JP3606678B2 - 冷凍魚貝類の解凍法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍魚貝類の解凍法に関するもので、より具体的には適宜の大きさに切断された冷凍魚の断片、冷凍された貝、冷凍エビ、冷凍イカ、冷凍タコ、冷凍鱈子等の冷凍魚貝類を解凍する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、我が国では年間40万トン以上の鮪類を含み多量の魚貝類が消費され、そのうち大半は冷凍品である。冷凍魚貝類のうち代表的な冷凍鮪についてその冷凍並びに解凍方法について以下に述べる。
【0003】
鮪は品質を保持するため、漁獲後直ちに内蔵、エラ等を取り除き、洗浄後、急速凍結される。その後、冷凍品の輸送・保管は極低温(−50℃〜−60℃)で行われ、鮮度が維持される。
【0004】
消費に際しては、冷凍鮪の1本ものを凍ったまま5〜15Kgの4つ割、1〜3Kgのブロック(通称「コロ」)や、100〜300gの短冊状(通称「サク」)に切り分け、解凍後刺身などで生食される。
【0005】
鮪の凍結法及び極低温管理は技術的にほぼ確立されている一方、解凍法については種々の方法が提案されている。表1に現在採用されている主な産業用解凍法の概略を、その評価と共に示す。
【0006】
【表1】
Figure 0003606678
鮪は生食される場合が多く、その品質は色(表面と芯部)、艶(瑞々しさ)、ドリップ液(滲出する血水)などで判断される。
【0007】
現在、優れた鮪の解凍法としては、鮪全体を均一にゆっくり加熱することが推奨されており、とりわけ、段階的な加熱、断続的な加熱、加湿を併用した加熱などが行われているが、何れも被解凍鮪の表面温度を15℃以下に保つことが重要とされている。
【0008】
一般に冷凍魚貝類などは、一度冷凍変性を受けているために生鮮品に比べて変色が速く、またドリップの発生が多く、品質低下を起こしやすくなっている。特に鮪類ではこの影響が大きく、解凍時に最大氷結晶生成帯温度域(−7℃〜−3℃)を通過する時間が長いと、酵素活性、融解水の再結晶化などにより、解凍後の変質が早く、中心部が黒変(芯黒)することが多い。
【0009】
従来の水浸漬法(流水法)では、全体の鮮度維持のため15℃以下の水温で解凍するため、緩慢解凍となり、品質上問題が多かった。
【0010】
また、内部より加熱するマイクロ波加熱法、高周波加熱法は加熱のスピードは速いが、不均一加熱が起こりやすく、高品質の解凍は望めなかった。
【0011】
また、低温蒸気法、遠赤外線法は表面温度を抑える必要があるため、急速加熱が難しい。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来の解凍法の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、極めて短時間に、しかも品質の低下を伴うことなく、低コストの設備費によって実施することのできる冷凍鮪等の冷凍魚貝類の解凍法を提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では適宜の大きさの冷凍魚貝類を温度が30℃〜50℃の温塩水に接触させ、該魚貝類の中芯部の温度を−3℃〜−7℃の最大氷結晶生成帯温度まで上昇させ、その後、該冷凍魚貝類を温度が−3℃〜+5℃の冷水に浸漬してまたは冷水を吹き付けて該冷凍魚貝類の各部の温度を−3℃〜+10℃の間に収斂させてなるのである。
【0014】
好ましくは、前記冷凍魚貝類が適宜の大きさに切断された冷凍魚の断片で、より好ましくは、この冷凍魚の断片が冷凍鮪の断片であって、該断片が概略均一な厚みを有し、その厚みの平均値が10mm〜100mmの範囲内にあることである。
【0015】
