JP3964057B2 - 漁獲物の開き加工方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、漁獲物の開き加工方法および装置に関し、詳しくは、凍結原料魚の開き加工を自動的に行うための開き加工方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は、従来のあじ、えぼだい、かますなどの漁獲物の開き加工工程を示している。凍結されたあじ等の原料魚が水中または空気中で解凍され(原料解凍工程101)た後、以下の開き加工工程にはいる。
開き工程102において、作業者が背骨に沿って包丁をいれ、背びれ側の一部を残して魚体をに二枚に分割し、内臓およびえらを包丁先で除去する。その後背びれ側(外皮側)を下にして背びれ線を中心に骨付き側と骨無し側に魚体を開く。各作業者は10枚程度加工品が貯まると頭尾を揃えて四角い籠またはプラスチック容器等の中に横立にして納める。
籠が一杯になると籠ごと水槽に入れて洗浄する。さらにホースまたはシャワーで血のりや内臓付着物を水で洗い流す(洗浄工程103)。洗浄後水切りして、籠を数段重ねにして15%前後の濃度を有する塩汁浸漬槽に適当な時間間隔で浸漬する(塩汁浸漬工程104)。浸漬が終わると再び水槽とシャワー等で水洗する(洗浄工程105)。
次に人手により網板上に整列させて、ラック車に多段格納し、乾燥庫に送り乾燥する(乾燥工程106)。乾燥は冷凍機を用いて冷風を作り、電気ヒータ等で常温近傍まで昇温し、ファンで送風する。風はラックの棚の間を吹きぬけながら魚体を乾燥させる。
【0003】
乾燥工程106を終わると、ラック車のまま凍結庫に入れて凍結する(凍結工程107)。凍結を終了した被加工物は樹脂製トレーに適当数を並べてラップ包装し、段ボールに詰めて(包装工程108)、冷蔵庫に保管する(冷蔵保管工程109)。保管品は発注に応じて順次出荷される(出荷工程110)。以上が現在行われている伝統的な漁獲物の開き加工法の概要である。
【0004】
図9は、上記塩汁浸漬工程104で使用されている従来の塩汁浸漬槽の構造の一例を図示したものである。浸漬槽42内は仕切板に43より大槽44と小槽45に分けられている。大槽44に塩汁46が適量満たされている。被加工物が収納されたプラスッチック容器47を多段積みにして槽内に沈めると余分な塩汁はオーバーフローして隣接の小槽45に貯められる。小槽45内の塩汁の一部をポンプ48によりクーラ50に導き、冷却後大槽46に戻す。一定の浸漬時間経過後引き上げられたプラスッチック容器47は次の洗浄工程105に送られる。このバッチ処理による浸漬時間のため、本工程の前後に相当の待ち時間が必要とされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の凍結原料魚の解凍工程101は、魚体を空気に曝した自然解凍、または水を満たした容器中での流水解凍である。これら解凍法における衛生上の問題点は鰓、魚体表面および内臓等に生息する細菌の増殖である。解凍過程では魚体の温度が表面部から次第に上昇し、表面の一部ではかなり初期から空気または水の温度に近い状態に放置されることになる。解凍直前まで静菌状態にある魚体表面上の細菌が解凍開始とともに活性状態に置かれ、同時に鮮度の急激な低下を引き起こす。解凍終了時の細菌増殖は以後の加工工程に重大な影響を及ぼす。実際の細菌数測定の結果もこれを裏付けている。しかもその後の開き加工工程は室温状態でおこなわれるため、内臓内部を含めて細菌の増殖は重大な潜在危害となり得る。
【0006】
また、塩汁浸漬工程104における衛生上の問題点は、槽内細菌の蓄積と増殖である。細菌の蓄積は魚体表面からの接触汚染とプラスッチック容器(箱)47の表面からの接触汚染により引き起こされる。特にプラスチック容器47自体の汚染度は洗浄・殺菌および取り扱い方により大きく変動する。特に網状容器の完全洗浄は難しいため、容器の槽内浸漬には大きな問題がある。
【0007】
また、上記塩汁浸漬槽42では、槽42内の塩汁は短期間で定期交換されることは希であり、伝統的ノウハウに基づいて相当長期間使用される。このため溶液内への細菌蓄積が問題となる。生菌数検査の結果もこれを裏付けている。一般には塩汁の交換期間が短いほど製品の日持ちが良いといわれている。
【0008】
このような塩汁の長期使用において衛生的問題の発生をあまり聞かないのはその料理法と塩分濃度によると考えられる。焼き魚として食されること、および、塩汁濃度が塩分15%前後の高濃度であることがその理由と考えられる。しかしながら、ブドウ球菌の増殖最低濃度は20%前後、増殖下限温度は6.6℃程度であることを考慮すると、温度および濃度の管理を徹底しないと必ずしも安心できる状態ではない。
