JP3966664B2 - 加熱処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウエハ等の基板に塗布・現像処理を施す際に用いられる、基板を加熱する加熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスのフォトリソグラフィー工程においては、半導体ウエハ(以下、単にウエハという)にレジストを塗布し、これにより形成されたレジスト膜を所定の回路パターンに応じて露光し、この露光パターンを現像処理することによりレジスト膜に回路パターンが形成されている。
【0003】
このようなフォトリソグラフィー工程においては、レジスト塗布後の加熱処理(プリベーク)、露光後の加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)、現像後の加熱処理(ポストベーク)等、種々の加熱処理が行われている。
【0004】
これらの加熱処理は、通常、筐体内にヒーターによって加熱される加熱プレート(ホットプレート)を配置してなるホットプレートユニットにより行われる。この加熱プレートには、例えば複数のリング状の発熱体が同心円状に設けられており、加熱処理に際しては、加熱プレートの表面をカバーで覆った状態で、加熱プレートの表面に半導体ウエハを近接あるいは載置するが、その際に、ウエハの全面にわたって均一な温度で加熱処理できるように、加熱プレートは、その載置面の全面にわたって温度が均一であること(面内均一性)が要求されている。
【0005】
また、加熱処理時、加熱プレートの加熱面は、蓋体により覆われ、この加熱プレートの加熱面と蓋体とにより略密閉された処理室が形成されている。この処理室内の雰囲気は蓋体の中央から上方に排気されるようになっており、これにより、処理室内には加熱プレートの外周囲から中央に向けて気流が形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この加熱プレートの加熱面を覆うように加熱プレート上方に位置する蓋体は、ウエハの加熱処理時に加熱プレートからの熱を反射する等の理由によりウエハ温度に影響を与える。したがって、加熱プレートのみならず蓋体下面の温度も均一に維持することが好ましい。
【0007】
しかしながら、蓋体の下方に気流が形成されていること等の理由から、蓋体下面の温度分布を制御することができず、蓋体下面の温度を均一に維持することは困難である。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、蓋体の温度を略均一に維持して、基板に対して均一な加熱処理を施すことができる加熱処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、基板を所定温度に加熱処理する加熱処理装置であって、その表面に基板を近接または載置して加熱処理する加熱プレートと、基板の加熱処理時に加熱プレートの表面を覆い、処理室を形成する蓋体と、この蓋体内の内部空間に作動液を充填して形成されたヒートパイプとを具備することを特徴とする加熱処理装置を提供する。
【0010】
このように、本発明によれば、蓋体内の空間に作動液を充填して、ヒートパイプを形成しているが、このヒートパイプは、内部に充填した作動液の蒸発現象と凝縮現象を利用して、大量の熱を容易に輸送する作用を有するとともに、その中に温度の高低がある場合に速やかに熱を輸送して温度を均一化する作用を有する。したがって、基板の加熱処理時、蓋体の温度が気流の影響等により不均一に分布するような場合でも、蓋体内部にヒートパイプを形成しているので、ヒートパイプの温度の均一化作用により、蓋体の温度を略均一に維持することができ、基板に対して均一な加熱処理を施すことができる。
【0011】
特に、単一の内部空間を蓋体の略全域に形成してヒートパイプを構成する場合には、ヒートパイプの温度均一化作用は方向によらずに発揮されるので、蓋体の上下方向、径方向および周方向にわたって温度均一化作用が及ぼされ、結果として蓋体の全域にわたって温度が均一化され、これにより、蓋体の略全体の温度を均一に維持することができる。
【0012】
