JP3965720B2 - 台車構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車の組立に必要な物品(シートベルト、マット、トリム、ガーニッシュその他)を台車に載置して、電動牽引車両やAGV(オートガイドビークル)などの牽引車両により牽引される台車にて上記物品を供給するような台車構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の台車構造としては、例えば、実開平3−103890号公報、実開平3−88993号公報に記載の構造があるが、何れも牽引車両と、この牽引車両により牽引される台車とを備えたもので、仮りに上記牽引車両に複数台の台車を連結して、自動車等のワークを順次組立てるのに必要な部品を各組立ステーションの台車置場に供給するには、牽引車両と台車との間の連結部または台車相互間の連結部を外し、実台車を台車置場に置くと共に、空台車を再び連結部に連結するという煩雑な入替え作業を要する問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、牽引車両により牽引される台車を、車輪付きの枠部と、車輪付きの収納部(部品台車)とに分割すると共に、枠部と収納部とを係脱する係脱手段を備えることで、牽引車両と台車との間の連結部または台車相互間の連結部を何等解除することがなく、収納部の入替えを容易に行なうことができ、しかも上記枠部を可動枠と固定枠とに分割し、可動枠は水平軸を介して回動可能に構成され、可動枠が水平にある時、一方にのみ開放する開放状態となり、可動枠が垂直にある時、双方向に開放する双方向開放状態となるように構成することで、一方向開放状態と双方向開放状態との何れの態様にも切換え使用することができる台車構造の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明による台車構造は、物品を載置し牽引車両により牽引される台車構造であって、台車を牽引車両に連結可能で車輪を有する枠部と、上記物品を収納し、車輪を有する収納部とに分割すると共に、上記枠部と収納部とを係脱する係脱手段を備え、上記枠部を可動枠と、固定枠とに分割し、上記可動枠は前部フレームと側部フレームと後部フレームとをコ字状に組合せて構成され、上記固定枠は、上記前部フレームの前部と、上記後部フレームの後部とにそれぞれ位置し、前後両フレームのコ字状開放端部を前後の水平軸を介し て前後の固定枠にそれぞれ回動可能に軸支し、上記可動枠が水平にある時、一方にのみ開放する開放状態となり、可動枠が垂直にある時、双方向に開放する双方向開放状態となるように構成されたものである。
【0005】
【発明の作用及び効果】
この発明によれば、牽引車両により牽引される台車を、車輪を有する枠部と、車輪を有する収納部(部品台車)とに分割すると共に、枠部と収納部とを係脱する係脱手段を備えたので、牽引車両と台車との間の連結部または台車相互間の連結部を何等解除することがなく、収納部の入替え、つまり部品台車の入替えを容易に行なうことができる効果がある。
【0006】
しかも、上記枠部を前部フレームと側部フレームと後部フレームとの三者をコ字状に組合せて形成された可動枠と、固定枠とに分割し、可動枠は水平軸を介して回動可能に構成され、可動枠が水平にある時、一方にのみ開放する開放状態となり、可動枠が垂直にある時、双方向に開放する双方向開放状態となるように構成したので、一方向開放状態と双方向開放状態との何れの態様にも切換え使用することができる効果がある。
【0007】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は台車構造及びその台車を用いた運搬方法を示すが、まず図1乃至図17を参照して台車構造の各実施例について説明する。
【0008】
[台車構造の第1実施例]
図1乃至図5は台車構造の第1実施例を示し、牽引車両としての有人タイプの電動牽引車(以下単に電動車と略記する)1の後部に横向き凹状の連結ブラケット2を取付け、この連結ブラケット2に連結ピン3および連結杆4を介して台車5の枠部6を連結している。なお、上述の電動車1に代えてAGV(オート・ガイド・ビークルの略で無人牽引車両のこと)を用いてもよい。
【0009】
上述の枠部6は横方向に延びる前部フレーム7と、この前部フレームに平行な後部フレーム8と、これら前後の各フレーム7,8を前後方向に連結する側部フレーム9とを平面から見てコの字状に一体連結したもので、この実施例では、電動車1の進行方向に対して左方が開放するように水平状に設けられている。