【0009】
塩汁浸漬工程では解凍工程と同様に濃度と温度は重要管理点として管理されるべきである。槽内の細菌は厳しい静菌環境に置かれているとはいえ、直ちに死滅するわけではなく、蓄積により細菌数は次第に増加し、飽和状態に達すると思われる。実測の結果もこれを裏付けている。
【0010】
魚の開き作業は上述のような伝統的な方法と職場とで行われている。日本の伝統的な食品加工法には古来の知恵が隠されており、衛生学的にも肯定される優れた加工法に基づくものが多い。魚の開き加工品もそのような伝統食品の一つであり、しかも殆どが焼き魚として食卓に運ばれるため、食中毒等の問題はあまり聞かない。
しかしながら、食文化も多様化し、魚の開き加工品のような伝統的食品も、例えば、乾燥度、乾燥法、塩分濃度、生産量、原魚の状態などが現在では相当異なってきている。前浜の獲りたての魚に十分な塩を加えて、幾日も炎天下で乾燥した昔の開き加工品と、上述の加工法で輸入冷凍魚を交えて一年中多量に作られている現在の開き加工品と比較するとその違いは明らかである。
食文化の多様化にともなって食品の安全性に対する要求と重要性はますます増大している。食品衛生法の規制内で個人の衛生感覚にまかせて食品を加工するというだけでは真に安全でおいしい食生活を保証することは難しい。科学的な危害分析に基づいて的確な予防措置を講じ、危害を未然に防止すると同時に食品本来の品質を保持できる方法と装置により製造することが好ましい。
【0011】
食品の取り扱い工程において、温度が重要管理点となる。その理由は次の通りである。
第一の理由は細菌の増殖である。食品に付着した食中毒菌や腐敗・変敗菌は通常の環境温度下で急速に増殖する。しかしながら、10℃以下の温度において増殖速度は急速に低下し、3℃以下では有害な食中毒菌の増殖は停滞する。マイナス18℃以下では全ての細菌の増殖が停止するといわれている。このように何らかの方法で細菌の増殖を阻止することを静菌と呼んでいる。
アレルギーを引き起こす原因物質にヒスタミンがある。この化学物質は魚体に生息しているヒスタミン生成菌により作られる。したがって、ヒスタミンの生成を抑制するには魚体を低温に維持してヒスタミン生成菌の増殖を阻止することが重要である。
第二の理由は鮮度である。加工用原料魚の鮮度はトリメチルアミンの生成量で示される。蛋白質が細菌により腐敗させられるとこのトリメチルアミンが生成される。一方、刺し身などの生鮮度を表わすにはK値が使われる。開き加工用原料魚の場合は、刺し身に要求されるようなプリプリした感じの鮮度は必要とされないが、蛋白質が新鮮な状態に保たれていること、すなわち、腐敗によるトリメチルアミンが発生していないことが必要である。
さらにこの新鮮な原料魚を新鮮な内にすばやく加工して、加工完了時でも依然新鮮状態が維持(トリメチルアミンの生成が少ない)されていることが必要である。刺し身として不適当な状態(自己消化によりK値が上昇)に達しても、腐敗によるトリメチルアミンの生成が抑えられている期間がある。この期間は魚体が低温に維持される程長くなる。この期間内に全加工工程を終了させることが美味しい干物を製造するための要諦である。
以上の理由により、魚体温度は漁獲時から加工終了時までの間できるだけ低温に維持されることが望ましい。魚体温度がHACCP(食品の総合的衛生管理システム)における重要管理点となるのはこの様な理由による。加工工程中にどうしても魚体温度の上昇が避けられない場合は、その時間帯をできるだけ短くすることが肝要である。
【0012】
温度の他に、細菌の増殖を抑えるための重要管理点として水分活性がある。魚体中の自由水の量が減ると水分活性は低下する。食品中の水分活性値(最少:0 〜最大:1.0 )が低下するに従い静菌作用は大きくなり、ある値以下になると細菌の増殖は停滞する。水分活性が重要管理点となりうるのはこのような理由による。
次に水分活性と水分濃度の関係について述べる。水分活性は水溶液中の溶質濃度により変化する。砂糖や塩分を含んだ水溶液は純粋の水に比べて水分活性値は低下する。多量に加塩された新巻きサケや塩辛、多量に加糖された羊羹などが腐敗しないのは水分活性値が低く保たれているからである。
【0013】