また、このように、ヒートパイプを利用して蓋体の温度を全域にわたって略均一にできることから、蓋体の寸法や形状が異なる場合であっても、蓋体の温度分布の影響を考慮することなく、装置の設計を行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るホットプレートユニットが搭載されたウエハのレジスト塗布・現像処理システムを示す概略平面図、図2はその正面図、図3はその背面図である。
【0014】
この処理システムは、搬送ステーションであるカセットステーション10と、複数の処理ユニットを有する処理ステーション11と、処理ステーション11と隣接して設けられる露光装置(図示せず)との間でウエハWを受け渡すためのインターフェイス部12とを具備している。
【0015】
上記カセットステーション10は、被処理体としての半導体ウエハ(以下、単にウエハと記す)Wを複数枚例えば25枚単位でウエハカセットCRに搭載された状態で他のシステムからこのシステムへ搬入またはこのシステムから他のシステムへ搬出したり、ウエハカセットCRと処理ステーション11との間でウエハWの搬送を行うためのものである。
【0016】
このカセットステーション10においては、図1に示すように、カセット載置台20上に図中X方向に沿って複数(図では4個)の位置決め突起20aが形成されており、この突起20aの位置にウエハカセットCRがそれぞれのウエハ出入口を処理ステーション11側に向けて一列に載置可能となっている。ウエハカセットCRにおいてはウエハWが垂直方向(Z方向)に配列されている。また、カセットステーション10は、ウエハカセット載置台20と処理ステーション11との間に位置するウエハ搬送機構21を有している。このウエハ搬送機構21は、カセット配列方向(X方向)およびその中のウエハWのウエハ配列方向(Z方向)に移動可能なウエハ搬送用アーム21aを有しており、この搬送アーム21aによりいずれかのウエハカセットCRに対して選択的にアクセス可能となっている。また、ウエハ搬送用アーム21aは、θ方向に回転可能に構成されており、後述する処理ステーション11側の第3の処理部G3に属するアライメントユニット(ALIM)およびエクステンションユニット(EXT)にもアクセスできるようになっている。
【0017】
上記処理ステーション11は、ウエハWへ対して塗布・現象を行う際の一連の工程を実施するための複数の処理ユニットを備え、これらが所定位置に多段に配置されており、これらによりウエハWが一枚ずつ処理される。この処理ステーション11は、図1に示すように、中心部に搬送路22aを有し、この中に主ウエハ搬送機構22が設けられ、ウエハ搬送路22aの周りに全ての処理ユニットが配置されている。これら複数の処理ユニットは、複数の処理部に分かれており、各処理部は複数の処理ユニットが鉛直方向に沿って多段に配置されている。
【0018】
主ウエハ搬送機構22は、図3に示すように、筒状支持体49の内側に、ウエハ搬送装置46を上下方向(Z方向)に昇降自在に装備している。筒状支持体49はモータ(図示せず)の回転駆動力によって回転可能となっており、それにともなってウエハ搬送装置46も一体的に回転可能となっている。
【0019】
ウエハ搬送装置46は、搬送基台47の前後方向に移動自在な複数本の保持部材48を備え、これらの保持部材48によって各処理ユニット間でのウエハWの受け渡しを実現している。
【0020】
また、図1に示すように、この実施の形態においては、4個の処理部G1,G2,G3,G4がウエハ搬送路22aの周囲に実際に配置されており、処理部G5は必要に応じて配置可能となっている。
【0021】
これらのうち、第1および第2の処理部G1,G2はシステム正面(図1において手前)側に並列に配置され、第3の処理部G3はカセットステーション10に隣接して配置され、第4の処理部G4はインターフェイス部12に隣接して配置されている。また、第5の処理部G5は背面部に配置可能となっている。
【0022】
第1の処理部G1では、ウエハWにレジストを塗布するレジスト塗布ユニット(COT)およびレジストのパターンを現像する現像ユニット(DEV)が下から順に2段に重ねられている。第2の処理部G2も同様に、2台のスピナ型処理ユニットとしてレジスト塗布ユニット(COT)および現像ユニット(DEV)が下から順に2段に重ねられている。