また、上述の前部フレーム7、後部フレーム8には車輪10…を取付けている。これらの各車輪10としては固定車輪または自在車輪(キャスタ)を用いるが、前部フレーム7、後部フレーム8のうち一方のフレームの車輪10を省略してもよい。
【0010】
ここで、上述の前部フレーム7の前側に上述の連結杆4を取付ける一方、後部フレーム8の中央後側には横向き凹状の連結ブラケット11を取付けて、連結ピン12を用いることで同一構造の複数乃至多数の枠部6を前後方向に連結すべく構成している。
【0011】
上述の枠部6に対して分割形成された部品台車13は、例えば、自動車組立て用のシートベルト、マット、トリム、ガーニッシュその他の部品(物品)を収納する収納部14と、この収納部14の下面に取付けられた合計4個の車輪15とを備えている。これらの各車輪15としては固定車輪または自在車輪(キャスタ)を用いる。なお、上述の収納部14は適宜フレームにて枠組みされた仕切部を有し、各仕切部に物品を区画収納しているが、図面では概略示している。
【0012】
上述の枠部6と部品台車13とを係脱する係脱手段は図3乃至図5に示す如く構成している。
すなわち、部品台車13の収納部14における左側下面の2箇所に被係止部材としてのピン16を下方に向けて突設する一方、ピン16と対向する枠部6の側部フレーム9には上述のピン16を受ける係止空間17をもった受け部材18が取付けられている。
【0013】
また、上述の受け部材18の近傍には平面視コ字状のブラケット19を設け、このブラケット19にはピン16の係脱方向と直交する方向に操作される係止ピン(係止部材)20を貫通配置し、この係止ピン20の基端側(図示右側)にブラケット21およびワイヤコネクタ22を介してワイヤ23を連結している。
そして、上述のワイヤ23をローラ等の適宜手段にて操作側へ導出案内し、このワイヤ23の操作基端には図2に示すワイヤ操作レバー24を取付けている。
【0014】
また、上述のブラケット19内において係止ピン20のスプリングリテーナ25とブラケット19の一側内面との間には、該係止ピン20を常時係止方向へバネ付勢するコイルスプリング26(付勢手段)を設け、係止ピン20の先端側(図示左側)を受け部材18の貫通孔18a,18aに貫設している。なお、上述の受け部材18にはピン16の挿入を容易にならしめる目的でテーパ部18b,18bが形成されている。
【0015】
而して、上述の係脱手段は、図5に示すようにワイヤ操作レバー24(図2参照)およびワイヤ23を介してコイルスプリング26の付勢力に抗して係止ピン20を後退させ、この状態下において部品台車13のピン16を受け部材18の係止空間17内に挿入した後に、ワイヤ操作レバー24を戻すと、コイルスプリング26の付勢力により図3に示す如く係止ピン20が前進し、この係止ピン20にて部品台車13側のピン16をアンロック可能にロックするものである。
【0016】
このように、電動車1により牽引される台車5を、車輪10を有する枠部6と、車輪15を有する収納部14(部品台車13)とに分割すると共に、枠部6と収納部14とを係脱する係脱手段(ピン16、受け部材18、係止ピン20参照)を備えたので、電動車1と台車5との間の連結部(連結ピン3参照)または台車5,5相互間の連結部(連結ピン12参照)を何等解除することがなく、収納部14の入替え、つまり部品台車13の入替えを容易に行なうことができる効果がある。
【0017】
また、車輪15と収納部14とで構成される部品台車13を複数台連結(多連結を含む)したので、同時に複数の部品台車13…を運搬することができ、部品運搬効率の向上を図ることができる効果がある。
さらに、上述の係脱手段をワイヤ23にて操作されるロック、アンロック可能な係止部材(係止ピン20参照)にて構成したので、係止離脱操作を容易かつワンタッチにて行なうことができる効果がある。
【0018】
加えて、上述の枠部6をその一方が開放するように水平状に設けたので、部品台車13の収納部14が高さ規制を受けることがなく、部品収納量の拡大を図ることができる効果がある。
なお、上記実施例においては電動車1の進行方向に対して左方が開放する枠部6と成したがこれは電動車1の進行方向に対して右方が開放する枠部と成してもよい。
【0019】
[台車構造の第2実施例]
図6は台車構造の第2実施例を示す、但し、枠部6側の構成、並びにピン16を含む係脱手段の構成については先の第1実施例と同一であるので、その図示を省略している。