最後にHACCPにおける魚体洗浄の意味について考える。通常の魚体加工において殺菌剤が使用されることはほとんない。したがって、魚体表面の細菌数を減らすには洗浄が主たる手段となる。ある工程以降の工程が完全に静菌管理下にあるとすれば、その工程直前の生存細菌数がその食品の残存細菌数となる。凍結食品においては凍結工程直前の洗浄工程において残存細菌数が決定されるため、洗浄工程が重要管理点となる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、静菌、鮮度および水分活性の観点より、開き加工の全工程を改良し、生産性が高く安全で美味しい漁獲物の開き加工方法および装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するべく、本発明の漁獲物の開き加工方法は、塩分濃度が3%以上濃度20%以下の塩分水溶液を使用して凍結原料魚を魚体中心部に凍結状態が残されている状態で、かつ曲がり修正が可能な半凍結状態まで解凍を行う凍結原料魚の解凍工程と、
前記魚体を移動させて回転カッタで切断し開き加工を行った後、内臓除去、魚体洗浄、水切りの各工程を自動的に行う開き加工工程と、
前記魚体を塩汁浸漬槽に浸漬する塩汁浸漬工程と、
前記魚体をコンベア上に整列させ、洗浄室の水噴射ノズルで洗浄した後水切り室の空気噴射ノズルで水切りさせる整列・洗浄工程と、
搬送コンベア上に魚体を積載し、乾燥室においては乾燥空気を、凍結室においては凍結用低温空気を、各々のノズルヘッダーから噴射する乾燥・凍結工程と、からなることを特徴とする。
【0015】
前記解凍工程は、凍結した魚体を解凍槽中の塩分濃度が3%以上濃度20%以下の塩分水溶液からなる解凍水に入れ、前記解凍槽中の底部より前記解凍水の一部を導出し、濾過器を通過させた後、昇温器を通して昇温された解凍水を前記解凍水槽の上部より一様に散布して、該解凍水をその塩分濃度に対応した管理点温度以下に維持することを特徴とする。
【0016】
前記開き加工工程は、魚体中心部に凍結状態が残されている状態で、かつ曲がり修正が 可能な半凍結状態まで解凍されている魚体を頭尾方向に沿って背びれ側の一部を残して回転刃により背骨側と反背骨側に両断する切断工程と、切断された魚体を開き誘導部材を通すことにより二枚に開く開き工程と、ノズルからの噴射水を用いて内臓部を除去する内臓除去工程と、ノズルからの噴射水を用いて魚体の表裏両面上に付着する汚染物を洗い流す洗浄工程と、空気噴射ノズルを用いて被加工物に空気を噴射して水切りを行う水切り工程と、からなることを特徴とする。
【0017】
前記塩汁浸漬工程は、前記塩汁浸漬槽の塩汁を濾過装置、殺菌装置、冷却器を通した後該塩汁浸漬槽内に戻す塩汁循環を行うことを特徴とする。
前記整列・洗浄工程と前記乾燥・凍結工程における各々の搬送コンベアを略同期化させて運転し、魚体を両工程において略同一配列で搬送することを特徴とする。
【0018】
前記乾燥・凍結工程は、トンネル式フリーザの前半部を乾燥室、後半部を凍結室として区画し、各々の室に設置された搬送コンベアに近接してノズルヘッダーを設け、前記乾燥室において該ノズルヘッダーから乾燥空気を前記魚体表面に噴射させることにより乾燥し、さらに前記凍結室内において前記ノズルヘッダーから低温空気を魚体表面に噴射して急速に凍結することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の漁獲物の開き加工装置は、塩分濃度が3%以上濃度20%以下の塩分水溶液を使用して凍結原料魚を魚体中心部に凍結状態が残されている状態で、かつ曲がり修正が可能な半凍結状態まで解凍を行う解凍手段と
前記魚体中心部に凍結状態が残されている状態で、かつ曲がり修正が可能な半凍結状態の魚体を挟持してテーブル上を移動させる一対の移動ベルトと、
前記移動ベルト間に設けられ、前記魚体を背びれ部分を残して背骨全長に渡り切断する回転カッターと、
切断された前記魚体を二枚に開く開き誘導部材と、
開かれた前記魚体に水を噴射して内蔵を除去する水噴射ノズルと、
魚体に洗浄水を噴射して洗浄を行う洗浄水噴射ノズルと、
魚体に空気を噴射して水切りを行う空気噴射ノズルと、を備えたことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を例示的に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構造部品の寸法、材質、形状、相対位置などは特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の漁獲物の開き加工方法の実施の形態を示す工程図である。
原料受入れ工程1を経て、凍結原料魚は解凍工程2で解凍される。この時の解凍溶液の濃度と温度は重要管理点(CCP1)であり、主に原料の危害分析の結果により決定される。
解凍された原料魚は自動搬送装置で開き加工工程3に送られる。この開き加工工程3は、開き加工3a、内臓除去3b、魚体洗浄・水切り3cを同一装置内で自動的に行う。この開き加工工程3における水圧、洗浄時間、洗浄水温度などの洗浄条件は一般的衛生管理事項(PP1)として、洗浄効果の検査結果を参考にして決められる。
