成される。
ホルダ11は、8個の送光プローブ12と、8個の受光プローブ13と、送光プローブ12や受光プローブ13を固定する16個のソケット部品33と、24個の接続部品31と、16個の位置調整部品34と、16個のナット部品32と、装着具14とを備える。
受光プローブ13も、送光プローブ12と同様な上端部が少し大きくなった細長い円柱形状をしている。そして、受光プローブ13の上端部は、光ファイバ等の導光路を介して光検出部3と接続され、その下端部で光を受光するようになっている。
なお、上記ソケット部品の本体部及び顎部を構成する材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール等が挙げられる。
また、上記ソケット部品の底部を構成する材質としては、頭蓋表面と密着できるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、スポンジ等が挙げられる。
これにより、ソケット部品33の内側に送光プローブ12を挿入することにより、ソケット部品33と送光プローブ12とを固定することになる。このとき、底部33cの底面と、送光プローブ12の下端面とが同一平面となるように固定する。よって、送光プローブ12とともに底部33cも頭蓋表面と接触させることになるので、底部33cにより頭蓋表面と密着させるようになっている。さらに、底部33cが毛髪等を押さえる役割を果たすので、送光プローブ12をソケット部品33の内側に単純に挿入することで、送光プローブ12を頭蓋表面に接触させることができる。
なお、送光プローブ12と同様に受光プローブ13もソケット部品33の内側に挿入することにより、ソケット部品33と受光プローブ13とを固定することになる。
上記位置調整部品を構成する材質としても、特に限定されるものではないが、ソケット部品の本体部及び顎部を構成する材質と同様に、例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール等が挙げられる。
これにより、位置調整部品34の内側にソケット部品33をネジ機構を用いて挿入することにより、ソケット部品33を固定することになる。このとき、ネジ機構(固定機構)により位置調整部品34の内側にソケット部品33が挿入される距離を変化させることができるので、位置調整部品34がソケット部品33の長手方向(上下方向)の所望位置に来るようにして、位置調整部品34とソケット部品33とを固定する。例えば、図5(a)に示すように、ソケット部品33の本体部33aの長手方向の下部の位置で位置調整部品34とソケット部品33とを固定したときには、ソケット部品33は位置調整部品34から下方向にほとんど突出したものとならないが、一方、図5(b)に示すように、ソケット部品33の本体部33aの長手方向の上部の位置で位置調整部品34とソケット部品33とを固定したときには、ソケット部品33は位置調整部品34から下方向に距離Aで突出したものとなる。すなわち、位置調整部品34が頭蓋表面と離れて配置されても、位置調整部品34の取付位置を、ソケット部品33の本体部33aの長手方向の下部の位置から上部の位置までで変化させることで、ソケット部品33の底面と頭蓋表面とを密着させることができるようになっている。
上記接続部品を構成する材質としては、特に限定されるものではないが、ソケット部品の本体部及び顎部を構成する材質と同様に、例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール等が挙げられる。
上記ナット部品を構成する材質としては、特に限定されるものではないが、ソケット部品の本体部及び顎部を構成する材質と同様に、例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール等が挙げられる。
これにより、ナット部品32の内側に位置調整部品34の本体部34aをネジ機構を用いて挿入することにより、位置調整部品34の顎部34bとナット部品32との間に接続部品31の挿入部31aを挟み込んで固定することができる。このとき、ネジ機構によりナット部品32の貫通孔に位置調整部品34が挿入される距離を変化させることができるので、ナット部品32が位置調整部品34の長手方向(上下方向)の所望位置に来るようにして、ナット部品32と位置調整部品34とを固定する。例えば、位置調整部品34と1個の接続部品31とを固定するときには、位置調整部品34の顎部34bとナット部品32との間に1個の接続部品31の挿入部31aを挟み込むことになるので、位置調整部品34の本体部34aの長手方向の下部の位置でナット部品32と位置調整部品34とを固定することになり、一方、位置調整部品34と4個の接続部品31とを固定するときには、位置調整部品34の顎部34bとナット部品32との間に4個の接続部品31のソケット部31aを挟み込むことになるので、位置調整部品34の本体部34aの長手方向の上部の位置でナット部品32と位置調整部品34とを固定することになる。すなわち、位置調整部品34の本体部34aの長手方向の下部の位置から上部の位置までで変化させることで、位置調整部品34と任意の数の接続部品31とを固定することができるようになっている。
上記ベルトと固着部品とは、例えば、フックとループとからなる面ファスナーで固着されることが好ましい。このようにして、頭部に巻きつけられるベルト15で固定できるため、例えば、あごにベルトをかけてホルダを固定するようなものと比べると、あごを動かして脳の血流を測定するような場合においても、あごの動きに影響されずに正確な測定が可能になる。