【0023】
第3の処理部G3においては、図3に示すように、ウエハWを載置台SPに載せて所定の処理を行うオーブン型の処理ユニットが多段に重ねられている。すなわち、レジストの定着性を高めるためのいわゆる疎水化処理を行うアドヒージョンユニット(AD)、位置合わせを行うアライメントユニット(ALIM)、ウエハWの搬入出を行うエクステンションユニット(EXT)、冷却処理を行うクーリングユニット(COL)、露光処理前や露光処理後、さらには現像処理後にウエハWに対して加熱処理を行う4つのホットプレートユニット(HP)が下から順に8段に重ねられている。なお、アライメントユニット(ALIM)の代わりにクーリングユニット(COL)を設け、クーリングユニット(COL)にアライメント機能を持たせてもよい。
【0024】
第4の処理部G4も、オーブン型の処理ユニットが多段に重ねられている。すなわち、クーリングユニット(COL)、クーリングプレートを備えたウエハ搬入出部であるエクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)、エクステンションユニット(EXT)、クーリングユニット(COL)、および4つのホットプレートユニット(HP)が下から順に8段に重ねられている。
【0025】
主ウエハ搬送機構22の背部側に第5の処理部G5を設ける場合には、案内レール25に沿って主ウエハ搬送機構22から見て側方へ移動できるようになっている。したがって、第5の処理部G5を設けた場合でも、これを案内レール25に沿ってスライドすることにより空間部が確保されるので、主ウエハ搬送機構22に対して背後からメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0026】
上記インターフェイス部12は、奥行方向(X方向)については、処理ステーション11と同じ長さを有している。図1、図2に示すように、このインターフェイス部12の正面部には、可搬性のピックアップカセットCRと定置型のバッファカセットBRが2段に配置され、背面部には周辺露光装置23が配設され、中央部には、ウエハ搬送機構24が配設されている。このウエハ搬送機構24は、ウエハ搬送用アーム24aを有しており、このウエハ搬送用アーム24aは、X方向、Z方向に移動して両カセットCR,BRおよび周辺露光装置23にアクセス可能となっている。また、このウエハ搬送用アーム24aは、θ方向に回転可能であり、処理ステーション11の第4の処理部G4に属するエクステンションユニット(EXT)や、さらには隣接する露光装置側のウエハ受け渡し台(図示せず)にもアクセス可能となっている。
【0027】
このようなレジスト塗布現像処理システムにおいては、まず、カセットステーション10において、ウエハ搬送機構21のウエハ搬送用アーム21aがカセット載置台20上の未処理のウエハWを収容しているウエハカセットCRにアクセスして、そのカセットCRから一枚のウエハWを取り出し、第3の処理部G3のエクステンションユニット(EXT)に搬送する。
【0028】
ウエハWは、このエクステンションユニット(EXT)から、主ウエハ搬送機構22のウエハ搬送装置46により、処理ステーション11に搬入される。そして、第3の処理部G3のアライメントユニット(ALIM)によりアライメントされた後、アドヒージョン処理ユニット(AD)に搬送され、そこでレジストの定着性を高めるための疎水化処理(HMDS処理)が施される。この処理は加熱を伴うため、その後ウエハWは、ウエハ搬送装置46により、クーリングユニット(COL)に搬送されて冷却される。
【0029】
アドヒージョン処理が終了し、クーリングユニット(COL)で所定の温度に冷却さたウエハWは、引き続き、ウエハ搬送装置46によりレジスト塗布ユニット(COT)に搬送され、そこで塗布膜が形成される。塗布処理終了後、ウエハWは処理部G3,G4のいずれかのホットプレートユニット(HP)内でプリベーク処理され、その後いずれかのクーリングユニット(COL)にて所定の温度に冷却される。
【0030】