【0021】
開き加工工程3を終了した被加工物は自動搬送装置により塩汁浸漬槽内に送られ,塩汁浸漬工程4が行われる。塩汁の濃度および温度は重要管理点(CCP2)として管理される。その他の殺菌装置の運転条件(加熱時間・加熱温度・循環回数、冷却温度、ポンプ圧、濾過器の交換時間等)は一般的衛生管理事項(PP2)として管理される。
【0022】
浸漬工程4を終えた被加工物は整列洗浄工程5に送られ、整列機5a、洗浄機5bを用いて被加工物の最終洗浄が行なわれる。洗浄コンベア上の被加工物の配列がそのまま乾燥凍結コンベア上に移される。本洗浄工程5は残存細菌数を決定する重要な工程であり最終製品の衛生品質に大きく影響する。洗浄水温度、洗浄時間、洗浄水圧等の洗浄条件は重要管理点(CCP3)として管理される。以上の工程1〜工程5が準清潔作業区域Aで行われる。
【0023】
次いで、乾燥・凍結工程6を行う。乾燥・凍結工程の搬送コンベア速度、温度、湿度等の乾燥条件およびノズル吹き出し温度、流速等の凍結条件はそれぞれ重要管理点(CCP4,CCCP5)として管理される。
凍結を終えた被加工物は,包装7、金属探知8、箱詰め9、冷蔵保管室での保管工程10等を経て出荷11される。これらの工程7〜10は既成の装置により管理可能な通常工程である。以上の工程6〜工程11が清潔作業区域Bで行われる。
【0024】
以下、各工程の詳細を説明する。
図2は、前記解凍工程2の一例を示している。本発明では、解凍工程における有害細菌の増殖を防止するため、静菌状態で解凍し、解凍品質の低下を最少に留める方法を提示するものである。
塩分濃度20%以下の水溶液15を満たした解凍槽16に凍結魚17を入れて解凍する。底部の粗金網18を通して導出された解凍水は、ポンプ19により加圧され、濾過器20および昇温器21に送られる。昇温された循環水は解凍槽16の上部に設けられたシャワーノズル22より水溶液15の水面全体にわたり均等に散布される。
【0025】
前記昇温器21は魚体の融解熱により低温化された解凍水を昇温するためのものである。解凍槽内の水溶液15の温度は温度センサ23で検知され、この検知信号で昇温器21付属の流量調整弁24を操作することにより、水溶液15の温度は任意の温度に設定される。熱源供給用媒体としては通常の冷却水や海水等が使用可能である。解凍槽16内の解凍水温度は解凍水濃度および原料魚の履歴(漁獲者、漁獲領域、保管状態等)により決定される。場合によっては解凍後の諸工程の状態等を考慮して解凍条件(解凍水の濃度・温度)を厳しくしたり、緩くしたりすることも可能である。
【0026】
食中毒菌の中で最大の低温耐性を有するボツリヌス菌E型の増殖最低温度が3.3℃であり、増殖最低水分活性値は0.97(塩分濃度5%程度に相当)である。塩分濃度が0%のときは解凍水の温度は3℃程度とすることが望ましいが、塩分濃度が3%以上の時は3℃以上の解凍水温度でも静菌は可能となる。
【0027】
以下に解凍水の濃度と温度の関係についてさらに考察する。解凍槽16内の解凍水は濃度20%以下の塩分水溶液を使用する。一部の好塩菌を除いて殆どの食中毒菌および一般細菌は水分活性値0.9以下では増殖できないといわれている。常温状態における塩分濃度15%程度の水溶液の水分活性値は0.9以下である。塩分の多いほど水分活性値は小さくなるが、加塩に要するコストや排水の濃度規制等を考慮するとあまり高濃度溶液は使用できない。増殖下限条件の最も厳しい食中毒菌であるブドウ球菌の増殖最低水分活性値は0.87(最低増殖温度=6.6°C)程度であり、その時の食塩濃度は20%程度である。この様な理由から塩分濃度の上限は20%程度と考えて良い。
【0028】
以上の考察より原料魚および加工工程の危害分析に基づいて、解凍水の塩分濃度と温度を最適値に決定することができる。濃度を上げて温度を甘くするか、濃度を薄くして温度を下げるかは製造現場の状況に合わせて決定すればよい。
例えば、海岸の加工場では解凍水として天然の海水の利用が可能である。海水の濃度に対する水分活性値は0.982程度であるから、腸炎ビブリオ菌(海水が最適の生息環境、増殖最低温度=10°C)の増殖を抑えるためには10°C以下の魚体温度で解凍する必要がある。ブドウ球菌(増殖最低水分活性値≒0.87、増殖最低温度=6.6°C)の潜在的危害の可能性がある場合は6.6°C以下の魚体温度に維持すれば海水を用いて腸炎ビブリオ菌とブドウ球菌の増殖制御が可能となる。
【0029】