この第2実施例では収納部14を、ピン16(前図参照)を有する床部27と、この床部27に対して回転機構28を介して水平方向に回転する収納本体29とに分割形成している。
【0020】
つまり、複数のフレーム30…を適宜組み合わせて上述の床部27を構成し、この床部27の下部に車輪取付け板31を介して前述の車輪15を取付ける一方、床部27の中央には円盤状のベース32を固定している。
また、上述の円盤状のベース32の中央下面には支持筒33(保持手段)を取付ける一方、収納本体29の下面には回転中心となるシャフト34(中心軸)を突設し、このシャフト34をベース32の中央開口32aを介して支持筒33内に挿入している。
【0021】
さらに、上述の収納本体29の下面に固定したローラ取付け板35には、ローラ軸36を介して複数のローラ37(具体的にはシャフト34を中心とする45度開角の放射位置に合計8個のローラ37を取付けるが図面では2個のみを示す)を軸架し、これら各ローラ37(回転案内手段)をベース32上面に転接すべく構成している。
【0022】
ここで、上述のローラ37は例えばベアリングにて構成する一方、上述の各要素32〜37にて回転機構28が構成されている。なお、上述の床部27と収納本体29との間には、該収納本体29の不所望の回転を防止する目的でストッパ手段(図示せず)が設けられる。
【0023】
このように、床部27に対して回転機構28を介して水平方向に回転する収納本体29を備えているので、支持筒33およびシャフト34を回転中心として収納本体29を回転させることができ、その方向転換を図るので、収納本体29に収納された部品の取出し操作性の向上を図ることができる効果がある。
なお、収納本体29側に筒軸を固定し、ベース32側に回転中心軸を立設してもよいことは勿論である。
【0024】
[台車構造の第3実施例]
図7乃至図9は台車構造の第3実施例を示す。この第3実施例では収納部14の平面外形を枠部6の平面外形よりも若干大に設定し、部品台車13の運搬時に係脱手段としての油圧シリンダ38(台車昇降手段)にて収納部14をリフトアップし、収納部14下面に設けられた車輪15を床面39から上方へ離反させるように構成したものである。
【0025】
つまり、図8に示す如く枠部6のコーナー部位に合計4個の油圧シリンダ38を搭載すると共に、収納部14とその上下方向において干渉しない後部フレーム8の張出し側上面8aに油圧ポンプ40(駆動源)を搭載している。
また、上述の各油圧シリンダ38のピストンロッド41に対向する収納部14の下面には、ずれ防止および位置決めを図る目的で、ピストンロッド41先端のテーパ形状に対応するテーパ孔42をもった受け部材43(受け手段)が取付けられている。
【0026】
なお、この第3実施例の場合には、図8において枠部6の支持左側の2つの車輪10,10は自在車輪にて構成し、図示右側の2つの車輪10,10は固定車輪にて構成する。また同図において部品台車13の図示上側の2つの車輪15,15は自在車輪にて構成し、図示下側の2つの車輪15,15は固定車輪にて構成する。
【0027】
このように構成すると、枠部6に対して図8に仮想線で示す如く部品台車13を配設した後に、油圧シリンダ38を駆動すると、そのピストンロッド41の突出動(上動)により部品台車13をリフトアップし、部品台車13側の車輪15を床面39から浮上させることができる。また部品台車13の入替位置もしくは供給位置において枠部6上の部品台車13を払い出すには上述のピストンロッド41を下動すると、部品台車13側の車輪15が床面39に接地するので、所定位置において部品台車13を枠部6から払い出すことができる。
なお、この第3実施例においてもその他の点については先の第1実施例とほぼ同様の作用、効果を奏するので、図7乃至図9において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0028】
[台車構造の第4実施例]
図10乃至図13は台車構造の第4実施例を示す。先の各実施例においては平面視コ字状の枠部6を水平状に設けて部品台車13を一方向から入替えるように構成したが、この第4実施例においては部品台車13を左右何れの方向からも入替えることができるように、上述の枠部6を側面視門形に構成して、垂直状に配置している。
【0029】
すなわち、電動車1の直後の枠部6は、上下方向に延びる前後の支柱44,44と、これら前後の支柱44,44の上部相互間を連結し、前後方向に延びる上部フレーム45と、後部支柱44の下部において左右方向に延びる下部フレーム46とが一体的に連結され、左右双方向に開放するように構成されている。