本発明は被解凍魚貝類の加熱は蛋白変性を起こさない温度以下で急速に行い、最大氷結晶生成帯の温度域を速やかに突破し、次いで冷却水に浸漬してまたは冷水を吹き付けて解凍魚貝類全体が最終的に−3℃〜+10℃の範囲内にあるようにするのが最も効果的であるとの知得に基づいてなされたもので、温塩水による加熱によって魚貝類の表面温度は急激に上昇し、短時間で外部温塩水温度に達する。一方中芯部の温度はゆっくり上昇し、また表面と中芯部の中間層は表面よりの深さにより中間的な上昇となる。中芯部の温度が所定の温度、例えば、最大氷結晶帯温度の下限値、に達したら冷水に浸漬するか冷水を吹き付ける。これにより表面過熱部分の温度を急激に下げる一方、中芯部の温度は余熱である程度上昇を続け、所定時間経過後の全体をほぼ均一な−3℃〜+10℃の低温に維持することができる。上記温塩水による加熱から冷却水による冷却処理までの解凍は数分間で終了し、その後は食用に供するまでの短時間、例えば30分間、従来同様に冷蔵庫に保管中に各部が均一な冷蔵温度に収斂する。
【0016】
好ましくは、前記温塩水を食塩濃度が3.0重量%以上で、温度が30℃〜50℃の範囲内の食塩水溶液とすることである。
【0017】
この温塩水の温度はかなり高いが、この温塩水による加熱時間が通常の水浸漬に比べて1/10程度と極めて短いため、魚貝類は鮮度低下を起こさない。伝熱媒体としての水は熱特性(伝導度、熱容量)、安全性、価格等により最良の物質である。また、食塩水溶液は真水よりある程度の浸透圧を有するので、加熱により生じた融解水分を魚貝類内部より引き出し、吸水を防ぐと共に、表面の脱色を防止することができる。この食塩水溶液の濃度は3.0重量%以上で、上限は特に限定していないが、取扱い性またはコストより実際上は10重量%程度が限界となる。尚、好ましくは、温塩水の流動によって冷凍魚貝類と接触させることが望ましい。
【0018】
また、冷水は加熱時に接触させた温塩水と置換する必要があり、その後の食塩の過剰な影響を防ぐことからも、3.5重量%以下の希薄食塩水が好適である。温度は低いほど効果的であるが、取扱上、−3℃〜+5℃の範囲内の食塩水が好適である。
【0019】
即ち、温塩水に長く接触させると、特に冷凍鮪の場合には、メトミネグロビンの生成、分解酵素の影響、細菌の繁殖など望ましくない事態が起こるので、中芯部の温度が所定の温度になったら直ちに冷却することが望ましい。この冷却の場合も、液の流動は効果的である。
【0020】
また、最終製品が非加熱食品であるから、冷水は滅菌効果を付与したもの(例えば、オゾン処理水、電解陽極水、過酸化水素水等)が望ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好適な実施形態について添付図面を参照にして説明すると、図1は適宜の大きさ、例えば、縦60mmX横140mmX高さ25mm、に切断した冷凍鮪片Aの断面を示し、この冷凍鮪片Aは通常−60℃〜−50℃に冷凍された一本ものの鮪から凍ったまま帯鋸などで切断分離されたものである。この冷凍鮪片Aに付した符号のうち、1は表面部を示し、2の斜線を施した部分は中芯部を示し、3は1と2の中間部を示している。尚、ここで中芯部2とは冷凍鮪片の中心部の厚みが全体の厚みに対して1/3〜1/5の範囲内を指し示している。
【0022】
上記冷凍鮪片Aは、食塩濃度3.0重量%以上の30℃〜50℃の温度範囲の食塩水溶液中に浸漬され、中芯部2の温度を最大氷結晶生成温度(−3℃〜−7℃)まで上昇させる。一例として40℃の食塩水溶液中に3分間浸漬した場合には、図2に加熱工程として示されるように、冷凍鮪の表面部1の温度は約1分で40℃に達し、その後は食塩水の温度40℃を維持する。一方、冷凍鮪の中間部3は約1分半で最大氷結晶生成帯(−3℃〜−7℃)の下限に達し、この最大氷結晶生成帯4を他の部分よりも緩やかな温度上昇勾配でもって通過し、3分経過後には10数度に温度上昇している。また、中芯部2の温度は3分間経過後に最大氷結晶生成帯4の下限温度に達している。
【0023】