冷却されたウエハWは、第3の処理部G3のアライメントユニット(ALIM)に搬送され、そこでアライメントされた後、第4の処理部群G4のエクステンションユニット(EXT)を介してインターフェイス部12に搬送される。
【0031】
インターフェイス部12では、余分なレジストを除去するために周辺露光装置23によりウエハの周縁例えば1mmを露光し、インターフェイス部12に隣接して設けられた露光装置(図示せず)により所定のパターンに従ってウエハWのレジスト膜に露光処理が施される。
【0032】
露光後のウエハWは、再びインターフェイス部12に戻され、ウエハ搬送機構24により、第4の処理部G4に属するエクステンションユニット(EXT)に搬送される。そして、ウエハWは、ウエハ搬送装置46により、いずれかのホットプレートユニット(HP)に搬送されてポストエクスポージャーベーク処理が施され、次いで、クーリングユニット(COL)により所定の温度に冷却される。
【0033】
その後、ウエハWは現像ユニット(DEV)に搬送され、そこで露光パターンの現像が行われる。現像処理終了後、ウエハWはいずれかのホットプレートユニット(HP)に搬送されてポストベーク処理が施され、次いで、クーリングユニット(COL)により所定温度に冷却される。このような一連の処理が終了した後、第3処理部G3のエクステンションユニット(EXT)を介してカセットステーション10に戻され、いずれかのウエハカセットCRに収容される。
【0034】
次に、図4から図7を参照して、本発明の一実施形態に係るホットプレートユニット(HP)について説明する。図4は本発明の第1実施の形態に係るホットプレートユニットを模式的に示す断面図、図5は図4のホットプレートユニットの蓋体を一部切り欠いて示す斜視図、図6は、蓋体に形成されたヒートパイプを示す断面図、図7は図4のホットプレートユニットの制御系を示すブロック図である。
【0035】
本実施形態のホットプレートユニット(HP)は、ケーシング50を有し、その内部の一方側には円盤状をなす加熱プレート51が配置されている。加熱プレート51は例えばアルミニウムで構成されており、その表面にはプロキシミティピン52が設けられている。そして、このプロキシミティピン52上に加熱プレート51に近接した状態でウエハWが載置されるようになっている。加熱プレート51の裏面には複数のリング状発熱体53が同心円状に配設されている。そして、これら発熱体53は通電されることにより発熱し、加熱プレート51を加熱してウエハWを昇温するようになっている。この場合に、各リング状発熱体53への通電量はそれぞれ独立に制御可能であることが好ましい。
【0036】
加熱プレート51は支持部材54に支持されており、支持部材54内は空洞となっている。加熱プレート51には、その中央部に3つの貫通孔55が形成されており、これら貫通孔55にはウエハWを昇降させるための3本(2本のみ図示)の昇降ピン56が昇降自在に設けられている。そして、加熱プレート51と支持部材54の底板54aとの間貫通孔55に連続する筒状のガイド部材57が設けられている。これらガイド部材57によって加熱プレート51の下のヒーター配線等に妨げられることなく昇降ピン56を移動させることが可能となる。これら昇降ピン56は支持板58に支持されており、この支持板58を介して支持部材54の側方に設けられたシリンダー59により昇降されるようになっている。
【0037】
加熱プレート51および支持部材54の周囲にはそれらを包囲支持するサポートリング61が設けられており、このサポートリング61の上には昇降自在の蓋体62が設けられている。そして、この蓋体62がサポートリング61の上面まで降下した状態でウエハWの処理室Sが形成される。また、ウエハWを加熱プレート51に対して搬入出する場合には、上方に退避される。
【0038】
この蓋体62は、内側プレート62aと、外側プレート62bとを有し、図5に示すように、全体が略円盤状をなしていて、その周方向に略一定の断面を有している。内側プレート62aは、外側から中心部に向かって次第に高くなるように傾斜して形成されている。
【0039】