まず、位置調整部品34の内側にソケット部品33をネジ機構を用いて挿入することにより、ソケット部品33に位置調整部品34を取り付ける。このとき、ネジ機構により位置調整部品34の内側にソケット部品33が挿入される距離を調整することができるが、位置調整部品34がソケット部品33の長手方向(上下方向)の下部の位置に来るようにして、位置調整部品34とソケット部品33と固定する。このようにして、各ソケット部品33に1個の位置調整部品34をそれぞれ取り付ける。
このようにして、内側に位置調整部品34が取り付けられたソケット部品33と、接続部品31と、ナット部品32とを用いて組み立てることで、例えば、図2に示す平坦な網形状体を作製する。
このとき、変形が加えられた状態で、一の接続部品31と他の接続部品31との間の角度で形成される角度が固定されると、もはや平面には戻れず、その曲率が保持される結果となる。
そこで、ネジ機構により位置調整部品34の内側にソケット部品33が挿入される距離を調整することができるので、ソケット部品33の底面と頭蓋表面とが接触するように、位置調整部品34とソケット部品33とを固定する。
最後に、ソケット部品33の内側に、送光プローブ12と受光プローブ13とを行方向と列方向とに交互となるように挿入することによって、送光プローブ12と受光プローブ13とを行方向と列方向とに交互となるように正方格子状に配置されたホルダ11を作製する。
発光部2は、コンピュータ20から入力された駆動信号により8個の送光プローブ12のうちから選択される1個の送光プローブ12に光を送光する光源であり、例えば、LED(発光ダイオード)やLD(レーザーダイオード)等の発光素子等である。
上記光としては、近赤外光(例えば、700nm〜1000nm)が用いられる。
光検出部3は、8個の受光プローブ13で受光した近赤外光を個別に検出することにより、8個の受光信号(測定情報)をコンピュータ20に出力する検出器であり、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタ等の受光素子、光電子増倍管等である。
送受光部制御部40は、発光部2に駆動信号を出力する発光制御部42と、光検出部3からの受光信号(測定情報)を受けることにより受光信号(測定情報)をメモリ50に記憶させる光検出制御部43とを有する。
発光制御部42は、送光プローブ12に光を順次送光する駆動信号を発光部2に出力する制御を行うものである
光検出制御部43は、光検出部3からの受光信号を受けることにより、8個の受光プローブ13から検出された8個の測定データをメモリ50に記憶させる制御を行うものである。
脳活動画像表示手段44は、モニタ画面23aに、情報の表示を行う制御を行うものである。例えば、脳平面でのオキシヘモグロビン濃度、デオキシヘモグロビン濃度及び全ヘモグロビン濃度の等高線グラフを表示する。
したがって、高い空間分解能で正確な深度で受光量情報を得ることができる。
上述した光生体測定装置1では、接続部品31は2個の挿入部31aを有する構成を示したが、接続部品は3個の挿入部を有する構成としてもよい。
11:ホルダ
12:送光プローブ
13:受光プローブ
20:制御部
31:接続部品
31a:挿入部
31b:連結部
32:ナット部品
33:ソケット部品
34:位置調整部品
34b:顎部
41:演算部
T:送光点
R:受光点
M:中点
S:測定部位
Claims (5)
- 筒形状であり、当該筒形状の内側に先端から光を照射する送光プローブ、又は、先端から光を受光する受光プローブが挿入されることにより、前記送光プローブ又は受光プローブを固定するソケット部品と、
貫通孔にソケット部品が挿入される少なくとも2個の挿入部が形成されるとともに、当該挿入部同士を一定の間隔で連結する可撓性の連結部が形成された接続部品とを備えるホルダであって、
顎部を外周面に有する筒形状であり、当該筒形状の内側にソケット部品が挿入されるとともに、前記挿入部の貫通孔に挿入される位置調整部品と、
貫通孔に位置調整部品が挿入されることにより、前記位置調整部品の顎部との間に接続部品を挟み込んで接続部品を固定するナット部品とを備え、
前記位置調整部品は、前記ソケット部品が挿入される距離を変化させて固定可能とする固定機構を有し、当該固定機構を用いてソケット部品の長手方向の所望位置でソケット部品と固定されることを特徴とするホルダ。 - 前記接続部品は、2個の挿入部を有し、両端に挿入部がある一の字形状であり、
複数個の接続部品の挿入部が1個の位置調整部品の顎部と1個のナット部品との間に多層に重ねて挟みこまれることで、一の接続部品と他の接続部品とが上方から見て位置調整部品を軸として所望角度を形成するように固定されることを特徴とする請求項1に記載のホルダ。 - 前記固定機構は、前記ソケット部品の外周面に形成されたネジと、前記位置調整部品の内周面に形成されたメスネジとからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のホルダ。
- 前記ソケット部品の底部は、測定対象面と密着可能とする密着機構を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のホルダ。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のホルダと、
先端から光を照射する送光プローブと、
先端から光を受光する受光プローブと、
前記送光プローブ及び受光プローブに対して光の送受光を制御する制御部とを備えることを特徴とする光生体測定装置。
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