上記のような解凍工程により、原料魚の状態と最終仕上がり製品の品質(保菌状態、味、日持ち等)を考慮して解凍条件を決定することが可能となる。さらに、加工工程において解凍の程度(完全解凍、半解凍、微解凍等)が魚体の静菌と品質に影響を与えるが、本解凍装置を用いれば解凍の程度を自在に制御することが可能となる。
【0030】
図3(a)は、前記開き加工工程3を行うための開き加工装置の概要を示す図であって、27は位置決め兼用の一対の移動ベルト、34はテーブル、30は搬送コンベアを示す。搬送コンベア30上には、内蔵除去ノズル32、水噴射ノズル37および空気噴射ノズル38がこの順序で配置されている。40は各ノズルの間に設けられた仕切板である。
【0031】
以下、開き加工工程3を図3(b)以下の各部分の動作により説明する。
<切断工程>
図3(b)および(c)において、背びれを下側にして頭から頭尾方向に魚体投入口26より投入された魚体17は、一対の魚体位置決め兼用の移動ベルト27に挟み込まれて、移動ベルト27の移動とともにテーブル34上を長手方向に移動して行く。魚体投入口26から適当な位置に移動ベルト27と直交方向の回転軸29を有する回転カッタ28が取り付けられている。魚体17は回転カッタ28の部分を移動中に背骨全長に渡り下部の背びれ部分17aを残して両断される。
【0032】
本切断工程投入直前の魚体はできるだけ曲がりのない直線状態が望ましい。魚体が曲がっていると、背骨に沿った切断ができないため商品価値が低下する。凍結状態で加工された魚体は、以後の加工工程中における温度上昇が抑制されるため好都合であるが、完全凍結状態の魚体は曲がりの補正が難しく、無理に伸ばすと折れて商品価値がなくなる。そこで、魚体中心部に凍結状態が残されている状態で、かつ曲がり修正が可能な半凍結状態の解凍が最適な解凍条件ということになる。内部が適当な凍結状態で加工されれば、両断された内臓部が周囲に飛び散ることがなく、腸内細菌等の汚染を最少にできる。
【0033】
<開き工程>
図3(b)および(c)において、移動ベルト27の終端部の手前近傍部に洗浄搬送コンベア30および開き誘導部材31を設け、開き誘導部材31を通過中に魚体17は左右に開かれ、搬送コンベア30上で一枚の開き状態の魚体17bとなる。なお、17cはまだ除去されていない内蔵部を示す。
【0034】
<内臓除去工程>
図4(d)および(e)において、開き状態の魚体17bの上部に水噴射ノズル33を設置する。ノズル形状は、(f)のようにノズル筒32に形成した孔状のもの、あるいは(g)のようなスリット状のいずれでもよい。開き状態の魚体17bの頭部から内臓部17cに適度に加圧された低温清浄水を水噴射ノズル33から噴射してこの噴射力で内臓部17cを除去させる。この時内臓部17cが適当な凍結状態にあると、除去が容易となり、飛散も少ない。水噴射ノズル33は固定式でも良いが、矢印35、36のように前後左右に動く可動式が好ましい。
【0035】
<洗浄工程>
図4(h)および(i)において、開かれた魚体17の上面および下面に洗浄水噴射ノズル37を設けて、上下両面より低温洗浄水による洗浄を行う。この洗浄水噴射ノズル37も上記(f)または(g)と同じものでよく、また、前後左右に動く可動式のものでも良い。
【0036】
<水切り工程>
図4(j)および(k)において、洗浄工程と同様の構造を有する空気噴射ノズル38から空気を噴射して、開き状態の魚体17bの水切りを行う。開き状態の魚体17bが洗浄水で濡れていると塩汁浸漬槽内の溶液濃度の低下が激しくなるため、この水切り工程が必要となる。
図3(a)に示す仕切板40は、各工程における飛沫の影響を防ぐためのものである。以上の工程は加工時間の短縮と作業者および周囲からの交叉汚染を防止するため、自動的に行なわれる。なお、上記の魚体の固定、移動、切断、開き、洗浄等の各手段はは単なる例示であり、上記一連の工程を完全自動化し、魚体を左右に開いた状態でノズルから噴射される清浄な低温流水により内臓除去と魚体表裏の洗浄を行う加工方法であればいかなる手段でもよい。
【0037】
図8の従来法では、人手による開き作業と内臓除去を行ったあと、作業者が内臓と血液が付着した状態の被加工物を網状のプラスッチック容器に適当数量を収納し、洗浄工程103にまわす。この室温下での収納作業、運搬作業および待ち時間帯における鮮度低下と細菌の増殖が問題となる。木製まな板や木製作業台の洗浄殺菌管理不良による細菌増殖および交叉汚染も当然問題となる。
【0038】
次の洗浄工程103は、通常流水槽内に上記プラスッチック容器を通過させ、さらにシャワリングにより再洗浄する。洗浄工程の問題点は待ち時間における鮮度低下と細菌の増殖および洗浄不良である。容器に収納された状態での被加工物の洗浄効果には問題がある。容器の洗浄殺菌不良による洗浄水の汚染の可能性は大である。