【0030】
また、前部支柱44の下部前側には前述の連結杆4を取付けて、連結ピン3により電動車1の連結ブラケット2と連結すべく構成する一方、上部フレーム45の後端には前述の連結ブラケット11を取付けている。
さらに上述の前部支柱44の下面と、下部フレーム46の左右両サイドの下面とには車輪10,10を取付けている。
【0031】
以上は電動車1の直後の枠部6の構成であるが、2番目以降の枠部6については前部支柱44と、その下面の車輪10,10とを省略した構造になっている。但し、上方に位置する連結ブラケット11に対して連結ピン12を介して2番目以降の枠部6を連結するため、この2番目以降の枠部6にあっては上部フレーム45の前端に前述の連結杆4を一体もしくは一体的に取付けている。
【0032】
しかも、この第4実施例においては部品台車13のトップデッキ部にピン16(被係止部材)を設ける一方、このピン16をアンロック可能にロックする係脱手段は上部フレーム45に設けられている。
上述の係脱手段の構成は図12、図13に示す通りである。
【0033】
すなわち、上述の上部フレーム45の下面に平面から見て横向きT字状のベース部材47を取付け、このベース部材47の一側下面には、その中央部に係止空間17が形成されるように対称構造の受け部材48,48を固定している。
【0034】
而して、上述の係止空間17に位置した部品台車13側のピン16をツイン構造の合計2本の係止ピン20,20(係止部材)でアンロック可能にロックすべく構成している。この実施例では、上述のピン16は前後の受け部材48,48と左右の係止ピン20,20とで囲繞するようにロックされる。なお、係脱手段の他の構成については図3乃至図5で既に述べた先の実施例と同様であるから、同一の部分または同一機能を奏する部分には同一符号を付けしている。
【0035】
なお、上述の受け部材48にはピン16の挿入を容易ならしめる目的で左右両方向へ拡がる案内部48aが形成されている。
このように、上述の枠部6をその左右双方向(横方向)に開放するように垂直状に設けたので、左右何れの方向からも収納部14の入替えを行なうことができる効果がある。
【0036】
また、上部フレーム45、支柱44、下部フレーム46を一体的に連結して枠部6を構成すると共に、上部フレーム45に係脱手段(受け部材48、係止ピン20参照)を設けたので、枠部6の構造の簡略化を図りつつ、上部フレーム45に設けられた係脱手段にて枠部6と収納部14との係合離脱を行なうことができる効果がある。
なお、その他の点に付いては、先の実施例とほぼ同様の作用、効果を奏するので、図10乃至図13において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0037】
[台車構造の第5実施例]
図14乃至図16は台車構造の第5実施例を示す。なお、この第5実施例においては枠部6側の構成に特徴があるので、部品台車13の図示を省略している。
【0038】
すなわち、この第5実施例では平面視でコ字状に形成された可動枠50の前後下部に左右方向に延び、かつ車輪10,10を有する固定枠51,51を配設して、これら両枠50,51により枠部6を構成したものである。換言すれば枠部6を可動枠50と固定枠51とに分割形成したものである。
また、前側の固定枠51の中央前部には上述の連結杆4を取付けると共に、後側の固定枠51の中央後部には上述の連結ブラケット11を取付けて、この枠部6を電動車1および同一構造の他の枠部6と連結すべく構成している。
【0039】
さらに、上述の可動枠50を構成する前部フレーム7の一端前部と、後部フレーム8の一端後部とには一直線状に並ぶように支軸52,52を取付け、これら前後の支軸52,52を固定枠51,51により抜け止めを図りつつ軸支している。
さらにまた、上述の固定枠51の左右両端下面には車輪取付け板を兼ねる枠受け部材53…を固定し、電動車1の進行方向に対して左方が開放するように旋回配置された可動枠50(図14に示す状態)または電動車1の進行方向に対して右方が開放するように旋回配置された可動枠50をこれらの枠受け部材53…にて受け止めるように構成している。
【0040】
また、上述の各旋回位置における可動枠50の振動、位置ずれ挙動を防止する目的で、固定枠51側の孔54から可動枠50側の孔にロックピン55を着脱可能に挿入すべく構成している。