蓋体62の中央部に排気管64が接続された排気口63を有しており、加熱プレート51の外周側のサポートリング61および蓋体62の隙間部分から空気が導入され、排気口63および排気管64を介して処理室Sが排気される。したがって、処理室S内には加熱プレート51の外周側から中央に向かう気流が形成される。この際の排気は、図示しない排気機構により行われ、排気量の調整は電磁弁64aにより行われる。
【0040】
蓋体62の内側プレート62aと外側プレート62bとの間には、排気口63を除く略全域に環状をなす空間62cが形成されており、この中には作動液66が封入されており、ヒートパイプ65を構成している。このヒートパイプ65は、内部に充填した作動液の蒸発現象と凝縮現象を利用して、大量の熱を容易に輸送する作用、およびその中に温度の高低がある場合に速やかに熱を輸送して温度を均一化する作用を有する。具体的には、図6に示すように、例えばヒートパイプ65は、加熱プレート51によりその下部が加熱されると作動液66が蒸発し、蒸気流となって低温部である上部へ高速移動し、上下方向に温度が均一化される。この際に、上部で低温の外側プレート62bに接触して冷却され凝縮し、凝縮液は重力により元の位置へ戻る。また、周方向および径方向に温度の高低がある場合にも蒸気流の移動により温度が均一化される。ヒートパイプ65を構成する内部空間62cは、蓋体62の周方向に略一定の断面を有している。なお、ヒートパイプ65の作動液66は、蓋体62の材質に悪影響を及ぼさないものが選択され、例えば蓋体62ステンレス鋼製の場合には、水、アンモニア、メタノール、アセトン、フロン等を用いることができる。
【0041】
加熱プレート51内の適宜箇所には、複数の温度センサー70が設けられ、これにより加熱プレート51の温度が計測されるようになっている。この温度センサー70からの検出信号は、図7に示すように、このホットプレートユニット(HP)を制御するためのユニットコントローラ71に送信され、その検出情報に基づいてコントローラ71から温調器72に制御信号が送信され、その制御信号に基づいて温調器72から発熱体電源74に出力調整信号が送信される。さらに、このユニットコントローラ71は、加熱処理に際して、シリンダー59に制御信号を送って昇降ピン56の昇降を制御するとともに、排気管64に設けられた電磁弁64aにより排気量を制御する。なお、ユニットコントローラ71は、塗布・現像システムのシステムコントローラ(図示略)からの指令に基づいて制御信号を出力するようになっている。
【0042】
以上のように構成されたホットプレートユニット(HP)では、以下のようにして、ウエハWの加熱処理が行われる。
【0043】
まず、ウエハ搬送装置46により、ウエハWがホットプレートユニット(HP)の筐体内に搬入されて、昇降ピン56に受け渡され、この昇降ピン56が降下されて、ウエハWが所定温度に加熱された状態にある加熱プレート51の表面に設けられたプロミキシティピン52に載置される。
【0044】
次いで、蓋体62が降下されて処理室Sが形成され、気流が加熱プレート51の外周側からウエハWの略中央に流されて、その上方の排気口63および排気管64を介して排気される。このように加熱プレート51の外側から中央に向かって気流が形成されていることにより、加熱プレート51の温度の面内均一性が良好に保たれ、ウエハ温度の面内均一性を図っている。また、発熱体53の配置もこのように加熱プレート51の面内均一性を考慮して決定されている。
【0045】
一方、蓋体62もウエハWの加熱処理時に加熱プレート51からの熱を反射する等の理由によりウエハ温度に影響を与えるため、蓋体62下面の温度も均一に維持することが好ましい。
【0046】
従来の蓋体は単にプレートで構成されていたため、蓋体の下方の気流等によって形成される温度分布を制御することができず、蓋体下面の温度を均一に維持することは困難であったが、本実施形態における蓋体62は、その内部空間62cに作動液66を充填してヒートパイプ65を形成しているため、このヒートパイプ65の温度均一化作用により、ウエハWの加熱処理時に蓋体62の温度が気流の影響等により不均一に分布するような場合でも、蓋体62の温度を略均一に維持することができ、基板に対して均一な加熱処理を施すことができる。
【0047】