【0039】
従来の開き工程102および洗浄工程103における前述の問題点を解決するため、本発明では工程中の温度上昇を抑制するために被加工物の解凍状態の最適化(半解凍)と低温洗浄水の利用をはかり、交叉汚染の防止と工程所用時間の短縮のために加工・洗浄工程の完全自動化を行い、付着細菌数低減のためノズル噴射水による効果的洗浄を行う。ノズル噴出水による被加工物の全面洗浄は、従来のシャワリング洗浄や水槽内通過洗浄に比べて、はるかに強力かつ確実な洗浄効果を発揮し、使用水量を最少に抑えることができる。なお、本発明においては、従来の箱および箱詰め・包装工程108がないため、箱および箱詰め作業が不要になる。
【0040】
次に、図5により塩汁浸漬工程4を説明する。塩汁浸漬槽52の下部より溶液の一部をポンプ53に導き、加圧液を濾過装置54、加熱器55、冷却器56、殺菌筒57に送り込み、塩汁浸漬槽52の上部より槽内に戻す。殺菌筒57の設置位置は図示の位置でも良いし、加熱器の前または加熱器と並列としても良い。しかし、塩汁浸漬槽に戻される循環溶液は必ず冷却器56で冷却されていることが必要である。通常の浸漬工程作業中においては殺菌筒のみが使用され、加熱器55は使用されない。殺菌筒57の内部には紫外線殺菌装置等が組み込まれており、作業工程中の細菌数を一定値以下に制御することができる。紫外線の殺菌効果は溶液の透明度の影響をうけるので、濾過装置54の出口側に殺菌装置を設置することが好ましい。冷却器56は塩汁温度を管理点温度以下に維持するために必要である。
【0041】
加熱器55は通常の浸漬作業終了後に使用される。加熱器55の熱源は蒸気でも良く、ガスの燃焼熱でも良い。加熱温度は通常100℃程度とし、加熱後に必ず冷却器を通して低温溶液として塩汁浸漬槽に戻す。塩汁に溶け込んでいる魚体由来の蛋白質等の有機物は加熱により変質し、塩汁独自の旨み成分(ダシ)を形成する。加熱工程の目的は第1に殺菌、第2にうまみ形成である。溶液の総循環量を全溶液量で割った値が溶液の循環回数である。循環回数は塩汁浸漬槽52内の残存細菌数を調べて決定される。循環回数が増える程槽内の細菌数は減少する。特別な理由により、浸漬作業中において細菌数を特に低減したい時は殺菌筒57と加熱器55を併用することが可能である。
【0042】
箱使用による浸漬槽内塩汁溶液の汚れ防止と工程前後の待ち時間解消のため、槽内に専用の浸漬・搬送コンベア(図示せず)を設置し、被加工物の入り口および出口の受け渡しも自動化することが可能である。槽内コンベアを含む自動化装置は既成のものが使用可能である。
【0043】
図6は整列洗浄工程を示す。本工程は整列工程と洗浄工程よりなる。整列機60は洗浄機61の洗浄および水切りが完全に行なわれるように、被加工物(魚体)17の前後左右の間隔を確保させるためのものである。洗浄工程は塩汁の色素付着による被加工物の表面汚れの除去と生残菌数低減のためのものである。
本洗浄工程により、被加工物の残存菌数が決定されるため、本洗浄工程は重要管理点となる。洗浄工程は、洗浄機コンベア66上で被加工物(魚体)17を搬送し、洗浄室64に設置された水噴射ノズル62を用いた水洗浄と、水切り室65に設置された空気噴射ノズル63を用いた水切り工程とで行われる。洗浄機コンベア66の搬送速度は遅いので、固定ノズル方式よりも移動ノズル方式が便利である。ノズル62、63をコンベアの長手方向に移動させて、洗浄および水切りを効率的に終了させる。ノズル62、63はコンベアの上面・下面に図示の如く取付け被加工物の全面を洗浄可能な構造とする。
【0044】
洗浄機コンベア66上から送られた被加工物(開き状態の魚体)17bを、乾燥・凍結室68内の乾燥・凍結機コンベア67上で搬送しながら乾燥・凍結を行う。なお、水切り室65と乾燥・凍結室68とは防塵フード69で連結されている。洗浄コンベア66上の被加工物(魚体)17の配列と乾燥・凍結コンベア67上の配列は概略同一とする。そのためには、洗浄機コンベア66の幅W1、搬送速度V1と、乾燥・凍結コンベア67の幅W2 、搬送速度V2とは概略同一とすることが好ましい(図6(a)参照)。
【0045】
図7は乾燥凍結装置の一例を示す。本装置の特徴は同一コンベア上で乾燥と凍結の両工程を最短の時間と距離で行い、網状トレーおよびラック車を使用することなく、短時間に安全で高品質の製品を連続生産できるようにしたことである。