次いで、上記冷凍鮪を温塩水より取り出し、直ちに冷却水に接触して鮪の各部の温度を−3℃〜+10℃の間に収斂させるのである。この冷却工程では、温塩水より取り出した鮪を別に用意した食塩濃度が3.5重量%以下で温度が−3℃〜+5℃の冷却水中に浸漬する。図2に示した例では1℃の冷却塩水中に1分間浸漬している。これにより、図2に冷却工程として示されるように、冷凍鮪の表面部1の温度は急速に下降を開始し、中間部3の温度は若干の時差をおいて表面部の温度より緩やかな勾配でもって下降を開始する。一方、中芯部2の温度は加熱工程の温度上昇勾配よりも若干緩い温度上昇勾配でもって最大氷結晶生成帯4を通過し、その後は加熱工程の温度上昇勾配とほぼ同じ温度勾配でもって上昇し続け、中芯部2の温度は表面部1及び中間部3の温度に近づいて解凍がなされる。
【0024】
この冷却水への浸漬が1分経過後、冷凍鮪を冷却水から取り出し、表面の水分を拭き取る。その後は、通常の保管と同様に吸水紙で包んで食用に供するまで或いは出荷するまで0℃〜10℃の冷蔵庫に保管する。この例では2℃の冷蔵庫に約30分保管すると、図2に点線で示されるように、30分経過後に鮪の表面部1、中芯部2及び中間部3の温度は2℃に収斂し、全体として鮪の温度は2℃となる。
【0025】
本発明で解凍処理する冷凍鮪の切断片は外部からの熱伝導により加熱するため、形状に関係なく厚みが解凍速度などに影響を与える。そして、厚みが10mm未満では他の方法でも充分品質良く解凍可能であり、また100mmを超えると加熱時間が長くなり本発明の方法では不適当となる。
【0026】
加熱工程における加熱時間は冷凍鮪の中芯部の温度を最大氷結晶生成帯温度付近まで上昇させるに要する時間であり、加熱温度及び冷凍鮪の断片の厚さに依存して可変である。冷凍鮪を温塩水に浸漬する場合には、温塩水を流動化することによって加熱時間を短縮することができる。また、温塩水の温度は前述のように30℃〜50℃の範囲内であり、30℃未満では所望の加熱に必要以上の時間がかかってしまい、また50℃を越えると短時間に鮪の蛋白変性をずる可能性がある。
【0027】
本発明の上記例では温塩水による加熱後に冷却水に接触させることにより鮪の表面部1及び中間部3の温度を急速に降下させ所定の温度に速く収斂させて解凍するためである。この冷却水による冷却時間は、少なくとも鮪の中間部3の温度の降下が開始するまで行うことである。そして、好ましくはこの冷却水の温度は冷蔵庫による保管温度より低い−3℃〜0℃とすることで、鮪を冷却水に浸漬する場合には、この冷却水を流動化することが冷却効果をあげるために好ましい。
【0028】
次に、本発明の方法を実施するための装置の一例を図3を参照にして説明する。
【0029】
先ず、図の左端には、冷凍鮪片A(コロまたはサク)を解凍装置本体11内に送り込む搬入コンベア12を示し、解凍装置本体11内には搬入コンベア12に連接して装置本体内の長手方向に沿って水平に延長する主コンベア13が配設されている。この主コンベア13としてはメッシュ式が好ましい。装置本体はその入口側から出口側に向けて、3つの分室に仕切られ、加熱室14と冷却室15と脱水室16とからなっている。加熱室14の上部には温水シャワー装置17が設置され、またその下部には温水溜部18が設けられ、温水溜部に溜まった温水はその底部より温水ポンプ19、温水フィルター20及び温水加熱器21を介して温水シャワー装置17に循環されるようになっている。
【0030】
冷却室15の上部には冷水シャワー装置22が設けられ、またその下部には冷水溜部23が設けられ、この冷水溜部に溜まった冷水はその底部より循環ポンプ24、冷水チラー25、滅菌器26を介して再び冷水シャワー装置22に循環されるようになっている。また、脱水室16の上部には空気噴出ノズル27が設けられている。また、装置本体の出口側には搬出コンベア28が主コンベア13に連接して設けられている。
【0031】
使用に際しては、搬入コンベア12によって搬送されてきた冷凍鮪片Aは主コンベヤ13上に移し替えられ装置本体11内に運び込まれる。装置本体11内の加熱室14では温水シャワー装置17から所定の温度の温塩水が冷凍鮪上に噴水され、冷凍鮪を所定の温度まで上昇させ、図2の加熱工程の処理が行われる。尚、好ましくは、温水シャワー装置は上部だけでなく下方部ならびに前後左右に設けて鮪片をその周囲から万遍なく加熱することである。
【0032】