特に、蓋体62内の内部空間62cは蓋体62の略全域に単一に形成されているので、ヒートパイプ65の温度均一化作用は方向によらずに発揮され、蓋体62の上下方向、径方向および周方向にわたって温度均一化作用が及ぼされ、結果として蓋体62の全域にわたって温度が均一化される。これにより、蓋体の略全体の温度を均一に維持することができる。
【0048】
また、このように、ヒートパイプ65を利用して蓋体の温度を全域にわたって略均一にできることから、蓋体62の寸法や形状が異なる場合であっても、蓋体62の温度分布の影響を考慮することなく、装置の設計を行うことができる。
【0049】
このようにしてウエハWの加熱処理終了した後、蓋体62が上方に移動されて、ウエハWが昇降ピン56により持ち上げられ、ウエハ搬送装置46に受け渡されて、ホットプレートユニット(HP)から搬出されて、次工程のユニットに搬送される。
【0050】
次に、図8を参照して、本発明の第2の実施形態に係るホットプレートユニットについて説明する。この実施形態では、蓋体62の内側プレート62aの中央下側に、気流制御板68が内側プレート62aに取り付けられた状態で設けられている。その他については、第1の実施形態と全く同様に構成されているので、図8において図4と同じものには同じ符号を付して説明を省略する。
【0051】
このように、蓋体62の内側プレート62aの下方に気流制御板68が設けられているため、処理室S内では内側プレートと気流制御板70との間を通って排気口53から排気され、処理室Sの中央における上昇気流が抑制されて、加熱プレート51の温度均一性を一層良好にすることができる。
【0052】
次に、図9を参照して、本発明の第3の実施形態に係るホットプレートユニットについて説明する。本実施形態では、ケーシング50の内部の下側には矩形状をなす加熱プレート51’が配置されている。加熱プレート51’の表面にはプロキシミティピン52’が設けられており、このプロキシミティピン52’上に加熱プレート51’の表面に近接した状態でウエハWが載置されるようになっている。加熱プレート51’の裏面には複数の直線状の発熱体53’が略平行に配列されている。そして、これら発熱体53’は通電されることにより発熱し、加熱プレート51’を加熱してウエハWを昇温するようになっている。この場合に、各直線状発熱体53’への通電量はそれぞれ独立に制御可能であることが好ましい。
【0053】
加熱プレート51’は支持部材52’に支持されており、支持部材55内は空洞となっている。支持部材52’の周囲にはそれを包囲支持するサポートリング61’が設けられており、このサポートリング61’の上には上下動自在の蓋体62’が設けられている。そして、この蓋体62’がサポートリング61’の上面まで降下した状態でシールリング81により外部から密閉された処理室S’が形成される。
【0054】
加熱プレート51’の一方側には、加熱プレート51’の略一辺の幅を有し、処理室S内に不活性ガス、空気等の気体を供給するための気体供給ノズル82が設けられ、この気体供給ノズル82には、不活性ガス、空気等の気体を供給するための気体供給管83が接続されている。この気体供給管83には、通流する気体の流量および流速を調整するための電磁弁84が介装されている。
【0055】
一方、加熱プレート51’の他方側には、加熱プレート51’の略一辺の幅を有し、処理室S’内の気体を排出するための排気ノズル85が設けられ、この排気ノズル85には、排気管86が接続されている。この排気管86には、排気量を調整するための電磁弁87が介装されている。
【0056】
そして、気体供給ノズル82から処理室S’へ供給された気体は排気ノズル85から排気され、処理室S’内には図9に矢印で示すような加熱プレート51の一端側から他端側に向かう一方向の気流が形成される。そして、発熱体53’の配列方向と一方向気流の方向は略垂直になるようになっている。
【0057】
蓋体62’は、内側プレート62’aと、外側プレート62’bとを有し、全体が加熱プレート51’に対応して矩形状をなしていて、略一定の断面を有している。
【0058】
蓋体62’の内側プレート62’aと外側プレート62’bとの間には、略全域に矩形状の空間62’cが形成されており、この中には作動液66’が封入されており、ヒートパイプ65’を構成している。このヒートパイプ65’は第1の実施形態のヒートパイプ65と同様、温度均一化作用を有しており、蓋体の上下方向および水平方向に温度が均一化される。