図7において、乾燥室71と凍結室74のトンネル内に搬送コンベア70が設置されている。搬送コンベア70上に重なることなく並べられた被加工物(魚体)は、トンネル内の乾燥室71に設けられたノズルヘッダー72上の平行スリットノズル73(図7(b)参照)から噴出される乾燥空気により速やかに表面から内部に向けて乾燥される。このような平行スリットノズル73による噴流空気の特徴は効果的な伝熱特性にある。送風機による通常の気流に比べてはるかに優れた伝熱特性を有する。凍結時はもとより乾燥時においても大幅な乾燥時間の短縮が可能となる。さらに、搬送コンベア70をネットコンベアとし、図示のように上下両面側にノズルヘッダー72、72を設けることにより乾燥効果を倍加することが可能となる。
【0046】
次に乾燥空気の供給法の一例を示す。ブロワー76により吸引された乾燥室内空気は蒸発器77で冷却されて、余分な水分は凝縮除去される。乾燥空気の温度は通常20℃前後であるから、蒸発器77を出た空気を、凝縮器78を通して昇温する。凝縮熱源の不足は図示のように冷却水により補給される。乾燥空気の温度はこの冷却水量により自由に設定される。凝縮器78で調温された空気は乾燥室71内のノズルヘッダー72へ送られる。なお、85は膨張弁、86は圧縮機を示す。
【0047】
乾燥工程を終了した搬送コンベア70上の被加工物は凍結室74に運ばれる。トンネル内の空間は仕切壁75により乾燥室71と凍結室74に仕切られている。凍結室74内には乾燥室71と同様なノズルヘッダー80を設けて低温空気を平行スリットノズルから被冷却体に噴射する。凍結時間の短縮および被加工物の変形防止を意図する時はノズルヘッダー80をベルト搬送面70aの上下両面側に設けることができる。冷気は図示のように通常の冷凍サイクルを用いて供給される。凍結室74内の空気はブロワー81により蒸発器82に送られ、凍結用冷気がノズルヘッダー80に送られる。圧縮機86で圧縮された冷媒ガスは凝縮器87で凝縮され、膨張弁85を介して蒸発器82に送られる。
【0048】
乾燥工程と凍結工程は一体の閉じたトンネル内で行なわれるため、人体・飛沫その他の外部環境からの交叉汚染は完全に防止される。凍結工程を終了した被加工物(魚体)は、図示しない搬送コンベアで自動包装装置に運ばれ包装される。乾燥工程の入り口で食品の衛生品質は決定されるので、以後の工程はクリーンゾーンすなわち前記清潔作業区域B内で行なわなければならない。トレーなどに包装された製品は簡易的な汚染防止の状態となるが、完全に安全を確保された状態ではないので、以後の箱詰め、冷蔵保管、出荷の作業等もクリーンゾーンで行なわれる必要がある。当然のことながら、作業マニュアルに基づいた作業の遂行が必要である。
【0049】
従来の加工法では塩汁浸漬工程104を終えると洗浄工程105に入る。洗浄された被加工品は網状トレーの上に人手により配列される。この網状トレーをラック車の棚に多段重ねで格納し、ラック車ごと乾燥室に送る。これらの工程における衛生上の問題点は人手による交叉汚染、網状トレーおよびラック車による交叉汚染、土足等による交叉汚染により、汚染される。被加工物が直接接触する網状トレーおよびラック車の洗浄殺菌等の衛生管理(一般的衛生管理プログラム)を徹底させないと交叉汚染の防止は困難である。本発明はこの様な乾燥工程および凍結工程における衛生上の問題点を完全に除去することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明の凍結原料魚の開き加工方法および装置によれば、全自動で漁獲物の開き加工が可能となり、生産性の向上、低コスト化が可能となると共に、重要管理点CCP1〜CCP5を管理することにより、漁獲物の開き加工製品の鮮度向上および安全確保が可能となり、美味な開き加工品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の漁獲物の開き加工方法の工程図である。
【図2】 解凍工程に使用される解凍装置の一例を示す説明図である。
【図3】 開き加工工程を行うための装置の説明図で、(a)は全体概略図、(b)は要部の側面図、(c)は要部の平面図である。
【図4】 開き加工工程を行うための装置の説明図で、(d)は内臓除去工程を示す図、(e)は(d)の正面図、(f)は多孔式噴射ノズルの斜視図、(g)はスリット式噴射ノズルの斜視図、(h)は水切り工程を示す図、(i)は(h)の正面図、(j)は水切り工程を示す図、(k)は(j)の正面図である。
【図5】 塩汁浸漬工程を行うための装置の説明図である。
【図6】 整列・洗浄工程を行うための装置の説明図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図7】 乾燥・凍結工程を行うための装置の説明図で、(a)は全体図、(b)はノズルヘッダーの斜視図である。
【図8】 従来の漁獲物の開き加工方法の工程図である。
【図9】 従来の漁獲物の開き加工工程に使用される塩汁浸漬装置で、(a)は概略斜視図、(b)は(a)はA−A線断面図である。