加熱室を通過した主コンベアー13上の鮪片Aは次いで冷却室15に入る。冷却室15では冷却水が冷水シャワー装置22から鮪上に噴出され、鮪の表面部及び中間部の温度を急速に所定の温度まで冷却し、図2の冷却工程の処理が行われる。尚、この冷水シャワー装置も上記温水シャワー装置の場合と同様に上部だけでなく下方部ならびに前後左右に設けて鮪片をその周囲から万遍なく冷却するようにすることが好ましい。冷却室15を通過して解凍された主コンベア13上の鮪片Aは次いで脱水室16に入り、ここでは冷空気が吹き付けられて鮪の表面の水分が除去される。
【0033】
その後は鮪片は搬出コンベヤ28上に移し替えられて装置本体11から排出され、冷蔵庫などで出荷のために保存される。
【0034】
尚、上記装置では温水並びに冷却水はシャワー装置17、22によって噴出されるようになっているが、これ以外に装置本体内に温水槽と冷却水槽をそれぞれ連接して配設し、主コンベアがこれらの槽内を順次通過するようにしても前記同様に連続的に解凍処理することができる。
【0035】
また、解凍鮪の処理量が少ないときには、温水槽と冷却水槽とを別々に設け、金網で作られた籠状容器内に被解凍鮪片Aを相互に接触しないように収納し、所定条件を保った温水槽並びに冷却水槽に被解凍鮪片Aを収納した籠状容器を所定時間順次浸漬し、その後籠から鮪片を取り出し、水切りして出荷まで冷蔵庫で保管するようにしてもよい。水切りの方法としては、圧縮空気で表面水分を吹き飛ばすとか紙または布などで拭き取るのが簡単でいい。
【0036】
また、水切り後は0℃〜5℃の低温庫で30分から3時間程度保管し、鮪の内部全体の温度の均一化を図るのが望ましい。この時、解凍鮪全体を吸水紙で包み、ドリップ液の吸収、表面よりの乾燥防止を行うことが好ましい。
【0037】
尚、上記実施態様の記載では専ら冷凍鮪の解凍方法について説明したが、本発明は上記の例に限られることなく、その他の冷凍魚について適用することができるだけでなく、冷凍された貝類、冷凍エビ、冷凍イカ、冷凍タコ、冷凍鱈子等にも同様に適用することができる。
【0038】
以下に本発明の好適な実施例について記述する。
【0039】
実施例1
冷凍バチマグロ赤身のサク(140X60X23mm,185g)を−20℃の冷凍庫に保管後、39.3℃で3.2wt%の食塩水(1.5リットル)に3.5分間浸漬して加熱し、続いて3.8℃で0.66wt%の食塩水に1.5分間浸漬して冷却することにより解凍し、その後紙タオルでよく表面水分を拭き取り、吸水紙に包み0℃の冷蔵庫に3時間保管後検体とした。その結果は次のようであった。
【0040】
▲1▼加熱時の温塩水の温度変化は39.3℃から33.2℃に下がった。
▲2▼表面水分を拭き取った後の重量は187g(+2g)であった。
▲3▼保管中のドリップ(吸水紙の重量増)は5gであった。
▲4▼保管後は完全解凍され、表面及び内部とも鮮紅色に発色し、良好であった。
▲5▼食感、食味、塩味なし、瑞々しい。
【0041】
実施例2
冷凍キハダマグロのサク(160X65X20mm,205g)を−20℃の冷凍庫に保管後、44.5℃で7.4wt%の食塩水(1.5リットル)に2.5分間浸漬して加熱し、続いて2.3℃で2.0wt%の食塩水に1分間浸漬して冷却することにより解凍し、その後紙タオルに包んで5分間室温で放置し、検体とした。また、検査後吸水紙に包んで0℃で24時間放置し、経時変化を見た。その結果は次のようであった。
【0042】
▲1▼加熱時の重量変化、206gから205gへ減った。
▲2▼加熱時の温塩水の温度変化は44.5℃から37.8℃に下がった。
▲3▼5分放置後は十分に包丁の入る硬さであった。
▲4▼表面は淡紅色、芯部は少し未解凍部が残り、暗いトキ色であったが30分後に未解凍部分が解凍され淡紅色になる。
【0043】
また、0℃24時間放置後には:
▲5▼重量減 205g−190g=15g
▲6▼色調は淡紅色で均一になった。
▲7▼食感、食味は鮮度よく瑞々しい。塩味なし。
▲8▼ドリップ(吸水紙の重量増) 9.0g
【0044】
実施例3
冷凍バチマグロ(中トロ)のコロ(1.5Kg、厚み75mm)を−50℃の冷凍庫に保管後、40℃で4.0wt%の食塩水を15分間全面に吹き付けて加熱し、直ちに0.5℃で1wt%の食塩水を5分間吹き付けて冷却することにより解凍し、その後表面の水分を空気を吹き付けて除いた(水切り)。