【0059】
以上のように構成されたホットプレートユニット(HP)により加熱処理を行う際には、まず、第1の実施形態の場合と同様、ウエハWがウエハ搬送装置46により筐体50内に搬入されて、プロキシミティピン52’上に載置される。
【0060】
次いで、蓋体62’が降下されて処理室S’が形成され、電磁弁84,87が制御されて、処理室S’に加熱プレート51’の一端側から他端側に向かう一方向の気流が形成される。
【0061】
このような一方向の気流が形成された状態で、発熱体53’に給電することにより、加熱プレート51’上のウエハWを加熱処理する。このように加熱プレート51’の上面に一方向の気流を形成するので、第1の実施形態の蓋体62と異なり、蓋体62’の中央部には排気口が設けられていない。また、蓋体62’に排気構造が設けられる必要がないため装置自体の上下方向の寸法を小さくすることができる。さらに、気体供給によって処理室S’内で乱流が発生しないため、乱流発生に伴うウエハW面内の温度特異点(例えば中央部のみ温度が高い)が発生しなくなり、加熱プレート51’の温度の面内均一性が一層良好に保たれる。また、発熱体53’の配置もこのように加熱プレート51’の面内均一性を考慮して決定されている。
【0062】
一方、蓋体62’もウエハWの加熱処理時に加熱プレート51’からの熱を反射する等の理由によりウエハ温度に影響を与えるため、蓋体62下面の温度も均一に維持することが好ましい。そのため、本実施形態における蓋体62’は、その内部空間62’cに作動液66’を充填してヒートパイプ65’を形成しているため、このヒートパイプ65’の温度均一化作用により、ウエハWの加熱処理時に蓋体62’の温度が気流の影響等により不均一に分布するような場合でも、蓋体62’の温度を略均一に維持することができ、基板に対して均一な加熱処理を施すことができる。
【0063】
特に、蓋体62’内の内部空間62’cは蓋体62’の略全域に単一に形成されているので、ヒートパイプ65’の温度均一化作用は方向によらずに発揮され、蓋体62’の上下方向、径方向および周方向にわたって温度均一化作用が及ぼされ、結果として蓋体62の全域にわたって温度が均一化される。これにより、蓋体62’の略全体の温度を均一に維持することができる。
【0064】
このようにしてウエハWの加熱処理終了した後、蓋体62’が上方に移動されて、ウエハWが昇降ピン56’により持ち上げられ、ウエハ搬送装置46に受け渡されて、ホットプレートユニット(HP)から搬出されて、次工程のユニットに搬送される。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、蓋体の略全体に空間を設けヒートパイプを構成するようにしたが、蓋体の一部に空間を形成するようにしてもよい。また、単一の空間を有する場合に限らず、複数の空間を有しそれぞれの空間がヒートパイプを構成するようにしてもよい。発熱体の配置位置も加熱プレートの下側に限定されず、例えば加熱プレートに埋設されていてもよい。また、加熱処理装置の構造としても上記実施形態において例示したホットプレートユニットに限るものではなく種々の形態が可能である。さらに、レジスト塗布・現像処理システムの加熱処理について示したが、それ以外に用いられる加熱処理に適用することも可能である。さらにまた、上記実施形態ではウエハをプロキシミティピン上に載置して間接的に加熱を行った場合について示したが、ウエハを加熱プレート上に直接載置して加熱してもよい。さらにまた、上記実施形態では基板として半導体ウエハを用いた場合について説明したが、半導体ウエハ以外の他の被処理基板、例えばLCD基板の加熱処理を行う場合についても適用可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、蓋体内の空間に作動液を充填して、ヒートパイプを形成しているので、その温度均一化作用により、基板の加熱処理時、蓋体の温度が気流の影響等により不均一に分布するような場合でも、蓋体の温度を略均一に維持することができ、基板に対して均一な加熱処理を施すことができる。