さらに、上述の各固定枠51,51の中央上面には上下方向に延びる所定高さの支柱56,56を立設し、これら各支柱56,56にもロックピン55着脱用の孔57を形成し、図15、図16に仮想線αで示すように支軸52を旋回中心として可動枠50を垂直状に旋回配置した時、この孔57からロックピン55を可動枠50側の孔に挿入して、可動枠50の垂直状態を確保すべく構成している。
【0041】
上述の可動枠50を左右水平方向に旋回配置する場合には、図1、図2または図6に示す高さ方向の規制を受けない部品台車13を用い、可動枠50を垂直状に旋回配置する場合には、図10、図11に示す部品台車13を用いる。但し、可動枠50を垂直状と成して部品台車13を係脱可能に結合する場合には、受け部材18の構造上、図10、図11に示すピン16に代えて門形状の被係止部材(図示せず)を用いる。
また、部品台車13の充分な高さを確保する目的で、可動枠50における側部フレーム9を前後の両フレーム7,8に対してロック、アンロック可能な伸縮構造と成してもよい。
【0042】
このように構成すると、可動枠50の旋回位置決め操作により、部品台車13を左右何れの方向からも入替え得る態様と、左方の一方向のみから入替え得る態様と、右方の一方向のみから入替え得る態様とに選択切換することができる効果がある。
なお、その他の点については先の実施例とほぼ同様の作用、効果を奏するので、図14乃至図15において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0043】
次に図17乃至図20を参照して台車を用いた運搬方法について説明する。
この運搬方法には、上記各実施例の電動車1、台車5のうちの何れかを用いるが、図17乃至図20においては図示の便宜上、これらの構造を概略的に示し、この概略平面図を用いて運搬方法を説明する。
【0044】
[運搬方法の第1実施例]
図17は運搬方法の第1実施例を示し、自動車等のワークを組立てる組立ステーションST1の側方に台車置場58を設定し、電動車1で牽引される複数台の部品台車13…を台車置場58の側方にて停止させ、図17に矢印で示すように電動車1で牽引されてきた実部品台車13(その収納部14に組立に供される部品が収納されている台車のことで以下単に実台車と略記する)と、台車置場58側の空になった部品台車13(その収納部14の部品が組立に供されて空になった台車のことで、以下単に空台車と略記する)とを入替える方法である。
このように、実台車と空台車とを入替えると、空台車の置きスペースが不要となる効果がある。
【0045】
[運搬方法の第2実施例]
図18は運搬方法の第2実施例を示し、自動車等のワークを組立てる組立ステーションST2の側方に台車置場58を設定し、電動車1で牽引されてきた実台車13A(四角内にX印を施して示す)を一ヶ所でまとめて切離し、既にまとめられている空台車13B(四角のみで示す)を枠部6に係合して、電動車1にて回収する方法である。なお13C(四角内に1つの対角線を施して示す)は収納部14内の部品(物品)を途中まで組立に供した仕掛り台車である。
【0046】
このような複数台車による一括連結、一括切離し方法によると、枠部6に対する部品台車13の切離し、接続が一回でよく、電動車1の停止時間の短縮を図ることができると共に、部品供給タイミングの自由度が向上する効果がある。
【0047】
[運搬方法の第3実施例]
図19は運搬方法の第3実施例を示し、自動車等のワークを組立てる複数の組立ステーションST3,ST4の両側方に複数の台車置場58,58を設定し、電動車1で牽引されてきた実台車13を枠部6から切離して台車置場58に順次置き、空いた枠部6に対して次の台車置場58の空台車を順次接続する方法である。
この場合、枠部6から実台車イを切離してポジション13Dに置き、電動車1は走行して実台車ロを切離してポジション13Eに置くと共に、ポジション13Eの空台車をイが切離されて空になった枠部6に接続する。
【0048】
ポジション13Fでは実台車ハを切離して置くと共に、ロが切離されて空になった枠部6にポジション13Fの空台車を接続する。なお、ポジション13Dの空台車は別の電動車1あるいは次の便の電動車1にて回収する。
このような運搬方法によると、複数の組立ステーションST3,ST4または複数台車置場58(各台車13D〜13Gの位置参照)で実台車と空台車とを順次交換することができる効果があると共に、電動車1の停車時間短縮を図ることができる効果がある。
【0049】
[運搬方法の第4実施例]