【0045】
上記の処理を行ったコロを保鮮紙に包み、5℃の冷蔵庫に3時間保管した。その結果は次のようであった。
【0046】
▲1▼中芯部まで完全に解凍されており、容易にサク加工ができた。
▲2▼全体の温度は−2℃から5℃の間に分布していた。
▲3▼中芯部の黒変は見られなかった。
▲4▼ドリップは少なく、変色は少なかった。
【0047】
以下に、冷凍鮪以外の種々の冷凍魚貝類について解凍実験を行った。この実験では温塩水としては6.4wt%の食塩水1.5リットルを44℃〜46℃に調整したものを準備し、冷塩水としては2.0%の食塩水1.0リットルを約1℃に調整したものを準備して行った。解凍操作としては、マイナス20℃の冷凍庫に12時間以上保管した対象冷凍魚貝類を上記温食塩水中に所定時間浸漬後、冷食塩水中に移し、冷食塩水中に1分間浸漬後、冷塩水から取り出して紙タオルに包み室温で5分間放置した。その後、解凍品の表面を紙タオルで良く拭い、外観、切断面、食味などの評価を行い、その結果を表2に示した。
【0048】
【表2】
Figure 0003606678
【0049】
【発明の効果】
上記のように、本発明では適宜の大きさの冷凍魚貝類を温度が30℃〜50℃の温塩水に接触させ、該魚貝類の中芯部の温度を−3℃〜−7℃の最大氷結晶生成帯温度まで上昇させ、その後、該冷凍魚貝類を温度が−3℃〜+5℃の冷水に浸漬してまたは冷水を吹き付けて該冷凍魚貝類の各部の温度を−3℃〜+10℃の間に収斂させてなるのであるから、極めて短時間に、しかも品質の低下を伴うことなく、低コストの設備費によって実施することのできる冷凍魚貝類の解凍法が提供された。特に、冷却媒体として冷却水を使用するので、空冷による場合に比べて数倍以上の冷却効果を奏し、解凍時間を著しく短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷凍鮪片の縦断面図。
【図2】本発明の一実施態様による冷凍鮪片の解凍時の温度推移を示すグラフ。
【図3】本発明の方法を実施する装置の一例を示す略式説明図。
【符号の説明】
A 冷凍鮪片
1 表面部
2 中芯部
3 中間部
4 最大氷結晶生成帯
11 解凍装置本体
14 加熱室
15 冷却室
16 脱水室
17 温水シャワー装置
22 冷水シャワー装置

Claims (6)

  1. 適宜の大きさの冷凍魚貝類を温度が30℃〜50℃の温塩水に接触させ、該魚貝類の中芯部の温度を−3℃〜−7℃の最大氷結晶生成帯温度まで上昇させ、その後、該冷凍魚貝類を温度が−3℃〜+5℃の冷水に浸漬してまたは冷水を吹き付けて該冷凍魚貝類の各部の温度を−3℃〜+10℃の間に収斂させてなることを特徴とする冷凍魚貝類の解凍法。
  2. 前記冷凍魚貝類が適宜の大きさに切断された冷凍魚の断片であることを特徴とする請求項1に記載の冷凍魚貝類の解凍法。
  3. 前記温塩水が食塩濃度3.0重量%以上の食塩水溶液からなることを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍魚貝類の解凍法。
  4. 前記冷水が食塩濃度3.5重量%以下の食塩水溶液からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の冷凍魚貝類の解凍法。
  5. 前記冷水がオゾン処理水、電解陽極水、過酸化水素水等の滅菌効果を有するものからなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の冷凍魚貝類の解凍法。
  6. 前記冷凍魚の前記断片が冷凍鮪の断片であって、該断片が概略均一な厚みを有し、その厚みの平均値が10mm〜100mmの範囲内にあることを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の冷凍魚貝類の解凍法。
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