【0067】
特に、単一の内部空間を蓋体の略全域に形成してヒートパイプを構成する場合には、ヒートパイプの温度均一化作用は方向によらずに発揮されるので、蓋体の上下方向、径方向および周方向にわたって温度均一化作用が及ぼされ、結果として蓋体の全域にわたって温度が均一化され、これにより、蓋体の略全体の温度を均一に維持することができる。
【0068】
また、このように、ヒートパイプを利用して蓋体の温度を全域にわたって略均一にできることから、蓋体の寸法や形状が異なる場合であっても、蓋体の温度分布の影響を考慮することなく、装置の設計を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加熱処理装置の一実施形態であるホットプレートユニットを備えた半導体ウエハのレジスト塗布現像処理システムの全体構成を示す平面図。
【図2】本発明の加熱処理装置の一実施形態であるホットプレートユニットを備えた半導体ウエハのレジスト塗布現像処理システムの全体構成を示す正面図。
【図3】本発明の加熱処理装置の一実施形態であるホットプレートユニットを備えた半導体ウエハのレジスト塗布現像処理システムの全体構成を示す背面図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るホットプレートユニットを模式的に示す断面図。
【図5】図4のホットプレートユニットの蓋体を一部切り欠いて示す斜視図。
【図6】図5の蓋体に形成されたヒートパイプを示す断面図。
【図7】図4のホットプレートユニットの制御系を示すブロック図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るホットプレートユニットを模式的に示す断面図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るホットプレートユニットを模式的に示す断面図。
【符号の説明】
51,51’;加熱プレート
52,52’;プロキシミティピン
56;リフトピン
53,53’;発熱体
62、62’;蓋体
62a,62’a;内側プレート
62b,62’b;外側プレート
62c,62’c;空間
63;排気口
64;排気管
65,65’;ヒートパイプ
66,66’;作動液
68;気流制御板
82;気体供給ノズル
83;気体供給管
84,87;電磁弁
85;排気ノズル
86;排気管
S,S’;処理室
W;半導体ウエハ
Claims (8)
- 基板を所定温度に加熱処理する加熱処理装置であって、
その表面に基板を近接または載置して加熱処理する加熱プレートと、
基板の加熱処理時に加熱プレートの表面を覆い、処理室を形成する蓋体と、
この蓋体内の内部空間に作動液を充填して形成されたヒートパイプと
を具備することを特徴とする加熱処理装置。 - 前記内部空間は蓋体の略全域に形成された単一の空間であることを特徴とする請求項1に記載の加熱処理装置。
- 前記蓋体の略中央部に排気口を有し、前記処理室内に周囲から中央に向かう気流が形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱処理装置。
- 前記蓋体は略円盤状をなし、前記ヒートパイプを構成する内部空間は環状をなすことを特徴とする請求項3に記載の加熱処理装置。
- 前記ヒートパイプを構成する内部空間は、前記蓋体の周方向に略一定の断面を有していることを特徴とする請求項4に記載の加熱処理装置。
- さらに、前記蓋体の中央部下方に設けられた気流制御板を具備することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の加熱処理装置。
- さらに、前記加熱プレート上にその一端から他端に向かう一方向の気流を形成する一方向流形成手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱処理装置。
- 前記蓋体は矩形状をなし、前記ヒートパイプを構成する内部空間は矩形状をなすことを特徴とする請求項7に記載の加熱処理装置。
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