【符号の説明】
2 解凍工程
3 開き加工工程
4 塩汁浸漬工程
5 整列・洗浄工程
6 乾燥・凍結工程
16 解凍槽
17 魚体(凍結魚)
17b 開き状態の魚体(被加工物)
20 濾過機
21 昇温器
27 移動ベルト
28 回転カッター
31 開き誘導部材
32 水噴射ノズル(内蔵除去ノズル)
37 洗浄水噴射ノズル
38 空気噴射ノズル
52 塩汁浸漬槽
54 濾過装置
55 加熱機
56 冷却機
57 殺菌筒
60 整列機
62、63 ノズルヘッダー
66 洗浄機搬送コンベア
67 乾燥・凍結機搬送コンベア

Claims (7)

  1. 塩分濃度が3%以上濃度20%以下の塩分水溶液を使用して凍結原料魚を魚体中心部に凍結状態が残されている状態で、かつ曲がり修正が可能な半凍結状態まで解凍を行う凍結原料魚の解凍工程と、
    前記魚体を移動させて回転カッタで切断し開き加工を行った後、内臓除去、魚体洗浄、水切りの各工程を自動的に行う開き加工工程と、
    前記魚体を塩汁浸漬槽に浸漬する塩汁浸漬工程と、
    前記魚体をコンベア上に整列させ、洗浄室の水噴射ノズルで洗浄した後水切り室の空気噴射ノズルで水切りさせる整列・洗浄工程と、
    搬送コンベア上に魚体を積載し、乾燥室においては乾燥空気を、凍結室においては凍結用低温空気を、各々のノズルヘッダーから噴射する乾燥・凍結工程と、からなることを特徴とする漁獲物の開き加工方法。
  2. 前記解凍工程は、凍結した魚体を解凍槽中の塩分濃度が3%以上濃度20%以下の塩分水溶液からなる解凍水に入れ、前記解凍槽中の底部より前記解凍水の一部を導出し、濾過器を通過させた後、昇温器を通して昇温された解凍水を前記解凍水槽の上部より一様に散布して、該解凍水をその塩分濃度に対応した管理点温度以下に維持することを特徴とする請求項1記載の漁獲物の開き加工方法。
  3. 前記開き加工工程は、魚体中心部に凍結状態が残されている状態で、かつ曲がり修正が可能な半凍結状態まで解凍されている魚体を頭尾方向に沿って背びれ側の一部を残して回転刃により背骨側と反背骨側に両断する切断工程と、切断された魚体を開き誘導部材を通すことにより二枚に開く開き工程と、水噴射ノズルからの噴射水を用いて内臓部を除去する内臓除去工程と、洗浄水ノズルからの噴射水を用いて魚体の表裏両面上に付着する汚染物を洗い流す洗浄工程と、空気噴射ノズルを用いて被加工物に空気を噴射して水切りを行う水切り工程と、からなることを特徴とする請求項1または2記載の漁獲物の開き加工方法。
  4. 前記塩汁浸漬工程は、前記塩汁浸漬槽の塩汁を濾過装置、殺菌装置、冷却器を通した後該塩汁浸漬槽内に戻す塩汁循環を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の漁獲物の開き加工方法。
  5. 前記整列・洗浄工程と前記乾燥・凍結工程における各々の搬送コンベアを略同期化させて運転し、魚体を両工程において略同一配列で搬送することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の漁獲物の開き加工方法。
  6. 前記乾燥・凍結工程は、トンネル式フリーザの前半部を乾燥室、後半部を凍結室として区画し、各々の室に設置された搬送コンベアに近接してノズルヘッダーを設け、前記乾燥室において該ノズルヘッダーから乾燥空気を前記魚体表面に噴射させることにより乾燥し、さらに前記凍結室内において前記ノズルヘッダーから低温空気を魚体表面に噴射して急速に凍結することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の漁獲物の開き加工方法。
  7. 塩分濃度が3%以上濃度20%以下の塩分水溶液を使用して凍結原料魚を魚体中心部に凍結状態が残されている状態で、かつ曲がり修正が可能な半凍結状態まで解凍を行う解凍手段と、
    前記魚体中心部に凍結状態が残されている状態で、かつ曲がり修正が可能な半凍結状態の魚体を挟持してテーブル上を移動させる一対の移動ベルトと、
    前記移動ベルト間に設けられ、前記魚体を背びれ部分を残して背骨全長に渡り切断する回転カッターと、
    切断された前記魚体を二枚に開く開き誘導部材と、
    開かれた前記魚体に水を噴射して内蔵を除去する水噴射ノズルと、
    魚体に洗浄水を噴射して洗浄を行う洗浄水噴射ノズルと、
    魚体に空気を噴射して水切りを行う空気噴射ノズルと、を備えたことを特徴とする漁獲物の開き加工装置。
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