図20は運搬方法の第4実施例を示し、混流生産により自動車X,Y,Z,ワークを順次生産順序に合わせて組立てる複数の組立ステーションST5,ST6の両側方に複数の台車置場58,58を設定し、左右で対を成す部品(例えばシートベルト、マット、トリム、ガーニッシュその他)を各ポジション13SR,13SL,13TR,13TL,13UR,13UL,13VR,13VLにて組立て、かつ1第の台車(電動車1とこれに牽引された複数台の部品台車13…の1組)にて部品を迂回経路60を介して補給する時、例えば図20に実線で示す位置(自動車Xに対する部品供給位置)の電動車1が同図の仮想線で示す位置に移動するのに要する迂回時間の間に3台目の自動車Zがポジション13SR,13SL間にタクト搬送されるものとした時、部品台車13Hの収納部14には自動車Xに対する部品(例えばシートベルト)を予め収納し、部品台車13Jの収納部14には上述の迂回時間を見込んで自動車Zに対する部品(例えば仕様を異にする同一の部品で例えばシートベルト)を予め収納して運搬する方法である。
【0050】
このように、1台の台車にて部品(物品)を迂回経路60を介して補給する時、上述の収納部14(物品台車13Jに相当する収納部)には予め迂回時間を見込した部品を収納したので、組立順序を考慮した部品の供給を行なうことができる効果があり、特に混流生産にて自動車X,Y,Zなどのワークを組立てる際、その仕様を異にする各種部品を混流生産順序に対応して円滑に供給することができる効果がある。
【0051】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の物品は、実施例の自動車の組立に必要な部品(例えばシートベルト、マット、トリム、ガーニッシュその他)に対応し、
以下同様に、
台車は、部品台車13に対応し、
牽引車両は、有人タイプの電動車1に対応し、
係脱手段は、部品台車13側のピン16、枠部6側の受け部材18,48、係止ピン20並びに油圧シリンダ38に対応し、
水平軸は、支軸52(図14、図15、図16参照)に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記有人タイプの電動車1に代えて無人牽引車両としてのAGV(オート・ガイド・ビークル)を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 台車構造を示す側面図。
【図2】 図1の平面図。
【図3】 係脱手段を示す拡大平面図。
【図4】 図3のA−A線矢視図。
【図5】 ピンの係合前の状態を示す説明図。
【図6】 回転機構を備えた部品台車の側面図。
【図7】 台車構造の他の実施例を示す側面図。
【図8】 図7の平面視図。
【図9】 油圧シリンダ部分の拡大図。
【図10】 台車構造のさらに他の実施例を示す側面図。
【図11】 図10の平面図。
【図12】 係脱手段を示す拡大平面図。
【図13】 図12のB−B線矢視断面図。
【図14】 本発明の台車構造の実施例を示す平面図。
【図15】 図14のC−C線矢視図。
【図16】 図14のD−D線矢視図。
【図17】 台車を用いた運搬方法を示す説明図。
【図18】 運搬方法の他の実施例を示す説明図。
【図19】 運搬方法のさらに他の実施例を示す説明図。
【図20】 運搬方法のさらに他の実施例を示す説明図。
【符号の説明】
1…電動車(牽引車両)
5…台車
6…枠部
7…前部フレーム
8…後部フレーム
9…側部フレーム
10,15…車輪
13…部品台車
14…収納部
16…ピン
18,48…受け部材
20…係止ピン(係止部材)
38…油圧シリンダ(係脱手段)
50…可動枠
51…固定枠
52…支軸(水平軸)

Claims (1)

  1. 物品を載置し牽引車両により牽引される台車構造であって、
    台車を牽引車両に連結可能で車輪を有する枠部と、
    上記物品を収納し、車輪を有する収納部とに分割すると共に、
    上記枠部と収納部とを係脱する係脱手段を備え、上記枠部を可動枠と、固定枠とに分割し、
    上記可動枠は前部フレームと側部フレームと後部フレームとをコ字状に組合せて構成され、
    上記固定枠は、上記前部フレームの前部と、上記後部フレームの後部とにそれぞれ位置し、
    前後両フレームのコ字状開放端部を前後の水平軸を介して前後の固定枠にそれぞれ回動可能に軸支し、
    上記可動枠が水平にある時、一方にのみ開放する開放状態となり、可動枠が垂直にある時、双方向に開放する双方向開放状態となるように構成された
    台車構造。
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